表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
458/561

第五十三節:老族长の死

阿爸(あば)!」


(とお)くで葛光(かっこう)はこの光景(こうけい)()にし、即座(そくざ)(こえ)()くように(さけ)び、瞋恚(しんに)()(ただ)れさせた。


奮戦蛊(ふんせんこ)効果(こうか)()れ、夜狼王(やろうおう)戦意(せんい)消散(しょうさん)し、葛家(かっか)老族长(ろうぞくちょう)見放(みはな)して、衆人(しゅうじん)攻勢(こうせい)()され後退(こうたい)した。


()(とき)だ!」


方源(ほうげん)心中(しんちゅう)(ふる)()ち、「覚醒(かくせい)」した。


四転(してん)――驭狼蛊(ぎょろうこ)


驭狼蛊(ぎょろうこ)(おお)きな一団(いちだん)軽煙(けいえん)()わり、夜狼王(やろうおう)(あたま)目掛(めが)けて()(そそ)ぎ、(かれ)(つつ)()んだ。


夜狼王(やろうおう)戦意(せんい)(うしな)い、重傷(じゅうしょう)()って意識(いしき)半狂乱(はんきょうらん)状態(じょうたい)(いま)方源(ほうげん)魂魄(こんぱく)との対決(たいけつ)(せま)られていた。


方源(ほうげん)魂魄(こんぱく)(つよ)さは、もはや百人魂(ひゃくにんこん)凌駕(りょうが)するほどであった。


夜狼王(やろうおう)(こころ)には(つよ)抵抗感(ていこうかん)があったが、方源(ほうげん)狼人魂(ろうじんこん)からは同族(どうぞく)気配(けはい)(かん)()っていた。


抵抗感(ていこうかん)急激(きゅうげき)(よわ)まり、方源(ほうげん)魂魄(こんぱく)圧迫(あっぱく)(もと)(なが)()たず、軽煙(けいえん)(からだ)()かし()まれてしまった。


成功(せいこう)した!」方源(ほうげん)()(するど)(ひかり)(はし)った。


狼烟蛊(ろうえんこ)


(かれ)はすぐに戰場(せんじょう)()()り、大量(たいりょう)狼烟(のろし)()()して夜狼王(やろうおう)(つつ)()んだ。


夜狼王(やろうおう)相当(そうとう)(おも)(きず)は、()もなく安定(あんてい)した。


夜狼王(やろうおう)(なが)()()遠吠(とおぼ)えを(はっ)し、その叫声(こえごえ)合図(あいず)に、夜狼群(やろうぐん)一瞬(いっしゅん)混乱(こんらん)したかと思うと、()きを()えて撤退(てったい)(はじ)めた。


葛家(かっか)危機(きき)は、()った!


しかし、生き(のこ)った蛊師(こし)たちに、勝利(しょうり)(よろこ)びはほとんどなかった。(かれ)らは一斉(いっせい)(ひと)つの(ふか)(あな)(まわ)りに(あつ)まった。


その(あな)(そこ)には、葛家(かっか)老族长(ろうぞくちょう)が横たわっている。


数人(すうにん)蛊師(こし)がその(そば)にひざまずき、懸命(けんめい)治療(ちりょう)(ほどこ)していた。


老族长(ろうぞくちょう)(からだ)(もと)はと()えば(どろ)のようになっていたが、懸命(けんめい)治療(ちりょう)甲斐(かい)あって、半身(はんしん)以上(いじょう)が徐々(じょじょ)に回復(かいふく)しつつあった。


しかし、無駄(むだ)だった!


(かれ)負傷(ふしょう)(おも)すぎた。治療(ちりょう)()たっていた蛊師(こし)たちの真元(しんげん)が次々(つぎつぎ)と()きるにつれ、老族长(ろうぞくちょう)(すく)うかすかな希望(きぼう)完全(かんぜん)()()せた。


「阿爸、阿爸!」葛光(かっこう)地面(じめん)(ひざまず)き、葛家(かっか)老族长(ろうぞくちょう)()(にぎ)りしめ、悲痛(ひつう)(こえ)(さけ)んだ。


老族长(ろうぞくちょう)……」(のこ)りの家老(かろう)たちも、(なみだ)(なが)して()きくずれていた。


老族长(ろうぞくちょう)回光返照(かいこうへんしょう)し、顔色(かおいろ)一筋(ひとすじ)(くれない)()した。(かれ)(ちから)()めて葛光(かっこう)()(にぎ)(かえ)した:「()()よ、()()けるがよい……」


