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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第五十五節:古往炼道第一仙

時間(じかん)一刻一刻(いっこくいっこく)()ぎて()き、暗雲(あんうん)(うえ)には(かず)人影(ひとかげ)が黙々(もくもく)と()(つづ)けている。


鬼王(きおう)紅玉散人(こうぎょくさんじん)以外(いがい)に、三人(さんにん)女仙(じょせん)がいる。


この三仙(さんせん)は各々(おのおの)美貌(びぼう)(めぐ)まれ、窈窕(ようちょう)として多様(たよう)姿(すがた)をしており、(まさ)花海三仙(かかいさんせん)である。


青衣(せいい)女子(じょし)眉目(びもく)清冷(せいれい)として、青索仙子(せいさくせんし)である。黄裳(こうしょう)女子(じょし)(ちい)さくて(しろ)く、黄沙仙子(こうさせんし)(ごう)する。粉裙(ふんくん)女子(じょし)嬌媚(きょうび)(ひと)()きつけ、粉夢仙子(ふんむせんし)である。


三人(さんにん)()()って(ひと)(ところ)()ち、鬼王(きおう)紅玉散人(こうぎょくさんじん)とは一段(いちだん)距離(きょり)(へだ)てており、けい()(めい)べんである。


青索仙子(せいさくせんし)下方(かほう)月牙湖(げつがこ)()()し、黄沙仙子(こうさせんし)粉夢仙子(ふんむせんし)(ちい)さな(こえ)会話(かいわ)()わし、()時折(ときおり)鬼王(きおう)紅玉散人(こうぎょくさんじん)()う。その眼差(まなざ)しには警戒心(けいかいしん)(ふく)まれている。


鬼王(きおう)(みにく)外見(がいけん)が、()(この)三仙(さんせん)嫌悪(けんお)(ねん)(いだ)かせるのは()うまでもない。()紅玉散人(こうぎょくさんじん)(ひと)()ってみても、当年(とうねん)()()るため(みずか)(じつ)両親(りょうしん)()()け、(みずか)らの兄弟(きょうだい)裏切(うらぎ)ったという(おこな)いが、正道(せいどう)三女仙(さんじょせん)には(はなは)(はな)につくのである。


しかし琅琊福地(ろうやふくち)は並々(なみなみ)ならぬ来歴(らいれき)を持つ。かつてここに()んでいた蛊仙(こせん)は、錚々(そうそう)たる「古往煉道第一仙(こおうれんどうだいいちせん)」——長毛老祖(ちょうもうろうそ)である。


この人物(じんぶつ)煉道(れんどう)(きわ)めて精通(せいつう)し、八転(はってん)修為(しゅぎょく)()ち、古今(ここん)(まれ)()煉道(れんどう)才華(さいか)(ゆう)していた。


(かれ)寿命(じゅみょう)(きわ)めて(なが)く、盗天魔尊(とうてんまそん)巨陽仙尊(きょようせんそん)という二代(にだい)尊者(そんじゃ)時代(じだい)(また)いで()(つづ)けた。


これはどういうことか?つまり、二人(ふたり)九転(きゅうてん)蛊仙(こせん)でさえ、(かれ)ほど(なが)()きられなかったのである。


(かれ)煉道(れんどう)(さい)は、盗天(とうてん)巨陽(きょよう)という二大(にだい)尊者(そんじゃ)でさえも比類(ひるい)ない感服(かんぷく)(ねん)(いだ)き、(あま)んじて下風(かふう)()つことを(みと)めた。両者(りょうしゃ)ともかつて長毛老祖(ちょうもうろうそ)依頼(いらい)し、自分(じぶん)のため()()るよう()うたのである。


後人(こうじん)統計(とうけい)によれば、長毛老祖(ちょうもうろうそ)生涯(しょうがい)(すく)なくとも三十八匹(さんじゅうはっぴき)仙蛊(せんこ)煉成(れんせい)したという。これは確実(かくじつ)歴史的(れきしてき)事実(じじつ)からまとめられた(かず)であり、伝説(でんせつ)逸話(いつわ)(ふく)まれていない。


