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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第八十四節:对常山阴的议论

大勝(たいしょう)(おさ)めたにも(かか)わらず、馬英傑(ばえいけつ)一片(いっぺん)(おご)りも()せず、むしろ沈思(ちんし)するように()った:「暖沼谷(だんしょうこく)(まも)(やす)()(がた)い。広大(こうだい)暖泥(だんでい)(ゆう)する。北原(ほくげん)暴風雪(ぼうふうせつ)(おそ)おうとしている(いま)此処(ここ)天然(てんねん)避難所(ひなんじょ)となる。()一族(いちぞく)()れを()()れたことで、拠点(きょてん)確保(かくほ)した。攻勢(こうせい)()るも()し、守勢(しゅせい)(まわ)るも()し!」


「しかし、(わたし)(さら)(よろこ)んでいるのは、二十万頭(にじゅうまんとう)(あま)りの恐爪馬(きょうそうま)()にしたことだ。此等(これら)(うま)叔父上(おじうえ)()(わた)れば、馬群(ばぐん)規模(きぼ)(おお)きく拡大(かくだい)させ、()たる英雄大会(えいゆうたいかい)()馬家(ばか)威勢(いせい)(おお)いに(たか)めることだろう!」


(かれ)叔父(おじ)(ほか)ならぬ、当代(とうだい)北原(ほくげん)三大(さんだい)馭獣大師(ぎょじゅうだいし)一人(ひとり)である馬尊(ばそん)その(ひと)であった!


馬尊(ばそん)()()がると、馬家(ばか)蛊師(こし)たちの(かお)には一様(いちよう)敬服(けいふく)(いろ)()かんだ。


出発(しゅっぱつ)(まえ)に、叔父上(おじうえ)(わたし)にこう()()かせた――()馬家(ばか)大規模部族(だいきぼぶぞく)になるまでには、容易(ようい)ならぬ(みち)のりだった。幾世代(いくせだい)にも(わた)百年(ひゃくねん)蓄積(ちくせき)努力(どりょく)、そして非凡(ひぼん)(うん)(めぐ)まれて、ようやく今日(こんにち)(むか)えたのだと。しかし部族(ぶぞく)(おお)きくなるほど、()基盤(きばん)(まも)るのは一層(いっそう)困難(こんなん)になる。(たと)暖沼谷(だんしょうこく)()()れても、それは(たん)火種(ひだね)保存(ほぞん)する拠点(きょてん)()たに()ぎない。全族(ぜんぞく)()(まも)り、(さら)発展(はってん)(もと)めるならば、王庭(おうてい)手中(しゅちゅう)(おさ)める以外(いがい)(みち)はないのだと。」


馬英傑(ばえいけつ)一同(いちどう)見渡(みわた)し、(さら)言葉(ことば)(つづ)けた:「王庭福地(おうていふくち)巨陽仙尊(きょようせんそん)子孫(しそん)(のこ)した恩恵(おんけい)である。特にあの八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)には、仙尊(せんそん)()遺産(いさん)(ねむ)っている!叔父上(おじうえ)によれば、()()血脈(けつみゃく)(すで)八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)()基準(きじゅん)()たしているという。()仙尊(せんそん)遺産(いさん)獲得(かくとく)できれば、将来(しょうらい)蛊仙(こせん)として大成(たいせい)し、()馬家(ばか)北原(ほくげん)(あら)たなスーパー家族(かぞく)となれるのだ!」


「スーパー家族(かぞく)とは……」


その()()いて、馬家(ばか)(もの)たちの(かお)には(あこが)れの(いろ)()かんだ。


少族長(しょうぞくちょう)貴方(あなた)()(ぞく)百年(ひゃくねん)一度(いちど)天才(てんさい)です。(ぞく)未来(みらい)貴方(あなた)双肩(そうけん)にかかっています。」


