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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第六十七節:奴道之威!

「なに?」 方源(ほうげん)のこの言葉(ことば)()いて、水魔浩激流(すいまこうげきりゅう)(とん)激怒(げきど)した。


(かれ)活動(かつどう)(はじ)めて以来(いらい)(だれ)()えて()くの(ごと)(かれ)評価(ひょうか)した(もの)はなく、また(だれ)()くの(ごと)(かれ)蔑視(べっし)した(もの)はいなかった。


狼王(ろうおう)貴様(きさま)はあまりにも図々(ずうずう)しい!今日(きょう)こそ貴様(きさま)代償(だいしょう)(はら)わせる!!」 水魔浩激流(すいまこうげきりゅう)怒号(どごう)一声(いっせい)(はな)ち、両掌(りょうしょう)(もう)しく()した。


四転(してん)——水瀑蛊(すいばくこ)


真元(しんげん)(くる)ったように(かん)(ちゅう)され、空気中(くうきちゅう)水気(すいき)()(まん)し、そして轟隆(ごうろん)という(おと)(とも)に、()(くう)から(とん)一股(いっこ)龐大(ぼうだい)水流(すいりゅう)形成(けいせい)された。


水流(すいりゅう)湍急(たんきゅう)無比(むひ)であり、()たかも瀑布(ばくふ)高空(こうくう)から轟然(ごうぜん)砸下(さっか)する(ごと)くであった。


瞬く()に、狼群(おおかみむれ)千頭(せんとう)以上の死傷(ししょう)を出した。激流(げきりゅう)()()みながら蔓延(はびこ)り、浩激流(こうげきりゅう)身边(しんぺん)全数(ぜんすう)清空(せいくう)した。


そして同時(どうじ)に、厳家(げんけ)蛊師(こし)たちは共同(きょうどう)一匹(いっぴき)蛊虫(こちゅう)駆動(くどう)した。


これは五転風障蛊(ごてんふうしょうこ)であり、一陣(いちじん)龐大(ぼうだい)(かぜ)形成(けいせい)した。


(かぜ)(しゃ)(ごと)く、絲絲(しし)たる緑意(りょくい)()びて、众人(しゅうじん)身边(しんぺん)弥漫(びまん)した。


狼群(おおかみむれ)()(ごろ)して()ると、無形(むけい)(かぜ)尽数(じんすう)阻挡(そうとう)された。


多くの狼王(ろうおう)身上(しんじょう)野蛊(やこ)攻撃(こうげき)が、風障(ふうしょう)(ちゅう)()()たると、石牛(せきぎゅう)(うみ)()(ごと)く、销声匿跡(しょうせいとくせき)した。


「どうしてこうなった?」月亮湖(げつりょうこ)(うえ)擒拿(きんどう)されて人質(ひとじち)とされている厳翠児(げんすいじ)は、目瞪口呆(もくどうこうだい)して眼前(がんぜん)岸辺(きしべ)(うえ)激戦(げきせん)()ていた。


彼女(かのじょ)は、事態(じたい)がこんなどんでん(がえ)しになるとは(ゆめ)にも(おも)わなかった。元々(もともと)大勢(おおぜい)から(あらそ)われ、事件全体(じけんぜんたい)中心(ちゅうしん)だった自分(じぶん)が、(いま)では傍観(ぼうかん)する通行人(つうこうにん)()している。


駝狼(だろう)()()なく後退(こうたい)し、方源(ほうげん)()せて水魔浩激流(すいまこうげきりゅう)距離(きょり)()った。


(おろ)かだ。」()()なく殺到(さっとう)し、(みずか)らに接近(せっきん)しようとする水魔浩激流(すいまこうげきりゅう)と、陣地(じんち)防衛(ぼうえい)する厳家(げんけ)(もの)たちを(なが)めながら、方源(ほうげん)()ややかに(わら)った。


水魔浩激流(すいまこうげきりゅう)と、厳家(げんけ)族長(ぞくちょう)である厳天寂(げんてんじゃく)を合わせれば、二人(ふたり)四転蛊師(してんこし)となる。さらに厳家(げんけ)高官(こうかん)である十数名(じゅうすうめい)三転蛊師(さんてんこし)(くわ)えれば、実力(じつりょく)強大(きょうだい)()える。


しかし奴道蛊師(ぬどうこし)(つよ)さとは、まさに(いち)(おお)しに(てき)するという(てん)にあるのだ!