しかし、そのような人物(じんぶつ)でも、ついには光阴(こういん)長河(ちょうが)(せん)(じょう)(あらが)うことはできず、最期(さいご)老死(ろうし)した。


(うわさ)によれば、(かれ)死後(しご)地霊(ちれい)()し、(いま)もなお琅琊福地(ろうやふくち)()()ることを(おこた)っていないという。


琅琊福地(ろうやふくち)長毛老祖(ちょうもうろうそ)居所(きょしょ)であったため、膨大(ぼうだい)(りょう)蛊虫(こちゅう)秘方(ひほう)収録(しゅうろく)されている。当然(とうぜん)仙蛊(せんこ)秘方(ひほう)(ふく)まれている。


花海三仙(かかいさんせん)鬼王(きおう)紅玉散人(こうぎょくさんじん)(こころよ)(おも)ってはいないが、仙蛊(せんこ)秘方(ひほう)という誘惑(ゆうわく)は、彼女たち(かのじょたち)三人(さんにん)正道(せいどう)身份(みぶん)()て、二人(ふたり)魔道(まどう)蛊仙(こせん)(みっ)かに協力(きょうりょく)するには十分(じゅうぶん)である。


時間(じかん)はゆっくりと()ぎていく。


パシッ。


突然(とつぜん)、かすかな(おと)がして、月牙湖(げつがこ)水面(すいめん)虚空(くう)が粉々(こなごな)に(くだ)け、(あら)たな稲妻(いなずま)(ひかり)(あら)れた。


地災(ちさい)(はじ)まった!」鬼王(きおう)()()って(さけ)んだ。


一時(いちじ)月牙湖(げつがこ)中央上空(ちゅうおうじょうくう)で、電光(でんこう)(ひらめ)き、雷鳴(らいめい)(とど)ろき(つづ)けた。


これは間違(まちが)いなく地災(ちさい)到来(とうらい)で、福地(ふくち)漏洞(ろうどう)(あら)われた光景(こうけい)だ。


紅玉散人(こうぎょくさんじん)()炯炯(けいけい)(かがや)かせ、その漏洞(ろうどう)一瞬(いっしゅん)(まばた)きせずに凝視(ぎょうし)した。


花海三仙(かかいさんせん)は次々(つぎつぎ)と視線(しせん)()わせ、(たが)いの()興奮(こうふん)()()()り、三人(さんにん)呼吸(こきゅう)(すこ)(はや)くなった。


仙蛊(せんこ)()つけるのが(むずか)しく、この()人の蛊仙(こせん)()には(ひと)つも仙蛊(せんこ)がない。当然(とうぜん)五転(ごてん)蛊虫(こちゅう)はあり、その(かず)(おお)く、さらに(かく)々(かく)が精品(せいひん)である。


しかし、どれだけ(おお)くの凡蛊(ぼんこ)があっても、(ひと)つの仙蛊(せんこ)には(およ)ばない。


蛊仙(こせん)たちの仙蛊(せんこ)への渇望(かつぼう)は、


(いろ)()えた(おおかみ)絶世(ぜっせい)美女(びじょ)()()()がる欲望(よくぼう)よりも、はるかに大きい。


ゴロゴロ……


湖上(こじょう)空中(くうちゅう)では、雷鳴(らいめい)()()なく炸裂(さくれつ)し、稲妻(いなずま)が次々(つぎつぎ)と()りつける。


ついには電水(でんすい)雷漿(らいしょう)さえ形成(けいせい)され、暴雨(ぼうう)(ごと)(しゃ)(おけ)(ひるがえ)して()(そそ)いだ。


(ふた)()漏洞(ろうどう)()()漏洞(ろうどう)……


地災(ちさい)は次々(つぎつぎ)と漏洞(ろうどう)()()し、連続(れんぞく)して(あら)われた。


「これは地災(ちさい)――『万雷電雨(ばんらいてんう)』だ。なんという(おそ)ろしい威力(いりょく)だろう」


紅玉散人(こうぎょくさんじん)はここまで()て、()震撼(しんかん)(いろ)()かべた。


「もしこれが(わたし)たちの花海福地(かかいふくち)(おそ)ったら、(おそ)らく姐妹(しまい)三人(さんにん)()()んでも、到底(とうてい)()()れないでしょう?琅琊福地(ろうやふくち)流石(さすが)長毛老祖(ちょうもうろうそ)所有物(しょゆうぶつ)です。今回(こんかい)、私たちは本当(ほんとう)にここから仙蛊(せんこ)秘方(ひほう)(うば)()ることができるのでしょうか?」