馬尊様(ばそんさま)無口(むくち)ですが、(じつ)家族(かぞく)(おも)い、高瞻遠瞩(こうせんえんしょく)見識(けんしき)をお()ちです……」


()()一切(いっさい)見届(みとど)け、少族長(しょうぞくちょう)(とも)(たたか)えることは、(ほん)(とう)生涯(しょうがい)(ほま)れです!」


少族長(しょうぞくちょう)、どうか我々(われわれ)を(かがや)かしい未来(みらい)へと(みちび)いてください。」


馬家(ばか)蛊師(こし)たちは興奮(こうふん)(こえ)()げた。


馬英傑(ばえいけつ)はほほえんだ。


(じつ)()えば、馬尊(ばそん)一度(いちど)もそんな言葉(ことば)(くち)にしたことはない。この(はなし)は全て(すべて)馬英傑(ばえいけつ)がその()捏造(ねつぞう)したものだった。馬尊(ばそん)威信(いしん)()りることで、馬英傑(ばえいけつ)見事(みごと)自身(じしん)のイメージを格上(ぐうあ)げしたのである。考えてみれば、馬尊(ばそん)でさえ(かれ)(たか)(ひょう)しているというのに、(ほか)(もの)(みと)めないとすれば、それは()(うろこ)がついているも同然(どうぜん)ではないか?


馬英傑(ばえいけつ)は、馬尊(ばそん)()(けん)()って自身(じしん)(だい)()()(かえ)すことなど心配(しんぱい)していなかった。


馬尊(ばそん)風変(ふうが)わりな人物(じんぶつ)で、幼少期(ようしょうき)から(きわ)めて寡黙(かもく)であり、両親(りょうしん)でさえ(おし)ではないかと(うたが)うほど無口(むくち)だった。


(うま)(あい)する(あま)()になっている馬尊(ばそん)は、少年時代(しょうねんじだい)(ぞく)(もの)から「馬痴(ばち)」「馬呆子(ばほうし)」と揶揄(やゆ)されていた。


(かれ)孤高(ここう)性格(せいかく)で、生涯独身(しょうがいどくしん)(とお)し、ただ駿馬(しゅんめ)(あい)し、(つね)馬群(ばぐん)(とも)生活(せいかつ)していた。世俗的権力(せぞくてきけんりょく)俗世(ぞくせ)雑務(ざつむ)には微塵(みじん)関心(かんしん)がなく、興味(きょうみ)()たなかった。


馬英傑(ばえいけつ)(ほし)(ごと)炯炯(けいけい)たる眼光(がんこう)一同(いちどう)見渡(みわた)した:「諸兄(しょけい)(みな)()馬家(ばか)棟梁(とうりょう)であり支柱(しちゅう)であられる。(おお)くの(すぐ)れた(てん)()ち、(わたし)馬英傑(ばえいけつ)(まな)ぶべきところであります。(わたし)(いま)若輩(じゃくはい)()馬家(ばか)(ひと)りで(ささ)えることなどできません。今後(こんご)諸兄(しょけい)のご支援(しえん)(たま)りますよう。」


若様(わかさま)、とんでもないお言葉(ことば)で!」


若様(わかさま)のお言葉(ことば)には、汗顔(かんがん)(いた)りでございます。」


()(まで)若様(わかさま)御姿(おんすがた)は、(ふか)く我々(われわれ)の(こころ)(きざ)まれております。(かなら)ずや若様(わかさま)御側(おんそば)(つか)えて(まい)ります!」


馬家(ばか)(もの)たちは(あわ)てて(こた)えした。


馬英傑(ばえいけつ)(つづ)けて()った:「馬尊(ばそん)叔父上(おじうえ)(わたし)期待(きたい)()せてくださっていますが、八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)仙尊(せんそん)御遺産(ごいさん)()られるかどうかは、(えん)()るところが(おお)きいのです。しかし(たと)(わたし)()期待(きたい)(こた)えられなくとも、真陽楼(しんようろう)以外(いがい)にも、王庭福地(おうていふくち)各所(かくしょ)には歴代(れきだい)蛊師(こし)たちが(のこ)した伝承(でんしょう)数多(あまた)存在(そんざい)します。(ゆえ)に、(れき)して王庭(おうてい)()った家族(かぞく)は、(かなら)ずや全面的(ぜんめんてき)実力(じつりょく)飛躍(ひやく)()げるのです。()れを(おも)(たび)に、(むね)高鳴(たかな)らずにはいられません。」


一同(いちどう)哄笑(こうしょう)した。


(むね)高鳴(たかな)るどころか、()(ろう)()(おも)(たび)に、(おも)わず(つば)()()んでおるほどでござるよ。」


「ははは、若様(わかさま)、どうかご心配(しんぱい)なさらず。一度(いちど)失敗(しっぱい)しても、また(いち)から出直(でなお)せばよい。()馬家(ばか)(もの)(みな)(くっ)しない好漢(こうかん)ぞろいでござる!」


