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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第一百零三節:先挑狼王

魂道(こんどう)開拓者(かいたくしゃ)であり、蛊師九転(こしきゅうてん)頂点(ちょうてん)傲然(ごうぜん)()伝説的(でんせつてき)人物(じんぶつ)——幽魂魔尊(ゆうこんますそん)は、かつて()(ひょう)した:


天下(てんか)(ひろ)しと(いえど)も、(たましい)(さかん)にするには蕩魂山(とうこんざん)を、(たましい)()るには落魄谷(らくはくこく)(えら)ぶべし。()一山一谷(いちさんいちこく)()れば、(かなら)ずや魂道(こんどう)大成(たいせい)し、()縦横(じゅうおう)すること造作(ぞうさ)なきことならん!」


(ゆえ)に、蕩魂山(とうこんざん)落魄谷(らくはくこく)(なら)(しょう)されて「魂修二聖地(こんしゅうにせいち)」と()る。


()二大聖地(にだいせいち)蛊師(こし)にもたらす(はか)()れぬ恩恵(おんけい)について、方源(ほうげん)蕩魂山(とうこんざん)掌握(しょうあく)して以来(いらい)()(もっ)(つう)体得(たいとく)していた。


(かれ)千人魂(せんにんこん)は、(まさ)蕩魂山(とうこんざん)産出(さんしゅつ)する胆識蛊(たんしきこ)駆使(くし)して(はじ)めて修得(しゅうとく)できたものである。


胆識蛊(たんしきこ)(たましい)(さかん)にする極品第一(きょくひんだいいち)()であり、直接(ちょくせつ)基盤(きばん)増強(ぞうきょう)し、(いっ)さいの副作用(ふくさよう)()く、効率(こうりつ)(きわ)めて(たか)し。


普通(ふつう)蛊師(こし)魂魄(こんぱく)千人級(せんにんきゅう)まで()()げるには、通常(つうじょう)二十年(にじゅうねん)前後(ぜんご)(よう)する。一部(いちぶ)天才(てんさい)は、一族(いちぞく)支援(しえん)先輩(せんぱい)後押(あとお)しを()て、()期間(きかん)半減(はんげん)させることも可能(かのう)である。


では、方源(ほうげん)はどうか?


(かれ)蕩魂山(とうこんざん)胆識蛊(たんしきこ)利用(りよう)し、魂魄(こんぱく)千人級(せんにんきゅう)強化(きょうか)するのに、半年(はんとし)(よう)しなかった。


(わす)れてはならないのは、()れが「蕩魂山(とうこんざん)和泥仙蛊(わでいせんこ)侵食(しんしょく)され、漸次(ぜんじ)死滅(しめつ)しつつある」という状態(じょうたい)(もと)での成果(せいか)だという(てん)である。


方源(ほうげん)蕩魂山(とうこんざん)によって、魂魄(こんぱく)(なん)なく千人級(せんにんきゅう)まで(たか)め、()速度(そくど)(まさ)にロケットの(ごと)九霄(きゅうしょう)()くが(ごと)し。(しか)れども魂魄修行(こんぱくしゅうぎょう)は、(たましい)(さか)んにするのみならず、(さら)(たましい)()()げ、純化(じゅんか)する煉魂(れんこん)工程(こうてい)をも(よう)する。


()方面(ほうめん)において、方源(ほうげん)進展(しんてん)(きわ)めて緩慢(かんまん)である。


(たましい)(さか)んにする速度(そくど)(くら)べれば、(かれ)煉魂(れんこん)速度(そくど)(まさ)(かめ)(あゆ)みの(ごと)くである。


方源(ほうげん)煉魂(れんこん)(さい)して、(つね)狼魂蛊(ろうこんこ)採用(さいよう)し、魂魄(こんぱく)純化精錬(じゅんかせいれん)して、最終的(さいしゅうてき)狼人魂(ろうじんこん)形成(けいせい)してきた。


(しか)(かれ)使用(しよう)した狼魂蛊(ろうこんこ)(なか)には、五転(ごてん)(きゅう)(たっ)するものは(ひと)つも()く、最高(さいこう)でも四転(してん)(とど)まりであった。四転狼魂蛊(してんろうこんこ)千人魂(せんにんこん)純化(じゅんか)するのは、(あたか)一瓶(いっぴん)(すみ)(みずうみ)(そそ)()み、(すべ)ての湖面(こめん)()()げようとするが(ごと)し。四転蛊(してんこ)効率(こうりょく)では(じつ)(ひく)()ぎるのである。