むかし、常山陰(じょうさんいん)狼群(おおかみむれ)(ひき)いて、格上(かくうえ)挑戦(ちょうせん)をし、五転蛊師(ごてんこし)哈突骨(ハトツコツ)斬殺(ざんさつ)したのはもちろん、哈突骨(ハトツコツ)麾下(きか)一団(いちだん)悍将(かんしょう)までも一緒(いっしょ)消滅(しょうめつ)させた。


なぜか。


まさに(かれ)奴道蛊師(ぬどうこし)であるからだ。


いま、方源(ほうげん)手中(しゅちゅう)狼群(おおかみむれ)は、すでに(かたち)()し、規模(きぼ)()がった。


狼群(おおかみむれ)規模(きぼ)はすでに三万有余(さんまんゆうよ)で、麾下(きか)百狼王(ひゃくろうおう)千狼王(せんろうおう)多数(たすう)いるだけでなく、一匹(いっぴき)夜狼万狼王(やろうまんろうおう)および一匹(いっぴき)(わか)異獣(いじゅう)白眼狼(はくがんろう)もいる。


このような規模(きぼ)は、かつての常山陰(じょうさんいん)絶頂期(ぜっちょうき)狼群(おおかみむれ)半分(はんぶん)には(およ)ばないが、すでに二、(にさん)葛家(かつけ)連合(れんごう)屠滅(とめつ)するのに十分(じゅうぶん)である!


いま、わずか二十数名(にじゅうすうめい)蛊師(こし)対処(たいしょ)するのは、牛刀小試(ぎゅうとうしょうし)()えるだけである。


()たして、しばらく(たたか)った(あと)水魔浩激流(すいまこうげきりゅう)(いき)()らして、攻勢(こうせい)次第(しだい)()まった。


(かれ)(つか)れを(かん)じた!


「ちくしょう!こんな狼術(ろうじゅつ)(じつ)厄介(やっかい)だ。明明(めいめい)ただの百狼王(ひゃくろうおう)千狼王(せんろうおう)()ぎないのに……」水魔浩激流(すいまこうげきりゅう)方源(ほうげん)()()はすでに()わっていた。


(かれ)奴道蛊師(ぬどうこし)()()わしたことがないわけではないが、(いま)まで(たたか)った奴道蛊師(ぬどうこし)たちは、どうして方源(ほうげん)(くら)べることができようか?


「これが狼王(ろうおう)馭獣術(ぎょじゅうじゅつ)なのか……これに()()まれると、まるで(ふか)泥沼(どろぬま)()まり、()()せば()すほど(ふか)(しず)んでいく!」水魔浩激流(すいまこうげきりゅう)狼群(おおかみむれ)襲撃(しゅうげき)(ふせ)ぎながら、(こころ)(なか)はすでに恐怖(きょうふ)一杯(いっぱい)だった。


(ひと)つの意識(いしき)空竅(くうきょう)(さぐ)()れ、浩激流(こうげきりゅう)はひそかに(なげ)いた。


(たっ)たまのあの激烈(げきれつ)衝鋒(しょうほう)連発(れんぱつ)大技(おおわざ)(みち)轟殺(ごうさつ)し切り(ひら)いたため、(かれ)真元(しんげん)(はげ)しく消耗(しょうもう)し、(いま)空竅(くうきょう)(なか)最盛期(さいせいき)半分(はんぶん)()たない。


