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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第一百二十九節:大战(终)

(ざい)す、大哥(たいか)!」


歐陽碧桑(おうようへきそう)墨獅狂(ぼくしきょう)同時(どうじ)(かつ)した。


彼等(かれら)に我々(われわれ)三兄弟(さんきょうだい)(しん)(ちから)()せて(つか)わそう!」


劉文武(りゅうぶんぶ)咆哮(ほうこう)すると、速度(そくど)()とさず、墨獅狂(ぼくしきょう)歐陽碧桑(おうようへきそう)体当(たいあ)たりした。


後者(こうしゃ)二人(ふたり)哄笑(こうしょう)()ぜ、(あお)(はい)(いろ)(かがや)きを(ほとば)しらせた。


(あお)(はい)(しろ)三色(さんしょく)(ひかり)激突(げきとつ)し、轟然(ごうぜん)という(おと)(とも)消散(しょうさん)した。()()には、一頭(いっとう)人型怪物(ひとかたかいぶつ)(あらわ)れた。


()怪物(かいぶつ)は三ツ(みつくび)六本(ろっぽん)(うで)身長(しんちょう)二丈(にじょう)の筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)たる(からだ)に、赤銅(しゃくどう)(ごと)肌膚(はだ)(ゆう)していた。


()つの(あたま)は、それぞれ劉文武(りゅうぶんぶ)歐陽碧桑(おうようへきそう)墨獅狂(ぼくしきょう)容貌(ようぼう)(てい)していた。


()れは!?」


(かく)(しん)(がた)光景(こうけい)()にし、無数(むすう)(もの)()見開(みひら)いた。


()()け、()れこそ我々(われわれ)三兄弟(さんきょうだい)殺招(さっしょう)――三頭六臂(さんとうろっぴ)である!戦慄(せんりつ)せよ、恐懼(きょうく)せよ、存分(ぞんぶん)(おそ)れおののけ。()れは貴様(きさま)らが生涯(しょうがい)最期(さいご)瞬時(しゅんじ)となるぞ!」


()つの(あたま)(こえ)(そろ)えて宣言(せんげん)した。


(ふん)大言壮語(たいげんそうご)しおって!」


高揚(こうよう)()ややかに(はな)()らし、波雲詭譎蛊(はうんきけつこ)(もよお)した。


灰白色(かいはくしょく)雲光(うんこう)三頭六臂(さんとうろっぴ)巨人(きょじん)目掛(めが)けて飛翔(ひしょう)していったが、中途(ちゅうと)劉文武(りゅうぶんぶ)両眼(りょうがん)から二条(にじょう)光帯(こうたい)爆射(ばくしゃ)し、()(くも)射抜(いぬ)いた。


シュッ!


一音(いちおん)爆響(ばくきょう)(とも)に、三頭六臂(さんとうろっぴ)高揚(こうよう)眼前(がんぜん)俄然(がぜん)として(あらわ)れた。


(かく)(はや)速度(そくど)とは!」


高揚(こうよう)瞳孔(どうこう)収縮(しゅうしゅく)し、長年(ながねん)(つちか)った戦闘経験(せんとうけいけん)が、(かれ)防御蛊(ぼうぎょこ)(くる)ったように催動(さいどう)させた。


怪物(かいぶつ)両腕(りょううで)()るった。


一撃(いちげき)光罩(こうしょう)貫通(かんつう)し、もう一撃(いちげき)高揚(こうよう)頭部(とうぶ)西瓜(すいか)(つぶ)(ごと)(たた)(つぶ)した。


次の瞬間(しゅんかん)高揚(こうよう)首無(くびな)死体(したい)高空(こうくう)から落下(らっか)していった。


兄弟(きょうだい)――!!」


朱宰(しゅさい)()光景(こうけい)目撃(もくげき)するや、(いか)りで心臓(しんぞう)()()けんばかりに、理性(りせい)(うし)なって怪物(かいぶつ)猛進(もうしん)した。


「がははは、蟷螂(とうろう)悲鳴(ひめい)め。」


墨獅狂(ぼくしきょう)(あたま)哄笑(こうしょう)し、片腕(かたうで)人差指(ひとさしゆび)(かが)めて、朱宰(しゅさい)()(かろ)(はじ)いた。


ドカン!!!


