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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第八十三節:马英杰

「パカパカパカ…」


一連(いちれん)(あわ)ただしい(おと)が、(とお)くから(ちか)づいてきた。


()もなく、一隊(いったい)蛊師(こし)たちが恐爪馬(きょうそうま)()って、()泥沼地(どろぬまち)到着(とうちゃく)した。


恐爪馬(きょうそうま)は、(あか)()まった双瞳(そうどう)(きば)()ち、(くさ)ではなく(にく)()う。


全身(ぜんしん)がむき()しで、皮肉(ひにく)()まり、筋肉(きんにく)(りゅう)()し、(あなど)(がた)戦闘力(せんとうりょく)(ゆう)する。(もっと)特異(とくい)なのは、馬蹄(ばてい)()く、()わりに四本(よんほん)巨大(きょだい)(するど)(つめ)()えている(てん)だ。


(つめ)(あいだ)には、(たが)いに(つら)なる水掻(みずか)きが()いており、()れにより恐爪馬(きょうそうま)攀登(はんとう)(てき)するだけでなく、泥沼地(どろぬまち)でも自由(じゆう)(すす)むことができる。


家老(かろう)(さま)彼等(かれら)此処(ここ)(とお)り、あちらへ()かいました。」


偵察蛊師(ていさつこし)一人(ひとり)が、(あか)(ひか)双瞳(そうどう)周囲(しゅうい)をくまなく掃視(そうし)した(のち)報告(ほうこく)した。


(そば)にいる若手(わかて)蛊師(こし)は、(あせ)った口調(くちょう)(まゆ)をひそめた:「大変(たいへん)です、叔父上(おじうえ)()以上(いじょう)(さき)(すす)むと、乱石灘(らんせきなだ)()ます。乱石灘(らんせきなだ)()せば、彼等(かれら)暖沼谷(だんしょうこく)から(のが)れられます。()うなれば追撃(ついげき)(きわ)めて困難(こんなん)に……」


心配(しんぱい)無用(むよう)費清(ひせい)貴様(きさま)父上(ちちうえ)毒蛊(どくこ)()たり、(いのち)風前(ふうぜん)(ともしび)だ。()(うえ)息子(むすこ)()れている。(やつ)(れい)鬼雲(きうん)()げれば()げる(ほど)(どく)()わる。ふん、(とお)くへは()()れまい。()(つづ)けろ!」


家老(かろう)()ややかに(わら)い、()一振(ひとふ)りすると、一同(いちどう)(ひき)いて急追(きゅうつい)(つづ)けた。


彼等(かれら)疎林(そりん)(せま)った(とき)足下(あしもと)泥沼地(どろぬまち)突然(とつぜん)(たぎ)()し、()もなく土色(つちいろ)蚕蛹(さんよう)(あらわ)れた。


蚕蛹(さんよう)内側(うちがわ)から(やぶ)れ、二人(ふたり)人物(じんぶつ)姿(すがた)(あらわ)した。一人(ひとり)中年(ちゅうねん)蛊師(こし)、もう一人(ひとり)幼子(おさなご)である。


二人(ふたり)疲弊(ひはい)()って(いき)()らせ、地面(じめん)(たお)()んだ。


「ようやく奴等(やつら)(あざむ)(とお)した。」


中年蛊師(ちゅうねんこし)費清(ひせい)顔面(がんめん)青紫(あおむらさき)変色(へんしょく)し、(ふか)中毒(ちゅうどく)していた。


移動(いどう)使用(しよう)していた疾鬼雲蛊(しゅうきうんこ)には細工(さいく)(ほどこ)されていた。費清(ひせい)追撃(ついげき)される(なか)異変(いへん)気付(きづ)き、()ぐに疾鬼雲蛊(しゅうきうんこ)()て、単独(たんどく)()()らせた。一方(いっぽう)(かれ)息子(むすこ)()れて泥沼地(どろぬまち)(ひそ)んでいたのである。


しかし()行為(こうい)により、(かれ)移動手段(いどうしゅだん)(うしな)い、劇毒(げきどく)(おか)された()では最早(もはや)()()びる(のぞ)みは()くなっていた。


費長(ひちょう)め、卑劣(ひれつ)小人(こびと)め!族長(ぞくちょう)()(ため)に、俺様(おれさま)のような従兄弟(いとこ)暗算(あんざん)毒殺(どくさつ)とは、(ゆる)せん!」


