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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第九十三節:狼嚎声起

黒楼蘭(こくろうらん)闘技台(とうぎだい)上の墨獅狂(ぼくしきょう)(なが)め、表情(ひょうじょう)(くも)らせた。


墨獅狂(ぼくしきょう)登場(とうじょう)した(とき)から、(かれ)心中(しんちゅう)には不穏(ふおん)予感(よかん)(ただよ)っていた。しかし墨獅狂(ぼくしきょう)一撃(いちげき)毒蛇郎君(どくじゃろうくん)肉片(にくへん)()した(とき)、その不安(ふあん)確信(かくしん)へと()わった。


相手(あいて)四転巅峰(してんてっぽう)強者(きょうじゃ)であり、気道(きどう)蛊師(こし)でもあった。


(ひと)万物(ばんぶつ)霊長(れいちょう)であり、希望蛊(きぼうこ)によって空竅(くうきょう)(ひら)くことができる。


異人(いじん)は、『(ひと)』という文字(もじ)()いている以上(いじょう)当然(とうぜん)(けもの)には(およ)ばないまでも一定(いってい)霊性(れいせい)(ゆう)する。しかし()霊性(れいせい)(ひと)よりも(はる)かに(ちい)さい。(ゆえ)に、異人(いじん)蛊師(こし)修行(しゅぎょう)()(ほど)成果(せいか)(おさ)めることは(きわ)めて(まれ)なのである。


大多数(だいたすう)異人(いじん)生涯(しょうがい)()えても、空竅(くうきょう)(ひら)くことさえ(かな)わない。しかし一部(いちぶ)幸運(こううん)(もの)は、空竅(くうきょう)(ひら)くことができる。


その(なか)でも(さら)幸運(こううん)(もの)だけが、修行(しゅぎょう)成果(せいか)(おさ)めることができる。


眼前(がんぜん)墨獅狂(ぼくしきょう)は、(まさ)()のような特例(とくれい)なのである。


道理(どうり)劉文武(りゅうぶんぶ)墨獅狂(ぼくしきょう)(えん)(むす)んだわけだ。四転巅峰(してんてっぽう)戦力(せんりょく)とあれば、()れでも(よろこ)んで(おな)じことをするだろう。」


瞬時(しゅんじ)にして、(おお)くの(もの)たちが合点(がてん)がいった。


「おい、()こうの(くろ)っぽいデブ、貴様(きさま)俺様(おれさま)兄貴(あにき)(さか)らおうってのか?さあさあ、腕自慢(うでじまん)はどんどん()して()いよ、(おれ)一撃(いちげき)(みな)まとめてぶち(つぶ)してやるぜ!」


墨獅狂(ぼくしきょう)(むね)(こぶし)(たた)きながら豪叫(ごうきょう)した。無骨(ぶこつ)ではあるが、(かえ)って豪快(ごうかい)気性(きしょう)(うかが)える。


(くろ)っぽいデブか……」。黒楼蘭(こくろうらん)目尻(めじり)がピクッと痙攣(けいれん)した。内心(ないしん)では(はげ)しい(いか)りが(たぎ)っていた。「(たし)かに()れは()えてはおるが、其方(そち)ほど()(くろ)ではあるまい。()(くろ)(ぼう)(にく)らしい!」


黒繍衣(こくしゅうい)」。黒楼蘭(こくろうらん)(ひく)()()けた。平静(へいせい)(よそお)(こえ)(そこ)には、()()がる(いか)りが(ひそ)んでいた。


「はっ!」()せぎすの(おとこ)即座(そくざ)応答(おうとう)した。


()って()生意気(なまいき)小僧(こぞう)()らしめて()い。」黒楼蘭(こくろうらん)指図(さしず)した。


承知(しょうち)いたしました。族長(ぞくちょう)(さま)。」黒繍衣(こくしゅうい)無表情(むひょうじょう)(こた)え、ゆっくりと(ある)()した。


(かれ)()(つめ)たい(こおり)(ごと)く、(ある)()全身(ぜんしん)から(くろ)(ひかり)奔流(ほんりゅう)(ごと)()()た。黒光(くろびかり)甲冑(かっちゅう)へと凝縮(ぎょうしゅく)し、(かれ)隙間(すきま)なく(つつ)()んだ。


