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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第八十九節:都给我滚

消耗類(しょうもうるい)()(のぞ)けば、蛊師(こし)最初(さいしょ)選択(せんたく)する蛊虫(こちゅう)が、(すなわ)()本命蛊(ほんめいこ)となる。


本命蛊(ほんめいこ)蛊師(こし)関係(かんけい)(もっと)密接(みっせつ)で、性命(せいめい)()けた修行(しゅぎょう)()うべし。


何方(いずれ)かが深刻(しんこく)打撃(だげき)()ければ、他方(たほう)(かなら)影響(えいきょう)(こうむ)る。


本命蛊(ほんめいこ)には、(ほか)蛊虫(こちゅう)到底(とうてい)(およ)ばない最大(さいだい)利点(りてん)存在(そんざい)する。仮令(たとえ)()煉製(れんせい)失敗(しっぱい)し、反噬(はんせい)如何(いか)深刻(しんこく)であろうとも、(もと)蛊虫(こちゅう)保持(ほじ)できる(てん)である。


(したが)って、大多数(だいたすう)蛊師(こし)本命蛊(ほんめいこ)核心蛊(かくしんこ)として(あつか)う。一般(いっぱん)に、蛊師(こし)手中(しゅちゅう)(ゆう)する最強(さいきょう)蛊虫(こちゅう)は、(すなわ)()本命蛊(ほんめいこ)なのである。


本命蛊(ほんめいこ)一旦(いったん)形成(けいせい)されれば、変更(へんこう)するのは(きわ)めて困難(こんなん)である。


(ただ)し、()状況(じょうきょう)絶対的(ぜったいてき)なものではない。


蛊師(こし)極上(ごくじょう)蛊虫(こちゅう)()()れ、本命蛊(ほんめいこ)として(そだ)てたいと(のぞ)むならば、(もと)本命蛊(ほんめいこ)破棄(はき)せねばならない。


(ただ)()行為(こうい)(きわ)めて危険(きけん)である。


本命蛊(ほんめいこ)一旦(いったん)破棄(はき)すれば、蛊師(こし)深刻(しんこく)連累(れんるい)()ける。(かる)くとも重体(じゅうたい)(おちい)り、(おも)ければ即死(そくし)すら()()る。


再誕(さいたん)()方源(ほうげん)本命蛊(ほんめいこ)春秋蝉(しゅんじゅうせみ)となり、(かれ)第一空竅(だいいちくうきょう)中央(ちゅうおう)沉睡(ちんすい)し、最早(もはや)移動(いどう)することはできない。


(いま)(かれ)第二空竅(だいにくうきょう)獲得(かくとく)したことで、第二(だいに)本命蛊(ほんめいこ)選択(せんたく)する機会(きかい)(ひと)()た。


蛊方(こほう)から推測(すいそく)出来(でき)たものの、実際(じっさい)()選択肢(せんたくし)存在(そんざい)することを()り、方源(ほうげん)狂喜(きょうき)した。


一体(いったい)どの蛊虫(こちゅう)選定(せんてい)し、(かぎ)となる第二(だいに)本命蛊(ほんめいこ)とすべきか?


仙蛊(せんこ)()(さき)除外(じょがい)せねばならない。


第二空竅(だいにくうきょう)三転(さんてん)凡竅(ぼんきょう)()ぎず、仙蛊(せんこ)収納(しゅうのう)するには(むずか)しい。春秋蝉(しゅんじゅうせみ)特例(とくれい)である。


春秋蝉(しゅんじゅうせみ)(のぞ)けば、方源(ほうげん)定仙游蛊(ていせんゆうこ)和泥仙蛊(わでいせんこ)二匹(にひき)仙蛊(せんこ)(ゆう)している。


(ただ)和泥仙蛊(わでいせんこ)一回限(いっかいかぎ)りの使用(しよう)しかできず、本命蛊(ほんめいこ)として使用(しよう)した(あと)消失(しょうしつ)すれば方源(ほうげん)(かなら)重体(じゅうたい)(おちい)る。()(よう)愚行(ぐこう)を、方源(ほうげん)(おこな)(わけ)がない。


定仙游蛊(ていせんゆうこ)(いた)っては、(はる)腐毒草原(ふどくそうげん)()り、(いま)(ろん)ずるに()らぬ。


(しば)しの躊躇(ちゅうちょ)もなく、方源(ほうげん)決断(けつだん)(くだ)した。


それが三転(さんてん)の『全力以赴蛊(ぜんりょくいふこ)』だ!


