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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第一百二十一節:修罗欧阳两败伤

邊絲軒(へんしけん)陣頭(じんとう)(すす)()ると、余計(よけい)言葉(ことば)()わさず、即座(そくざ)歐陽碧桑(おうようへきそう)(わた)()った。


両者(りょうしゃ)激突(げきとつ)は、数多(あまた)(もの)注視(ちゅうし)(あつ)めた。


名声(めいせい)においては、影劍客(えいけんかく)たる邊絲軒(へんしけん)歐陽碧桑(おうようへきそう)(まち)(すう)(ぶん)凌駕(りょうが)している。(しか)修行(しゅぎょう)実力(じつりょく)においては、歐陽碧桑(おうようへきそう)四转巅峰(してんてんぽう)として、(ひと)(うえ)階級(かいきゅう)である五转(ごてん)强者(きょうじゃ)()()った経歴(けいれき)(ゆう)する。一方(いっぽう)邊絲軒(へんしけん)()四转高阶(してんこうきゅう)(とど)まっている。


邊絲軒(へんしけん)(ゆう)する蛊虫(こちゅう)の組み(くみあ)わせは見事(みごと)で、弱点(じゃくてん)らしい弱点(じゃくてん)()く、移動能力(いどうのうりょく)特化(とっか)している。


彼女(かのじょ)黑影(こくえい)()けて歐陽碧桑(おうようへきそう)縦横無尽(じゅうおうむじん)翻弄(ほんろう)し、時折(ときおり)無数(むすう)剣影蛊(けんえいこ)(はな)って攻撃(こうげき)仕掛(しか)ける。


一方(いっぽう)欧陽碧桑(おうようへきそう)棒立(ぼうだ)ちのまま、(うご)かずに()けに(てっ)していた。その姿(すがた)海辺(うみべ)(いわ)(ごと)岨然(そぜん)として微動(びどう)だにしない。


(たたか)いが片時(かたとき)(つづ)くうちに、劉文武(りゅうぶんぶ)義兄弟(ぎきょうだい)である(かれ)次第(しだい)焦燥(しょうそう)(つの)らせ(はじ)めた。「()()れが貴様(きさま)(すべ)ての実力(じつりょく)なら、(いま)すぐ()ね!」


(ひく)(うな)一声(ひとこえ)(かれ)全身(ぜんしん)劇的(げきてき)変貌(へんぼう)(おとず)れた。


()()急速(きゅうそく)()び、刃物(はもの)(ごと)(するど)(とが)り、両対(りょうつい)(きば)(くちびる)から()()しになった。


(もと)(あたま)蛊師(こし)であったが、()(とき)大量(たいりょう)不気味(ぶきみ)緑毛(りょくもう)()()た。頭頂(とうちょう)のみならず、全身(ぜんしん)(みどり)()()(しげ)った。


()身体(からだ)はきしみ(おと)()て、血液(けつえき)(なが)れが(きゅう)緩慢(かんまん)になった。元来(がんらい)高痩(こうそう)で堂々(どうどう)とした体躯(たいく)は、一層(いっそう)枯瘦(こそう)したが、危険(きけん)気配(けはい)以前(いぜん)十倍(じゅうばい)濃厚(のうこう)になっていた!


()両眼(りょうがん)最早(もはや)(ひと)のものではなく、幽邃(ゆうすい)緑瞳(りょくどう)()り、(にぶ)(ひか)碧芒(へきぼう)(はな)っていた。


五转(ごてん)修羅尸蛊(しゅらしこ)


()()変化道(へんかどう)(なか)でも(もっと)古典的(こてんてき)僵尸蛊(きょうしこ)シリーズに(ぞく)する。


僵尸蛊(きょうしこ)系統(けいとう)五域(ごいき)(ひろ)流布(るふ)している。二转游僵蛊(にてんゆうきょうこ)から三转毛僵蛊(さんてんもうきょうこ)四转跳僵蛊(してんちょうきょうこ)()て、五转飞僵蛊(ごてんひきょうこ)(いた)るまで。