(つづ)いて、不気味(ぶきみ)緑色(みどりいろ)光輪(こうりん)頭頂(ずちょう)()かび()がった。


五十六枚(ごじゅうろくまい)飛骨盾牌(ひこつじゅんぱい)散開(さんかい)し、(かれ)周囲(しゅうい)浮遊(ふゆう)して全方向(ぜんほうこう)防御(ぼうぎょ)した。


同時(どうじ)に、九枚(きゅうまい)灰藍色(はいあんしょく)鬼面(きめん)が、すすり()くように嗚咽(おえつ)し、(かれ)左右(さゆう)旋回(せんかい)した。


闘技台(とうぎだい)()がった(とき)(かれ)完全武装(かんぜんぶそう)で、鉄壁(てっぺき)(まも)りを(かた)めていた。


観衆(かんしゅう)騒然(そうぜん)となった。黒楼蘭(こくろうらん)豪語(ごうご)しておきながら、実際(じっさい)には防御専門(ぼうぎょせんもん)蛊師(こし)(つか)わし、墨獅狂(ぼくしきょう)実力(じつりょく)(さぐ)ろうとしているのだ。


「あははははは!」墨獅狂(ぼくしきょう)(かえ)って大喜(おおよろこ)びした。「どう()ても(なぐ)られたい(かお)してやがるな。さあ、此方(こち)(こぶし)()らえ!」


言葉(ことば)()わらぬ(うち)に、(かれ)右拳(みぎこぶし)(にぎ)りしめ、黒繍衣(こくしゅうい)目掛(めが)けて猛然(もうぜん)()()した。


普通(ふつう)(もの)であれば、()一撃(いちげき)不死(ふし)半身不随(はんしんふずい)覚悟(かくご)しなければならない。


(しか)黒繍衣(こくしゅうい)は、()(こぶし)(じか)()()めた。上半身(じょうはんしん)(すこ)()れたものの、下半身(かはんしん)微動(びどう)だにしなかった。


「良い!」墨獅狂(ぼくしきょう)()様子(ようす)()て、(さら)喜色(きしょく)()くした。(かれ)普通(ふつう)墨人(ぼくじん)とは(こと)なり、戦闘狂(せんとうきょう)とも()える性分(しょうぶん)で、獲物(えもの)()(けもの)(ごと)興奮(こうふん)して(さけ)んだ。「もっと()い!」


言葉(ことば)()わるや、(かれ)は徐々(じょじょ)に空中浮遊(くうちゅうふゆう)し、雪白(せっぱく)体毛(たいもう)(ただよ)()()がった。黒繍衣(こくしゅうい)距離(きょり)()ると、瞬時(しゅんじ)(こぶし)()()した。