(かれ)力道(りきどう)奴道(どどう)双修(そうしゅう)目指(めざ)す。全力以赴蛊(ぜんりょくいふこ)必須(ひっす)であり、最適(さいてき)力道核心(りきどうかくしん)である。


以前(いぜん)方源(ほうげん)百戦不殆蛊(ひゃくせんふたいこ)(はか)ったのは、煉蛊(れんこ)過程(かてい)全力以赴蛊(ぜんりょくいふこ)安全(あんぜん)確保(かくほ)するためだった。


しかし、様々(さまざま)な陰差陽錯(いんさいようさく)情勢(じょうせい)逼迫(ひっぱく)により、方源(ほうげん)()むなく百戦不殆蛊(ひゃくせんふたいこ)仙蛊(せんこ)定仙游(ていせんゆう)煉製(れんせい)転用(てんよう)せざるを得なかった。


全力以赴蛊(ぜんりょくいふこ)第二(だいに)本命蛊(ほんめいこ)となれば、方源(ほうげん)煉蛊失敗(れんこしっぱい)後にこの貴重(きちょう)()(うしな)心配(しんぱい)はなくなる。


二日間(ふつかかん)は、(またた)()()()った。


狐仙福地(こせんふくち)()方源(ほうげん)は、星門蛊(せいもんこ)()(ふたた)北原(ほくげん)へと(もど)った。


狐仙福地(こせんふくち)外界(がいかい)時間(じかん)(なが)れが(こと)なり、内部(ないぶ)では五倍(ごばい)(はや)さで(とき)経過(けいか)する。方源(ほうげん)福地(ふくち)二日(ふつか)()ごした(あいだ)北原(ほくげん)では(よる)()けたばかりだった。


丁度(ちょうど)夜明(よあ)(どき)


地平線(ちへいせん)には、(やわ)らかな(あわ)(むらさき)と、(うお)白子(しらこ)のような(しろ)さが(ひろ)がっている。


()(じょ)じょに(のぼ)るにつれ、(とお)くの野原(のはら)()えている(くさ)は、(もと)(くろ)ずんだ森色(もりいろ)から、(じょ)じょに(つや)やかな(みどり)へと()わっていった。


三日月湖(みかづきこ)水面(すいめん)は、きらめく(なみ)黄金(こがね)(かがや)きを(はな)っている。


朝日(あさひ)(ひかり)方源(ほうげん)(かお)()らす。(かれ)(ほほ)えみ、視線(しせん)(そば)(てん)じた。


以前(いぜん)(まば)らだった狼群(おおかみむれ)が、(ふたた)充実(じゅうじつ)し、(おお)くの(しろ)狼影(おおかみかげ)(おぎな)われている。


これらは(みな)水狼(みずおおかみ)で、規模(きぼ)(すで)一萬頭(いちまんとう)突破(とっぱ)し、一頭(いっとう)水狼万獣王(みずおおかみばんじゅうおう)統率(とうそつ)し、()麾下(きか)には六頭(ろくとう)千狼王(せんろうおう)がいる。


()の他の朱炎狼群(しゅえんろうぐん)夜狼群(やろうぐん)異獣狼(いじゅうろう)などは、方源(ほうげん)()えて携帯(けいたい)しなかった。


一度(いちど)に全て(すべて)を()()せば、(あま)りにも目立(めだ)()ぎ、不自然(ふしぜん)(きわ)まりないからだ。


方源(ほうげん)常山陰(じょうさんいん)(よそお)っているのは、()身分(みぶん)(うま)活用(かつよう)する(ため)であり、露見(ろけん)()けねばならない。


しかし水狼(みずおおかみ)(べつ)だ。方源(ほうげん)此度(こたび)行動(こうどう)対外(たいがい)(のたま)っているのは、野生(やせい)水狼群(みずおおかみむれ)編入(へんにゅう)する(こと)である。水狼(みずおおかみ)出現(しゅつげん)説明(せつめい)()くが、()夜狼獣皇(やろうじゅうこう)異獣狼(いじゅうろう)(あらわ)れれば、辻褄(つじつま)()わなくなる。