天下(てんか)名高(なだか)五大飛僵蛊(ごだいひきょうこ)とは、修羅尸(しゅらし)天魔尸(てんまし)血鬼尸(けっきし)夢魘尸(むげんし)病瘟尸(びょうおんし)()す。許多(おおく)蛊師(こし)寿命(じゅみょう)()きかけ、()寿蛊(じゅこ)による延命(えんめい)(みち)()場合(ばあい)、往々(おうおう)にして僵尸(きょうし)()り、(ひと)とも(おに)とも()かぬ怪物(かいぶつ)変貌(へんぼう)することで寿命(じゅみょう)()ばすことを(えら)ぶのである。


血鬼尸蛊(けっきしこ)については、方源(ほうげん)()()(すで)()にしていた。(はる)青茅山頂(せいぼうさんちょう)において、古月一代(こげついちだい)血鬼尸(けっきし)へと変貌(へんぼう)し、(てん)(さか)らい運命(うんめい)(あらた)めんと(こころ)みたが、神捕(しんぽ)鉄血冷(てっけつれい)らに(はば)まれたのである……


(いま)欧陽碧桑(おうようへきそう)使用(しよう)している修羅尸蛊(しゅらしこ)は、血鬼尸蛊(けっきしこ)(なら)(たた)えられる強力(きょうりょく)蛊虫(こちゅう)なのである!


カンカンカン……


邊絲軒(へんしけん)剣影(けんえい)欧陽碧桑(おうようへきそう)体躯(たいく)()りつけるも、(ほとばし)ったのは火花(ひばな)のみ。()()った(いく)つかの緑毛(りょくもう)()ぎず、(かれ)肌膚(はだ)(かす)かに(きず)つけることさえ出来(でき)なかった。


疊影蛊(じょうえいこ)


邊絲軒(へんしけん)(ひとみ)(するど)(ひかり)(はし)り、無数(むすう)剣影(けんえい)(またた)くうちに(かさ)なり()い、(すみ)(ごと)幽玄(ゆうげん)濃密(のうみつ)(ひと)つの劍影(けんえい)へと凝縮(ぎょうしゅく)された。


()れで(すこ)しは(さま)になるわい!」


歐陽碧桑(おうようへきそう)雙眸(そうぼう)綠芒(りょくぼう)強烈(きょうれつ)(かがや)き、(おそ)()劍影(けんえい)()(おどろ)くどころか、(かえ)って歓喜(かんき)した。


(かれ)はさっと右腕(みぎうで)()ばし、(うさぎ)()()(ごと)(はや)さで(つめ)(ひるがえ)し、一瞬(いっしゅん)にして劍影(けんえい)(つか)()った。


(なに)!?」


邊絲軒(へんしけん)(かお)一瞬(いっしゅん)愕然(がくぜん)(はし)る。彼女(かのじょ)()にした劍影(けんえい)は、微動(びどう)だにできなくなっていた。


「ガラガラガラ……」


歐陽碧桑(おうようへきそう)()()()くような耳障(みみざわ)りな(わら)(ごえ)(はっ)すると、右爪(みぎづめ)(ちから)()めて()()けた。


プッ。


(かろ)やかな(おと)(ひと)(ひび)いた。


剣影(けんえい)(かれ)無理矢理(むりやり)(にぎ)(つぶ)され、邊絲軒(へんしけん)()退()いた。爆散(ばくさん)した剣影(けんえい)鋭利(えいり)(きわ)まりなく、歐陽碧桑(おうようへきそう)(からだ)(はげ)しく()りつけた。数多(あまた)深手(ふかで)(ほね)まで(たっ)するばかりか、(かれ)右腕(みぎうで)(ほとん)切断(せつだん)され、四本(よんほん)(ゆび)()()った。


邊絲軒(へんしけん)疊影蛊(じょうえいこ)は、(さき)幾戦(いくせん)かで辛抱(しんぼう)(づよ)(たくわ)えた戦功(せんこう)(もっ)て、黒家軍(こくかぐん)から換取(かんしゅ)したものである。


()作用(さよう)により、多重(たじゅう)剣影(けんえい)攻勢(こうせい)重畳(ちょうじょう)され、五转攻撃蛊(ごてんこうげきこ)匹敵(ひってき)する威力(いりょく)発揮(はっき)するのである!