費清(ひせい)(かんが)えれば(かんが)えるほど(いか)りが頂点(ちょうてん)(たっ)し、絶望(ぜつぼう)(なか)(いか)りの(あま)(むね)()かれ、突然(とつぜん)(くち)()いて「ぷっ」と(おと)()て、(むご)たらしい緑色(みどりいろ)()()いた。


阿爸(あば)阿爸(あば)大丈夫(だいじょうぶ)?しっかりして!」


幼子(おさなご)()()()(おど)()()し、費清(ひせい)(むね)()()んだ。


()()よ……」


費清(ひせい)絶望(ぜつぼう)(しず)双眸(そうぼう)に、かすかな希望(きぼう)決然(けつぜん)たる(いろ)がよみがえった。


(かれ)慈愛(じあい)()ちた眼差(まなざ)しで、唯一(ゆいいつ)()である()()()つめ、(いと)おしそうに(ちい)さな(あたま)()でた:「小才(しょうさい)阿爸(あば)はもう()げられぬ。費長(ひちょう)老獪(ろうかい)で、阿爸(あば)(だま)せるのは一時(いちじ)だけだ。()もなく(やつ)不審(ふしん)気付(きづ)き、()(かえ)してくるであろう。お(まえ)(いそ)いで()げよ。阿爸(あば)()連中(れんちゅう)()()める。阿爸(あば)(おし)えた小径(こみち)辿(たど)れば、もしかすると()()びられるかもしれぬ。」


「いや、阿爸(あば)(わたし)阿爸(あば)一緒(いっしょ)()く。一緒(いっしょ)()げよう……お(ねが)いだ、阿爸(あば)……」


息子(むすこ)費才(ひさい)悲嘆(ひたん)(きわ)みに、()きじゃくって言葉(ことば)(つづ)かなかった。


費清(ひせい)心中(しんちゅう)(あせ)り、気力(きりょく)(ふる)()こして両手(りょうて)費才(ひさい)双肩(そうけん)(つか)んだ:「小才(しょうさい)()くな!北原(ほくげん)(おとこ)()(なが)しても(なみだ)(なが)さぬ。自信(じしん)()て、お(まえ)(からだ)には巨陽仙尊(きょようせんそん)血脈(けつみゃく)(なが)れておる。お(まえ)黄金家族(おうごんかぞく)一員(いちいん)なのだ。()濃厚(のうこう)血脈(けつみゃく)(きわ)めて(まれ)である。お(まえ)には八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)()資格(しかく)(そな)わっているのだ。」


「ゴホッ、ゴホッ……」


費清(ひせい)口元(くちもと)(はな)から緑色(みどりいろ)()(あふ)()た。「小才(しょうさい)、お(まえ)(かなら)ず生き()びよ。将来(しょうらい)機会(きかい)があれば、王庭福地(おうていふくち)()り、八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)巨陽先祖(きょようせんそ)末裔(まつえい)(のこ)した恩恵(おんけい)()()れ。()うして(はじ)めて、阿爸(あば)(あだ)()てるのだ!」


阿爸(あば)……」


(いそ)げ、(いま)()げなければ手遅(てお)れだ!」


費清(ひせい)息子(むすこ)(つよ)()(はな)した。費才(ひさい)数歩(すうほ)(あと)ずさりし、無力(むりょく)(かん)(さいな)まれながら(ちち)()つめ、(なみだ)()れた。


(いそ)げ!!」


費清(ひせい)咆哮(ほうこう)した。


費才(ひさい)(うで)(なみだ)(ぬぐ)ったが、(またた)く間に(あたら)しい(なみだ)(あふ)()た。()()(しば)って()(かえ)らずに(はし)()した。


()()よ、(ちち)最善(さいぜん)()くした。どうか()()から(のが)れられんことを。」


費清(ひせい)地面(じめん)(すわ)り、費才(ひさい)(とお)ざかる姿(すがた)見送(みおく)っていたが、双眼(そうがん)が徐々(じょじょ)に見開(みは)かれていった。


馬鹿者(ばかもの)()まれ!」


費清(ひせい)(おも)わず上体(じょうたい)()こし、息子(むすこ)()けて怒鳴(どな)った。


「あ、阿爸(あば)……」


費才(ひさい)数歩(すうほ)(はし)ってからようやく吼声(こうせい)気付(きづ)き、躊躇(ちゅうちょ)しながら()(かえ)った。費清(ひせい)(ひたい)青筋(あおすじ)()かべ、恨鉄(こんてつ)(はがね)ならざるを(なげ)くように怒鳴(どな)りつけた:「()間抜(まぬ)けが!北西(ほくせい)(はし)れ!東南(とうなん)(はし)って(なん)になる?(ぞく)営地(えいち)(もど)って()にに()くつもりか!?」


