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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第六十四節:活棋

舍利蛊(しゃりこ)空竅(くうきょう)底力(そこぢから)直接(ちょくせつ)()やし、蛊師(こし)境位(きょうい)()()げることのできる蛊虫(こちゅう)である。


一転(いってん)から五転(ごてん)まで、それぞれ青銅(せいどう)赤鉄(せきてつ)白銀(はくぎん)黄金(おうごん)紫晶(ししょう)舍利蛊(しゃりこ)存在(そんざい)する。舍利蛊(しゃりこ)はすべて凡蛊(ぼんこ)であり、六転(ろくてん)以上(いじょう)仙蛊(せんこ)存在(そんざい)しない。


このうち青銅(せいどう)赤鉄(せきてつ)白銀(はくぎん)舍利蛊(しゃりこ)は、凡間(ぼんかん)(ひろ)流通(りゅうつう)している。しかし黄金(おうごん)舍利蛊(しゃりこ)紫晶(ししょう)舍利蛊(しゃりこ)になると、四転(してん)五転(ごてん)蛊師(こし)戦力(せんりょく)直接(ちょくせつ)影響(えいきょう)(およ)ぼし、間接的(かんせつてき)勢力図(せいりょくず)影響(えいきょう)するため、各大組織(かくだいそしき)による(きび)しい規制(きせい)()け、市場(しじょう)出回(でまわ)ることは(きわ)めて(すく)ない。


しかし宝黄天(ほうこうてん)(いた)れば、黄金(おうごん)舍利蛊(しゃりこ)紫晶(ししょう)舍利蛊(しゃりこ)存在(そんざい)する。


蛊仙(こせん)紫晶(ししょう)舍利蛊(しゃりこ)をどれだけ使(つか)っても、修為(しゅうい)()えない。だが紫晶(ししょう)舍利蛊(しゃりこ)数量(すうりょう)は、相変(あいか)わらず比較的(ひかくてき)(すく)ない。


黄金舍利蛊(おうごんしゃりこ)紫晶舍利蛊(ししょうしゃりこ)は、修行(しゅぎょう)増進(ぞうしん)させる以外(いがい)にも、仙蛊(せんこ)煉製(れんせい)多量(たりょう)(もち)いられるためである。仙蛊秘方(せんこひほう)において重要(じゅうよう)催化(しんか)効果(こうか)(ゆう)する。


炼蛊(れんこ)以外(いがい)にも、蛊仙(こせん)後輩(こうはい)家族(かぞく)がいる場合(ばあい)、彼らに使用(しよう)させるため多量(たりょう)舍利蛊(しゃりこ)収蔵(しゅうぞう)しておくことも多い。


このため宝黄天(ほうこうてん)では、一転(いってん)から三転(さんてん)舍利蛊(しゃりこ)(たば)()られているが、四転(してん)黄金舍利蛊(おうごんしゃりこ)(すく)なめで、紫晶舍利蛊(ししょうしゃりこ)(いた)ってはさらに数量(すうりょう)(すく)ない。


黄金(おうごん)紫晶舍利蛊(ししょうしゃりこ)仙蛊秘方(せんこひほう)(ひろ)(もち)いられ、方源(ほうげん)春秋蝉(しゅんじゅうせみ)煉製(れんせい)第二空竅蛊(だいにくうきょうこ)煉製(れんせい)使用(しよう)した。(かれ)()にある血神子仙蛊(けっしんしせんこ)残方(ざんぽう)にも、多量(たりょう)舍利蛊(しゃりこ)必要(ひつよう)とされている。


仙蛊(せんこ)(かか)わるものは(つね)高値(たかね)取引(とりひき)される。しかしこの状況(じょうきょう)は、凡間(ぼんかん)(きび)しい規制(きせい)よりは(はる)かにマシなのである。


方源(ほうげん)(ただ)ちに三匹(さんびき)紫晶舍利蛊(ししょうしゃりこ)購入(こうにゅう)し、さらに多額(たがく)資金(しきん)(とう)じて馬到成功蛊(ばとうせいこうこ)()()れた。


