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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第一百一十四節:ただゲームだ

逆雨福地(ぎゃくうふくち)


(ほそ)やかな碧玉(へきぎょく)長廊(ちょうろう)湖面(こめん)()びて、孤亭(こてい)へと(つづ)く。


(てい)(そと)には、細雨(さいう)霏霏(ひひ)として涼風(りょうふう)そよぐ。


外界(がいかい)(こと)なるのは、此処(ここ)(あめ)(した)から(うえ)へと()ちる(てん)である。逆雨(ぎゃくう)()()れに()る。


継女蛊仙(けいじょこせん)譚碧雅(たんへきが)(つづ)き、福地(ふくち)(あたら)しい(きゃく)(むか)えた。


拙者(せっしゃ)黒柏(こくはく)東方前輩(とうほうせんぱい)御目(おめ)にかかります」


(おとず)れし(もの)は、一見(いっけん)普通(ふつう)中年代(ちゅねんだい)(おとこ)という風貌(ふうぼう)ながら、(まぎ)れもない六转蛊仙(ろくてんこせん)であった。


七十年(ななじゅうねん)御無沙汰(ごぶさた)いたしましたな。()(おり)貴殿(きでん)黒家(こくけ)族長(ぞくちょう)として、王庭(おうてい)()目前(もくぜん)であられたと記憶(きおく)しております。」


白髪(しらが)東方長凡(とうほうちょうぼん)呵呵(かか)(わら)い、目配(めくば)せで石凳(せきとう)()(しめ)した。「どうぞお()けください。」


黒柏(こくはく)石凳(せきとう)(こし)()ろし、(かろ)会釈(えしゃく)して()った。「(くち)にするのも()ずかしい次第(しだい)ですが、当時(とうじ)(いま)一族(いちぞく)(あつ)支援(しえん)(たよ)()っておりまして、最終的(さいしゅうてき)には一歩(いっぽ)(およ)ばず、劉家(りゅうけ)勝利(しょうり)(ゆず)結果(けっか)となりました。」


呵呵呵(かかか)。」東方長凡(とうほうちょうぼん)(わら)(つづ)けた。「其方(そち)()う通り(どおり)だ。当時(とうじ)劉家(りゅうけ)族長(ぞくちょう)劉一峰(りゅういちほう)天賦(てんぷ)(さい)(めぐ)まれ、百年(ひゃくねん)一人(ひとり)とも()うべき奇才(きさい)であった。」


先輩(せんぱい)のご記憶(きおく)(あやま)りなし。(おそ)()ります。」


東方長凡(とうほうちょうぼん)(ゆる)やかに(くび)()った。「我々(われわれ)智道蛊師(ちどうこし)は、推衍(すいえん)を行う以上(いじょう)、一つ(ひとつひと)つの情報収集(じょうほうしゅうしゅう)細心(さいしん)注意(ちゅうい)(はら)うものだ。しかし劉一峰(りゅういちほう)は、()(かがや)きこそ(まばゆ)かったが、結局(けっきょく)蛊仙(こせん)への(きょう)()くに失敗(しっぱい)した。あの時代(じだい)風雲児(ふううんじ)たちの中で、()最後(さいご)(わら)ったのは、『黒家(こくけ)石人(せきじん)』と(しょう)された貴方(あなた)なのである。」


先輩(せんぱい)過分(かぶん)なお()め、恐縮(きょうしゅく)です。僥倖(ぎょうこう)()ぎません。」


其方(そち)必要以上(ひつよういじょう)(おのれ)卑下(ひげ)するには(およ)ばぬ。蛊仙(こせん)への()(しゅ)(てん)(のぼ)るが(ごと)(むずか)しく、往々(おうおう)にして一万(いちまん)五转蛊師(ごてんこし)(なか)でも一人(ひとり)()(こう)するかどうかだ。はあ、(いつわ)りなく(もう)せば、()(とし)々(どし)私は数多(あまた)後進(こうしん)()てきたが、(いま)()若者(わかもの)期待(きたい)()せている。」東方長凡(とうほうちょうぼん)()()いながら、右手(みぎて)人差指(ひとさしゆび)(かろ)(うご)かすと、石桌(せきさく)中央(ちゅうおう)から一筋(ひとすじ)彩煙(さいえん)自然(しぜん)()()がり、北原(ほくげん)草府(そうふ)での実戦状況(じっせんじょうきょう)(うつ)()した。