「は、はい!」


費才(ひさい)(あわ)てて方向(ほうこう)()えた。


しかし費清(ひせい)即座(そくざ)(ふたた)怒鳴(どな)りつけた:「馬鹿者(ばかもの)()れでは南西(なんせい)方角(ほうがく)だ!」


費才(ひさい)(あわ)てて方向(ほうこう)修正(しゅうせい)し、(ようや)(ただ)しい道筋(みちすじ)(すす)(はじ)めた。費清(ひせい)安堵(あんど)(いき)()いた。


「はあ……」


(なか)(ねん)蛊師(こし)心中(しんちゅう)無念(むねん)嘆息(たんそく)をもらした。()()(たし)かに血脈(けつみゃく)濃厚(のうこう)だが、幼少期(ようしょうき)から(すこ)愚鈍(ぐどん)で、(じつ)正真正銘(しょうしんしょうめい)方向音痴(ほうこうおんち)なのだ。()たして()()無事(ぶじ)()()びられるのだろうか?


費長(ひちょう)老獪(ろうかい)さを(おも)うと、費清(ひせい)希望(きぼう)(うす)いと(かん)じた。しかし、()すべきことは全て()した。(あと)(てん)(いの)るのみである。


(またた)(のち)費清(ひせい)予想(よそう)した(とお)り、暗雲(あんうん)()()めたような表情(ひょうじょう)費長(ひちょう)が、(さん)(めい)蛊師(こし)(ひき)い、恐爪馬(きょうそうま)()って此処(ここ)(もど)ってきた。


費清(ひせい)、ふん、()たして此処(ここ)(ひそ)んでおったな!」


費長(ひちょう)(こえ)陰鬱(いんうつ)でしわがれており、眼差(まなざ)しは(やいば)(ごと)く、濃密(のうみつ)殺意(さつい)露骨(ろこつ)(ほとばし)っていた。


今日(きょう)貴様(きさま)(ごと)小人物(しょうじんぶつ)()()かって()ぬとは(おも)わなかったな。」


費清(ひせい)不屑(ふせつ)嘲笑(あざわら)いを()らした。此刻(こくさ)(かれ)全身(ぜんしん)麻痺(まひ)し、身動(みうご)き一つ()れない状態(じょうたい)であった。


費長(ひちょう)はニヤリと冷笑(れいしょう)し、(ねこ)(ねずみ)(もてあそ)ぶような表情(ひょうじょう)()かべた:「すぐに貴様(きさま)(ころ)すつもりはない。費清(ひせい)貴様(きさま)高潔(こうけつ)孤高(ここう)だと自負(じふ)してあったな?(いま)貴様(きさま)息子(むすこ)(つか)まえ、目の(めのまえ)(さつ)される(さま)()せてやる。フフフ……」*


費清(ひせい)はもはや平静(へいせい)(たも)てず、双眼(そうがん)見開(みは)って(いか)った:「費長(ひちょう)(ぞく)長輩(ちょうはい)として、よくもまあ()(ほど)冷酷(れいこく)非道(ひどう)真似(まね)ができるものだ!」


「ふん、(くさ)()りても()()たねば、春風(しゅんぷう)()いて(また)(しょう)ず。(もの)ども、費清(ひせい)(しば)り上げよ!」


費長(ひちょう)命令(めいれい)するや、左右(さゆう)蛊師(こし)即座(そくざ)(うご)き、費清(ひせい)(なわ)(しば)()げると、麻縄(あさなわ)(つな)いで地面(じめん)()()った。


「フゥフゥフゥ……費清(ひせい)()(からだ)存分(ぞんぶん)(つち)(あじ)(あじ)わっておれ。()え!あの小僧(こぞう)(かなら)仕留(しと)めよ!」


費長(ひちょう)高笑(たかわら)いし、満足(まんぞく)げに()(はな)った。


費長(ひちょう)は考えた——費清(ひせい)(すで)(つか)まった以上(いじょう)、あの(おろ)かな小僧(こぞう)(つか)まえるのは朝飯前(あさめしまえ)のはずだった。


(しか)現実(げんじつ)はそうではなかった。


費長(ひちょう)乱石灘(らんせきなだ)()くと、彼等(かれら)以外(いがい)人影(ひとかげ)()かった。「畜生(ちくしょう)小僧(こぞう)乱石灘(らんせきなだ)へは()なかったのか?()え、(やつ)何処(どこ)()った?」