ちょうど常山阴(じょうざんいん)という()(くち)にしようとしたその(とき)方源(ほうげん)が人々(ひとびと)を()()けて(なか)(はい)ってきた。


葛老兄(かっろうけい)!」


(かれ)(かお)には(かな)しみが(あふ)れ、両肩(りょうかた)(かす)かに(ふる)え、(あつ)(なみだ)をこぼした。


老族长(ろうぞくちょう)方源(ほうげん)(ふか)()つめ、(くちびる)幾度(いくど)(うご)かしたが、やむなく言葉(ことば)()えた:


息子(むすこ)よ、今日(きょう)からお(まえ)葛家(かっか)族長(ぞくちょう)だ!」


「阿爸、()なないでください!(わたし)にはまだ()りないところが(おお)すぎます。まだ父上(ちちうえ)(おし)えを()わなければなりません。葛家(かっか)には父上(ちちうえ)必要(ひつよう)なのです!」


葛光(かっこう)(さけ)びながら、(なみだ)(はげ)しく(なが)した。


老族长(ろうぞくちょう)(おか)()がった(さかな)のようで、(くち)()けて力無(ちからな)(あえ)ぎ、()焦点(しょうてん)はぼやけ、全身(ぜんしん)感覚(かんかく)()(しお)のように急速(きゅうそく)()えていった。


()気配(けはい)が、すでに濃厚(のうこう)(ただよ)っている。


「しかし……(わたし)には()がかりなことが(おお)すぎる……本当(ほんとう)(おお)すぎるのだ……」


心中(しんちゅう)執念(しゅうねん)が、老族长(ろうぞくちょう)最後(さいご)一滴(いってき)(ちから)(ふる)()こさせた。(かれ)葛光(かっこう)()(ちから)(づよ)(にぎ)りしめ、かすんでいた()一瞬(いっしゅん)にして(するど)()(かた)まった。


どこから()いて()(ちから)か、(かれ)(かす)かに(いき)()()し、葛光(かっこう)()()さぶりながら()った:「()よ、(わす)れるな、お(まえ)葛家(かっか)族長(ぞくちょう)だ。家族(かぞく)のためには、(けっ)して軽率(けいそつ)(うご)いてはならない。ましてや感情(かんじょう)(まか)せてはならない!」


この言葉(ことば)(のこ)すと、老族长(ろうぞくちょう)(からだ)硬直(こうちょく)し、そして仰向(あおむ)けに(たお)れ、ぐったりと(ちから)(うしな)った。


生命(せいめい)(かれ)から()り、三十八歳(さんじゅうはっさい)族長(ぞくちょう)()()き、八十七歳(はちじゅうななさい)戦場(せんじょう)()ったこの葛家(かっか)族長(ぞくちょう)は、葛家(かっか)のために骨身(ほねみ)(けず)り、最後(さいご)一滴(いってき)()まで(なが)()くした。


葛家(かっか)(まも)り、狼群(おおかみむれ)(たたか)うという凄惨(せいさん)(きわ)めた(たたか)いのなかで、(かれ)壮烈(そうれつ)最期(さいご)()げたのである!


阿爸(あば)阿爸(あば)!」葛光(かっこう)咆哮(ほうこう)した。この残酷(ざんこく)現実(げんじつ)()()れたくないと(こば)むように。


しかし現実(げんじつ)現実(げんじつ)である。一度起(いちどお)こってしまったことは、取り(もど)すことも(あらた)めることもできない。


阿爸(あば)……」


老族长(ろうぞくちょう)……」


戦場(せんじょう)には(おも)(かな)しみが立ち()め、人々(ひとびと)の(みみ)には()(ごえ)がこだましていた。


……


夜明(よあ)けが(ちか)づくにつれ、王帳(おうちょう)(なか)では(あか)るい()一晩中(ひとばんじゅう)(とも)(つづ)けていた。


東雲(しののめ)(とき)蛮図(ばんと)はついに前線(ぜんせん)から(とど)いた手紙蛊(てがみこ)()()った。


葛家(かっか)併合(へいごう)できれば、我々(われわれ)蛮家(ばんけ)勢力(せいりょく)倍増(ばいぞう)する!」


そんな期待(きたい)(むね)に、蛮図(ばんと)手紙蛊(てがみこ)(ひろ)げ、()(はし)らせた。


しかし、すぐに(かれ)()(くも)り、眉間(みけん)には失望(しつぼう)(いろ)()()かんだ。


父上(ちちうえ)、まさか今回(こんかい)我々(われわれ)蛮家(ばんけ)がほぼ全軍(ぜんぐん)出動(しゅつどう)させながら、成功(せいこう)できなかったのですか?」


