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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第一百二十二節:一心求胜顾狼王

王帳(おうちょう)(なか)重苦(おもくる)しい雰囲気(ふんいき)(つつ)まれ、黒楼蘭(こくろうらん)(ふく)め、ほぼ全員(ぜんいん)(きず)()っていた。


日頃(ひごろ)威風(いふう)堂々(どうどう)としていた蛊道(こどう)強者(つわもの)たちも、(いま)()るも無様(ぶざま)姿(すがた)()っていた。


劉家(りゅうか)攻勢(こうせい)(じつ)猛烈(もうれつ)だ。劉文武(りゅうぶんぶ)羅伯軍(らはくぐん)聶亞卿(じょうあきょう)(いず)れも五转(ごてん)強者(きょうじゃ)墨獅狂(ぼくしきょう)歐陽碧桑(おうようへきそう)四转巅峰(してんてんぽう)でありながら五转(ごてん)()みの戦力(せんりょく)(さら)裴燕飛(はいえんひ)常飆(じょうひょう)猛将(もうしょう)まで(そろ)っている……()くの(ごと)布陣(ふじん)は、過去十回(かこじっかい)王庭争奪戦(おうていそうだつせん)()(かえ)っても、(きわ)めて(まれ)である」


狽君子孫(はいくんしそん)孫湿寒(そんしつかん)嘆息(たんそく)した。


四转蛊師(してんこし)()えば、(すで)稀有(けう)存在(そんざい)で、往々(おうおう)にして中小勢力(ちゅうしょうせいりょく)首脳(しゅのう)(ある)いは大規模勢力(だいきぼせいりょく)家老(かろう)(つと)める(ほど)である。


五转(ごてん)(さら)(まれ)で、資質(ししつ)への要求(ようきゅう)(きわ)めて(たか)い。(たと)超弩級勢力(ちょうどきゅうせいりょく)(いえ)ども、表向(おもてむ)きの五转蛊師(ごてんこし)は二、三人(に、さんにん)に()ぎない。


(じつ)()えば、黒家(こくけ)現在(げんざい)高層(こうそう)戦力(せんりょく)比較的(ひかくてき)強力(きょうりょく)(ほう)である。


黒楼蘭(こくろうらん)太白雲生(たいはくうんせい)古国龍(ここくりゅう)(みっ)(めい)五转强者(ごてんきょうじゃ)常山陰(じょうざんいん)唐妙鳴(とうみょうめい)浩激流(こうげきりゅう)邊絲軒(へんしけん)潘平(はんぺい)四转强者(してんきょうじゃ)二十名余(にじゅうめいあま)りに(たっ)している。


(しか)同格(どうかく)蛊師(こし)(いえ)ども、相互(そうご)戦力(せんりょく)には()存在(そんざい)する。蛊師(こし)とは()(ちから)(ぐん)凌駕(りょうが)する戦闘職(せんとうしょく)であり、個人(こじん)偉力(いりょく)集団(しゅうだん)累加(るいか)超越(ちょうえつ)する。(たと)えば方源(ほうげん)単独(たんどく)中小部族(ちゅうしょうぶぞく)殲滅(せんめつ)でき、今日(こんにち)(たたか)いでは歐陽碧桑(おうようへきそう)一人(ひとり)五名(ごめい)四转蛊師(してんこし)十二名(じゅうにめい)三转家老(さんてんかろう)(ほふ)ったのである。


黒家(こくけ)(よわ)(わけ)では()く、此度(こたび)劉家軍(りゅうかぐん)高層戦力(こうそうせんりょく)(つよ)()ぎるのである!