(つぎ)野生(やせい)水狼群(みずおおかみむれ)編入(へんにゅう)続行(けいこう)する。」


方源(ほうげん)駝狼(だろう)(また)がり、一念(いちねん)狼群(おおかみむれ)再起動(さいきどう)させると、隊列(たいれつ)浩浩蕩蕩(こうこうとうとう)(つぎ)目的地(もくてきち)殺到(さっとう)した。


三日後(みっかご)三日月湖(みかづきこ)湖畔(こはん)一隅(いちぐう)にて。


二組(にくみ)蛊師(こし)(するど)眼光(がんこう)対峙(たいじ)していた。


仲費尤(ちゅうひゆう)()仲家(ちゅうけ)(ひと)でなしにも(ほど)がある!()五匹(ごひき)黒甲肥虫(こっこうひちゅう)(あき)らかに()(ぞく)(もの)、白昼堂々(はくちゅうどうどう)にも(うば)()ろうとは!」


一方(いっぽう)族長(ぞくちょう)柴章(さいしょう)怒号(どごう)(はな)った。


戯言(たわごと)()うな!当初(とうしょ)、我々(われわれ)二家(にか)隣接(りんせつ)して居住(きょじゅう)し、()水狼(みずおおかみ)()(さかい)とする約定(やくてい)()わされている。(ゆえ)に、此処(ここ)()柴家(さいけ)縄張(なわば)りだ。()五匹(ごひき)黒甲肥虫(こっこうひちゅう)が、仲家(ちゅうけ)縄張(なわば)りに侵入(しんにゅう)した以上(いじょう)当然(とうぜん)仲家(ちゅうけ)(もの)となる!」


仲家(ちゅうけ)族長(ぞくちょう)仲費尤(ちゅうひゆう)()ややかな(わら)いを()らした。


柴家(さいけ)蛊師(こし)たちは()言葉(ことば)()き、一人残(ひとりのこ)らず憤慨(ふんがい)(いろ)()かべた。


柴章(さいしょう)(かお)真赤(まっか)()めて叱責(しっせき)した。「厚かましい!()柴家(さいけ)本日(ほんじつ)陣営(じんえい)撤収(てっしゅう)英雄大会(えいゆうたいかい)(おもむ)(ため)当然(とうぜん)貴様(きさま)らが支配(しはい)する地域(ちいき)通過(つうか)せねばならぬのだ!」


仲費尤(ちゅうひゆう)()寒光(かんこう)宿(やど)らせ、口元(くちもと)(ゆが)めて()(はな)った。「だとすれば、()れは貴様(きさま)柴家(さいけ)落度(おちど)だ。迂回(うかい)する()だってあっただろうに、何故(なぜ)()()陣門(じんもん)(まえ)(えら)んだのだ?」


柴家(さいけ)蛊師(こし)たちは(みな)(いか)りで(ふる)えていた。仲家(ちゅうけ)陣営(じんえい)要所(ようしょ)()める狡猾(こうかつ)位置(いち)にあり、迂回(うかい)すれば(すく)なくとも()つの万獣群(ばんじゅうぐん)()()ける。仲家(ちゅうけ)()行為(こうい)は、(あき)らかに故意(こい)恐喝(きょうかつ)だ。


仲費尤(ちゅうひゆう)()のケチくさい真似(まね)()()ぎると(おも)わんか?」柴章(さいしょう)()()(しば)り、(うら)みを()めて(つば)()くように()った。


仲費尤(ちゅうひゆう)平然(へいぜん)(かた)(すく)めて()ややかに(わら)った。「不満(ふまん)なら、手合(てあ)わせしてやろう。柴家(さいけ)実力(じつりょく)とやらを拝見(はいけん)させてもらうか。」


柴家(さいけ)蛊師(こし)たちの気勢(きせい)一瞬(いっしゅん)(しぼ)んだ。


柴家(さいけ)小規模部族(しょうきぼぶぞく)であるが、仲家(ちゅうけ)二年前(にねんまえ)中規模部族(ちゅうきぼぶぞく)へと拡大(かくだい)していた。


仲家(ちゅうけ)強勢(きょうせい)である以上(いじょう)(あらそ)いになれば柴家(さいけ)(そん)をするのは必定(ひつじょう)だった!