この()紫晶舍利蛊(ししょうしゃりこ)よりもはるかに高価(こうか)で、炼蛊(れんこ)成功率(せいこうりつ)(たか)める効果(こうか)がある。


その()方源(ほうげん)大量(たいりょう)低転蛊(ていてんこ)炼蛊材料(れんこざいりょう)購入(こうにゅう)し、五転(ごてん)敛息蛊(れんそくこ)などを煉製(れんせい)する準備(じゅんび)(ととの)えた。


宝黄天(ほうこうてん)宝光(ほうこう)検出(けんしゅつ)できるが、宝光(ほうこう)(たか)さだけを()ても、蛊虫(こちゅう)細工(さいく)(ほどこ)されているかどうかまでは判別(はんべつ)できない。そのため完全(かんぜん)安全(あんぜん)とは()えず、方源(ほうげん)可能(かのう)(かぎ)自身(じしん)煉製(れんせい)する方が妥当(だとう)だと判断(はんだん)したのである。


手持(ても)ちの残方(ざんぽう)をすべて売却(ばいきゃく)し、大量(たいりょう)物資(ぶっし)購入(こうにゅう)、さらに宝黄天(ほうこうてん)手数料(てすうりょう)()()いた(あと)、この一連(いちれん)取引(とりひき)によって方源(ほうげん)手元(てもと)にある仙元石(せんげんせき)二十八塊(にじゅうはちかい)(たっ)した。


もちろん、これらの仙蛊(せんこ)残方(ざんぽう)()り返し取引(とりひき)できるが、それに(したが)って宝光(ほうこう)持続的(じぞくてき)低下(ていか)していく。一定期間(いっていきかん)()かなければ、宝光(ほうこう)回復(かいふく)しない。


宝黄天(ほうこうてん)での取引(とりひき)では、まず宝光(ほうこう)確認(かくにん)する。宝光(ほうこう)(つよ)ければ価格(かかく)(たか)く、宝光(ほうこう)低下(ていか)すれば売値(うりね)()がる。


畢竟(ひっきょう)残方(ざんぽう)というものは、()(もの)(おお)ければ(おお)いほど価値(かち)低下(ていか)する。継続的(けいぞくてき)販売(はんばい)(つづ)ければ、方源(ほうげん)利益(りえき)次第(しだい)()り、以前(いぜん)購入(こうにゅう)した蛊仙(こせん)(そん)(かん)じるだろう。間隔(かんかく)()いて販売(はんばい)すれば、()()()()双方(そうほう)利益(りえき)がある。


()()売値(うりね)維持(いじ)でき、()()貴重(きちょう)時間(じかん)()()れる。その時間(じかん)を使って残方(ざんぽう)研究(けんきゅう)できるのだ——畢竟(ひっきょう)仙蛊(せんこ)唯一無二(ゆいいつむに)存在(そんざい)だからである。


「これで(わたくし)()にある(もっと)貴重(きちょう)秘方(ひほう)は、春秋蝉秘法(しゅんじゅうせんひほう)第二空竅蛊秘方(だいにくうきょうこひほう)、それに血神子残方(けっしんしざんぽう)だけとなった。(のこ)りの残方(ざんぽう)はすべて再販(さいばい)する。もちろん、(すく)なくとも数ヶ(すうかげつ)()()かなければならない。」


この時間(じかん)は、もちろん五域(ごいき)時間(じかん)()す。


その他の秘方(ひほう)、例えば神遊蛊(しんゆうこ)から定仙遊(ていせんゆう)煉成(れんせい)する方法(ほうほう)などは、(だれ)もが()っている。宝黄天(ほうこうてん)()しても、一寸(いっすん)宝光(ほうこう)(あら)われないだろう。


石人(せきじん)は、引き(つづ)仙鶴門(せんかくもん)供給(きょうきゅう)しなければならない。これも仙鶴門(せんかくもん)(うたが)いを(いだ)かせないためだ。矛盾(むじゅん)緩和(かんわ)し、可能(かのう)(かぎ)時間(じかん)(かせ)必要(ひつよう)がある。」