(こと)()初戦(しょせん)(のち)多数(たすう)高階蛊師(こうかいこし)劉家(りゅうか)(ほふ)られ、四转蛊師(してんこし)半減(はんげん)(ちか)(うしな)った。元々(もともと)存在(そんざい)した実力差(じつりょくさ)が、(さら)拡大(かくだい)してしまった。


如何(いか)にして劉家(りゅうか)(かく)(おお)きな優位性(ゆういせい)対処(たいしょ)すべきか、()れが一同(いちどう)急務(きゅうむ)となる難題(なんだい)である。


()時間的余裕(じてきよゆう)(あた)えられれば、数軍(すうぐん)併呑(へいどん)し、老先生(ろうせい)威望(いぼう)(たよ)って幾人(いくにん)かの強者(きょうじゃ)(ふく)すれば、彼等(かれら)対抗(たいこう)()高層戦力(こうそうせんりょく)(ととの)()たかもしれぬ。」


黒楼蘭(こくろうらん)嘆息(たんそく)した。劉文武(りゅうぶんぶ)()時期(じき)(えら)んで開戦(かいせん)し、発展(はってん)余地(よち)(あた)えなかったことを、(やみ)(うら)んでいるのである。


太白雲生(たいはくうんせい)(とみ)黒楼蘭(こくろうらん)言外(げんがい)()(さと)り、(くち)(ひら)いた。「老生(ろうせい)(かつ)高揚(こうよう)朱宰(しゅさい)両名(りょうめい)(いのち)(すく)ったことがある。彼等(かれら)は『(かなら)恩返(おんがえ)しをする』と約束(やくそく)してくれた。老生(ろうせい)一書(いっしょ)したためれば、(ある)いは彼等(かれら)()()せることができるかもしれぬ。」


一同(いちどう)士気(しき)(またた)くうちに高揚(こうよう)した。高揚(こうよう)朱宰(しゅさい)北原(ほくげん)魔道双煞(まどうそうさつ)(ごう)され、(たが)いの呼吸(こきゅう)完璧(かんぺき)で、(つね)行動(こうどう)(とも)にする。両者(りょうしゃ)(いえ)ども四转巅峰(してんてんぽう)蛊師(こし)であり、かつて協力(きょうりょく)して五转强者(ごてんきょうじゃ)越階討(えっかいうち)した実績(じっせき)を持つ!


黒楼蘭(こくろうらん)胸中(きょうちゅう)重圧(じゅうあつ)(いく)ばくか緩和(かんわ)された。「()高揚(こうよう)朱宰(しゅさい)助力(じょりょく)()られれば、両軍(りょうぐん)実力差(じつりょくさ)(すこ)しばかり()められるだろう。(しか)軍中(ぐんちゅう)大事(だいじ)は、諸君(しょくん)身命(しんめい)(かか)わる。他人(たにん)報恩(ほうおん)という(じょう)にのみ(たよ)(わけ)にはいかぬ。今日(こんにち)一戦(いっせん)は、狼王(ろうおう)出手(しゅっしゅ)して大勢(たいせい)低階蛊師(ていかいこし)(ほふ)り、劉家(りゅうか)巨大(きょだい)被害(ひがい)()させた功績(こうせき)(おお)きい。劉文武(りゅうぶんぶ)()れを顾忌(こき)しなければ、安易(あんい)撤退(てったい)などせぬはずだ。」


一同(いちどう)視線(しせん)方源(ほうげん)(あつ)まった。(かれ)見解(けんかい)(もと)める眼差(まなざ)しである。


方源(ほうげん)表情(ひょうじょう)平静(へいせい)そのものだった。(かれ)(からだ)には一片(いっぺん)傷跡(きずあと)()く、(たたか)いの間中(あいだじゅう)大軍(たいぐん)奥深(おくふか)くに(ひそ)狼群(おおかみむれ)指揮(しき)しながら、最大(さいだい)戦功(せんこう)()げていたのである。


()(さま)は、王帳(おうちょう)(ない)(もの)たちの胸中(きょうちゅう)に、(ねた)みと羨望(せんぼう)(じょう)(やみ)()()がらせていた。(しか)大局(たいきょく)(おもんぱか)り、表立(おもてだ)って矛先(ほこさき)()ける(もの)一人(ひとり)もいなかった。


戦後(せんご)方源(ほうげん)記憶(きおく)()()げ、黒楼蘭(こくろうらん)如何(いか)にして劉文武(りゅうぶんぶ)勝利(しょうり)したかという情報(じょうほう)(さが)(つづ)けていた。だが、(いくら)考え(めぐ)らせても、(なん)結果(けっか)()られなかった。