花海三仙(かかいさんせん)(かお)見合(みあ)わせ、顔色(かおいろ)(あお)ざめさせた。


以前(いぜん)鬼王(きおう)から(おお)くの利益(りえき)約束(やくそく)された花海三仙(かかいさんせん)は、()()きとしてやって()たが、(いま)三人(さんにん)ともこの(たび)容易(ようい)ではないこと、琅琊福地(ろうやふくち)強行突入(きょうこうとつにゅう)するのは(けっ)して簡単(かんたん)ではないことを痛感(つうかん)した。


蛊仙(こせん)たる(もの)は、(みな)(ひと)(なか)俊傑(しゅんけつ)であり、知恵(ちえ)凡人(ぼんじん)(いき)()えている。花海三仙(かかいさんせん)であれ、紅玉散人(こうぎょくさんじん)であれ、(みな)慎重(しんちょう)警戒心(けいかいしん)(つよ)めた。


鬼王(きおう)一同(いちどう)表情(ひょうじょう)()(おさ)め、()(ごえ)(わら)った:「この(くそ)のような天地(てんち)は、いつもバランスを()りたがる!福地(ふくち)(ふく)があれば、天地(てんち)災厄(さいやく)()らし、あの()この()でその(ふく)(けず)()ろうとする。福地(ふくち)立派(りっぱ)経営(けいえい)すればするほど、災厄(さいやく)威力(いりょく)(つよ)くなる。諸君(しょくん)はこの『万雷電雨(ばんらいてんう)』を()よ。この威力(いりょく)は、まさに秘禁之地(ひきんのち)を持つ福地(ふくち)匹敵(ひってき)する。どうか諸君(しょくん)には(かんが)えてみてほしい、この琅琊福地(ろうやふくち)(なか)にはどれほどの秘方(ひほう)収蔵(しゅうぞう)されているだろうか?きっと数多(あまた)仙蛊(せんこ)秘方(ひほう)があるに(ちが)いない。そうでなければ、ぬすっとはてな(てん)もかくも強盛(きょうせい)災厄(さいやく)()らすはずがなかろう?」


この言葉(ことば)に、仙人たち(せんにんたち)の(こころ)(おも)わず(おど)った。


仙蛊(せんこ)(おも)い、一同(いちどう)()には一筋(ひとすじ)灼熱(しゃくねつ)するような(いろ)()かんだ。


鬼王(きおう)()う通り(どおり)だ。(わたし)(いく)つかの福地(ふくち)(あし)()()れたことがある。その(なか)で、まもなく(ほろ)びようとしている無主(むしゅ)福地(ふくち)地災(ちさい)など、小雨(こさめ)同然(どうぜん)だった。しかし、福地(ふくち)関門(かんもん)重大(じゅうだい)だ。どの蛊仙(こせん)立派(りっぱ)経営(けいえい)したくないというのか?」紅玉散人(こうぎょくさんじん)(にが)(わら)いを()かべた。「福地(ふくち)()ければ()いほど、災厄(さいやく)(つよ)くなる。蛊仙(こせん)修行(しゅぎょう)(じつ)容易(ようい)ではないのだ……」


「ヂャヂャヂャヂャ……修仙(しゅうせん)とは(てん)(さか)らうことだ。(てん)のくそったれは我々(われわれ)を(よわ)め、(おさ)えつけようとするが、我々(われわれ)はあえて(てん)(さか)らって()くのだ」鬼王(きおう)同調(どうちょう)した。