方源(ほうげん)以前(いぜん)五転狼魂蛊(ごてんろうこんこ)(もと)めて努力(どりょく)したが、残念(ざんねん)ながら成功(せいこう)には(いた)らなかった。


五転狼魂蛊(ごてんろうこんこ)()くとも、(じつ)(ほか)方法(ほうほう)存在(そんざい)する。


(すなわ)両更蛊(りょうこうこ)三更蛊(さんこうこ)利用(りよう)し、自身(じしん)時間(じかん)(なが)れを加速(かそく)させるか、(ある)いは直接(ちょくせつ)福地(ふくち)進入(しんにゅう)することで、修行速度(しゅぎょうそくど)向上(こうじょう)させるという()である。


(しか)()方法(ほうほう)は、他者(たしゃ)には使用可能(しようかのう)でも、方源(ほうげん)には適用(てきよう)できない。


方源(ほうげん)第一本命蛊(だいいちほんめいこ)である春秋蝉(しゅんじゅうせん)は、時間(じかん)(とも)(ゆる)やかに回復(かいふく)しつつある。方源(ほうげん)蛊仙(こせん)到達(とうたつ)する以前(いぜん)は、()れは(くび)()かった(やいば)(ごと)く、(つね)()脅威(きょうい)として(せま)っているのだ。


()現在(げんざい)千人魂(せんにんこん)は、蕩魂山(とうこんざん)恩恵(おんけい)完全(かんぜん)()る。落魄谷(らくはくこく)蕩魂山(とうこんざん)(なら)(しょう)される聖地(せいち)()()れを()にできれば……」


一瞬(いっしゅん)方源(ほうげん)胸中(きょうちゅう)には「いっそ魂道(こんどう)転向(てんこう)してはどうか」という衝動(しょうどう)さえ渦巻(うずま)いた。


「もし蕩魂山(とうこんざん)(よみがえ)らせ、(さら)落魄谷(らくはくこく)掌握(しょうあく)できれば、魂道二大聖地(こんどうにだいせいち)という盤石(ばんじゃく)基盤(きばん)()て、魂道(こんどう)転修(てんしゅう)するのは(まこと)賢明(けんめい)選択(せんたく)()えよう。前世(ぜんせ)(おさ)めた血道(ちどう)再現(さいげん)するよりも、(むし)将来性(しょうらいせい)は洋々(ようよう)として()てしない!」


(しか)れども瞬時(またた)くして、方源(ほうげん)(ふたた)冷静(れいせい)を取り(とりもど)した。


(ねん)(しめ)された指示(しじ)(したが)えば、落魄谷(らくはくこく)(はる)(とお)く、焦眉(しょうび)(きゅう)蕩魂山(とうこんざん)再生(さいせい)である。(いま)(いま)落魄谷(らくはくこく)()かう(とき)では()い。大戦(たいせん)目前(もくぜん)(せま)り、(げん)()()()()げて()力道(りきどう)奴道(どどう)基盤(きばん)も、軽々(かるがる)しく()()れるものでは()い。」


方源(ほうげん)奴道(どどう)力道(りきどう)二道(にどう)修行(しゅぎょう)によって、北原(ほくげん)風雲児(ふううんじ)となった。


しかし現在(げんざい)実力(じつりょく)をもってしても、俗世(ぞくせ)無敵(むてき)となるには、()(はる)かに(とお)道程(みちのり)(のこ)されている。


影劍客(えいけんかく)一人(ひとり)()ぎない相手(あいて)に、(かれ)散散(さんさん)()()わされたのである。


第二空竅(だいに くうきょう)(ゆう)し、力道(りきどう)奴道(どどう)兼修(けんしゅう)する五转巅峰(ごてん てっぽう)修為(しゅうい)を持つとはいえ、王庭之争(おうてい の あらそ)いという大舞台(おおぶたい)()方源(ほうげん)は、依然(いぜん)として微小(びしょう)存在(そんざい)()ぎない。