五百年(ごひゃくねん)(ぶん)記憶(きおく)(あま)りに繁蕪(はんぶ)で、()われた部分(ぶぶん)(おお)い。現在(げんざい)(もの)たちを(なや)ませる()難題(なんだい)も、五百年後(ごひゃくねんご)前世(ぜんせ)から()れば、歴史(れきし)長河(ちょうが)における()るに()らない細事(さいじ)()ぎないのであった。


一同(いちどう)視線(しせん)察知(さっち)すると、方源(ほうげん)(しず)かに(まぶた)を上げ、淡々(たんたん)と(かた)(はじ)めた。「劉家(りゅうか)には奴道蛊師(ぬどうこし)がいるが、最強(さいきょう)貝草川(かいそうせん)()ぎぬ。()草兵軍団(そうへいぐんだん)痛痒(つうよう)を感じさせない(ほど)である。(いま)敵味方(てきみかた)双方(そうほう)強勢(きょうせい)一点(いってん)がある。丁度(ちょうど)二人(ふたり)巨人(きょじん)長槍(ながやり)()に、(たが)いに()()っているようなものだ。劉家軍(りゅうかぐん)高階蛊師(こうかいこし)(つよ)みがあり、()が方は狼群(おおかみむれ)加勢(かせい)大勢(たいせい)低階蛊師(ていかいこし)(ほふ)れる。(ゆえ)今日(きょう)相討(あいう)ちの結果(けっか)となった。」


勝利(しょうり)への(みち)は、(てき)長所(ちょうしょ)抑制(よくせい)し、同時(どうじ)(みずか)らの長所(ちょうしょ)強化(きょうか)する以外(いがい)()い。相手(あいて)蛊師強者(こしきょうじゃ)抑制(よくせい)するのは不可能(ふかのう)では()い。()()()一枚(いちまい)切札(きりふだ)となる狼群(ろうぐん)()れば、(かなら)彼等(かれら)()()()よう。(しか)()(ため)には、(われ)全力(ぜんりょく)操作(そうさ)せねばならず、手中(しゅちゅう)四转潜魂兽衣蛊(してんせんこんじゅういこ)のみでは行跡(こうせき)(かく)()れず、敵方(てきがた)衝殺(しょうさつ)(さら)されることとなろう。」


方源(ほうげん)言葉(ことば)は、一同(いちどう)眼前(がんぜん)(ひら)くようであった。


切札(きりふだ)となる狼群(おおかみむれ)か……」


黒楼蘭(こくろうらん)はうつむきながら沈吟(ちんぎん)した。


現在(げんざい)北原(ほくげん)には五人(ごにん)奴道大師(ぬどうだいし)がおり、()に「五獣王(ごじゅうおう)」と(しょう)されている。()(なか)で、馬王(ばおう)馬尊(ばそん)異獸(いじゅう)天馬群(てんばぐん)を、鷹王(ようおう)楊破纓(ようはえい)異獸(いじゅう)雷鷹群(らいようぐん)を、鼠王(そおう)江暴牙(こうぼうが)異獸(いじゅう)鑽山鼠群(さんざんそぐん)(ゆう)する。新進(しんしん)奴道大師(ぬどうだいし)である豹王(ひょうおう)努爾圖(ぬあると)管窺豹群(かんきひょうぐん)(ひき)いる。


(ただ)(ひと)狼王(ろうおう)常山陰(じょうざんいん)だけが、()のような一団(いちだん)異獸群(いじゅうぐん)()にしていない。


一頭(いっとう)成体(せいたい)異獸(いじゅう)は、四转蛊師(してんこし)()みの戦闘力(せんとうりょく)(ゆう)する。異獸(いじゅう)一旦(いったん)規模(きぼ)()せば、同数(どうすう)蛊師(こし)よりも(おそ)るべき戦力(せんりょく)発揮(はっき)する。()理由(りゆう)は、獣群(じゅうぐん)奴道蛊師(ぬどうこし)指揮(しき)(もと)()(おそ)れずに(たたか)うからである。一方(いっぽう)蛊師(こし)たちは各々(おのおの)思惑(おもわく)があり、假令(たとえ)盟約(めいやく)毒誓(どくせい)()てていたとしても、(いのち)(かえり)みぬ死闘(しとう)展開(てんかい)する(わけ)にはいかないのである。