「お二方(ふたかた)御発言(ごはつげん)には少々(しょうしょう)(かたよ)りがございます。修仙(しゅうせん)(じつ)天命(てんめい)(したが)うこと。我々(われわれ)が蛊虫(こちゅう)運用(うんよう)するのは、天地(てんち)大道(だいどう)法則(ほうそく)(まな)ぶこと。福地(ふくち)経営(けいえい)するのも、(てん)()わって万福(ばんぷく)(はぐく)み、蒼生(そうせい)福沢(ふくたく)をもたらすことです」青索仙子(せいさくせんし)反論(はんろん)した。その(こえ)()()って(こころよ)かった。


紅玉散人(こうぎょくさんじん)(くち)()じ、局面(きょくめん)(かんが)えてこの話題(わだい)深入(ふかぶ)りするのを()けた。


これこそが魔道(まどう)正道(せいどう)理念(りねん)(ちが)いで、太古(たいこ)時代(じだい)から区別(くべつ)されながら、今日(こんにち)まで優劣(ゆうれつ)がついていない。


鬼王(きおう)はふんと(わら)い、(した)漏洞(ろうどう)指差(ゆびさ)して()った。「諸君(しょくん)地災(ちさい)はますます(はげ)しくなっている。地霊(ちれい)(みずか)からこれらの漏洞(ろうどう)()()てるのを(ふせ)ぐため、(いま)すぐ()(くだ)すとしよう」


結構(けっこう)だな」


紅玉散人(こうぎょくさんじん)即座(そくざ)支持(しじ)表明(ひょうめい)した。


「やはり鬼王(きおう)(さま)からお(ねが)いします」


三仙(さんせん)合意(ごうい)(たっ)した。


鬼王(きおう)(わら)いながら、一顆(いっか)青提仙元(せいていせいげん)を取り(とりだ)し、さらに一匹(いっぴき)蛊虫(こちゅう)駆使(くし)して仙元(せいげん)(くわ)えさせ、漏洞(ろうどう)()()ませた。


蛊虫(こちゅう)福地(ふくち)到達(とうたつ)した途端(とたん)鎮圧(ちんあつ)されたのか地災(ちさい)破壊(はかい)されたのか、一瞬(いっしゅん)にして鬼王(きおう)との連絡(れんらく)()えた。


しかし鬼王(きおう)青提仙元(せいていせいげん)琅琊福地(ろうやふくち)(おく)()まれ、直ち(ただち)に爆発(ばくはつ)して福地内(ふくちない)仙元(せいげん)対消(たいしょう)()った。蛊仙(こせん)にとって青提仙元(せいていせいげん)一顆(いっか)一顆(いっか)(きわ)めて貴重(きちょう)であり、普段(ふだん)蓄積(ちくせき)重視(じゅうし)し、()むを()ない場合(ばあい)でなければ軽率(けいそつ)には使用(しよう)しないものである。


鬼王(きおう)()手本(てほん)(しめ)したのを()て、他の四人(よにん)蛊仙(こせん)たちは順番(じゅんばん)にそれぞれ青提仙元(せいていせいげん)一顆(いっか)ずつ投下(とうか)した。


鬼王(きおう)(ふた)()(とう)じると、順序(じゅんじょ)(したが)って他の(もの)たちも第二(だいに)ラウンドを投下(とうか)した。


蛊仙(こせん)死後(しご)地霊(ちれい)()すが、もはや仙元(せいげん)産出(さんしゅつ)することはできない。地霊(ちれい)手元(てもと)仙元(せいげん)使(つか)えば使(つか)うほど()っていくのに(たい)し、鬼王(きおう)一行(いっこう)四人(よにん)(かず)優位性(ゆういせい)()っていた。


しかし百回(ひゃっかい)以上(いじょう)投下(とうか)()(かえ)したのに、琅琊福地(ろうやふくち)(なか)には依然(いぜん)として仙元(せいげん)使(つか)われていた。


鬼王(きおう)以外(いがい)蛊仙(こせん)たちの(かお)には躊躇(ちゅうちょ)(いろ)()かんだ。


「あの長毛老祖(ちょうもうろうそ)八転(はってん)蛊仙(こせん)だった。()んではいるが、(のこ)したのは白荔仙元(はくれいせいげん)だ。青提仙元(せいていせいげん)百個(ひゃっこ)でも、白荔仙元(はくれいせいげん)一顆(いっか)には(およ)ばない」