(そば)(おな)じく(なが)時間(じかん)待機(たいき)していた蛮多(ばんた)()いかけた。


蛮図(ばんと)(ふか)嘆息(たんそく)した:


本来(ほんらい)夜狼群(やろうぐん)葛家(かっか)陣営(じんえい)突入(とつにゅう)していたのだが、葛家(かっか)族長(ぞくちょう)常山阴(じょうざんいん)()()み、すべての高級戦力(こうきゅうせんりょく)集結(しゅうけつ)して乾坤一擲(けんこんいってき)反攻(はんこう)()た。狼群(おおかみむれ)(なか)常山阴(じょうざんいん)夜狼王(やろうおう)征圧(せいあつ)し、本来(ほんらい)混乱散漫(こんらんさんまん)だった戦局(せんきょく)瞬時(しゅんじ)()めさせた。葛家(かっか)逆転勝(ぎゃくてんが)ちを(おさ)めたのだ……」


常山阴(じょうざんいん)、また常山阴(じょうざんいん)か……」


蛮多(ばんた)(ふか)思案(しあん)(しず)んでいった。


しばらくすると、蛮多(ばんた)()(かがや)き、献策(けんさく)した:「父上(ちちうえ)、我々(われわれ)はまだ()けてはいません。最後(さいご)第三(だいさん)()である風狼群(ふうろうぐん)(のこ)っています。ここに一計(いっけい)がございます」


「おお?()かせよ」


「我々(われわれ)蛮家(ばんけ)二度(にど)失敗(しっぱい)した(しん)要因(よういん)は、狼王(ろうおう)常山阴(じょうざんいん)にあります。(かれ)()かに有能(ゆうのう)ですが、この(もの)さえ(のぞ)けば、葛家(かっか)は我々(われわれ)の掌中(しょうちゅう)玩物(がんぶつ)同然(どうぜん)です」と蛮多(ばんた)()った。


「どんな(さく)だ?はっきり()え」


蛮多(ばんた)(いん)(わら)い、滔々(とうとう)と(かた)()した:「常山阴(じょうざんいん)今回(こんかい)夜狼王(やろうおう)征圧(せいあつ)したことは、(かれ)(つよ)みであると同時(どうじ)に、弱点(じゃくてん)でもあります。夜狼王(やろうおう)()にした(いま)夜狼群(やろうぐん)全体(ぜんたい)(かれ)指揮下(しきか)(はい)りました。これは葛家(かっか)全族(ぜんぞく)凌駕(りょうが)する戦力(せんりょく)です。常山阴(じょうざんいん)はもはや葛家(かっか)の『寝榻(しんとう)(そば)(ねむ)猛獣(もうじゅう)』。ほんの少し悪意(あくい)があれば、葛家(かっか)(あや)うい。葛家(かっか)族長(ぞくちょう)ほどの精明(せいめい)人物(じんぶつ)なら、(かなら)警戒(けいかい)し、おそらくは恐慌(きょうこう)するでしょう。我々(われわれ)はこれを利用(りよう)し、流言(りゅうげん)(なが)して葛家(かっか)常山阴(じょうざんいん)猜疑(さいぎ)させ、二者(にしゃ)関係(かんけい)離間(りかん)するのです」


蛮図(ばんと)残念(ざんねん)そうにため(いき)をついた:「この(さく)()()られているが、もはや使(つか)()がない。()ほど(つた)えなかったが、葛家(かっか)老族长(ろうぞくちょう)夜狼王(やろうおう)(つめ)(もと)戦死(せんし)した。葛家(かっか)はすでに葛光(かっこう)族長(ぞくちょう)()()いでいる」