()異獣(いじゅう)狼群(おおかみむれ)()()れば、五转强者(ごてんきょうじゃ)()()てることさえ、(おお)いに可能(かのう)である。


(なん)となれば、(たと)五转蛊師(ごてんこし)(いえ)ども、所詮(しょせん)凡人(ぼんじん)()ぎず、真元(しんげん)には限界(げんかい)()り、力尽(ちからつ)きる(とき)(かなら)(おとず)れるからだ。


(しか)るに異獣群(いじゅうぐん)編成(へんせい)には、膨大(ぼうだい)時間(じかん)(よう)し、消耗(しょうもう)する精力(せいりょく)物資(ぶっし)天文学的数字(てんもんがくてきすうじ)(のぼ)る。


(かく)(みじか)期間(きかん)(ない)に、方源(ほうげん)相応(ふさわ)しい異獣狼群(いじゅうろうぐん)調達(ちょうたつ)する方法(ほうほう)唯一(ゆいいつ)つだけである。それは黒家(こくけ)蛊仙(こせん)援助(えんじょ)()うことだ。


王帳内(おうちょうない)(もの)たちは、たとえ宝黄天(ほうこうてん)存在(そんざい)()らなくとも、蛊仙(こせん)偉力(いりょく)理解(りかい)している。


北原史上(ほくげんしじょう)にも、蛊仙(こせん)異獣群(いじゅうぐん)整備(せいび)し、支持(しじ)する勢力(せいりょく)支援(しえん)した事例(じれい)(いく)つか存在(そんざい)するのである。


異獣(いじゅう)狼群(おおかみむれ)(たし)かに一策(いっさく)ではある。(わたくし)からまず(こころ)みよう。」


黒楼蘭(こくろうらん)(しば)(かんが)()んだ(のち)曖昧(あいまい)()った。


しかし一同(いちどう)内心(ないしん)(あき)らかであった——()言葉(ことば)が、背後(はいご)蛊仙(こせん)支援(しえん)要請(ようせい)する意味(いみ)だと。


瞬時(しゅんじ)に、人々(ひとびと)の方源(ほうげん)()ける眼差(まなざ)しに(あら)たな変化(へんか)(しょう)じた。


()狼王(ろうおう)常山陰(じょうざんいん)(うん)()さよ!蛊仙(こせん)()()わせ、異獣狼群(いじゅうろうぐん)編成(へんせい)まで支援(しえん)させるとは。()(かれ)一人(ひとり)(おこな)わせれば、20(にじゅうねん)や30(さんじゅうねん)かかっても完成(かんせい)できないだろうに!何故(なぜ)我々(われわれ)は()うした支援(しえん)()られないのか?


一同(いちどう)は目の(めのいろ)()え、胸中(きょうちゅう)羨望(せんぼう)嫉妬(しっと)渦巻(うずま)いた。


所詮(しょせん)方源(ほうげん)常山陰(じょうざんいん)()(かぶ)っていることが(おお)きい。奴道大師(ぬどうたいし)戦局(せんきょく)一変(いっぺん)させ()存在(そんざい)なのだから、黒家(こくけ)劉家(りゅうか)()(ため)には、方源(ほうげん)優先的(ゆうせんてき)支援(しえん)し、資源(しげん)傾注(けいちゅう)するのが賢明(けんめい)選択(せんたく)なのである。


(わたし)記憶(きおく)(ただ)しければ、(たと)異獣狼群(いじゅうろうぐん)()にしたと(いえ)ども、狼王様(ろうおうさま)戦功(せんこう)相変(あいか)わらず最下位(さいかい)で、戦功榜(せんこうぼう)尻尾(しっぽ)()いているのではありませんか?」


狽君子(はいくんし)嫉妬(しっと)(むね)()()けんばかりにしながら、(おも)()した()りをして、(おん)()()かるように「親切心(しんせつしん)」から注意(ちゅうい)した。