王庭福地(おうていふくち)天梯山(てんていさん)幾分(いくぶん)()ており、蛊師(こし)たちが(つね)其中(そのちゅう)伝承(でんしょう)(のこ)場所(ばしょ)なのである。


北原(ほくげん)環境(かんきょう)苛烈(かれつ)(きわ)め、十年(じゅうねん)一度(いちど)暴風雪(ぼうふうせつ)全土(ぜんど)(おそ)う。暴風(ぼうふう)(やいば)(ごと)一切(いっさい)搜刮(そうかつ)し、野外(やがい)設置(せっち)された数多(あまた)伝承(でんしょう)()れにより損壊(そんかい)する。


(ゆえ)に、伝承(でんしょう)王庭福地(おうていふくち)(ない)(もう)けることは、漸次(ぜんじ)北原(ほくげん)伝統(でんとう)となってきた。王庭福地(おうていふくち)には、八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)仙尊伝承(せんそんでんしょう)以外(いがい)にも、(えん)ある(もの)()多種多様(たしゅたよう)伝承(でんしょう)存在(そんざい)する。


無論(むろん)()(えん)ある(もの)()王庭福地(おうていふくち)(あし)()()れて(はじ)めて、奇縁(きえん)()可能性(かのうせい)(しょう)ずるのである。


暴風雪(ぼうふうせつ)()平穏(へいおん)生活(せいかつ)できる福地(ふくち)、そして各所(かくしょ)散在(さんざい)する大小(だいしょう)伝承(でんしょう)——()れら(ゆえ)に、每次(まいじ)王庭争奪戦(おうていそうだつせん)草原(そうげん)各族(かくぞく)()()んだ熾烈(しれつ)角逐(かくちゅう)誘発(ゆうはつ)するのであった。


この争いは北原全体に波及し、その規模は極めて大きい。小規模な部族は生存を図り、中規模な部族は更なる発展を求め、大規模な部族は基盤を守ろうとする。正道だけでなく、魔道の蛊師たちも福地に入り、そこにある蛊師の伝承を奪おうと画策している。


互いの合従連衡を図るため、英雄大会が生まれた。遠い昔から次第に形作られ、今では北原の人々が捨て難い伝統となっている。


十年ごとに暴風雪が訪れるたび、北原の名所各地で同時期に英雄大会が開催される。


「今回我々が費家を滅ぼしたことは、我々の英雄大会への参加に大いに役立つ。成家を押さえさえすれば、我々馬家は独占的な地位を確立できる!」


「その(とお)りだ。英雄大会(えいゆうたいかい)()()いてこそ、より(おお)くの強者(きょうしゃ)(まね)き、より(おお)くの部族(ぶぞく)を我々(われわれ)の配下(はいか)(くわ)えられる。これは北原大戦(ほくげんたいせん)への第一歩(だいいっぽ)であり、(きわ)めて重要(じゅうよう)なステップなのだ」


「我々(われわれ)が今回(こんかい)王庭福地(おうていふくち)手中(てなか)(おさ)めるにあたり、各地(かくち)動向(どうこう)にも()(ひか)せねばならない。玉田(ぎょくでん)英雄大会(えいゆうたいかい)猛丘(もうきゅう)英雄大会(えいゆうたいかい)草府(そうふ)英雄大会(えいゆうたいかい)――これら(すべ)てに注意(ちゅうい)(はら)必要(ひつよう)がある」


馬家(ばか)高官(こうかん)たちが(あつ)()(ろん)している最中(さいちゅう)一人(ひとり)伝令蛊師(でんれいこし)()けつけ、馬英傑(ばえいけつ)最新(さいしん)(じょう)(ほう)をもたらした。


馬英傑(ばえいけつ)はそれを(ひろ)げて()(とお)すと、表情(ひょうじょう)(かす)かに(しず)ませ、すぐさま側近(そばきん)たちにその(じょう)(ほう)手渡(てわた)した。


人々(ひとびと)は(じゅん)(まわ)()みし、()(ちゅう)(ちい)さな驚嘆(きょうたん)嘆息(たんそく)推測(すいそく)(こえ)()らしていた。


東方部族(とうほうぶぞく)が、予想(よそう)より(はや)趙家(ちょうか)屈服(くっぷく)させたとは。これで彼ら(かれら)は草府英雄大会(そうふえいゆうたいかい)覇者(はしゃ)となったな。」