(いま)蕩魂山(とうこんざん)は徐々(じょじょ)に()にかけており、胆識蛊(たんしきこ)生産量(せいさんりょう)はますます減少(げんしょう)している。取引(とりひき)のたびに石人(せきじん)(かず)大幅(おおはば)()り、仙鶴門(せんかくもん)忍耐(にんたい)も徐々(じょじょ)に(うす)れている。(おそ)かれ(はや)かれ(たたか)いが()こるのは必至(ひっし)で、方源(ほうげん)にできるのはできるだけ時間(じかん)を引き()ばすことだけだ。


(さいわ)いなことに、(やつ)らは(わたし)狐仙福地(こせんふくち)()()められ、瓮中(おうちゅう)(かめ)同然(どうぜん)だと(おも)()んでいる。まさか(わたし)北原(ほくげん)遠征(えんせい)し、さらには(もど)ってくるとは(ゆめ)にも(おも)わないだろう。あの硯石老人(けんせきろうじん)でさえ、予想(よそう)できまい。」


智道蛊仙(ちどうこせん)推演(すいえん)得意(とくい)とするが、根拠(こんきょ)なく臆測(おくそく)するわけではない。あらゆる手掛(てが)かりを(もと)に、根源(こんげん)()(はか)って推理(すいり)するのである。


方源(ほうげん)核心(かくしん)()である春秋蝉(しゅんじゅうせみ)最大(さいだい)利点(りてん)重生(ちょうせい)にあり、前世(ぜんせ)五百年(ごひゃくねん)記憶(きおく)星門蛊(せいもんこ)推杯換盞蛊(すいはいかんさんこ)などは、すべて五域(ごいき)一時代(いちじだい)(さき)取りした蛊虫(こちゅう)である。「残方(ざんぽう)当分(とうぶん)()れないし、石人(せきじん)当面(とうめん)仙鶴門(せんかくもん)にのみ供給(きょうきゅう)する。だが、(わたし)にはまだ()れるものがある!」


方源(ほうげん)には(すで)計画(けいかく)があった。その商品(しょうひん)(ほか)でもない、(つち)なのである。


宝黄天(ほうこうてん)における土壌(どじょう)は、すべて貴重(きちょう)なものばかりである。例えば雲土(うんど)腐土(ふど)塩土(えんど)など。多くの福地(ふくち)では土壌(どじょう)産出(さんしゅつ)し、宝黄天(ほうこうてん)(ほか)蛊師(こし)有無相通(うむあいつう)じている。


方源(ほうげん)販売(はんばい)する(つち)も、当然(とうぜん)普通(ふつう)のものではない。それは和稀泥(わせいでい)なのである。


当時(とうじ)地災(ちさい)(おとず)れ、蕩魂山(とうこんざん)暗算(あんざん)にかけられ、和稀泥仙蛊(わせいでいせんこ)(ちから)汚染(おせん)された。山全体(やまぜんたい)が徐々(じょじょ)に(どろ)へと変質(へんしつ)しつつある。


しかしこの()(こと)はすべて、禍福(かふく)表裏一体(ひょうりいったい)なのである。


蕩魂山(とうこんざん)岩石(がんせき)変質(へんしつ)したこの(どろ)には、和稀泥仙蛊(わせいでいせんこ)(ちから)宿(やど)っている。一部(いちぶ)蛊仙(こせん)から()れば、これは和稀泥仙蛊(わせいでいせんこ)煉製(れんせい)する(さい)必須(ひっす)材料(ざいりょう)なのである!


()たして、方源(ほうげん)がこれらの泥土(でいど)宝黄天(ほうこうてん)出品(しゅっぴん)すると、すぐに(おお)きな注目(ちゅうもく)(あつ)めることとなった。


今日(きょう)一体(いったい)どういう()だ?こんなに良品(りょうひん)(そろ)うとは!」


和稀泥(わせいでい)だ……本物(ほんもの)和稀泥(わせいでい)で、強烈(きょうれつ)仙蛊(せんこ)気配(けはい)がする。」


残念(ざんねん)なことに、(わたし)和稀泥仙蛊(わせいでいせんこ)秘方(ひほう)()っていない。この(どろ)()()れても(たい)した(やく)には()たない……」