無論(むろん)()(はい)(くう)しく異獣狼群(いじゅうろうぐん)()(わけ)がなかろう!」


方源(ほうげん)(りん)として(うなず)き、「我々(われわれ)の規矩(きく)(やぶ)れぬ。戦功(せんこう)(もっ)(ひとつ)(ひとつ)換取(かんしゅ)して()せよう。無論(むろん)現在(げんざい)()(はい)戦功(せんこう)()りておらぬ(ゆえ)(すこ)しの()()れを(ねが)わねばなるまい。()れも()()(さく)というものよ!」


一同(いちどう)唖然(あぜん)とした。


大勢(おおぜい)(もの)心中(しんちゅう)同時(どうじ)(さけ)んだ:


()くもまあ()台詞(せりふ)()えるな!」


(じつ)(つら)(かわ)(あつ)(やつ)だ。前後(ぜんご)合わせて百三十万(ひゃくさんじゅうまん)もの戦功(せんこう)(すで)()()れているのに、(さら)()()しするつもりか!?」


黒家軍(こくかぐん)(じゅう)貴様(きさま)一人(ひとり)だけが戦功(せんこう)()りているのだ。()五转功倍蛊(ごてんこうばいこ)()にしていて、良心(りょうしん)呵責(かしゃく)(かん)じないのか?」


実際(じっさい)方源(ほうげん)良心(りょうしん)(いた)みなど微塵(みじん)(かん)じておらず、(ぎゃく)に「付け()がる」ように()(はな)った。「異獣狼群(いじゅうろうぐん)だけでは不充分(ふじゅうぶん)だ。五转(ごてん)潜魂獣衣蛊(せんこんじゅういこ)是非(ぜひ)必要(ひつよう)である。残念(ざんねん)ながら五转蛊(ごてんこ)煉制(れんせい)成功確率(せいこうかくりつ)(ひく)()ぎる。()()には四转蛊(してんこ)三匹(さんびき)(そろ)っているが、(いま)五转(ごてん)への挑戦(ちょうせん)には()()れずにいる。」


黒楼蘭(こくろうらん)()()(しば)った。(かれ)一族(いちぞく)支援(しえん)(もと)める回数(かいすう)には限界(げんかい)がある。(たよ)めば頼む(ほど)一族内(いちぞくない)での評価(ひょうか)()がるのだ。しかし劉文武(りゅうぶんぶ)()(ため)には、()()(がえ)んじて方源(ほうげん)()った。「()(けん)も、(わたし)(なん)とかしよう。」


一方(いっぽう)黒楼蘭(こくろうらん)らが策謀(さくぼう)(めぐ)らせる(あいだ)にも、劉文武(りゅうぶんぶ)らは如何(いか)黒家(こくけ)再戦(さいせん)すべきか(かんが)えを(めぐ)らせていた。


黒家軍(こくかぐん)において、狼王(ろうおう)常山陰(じょうざんいん)最大(さいだい)難題(なんだい)である。今日(こんにち)一戦(いっせん)では、(かれ)(ため)()(ぐん)甚大(じんだい)損害(そんがい)(こうむ)った。(すく)なくとも三万(さんまん)蛊師(こし)(おおかみ)(きば)(たお)れた。(ああ)()数字(すうじ)(おも)(たび)に、()(むね)から()(したた)()ちる思いだ。(みな)(わたし)()じて()(さん)じてくれたというのに、()れは(すべ)(わたし)無能(むのう)(せい)である!」


劉文武(りゅうぶんぶ)(こぶし)(にぎ)()め、深淵(しんえん)(ごと)無力感(むりょくかん)(おそ)われていた。


兄貴(あにき)(なん)貴方(きみ)のせいにするんだ?()めるなら、()()役立(やくた)ちずの蛊師(こし)のせいだ!」


墨獅狂(ぼしきょう)(おど)()がらん(ばか)りに、(こえ)()()げて(なぐさ)めた。


狼王常山陰(ろうおうじょうざんいん)名声高(めいせいたか)いと(いえ)ども、(しん)英雄(えいゆう)では()い。」


歐陽碧桑(おうようへきそう)傲然(ごうぜん)(はな)(わら)い、軽蔑(けいべつ)口調(くちょう)批評(ひひょう)した。「堂堂(どうどう)たる狼王(ろうおう)が、(ねずみ)(ごと)(くら)がりに(ひそ)み、陰険(いんけん)にこそこそ行動(こうどう)するとは、笑止(しょうし)千万(せんばん)だ。」