拳影(けんえい)は雨あられと()(そそ)ぎ、無数(むすう)半透明(はんとうめい)拳気(けんき)黒繍衣(こくしゅうい)めがけて飛翔(ひしょう)した。


ドッ、ドッ、ドッ……


拳気(けんき)黒繍衣(こくしゅうい)甲冑(かっちゅう)激突(げきとつ)し、雷鳴(らいめい)(ごと)爆音(ばくおん)炸裂(さくれつ)させた。


(しか)黒繍衣(こくしゅうい)巨大(きょだい)礁岩(しょうがん)()したようで、幾度(いくど)(なみ)(あら)われようとも微動(びどう)だにしなかった。


五十六枚(ごじゅうろくまい)飛骨盾牌(ひこつじゅんぱい)が、圧力(あつりょく)大半(たいはん)分散(ぶんさん)してくれた。


散乱(さんらん)した拳気(けんき)黒鉄(こくてつ)(ごと)甲冑(かっちゅう)()たっても、(かす)かな効果(こうか)もなさなかった。


分散(ぶんさん)した気流(きりゅう)は、九枚(きゅうまい)鬼面(きめん)完璧(かんぺき)吸収(きゅうしゅう)された。


墨獅狂(ぼくしきょう)猛攻(もうこう)()んだ(とき)黒繍衣(こくしゅうい)頭頂(ずちょう)光輪(こうりん)瘴気(しょうき)(ごと)(かがや)きを(はな)ち、飛骨盾牌(ひこつじゅんぱい)()らし、(たて)裂痕(れっこん)修復(しゅうふく)()くした。


()(こぶし)(かえ)してくれよう。」


黒繍衣(こくしゅうい)冷笑(れいしょう)一声(いっせい)九枚(きゅうまい)鬼面(きめん)同時(どうじ)(くち)(ひら)き、数十团(すうじゅうだん)拳気(けんき)連続噴射(れんぞくふんしゃ)した。


赫然(あき)として、墨獅狂(ぼくしきょう)攻撃(こうげき)をそっくりそのまま(かえ)してきたのである。


墨獅狂(ぼくしきょう)()数十团(すうじゅうだん)拳気(けんき)目前(もくぜん)(せま)るのを()一瞬(いっしゅん)呆然(ぼうぜん)連続(れんぞく)直撃(ちょくげき)()地面(じめん)(たた)きつけられた。


「はははは、四転巅峰(してんてっぽう)(さわ)がれておきながら()(てい)かよ」


場外(じょうがい)では(はや)くも嘲弄(ちょうろう)(こえ)()がった。


公子(こうし)!」


劉文武(りゅうぶんぶ)側近(そっきん)焦燥(しょうそう)(いろ)()かべて進言(しんげん)した。


黒繍衣(こくしゅうい)(もう)すは黒旗軍(こっきぐん)三大統領(さんだいとうりょう)(ひと)り、四転高階(してんこうかい)蛊師(こし)にて、防御(ぼうぎょ)最得意(さいとくい)(いた)します。墨獅狂(ぼくしきょう)殿(どの)一旦(いったん)召還(しょうかん)されては?」


(かま)わぬ。」劉文武(りゅうぶんぶ)(かす)かな冷笑(れいしょう)()かべ、黒楼蘭(こくろうらん)場内(じょうない)黒繍衣(こくしゅうい)(なが)めながら()った。「()三弟(さんてい)戦闘狂(せんとうきょう)性分(しょうぶん)(つよ)(てき)ほど()()がるのだ。ふふ、(つぎ)こそ面白(おもしろ)展開(てんかい)となるぞ。」


「ははは……痛快(つうかい)だ、(じつ)痛快(つうかい)だ!」墨獅狂(ぼくしきょう)突然(とつぜん)豪放(ごうほう)(わら)(ごえ)()げ、悠々(ゆうゆう)と地面(じめん)から()()がった。


(かれ)両目(りょうめ)(ほのお)(ごと)赤色(あかいろ)()まり、黒繍衣(こくしゅうい)灼熱(しゃくねつ)眼差(まなざ)しで(にら)()けた。


「中々(なかなか)面白(おもしろ)い。本気(ほんき)半分(はんぶん)使(つか)価値(かち)がある。」墨獅狂(ぼくしきょう)真剣(しんけん)()げた。


黒繍衣(こくしゅうい)当然(とうぜん)不快(ふかい)(しめ)した。「(ふん)大言壮語(たいげんそうご)め。存分(ぞんぶん)()かって()い!」


「うおおお──っ!」


墨獅狂(ぼくしきょう)雄躯(ゆうく)(ふる)え、獅子(しし)(とら)(くま)(ぞう)(ごと)非人(ひじん)的な気勢(きせい)(ほとば)()し、観衆(かんしゅう)心胆(しんたん)(ふる)わした。


ビュッ!