気流(きりゅう)爆発(ばくはつ)し、強烈(きょうれつ)衝撃力(しょうげきりょく)戦場(せんじょう)数千歩(すうせんぽ)(わた)傷跡(きずあと)()()んだ。


朱宰(しゅさい)粉微塵(こなみじん)爆散(ばくさん)し、血肉(けつにく)骨片(こっぺん)飛散(ひさん)した。余波(よは)()()まれた蛊師(こし)たちは、無事(ぶじ)()(もの)一人(ひとり)としていない。


(かく)威力(いりょく)……単独(たんどく)(すく)なくとも六倍(ろくばい)速度(そくど)九倍(きゅうばい)か!三者(さんしゃ)合体(がったい)修羅変(しゅらへん)利用(りよう)し、気道(きどう)攻撃(こうげき)光道効果(こうどうこうか)重畳(ちょうじょう)させているのか?」


方源(ほうげん)()光景(こうけい)()に、胸中(きょうちゅう)(つよ)戦意(せんい)()()がるのを(きん)()なかった。


()()には全力以赴蛊(ぜんりょくふこ)があり、(さら)五转攻倍蛊(ごてんこうばいこ)(くわ)えれば、五百钧(ごひゃくきん)巨力(きょりょく)(ほとば)しらせられる!()怪物(かいぶつ)激突(げきとつ)すれば、(いず)れが(すぐ)れるやら……」


(しか)し次の瞬間(しゅんかん)方源(ほうげん)戦意(せんい)()さえ、()(ひるが)して異獣狼群(いじゅうろうぐん)(なか)(ふたた)(ひそ)んだ。


人如故蛊(じんじょこ)


()(とき)二柱(ふたはしら)銀光(ぎんこう)(あま)より(くだ)り、朱宰(しゅさい)高揚(こうよう)(あら)たなる(せい)()(まった)(もと)(どお)りに回復(かいふく)した!


()いぼれめ!」


怪物(かいぶつ)の六ツ(むっつ)の(ひとみ)から──()えきった視線(しせん)(みなぎ)殺意(さつい)()()戦意(せんい)──が同時(どうじ)太白云生(たいはくうんせい)()()いた。


太白云生(たいはくうんせい)(あわ)てて(あと)ずさりした。(かれ)人如故蛊(じんじょこ)所持(しょじ)しているが、()れは他者(たしゃ)にのみ有効(ゆうこう)で、自分自身(じぶんじしん)には作用(さよう)しないのである。


全軍(ぜんぐん)(れい)あり、太白云生(たいはくうんせい)(まも)れ!!」


黒楼蘭(こくろうらん)()()りながら咆哮(ほうこう)し、()(たたか)いの(かなめ)見極(みきわ)めた。


(だれ)(われ)(はば)めるというのか?」


歐陽碧桑(おうようへきそう)(あたま)傲然(ごうぜん)(わら)(ふく)んだ。


次の瞬間(しゅんかん)怪物(かいぶつ)一筋(ひとすじ)緑芒(りょくぼう)()り、電光(でんこう)(ごと)太白云生(たいはくうんせい)目指(めざ)して(ほとば)しった。


太白云生(たいはくうんせい)群衆(ぐんしゅう)背後(はいご)(かく)れたが、怪物(かいぶつ)()かう(ところ)(てき)()く、一直線(いっちょくせん)突進(とっしん)する。(はば)まんとする(もの)は、(ひと)であれ(けもの)であれ、(みな)無残(むざん)肉塊(にくかい)()った。