柴家(さいけ)族長(ぞくちょう)として、柴章(さいしょう)()(てん)十分(じゅうぶん)理解(りかい)していた。(かれ)退(しりぞ)きたかったが、三匹(さんびき)黒甲肥虫(こっこうひちゅう)には一族(いちぞく)(もっと)貴重(きちょう)物資(ぶっし)()まれている。


()れら物資(ぶっし)は、柴家(さいけ)劉文武(りゅうぶんぶ)帰属(きぞく)する(ため)に、心血(しんけつ)(そそ)いで(あつ)めた品々(しなじな)である。放棄(ほうき)すれば、柴章(さいしょう)としては断腸(だんちょう)(おも)いだった。


(たたか)うべきか、退(しりぞ)くべきか?


両者(りょうしゃ)対峙(たいじ)して柴章(さいしょう)躊躇(ちゅうちょ)(しず)(なか)(とお)くから(おおかみ)遠吠(とおぼ)えが(ひび)(わた)った。


ウォォォ…


(おおかみ)遠吠(とおぼ)えが次々(つぎつぎ)に(ひび)き、途切(とぎ)れることなく(つづ)く。同時(どうじ)に、大量(たいりょう)獣群(けものむれ)()(めぐ)足音(あしおと)(かぜ)()って人々(ひとびと)の(みみ)(とど)いた。


()れほどの規模(きぼ)は…」


狼群(おおかみむれ)だ!」


(いま)真昼(まひる)で、此処(ここ)水狼(みずおおかみ)()(ちか)く。まさか野生(やせい)狼群(おおかみむれ)(あらわ)れるとは?」


仲家(ちゅうけ)柴家(さいけ)(もの)たちは一様(いちよう)大敵(たいてき)()にした(ごと)く、(あわ)てて視線(しせん)音源(おんげん)(ほう)()けた。


其処(そこ)には、狼群(おおかみむれ)濁流(だくりゅう)(ごと)()()せ、疎林(そりん)蹂躙(じゅうりん)しながら、群衆(ぐんしゅう)目掛(めが)けて怒涛(どとう)(いきお)いで(おそ)(きた)っていた。


狼群(おおかみむれ)(なか)には、俊足(しゅんそく)夜狼(やろう)防御力(ぼうぎょりょく)(すぐ)れた亀甲狼(きっこうろう)(かぜ)()ける風狼(ふうろう)がいる。(さら)(おお)くは白毛(しろげ)水狼(みずおおかみ)()められていた。


異種(いしゅ)狼群(おおかみむれ)()(ほど)調和(ちょうわ)して集結(しゅうけつ)し、大軍(たいぐん)()光景(こうけい)は、唯一(ゆいいつ)理由(りゆう)しか考えられない。


柴章(さいしょう)胸中(きょうちゅう)で「どきり」と(おと)がした。瞬時(またた)()(かれ)(おも)()かべた(ひと)――常山陰(じょうさんいん)


仲費尤(ちゅうひゆう)顔色(かおいろ)(くも)り、苦々(にがにが)しい表情(ひょうじょう)()わった。


仲家(ちゅうけ)劉文武(りゅうぶんぶ)公子(こうし)への帰属(きぞく)画策(かくさく)しており、柴家(さいけ)物資(ぶっし)(ねら)っていた。(おも)わぬ緊急事態(きんきゅうじたい)に、乱入者(らんにゅうしゃ)(あらわ)れるとは!