歐陽碧桑(おうようへきそう)剣影(けんえい)()りつけられたが、一片(いっぺん)(いた)みも(かん)じなかった。(かれ)僵尸(きょうし)(からだ)へと変貌(へんぼう)した(さい)痛覚(つうかく)(また)()()っていた。傷口(きずぐち)からは、(わず)かな惨緑(さんりょく)血液(けつえき)(にじ)()るのみであった。


(ほね)まで(ふか)(たっ)した傷口(きずぐち)は、数息(すうそく)()自然(しぜん)癒合(ゆごう)し、(あら)たに緑毛(りょくもう)()(しげ)って(おお)われた。


(かれ)断裂(だんれつ)した(ゆび)も、いとも(やす)再生(さいせい)し、(きわ)めて容易(ようい)印象(いんしょう)(あた)えた。


()情景(じょうけい)()にし、邊絲軒(へんしけん)顔面(がんめん)蒼白(そうはく)になった。


歐陽碧桑(おうようへきそう)劍影(けんえい)強引(ごういん)(つか)んだ行為(こうい)は、表向(おもてむ)きは無謀(むぼう)()えたが、(じつ)心理戦術(しんりせんじゅつ)であった。(かれ)修羅尸(しゅらし)化身(けしん)すると、防御力(ぼうぎょりょく)回復力(かいふくりょく)数倍(すうばい)()()がった。邊絲軒(へんしけん)最強(さいきょう)攻撃手段(こうげきしゅだん)でさえ、(かれ)(ほとん)効果(こうか)()かったのである。


不可避(ふかひ)なこととして、邊絲軒(へんしけん)闘志(とうし)深刻(しんこく)弱体化(じゃくたいか)した。


蛊師(こし)戦力(せんりょく)影響(えいきょう)(およ)ぼす要因(よういん)は、(たん)空窠(くうか)(ない)真元(しんげん)だけでは()い。蛊師(こし)精神状態(せいしんじょうたい)心理的(しんりてき)なコンディションも同様(どうよう)重要(じゅうよう)なのである。


(わたし)暗殺者(あんさつしゃ)であり、忍者(にんじゃ)だ。得意(とくい)とするところは移動(いどう)であり、(しん)()らぬ潜行(せんこう)である。(いま)こうして両軍(りょうぐん)正面(しょうめん)から(たたか)状況(じょうきょう)では、正面(しょうめん)からの対決(たいけつ)(わたし)のスタイルでは()い……」


欧陽碧桑(おうようへきそう)(たたか)いぶりに、邊絲軒(へんしけん)戦意(せんい)(おお)きく減退(げんたい)した。


(つづ)数回(すうかい)攻防(こうぼう)で、彼女(かのじょ)欧陽碧桑(おうようへきそう)(まわ)りを()えず移動(いどう)しながら(たたか)いを(つづ)けたが、以前(いぜん)(くら)べて(あき)らかに攻撃(こうげき)回数(かいすう)()り、大半(たいはん)回避(かいひ)()わっていた。


さらに十合(じゅうごう)ほど()()わした(あと)邊絲軒(へんしけん)(かろ)やかに(かつ)し、素早(すばや)欧陽碧桑(おうようへきそう)との距離(きょり)()ると、黑家軍(こくかぐん)(なか)退()いた。


()情景(じょうけい)()にし、劉家軍(りゅうかぐん)士気(しき)(さら)一分(いちぶ)()()がった。


一方(いっぽう)黒家軍(こくかぐん)士気(しき)動揺(どうよう)し、上層部(じょうそうぶ)の面々(めんめん)は顔色(かおいろ)(くも)らせた。


邊絲軒(へんしけん)(やぶ)れた…」


歐陽碧桑(おうようへきそう)本當(ほんとう)()くも(つよ)いのか?(かれ)殺招(さっしょう)は『修羅変(しゅらへん)』であり、()れで五转強者(ごてんきょうじゃ)()()った。(いま)修羅尸蛊(しゅらしこ)使(つか)っただけで、全力(ぜんりょく)()さずに影劍客(えいけんかく)(やぶ)ったのだ!」