蛊仙(こせん)たちの神念(しんねん)(はげ)しく()()い、(おお)くの(もの)(きそ)って神念(しんねん)(はっ)し、()をつり()()った。


()(はい)和稀泥仙蛊(わせいでいせんこ)秘方(ひほう)必要(ひつよう)だ。それ以外(いがい)のものとは交換(こうかん)しない。」小狐仙(しょうこせん)方源(ほうげん)命令(めいれい)で、神念(しんねん)(つた)えた。


この(きび)しい要求(ようきゅう)に、蛊仙(こせん)たちはすぐに(あざけ)(わら)(はじ)めた。


「ただの土くれで、仙蛊秘方(せんこひほう)交換(こうかん)しようだなんて?その考えはあまりにも欲深(よくぶか)すぎる。」


和稀泥仙蛊(わせいでいせんこ)一度(いちど)きりの消耗蛊(しょうもうこ)だ。(あき)らかに秘方(ひほう)の方が蛊虫(こちゅう)より重要(じゅうよう)なのに、よくも厚かましく秘方(ひほう)交換(こうかん)しようと()えたものだ。」


現実的(げんじつてき)じゃなさすぎる。(べつ)のものに()えるよう(すす)めるよ。でなければ、この(くさ)った(どろ)宝黄天(ほうこうてん)(だれ)にも(かえり)みられずに()わるだろう。」


しかし小狐仙(しょうこせん)(ふたた)()った。「もちろん完全(かんぜん)仙方(せんぽう)(もと)めているわけではありません。(だれ)残方(ざんぽう)宝光(ほうこう)(たか)ければ、そちらを採用(さいよう)します。」


これを()いて、蛊仙(こせん)たちはようやく沈黙(ちんもく)し、様子(ようす)(うかが)(はじ)めた。


しばらくして、一人(ひとり)蛊仙(こせん)一丈二尺(いちじょうにしゃく)宝光(ほうこう)(はな)残方(ざんぽう)()()した。


これは当然(とうぜん)方源(ほうげん)眼中(がんちゅう)には(うつ)らない。(かれ)鏡面(きょうめん)()つめて(かす)かに(わら)い、小狐仙(しょうこせん)指示(しじ)した。「(ほか)蛊仙(こせん)残方(ざんぽう)(ひと)()すごとに、我々(われわれ)は和稀泥(わせいでい)一斤(いっきん)ずつ追加(ついか)する。」


「かしこまりました、ご主人様(しゅじんさま)!」小狐仙(しょうこせん)はすぐに甲高(かんだか)(あか)るい(こえ)(こた)えた。


狐仙福地(こせんふくち)には、和稀泥(わせいでい)相当量(そうとうりょう)たまっている。


最初(さいしょ)から最後(さいご)まで、蕩魂山(とうこんざん)から除去(じょきょ)された和稀泥(わせいでい)はすべて、福地(ふくち)(がい)排出(はいしゅつ)されることなく、福地西部(ふくちせいぶ)移送(いそう)されてきた。


ここ数年(すうねん)福地内(ふくちない)和稀泥(わせいでい)()()なく増加(ぞうか)(つづ)け、(いま)(どろ)(みずうみ)形成(けいせい)しそうなほどである。


かつての災害(さいがい)が、(いま)資本(しほん)となった。


宝黄天(ほうこうてん)では、蛊仙(こせん)たちの神念(しんねん)(ふたた)()(うご)(はじ)めた。


残方(ざんぽう)が一つ(ひとつ)(あらわ)れるたびに、小狐仙(しょうこせん)和稀泥(わせいでい)一斤(いっきん)ずつ追加(ついか)(とう)じる。この姿勢(しせい)は、(ほか)(もの)(あき)らかに()げている——我々(われわれ)にはたんまり(しな)があるのだ、と!