真元(しんげん)一度(いちど)()()てれば、蛊師(こし)戦力(せんりょく)急激(きゅうげき)谷底(たんてい)まで()()む。


浩激流(こうげきりゅう)(なが)()(かんが)え、攻勢(こうせい)(おさ)めざるを()なかった。こうして、(かれ)衝勢(しょうせい)完全(かんぜん)()()せ、狼群(おおかみむれ)包囲(ほうい)されてしまった。


水魔浩激流(すいまこうげきりゅう)四転蛊師(してんこし)水道蛊虫(すいどうこちゅう)使(つか)い、攻勢(こうせい)浩大(こうだい)多勢(たぜい)(てき)するのを得意(とくい)とする。(わか)(ころ)北原(ほくげん)流窜(りゅうざん)し、屡々(しばしば)犯行(はんこう)(かさ)ね、声名狼藉(せいめいろうせき)……(かれ)厳翠児(げんすいじ)俘虜(ふりょ)し、厳家(げんけ)(ろう)(さく)して成功(せいこう)した(あと)()ぐに英雄大会(えいゆうたいかい)参加(さんか)し、厳翠児(げんすいじ)黒楼蘭(こくろうらん)献上(けんじょう)した。黒楼蘭(こくろうらん)はそれを(おお)いに(よろこ)び、(おも)(にん)(ゆだ)ねた。王庭福地(おうていふくち)入主(にゅうしゅ)した(あと)(こう)(ろん)じて(しょう)(おこな)い、浩激流(こうげきりゅう)黒楼蘭座下(こくろうらんざか)第三(だいさん)悍将(かんしょう)(ひょう)された。」


方源(ほうげん)関連(かんれん)する記憶(きおく)回想(かいそう)し、(かす)かな()(ひか)らせた。五百年前世(ごひゃくねんぜんせ)において、この浩激流(こうげきりゅう)一人物(いちじんぶつ)であり、八、九年(はちくねん)にわたり活躍(かつやく)した(のち)常山陰(じょうさんいん)斬殺(ざんさつ)されたのだった。


浩大(こうだい)攻勢(こうせい)は、往々(おうおう)にして真元(しんげん)(はげ)しい消耗(しょうもう)意味(いみ)する。浩激流(こうげきりゅう)はもはや懸念(けねん)するに()らない。(いま)この(とき)(かれ)はおそらく(くら)がりで()(みち)模索(もさく)しているだろう。(かれ)水中逃遁(すいちゅうとうとん)得意(とくい)とする。今日(きょう)(かれ)()めるのは容易(ようい)ではない。(なん)()っても、()()(なか)水狼(すいろう)(かず)(すく)()ぎるからだ。しかし()(おも)目的(もくてき)(かれ)ではなく、厳家(げんけ)蛊師(こし)たちにある。」


方源(ほうげん)視線(しせん)(うつ)し、()厳家(げんけ)(もの)たちへと()けた。


厳家(げんけ)蛊師(こし)防御(ぼうぎょ)得意(とくい)としており、これは北原(ほくげん)では有名(ゆうめい)(はなし)だ。()たして、これらの蛊師(こし)たちの防御(ぼうぎょ)(きわ)めて完璧(かんぺき)で、五転(ごてん)風障蛊(ふうしょうこ)はまさに(かめ)甲羅(こうら)(ごと)く、強固(きょうこ)众人(しゅうじん)(まも)()いていた。


「ふん、厳家(げんけ)(もの)どもは(じつ)天真(てんしん)だ。(いま)重囲(じゅうい)(おちい)っているのに、まだ余力(よりょく)温存(おんそん)し、(やま)()して(とら)(たたか)いを()(こころ)でいる。歴史(れきし)厳天寂(げんてんじゃく)(ひょう)して、()(もの)保守(ほしゅ)有余(ゆうよ)で、進取(しんしゅ)不足(ふそく)だと()くのも無理(むり)はない。彼ら(かれら)が時間(じかん)()()ばそうとしているなら、それも()()(かな)う。」方源(ほうげん)心中(しんちゅう)冷笑(れいしょう)し、(わざ)狼群(おおかみむれ)攻勢(こうせい)(ゆる)めた。