影劍客(えいけんかく)闘志(とうし)(つよ)くなかったが、長期戦(ちょうきせん)により歐陽碧桑(おうようへきそう)真元(しんげん)を少なからず消耗(しょうもう)させた。我々(われわれ)は(さら)人員(じんいん)(おく)り、順送(じゅんおく)りに(たたか)わせるべきだ!」


協議(きょうぎ)一段落(いちだんらく)()くと、黒家軍(こくかぐん)早速(さっそく)潘平(はんぺい)()()かわせた。


()かしながら、数合(すうごう)()たぬ(うち)に、潘平(はんぺい)劣勢(れっせい)(さと)り、(あわ)てて(こし)湾刀(わんとう)()(はな)ち、単刀蛊(たんとうこ)発動(はつどう)させた。


一閃(いっせん)冷光(れいこう)(はし)るも、(まった)効果(こうか)()かった。単刀蛊(たんとうこ)防御手段(ぼうぎょしゅだん)無視(むし)できると(いえ)ども、()発動(はつどう)は必ず(かならず)しも成功(せいこう)する(わけ)ではなく、一定(いってい)確率(かくりつ)依存(いぞん)している。加之(このうえ)()四转单刀蛊(してんたんとうこ)(ひと)たび発動(はつどう)させれば、四时辰(よじこき)休養(きゅうよう)必要(ひつよう)で、連続(れんぞく)使用(しよう)不可能(ふかのう)なのである。


歐陽碧桑(おうようへきそう)(おも)わず(いき)()んだ。事前(じぜん)関連情報(かんれんじょうほう)()(あく)していたとはいえ、単刀蛊(たんとうこ)神速(しんそく)(かれ)想像(そうぞう)(はる)かに()え、反応(はんのう)する寸秒(すんびょう)猶予(ゆうよ)(あた)えなかったのである!


此奴(こやつ)()かしてはおけぬ!」


歐陽碧桑(おうようへきそう)殺意(さつい)爆発(ばくはつ)させ、潘平(はんぺい)(ころ)りかかった。


潘平(はんぺい)(おのれ)手段(しゅだん)失敗(しっぱい)したと()り、(はや)から危険(きけん)察知(さっち)して(あわ)てて撤退(てったい)した。歐陽碧桑(おうようへきそう)執拗(しつよう)追撃(ついげき)をやめない。黒家軍(こくかぐん)(きゅう)三人(さんにん)四转强者(してんきょうじゃ)派遣(はけん)し、歐陽碧桑(おうようへきそう)()()めて潘平(はんぺい)軍中(ぐんちゅう)救出(きゅうしゅつ)した。


三人(さんにん)四转强者(してんきょうじゃ)歐陽碧桑(おうようへきそう)を取り(かこ)み、(はげ)しい攻撃(こうげき)()びせた。歐陽碧桑(おうようへきそう)殺招(さっしょう)修羅変(しゅらへん)発動(はつどう)せんとしたその(とき)墨獅狂(ぼくしきょう)最早(もはや)()()れず、王帳(おうちょう)から()()し、咆哮(ほうこう)しながら()けつけた。「二哥(じけい)(おれ)一臂(いっぴ)(ちから)()すぜ!!」


歐陽碧桑(おうようへきそう)一人(ひとり)(すで)黒家軍(こくかぐん)手込(てご)()(あし)()ない状態(じょうたい)()()んでいたところへ、墨獅狂(ぼくしきょう)までも戦場(せんじょう)加勢(かせい)したことで、状況(じょうきょう)(さら)(ばい)悪化(あっか)した。


三弟(さんてい)手出(てだ)無用(むよう)人数(にんずう)()えようと、(なん)(やく)()つというのか?()れを()よ、()修羅変(しゅらへん)を!」


歐陽碧桑(おうようへきそう)三人(さんにん)強攻(きょうこう)()けながら怒号(どごう)一声(いっせい)敢然(かんぜん)として殺招(さっしょう)発動(はつどう)した。


()気勢(きせい)(にわ)かに爆発的(ばくはつてき)(たか)まり、体躯(たいく)()()うちに膨張(ぼうちょう)して一丈有余(いちじょうゆうよ)巨人(きょじん)()った。