(おり)よくも二人(ふたり)蛊仙(こせん)は、潘平(はんぺい)彎刀(わんとう)()るい唐家(とうけ)族長(ぞくちょう)一撃(いちげき)()()せる場面(ばめん)目撃(もくげき)した。


黒柏(こくはく)(かろ)(まゆ)()げて(かす)かに(おどろ)いた。「(すこ)興味深(きょうみぶか)い。()(わたし)()(くる)いがなければ、()()単刀蛊(たんとうこ)であろう。単刀蛊(たんとうこ)()威力(いりょく)独特(どくとう)で、一旦(いったん)発動(はつどう)すれば同級(どうきゅう)防御(ぼうぎょ)無視(むし)する可能性(かのうせい)がある。蛊仙(こせん)刀魔(とうま)によって創製(そうせい)されたもので、形態(けいたい)特異(とくい)で、一抹(いちまつ)刃光(じんこう)()ぎず、(かなら)刀剣(とうけん)寄生(きせい)しなければならない。()()(かたな)(もっ)(しょく)とし、寄生(きせい)された(かたな)次第(しだい)縮小(しゅくしょう)し、(つい)には消散(しょうさん)して(から)となる。」


東方長凡(とうほうちょうぼん)(かろ)(うなず)いた。「其方(そち)()う通り(どおり)だ。単刀蛊(たんとうこ)最高(さいこう)六转(ろくてん)(たっ)する。刀魔(とうま)当時(とうじ)六转単刀蛊(ろくてんたんとうこ)(たの)みとして一派(いっぱ)()()て、(だれ)(かれ)刃向(はむか)(もの)はなかった。しかし最期(さいご)蝶剣仙(ちょうけんせん)(やぶ)れ、其場(そのば)討死(うちじ)にし、福地(ふくち)併呑(へいどん)された。六转単刀蛊(ろくてんたんとうこ)蛊方(こほう)後世(こうせい)(つた)わらなかったが、(いま)下界(げかい)数多(あまた)単刀蛊(たんとうこ)(のこ)っている。これらは刀魔(とうま)昔日(せきじつ)凡人(ぼんじん)()わって天下(てんか)漫遊(まんゆう)する(さい)()り々(じ)に(おく)ったものだ。()幸運(こううん)若輩(じゃくはい)は、()(ひと)つを()にしたようだな。」


先輩(せんぱい)博識(はくしき)には(おそ)()ります。本日(ほんじつ)(おお)いなる(まな)びを()ました。」黒柏(こくはく)(こころ)から敬服(けいふく)()(あらわ)した。


東方長凡(とうほうちょうぼん)北原(ほくげん)名高(なだか)智道蛊仙(ちどうこせん)として、生涯(しょうがい)(かがや)かしい戦績(せんせき)数多(あまた)(かさ)ね、幾多(いくた)蛊仙(こせん)()計略(けいりゃく)翻弄(ほんろう)されてきたのである。


(かれ)誕生(たんじょう)した(とき)東方家(とうほうけ)(すで)斜陽(しゃよう)境遇(きょうぐう)にあった。(かれ)蛊仙(こせん)となってからは、(みずか)()(くだ)し、多岐(たき)(わた)策謀(さくぼう)(めぐ)らせ、仇敵(きゅうてき)同士(どうし)相争(あいあらそ)わせるなど、高超(こうちょう)巧妙(こうみょう)手腕(しゅわん)発揮(はっき)し、見事(みごと)東方一族(とうほういちぞく)再興(さいこう)させた。