時間(じかん)一分一秒(いっぷんいちびょう)()ぎていくにつれて、浩激流(こうげきりゅう)および厳家(げんけ)などの(もの)真元(しんげん)も、それに(ともな)って消耗(しょうもう)していった。


突然(とつぜん)(はやし)(なか)大勢(おおぜい)(かげ)(あらわ)れた。


常山陰(じょうさんいん)殿(どの)、我々(われわれ)が参上(さんじょう)しました!」葛家(かつけ)現職族長(げんしょくぞくちょう)である葛光(かつこう)が、葛家(かつけ)蛊師(こし)(ひき)いて、ここに()()けた。


()るのがなかなか(はや)いな。」方源(ほうげん)は淡々(たんたん)と(かれ)一瞥(いちべつ)し、意味深長(いみしんちょう)だった。


葛光(かつこう)方源(ほうげん)()神光(しんこう)()されるように、(おも)わずうつむいてしまい、心中(しんちゅう)では敬服(けいふく)畏怖(いふ)(ねん)(いだ)いた:「これが狼王(ろうおう)英雄本色(えいゆうほんしょく)か、まさか今日(きょう)本当(ほんとう)()るとは!」


「はい、大人(たいじん)手紙(てがみ)()()った(あと)、すぐに()()けました。(ひと)(おん)()(むく)いるべきです。大人(たいじん)(あなた)は屡々(しばしば)我々(われわれ)葛家(かつけ)(すく)ってくださいました。大人(たいじん)(あだ)は、我々(われわれ)葛家(かつけ)(あだ)です。」と、葛光(かつこう)即座(そくざ)(こた)えた。


葛家(かつけ)营地(えいち)で、方源(ほうげん)手出(てだ)しがし(にく)かったので、表面(ひょうめん)(てき)严家(げんけ)承諾(しょうだく)した。狼群(おおかみむれ)全数(ぜんすう)整合(せいごう)()えると、中途(ちゅうと)蛊虫(こちゅう)使(つか)って手紙(てがみ)(おく)(かえ)した。


葛光(かつこう)手紙(てがみ)()()り、(ひろ)げて()ると、(かお)(とん)震驚(しんきょう)骇然(がいぜん)充満(じゅうまん)した。


常山陰(じょうさんいん)殿(どの)が、まさか厳家(げんけ)全体(ぜんたい)()()すとは!」(かれ)(おも)わず(こえ)()げた。


(つづ)けて()(すす)むと、手紙(てがみ)のなかで方源(ほうげん)理由(りゆう)()べていた。そもそも当時(とうじ)常山陰(じょうさんいん)(はは)(ひそ)かに(どく)()られ、常山陰(じょうさんいん)解毒(げどく)()(もと)めて腐毒草原(ふどくそうげん)(ふか)()り、哈突骨(ハトツコツ)一味(いちみ)強敵(きょうてき)()()せに()った。事件全体(じけんぜんたい)陰謀(いんぼう)であり、常家(じょうけ)内部(ないぶ)での権力争(けんりょくあらそ)いで、常山陰(じょうさんいん)()()すための(おこな)いだったのだ。


方源(ほうげん)五百年前世(ごひゃくねんぜんせ)において、常山陰(じょうさんいん)馬鴻運(ばこううん)(すく)われ、家族(かぞく)(もど)ることなく、馬鴻運(ばこううん)依附(いふ)したのも、このためであった。後年(こうねん)常山陰(じょうさんいん)馬鴻運(ばこううん)王庭(おうてい)(あるじ)()()くのを(たす)けた(あと)常家(じょうけ)()()ろし、常家(じょうけ)高官(こうかん)一律(いちりつ)粛清(しゅくせい)し、(みずか)常家(じょうけ)族長(ぞくちょう)となって、当時(とうじ)復讐(ふくしゅう)()たしたのであった。