狼群(おおかみむれ)近付(ちかづ)くにつれ、両家(りょうけ)蛊師(こし)たちは不安(ふあん)げに(さわ)(はじ)めた。


(なん)膨大(ぼうだい)狼群(おおかみむれ)だ!」(だれ)かが(おも)わず驚叫(きょうきょう)()げた。


「すう…こ(こ)の規模(きぼ)は、亀甲狼(きっこうろう)(すく)なくとも二万八千頭(にまんはっせんとう)夜狼(やろう)一万五千頭(いちまんごせんとう)風狼(ふうろう)夜狼(やろう)より(さら)(おお)く、水狼(みずおおかみ)(もっと)も多く三万二千頭(さんまんにせんとう)(ほど)か。」経験豊富(けいけんほうふ)(もの)(するど)(いき)()み、大雑把(おおざっぱ)推量(すいりょう)してみせた。


狼群(おおかみむれ)(じつ)多勢(たぜい)で、怒涛(どとう)(ごと)(ひろ)がりながら半月形(はんげつけい)包囲網(ほういもう)形作(かたちづく)り、両族(りょうぞく)蛊師(こし)たちを(つつ)()んだ。


(またた)()に、仲家(ちゅうけ)柴家(さいけ)蛊師(こし)たちは狼群(おおかみむれ)包囲(ほうい)され、背後(はいご)三日月湖(みかづきこ)(ふさ)がれて、窮地(きゅうち)()たされた。


常山陰(じょうさんいん)(はい)(かい)(てい)三家(さんか)()めて甚大(じんだい)損害(そんがい)()けたと()いていたのに、何故(なぜ)(いま)()(ほど)(おおかみ)(ゆう)しているのか?」柴章(さいしょう)(くちびる)(かわ)いた。狼群(おおかみむれ)隙間(すきま)なく(ひろ)がり、彼等(かれら)包囲(ほうい)するのみならず、(もり)(おく)には(さら)多数(たすう)(おおかみ)(ひそ)んでいて、(かす)んでぼんやりとしか()えなかった。


仲費尤(ちゅうひゆう)は、(つよ)きを(たの)んで(よわ)きをくじくという先程(さきほど)余裕(よゆう)あふれた態度(たいど)完全(かんぜん)()(うせ)っていた。狼群(おおかみむれ)(なか)数多(あまた)千獣王(せんじゅうおう)万獣王(ばんじゅうおう)()るにつけ、(かれ)心臓(しんぞう)(のど)(もと)まで()()がりそうだった。


奴道(どどう)(ほか)流派(りゅうは)とは(こと)なり、往々(おうおう)にして一匹(いっぴき)戦局(せんきょく)一変(いっぺん)させ()る。


普通(ふつう)奴道蛊師(どどうこし)でさえ(あなど)れない。ましてや常山陰(じょうさんいん)ともなると!


仲費尤(ちゅうひゆう)(いた)(ほど)理解(りかい)していた——眼前(がんぜん)狼群(おおかみむれ)は、(かれ)仲家(ちゅうけ)二度(にど)三度(さんど)殲滅(せんめつ)するに十分(じゅうぶん)規模(きぼ)だと!


何故(なぜ)なら彼等(かれら)(いま)野外(やがい)にあり、周囲(しゅうい)(まも)るべき(けわ)しい地形(ちけい)()い。陣営(じんえい)城壁(じょうへき)()ければ、縦深(じゅうしん)()く、休息(きゅうそく)する時間(じかん)も、真元(しんげん)回復(かいふく)する時間(じかん)()いのだ。


一頭(いっとう)駝狼(だろう)が、方源(ほうげん)()せて、小森(こもり)からよろよろと(あらわ)れ、人々(ひとびと)の眼前(がんぜん)姿(すがた)(あらわ)した。


常山陰(じょうさんいん)!」仲費尤(ちゅうひゆう)柴章(さいしょう)同時(どうじ)(こえ)()げた。


瞬時(しゅんじ)無数(むすう)視線(しせん)方源(ほうげん)(かお)(あつ)まった。


方源(ほうげん)無表情(むひょうじょう)駝狼(だろう)()(すわ)り、往年(おうねん)常山陰(じょうさんいん)習慣(しゅうかん)(したが)って、上体(じょうたい)(ぼう)のように真直(まっす)ぐに()ばしていた。


(かれ)()()(ごと)(するど)く、人々(ひとびと)を掃視(そうし)したが、一言(ひとこと)(はっ)しなかった。しかし、(きん)()めた口元(くちもと)が、常山陰(じょうさんいん)孤高(ここう)気質(きしつ)(あま)すところなく(えん)()っていた。