北原全体(ほくげん ぜんたい)()()()戦渦(せんか)において、(すこ)しでも油断(ゆだん)すれば、假令(たとえ)五转蛊師(ごてん こし)といえども、(いのち)()とす危険(きけん)(つね)()(まと)っている。


現在(げんざい)()奴道(どどう)一定(いってい)成果(せいか)(おさ)め、戦局(せんきょく)全体(ぜんたい)影響(えいきょう)(あた)えるまでに成長(せいちょう)した。しかし(あき)らかに攻撃(こうげき)(かたよ)り、防御(ぼうぎょ)手薄(てうす)である。力道(りきどう)(めん)では(いま)自衛(じえい)十分(じゅうぶん)()えず、墨獅狂(ぼくしきょう)辺絲軒(へんしけん)(ごと)強敵(きょうてき)近接(きんせつ)されれば、危険(きけん)(きわ)まりない。東方家(とうほうけ)との(たたか)いは、依然(いぜん)として慎重(しんちょう)()すべきだ」。


(せま)()大戦(たいせん)(おも)い、方源(ほうげん)(こころ)には(ほか)(もの)のような戦意(せんい)高揚(こうよう)はなかった。


狈君子(はいくんし)献策(けんさつ)は、ある意味(いみ)方源(ほうげん)()しており、(かれ)幕僚(ばくりょう)地位(ちい)()き、(さら)なる修行時間(しゅぎょうじかん)戦力増強(せんりょくぞうきょう)機会(きかい)をもたらしたのである。


()以来(いらい)の日々(ひび)、方源(ほうげん)第二空竅(だいにくうきょう)温養(おんよう)(はげ)みながら、嘔心嬰泣蛊(おうしんえいきゅうこ)煉製(れんせい)に取り(とりく)み、(さら)には小狐仙(ここせん)との連絡(れんらく)(たも)ちつつ、福地内(ふくちない)の大小様々(だいしょうさまざま)な事務(じむ)を取り仕切(とりしき)っていた。


狐仙福地(こせんふくち)では、蕩魂山(とうこんざん)状況(じょうきょう)悪化(あっか)一途(いっと)辿(たど)っており、山容(さんよう)日増(ひま)しに(ちぢ)(つづ)けている。小狐仙(ここせん)每日(まいにち)蕩魂山(とうこんざん)から大量(たいりょう)の「御座成(おざな)(つち)」を清掃(せいそう)し、蕩魂山(とうこんざん)生機(せいき)(つな)()めるため、最善(さいぜん)()くしている。


星空(ほしぞら)福地(ふくち)東部(とうぶ)(おお)()くし、星蛍虫群(ほしほたるむれ)規模(きぼ)は、(もと)三倍(さんばい)(ふく)()がった。小狐仙(ここせん)初步的(しょほてき)推算(すいさん)によれば、星蛍蛊(ほしほたるこ)が五十~六十匹(ごじゅう~ろくじゅっぴき)も増加(ぞうか)したという。


()(ほど)短期間(たんきかん)に、()くも(おお)くの星蛍蛊(ほしほたるこ)増殖(ぞうしょく)したのは、泡魚(あわうお)(はたら)きに()(ところ)(おお)きい。


此等(これら)泡魚(あわうお)は、(ようや)()効力(こうりょく)発揮(はっき)(はじ)めたのである。


以前(いぜん)方源(ほうげん)頻繁(ひんぱん)狐仙福地(こせんふくち)出入(ではい)りし、長期(ちょうき)(わた)星門蛊(せいもんこ)維持(いじ)したため、星蛍蛊(ほしほたるこ)(かず)(そこ)()いていた。現在(げんざい)星蛍蛊(ほしほたるこ)増加(ぞうか)したことで、非常(ひじょう)压力(あつりょく)緩和(かんわ)された。


一方(いっぽう)福地(ふくち)西部(せいぶ)では花粉兔(かふんと)大量(たいりょう)繁殖(はんしょく)している。


方源(ほうげん)以前(いぜん)配置(はいち)していた狼群(おおかみむれ)北原(ほくげん)転属(てんぞく)させたため、花粉兔(かふんと)への捕食压力(ほしょくあつりょく)激減(げきげん)し、兔群(とぐん)規模(きぼ)急速(きゅうそく)拡大(かくだい)している。