七转蛊仙(ななてんこせん)として、北原(ほくげん)()(とな)える巨頭(きょとう)東方部族(とうほうぶぞく)大黒柱(だいこくばしり)である。


(しか)(いま)(かれ)寿命(じゅみょう)()きんとしており、(とき)(のこ)(すく)ない(なか)後継(あとつ)ぎを(いそ)いで(もと)めている。以前(いぜん)東方長凡(とうほうちょうぼん)()()みが(きび)しく、何人(なんにん)候補(こうほ)()にしながらも(なか)々(なか)()()(もの)がいなかった。現在(げんざい)東方余亮(とうほうよりょう)(すべ)ての条件(じょうけん)()たす(わけ)ではないが、比較的(ひかくてき)満足(まんぞく)()人選(じんせん)()える。


寿蛊(じゅこ)()(がた)く、東方部族(とうほうぶぞく)(ちょう)(だい)世族(せいぞく)であり、北原(ほくげん)(さい)(だい)勢力(せいりょく)(ひと)つであっても、その探索(たんさく)容易(ようい)ではない。


無論(むろん)()(なか)には正道蛊仙(せいどうこせん)たちが非公式(ひこうしき)連合(れんごう)し、東方長凡(とうほうちょうぼん)への寿蛊(じゅこ)販売(はんばい)(きん)じている事情(じじょう)存在(そんざい)する。同様(どうよう)に、東方長凡(とうほうちょうぼん)謀略(ぼうりゃく)翻弄(ほんろう)された魔道蛊仙(まどうこせん)たちは、(かれ)(たい)骨髄(こつずい)(てっ)する憎悪(ぞうお)(いだ)いている。


東方長凡(とうほうちょうぼん)無数(むすう)(もの)謀略(ぼうりゃく)にかけてきたが、人生(じんせい)最終章(さいしゅうしょう)(いた)って、(つい)無数(むすう)(もの)たちの共謀(きょうぼう)(さら)されることとなった。


彼自身(かれじしん)理解(りかい)していた。(みずか)れが得罪(とくざい)した蛊仙(こせん)(かず)があまりにも(おお)いこと、仮令(たとえ)正道(せいどう)といえども、(かれ)生存(せいぞん)(のぞ)まないことを。


黒柏(こくはく)(さと)っていた。此度(こたび)東方長凡(とうほうちょうぼん)との会見(かいけん)が、北原(ほくげん)伝説(でんせつ)(てき)蛊仙(こせん)最後(さいご)対面(たいめん)する機会(きかい)となることを。(ゆえ)に、(かれ)心中(しんちゅう)には畏敬(いけい)(ねん)追慕(ついぼ)(じょう)渦巻(うずま)いていた。


石桌(せきさく)(うえ)彩煙(さいえん)()()なく(たぎ)り、戦場(せんじょう)様相(ようそう)微塵(みじん)()らさず二人(ふたり)眼前(がんぜん)(うつ)()していた。東方軍(とうほうぐん)は元々(もともと)陣容(じんよう)劣勢(れっせい)であったが、潘平(はんぺい)唐家(とうけ)族長(ぞくちょう)()()って以来(いらい)()不利(ふり)一層(いっそう)深刻(しんこく)さを()していた。


(つい)東方余亮(とうほうよりょう)(みずか)黒楼蘭(こくろうらん)直接(ちょくせつ)勝負(しょうぶ)(いど)み、(みずか)戦場(せんじょう)(くだ)()った。


(かれ)一己(いっこ)(ちから)で、一寸(いっすん)(ひかり)をも(つか)()らんと足掻(あが)いた。


(しか)終局(しゅうきょく)(かれ)黒楼蘭(こくろうらん)勝負(しょうぶ)()かず、相打(あいう)ちの(よう)(そう)()った。


日没(にちぼつ)(とも)に、黒楼蘭(こくろうらん)一声(いっせい)(もと)総攻撃(そうこうげき)号令(ごうれい)(くだ)された。


(よる)(おとず)れと(とも)に、夜狼(やろう)戦闘力(せんとうりょく)急騰(きゅうとう)した。(おおかみ)(なみ)は次々(つぎつぎ)と()()せ、方源(ほうげん)指揮(しき)(もと)東方軍(とうほうぐん)最後(さいご)防衛線(ぼうえいせん)(おそ)()かった。