恩公(おんこう)(はや)()げて(くだ)さい!」


高揚(こうよう)朱宰(しゅさい)()()け、()(てい)して太白云生(たいはくうんせい)(たて)にした。


邪魔(じゃま)(ちい)さい(むし)めが。」


怪物(かいぶつ)六本(ろっぽん)(うで)同時(どうじ)()るった。()(はや)さは、肉眼(にくがん)には六筋(むすじ)虚影(きょえい)(かす)める(ほど)であった。


ドン、ドンと二声(にせい)朱宰(しゅさい)高揚(こうよう)(ふたた)()()ぜられた。


()単刀蛊(たんとうこ)()よ!」


潘平(はんぺい)()()り、単刀蛊(たんとうこ)発動(はつどう)させた。


此度(こたび)単刀蛊(たんとうこ)見事(みごと)成功(せいこう)し、怪物(かいぶつ)巨体(きょたい)(かす)かに(ふる)え、胸板(むないた)(あさ)傷痕(きずあと)(あらわ)れた。


(すこ)しばかり面白(おもしろ)い。」


怪物(かいぶつ)冷笑(れいしょう)一声(いっせい)(わら)(ごえ)()()らぬ(うち)に、傷痕(きずあと)(まった)()えた。(しか)(のち)怪物(かいぶつ)一口(ひとくち)濁気(だっき)()()した。


濁気(だっき)炸裂(さくれつ)し、潘平(はんぺい)木端微塵(こっぱみじん)()()ばされた。


太白云生(たいはくうんせい)何処(いずこ)()げようと?」


怪物(かいぶつ)()みつく(よう)(わら)(ごえ)()げ、()つの(あたま)(こえ)次第(しだい)(ひと)つに()()っていった。


太白云生(たいはくうんせい)(いま)(とお)くへ(うつ)らぬ(うち)に、怪物(かいぶつ)(すで)()眼前(がんぜん)に立ち(ふさ)がった。


ざあっ!


水瀑(すいばく)噴湧(ふんよう)し、浩激流(こうげきりゅう)(なみ)()って()(きた)る。


怪物(かいぶつ)六掌(ろくしょう)(そろ)えて()()し、水流(すいりゅう)(ほとば)()った。浩激流(こうげきりゅう)悲鳴(ひめい)(いっ)(せい)(さら)(はや)(すみ)やかさで()()ばされた。


()光景(こうけい)目撃(もくげき)し、()()がって()邊絲軒(へんしけん)即座(そくざ)(あし)()め、()()むことを()えてしなかった。


暗渦(あんか)


黒楼蘭(こくろうらん)(てん)より降下(こうか)し、巨大(きょだい)黒色(こくしょく)光球(こうきゅう)が、山塊(さんかい)(ごと)(あっ)()からんとした。


怪物(かいぶつ)咆哮(ほうこう)一声(いっせい)六本(ろっぽん)()幾重(いくえ)にも(かさ)ね、(はる)彼方(かなた)光球(こうきゅう)(とら)えた。


殺招(さっしょう)――気呑万象(きどんばんしょう)


大気(たいき)壁山(かべやま)(ごと)凝縮(ぎょうしゅく)され、黒楼蘭(こくろうらん)顔色(かおいろ)紫紅色(しこうしょく)(にご)ったが、如何(いか)にしても()(すす)むことができない。


(つづ)いて大気(たいき)四方八方(しほうはっぽう)から(つつ)()せ、(あら)くも(かれ)殺招(さっしょう)無理矢理(むりやり)()()んでしまった。


墨獅狂(ぼくしきょう)単独(たんどく)では発動(はつどう)不可能(ふかのう)だった()殺招(さっしょう)が、怪物(かいぶつ)()(わた)るや(いな)や、驟然(しゅうぜん)として完成形(かんせいけい)()ったのである。


ウォォン!