小狐仙(ここせん)から()状況報告(じょうきょうほうこく)()けた方源(ほうげん)は、(ただ)ちに東部(とうぶ)(みずうみ)生息(せいそく)する水狼(みずおおかみ)大半(たいはん)西部(せいぶ)配置転換(はいちてんかん)し、食物連鎖(しょくもつれんさ)空白(くうはく)()めようとした。


しかし()れでも(なお)兔群(とぐん)規模(きぼ)増加(ぞうか)一途(いっと)辿(たど)っている。


兔害(とかい)未然(みぜん)(ふせ)ぐため、数日前(すうじつまえ)小狐仙(ここせん)宝黄天(ほうこうてん)大量(たいりょう)花粉兔(かふんと)格安(かくやす)売却(ばいきゃく)した。


方源(ほうげん)(もっと)()にかける毛民(もうみん)は、暫定的(ざんていてき)福地(ふくち)南部(なんぶ)定住(ていじゅう)している。


()()は元々(もともと)石人(いしびと)郷里(きょうり)であったが、突然(とつぜん)毛民(もうみん)移住(いじゅう)したため、双方(そうほう)生存空間(せいぞんくうかん)(めぐ)って数度(すうど)小規模(しょうきぼ)衝突(しょうとつ)()こしている。


小狐仙(ここせん)方源(ほうげん)指示(しじ)(したが)い、(ひそ)かに毛民(もうみん)支援(しえん)して(ひと)つの石人部落(いしびとぶらく)制圧(せいあつ)させ、捕虜(ほりょ)とした石人(いしびと)仙鶴門(せんかくもん)転売(てんばい)した。


仙鶴門(せんかくもん)胆識蛊(たんしきこ)取引(とりひき)について度重(たびかさ)なる(もう)()れを(おこな)ってきたが、小狐仙(ここせん)はすべて拒否(きょひ)している。交渉代表(こうしょうだいひょう)として派遣(はけん)された方正(ほうせい)数回(すうかい)にわたり方源(ほうげん)との面会(めんかい)(もと)めたが、(おな)じく門前払(もんぜんばら)いを()わされている。


宝黄天(ほうこうてん)においては、御座成(おざな)(つち)再販(さいばん)し、第二(だいに)和泥仙蛊(わでいせんこ)蛊方(こほう)()()れた。以前(いぜん)方源(ほうげん)販売(はんばい)した各種(かくしゅ)仙蛊残方(せんこざんぽう)も、()数日(すうじつ)(うち)小狐仙(ここせん)転売(てんばい)(おこな)い、十一個(じゅういっこ)仙元石(せんげんせき)()ている。


同種(どうしゅ)蛊方(こほう)は、宝黄天(ほうこうてん)販売(はんばい)されればされる(ほど)更多(こうた)蛊仙(こせん)()(わた)り、宝光(ほうこう)低下(ていか)する。(ゆえ)に、()れを長期的(ちょうきてき)収益源(しゅうえきげん)見做(みな)すことは根本的(こんぽんてき)不可能(ふかのう)である。


丁度(ちょうど)金鉱(きんこう)(ごと)く、(すで)大半(たいはん)採掘(さいくつ)()えた(あと)では、将来(しょうらい)収益(しゅうえき)日増(ひま)しに(ほそ)り、過度(かど)期待(きたい)()せる値打(ねう)ちは()い。


(さら)三日間(みっかかん)対峙(たいじ)()て、東方余亮(とうほうよりょう)(みずか)(したた)めた戦書(せんしょ)が、黒楼蘭(こくろうらん)()(とど)けられた。


黒楼蘭(こくろうらん)一瞬(いっしゅん)驚愕(きょうがく)し、側近(そっきん)()かって()いただした。「まさか東方家(とうほうけ)後軍(こうぐん)が、(すで)到着(とうちゃく)したというのか?」


狈君子孫湿寒(はいくんしそんしつかん)即座(そくざ)(こた)えた。「(てき)後軍(こうぐん)(いま)五千里(ごせんり)彼方(かなた)にあり、現在(げんざい)第五(だいご)防衛線(ぼうえいせん)(きず)(ちゅう)でございます」


