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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第七十三節:中流砥柱

「おや?」ベイ(べいけ)鄭家(ていけ)裴家(はいけ)(すで)同盟(どうめい)(むす)んだと()き、汪家(おうか)族長(ぞくちょう)(かす)かに(まゆ)()げた。


北原(ほくげん)では、(かく)部族(ぶぞく)(たが)いに同盟(どうめい)(むす)ぶのは(めずら)しいことではない。王庭争(おうていあらそ)いが目前(もくぜん)(せま)り、合従連衡(がっしょうれんこう)のような出来事(できごと)は、()こることもますます(おお)くなる。


(ひと)疑問(ぎもん)がある。葛家(かつけ)実力(じつりょく)本来(ほんらい)嚴家(げんけ)より(よわ)かったはずだ。どうやって(しょう)(だい)()()むことができたのか?」汪家(おうか)族長(ぞくちょう)(たず)ねた。


貝草繩(かいそうじょう)(わら)って()った:「葛家(かつけ)嚴家(げんけ)併呑(へいどん)できたのは、(すべ)一人(ひとり)人物(じんぶつ)のおかげです。汪家(おうか)族長(ぞくちょう)閣下(かっか)は、常山陰(じょうさんいん)という()()いたことがありますか?」


常山陰(じょうさんいん)?」


汪家(おうけ)族長(ぞくちょう)(かす)かに(まゆ)をひそめ、この()(みみ)にした途端(とたん)内心(ないしん)(おぼ)えのある(かん)じが()()がった。どこかで()いたことがあるような……


(またた)くうちに(かれ)(まゆ)(ひら)き、(かお)(おどろ)きの(いろ)()かんだ:「常山陰(じょうさんいん)……まさか(むかし)哈突骨(ことつこつ)誅殺(ちゅうさつ)した狼王(おおかみおう)のことではあるまいな?」


「ははは。族長(ぞくちょう)博識(はくしき)には敬服(けいふく)いたします」


貝草繩(かいそうじょう)拱手(きょうしゅ)(れい)()り、(つづ)けて()った:「(まさ)にこの(もの)介入(かいにゅう)したために、葛家(かつけ)勝利(しょうり)したのです。当初(とうしょ)北原(ほくげん)英雄(えいゆう)がまだ生存(せいぞん)していると、(だれ)予想(よそう)できたでしょう。ここ数年(すうねん)(なに)()きたのか、(だれ)にも()かりません。(かれ)(きわ)めて低調(ていちょう)(あらわ)れ、(ひと)りの(ちから)葛家(かつけ)(しょう)をもって(だい)()ませました。無論(もちろん)、これも嚴家(げんけ)高層(こうそう)常山陰(じょうさんいん)計略(けいりゃく)()っかかり、事前(じぜん)一網打尽(いちもうだじん)にされたからです。このため葛家(かつけ)嚴家(げんけ)陣営(じんえい)攻撃(こうげき)した(さい)圧倒的(あっとうてき)優位(ゆうい)()つことができたのです」


貝草繩(かいそうじょう)侃侃諤諤(かんかんがくがく)(かた)り、竟然(きょうぜん)として()(なか)内情(ないじょう)十分(じゅうぶん)清楚(せいそ)である。


(しこう)して事実上(じじつじょう)厳家(げんけ)(ほろ)びた(のち)自然(しぜん)漏網之魚(ろうもうのうお)()り、()()して生天(せいてん)(いた)り、貝家(かいけ)()庇護(ひご)(もと)む。


(かく)(ごと)通報者(つうほうしゃ)()りて、貝家(かいけ)自然(しぜん)情報(じょうほう)掌握透徹(しょうあくとうてつ)す。


汪家(おうけ)族長(ぞくちょう)眉頭(びとう)(さら)(ふか)(しわ)よれた:「(むかし)狼王(ろうおう)一己(いっこ)(ちから)(もっ)て、越級(えっきゅう)斬殺(ざんさつ)五轉蠱師(ごてんこし)哈突骨(はとつこつ)()(まだ)馬匪(ばひ)屠尽(とじん)す。(かく)(ごと)実力(じつりょく)(じつ)(ひと)(たん)じて(おそ)れしむ。(もっ)你我(びひ)(ちから)如何(いか)にして()(かく)(ごと)強人(きょうじん)対付(たいふ)せん?」