東方軍(とうほうぐん)士気(しき)沮喪(そそう)し、人心(じんしん)離散(りさん)していた。東方余亮(とうほうよりょう)が様々(さまざま)な()()ったにも(かか)わらず、防衛線(ぼうえいせん)半刻(はんこく)()たずに()(やぶ)られた。


()()く、東方余亮(とうほうよりょう)敗北(はいぼく)(みと)める(ほか)なかった。


()れをもって、黒家(こくけ)東方家(とうほうけ)大戦(たいせん)(まく)()じ、黒楼蘭(こくろうらん)東方余亮(とうほうよりょう)個人的(こじんてき)因縁(いんねん)も、黒楼蘭(こくろうらん)勝利(しょうり)という(かたち)(しば)しの段落(だんらく)(むか)えた。


東方余亮(とうほうよりょう)若輩(じゃくはい)(ほか)欠点(けってん)()いが、(ただ)(いもうと)への執着(しゅうちゃく)(つよ)()ぎる。(いもうと)万全(ばんぜん)(まも)ろうと、(ぐん)()けて後軍(こうぐん)編成(へんせい)し、(いもうと)()(なか)安置(あんち)した。東方連合軍(とうほうれんごうぐん)は元々(もともと)黒家軍(こくけぐん)より軍勢(ぐんぜい)(おと)っており、()手分(てわ)けで(さら)()(ひろ)がった。()()れが()ければ、初戦(しょせん)勝敗(しょうはい)()(ほど)までに懸隔(けんかく)(ひら)くことは()かったろう。呵々(かか)、黒柏(こくはく)殿(どの)(わら)われそうな(はなし)だ。」


東方長凡(とうほうちょうぼん)平静(へいせい)彩煙(さいえん)(なが)めながら、(あわ)(わら)った。


黒家軍(こくけぐん)戦局(せんきょく)安定(あんてい)させた(のち)輜重営(しちょうえい)(ゆる)やかに破壊(はかい)された防衛線(ぼうえいせん)(すす)み、捕虜(ほりょ)収容(しゅうよう)戦場(せんじょう)掃討(そうとう)着手(ちゃくしゅ)した。


勝敗(しょうはい)兵家(へいか)(つね)今回(こんかい)(かな)わねば、次回(じかい)()せば()ろしい。私見(しけん)だが、東方余亮(とうほうよりょう)(すで)十分(じゅうぶん)優秀(ゆうしゅう)である。本族(ほんぞく)勢力(せいりょく)完璧(かんぺき)温存(おんそん)し、(わたし)よりも周到(しゅうとう)配慮(はいりょ)()せた。家族(かぞく)(たい)する()愛護心(あいごしん)こそ、貴重(きちょう)(ひょう)すべきである。」と黒柏(こくはく)()べた。


(しか)り。」東方長凡(とうほうちょうぼん)感慨(かんがい)(ぶか)表情(ひょうじょう)(こた)えた。「他族(たぞく)(もの)()なば()(まか)るが、我々(われわれ)は巨陽先祖(きょようせんそ)(おな)血脈(けつみょう)()()(もの)(ゆえ)(むかし)先祖(せんぞ)王庭(おうてい)(もう)けた目的(もくてき)(ひと)つは、他族(たぞく)弱体化(じゃくたいか)させつつ、血筋(ちすじ)(まも)(ため)であったろう。残念(ざんねん)ながら、巨陽仙尊(きょようせんそん)(ごと)偉大(いだい)存在(そんざい)(いえ)ども、(つい)には寿命(じゅみょう)()きて御命(おんいのち)()てられた。()()に、永遠不滅(えいえんふめつ)など存在(そんざい)する(わけ)()いのだ……」


黒柏(こくはく)(なに)(かた)さず、(ただ)(しず)かに(みみ)(かたむ)けていた。


東方長凡(とうほうちょうぼん)感情(かんじょう)(おさ)め、(かろ)一笑(いっしょう)して黒柏(こくはく)()(ひら)()()した。「さて、本題(ほんだい)(うつ)るとしよう。」