夢粉仙子(むふんせんし)(ばん)になると、彼女(かのじょ)青提仙元(せいていせいげん)一顆(いっか)(つま)んでいたが、すぐには(はな)たなかった。


鬼王(きおう)()陰険(いんけん)(ひかり)(きら)めかせ、()ややかに(わら)った:「仙子(せんし)(なん)(おそ)れることがあろう?長毛老祖(ちょうもうろうそ)盗天魔尊(とうてんまそん)時代(じだい)人物(じんぶつ)で、あらゆる手段(しゅだん)延命(えんめい)し、巨陽仙尊(きょようせんそん)時代(じだい)まで(しの)()びて、ついに老死(ろうし)した。(かれ)白荔仙元(はくれいせいげん)(のこ)したとはいえ、さらに幽魂魔尊(ゆうこんまそん)楽土仙尊(らくどせんそん)という二大時代(にだいじだい)()ている。かつての琅琊洞天(ろうやどうてん)は、すでに福地(ふくち)転落(てんらく)した。現在(げんざい)までに白荔仙元(はくれいせいげん)がどれほど(のこ)っているというのか?おそらくは仙水(せんすい)(のこ)(かす)程度(ていど)だろう。」


紅玉散人(こうぎょくさんじん)呵呵(かか)(わら)って同意(どうい)した:「鬼王様(きおうさま)()われる通り(どおり)です。先程(さきほど)地災(ちさい)諸君(しょくん)()にされた。琅琊福地(ろうやふくち)にはこれほどの秘方(ひほう)収蔵(しゅうぞう)され、その(おお)くが仙蛊(せんこ)(かか)わる(おお)きな福分(ふくぶん)であるが(ゆえ)に、災劫(さいこう)(たび)にこれほど激烈(げきれつ)なのだ。どれほど(おお)くの白荔仙元(はくれいせいげん)があろうと、もうすぐ枯渇(こかつ)する頃合(ころあい)でしょう。」


()(なか)は、もとより大胆(だいたん)(もの)(さか)え、小心(しょうしん)(もの)(ほろ)びるものだ!皆様(みなさま)これまで多量(たりょう)仙元(せんげん)(とう)じてこられたのに、(いま)になって放棄(ほうき)なさるおつもりですか?もしかすると、成功(せいこう)目前(もくぜん)かもしれませんぞ」


鬼王(きおう)(そそのか)すように()った。


三人(さんにん)女仙(じょせん)顔見合(かおみあ)わせし、青索仙子(せいさくせんし)代表(だいひょう)して(くち)(ひら)いた。


「お二方(ふたかた)(おっしゃ)ることはごもっともですが、我々(われわれ)姐妹(しまい)(さん)(にん)仙元(せんげん)も、一粒一粒(ひとつぶひとつぶ)苦労(くろう)して節約(せつやく)し、倹約(けんやく)して()めたもの、(かぜ)()()せてきたものではありません。こうしましょう、あと五十(ごじゅう)ラウンド(とう)じて、様子(ようす)()ましょう」


かくして五十(ごじゅう)ラウンドを追加(ついか)して(とう)じると、琅琊福地(ろうやふくち)についに()()れない(きざ)しが()(はじ)めた。


鬼王(きおう)(おお)いによろこび、磔磔(たくたく)(くる)おしいほど高笑(たかわら)いした。


三人(さんにん)女仙(じょせん)は、もともと鬼王(きおう)(わら)(ごえ)()れて(みみ)(ざわ)りだと(おも)っていたが、(いま)()くと、ただ(うれ)しさだけを(かん)じた。


彼女たち(かのじょたち)の()には、無数(むすう)仙蛊(せんこ)秘方(ひほう)が彼女たち(かのじょたち)に()()っているかのように(うつ)ったのである。


さらに三十(さんじゅう)ラウンドを(とう)じた(あと)四仙(よんせん)仙元(せんげん)福地(ふくち)()(にゅう)し、各々(おのおの)が膨張(ぼうちょう)して(たが)いに影響(えいきょう)()い、連鎖的(れんさてき)爆発(ばくはつ)を起こ(おこ)した。しかし福地(ふくち)はついに動静(どうせい)()った。これは福地内(ふくちない)仙元(せいげん)枯渇(こかつ)したことを意味(いみ)している!