四轉蠱師(してんこし)は、(すで)中小型勢力(ちゅうしょうがたせいりょく)首腦人物(しゅのうじんぶつ)である。五轉蠱師(ごてんこし)は、(すなわ)凡俗(ぼんぞく)巔峰(てんぽう)である。


そもそも当年(とうねん)常山陰(じょうさんいん)哈突骨(はとつこつ)斬殺(ざんさつ)したことは、北原(ほくげん)全体(ぜんたい)轟動(ごうどう)()()こした。


(ひと)(かげ)()(かわ)(おな)じく、常山陰(じょうさんいん)事跡(じせき)北原(ほくげん)(なが)(かた)()がれており、汪家(おうけ)族長(ぞくちょう)(おそ)(つつし)むのも無理(むり)はない。


貝草繩(かいそうじょう)大笑(おおわら)いした:「ははは、族長(ぞくちょう)殿(どの)のご憂慮(ゆうりょ)も、ごもっともな人情(にんじょう)でございます。狼王(ろうおう)(たし)かに非凡(ひぼん)人物(じんぶつ)です。しかし、()一時(いちじ)()一時(いちじ)ではあり、今日(こんにち)狼王(ろうおう)(けっ)して往年(おうねん)強悍(きょうかん)さを()ち合わせてはおりません。」


「おお?(くわ)しく()かせて(いただ)きたい。」


周知(しゅうち)(ごと)く、奴道蛊師(ぬどうこし)(つよ)さは、手中(しゅちゅう)陣容(じんよう)()り。狼王(ろうおう)復出(ふくしゅつ)したばかりで、狼群(ろうぐん)(まった)当初(とうしょ)規模(きぼ)(およ)ばず、異獣(いじゅう)一頭(いっとう)すら持ち(もあ)わせていない。現在(げんざい)(かれ)手中(しゅちゅう)にあるのは、普通(ふつう)風狼(ふうろう)夜狼(やろう)、及び(および)亀背狼(きせいろう)のみである。(さき)厳家(げんけ)(たたか)い、(すで)(おお)くを(うし)なっている。戦力(せんりょく)(けっ)して強大(きょうだい)とは()えぬ。」


貝草繩(かいそうじょう)(つづ)けて()いた:「さらに、狼王(ろうおう)理由(りゆう)もなく厳家(げんけ)攻撃(こうげき)した。これは魔道(まとう)所業(しょぎょう)であり、(たみ)屠戮(とりく)する行為(こうい)は、(じつ)北原(ほくげん)規矩(きく)(やぶ)っている。(かれ)はもはや我々(われわれ)北原(ほくげん)英雄(えいゆう)ではなく、(だれ)もが()つべき魔頭(まとう)である。我々(われわれ)が此度(こたび)制裁(せいさい)するのは、戦争(せんそう)発動(はつどう)した罪人(ざいにん)勝手(かって)侵略(しんりゃく)する凶徒(きょうと)なのだ!我々(われわれ)は大義(たいぎ)()め、一方(いっぽう)葛家(かつけ)不義(ふぎ)(かさ)ね、極悪非道(ごくあくひどう)である。英雄大会(えいゆうたいかい)(いま)開催(かいさい)されず、王庭之争(おうていのあらそい)(はじ)まらぬというのに、彼ら(かれら)は公然(こうぜん)部族間(ぶぞくかん)戦争(せんそう)を起こ(おこ)した。(まった)胆大包天(たんたいほうてん)であり、(つみ)(ゆる)すべからざるものだ。北原(ほくげん)歴史(れきし)(かえり)みれば、(かく)(ごと)底線(ていせん)()れる人物(じんぶつ)で、善始善終(ぜんしぜんしゅう)した(もの)一人(ひとり)でもいるだろうか?」


貝草繩(かいそうじょう)言葉(ことば)は、激昂(げっこう)(じょう)()ちている。さすがは貝家(かいけ)説客(せいかく)で、(かた)(くち)には人心(じんしん)煽動(せんどう)する(ちから)(あふ)れている。