費長(ひちょう)(つめ)たい(こえ)()()った。


費清(ひせい)は引き()られて()途中(とちゅう)で、顔面(がんめん)打撲傷(だぼくしょう)だらけになり、(すで)気絶(きぜつ)していた。


費長(ひちょう)(ちから)(まか)せに費清(ひせい)()()こしたが、(かえ)って()るのは嘲笑(あざわら)いの眼差(まなざ)しだけだった。


(だま)っていれば()からぬとでも(おも)うか?」


費長(ひちょう)残忍(ざんにん)()みを()かべた。


そう()うと、(かれ)両眼(りょうがん)から(あや)しい(ひかり)(はな)たれ、費清(ひせい)全身(ぜんしん)()らし()した。費清(ひせい)全身(ぜんしん)(ふる)わせ、魂魄(こんぱく)即座(そくざ)重傷(じゅうしょう)()った。


搜魂蛊(そうこんこ)


費長(ひちょう)枯木(かれき)(ごと)右腕(みぎうで)()ばし、費清(ひせい)頭蓋骨(ずがいこつ)(つか)むと、()()じて真元(しんげん)(さい)(どう)した。


費清(ひせい)(はげ)しく痙攣(けいれん)し、(くち)から(あわ)()いた。()凄惨(せいさん)光景(こうけい)に、(そば)()二人(ふたり)蛊師(こし)(せみ)(ごと)(だま)()み、戦慄(せんりつ)(おぼ)えずにはいられなかった。


しばし(のち)費長(ひちょう)()()けた。顔色(かおいろ)蒼白(そうはく)で、眼差(まなざ)しはかすんでいた。


()三転搜魂蛊(さんてんそうこんこ)は、他者(たしゃ)魂魄(こんぱく)搜索(そうさく)し、(たましい)()められた記憶(きおく)一部(いちぶ)(さぐ)()すことができる。(ただ)し、幾多(いくた)制限(せいげん)がある。まず()られる記憶(きおく)(きわ)めて断片(だんぺん)(てき)錯綜(さくそう)している。(つぎ)頻繁(ひんぱん)使用(しよう)すれば魂魄混濁(こんぱくこんだく)(きた)し、精神(せいしん)混迷(こんめい)して自身(じしん)深刻(しんこく)悪影響(あくえいきょう)(およ)ぼす。


費長(ひちょう)費清(ひせい)積怨(せきえん)(なが)く、費清(ひせい)息子(むすこ)費才(ひさい)血脈(けつみゃく)濃厚(のうこう)であることも承知(しょうち)していた。()()(みずか)始末(しまつ)しなければ不安(ふあん)(ぬぐ)えぬ。(ゆえ)費長(ひちょう)搜魂蛊(そうこんこ)使用(しよう)することを(いと)わなかったのである。


()(あた)りに、(かく)れた小径(こみち)(つう)じていたのか。ふんふん!」


費長(ひちょう)得意(とくい)げに(わら)った。(かれ)運良(うんよ)く、(もと)める記憶(きおく)(さぐ)()すことに成功(せいこう)したのだ。


(かれ)(うま)()()り、()ぐに(かく)れた小径(こみち)()かって探査(たんさ)開始(かいし)した。


しかし、()場所(ばしょ)()いても、(ひと)足跡(あしあと)(まった)()()たらなかった。


「あり()ない。小僧(こぞう)年若(としわか)く、(いま)開竅(かいきょう)もしておらぬ凡人(ぼんじん)だ。()偵察蛊虫(ていさつこちゅう)(あざむ)けるはずがない。搜魂蛊(そうこんこ)()記憶(きおく)は、(かぎ)となる一部(いちぶ)だけだったのか?」


費長(ひちょう)周囲(しゅうい)偵察(ていさつ)した(のち)雑草(ざっそう)()(しげ)小径(こみち)()つめ、顔色(かおいろ)陰影(いんえい)()らめいた。


ほらほらほら……


まさに()(とき)暖沼谷(だんしょうこく)(そと)から(ひく)雄渾(ゆうこん)法螺貝(ほらがい)()(ひび)(わた)った。


費長(ひちょう)らは瞬時(しゅんじ)面色(めんしょく)一変(いっぺん)させた。


家老様(かろうさま)家老様(かろうさま)至急(しきゅう)帰還(きかん)ください!馬家(ばか)大軍(たいぐん)(うご)かし、宣戦布告(せんせんふこく)なき侵攻(しんこう)開始(かいし)しました。一族(いちぞく)陣営(じんえい)危機的状況(ききてきじょうきょう)にあります!」


伝令蛊師(でんれいこし)飛鳥(ひちょう)()り、(あわ)ただしく()けつけて(しら)せた。


(なに)だと!?」


費長(ひちょう)はこの(しら)せに大変(たいへん)衝撃(しょうげき)()けた。費家(ひか)内乱(ないらん)(おさ)まったばかりの(いま)馬家(ばか)侵攻(しんこう)されるとは。このタイミングはあまりにも出来(でき)()ぎている!