方源(ほうげん)(いま)严家(げんけ)(たい)(しょ)しているが、この理由(りゆう)(かれ)利用(りよう)して、手紙(てがみ)()き、葛光(かつこう)説得(せっとく)した。


葛家(かつけ)は元々(もともと)常家(じょうけ)縁続(えんつづ)きで、親戚(しんせき)関係(かんけい)があった。


葛家(かつけ)老族長(ろうぞくちょう)(はじ)めて方源(ほうげん)()った(とき)(かれ)二女(じじょ)常家(じょうけ)(とつ)いだと(はな)していた。


しかし葛光(かつこう)手紙(てがみ)()()った(あと)即座(そくざ)決断(けつだん)し、方源(ほうげん)(とも)()つことを(えら)んだ。


葛光(かつこう)(きみ)成熟(せいじゅく)したな。葛家(かつけ)(きみ)執掌(しっしょう)(もと)発揚光大(はつようこうだい)するだろう。」方源(ほうげん)(おおかみ)背中(せなか)()り、淡々(たんたん)と(ひょう)()し、すぐに()()って()った。「この(たたか)いには、(きみ)たちが出手(でしゅ)する必要(ひつよう)はない。(きみ)葛家(かつけ)蛊師(こし)(ひき)いて外囲(そとまわり)(じん)(かす)めればよい。しかし、(おぼ)えておけ。一人(ひとり)严家(げんけ)家老(かろう)(はば)めば、(つぎ)严家(げんけ)营地(えいち)への総攻撃(そうこうげき)一分(いちぶ)勝算(しょうさん)がある。」


「はっ、末輩(まつはい)狼王(ろうおう)のご託宣(たくせん)(つつし)んで(うけたまわ)ります!」 葛光(かつこう)(あわ)てて受諾(じゅだく)し、大勢(おおぜい)蛊師(こし)(ひき)いて戦場(せんじょう)外囲(そとまわり)散開(さんかい)し、包囲陣勢(ほういじんせい)()んだ。


葛家(かつけ)蛊師(こし)たちが援軍(えんぐん)として到着(とうちゃく)するのを()て、厳家(げんけ)蛊師(こし)たちは(おどろ)きと(いか)りでいっぱいだった。


葛光(かつこう)、この卑劣(ひれつ)小人(しょうじん)め!」 一人(ひとり)厳家(げんけ)家老(かろう)(いか)りの(きわ)みで()えた。


葛家(かつけ)よ、お(まえ)たちは(あやま)った決断(けつだん)(くだ)した。我々(われわれ)厳家(げんけ)敵対(てきたい)することは、劉文武公子(りゅうぶんぶこうし)(さか)らうことだ。末代(まつだい)まで(たた)るだろう!」 (べつ)家老(かろう)(こえ)()()げて呪詛(じゅそ)()いた。


葛光(かつこう)()ややかに(わら)い、(こころ)(なか)軽蔑(けいべつ)(ねん)()ちていた。


()()(まえ)(せま)っているのに、まだ劉家公子(りゅうけこうし)()()して、(なん)(やく)()つのか?」


「我々(われわれ)はもうここに(とど)まっていられない。突撃(とつげき)し、包囲(ほうい)突破(とっぱ)しなければ!」 厳家(げんけ)家老(かろう)(こと)重大性(じゅうだいせい)()づき、顔色(かおいろ)(あお)ざめ、怒鳴(どな)()した。


()け!」


厳家(げんけ)(もの)たちは()()()って(すす)み、突撃(とつげき)開始(かいし)し、()(みち)()(ひら)こうと(こころ)みた。


丹火蛊(たんかこ)金蚕蛊(きんさんこ)霜息蛊(そうそくこ)雪球蛊(せっきゅうこ)竜巻蛊(たつまきこ)炸雷蛊(さくらいこ)火爪蛊(かそうこ)などが、次々(つぎつぎ)と発動(はつどう)された。