仲家(ちゅうけ)柴家(さいけ)蛊師(こし)たちは、(こえ)()せなかった。心中(しんちゅう)巨石(きょせき)()()かっているようで、空気(くうき)凝滞(ぎょうたい)し、(いき)(くる)しいほどだった。


(とく)狼王(ろうおう)常山陰(じょうさんいん)一晩(ひとばん)三家(さんか)連破(れんぱ)した戦績(せんせき)(おも)()かべると、(おお)くの(もの)身体(からだ)(かす)かに(ふる)(はじ)めた。


裴家(はいけ)貝家(かいけ)鄭家(ていけ)()三家(さんか)(みな)積年(せきねん)中型部族(ちゅうがたぶぞく)である。(しか)るに柴家(さいけ)小規模部族(しょうきぼぶぞく)()ぎず、仲家(ちゅうけ)中型部族(ちゅうがたぶぞく)昇格(しょうかく)したばかりの新参(しんざん)()ぎないのだ。


仲費尤(ちゅうひゆう)柴章(さいしょう)(おも)わず視線(しせん)()わし、(たが)いの(ひとみ)()かぶ(おも)みと、協力(きょうりょく)意思(いし)()()った。


二人(ふたり)心中(しんちゅう)には(おな)じ苦々(にがにが)しさが去来(きょらい)した。(いま)しがたまで(あらそ)っていた両者(りょうしゃ)が、(いま)になって協力(きょうりょく)模索(もさく)(はじ)めるとは。運命(うんめい)悪戯(いたずら)とでも()うべきか、苦笑(にがわら)いを(きん)()ない状況(じょうきょう)だった。


常山陰様(じょうさんいんさま)()御威名(ごいめい)(わたし)仲費尤(ちゅうひゆう)、かねがね(かしこ)まっております……」仲費尤(ちゅうひゆう)()()(しば)り、群衆(ぐんしゅう)から一歩(いっぽ)()()して方源(ほうげん)(ふか)一礼(いちれい)した。


誰一人(だれひとり)として、一族(いちぞく)(おさ)である仲費尤(ちゅうひゆう)()行為(こうい)不適切(ふてきせつ)だとは(おも)わなかった。相手(あいて)常山陰(じょうさんいん)だからだ!


しかし仲費尤(ちゅうひゆう)言葉(ことば)()()わらぬ(うち)に、方源(ほうげん)()()って淡々(たんたん)と(くち)(ひら)いた。「全部(ぜんぶ)()ていけ!邪魔(じゃま)するな!」


仲費尤(ちゅうひゆう)(ひとみ)突然(とつぜん)見開(みひら)き、その眼差(まなざ)しには(かく)しきれない羞恥(しゅうち)(いか)りが宿(やど)っていた。


しかし(かれ)(なに)反論(はんろん)せず、ただうつむいて方源(ほうげん)()かって(ふたた)一礼(いちれい)すると、()(かえ)仲家(ちゅうけ)蛊師(こし)たちを召集(しょうしゅう)した。「撤収(てっしゅう)せよ」。


柴章(さいしょう)はその様子(ようす)(さっ)して(あわ)てて(さけ)んだ。「我々(われわれ)も撤退(てったい)だ!」


瞬時(しゅんじ)、人々(ひとびと)は雪崩(なだ)()むように散開(さんかい)し、蛊師(こし)たちは足早(あしばや)遠方(えんぽう)撤退(てったい)していった。


()もなく、(もと)(ひと)()()くされていた湖畔(こはん)には、狼群(おおかみむれ)方源(ほうげん)ただ一人(ひとり)だけが(のこ)された。


当然(とうぜん)(うご)きの(おそ)三匹(さんびき)黒甲肥虫(こっこうひちゅう)()()りにされていた。


方源(ほうげん)()れら三匹(さんびき)黒甲肥虫(こっこうひちゅう)一瞥(いちべつ)したが、(まった)()()めなかった。二部族(にぶぞく)(あらそ)うほどの(もの)でも、(かれ)にとっては()るに()らないものだ。


(かれ)()()るうと、水狼群(みずおおかみむれ)一斉(いっせい)(みずうみ)()()み、湖畔(こはん)にある水狼(みずおおかみ)巣穴(すあな)()けて包囲攻撃(ほういこうげき)仕掛(しか)(はじ)めた。













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