異獣狼群(いじゅうろうぐん)(あり)()れの(ごと)()()せ、黒楼蘭(こくろうらん)怪物(かいぶつ)(あし)()めに成功(せいこう)した。(またた)()に、異獣狼群(いじゅうろうぐん)怪物(かいぶつ)幾重(いくえ)にも包囲(ほうい)した。


血戦(けっせん)轟然(ごうぜん)として爆発(ばくはつ)した。


四転(してん)戦闘力(せんとうりょく)匹敵(ひってき)する異獣狼(いじゅうろう)たちは、(おそ)れることも()怪物(かいぶつ)()けて()突撃(とつげき)開始(かいし)した。


(ころ)せ!(ころ)せ!(ころ)せ!」


怪物(かいぶつ)咆哮(ほうこう)連発(れんぱつ)し、狂乱(きょうらん)状態(じょうたい)(おちい)って異獣狼群(いじゅうろうぐん)()()った。()一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)には莫大(ばくだい)威力(いりょく)()められている。光道(こうどう)気道(きどう)変化道(へんかどう)という三種(さんしゅ)蛊虫(こちゅう)連携(れんけい)して発動(はつどう)され、その連携(れんけい)絶妙(ぜつみょう)で、さながら三刀流(さんとうりゅう)(ごと)きである!


異獣狼(いじゅうろう)一匹(いっぴき)また一匹(いっぴき)戦死(せんし)していったが、怪物(かいぶつ)攻勢(こうせい)相変(あいか)わらず激烈(げきれつ)(きわ)まりない。


盟主様(めいしゅさま)此方(こなた)一役(ひとやく)()いましょう!」


()(とき)劉家(りゅうか)蛊師強者(こしきょうじゃ)援軍(えんぐん)()()けた。


(しか)し次の瞬間(しゅんかん)(かれ)正気(しょうき)(うし)った怪物(かいぶつ)によって()きたまま()()ばされてしまったのである!


劉文武(りゅうぶんぶ)公子(こうし)正気(しょうき)(うし)なわれた!」


(かれ)(すで)(くる)ってしまった!!」


戦場(せんじょう)騒然(そうぜん)となり、劉家軍(りゅうかぐん)士気(しき)急降下(きゅうこうか)した。


()(ぞく)損耗(そんもう)甚大(じんだい)で、蛊師(こし)三割(さんわり)喪失(そうしつ)した。撤退(てったい)(とき)である。」


(かく)(ごと)盟主(めいしゅ)に、如何(いか)して(めい)(ささ)げる価値(かち)()ろうか?」


()ずは退(しりぞ)け。損耗率(そんもうりつ)(すで)基準(きじゅん)(たっ)している。(いま)撤退(てったい)しても、毒誓(どくせい)(そむ)くことにはならぬ。」


大戦(たいせん)がかくの(ごと)局面(きょくめん)(いた)り、(だれ)もが予想(よそう)だにしなかった。黒家(こくけ)劉家(りゅうか)双方(そうほう)最早(もはや)脱走兵(だっそうへい)(あらわ)(はじ)めている。



元来(がんらい)陣形(じんけい)維持(いじ)していた黒旗軍(こっきぐん)白毫軍(はくごうぐん)は、熱戦(ねっせん)()(ひろ)げている最中(さいちゅう)で、()れら逃亡兵(とうぼうへい)()さえ()()()らない。


如何(いか)にせん?」


黒楼蘭(こくろうらん)諸将(しょしょう)献策(けんさく)(もと)めた。()怪物(かいぶつ)(かれ)頭痛(ずつう)(たね)である。


問題(もんだい)()し。所謂(いわゆ)殺招(さっしょう)とは、威力(いりょく)絶大(ぜつだい)なれど、消費(しょうひ)する真元(しんげん)膨大(ぼうだい)となる。加之(しかのみなら)ず、()殺招(さっしょう)(あき)らかに欠陥(けっかん)あり。怪物(かいぶつ)(すで)理性(りせい)(うし)なっている。知恵(ちえ)なき(ちから)は、(うれ)うるに()らぬ。」