一時(いちじ)火球(かきゅう)雪球(せっきゅう)()()なく()()い、金蚕(きんさん)光線(こうせん)()して縦横無尽(じゅうおうむじん)(あば)(まわ)り、(あお)霜息(そうそく)()()し、竜巻(たつまき)狼群(おおかみむれ)()らし、轟々(ごうごう)という雷鳴(らいめい)(なか)爆発(ばくはつ)(いた)(ところ)()き、(ほのお)でできた(つめ)()えず()()(たた)き……


厳家(げんけ)(もの)たちの猛烈(もうれつ)攻勢(こうせい)のもと、方源(ほうげん)狼群(おおかみむれ)甚大(じんだい)死傷者(ししょうしゃ)()したが、次々(つぎつぎ)と(あと)()ぎ、途切(とぎ)れることなく、生死(せいし)(かえり)みずに突進(とっしん)してきた。


「これらの蛊師(こし)どもは、凡俗(ぼんぞく)高手(こうしゅ)ではあるが、全員(ぜんいん)三転(さんてん)四転(してん)構成(こうせい)されている。だが、それがどうしたというのか?」 方源(ほうげん)(おおかみ)背中(せなか)端座(たんざ)したまま、心中(しんちゅう)(おも)いを(めぐ)らせ、狼群(おおかみむれ)指揮(しき)した。


(かれ)狼人魂(ろうじんこん)()っており、これらの狼群(おおかみむれ)(うご)かすのは、以前(いぜん)百人魂(ひゃくにんこん)使(つか)っていた(とき)よりもはるかに容易(ようい)だった。まさに狼王(ろうおう)(みずか)らが指揮(しき)しているかのように(なが)れるようにスムーズである。


狼群(おおかみむれ)が次々(つぎつぎ)と惨死(さんし)するのを()ながら、方源(ほうげん)表情(ひょうじょう)()わることなく、微動(びどう)だにしなかった。


これらの(おおかみ)所詮(しょせん)普通(ふつう)野獣(やじゅう)()ぎず、()んでも()ぬだけであり、()しむには(およ)ばない。


むしろ、彼ら(かれら)を(たて)として使(つか)い、これらの高階(こうかい)蛊師(こし)たちの真元(しんげん)消耗(しょうもう)させることこそ、(わり)()取引(とりひき)なのである。


厳家(げんけ)蛊師(こし)たちの最大(さいだい)弱点(じゃくてん)は、人数(にんずう)(すく)なすぎることにある。全員(ぜんいん)高手(こうしゅ)ではあるが、戦場(せんじょう)での圧力(あつりょく)分担(ぶんたん)してくれる下位(かい)戦力(せんりょく)()けている。


戦況(せんきょう)はすでに方源(ほうげん)掌握(しょうあく)するところとなり、(かれ)のリズムに()って(すす)められている。彼ら(かれら)には真元(しんげん)(しず)かに回復(かいふく)する時間的余裕(じかんてきよゆう)などまったくない。


(おそ)ろしい……この()にこれほどまでに(おそ)ろしい馭狼術(ぎょろうじゅつ)存在(そんざい)するとは!」一人(ひとり)厳家(げんけ)家老(かろう)顔色(かおいろ)(うしな)った。


「まさか今日(きょう)、我々(われわれ)がここで(いのち)()とすことになろうとは……」()気配(けはい)が、もはや()(まえ)(せま)っている。


常山陰(じょうさんいん)!我々(われわれ)を(ころ)せば、劉文武公子(りゅうぶんぶこうし)復讐(ふくしゅう)(おそ)れないのか?!」(べつ)家老(かろう)は、なおも方源(ほうげん)圧力(あつりょく)をかけることで活路(かつろ)()()そうとしている。


(とつ)(げき)せよ!()まるな!」厳天寂(げんてんじゃく)(さけ)(ごえ)はすでに()れていた。(かれ)空竅(くうきょう)(なか)真元(しんげん)は、もはや半分(はんぶん)以下(いか)()っていた。



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