黒楼蘭(こくろうらん)獰猛(どうもう)()みを()かべて()った。「東方家(とうほうけ)は元々(もともと)我々(われわれ)より軍勢(ぐんぜい)(すく)ないのに、よくも分兵(ぶんぺい)する度胸(どきょう)があるな!」


孫湿寒(そんしつかん)(くく)っと(わら)いながら(こた)えた。「東方余亮(とうほうよりょう)火遊(ひあそ)びをしているようなもの。しばし待機(たいき)し、後軍(こうぐん)合流(ごうりゅう)すれば、()(ぐん)圧倒的(あっとうてき)優位(ゆうい)()てましょう。()(とき)こそ、一気(いっき)()()せ、(てき)総崩(そうくず)れにすべきでございます」


黒楼蘭(こくろうらん)双眸(そうぼう)には凶光(きょうこう)幾度(いくど)(ひらめ)いた。(かれ)東方余亮(とうほうよりょう)(あいだ)には個人的(こじんてき)遺恨(いこん)があった。(わか)()天下(てんか)遍歴(へんれき)し、見聞(けんぶん)(ひろ)める途上(とじょう)東方晴雨(とうほうせいう)美色(びしょく)(こころ)(うば)われたが、東方余亮(とうほうよりょう)(いた)()()わせられ、散々(さんざん)な(はずかし)めを(あじ)わされたのである。


復讐(ふくしゅう)()えてはいたが、(かれ)容易(ようい)感情(かんじょう)()られる人物(じんぶつ)ではなかった。


東方(とうほう)小童(しょうどう)(たくら)みは、愚か(おろかもの)ですら見抜(みぬ)ける。(やつ)(たたか)いを(もと)めればこそ、()れはあえて機会(きかい)(あた)えぬ。()軍後軍(がぐんこうぐん)到着(とうちゃく)何時(いつ)(ごろ)見込(みこ)みだ?」黒楼蘭(こくろうらん)(かさ)ねて()う。


(およ)三日後(みっかご)予定(よてい)御座(ござ)います」汪家(おうけ)族長(ぞくちょう)(かたわ)らから(こた)えた。


()し。では()(みずか)(したた)めて東方余亮(とうほうよりょう)(もう)()れ、四日後(よっかご)決戦(けっせん)約定(やくじょう)しよう!」黒楼蘭(こくろうらん)高笑(たわら)一声(いっせい)大見得(おおみえ)()った。


東方余亮(とうほうよりょう)書状(しょじょう)()()ると、文官武官(ぶんかんぶかん)諸将(しょしょう)回覧(かいらん)させた。


東方同盟軍(とうほうどうめいぐん)上層部(じょうそうぶ)は、一様(いちよう)にひどく立腹(りっぷく)した。


黒楼蘭(こくろうらん)手紙(てがみ)(なか)大言壮語(たいげんそうご)し、勝手気(かってき)ままに「()慈悲(じひ)(はっ)し、三日間(みっかかん)猶予(ゆうよ)(とく)(あた)えよう。東方余亮(とうほうよりょう)(ねが)わくは()好意(こうい)()にすることなく、最期(さいご)人生(じんせい)(おも)存分(ぞんぶん)(たの)しむがよい」と誇示(こじ)していた。諸将(しょしょう)(きそ)って出陣(しゅつじん)請願(せいがん)したが、東方余亮(とうほうよりょう)悠然(ゆうぜん)微笑(ほほえ)んで()った。「皆様(みなさま)、どうかご冷静(れいせい)に。()書状(しょじょう)予想(よそう)範囲内(はんいない)である。()数日間(すうじつかん)幾度(いくど)推敲(すいこう)(かさ)ね、一計(いっけい)()た。(くわ)しくご説明(せつめい)しよう……」


四日間(よっかかん)(またた)()()()った。


決戦(けっせん)()風和(かぜやわ)らぐ(うら)らかな日差(ひざ)しが、雲一片(くもひときれ)()碧空(あおぞら)()らし()していた。


(ひざ)までも(ひた)(ふか)青草(あおくさ)(うみ)(ひろ)がる(なか)両軍(りょうぐん)百里(ひゃくり)(およ)軍陣(ぐんじん)展開(てんかい)した。旌旗(せいき)(はやし)(ごと)く、兵馬(へいば)(あり)(ごと)し。