全身(ぜんしん)筋肉(きんにく)風船(ふうせん)(ごと)(ふく)らみ、(いわ)(ごと)隆起(りゅうき)した誇張(こちょう)的な筋肉群(きんにくぐん)瞬時(しゅんじ)形成(けいせい)(もと)から()った一対(いっつい)(うで)下方(かほう)に、(あら)たに二対(につい)(うで)()()た。


全身(ぜんしん)肌膚(はだ)(まった)碧綠(へきりょく)変色(へんしょく)巨足(きょそく)革靴(かわぐつ)(やぶ)り、草地(くさち)(ふか)足跡(あしあと)(きざ)んだ。


()()した(きば)暗褐色(あんかっしょく)へと()わり、両眉(りょうび)中間(ちゅうかん)には第三(だいさん)縦瞳(じゅうどう)見開(みひら)かれた!


()え!!!


歐陽碧桑(おうようへきそう)(くち)()けて(はな)一声(ひとこえ)は、狂暴(きょうぼう)音波(おんぱ)()り、(またた)くうちに全戦場(ぜんせんじょう)圧倒(あっとう)した。


三人(さんにん)黒家(こくけ)蛊師(こし)(うご)きが一瞬(いっしゅん)()んだ。


歐陽碧桑(おうようへきそう)(こぶし)()(まわ)し、(はえ)(たた)(つぶ)(ごと)く、其中(そのなか)一人(ひとり)(はる)(とお)くへ()()ばした。


(のこ)二人(ふたり)強攻(きょうこう)仕掛(しか)け、金刃(きんじん)()()い、雷霆(らいてい)(ごと)攻撃(こうげき)(くわ)えたが、歐陽碧桑(おうようへきそう)()れを(かた)()()め、巨躯(きょく)(かす)かも()るがすこと()かった。


()ね!」


(かれ)六本(ろっぽん)(うで)同時(どうじ)()()し、拳掌(けんしょう)抓拿(そうだ)(しょう)(くる)(ごと)く、猛烈(もうれつ)()絶妙(ぜつみょう)連携攻撃(れんけいこうげき)()()した。


(のこ)された二人(ふたり)四转蛊師(してんこし)()鋭鋒(えいほう)(かな)わず、退避(たいひ)する(ほか)()かった。


歐陽碧桑(おうようへきそう)(おご)りを(つの)らせ、一撃(いちげき)一撃(いちげき)音爆(おんぼう)炸裂(さくれつ)させ、()()()(もの)慄然(りつぜん)とさせる(ほど)であった。


一人(ひとり)四转蛊師(してんこし)は、()狂猛(きょうもう)攻勢(こうせい)()()れず、(またた)()鮮血(せんけつ)()まった肉塊(にくかい)()った。もう一人(ひとり)蛊師(こし)歐陽碧桑(おうようへきそう)(つか)()られた。


(ころ)さないで、お(ねが)い――!」


(かれ)哀願(あいがん)(こえ)突然(とつぜん)途切(とぎ)れ、七穴(しちけつ)から()()()し、肋骨(あばらぼね)は粉々(こなごな)に(くだ)け、(からだ)(しぼ)()がった。歐陽碧桑(おうようへきそう)(ふた)つの()(ひら)で、文字通(もじどお)(にぎ)(つぶ)され絶命(ぜつめい)したのである。


()くまで悍猛(かんもう)とは!」


狽君子孫(はいくんしそん)孫湿寒(そんしつかん)(おも)わず絶叫(ぜっきょう)した。


黒楼蘭(こくろうらん)顔色(かおいろ)最悪(さいあく)で、太白雲生(たいはくうんせい)表情(ひょうじょう)(かた)くした。


劉家軍(りゅうかぐん)からは(てん)()歓声(かんせい)()()こり、黒家(こくけ)蛊師(こし)たちは(すこ)混乱(こんらん)し、士気(しき)(さい)(てい)レベルに低迷(ていめい)した。


劉文武(りゅうぶんぶ)()情景(じょうけい)()三声(さんせい)高笑(たかわら)いし、(おお)きく()()って下令(かれい)した。「開戦(かいせん)全軍(ぜんぐん)突撃(とつげき)せよ!」