今度(こんど)猛丘大会(もうきゅうたいかい)では、努爾家(どじか)努爾圖(どじと)派遣(はけん)してきた。(いきお)(さか)んで、呂家(りょか)多分(たぶん)持ち(こた)えられまい。」


玉田大会(ぎょくでんたいかい)波乱(はらん)(ふく)みだ。(なん)と、往年(おうねん)狼王(ろうおう)常山陰(じょうさんいん)(あらわ)れたという!」


「この常山陰(じょうさんいん)凶暴(きょうぼう)きわまりない。葛家(かっか)(ひき)いて一対三(いったいさん)勝負(しょうぶ)(いど)み、裴燕飛(はいえんひ)でさえ(やぶ)れたそうだ。」


玉田(ぎょくでん)では、黒家(こくか)黒楼蘭(こくろうらん)劉家(りゅうか)劉武(りゅうぶ)など俊英(しゅんえい)(そろ)っていたが、狼王(ろうおう)登場(とうじょう)情勢(じょうせい)一変(いっぺん)玉田(ぎょくでん)局面(きょくめん)(にわ)かに不透明(ふとうめい)となった。」


やがて、一同(いちどう)議論(ぎろん)焦点(しょうてん)方源(ほうげん)(しゅう)(ちゅう)していった。


常山陰(じょうさんいん)という存在(そんざい)は、とっくに北原(ほくげん)(じゅう)()(わた)っていた。今回(こんかい)俄然(がぜん)として(よみがえ)ったばかりか、(おお)きな轟動(ごうどう)()()こした。


葛家(かっか)は元々(もともと)ごく普通(ふつう)中規模家族(ちゅうきぼかぞく)()ぎなかったが、常山陰(じょうさんいん)介入(かいにゅう)したことで、無理矢理(むりやり)三家族(さんかぞく)連続(れんぞく)して()(やぶ)り、裴燕飛(はいえんひ)のような猛将(もうしょう)すらも退(しりぞ)けた。


特に、葛家(かっか)新族长(しんぞくちょう)()三転(さんてん)若手蛊師(わかてこし)()ぎないと()った(とき)、彼ら(かれら)の心中(しんちゅう)における常山陰(じょうさんいん)への評価(ひょうか)は、(おも)わず数段階(すうだんかい)()()がった。


十年毎(じゅうねんごと)群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)には、(かなら)ずや牛鬼蛇神(ぎゅうきじゃしん)がすみずみから(あら)われるものだ。ただ、今回(こんかい)は特に大物(おおもの)()()してきたというわけさ。」


若様(わかさま)()狼王(ろうおう)常山陰(じょうさんいん)()(ぞく)馬尊様(ばそんさま)対決(たいけつ)したら、(いか)にして如何(いか)なる結果(けっか)となりましょうか?」


一同(いちどう)(もの)胸中(きょうちゅう)不安(ふあん)()()こるのを(きん)()なかった。


馬英傑(ばえいけつ)(かす)かに(まゆ)(ひそ)めた。


(ほか)流派(りゅうは)蛊師(こし)であればまだしも、()常山陰(じょうさんいん)奴道蛊師(どどうこし)である。万軍(ばんぐん)(もっ)一敵(いってき)(たい)することを最も得意(とくい)とするのだ。


たとえ孤軍(こぐん)であろうとも、麾下(きか)大軍(たいぐん)(ひき)いれば、戦局(せんきょく)一変(いっぺん)させる(ちから)()つのである!


先程(さきほど)情報(じょうほう)(みな)さんご(らん)になったでしょう。奴道蛊師(どどうこし)実力(じつりょく)は、配下(はいか)獣群(けものむれ)規模(きぼ)()まります。常山陰(じょうさんいん)復活(ふっかつ)したばかりで、手元(てもと)には普通(ふつう)亀背狼(きはいろう)夜狼(やろう)風狼(ふうろう)がいるだけ。万獣王(ばんじゅうおう)三頭(さんとう)しかおらず、(いま)では一頭(いっとう)戦死(せんし)一頭(いっとう)重傷(じゅうしょう)()っています。()馬尊(ばそん)叔父上(おじうえ)とは(くら)べものになりません。」