双頭犀(そうとうさい)小山(こやま)(ごと)(そび)え、()背中(せなか)王帳(おうちょう)には、黒楼蘭(こくろうらん)方源(ほうげん)浩激流(こうげきりゅう)汪家(おうけ)房家(ぼうけ)葉家(ようけ)族長(ぞくちょう)強者(きょうしゃ)居並(いなら)んでいた。


(しか)るに方源(ほうげん)()は、()うまでも()左側上位(ひだりがわじょうい)筆頭(ひっとう)である。


一方(いっぽう)狈君子孫湿寒(はいくんしそんしつかん)黒楼蘭(こくろうらん)背後(はいご)()ち、顔中(かおじゅう)忠誠(ちゅうせい)(いろ)()かべ、最早(もはや)黒楼蘭(こくろうらん)腹心(ふくしん)となったことを(しめ)していた。


(かぜ)耳元(みみもと)()え、軍旗(ぐんき)をぱたぱたと()らせる。方源(ほうげん)(しず)かに(すわ)り、(とお)くを見渡(みわた)せば、敵軍(てきぐん)陣容(じんよう)整然(せいぜん)として、一輪(いちりん)白雲(はくうん)(うえ)()かぶ王帳(おうちょう)半空(なかぞら)(そび)()っているのが()えた。


王帳(おうちょう)(なか)には、東方余亮(とうほうよりょう)中央(ちゅうおう)端座(たんざ)し、文官(ぶんかん)武将(ぶしょう)たちが左右(さゆう)()かれて(すわ)っている様子(ようす)朦朧(もうろう)()()れる。その気勢(きせい)は、黒楼蘭側(こくろうらんがわ)()けを()らない。


此時(このとき)方源(ほうげん)(みみ)突然(とつぜん)黒楼蘭(こくろうらん)高笑(たかわら)いが()()んできた。「はははは、今日(きょう)一戦(いっせん)こそ、()黒家(こくけ)北原(ほくげん)纵横(じゅうおう)し、王庭(おうてい)主座(しゅざ)()第一歩(だいいっぽ)となる。諸君(しょくん)(だれ)(われ)(とも)(すす)み、一番槍(いちばんやり)()()けてくれる者はおらぬか?」


言葉(ことば)()わるか()わらないうちに、大勢(おおぜい)蛊師(こし)たちが座席(ざせき)から(おど)()がり、(こえ)()()げて(さけ)んだり、(むね)(つよ)(たた)いたりしながら出陣(しゅつじん)志願(しがん)した。


黒楼蘭(こくろうらん)()をくまなく(めぐ)らせ、その(なか)一人(ひとり)視線(しせん)()めた。「潘平(はんぺい)其方(そち)出陣(しゅつじん)(めい)ずる。」


潘平(はんぺい)大男(おおおとこ)で、赤黄(あかき)()じりの頭髪(とうはつ)(こし)には金縁銀柄(きんぶちぎんつか)湾刀(わんとう)()げている。()命令(めいれい)()いて大喜(おおよろこ)びし、()ぐにでも受諾(じゅだく)しようとしたその(とき)陣前(じんぜん)から(だれ)かが(たか)らかに(さけ)(こえ)()こえた。「小生(しょうせい)唐妙鳴(とうみょうめい)貴軍(きぐん)狼王様(ろうおうさま)の赫々(かくかく)たる御名(ごめい)(うけたまわ)(ひさ)しく、此度(こたび)是非(ぜひ)とも御指南(ごしなん)(たまわ)りたく参上(さんじょう)いたしました。」


東方余亮(とうほうよりょう)度胸(どきょう)()る。我々(われわれ)より(さき)挑戦(ちょうせん)してくるとは!」


()たるは小狐帥(ここすい)唐妙鳴(とうみょうめい)四转中階(してんちゅうかい)実力(じつりょく)ながら、()えて狼王様(ろうおうさま)直接挑(ちょくせついど)む。(なに)(たくら)みが()るに(ちが)()い。」


瞬時(しゅんじ)一同(いちどう)視線(しせん)方源(ほうげん)(あつ)まり、狼王(ろうおう)如何(いか)なる反応(はんのう)(しめ)すかを見守(みまも)ろうとした。






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