しかし汪家(おうけ)族長(ぞくちょう)も、年老(としお)いて成精(せいせい)した人物(じんぶつ)であり、容易(ようい)(うご)かされるような存在(そんざい)ではない。(かれ)()はきらめき、(さだ)まらず、躊躇(ちゅうちょ)いながら()った。「(たし)かにその(とお)りだが、狼王(ろうおう)はあくまで狼王(ろうおう)である。龍虎相搏(りゅうこあいう)つれば、(かなら)一方(いっぽう)(きず)つく。戦闘(せんとう)()わった(あと)には、(かなら)(おお)きな犠牲(ぎせい)(しょう)じるだろう。」


貝草繩(かいそうじょう)(くび)()り、()(かい)せず(わら)って()った。「ははは。狼王(ろうおう)(つよ)いが、両拳四手(りょうけんししゅ)(てき)せず。葛家(かつけ)嚴家(げんけ)併合(へいごう)したばかりで、()()ぎて膨張(ぼうちょう)()ぎており、安定(あんてい)していない。汪家(おうけ)(くわ)われば、四家連合(よんかれんごう)で、区区(くく)たる葛家(かつけ)一勢力(いちせいりょく)(おそ)れるに()りないのではないか?」


汪家(おうけ)族長(ぞくちょう)はしばし沈吟(ちんぎん)した:「葛家(かつけ)(おそ)れるわけではないが、狼王(ろうおう)はあくまで狼王(ろうおう)である。(かれ)長年(ながねん)不可解(ふかかい)失踪(しっそう)をしていたが、(なに)()きたのか()からず、奇遇(きぐう)があった可能性(かのうせい)もある。此度(こたび)出世(しゅっせ)には、(かなら)ずや(たくら)みがあるはずだ。このような人物(じんぶつ)は、手元(てもと)(かなら)ずまだ()せている(ふだ)()っているだろう。」


貝草繩(かいそうじょう)嗤笑(ししょう)一声(いっせい)した:「いかなる名声(めいせい)も、吹聴(ふいちょう)されて出来(でき)上が(あが)るものだ。汪家(おうけ)族長(ぞくちょう)(なん)()()(ちょう)じて志気(しき)()げ、(みずか)らを(めっ)して威風(いふう)()必要(ひつよう)がござろう?狼王(ろうおう)など(なん)(おそ)れるに()らぬ。(かれ)(すで)時代遅(じだいおく)れの存在(そんざい)であり、たとえ切札(きりふだ)()っていようと、所詮(しょせん)奴道蛊師(ぬどうこし)()ぎぬ。奴道蛊師(ぬどうこし)である以上(いじょう)、我々(われわれ)には(かれ)克制(せいあつ)する手段(しゅだん)がござる。」


正直(しょうじき)(もう)()げますと、我々(われわれ)貝家(かいけ)にも奴道蛊師(ぬどうこし)がおります。()(ぞく)草兵軍団(そうへいぐんだん)は、北原(ほくげん)においても一定(いってい)地位(ちい)(きず)いており、常山陰(じょうさんいん)正面(しょうめん)から対峙(たいじ)することも十分(じゅうぶん)可能(かのう)でございます。


これに(くわ)えて、鄭家(ていけ)には(ひろ)()(わた)っている電矛戦陣(でんむせんじん)があり、裴家(はいけ)族長(ぞくちょう)である裴燕飛(はいえんぴ)(さま)は、北原(ほくげん)有名(ゆうめい)猛将(もうしょう)でございます。


現在(げんざい)(かれ)四転巅峰(してんてんぽう)進階(しんかい)しております。


たとえ狼王(ろうおう)千軍万馬(せんぐんばんば)(ゆう)していても、裴燕飛(はいえんぴ)(さま)縦横無尽(じゅうおうむじん)()(めぐ)り、(ただ)ちに黄龍(こうりゅう)()ち、(かれ)斬殺(ざんさつ)することでしょう!