馬英傑(ばえいけつ)()ややかに鼻息(はないき)()らし、士気(しき)鼓舞(こぶ)するように(つづ)けた:「馬尊(ばそん)叔父上(おじうえ)は元々(もともと)三十万頭(さんじゅうまんとう)馬群(ばぐん)(よう)していましたが、今回(こんかい)これだけの恐爪馬(きょうそうま)(くわ)わり、規模(きぼ)五十万頭(ごじゅうまんとう)膨張(ぼうちょう)します!それ以外(いがい)にも、馬皇(ばこう)一頭(いっとう)数頭(すうとう)万獣王(ばんじゅうおう)、そして五頭(ごとう)異獣馬(いじゅうば)支配(しはい)しています。狼王(ろうおう)叔父上(おじうえ)(かた)(なら)べるなどと(おも)いますか?」


周囲(しゅうい)蛊師(こし)たちは(おも)わず(いき)()み、驚嘆(きょうたん)歓喜(かんき)表情(ひょうじょう)()かべた。


「まさか馬尊様(ばそんさま)のご勢力(せいりょく)(すで)()(ほど)までに強大(きょうだい)となっていたとは!」


狼王(ろうおう)(ごと)き、()(ぞく)馬尊様(ばそんさま)(くら)べれば、まさに赤子(あかご)同然(どうぜん)でござる。」


五十万頭(ごじゅうまんとう)とは、規模(きぼ)(あま)りにも巨大(きょだい)で。七、(しちはち)もの中小家族(ちゅうしょうかぞく)連続(れんぞく)して殲滅(せんめつ)できる(ほど)でござる。」


馬英傑(ばえいけつ)は、(ふたた)(はなし)(なが)れを(てん)じた:「しかし、狼王(ろうおう)常山陰(じょうさんいん)(かろ)んじてはならない。()(ぞく)王庭(おうてい)(あるじ)となれば、(おそ)(はや)()(もの)対決(たいけつ)することになる。(さら)重要(じゅうよう)なのは、(かれ)英雄大会(えいゆうたいかい)参加(さんか)黄金家族(おうごんかぞく)帰属(きぞく)すれば、(かなら)ずや援助(えんじょ)()るだろうという(てん)である。数多(あまた)蛊師(こし)(かれ)(たす)け、狼群(ろうぐん)収得(しゅうとく)させ、駆使(くし)させるようになるであろう。」


一同(いちどう)(かお)からは、喜色(きしょく)次第(しだい)()き、緊迫(きんぱく)した表情(ひょうじょう)へと()わっていった。


この(わか)蛊師(こし)は、ここまで()()えると(ふか)嘆息(たんそく)した:「我々(われわれ)が費家(ひか)併合(へいごう)したのは、長征(ちょうせい)第一歩(だいいっぽ)()ぎない。()れから(さら)(おお)くの強力(きょうりょく)対戦相手(たいせんあいて)(あら)われるに(ちが)いない。我々(われわれ)が緊密(きんみつ)団結(だんけつ)して(はじ)めて、彼等(かれら)()(やぶ)り、王庭(おうてい)(あるじ)となることができるのです。」


「はい、若様(わかさま)のお言葉(ことば)(まった)(もっ)てごもっともでござる。」


若様(わかさま)英明神武(えいめいしんぶ)()(ろう)()心底(しんそこ)より敬服(けいふく)いたす!」


()馬家(ばか)には族長(ぞくちょう)若様(わかさま)御指導(ごしどう)がおります。(かなら)ずや北原(ほくげん)制覇(せいは)いたしましょう!」


馬英傑(ばえいけつ)(かろ)言葉(ことば)一同(いちどう)(いまし)めると、彼等(かれら)()らぬ()一層(いっそう)緊密(きんみつ)団結(だんけつ)し、若様(わかさま)中心(ちゅうしん)()()っていった。