諸君(しょくん)(われ)(さき)()くぞ!」鬼王(きおう)突然(とつぜん)高笑(たかわら)いし、青黒(あおぐろ)蝙蝠(こうもり)(つばさ)(ひろ)げ、漏洞(ろうどう)(つた)って()(さき)琅琊福地(ろうやふくち)(おど)()んだ。


(おく)れるな!」紅玉散人(こうぎょくさんじん)(さけ)び、(おく)れを()ることを(おそ)れて一道(いちどう)紅芒(こうぼう)()し、飛射(ひしゃ)して侵入(しんにゅう)した。


「この魔道(まどう)蛊師(こし)ども、果然(かぜん)として奸詐狡猾(かんさこうかつ)だ!」


花海三仙(かかいさんせん)(はな)(ゆが)めるほど憤慨(ふんがい)し、(あわ)ててその()()った。


三仙(さんせん)福地(ふくち)(あし)()()れると、全身(ぜんしん)五転蛊(ごてんこ)がすべて催動(さいどう)可能(かのう)となり、自由(じゆう)運用(うんよう)できるようになった。


琅琊福地(ろうやふくち)仙元(せんげん)は、()たして消耗(しょうもう)()くされたわ!」


黄沙仙子(こうさせんし)(こえ)(ちから)()めて()った。


三仙(さんせん)万雷電雨(ばんらいでんう)()()け、福地(ふくち)奥深(おくふか)くへと(すす)んだ。


目の(めのまえ)(ひろ)がるのは、純白(じゅんぱく)雲海(うんかい)充満(じゅうまん)する光景(こうけい)煙霞(えんか)(ただよ)(のぼ)っている。


仙元(せんげん)(うみ)(なか)には、十二(じゅうに)楼台(ろうだい)配置(はいち)され、それぞれが彫欄画棟(ちょうらんがとう)華麗(かれい)かつ堂々(どうどう)としており、ひとつひとつが独特(どくとく)景観(けいかん)(てい)していた。楼台(ろうだい)によっては、仙鶴(せんかく)()い、羽人(うじん)旋回(せんかい)し、彩霞(さいか)(そら)()ち、檀香(だんこう)(ただよ)うものもある。


「これは雲土(うんど)ですね。()むと地面(じめん)のように(かた)く、地力(ちりょく)肥沃(ひよく)凡間(ぼんかん)土壌(どじょう)よりも(はる)かに(まさ)っています」


青索仙子(せいさくせんし)(かる)玉足(ぎょくそく)()()らし、興奮(こうふん)した口調(くちょう)説明(せつめい)した。


「さすがは仙家(せんか)老祖(ろうそ)気象(きしょう)ですねえ!」


夢粉仙子(むふんせんし)感嘆(かんたん)(いろ)()かべて、しみじみと()べた。


伝説(でんせつ)十二雲閣(じゅうにうんかく)…それぞれの楼閣(ろうかく)に、膨大(ぼうだい)(りょう)秘方(ひほう)収録(しゅうろく)されていると()いていましたが、まさかこの()()られる()()るとは」


黄沙仙子(こうさせんし)は、これ以上(いじょう)ない(しあわ)せを(かん)じていた。


「ははは、これらはすべて(おれ)のものだ!」


遠方(えんぽう)から鬼王(きおう)耳障(みみざわ)りな(さけ)(ごえ)(ひび)いてきた。(かれ)雲海(うんかい)()かぶ楼台(ろうだい)の一つ(ひとつ)に()かって()びかかっているところだった。


一方(いっぽう)紅玉散人(こうぎょくさんじん)は、すでにもう(ひと)つの雲閣(うんかく)(きわ)めて接近(せっきん)していた。


花海三仙(かかいさんせん)(まゆ)をひそめ、(たが)いを見交(みま)わせた(あと)三手(みて)()かれてそれぞれ(べつ)雲閣(うんかく)へと()んでいった。








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