(かれ)(もう)()つように高空(こうくう)(やく)()がり、魔神(ましん)(ごと)(てん)()威勢(いせい)で、(みずか)らの右足(みぎあし)(たか)(かか)げた。


覚悟(かくご)しろ!」


興奮(こうふん)雄叫(おたけ)びを()げると、右足(みぎあし)黒繍衣(こくしゅうい)めがけて猛然(もうぜん)()()ろした。


ヒュウッ!


風音(かざおと)(うそぶ)き、磅礴(ぼうはく)たる大気(たいき)巨大(きょだい)足底(そくてい)へと凝縮(ぎょうしゅう)する。


()足形(あしがた)(おか)(ごと)巨大(きょだい)で、(かす)かに透明(とうめい)ながら、比類(ひるい)なき剛猛(ごうもう)兇悍(きょうかん)()(まとい)疾風(しっぷう)(ごと)落下(らっか)してきた。


()(よう)攻撃(こうげき)は!」


一瞬(いっしゅん)黒繍衣(こくしゅうい)のみならず、黒楼蘭(こくろうらん)らも()見開(みひら)いた。「防御(ぼうぎょ)せよ、全力(ぜんりょく)()くせ!!」


場内(じょうない)維持(いじ)担当(たんとう)する数名(すうめい)三転蛊師(さんてんこし)たちが絶叫(ぜっきょう)した。


巨足(きょそく)()()ろされる(なか)黒繍衣(こくしゅうい)()()(しば)り、(あわ)てて五十六枚(ごじゅうろくまい)飛骨盾牌(ひこつじゅんぱい)()()てた。


(しか)飛骨盾牌(ひこつじゅんぱい)瞬時(またた)()()たず、巨足(きょそく)踏圧(とうあつ)(さら)されて粉微塵(こなみじん)()した!


(つづ)いて、山岳(さんがく)(ごと)巨足(きょそく)怒涛(どとう)(いきお)いで落下(らっか)する。


蒼緑(そうりょく)光輪(こうりん)瞬時(しゅんじ)崩壊(ほうかい)し、九枚(きゅうまい)鬼面(きめん)必死(ひっし)吸収(きゅうしゅう)(こころ)みるも、(ちから)十分(じゅうぶん)(いち)()()とすのみで、次々(つぎつぎ)に()()った。


乱気流(らんきりゅう)拡散(かくさん)しようとするも、巨足(きょそく)容赦(ようしゃ)なく(あっ)(つぶ)される。


黒繍衣(こくしゅうい)(あらが)(よう)のない圧力(あつりょく)背骨(せぼね)にのし()かるのを(かん)じた。()()ろうとしたが力及(ちからおよ)ばず、数回(すうかい)呼吸(こきゅう)()たず地面(じめん)()(たお)された。


(かれ)代名詞(だいめいし)である黒鉄甲冑(こくてつかっちゅう)は、巨大(きょだい)圧力(あつりょく)によって粉塵(ふんじん)()した。


グギギ……


(ほね)断裂音(だんれつおん)()()なく(ひび)(わた)る。大量(たいりょう)内出血(ないしゅっけつ)黒繍衣(こくしゅうい)七孔(しちこう)から(ほとば)()た。


巨大(きょだい)(ちから)(さら)周囲(しゅうい)拡大(かくだい)し、数名(すうめい)防御蛊師(ぼうぎょこし)(いのち)()けて光膜(こうまく)(かろ)うじて(たも)ち、崩壊(ほうかい)(まぬが)れた。


煙塵(えんじん)()った(あと)黒繍衣(こくしゅうい)()んだ(いぬ)(ごと)微動(びどう)だにせず地面(じめん)(たお)れ、気息(きそく)奄奄(えんえん)であった。