馬家(ばか)(わか)族長(ぞくちょう)は、心底深(しんそこふか)くで得意(とくい)()みを()かべた。


表向(おもてむ)きには、雲淡風軽(うんたんふうけい)として、胸中(きょうちゅう)成算(せいさん)ありの(ふう)であった。


父上(ちちうえ)(なん)無惨(むざん)な……!」


(おり)しも()(とき)悲慟(ひどう)(きわ)まりない号泣(ごうきゅう)(おか)(ふもと)から(ひび)(わた)った。


()(こえ)馬家(ばか)(もの)たちの視線(しせん)一斉(いっせい)(あつ)めた。


馬英傑(ばえいけつ)遠目(とおめ)()やれば、横死遍野(おうしへんや)戦場(せんじょう)に、一人(ひとり)幼子(ようし)(きず)だらけの遺体(いたい)()びついて慟哭(どうこく)()れており、()(さま)(じつ)(いた)ましいものであった。


小僧(こぞう)め、こっちへ()い!お(まえ)はもう馬家(ばか)奴隷(どれい)だ!」


一人(ひとり)成人男性(せいじんだんせい)(そば)幼子(ようし)()()ばし、無理矢理(むりやり)()()てようとした。


しかし幼子(ようし)必死(ひっし)抵抗(ていこう)し、成人男性(せいじんだんせい)手首(てくび)()らいついた。


成人男性(せいじんだんせい)悲鳴(ひめい)()げ、仕方(しかた)なく(はな)(はな)した。


幼子(ようし)()いずり(まわ)り、(ふたた)遺体(いたい)(すが)りついて号泣(ごうきゅう)した。


「はあ……」


馬英傑(ばえいけつ)(こころ)(そこ)から嘆息(たんそく)した。「生霊塗炭(せいれいとたん)、これが()本意(ほんい)ではない。しかし乱世(らんせい)(なか)(だれ)(ひと)()(まっと)うできようか?貴様(きさま)()ぬか、()れが(ほろ)びるか。人力(じんりき)(かす)かなるもの、()れにできることは、ただ(おの)家族(かぞく)(まも)り、馬家(ばか)()どもたちが(かく)(よう)()()わぬようにすることだけだ」。


若様(わかさま)仁愛(じんあい)(ふか)きお(かた)でございます。」


周囲(しゅうい)(もの)たちも同調(どうちょう)して嘆息(たんそく)した。


馬英傑(ばえいけつ)下方(かほう)指差(ゆびさ)して()った:「()()忠孝(ちゅうこう)()である。()(ゆえ)(かく)(なん)()った。(だれ)一人(ひとり)(かれ)制止(せいし)し、()(もと)()れて(まい)れ。今後(こんご)()側近(そっきん)奴僕(どぼく)とせよ。」


承知(しょうち)いたしました。」


側近(そっきん)たちは即座(そくざ)(こた)えた。


彼等(かれら)(いさ)めることもなかった。北原(ほくげん)では奴僕(どぼく)(やしな)うことは、とっくに伝統(でんとう)となっている。


(いわ)んや、十三歳(じゅうさんさい)()たぬ孩童(じどう)が、(いま)開竅(かいきょう)もせず、どうして()若様(わかさま)脅威(きょうい)となりえようか?


小僧(こぞう)()き上が(あ)がれ!」


馬家(ばか)高官(こうかん)一人(ひとり)成人男性(せいじんだんせい)暴行(ぼうこう)()め、幼子(ようし)首筋(くびすじ)(つか)んで()()てた。


幼子(ようし)必死(ひっし)(あらが)った:「(いや)だ!阿爸(あば)一緒(いっしょ)にいるんだ!」


小僧(こぞう)、お(まえ)阿爸(あば)はもう()んだ。今日(きょう)(うん)()いぞ、()()若様(わかさま)()()って、お(まえ)奴僕(どぼく)として()()うことになったんだ。」


馬家高官(ばかこうかん)(こえ)(やわ)らげた。


しかし幼子(ようし)()()れず、()(さけ)(つづ)けた:「阿爸(あば)阿爸(あば)!」


突然(とつぜん)(かれ)(うご)きを()め、阿爸(あば)遺体(いたい)呆然(ぼうぜん)()つめた。


「あっ!お(まえ)(ぼく)阿爸(あば)じゃない!(ぼく)阿爸(あば)はもっと(はだ)(くろ)く、(はな)(たか)くて、(かみ)白髪(しらが)()じっていたのに……」


幼子(ようし)(おどろ)きの独白(どくはく)をした(あと)(いか)(くる)って遺体(いたい)()り、また()(さけ)()した:「阿爸(あば)、どこにいるの?」


馬家(ばか)の面々(めんめん)は(みな)呆然(ぼうぜん)として言葉(ことば)(うし)なった。












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