周知(しゅうち)(とお)り、奴道蛊師(ぬどうこし)(もっと)(おそ)れるのは、斬首戦術(ざんしゅせんじゅつ)でございます。


斬首(ざんしゅ)成功(せいこう)さえすれば、(ばん)大軍(たいぐん)即座(そくざ)混乱(こんらん)(おちい)り、(みずか)崩壊(ほうかい)して逃散(とうさん)します。


貝草繩(かいそうじょう)(はなし)()いた(あと)汪家(おうか)族長(ぞくちょう)依然(いぜん)として躊躇(ちゅうちょ)しており、()(こと)の重大さ(じゅうだいさ)を理由(りゆう)に、数日(すうじつ)考慮(こうりょ)する時間(じかん)(ひつ)(よう)だと()べた。」


貝草繩(かいそうじょう)()(なか)一抹(いちまつ)失望(しつぼう)(いろ)(かす)めった:「(こと)重大(じゅうだい)さを(かんが)えれば、汪家(おうけ)族長(ぞくちょう)殿(どの)慎重(しんちょう)(かんが)えられるのも当然(とうぜん)です。しかし、この(けん)(おそ)ければ(おそ)いほど不利(ふり)になります。もし葛家(かっか)(いき)をつぐ(いとま)(あた)え、戦果(せんか)を徐々(じょじょ)に消化(しょうか)させてしまえば、我々(われわれ)が(ふたた)(たたか)(とき)代償(だいしょう)(かなら)ずや(さら)(おお)きくなるでしょう。族長(ぞくちょう)殿(どの)何卒(なにとぞ)明察(めいさつ)ください」


汪家(おうけ)族長(ぞくちょう)(うなず)いた:「最長(さいちょう)でも三日(みっか)時間(じかん)(いた)きたい。その(あいだ)閣下(かっか)にはどうぞ()(ぞく)でゆっくりとおくつろぎいただき、(こころ)()くしの歓待(かんたい)()けていただきたい」


貝草繩(かいそうじょう)汪家(おうけ)族長(ぞくちょう)のこの言葉(ことば)()き、仕方(しかた)なく(みずか)辞去(じきょ)(もう)()た。


(かれ)(あし)()()したその直後(ちょくご)応接間(おうせつま)(おく)から、一人(ひとり)人物(じんぶつ)姿(すがた)(あらわ)した。


()(もの)清瘦(せいそう)で、顔面(がんめん)()ばみ、(あご)三筋(みすじ)(ひげ)()やし、一対(いっつい)()(するど)(かがや)いていた。汪家(おうけ)族長(ぞくちょう)得力(とくりょく)補佐役(ほさやく)で、謀略(ぼうりゃく)擅長(せんちょう)とする汪家(おうけ)家老(かろう)汪德道(おうとくどう)である。


族長(ぞくちょう)殿(どの)、我々(われわれ)は本当(ほんとう)貝家(かいけ)(もう)()(おう)じ、此度(こたび)同盟(どうめい)参加(さんか)するのでしょうか?」汪德道(おうとくどう)(すこ)憂慮(ゆうりょ)した様子(ようす)(たず)ねた。


「ははは、勿論(もちろん)(ちが)う。德道(とくどう)(うれ)うるな。」汪家(おうけ)族長(ぞくちょう)(わら)った。


汪德道(おうとくどう)安堵(あんど)(いき)をついた:「族長(ぞくちょう)英明(えいめい)には敬服(けいふく)いたします。(ひと)蛊惑(こわく)()られることなく。王庭争覇(おうていそうは)目前(もくぜん)(せま)り、今後(こんご)連年戦乱(れんねんせんらん)となるでしょう。我々(われわれ)は実力(じつりょく)温存(おんそん)最優先(さいゆうせん)とすべきです。貝家(かいけ)裴家(はいけ)鄭家(ていけ)という()つの中型部族(ちゅうがたぶぞく)思惑(おもわく)は、(あき)らかです。嚴家(げんけ)劉家(りゅうけ)姻戚(いんせき)であり、嚴翠兒(げんすいじ)劉家(りゅうけ)公子(こうし)である劉文武(りゅうぶんぶ)婚約者(こんやくしゃ)です。どうやら彼ら(かれら)は劉家(りゅうけ)手先(てさき)となって、劉文武公子(りゅうぶんぶこうし)へのご機嫌取(きげんと)りを(ねら)っているようですが、その一方(いっぽう)でリスクを分散(ぶんさん)するため、()(ぞく)()()もうとしているのです。」