黒楼蘭(こくろうらん)顔色(かおいろ)瞬時(しゅんじ)()わり、どんと(せき)から立ち()がった。黒繍衣(こくしゅうい)(かれ)直系(ちょっけい)であり、黒旗軍(こっきぐん)三大統領(さんだいとうりょう)一人(ひとり)でもある。(かれ)(うしな)えば、黒旗軍(こっきぐん)戦力(せんりょく)(すく)なくとも二割減(にわりへ)る。同時(どうじ)に、黒繍衣(こくしゅうい)黒家(こくけ)太上家老(たいじょうかろう)重姪孫(じゅうてっそん)末子(まっし)であり、縁故関係(えんこかんけい)重要(じゅうよう)なのである。


黒楼蘭(こくろうらん)墨獅狂(ぼくしきょう)()(ほど)(つよ)いとは(ゆめ)にも(おも)わず、先程(さきほど)一撃(いちげき)(ほとん)五転蛊師(ごてんこし)への越階挑戰(えっかいちょうせん)()える威力(いりょく)だった。


黒繍衣(こくしゅうい)見捨(みす)てる(わけ)にはいかない。黒楼蘭(こくろうらん)指先(ゆびさき)指示(しじ)し、(あわ)てて命令(めいれい)(くだ)した。「(もの)(ども)()ぐに黒繍衣(こくしゅうい)奪回(だっかい)せよ!」


瞬時(しゅんじ)二人(ふたり)(かげ)()()した。(いず)れも三転蛊師(さんてんこし)である。


防御蛊師(ぼうぎょこし)たちは一瞬(いっしゅん)躊躇(ちゅうちょ)したが、黒楼蘭(こくろうらん)(かたき)(まわ)すことを()け、阻止(そし)せずに光膜(こうまく)(ゆる)めた。


公子(こうし)()黒楼蘭(こくろうらん)恥知(はじし)らずにも規律(きりつ)(やぶ)ろうとしております!(わたし)出陣(しゅつじん)させてください!」


劉家(りゅうけ)長老(ちょうろう)一人(ひとり)憤慨(ふんがい)(こえ)()()げた。


(しか)劉文武(りゅうぶんぶ)(かる)(わら)った。「(かま)わぬ。彼等(かれら)存分(ぞんぶん)()義弟(ぎてい)実力(じつりょく)(あじ)わわせよ。」


鼠輩(そはい)め!」


墨獅狂(ぼくしきょう)怒号(どごう)一声(いっせん)()(いか)らせて力強(ちからづよ)右腕(みぎうで)()りかざした。


()(うで)千鈞(せんきん)(おも)みを()(ごと)く、(しず)(ゆる)やかな力感(りきかん)観衆(かんしゅう)(あた)えた。


(なが)五丈(ごじょう)(はば)一丈(いちじょう)(ちか)巨大(きょだい)気流(きりゅう)(うで)が、呆然(ぼうぜん)見守(みまも)観衆(かんしゅう)(まえ)(すみ)やかに形成(けいせい)された。


ヒュウ……


瞬時(しゅんじ)気流(きりゅう)(うで)龍吟虎嘯(りゅうぎんこしょう)(ごと)き、あるいは颶風(ぐふう)()(すさ)(おと)(はっ)しながら(うご)()した。


巨大(きょだい)気流(きりゅう)(うで)猛烈(もうれつ)()()らし、猖狂(しょうきょう)()(ひろ)がり、(やま)()えば(やま)(くず)し、(うみ)()えば(うみ)(かき)(みだ)(いきお)いだ!