瞬時(しゅんじ)に、大軍(たいぐん)(せき)()った洪水(こうずい)(ごと)く、天下(てんか)席巻(せっけん)せんとする(いきお)いで奔流(ほんりゅう)のように()()せた。墨獅狂(ぼくしきょう)裴燕飛(はいえんひ)らが先鋒(せんぽう)()って(すす)む。


黒楼蘭(こくろうらん)()()(しば)り、全軍(ぜんぐん)迎撃(げいげき)(めい)じた。


両軍(りょうぐん)激突(げきとつ)し、喊殺声(かんさつせい)九霄(きゅうしょう)(つらぬ)いた。


激戦(げきせん)(なか)劉家(りゅうか)数多(あまた)猛者(もさ)縦横無尽(じゅうおうむじん)(あば)(まわ)り、黒楼蘭(こくろうらん)らは交戦(こうせん)するや(いな)劣勢(れっせい)()たされた。


(しか)下位(かい)戦線(せんせん)では、黒家(こくけ)優位(ゆうい)()っていた。狼群(ろうぐん)方源(ほうげん)指揮(しき)(もと)劉家(りゅうか)蛊師(こし)(ほふ)りまくった。劉家軍(りゅうかぐん)蛊師(こし)たちは、貴重(きちょう)真元(しんげん)侵攻(しんこう)する野狼(やろう)浪費(ろうひ)せざるを()ず、(たと)(おおかみ)一匹(いっぴき)()()いても、それらは卓越(たくえつ)貢献(こうけん)なのであった。


劉家(りゅうか)蛊師強者(こしきょうじゃ)たちは危険(きけん)察知(さっち)し、方源(ほうげん)姿(すがた)(さが)(もと)(まわ)っていた。


(しか)方源(ほうげん)以前(いぜん)同様(どうよう)手口(てぐち)で、戦場(せんじょう)片隅(かたすみ)(ひそ)んでいた。(かれ)(すで)三匹(さんびき)四转潜魂兽衣蛊(してんせんこんじゅういこ)()にしている。()れら蛊虫(こちゅう)遮蔽(しゃへい)効果(こうか)により、方源(ほうげん)八割(はちわり)以内(いない)(ちから)しか()さなければ、魂魄(こんぱく)波動(はどう)完全(かんぜん)(かく)すことができたのである。


()大戦(たいせん)(あさ)から夕暮(ゆうぐ)れまで(つづ)いた。


()のように()まった夕陽(せきよう)が、薄暗(うすくら)(ひかり)(しかばね)累々(るいるい)の草原(そうげん)(とう)じ、地面(じめん)()(うみ)()していた。


両者(りょうしゃ)相討(あいう)ちの状態(じょうたい)(おちい)った。


劉家軍(りゅうかぐん)兵力(へいりょく)甚大(じんだい)損害(そんがい)(こうむ)り、狼群(おおかみむれ)(おお)きな戦果(せんか)()げた。劉家(りゅうか)方源(ほうげん)足跡(あしあと)(さが)()せなかった(ため)矛先(ほこさき)黒家(こくけ)蛊師強者(こしきょうじゃ)たちに集中(しゅうちゅう)させた。


黒家(こくけ)蛊師強者(こしきょうじゃ)たちの損耗(そんもう)(きわ)めて深刻(しんこく)であった。墨獅狂(ぼくしきょう)歐陽碧桑(おうようへきそう)暴威(ぼうい)()(よう)がなく、黒家(こくけ)強者(きょうじゃ)たちは(ほとん)どが(きも)()やした。


黒家軍(こくかぐん)闘志(とうし)散漫(さんまん)となり、(かろ)うじて()(こた)えていた。(よる)(とばり)()りると、夜狼(やろう)凶暴(きょうぼう)()したため、劉文武(りゅうぶんぶ)下級蛊師(かきゅうこし)被害(ひがい)をこれ以上(いじょう)拡大(かくだい)させたくなかった(ため)撤退(てったい)(かんが)(はじ)めた。


両軍(りょうぐん)初戦(しょせん)相打(あいう)ちに()わり、夜更(よふ)(ごろ)には殺気(さっき)次第(しだい)(おさ)まり、各々(おのおの)防衛線(ぼうえいせん)まで退(しりぞ)いて、休息(きゅうそく)再編(さいへん)()たった。













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