承知(しょうち)しました。」黒柏(こくはく)一葉(いちよう)のリストを収納蛊(しゅうのうこ)から()()し、東方長凡(とうほうちょうぼん)手渡(てわた)した。


リストには(こま)かな文字(もじ)隙間(すきま)なく(しる)され、膨大(ぼうだい)物資(ぶっし)列記(れっき)されていた。


東方一族(とうほういちぞく)此度(こたび)王庭争奪戦(おうていそうだつせん)敗北(はいぼく)し、黒家(こくけ)捕虜(ほりょ)となっていた。巨陽仙尊(きょようせんそん)当年(とうねん)(さだ)めた規律(きりつ)(のっと)り、東方一族(とうほういちぞく)一定量(いっていりょう)物資(ぶっし)支払(しはら)うことで、身柄(みがら)()(わた)しを()けられることとなっている。


東方家(とうほうけ)黒家(こくけ)は、双方(そうほう)(いえど)超弩級(ちょうどきゅう)世族(せいぞく)であり、(いず)れも蛊仙(こせん)複数名(ふくすうめい)(よう)している。


二大巨頭(にだいきょとう)角逐(かくちく)は、『王庭争奪戦(おうていそうだつせん)』と(しょう)される壮大(そうだい)棋戯(きぎ)()ぎない。主目的(しゅもくてき)戦争(せんそう)(もっ)他族(たぞく)弱体化(じゃくたいか)させ、自族(じぞく)拡大(かくだい)させると(とも)に、有能(ゆうのう)人材(じんざい)(ふる)()吸収(きゅうしゅう)することにある。


北原(ほくげん)全体(ぜんたい)(おお)()宏大(こうだい)布局(ふきょ)が、東方家(とうほうけ)黒家(こくけ)蛊仙(こせん)たちの()()(わけ)()い。()れは(きゅう)人の無敵至尊(むてきしそん)(ひと)り、巨陽仙尊(きょようせんそん)御手(おて)によるものなのである。


東方長凡(とうほうちょうぼん)はリストを受け(うけと)り、(こま)やかに()(とお)した。


リストに記載(きさい)された物資(ぶっし)は、規模(きぼ)膨大(ぼうだい)なだけでなく、其中(そのちゅう)(おお)くの項目(こうもく)東方一族(とうほういちぞく)特有(とくゆう)蛊虫(こちゅう)や、最新(さいしん)開発(かいはつ)された蛊方(こほう)(から)んでいる。


(しか)東方長凡(とうほうちょうぼん)一片(いっぺん)未練(みれん)(しめ)さず、(かろ)(うなず)承諾(しょうだく)した。「()てば官軍(かんぐん)(やぶ)れた以上(いじょう)代償(だいしょう)(はら)うのは当然(とうぜん)である。()(とお)りに(いた)そう。」


敗者(はいしゃ)代償(だいしょう)(はら)う——()れこそ巨陽仙尊(きょようせんそん)(さだ)めた遊戯(ゆうぎ)規則(きそく)である。


歴史(れきし)(ひもと)けば、(かく)(ごと)戦争賠償金(せんそうばいしょうきん)支払(しはら)いを(こば)んだ部族(ぶぞく)幾度(いくど)(あらわ)れたが、(いず)れも全滅(ぜんめつ)()()()っている。


(いま)(いた)っては、()規則(きそく)遵守(じゅんしゅ)せざる部族(ぶぞく)(ひと)つも存在(そんざい)しない。


()れは北原(ほくげん)正道(せいどう)()むべき遊戯(ゆうぎ)規則(きそく)であり、仮令(たとえ)何族(なんぞく)といえども()れに(そむ)くならば、共同社会(きょうどうしゃかい)から排斥(はいせき)され、(ほか)全て(すべ)ての(もの)から標的(ひょうてき)とされる運命(うんめい)にある。