次々(つぎつぎ)と残方(ざんぽう)(あらわ)れ、宝光(ほうこう)(つよ)まっていく。最初(さいしょ)一丈(いちじょう)(すこ)しから、すでに二丈(にじょう)有余(ゆうよ)まで上昇(じょうしょう)し、なおも上昇傾向(じょうしょうけいこう)()せている。


方源(ほうげん)はしばらく様子(ようす)見守(みまも)り、口元(くちもと)()みを(ふか)めた。


(かれ)(たましい)地球(ちきゅう)から()たものであり、営業(えいぎょう)販売(はんばい)手腕(しゅわん)はこの世界(せかい)をはるかに凌駕(りょうが)している。地球(ちきゅう)では商業(しょうぎょう)発達(はったつ)しているが、宝黄天(ほうこうてん)では仙元石(せんげんせき)がかろうじて通貨(つうか)役割(やくわり)()たしているだけで、取引(とりひき)大半(たいはん)原始的(げんしてき)な物々交換(ぶつぶつこうかん)段階(だんかい)にある。


方源(ほうげん)のこの手法(しゅほう)一種(いっしゅ)(いきお)いづけでもあり、より(おお)くの蛊仙(こせん)()きつけて和稀泥仙蛊(わせいでいせんこ)残方(ざんぽう)()()させるのが目的(もくてき)なのである。


もちろん、これはせいぜいのところ小手先(こてさき)(わざ)()ぎない。


(つづ)いて、方源(ほうげん)小狐仙(しょうこせん)に他の業務(ほかぎょうむ)順次(じゅんじ)処理(しょり)し、手配(てはい)するよう指示(しじ)した。


「そろそろ時間(じかん)だ。(もど)るべき(とき)だな。」


方源(ほうげん)(つね)時間(じかん)計算(けいさん)していた。狐仙福地(こせんふくち)()ごす時間(じかん)は5分の1(ごぶんのいち)に圧縮(あっしゅく)され、それが北原(ほくげん)経過(けいか)する時間(じかん)となる。


「ご主人様(しゅじんさま)、またお()いしましょう。どうか(しき)りに様子(ようす)()(もど)ってきてくださいね。」小狐仙(しょうこせん)方源(ほうげん)福地西部(ふくちせいぶ)転送(てんそう)し、星萤蛊(せいけいこ)(かがや)きの(もと)(ふたた)星門蛊(せいもんこ)起動(きどう)した。


方源(ほうげん)(おお)くの炼蛊材料(れんこざいりょう)低転蛊虫(ていてんこちゅう)(たずさ)え、星門(せいもん)へと()()った。


しばらくすると、(かれ)(べつ)星門(せいもん)から()()し、北原(ほくげん)月牙湖(げつがこ)(ほとり)へと帰還(きかん)した。


(かれ)計算(けいさん)(どお)り、時刻(じこく)はすでに夜明(よあ)(ちか)く、天際(てんさい)には(しら)(はじ)め、一筋(ひとすじ)魚肚白(ぎょとはく)地平線(ちへいせん)()()げていた。


清風(せいふう)(ほお)()で、純粋(じゅんすい)湖水(こすい)がさざ(なみ)()てている。


空気(くうき)(きわ)めて清浄(せいじょう)で、足元(あしもと)草花(くさばな)には(つゆ)宿(やど)り、湖面(こめん)にはもう(かげ)のように()()(とり)たちが、(はね)をばたつかせながら()っている。


方源(ほうげん)(ふか)(いき)()()み、(こころ)(なか)(よろこ)びが(ひろ)がった。


馬鴻運(ばこううん)機縁(きえん)(うば)ったことにより、方源(ほうげん)はこの(たび)琅琊地霊(ろうやちれい)援助(えんじょ)()た。琅琊福地(ろうやふくち)(かれ)はその機縁(きえん)(ひと)つを使(つか)い、星門蛊(せいもんこ)などを()()れた。