()かしながら、()(よう)狼王(ろうおう)こそ、(もっと)手強(てごわ)いのだ。」


劉文武(りゅうぶんぶ)心中(しんちゅう)嘆息(たんそく)し、表面(ひょうめん)(つよ)()()るい()てて左右(さゆう)(はか)った。「諸君(しょくん)狼王(ろうおう)対処(たいしょ)する妙案(みょうあん)はないか?」


墨獅狂(ぼしきょう)歐陽碧桑(おうようへきそう)(くち)()ざした。


彼等(かれら)得意(とくい)とするのは戦闘(せんとう)であり、謀略(ぼうりゃく)方面(ほうめん)専門外(せんもんがい)なのである。


小生(しょうせい)一計(いっけい)()り。」


貝草川(かいそうせん)(すす)()て、縷縷(るる)(かた)()した。「狼王(ろうおう)常山陰(じょうざんいん)(もと)より常家(じょうけ)一員(いちいん)(かれ)復讐宣言(ふくしゅうせんげん)をしているが、常家(じょうけ)との血縁関係(けつえんかんけい)()(がた)複雑(ふくざつ)でござる。現常家(げんじょうけ)族長(ぞくちょう)常飆(じょうひょう)殿(どの)は、(かつ)常山陰(じょうざんいん)(もっと)(した)しくしていた(とも)であった。常山陰(じょうざんいん)失踪後(しっそうご)常飆(じょうひょう)()(つま)(めと)り、三歳(さんさい)息子(むすこ)立派(りっぱ)大人(おとな)(そだ)て上げ(あげ)た。(すなわ)ち、(げん)常家(じょうけ)少族長(しょうぞくちょう)常極右(じょうきょくう)でござる。狼王(ろうおう)対処(たいしょ)するには、()方面(ほうめん)から着手(ちゃくしゅ)すれば、(ある)いは奇効(きこう)期待(きたい)できよう。」


「おお?()(あん)()かろう!」


劉文武(りゅうぶんぶ)()(かがや)いた。


……


協議(きょうぎ)()わると、方源(ほうげん)(みずか)らの大蜥屋蛊(だいとかやこ)(もど)った。


如何(いか)にして五转潜魂兽衣蛊(ごてんせんこんじゅういこ)煉制(れんせい)するか——()れが最近(さいきん)(かれ)頭痛(ずつう)(たね)であった。()黒家(こくけ)蛊仙(こせん)(ちから)()りて異獣狼群(いじゅうろうぐん)編成(へんせい)準備(じゅんび)し、同時(どうじ)五转潜魂兽衣蛊(ごてんせんこんじゅういこ)完成(かんせい)をも実現(じつげん)できれば、()以上(いじょう)()(さいわ)いである。


方源(ほうげん)()可能性(かのうせい)(きわ)めて(たか)いと(かん)じていた。(かれ)()(たび)王庭争奪戦(おうていそうだつせん)詳細(しょうさい)記憶(きおく)していないものの、黒楼蘭(こくろうらん)王庭(おうてい)()りを()たせたのは、背後(はいご)蛊仙(こせん)強力(きょうりょく)支援(しえん)()しには()()なかったことを理解(りかい)していた。


()一戦(いっせん)()て、両軍(りょうぐん)(すく)なくとも三日間(みっかかん)休整(きゅうせい)(よう)するだろう。()期間中(きかんちゅう)に、黒家蛊仙(こくけこせん)(かなら)黒楼蘭(こくろうらん)からの救援要請(きゅうえんようせい)()()る。()(まで)に、()(はい)()すべきことは……」


妙案(みょうあん)()かんだ(とき)方源(ほうげん)口元(くちもと)(おも)わず(かす)かに上向(うわむ)き、一筋(ひとすじ)()みを(えが)いた。











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