「うん。」


汪家(おうけ)族長(ぞくちょう)(かろ)(うなず)いた。「我々(われわれ)汪家(おうけ)大規模家族(だいきぼかぞく)である。一挙一動(いっきょいちどう)慎重(しんちょう)()さねばならない。王庭争覇(おうていそうは)では、竜蛇(りゅうだ)()(みだ)れる。()たして(だれ)最後(さいご)唯一(ゆいいつ)勝者(しょうしゃ)となるのか?我々(われわれ)はよく様子(ようす)()きわめ、慎重(しんちょう)帰依(きえ)する対象(たいしょう)(えら)ぶべきである。」


北原(ほくげん)では(とお)(ねん)ごとに、威力(いりょく)驚人(きょうじん)一地域(いちちいき)全体(ぜんたい)(わざわ)いを(およ)ぼす(おそ)ろしい暴風雪(ぼうふうせつ)発生(はっせい)する。


王庭(おうてい)入主(にゅうしゅ)する(もの)のみが庇護(ひご)()暴風雪(ぼうふうせつ)被害(ひがい)(まぬが)れることができる。


しかし王庭(おうてい)()(かぎ)られており、入居(にゅうきょ)(のぞ)(もの)(おお)すぎる。凄惨(せいさん)闘争(とうそう)優勝劣敗(ゆうしょうれっぱい)()て、(はじ)めて一人(ひとり)王庭之主(おうていのしゅ)()まる。汪家(おうけ)大規模家族(だいきぼかぞく)ではあるが、その底力(そこぢから)浅薄(せんぱく)であり、霸権(はけん)(あらそ)意思(いし)はない。ただ(ただ)しい(もの)依附(いふ)し、(りゅう)(したが)功臣(こうしん)となることで、王庭(おうてい)(はい)天災(てんさい)()けたいと(ねが)っている。


「もし我々(われわれ)が王庭(おうてい)(はい)ることができなければ、あの吹雪(ふぶき)(あと)汪家(おうけ)(かなら)ずや甚大(じんだい)損害(そんがい)(こうむ)るだろう。大規模勢力(だいきぼせいりょく)から中規模(ちゅうきぼ)小規模(しょうきぼ)転落(てんらく)し、最悪(さいあく)場合(ばあい)には一族滅亡(いちぞくめつぼう)(おお)いに()()る。しかしもし我々(われわれ)が王庭(おうてい)入居(にゅうきょ)できれば、王庭(おうてい)資源供養(しげんきょうよう)()け、休养生息(きゅうようせいそく)()て、(うん)()ければ、(つぎ)王庭覇者(おうていはしゃ)(あらそ)資格(しかく)さえ()られるかもしれない!」


汪德道(おうとくどう)表情(ひょうじょう)(きび)しくして()った。


この(こと)汪家(おうけ)全体(ぜんたい)興隆(こうりゅう)衰退(すいたい)存亡(そんぼう)(かか)わるものであり、汪家(おうけ)(うえ)(した)(つつ)しみに(つつ)しんでいた。


「では、この貝草繩(かいそうじょう)にはどう対応(たいおう)すべきでしょうか?」


汪家(おうけ)族長(ぞくちょう)()いかけた。


汪德道(おうとくどう)はひげを()でながら、しばらく考え(かんがえこ)んで()った:「我々(われわれ)は()(もの)丁寧(ていねい)にもてなし、三日後(みっかご)に、婉曲(えんきょく)(かれ)同盟招待(どうめいしょうたい)(こと)るべきだ。同時(どうじ)に、(かげ)葛家(かつけ)伝言(でんごん)()り、狼王(ろうおう)好意(こうい)(しめ)し、()(こと)を彼ら(かれら)に()らせる。彼ら(かれら)に犬同士(いぬどうし)()()わせ、我々(われわれ)は(やま)(すわ)って(とら)(たたか)いを見物(けんぶつ)しよう。()機会(きかい)があれば、一度(いちど)利益(りえき)()漁師(りょうし)になることも(いと)わない。」