それから狐仙福地(こせんふくち)(もど)り、通天蛊(つうてんこ)駆使(くし)して資源不足(しげんふそく)という困難(こんなん)解決(かいけつ)したのである。


「これで、もと()きかけていた()(こま)も、(あら)たな発展(はってん)(みち)(ひら)けた。盤面(ばんめん)全体(ぜんたい)()(かえ)ったというわけだ。」


(そら)次第(しだい)(あか)るくなり、狼群(おおかみむれ)護衛(ごえい)された方源(ほうげん)葛家(かつけ)陣地(じんち)へと(もど)った。


()れは()煉製(れんせい)のために()(こも)る。雑人(ざつじん)(けっ)して邪魔(じゃま)するでない。」


一言(ひとこと)そう()(のこ)すと、(かれ)自分(じぶん)蜥屋(とかげや)()()め、(あら)たな()煉製(れんせい)()()かった。


()煉製(れんせい)する材料(ざいりょう)出所(でどころ)がどこであろうと、どこで煉成(れんせい)された蛊虫(こちゅう)かが重要(じゅうよう)である。つまり、方源(ほうげん)()にある材料(ざいりょう)大半(たいはん)中洲(ちゅうしゅう)由来(ゆらい)だが、北原(ほくげん)煉成(れんせい)されれば、(あたら)しい蛊虫(こちゅう)はすべて北原(ほくげん)本地(ほんち)()となり、異域(いいき)による压制(あっせい)()けることはない。


(かれ)最初(さいしょ)煉製(れんせい)するのは、推杯換盞蛊(すいはいかんさんこ)であった。


推杯換盞蛊(すいはいかんさんこ)本来(ほんらい)五転蛊(ごてんこ)であり、以前(いぜん)狐仙福地(こせんふくち)煉成(れんせい)された一組(ひとくみ)現在(げんざい)破損(はそん)(すす)み、あと一回(いっかい)使用(しよう)できるのみである。宝黄天(ほうこうてん)(つう)じて材料(ざいりょう)入手(にゅうしゅ)した方源(ほうげん)は、当然(とうぜん)(あたら)しく北原(ほくげん)(ばん)推杯換盞蛊(すいはいかんさんこ)一対(いっつい)煉成(れんせい)する必要(ひつよう)がある。


一方(いっぽう)月牙湖(げっがこ)(ほとり)では、


厳家(げんけ)蛊師(こし)一行(いっこう)九名(きゅうめい)駝狼(だろう)()り、疾走(しっそう)していた。


()まれ!ここに狼群(おおかみむれ)足跡(あしあと)がある!」厳家(げんけ)族長(ぞくちょう)突然(とつぜん)手綱(たづな)()き、眼前(がんぜん)(ひろ)がる無数(むすう)(おおかみ)足跡(あしあと)()て、(おどろ)きと(うたが)いの表情(ひょうじょう)()かべた。


「なんとこれほどの(おおかみ)が……これは(まん)単位(たんい)狼群(ろうぐん)だ……」ほかの蛊師(こし)たちも次々(つぎつぎ)に驚嘆(きょうたん)(こえ)()げた。


様子(ようす)がおかしい!()ろ、これらの(おおかみ)足跡(あしあと)には、毒須狼(どくしゅろう)風狼(ふうろう)、それに亀背狼(きはいろう)夜狼(やろう)などが()じっている。」


野生(やせい)狼群(おおかみむれ)通常(つうじょう)単一種(たんいつしゅ)構成(こうせい)される。これほど多種(たしゅ)()()じっているということは、蛊師(こし)(あやつ)われているとしか(おも)えない!」


厳家(げんけ)族長(ぞくちょう)(まゆ)をひそめ、沈思(ちんし)したように()った。「葛家(かつけ)はかつては大規模(だいきぼ)家族(かぞく)だったが、(いま)移動(いどう)放浪(ほうろう)で、とっくに往年(おうねん)面影(おもかげ)はない。これほど(おお)きな獣群(じゅうぐん)(やしな)えるとは(おも)えん。おそらくこれは魔道(まとう)蛊師(こし)仕業(しわざ)だろう。我々(われわれ)は葛家(かつけ)支援(しえん)(もと)めるために()た。まずは実際(じっさい)状況(じょうきょう)確認(かくにん)しに()く。もし葛家(かつけ)(あや)うければ、我々(われわれ)は(しず)かに撤退(てったい)する。もし(なが)れに()って(おん)()れるなら、葛家(かつけ)前後(ぜんご)から狼群(ろうぐん)挟撃(きょうげき)しよう。」


「はっ、族長(ぞくちょう)さま!」一同(いちどう)(こえ)(そろ)えて(おう)じた。


()くぞ、葛家(かつけ)へ。」


駝狼(だろう)(ふたた)()()し、一行(いっこう)()せて葛家(かつけ)本営(ほんえい)へと()かった。














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