方源(ほうげん)(きわ)めて冷静(れいせい)分析(ぶんせき)し、()伝音(でんおん)将兵(しょうへい)らの(こころ)(ふる)()たせた。


(しか)り。()意外(いがい)()ければ、()(たたか)いは(すで)に我々(われわれ)の勝利(しょうり)()()い!」


太白云生(たいはくうんせい)補足(ほそく)した。


(しか)()言葉(ことば)()わらぬ(うち)に、意外(いがい)()こった。


三頭六臂(さんとうろっぴ)怪物(かいぶつ)(にわ)かに分離(ぶんり)し、()つの人影(ひとかげ)となって各々(おのおの)(べつ)方角(ほうがく)(おど)りかかった。


劉文武(りゅうぶんぶ)墨獅狂(ぼくしきょう)(とも)(むな)しく()(すす)んだが、歐陽碧桑(おうようへきそう)のみは両眼(りょうがん)(かがや)かせ、咆哮(ほうこう)した。「常山陰(じょうざんいん)(つい)貴様(きさま)()つけ()したぞ!覚悟(かくご)しろ!!」


元来(がんらい)彼等(かれら)三人(みたり)合体(がったい)して三頭六臂(さんとうろっぴ)怪物(かいぶつ)()るとき、魂魄(こんぱく)(たが)いに()ざり()い、戦力(せんりょく)暴騰(ぼうとう)するものの、長続(ながつづ)きはしない。時間(じかん)()(ほど)記憶(きおく)混亂(こんらん)深刻(しんこく)となり、最終的(さいしゅうてき)には完全(かんぜん)自我(じが)喪失(そうしつ)し、正気(しょうき)(うし)った狂人(きょうじん)痴人(ちじん)()ってしまうのである。味方(みかた)支援者(しえんしゃ)殺害(さつがい)した事実(じじつ)劉文武(りゅうぶんぶ)らは心神(しんしん)()さぶられ、(かろ)うじて一縷(いちる)清明(せいめい)()(もど)したのだった。


()一縷(いちる)清明(せいめい)(たよ)りに、彼等(かれら)(なお)逆転劇(ぎゃくてんげき)画策(かくさく)していた。


太白云生(たいはくうんせい)殺害(さつがい)するよりも、常山陰(じょうざんいん)()()ることの効用(こうよう)は、()うまでもなく(おお)きい。


三人(みたり)(ゆう)する探索蛊(たんさくこ)は、(いず)れも凡品(ぼんぴん)では()い。戦況(せんきょう)仔細(しさい)推算(すいさん)し、方源(ほうげん)(ひそ)可能性(かのうせい)(たか)三箇所(さんかしょ)特定(とくてい)した。


(つい)に、歐陽碧桑(おうようへきそう)方源(ほうげん)潜伏先(せんぷくさき)()つけ()したのである。


最悪(さいあく)だ!()狼王(ろうおう)()ねば、狼群(ろうぐん)(たちま)崩壊(ほうかい)する。劉家軍(りゅうかぐん)逆転(ぎゃくてん)し、()(ぐん)潰走(かいそう)()る。」


歐陽碧桑(おうようへきそう)残忍(ざんにん)(わら)みを()かべて常山陰(じょうざんいん)(おそ)()かるのを()に、黒楼蘭(こくろうらん)心中(しんちゅう)暗叫(あんきょう)し、(くる)ったように救援(きゅうえん)()()けたが、時間的(じかんてき)には最早(もはや)間に(まにあ)わぬのであった。


()ねえ!」


歐陽碧桑(おうようへきそう)は、(いま)真元(しんげん)(のこ)っており、(ふたた)修羅変(しゅらへん)発動(はつどう)できたのだ!