「もし費家(ひか)(ほろ)べば、たとえ(わたし)族長(ぞくちょう)()()いたとしても、(なん)意味(いみ)があろう?(まも)れ、()んでも(まも)れ!()れら一切(いっさい)(まも)()かねばならない!暖沼谷(だんしょうこく)(まも)りやすく()(がた)い。馬家(ばか)大軍(たいぐん)撃退(げきたい)する可能性(かのうせい)()いわけではない。そうだ、(わたし)にはまだ希望(きぼう)がある!」


()れを(おも)(いた)り、費長(ひちょう)費才(ひさい)のことは瞬時(しゅんじ)(かえり)みる余裕(よゆう)もなく、恐慌(きょうこう)(きわ)みで一族(いちぞく)陣営(じんえい)へと(いそ)いだ。


(しか)馬家(ばか)此度(こたび)侵攻(しんこう)は、以前(いぜん)から周到(しゅうとう)計画(けいかく)されたものだった。(もっぱ)費家(ひか)内乱(ないらん)という(すき)()いて、奇襲攻撃(きしゅうこうげき)仕掛(しか)けたのである。


費家(ひか)暖沼谷(だんしょうこく)地利(ちり)()めてはいたが、結局(けっきょく)馬家(ばか)兵強馬壮(へいきょうばそう)かつ人才豊富(じんざいほうふ)軍勢(ぐんぜい)鋒先(ほっさき)(ふせ)()れなかった。


丁度(ちょうど)方源(ほうげん)琅琊福地(ろうがふくち)(あし)()()れた(とき)(とき)(おな)じくして、北原(ほくげん)では大事件(だいじけん)発生(はっせい)していた——


大規模勢力(だいきぼせいりょく)であり、黄金家族(おうごんかぞく)でもある費家(ひか)が、暖沼谷(だんしょうこく)本拠(ほんきょ)としながらも滅亡(めつぼう)したのである!


(うたが)いもなく、()事件(じけん)北原全域(ほくげんぜんいき)情勢(じょうせい)波紋(はもん)(ひろ)げることになるだろう。


(おか)(うえ)で、馬家(ばか)高官(こうかん)たちがそれぞれ戦馬(せんば)()り、廃墟(はいきょ)()した費家(ひか)陣営(じんえい)見下(みお)ろしていた。


彼等(かれら)衆星(しゅうせい)(つき)(きょう)する(ごと)く、一人(ひとり)若者(わかもの)()(かこ)んでいた。


次々(つぎつぎ)と物資(ぶっし)整理(せいり)されて(くるま)()()まれ、隊列(たいれつ)()んだ捕虜(ほりょ)()()てられて()様子(ようす)()にし、馬家(ばか)高官(こうかん)たちは(みな)笑眉(えみ)()かべていた。


(なか)でも三転(さんてん)蛊師(こし)である(ろう)者が、中央(ちゅうおう)若者(わかもの)()かって(こぶし)(ほう)じて()った:「少主(しょうしゅ)恭賀(きょうが)いたします!(まった)少主(しょうしゅ)離間(りかん)(けい)によります。費家(ひか)内乱(ないらん)誘発(ゆうはつ)し、此度(こたび)軽々(かるがる)しく暖沼谷(だんしょうこく)(うば)い、葛家(かっか)併合(へいごう)いたしました。ご家族(かぞく)第一功(だいいっこう)()てられました!」


()若者(わかもの)こそ、馬家(ばか)少族长(しょうぞくちょう)である馬英傑(ばえいけつ)であった。


(かれ)(おおかみ)(ごと)背中(せなか)(はち)(ごと)(こし)(けん)(ごと)(まゆ)(ほし)(ごと)()英気(えいき)(せま)り、その修為(しゅうい)(すで)四転中階(してんちゅうかい)(たっ)していた。本身(ほんしん)奴道蛊師(どどうこし)であり、(すこ)()()られ、(ひと)からは小馬尊(しょうばそん)(しょう)されていた!














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