「ははは、德道(とくどう)(こと)()は、(ふか)()(こころ)()うよ。」汪家(おうか)族長(ぞくちょう)(おも)わず何度(なんど)大笑(おおわら)いした。


手紙(てがみ)()つめながら、葛家(かつけ)族長(ぞくちょう)葛光(かつこう)憂色(ゆうしょく)()ちていた。


(かれ)(そば)では、(かく)葛家(かつけ)家老(かろう)沈黙(ちんもく)していた。


葛家(かつけ)王帳(おうちょう)(なか)では、雰囲気(ふんいき)(おも)く、(いき)()まるほど圧迫的(あっぱくてき)だった。


貝家(かいけ)裴家(はいけ)鄭家(ていけ)(すで)連合(れんごう)し、()()共同(きょうどう)制裁(せいさい)しようとしている。(いま)(おお)きく味方(みかた)(つの)っている最中(さいちゅう)だ。今日(きょう)汪家(おうけ)からも通報(つうほう)があったが、()もなく連合軍(れんごうぐん)大挙(たいきょ)して()()せるだろう。諸家老(しょかろう)よ、(なに)良策(りょうさく)はあるか?」


葛光(かつこう)開口(かいこう)して()うた。


「この事態(じたい)()くない。()(ぞく)嚴家(げんけ)併合(へいごう)したばかりで、士気(しき)(たか)いものの、戦果(せんか)消化(しょうか)する時間的余裕(じかんてきよゆう)(まった)くない。」


(てき)()めて()れば、嚴家(げんけ)から降伏(こうふく)した(もの)たちが(ふたた)裏切(うらぎ)心配(しんぱい)(まぬ)がれない。」


「いざという(とき)奴等(やつら)内応(ないおう)すれば、我々葛家(われわれかつけ)滅亡(めつぼう)(とお)くない!」


「それなら撤退(てったい)するのはどうか?」


撤退(てったい)?どこへ撤退(てったい)する?(いま)陣地(じんち)があるから(まも)れるが、一度撤退(いちどてったい)すれば拠点(きょてん)(うし)ない。幾家(いくけ)にも包囲(ほうい)され挟撃(きょうげき)されるのを()つつあるのか?」


家老(かろう)たちが議論(ぎろん)()わす。


葛光(かつこう)失望(しつぼう)した様子(ようす)一瞥(いちべつ)する。家老(かろう)たちは()()めのない議論(ぎろん)(つづ)けるが、まともな提案(ていあん)()せる(もの)一人(ひとり)もいない。むしろ陣中(じんちゅう)雰囲気(ふんいき)一層(いっそう)重苦(おもくる)しく、戦意(せんい)は徐々(じょじょ)に(しぼ)みつつあった。


「もういい、これ以上(いじょう)()わなくてよい」


(かれ)()()げて、家老(かろう)たちの議論(ぎろん)制止(せいし)した。


諸君(しょくん)(かく)さずに(はな)すと、数日(すうじつ)(まえ)狼王常山陰(ろうおうじょうさんいん)(さま)()(ぞく)太上家老(たいじょうかろう)となることを承知(しょうち)してくださった。この(けん)について(かれ)(まね)いて相談(そうだん)する必要(ひつよう)がある」


葛光(かつこう)(くち)(ひら)いた。


この事柄(ことがら)は元々(もともも)()されていたが、(いま)(あき)らかにされるや、強心剤(きょうしんざい)(ごと)()き、一同(いちどう)家老(かろう)たちの士気(しき)一気(いっき)(たか)めた。


狼王(ろうおう)(さま)が、()(ぞく)太上家老(たいじょうかろう)になられたのですか?」


()し、()し、これは(おお)いなる(よろこ)(ごと)だ!」


狼王(ろうおう)(さま)がいれば、我々(われわれ)には一筋(ひとすじ)希望(きぼう)(ひか)る!」


幕営内(ばくえいない)重苦(おもくる)しい雰囲気(ふんいき)一瞬(いっしゅん)にして()()び、(おとろ)えていた士気(しき)急速(きゅうそく)上昇(じょうしょう)した。これが強者(きょうじゃ)存在意義(そんざいいぎ)である。危機的状況(ききてきじょうきょう)において、彼ら(かれら)は(てん)(ささ)()()みしめる中流(ちゅうりゅう)(はしら)となる。


この光景(こうけい)()にし、葛光(かつこう)(つい)(さと)った。なぜ部族内(ぶぞくない)では、修行(しゅぎょう)(たか)蛊師(こし)のみが権力中枢(けんりょくちゅうすう)(にな)うのかという理由(りゆう)を。










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