救援(きゅうえん)()()けた二人(ふたり)三転蛊師(さんてんこし)は、(はえ)(ごと)巨大(きょだい)気流(きりゅう)(うで)(はげ)しく(はら)()ばされた。


気流(きりゅう)(うで)(つづ)けて場内(じょうない)掃討(そうとう)し、驚愕(きょうがく)(さけ)びと悲鳴(ひめい)突如(とつじょ)として()()こった。


無数(むすう)観戦蛊師(かんせんこし)回避(かいひ)(おそ)れ、気流(きりゅう)(うで)激突(げきとつ)して肉塊(にくかい)()した。黒楼蘭(こくろうらん)らは(あわ)てて後退(こうたい)し、()鋭鋒(えいほう)()けた。


()(もと)めるか!」


(ころ)せ、(やつ)(ころ)せ!」


「我々(われわれ)に()()すとは、全員(ぜんいん)()かってやろう!」


黒楼蘭(こくろうらん)らは鋒先(ほこさき)(かわ)すと、続々(ぞくぞく)と()()し、瞬時(しゅんじ)気流(きりゅう)(うで)()(くだ)いた。


「はははは、()()た!」


墨獅狂(ぼくしきょう)多勢(たぜい)蛊師(こし)()にしても、(かす)かな(おそ)れも(いだ)かず、(かえ)って興奮(こうふん)()し、戦意(せんい)(ほのお)(ごと)()()がった。


(かれ)退(しりぞ)くどころか、(ぎゃく)前進(ぜんしん)し、(やま)()りる猛虎(もうこ)(ごと)鬚髯(しゅぜん)逆立(さかだ)て、黒楼蘭(こくろうらん)らへ()けて突進(とっしん)した。


「しまった、三弟(さんてい)がまた戦闘狂状態(せんとうきょうじょうたい)(おちい)った。」


劉文武(りゅうぶんぶ)はもはや冷静(れいせい)ではいられず、()()りながら(さけ)んだ。「諸君(しょくん)(われ)(とも)援護(えんご)せよ!」


劉家(りゅうけ)戦場(せんじょう)参入(さんにゅう)し、英雄大会(えいゆうたいかい)(またた)く間に混沌(こんとん)()した。前代未聞(ぜんだいみもん)大乱戦(だいらんせん)爆発(ばくはつ)的に展開(てんかい)する(なか)墨獅狂(ぼくしきょう)戦場(せんじょう)縦横無尽(じゅうおうむじん)()(めぐ)り、黒楼蘭(こくろうらん)らは(かろ)うじて黒繍衣(こくしゅうい)奪回(だっかい)成功(せいこう)した。


柴家(さいけ)蛊師(こし)たちは水魔浩激流(すいまこうげきりゅう)標的(ひょうてき)執拗(しつよう)攻撃(こうげき)(つづ)け、元々(もともと)重傷(じゅうしょう)()っていた浩激流(こうげきりゅう)()(まど)うしかなかった……


場面(ばめん)完全(かんぜん)混乱状態(こんらんじょうたい)(おちい)った。


「しまった!()れは英雄大会(えいゆうたいかい)()だ、()(ほど)激戦(げきせん)(ゆる)せぬ。損害(そんがい)が大き(おおき)すぎれば、如何(いか)にして王庭(おうてい)(あらそ)えようか!」


如何(どう)すれば良い(よい)?仮令(たとえ)我々(われわれ)が()ったとしても、(あき)らかに惨勝(ざんしょう)だ!」


劉文武(りゅうぶんぶ)黒楼蘭(こくろうらん)二人(ふたり)(とも)不安(ふあん)(おぼ)え、制止(せいし)しようとしたが、(なん)効果(こうか)もなかっ た。


おおおん──!


()(とき)遠方(えんぽう)から一声(いっせい)(するど)蒼涼(そうりょう)たる(おおかみ)遠吠(とおぼ)えが(ひび)(わた)り、獣皇(じゅうこう)風格(ふうかく)(あきら)かに(しめ)した。


おおおん……


(つづ)いて、無数(むすう)(おおかみ)遠吠(とおぼ)えが次々(つぎつぎ)に応酬(おうしゅう)し、その(いきお)いは天地(てんち)(あいだ)にこだまし、豪宕(ごうとう)磅礴(ぼうはく)たる気勢(きせい)(はな)った!








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