狼王(ろうおう)()わりだ!」


孫湿寒(そんしつかん)恐怖(きょうふ)歓喜(かんき)()()じり、(おそ)れつつも(よろこ)んだ。


(しま)った!常山陰(じょうざんいん)(あぶ)ない!」


太白云生(たいはくうんせい)らは顔面(がんめん)蒼白(そうはく)となった。


父上(ちちうえ)!」


常極右(つねきょくう)切羽詰(せっぱつ)まり、絶叫(ぜっきょう)した。


歐陽碧桑(おうようへきそう)(おそ)()るのを()にし、方源(ほうげん)(かお)には異様(いよう)()みが()かんだ。


四转鷹揚蛊(してんようようこ)五转攻倍蛊(ごてんこうばいこ)


方源(ほうげん)背中(せなか)には(にわ)かに(たか)(つばさ)()え、五倍(ごばい)(はや)さで(かれ)()せて(てん)()(いきお)いで飛翔(ひしょう)した。


歐陽碧桑(おうようへきそう)一瞬(いっしゅん)呆然(ぼうぜん)としたが、(あわ)てて追跡(ついせき)し、「()がすものか!」と咆哮(ほうこう)した。


しかし(かれ)速度(そくど)(およ)ばず、無念(むねん)ながら両者(りょうしゃ)距離(きょり)(ひら)いていくのを()るしかなかった。


此方(こなた)(まか)せよ!」


劉文武(りゅうぶんぶ)(さけ)びながら白光(はっこう)()り、疾走(しっそう)して()た。(しか)方源(ほうげん)(かろ)やかに()(ひるが)えし、(なん)なく回避(かいひ)した。


()(とき)墨獅狂(ぼくしきょう)()()け、方源(ほうげん)(たい)して包囲網(ほういもう)()いた。


方源(ほうげん)身軽(みがる)さは(きわ)まりなく、(とき)には(はな)()穿(うが)(ちょう)(ごと)く、(とき)には電光(でんこう)石火(せっか)(ごと)く、(とき)には(やわ)らかな(かぜ)(ごと)く、(とき)には魑魅魍魎(ちみもうりょう)(ごと)く、三人(みたり)翻弄(ほんろう)してやまない。


()れは……大師級(だいしきゅう)飛行術(ひこうじゅつ)である!」


群衆(ぐんしゅう)仰向(あおむ)けに(なが)め、()見開(みは)って見入(みい)った。


蛊師(こし)()(そだ)て、使(つか)い、(きた)える。いずれも(ふか)(ひろ)分野(ぶんや)だ。(おな)じような()使(つか)っていても、特定(とくてい)蛊師(こし)格別(かくべつ)(すぐ)れ、芸術(げいじゅつ)(きわみ)にまで(たか)める。人々(ひとびと)はこうした(もの)を「達人(たつじん)」と()ぶ。


狼王(ろうおう)奴道(ぬどう)達人(たつじん)だけでなく、飛行術(ひこうじゅつ)達人(たつじん)でもあるとは!」


人々(ひとびと)はしばらく見守(みまも)り、安心(あんしん)すると次々(つぎつぎ)に驚嘆(きょうたん)(こえ)()げた。


狼王(ろうおう)()げるな!」


歐陽碧桑(おうようへきそう)(さけ)んだ。


常山陰(じょうざんいん)覚悟(かくご)があるなら(おれ)三百回(さんびゃっかい)(たたか)え!」


墨獅狂(ぼくしきょう)怒鳴(どな)った。


「ちくしょう……」


劉文武(りゅうぶんぶ)()()いしばり、(こころ)(そこ)(しず)んでいった。


方源(ほうげん)飛行術(ひこうじゅつ)は、(かれ)らの足元(あしもと)にも(およ)ばない。さらに三人(みたり)愕然(がくぜん)とさせたのは、方源(ほうげん)()れらを回避(かいひ)しながら、同時(どうじ)狼群(おおかみむれ)(あやつ)って劉家軍(りゅうかぐん)掃討(そうとう)していることだった!


「ちくしょう、あんたがこんだけ飛べるって()ってりゃ、あんな(たたか)(かた)しなかったのに」


方源(ほうげん)余裕(よゆう)たっぷりの姿(すがた)()に、黒楼蘭(こくろうらん)らは(むね)無力感(むりょくかん)哀怨(えいえん)()()がるのを(きん)じえなかった。


劉家(りゅうか)三兄弟(きょうだい)(いた)っては、最早(もはや)言葉(ことば)()ない(よう)すだった。



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