戦場(せんじょう)夜空(よぞら)に、突如(とつじょ)として巨大(きょだい)光环(こうかん)(あらわ)れた。


光环(こうかん)(おもむ)ろに収束(しゅうそく)し、(たか)二十丈余(にじゅうじょうよ)りの光門(こうもん)へと変貌(へんぼう)()げた。


光門(こうもん)千里(せんり)()くばかりに(かがや)き、(ゆる)やかに(ひら)いて翠光(すいこう)(みち)(あらわ)した。


(もん)(なか)から、(わか)少女蛊師(しょうじょこし)(あらわ)れた。彼女(かのじょ)令牌(れいはい)()に、衆目(しゅうもく)(まえ)黒楼蘭(こくろうらん)眼前(がんぜん)へゆったりと()()った。


(わたし)接引使(せついんし)東方部族(とうほうぶぞく)(むか)えに(まい)りました。」


彼女(かのじょ)無表情(むひょうじょう)で、(こえ)(つめ)やかであった。


二人(ふたり)其場(そのば)()(わた)しを完了(かんりょう)した。戦争賠償(せんそうばいしょう)確認(かくにん)した黒楼蘭(こくろうらん)(かお)一面(いちめん)喜色(きしょく)(あふ)れた——(かれ)(おお)もうけしたのである!()(ほど)物資(ぶっし)(もっ)てすれば、(さら)(おお)くの蛊師(こし)装備(そうび)でき、(とく)降伏(こうふく)部族(ぶぞく)吸収(きゅうしゅう)した(あと)では、軍勢(ぐんぜい)(もと)基盤(きばん)から(すく)なくとも五割増(ごわりま)しに強化(きょうか)されるであろう!


「では、後程(のちほど)()いしましょう。」


結果(けっか)(すで)()まっている以上(いじょう)東方余亮(とうほうよりょう)洒落(しゃら)()()せ、優雅(ゆうが)黒楼蘭(こくろうらん)(わか)れを()げて、一族(いちぞく)(ひき)(ひかり)(みち)(ある)み、(つい)光門(こうもん)()()った。


離散(りさん)した数多(あまた)家族(かぞく)吸収(きゅうしゅう)した(ため)東方部族(とうほうぶぞく)規模(きぼ)以前(いぜん)より三割(さんわり)以上(いじょう)拡大(かくだい)していた。


(じつ)(うらや)ましい、敗戦(はいせん)しても福地(ふくち)避難(ひなん)できるとは!」


仕方(しかた)ないさ、奴等(やつら)超弩級(ちょうどきゅう)世族(せいぞく)(うえ)蛊仙(こせん)()いているんだからな。」


「良い(よい)か、しゃんと(えり)(ただ)せ。我々(われわれ)が黒家(こくけ)(くだ)ったのも転機(てんき)だ。何度(なんど)()(いくさ)(かさ)ねれば、損失(そんしつ)()()わせられる。(うん)()王庭福地(おうていふくち)()り、其処(そこ)伝承(でんしょう)()にできれば、立身出世(りっしんしゅっせ)契機(けいき)(ゆめ)じゃない!」


人々(ひとびと)は半空(はんくう)()かぶ光輪(こうりん)(あお)()ながら、様々(さまざま)に論議(ろんぎ)()わした。


方源(ほうげん)平静(へいせい)()光景(こうけい)見守(みまも)っていた。


十年(じゅうねん)(ごと)北原(ほくげん)全体(ぜんたい)()()み、数多(あまた)(いえ)離散(りさん)させ、(また)数多(あまた)(もの)立身出世(りっしんしゅっせ)させる()(たたか)いの本質(ほんしつ)は、捕食者(ほしょくしゃ)たちの共謀(きょうぼう)による狩猟遊戯(しゅりょうゆうぎ)()ぎない。


()(もの)()(なか)(ひた)り、名利(めいり)()(もと)める。()(もの)()れに()(かな)しみ、生きることを(いと)う。(おのれ)局中(きょくちゅう)()りながら、冷眼(れいがん)(もっ)傍観(ぼうかん)し、(しか)独自(どくじ)(たくら)みを(はぐく)んでいる。


呵呵(かか)


衆生(しゅじょう)の様々(さまざま)な(すがた)()れは(ただ)(かく)(ごと)し。


弱肉強食(じゃくにくきょうしょく)(じつ)(たえ)なるものかな!












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