(なん)だと?」蛮多(ばんた)呆然(ぼうぜん)とした。「あの老獪(ろうかい)(きつね)戦死(せんし)した?どうしてそんな偶然(ぐうぜん)が?」


葛家(かっか)老族长(ろうぞくちょう)()ってしまった(いま)葛家(かっか)には常山阴(じょうざんいん)ただ一人(ひとり)四転蛊師(してんこし)(のこ)るのみで、(ほか)(もの)(かれ)対等(たいとう)(わた)()えるはずもない。


さらに葛家(かっか)二度(にど)大戦(たいせん)消耗(しょうもう)している一方(いっぽう)常山阴(じょうざんいん)狼群(おおかみむれ)二万(にまん)有余(ゆうよ)(ふく)()がり、双方(そうほう)実力(じつりょく)完全(かんぜん)逆転(ぎゃくてん)している。方源(ほうげん)大勢(たいせい)(すで)(さだ)まり、威信(いしん)はもはや()るに()らない流言(りゅうげん)などで()るがせられるものではない。


葛家(かっか)老族长(ろうぞくちょう)()んだが、狼王(ろうおう)健在(けんざい)で、膨大(ぼうだい)狼群(おおかみむれ)()()れた。父上(ちちうえ)、これでは我々(われわれ)の勝機(しょうき)完全(かんぜん)(うし)われたのではないですか?」


蛮多(ばんた)()がゆさをにじませて()(ただ)した。


蛮図(ばんと)()ややか鼻息(はないき)()らすと、()にしていた手紙蛊(てがみこ)(つくえ)()き、座席(ざせき)から()()がると背中(せなか)両手(りょうて)()み、王帳(おうちょう)のなかを(ある)(まわ)(はじ)めた。


「どうしろというのか?まさか全族(ぜんぞく)()げて出兵(しゅっぺい)せよとでも?葛瑶(かつよう)口実(こうじつ)にする(すき)もすでに(うし)われ、大義名分(たいぎめいぶん)などない。今回(こんかい)(まえ)(さく)()れて家老(かろう)(うご)かしたこと自体(じたい)、すでに少しばかり(せん)()えている。常山阴(じょうざんいん)……我々(われわれ)蛮家(ばんけ)はこの(おとこ)()(やぶ)れたのだ」


蛮図(ばんと)(ふか)嘆息(たんそく)した。


「では、(つづ)第三(だいさん)()狼群(おおかみむれ)は……」


蛮多(ばんた)躊躇(ちゅうちょ)いながら、また()いかけた。


蛮図(ばんと)()一瞬(いっしゅん)残酷(ざんこく)(いろ)(はし)った:「ここまで(すす)めた以上(いじょう)計画(けいかく)続行(ぞっこう)だ。葛家(かっか)にもっと損害(そんがい)(あた)えてやろう。もしこの風狼群(ふうろうぐん)まで常山阴(じょうざんいん)編入(へんにゅう)されるようなら、我々(われわれ)は堂堂(どうどう)たる狼王(ろうおう)(ひん)(はい)するまでのさ!」


……


数日(すうじつ)()方源(ほうげん)(みずか)出撃(しゅつげき)し、大軍(たいぐん)(ひき)いて風狼群(ふうろうぐん)(むか)()った。


(かれ)緻密(ちみつ)采配(さいはい)(もと)風狼万獣王(ふうろうばんじゅうおう)()()るという大勝(たいしょう)(おさ)めただけでなく、大量(たいりょう)千狼王(せんろうおう)百狼王(ひゃくろうおう)編入(へんにゅう)することに成功(せいこう)した。


戦後(せんご)戦力(せんりょく)確認(かくにん)してみると、方源(ほうげん)狼群(おおかみむれ)三万五千(さんまんごせん)という膨大(ぼうだい)(かず)激増(げきぞう)していることに()づいた。


商売(しょうばい)同様(どうよう)に、万事(ばんじ)(はじ)めが(むずか)しい。創業期(そうぎょうき)が最も(くる)しく、資本(しほん)蓄積(ちくせき)されれば、かえって拡大(かくだい)容易(ようい)になる。


三連戦(さんれんせん)()て、方源(ほうげん)狼群大軍(ろうぐんたいぐん)はほぼ(かたち)()()げた。


しかしこの(いき)(たっ)するまでに、葛家(かっか)甚大(じんだい)代償(だいしょう)(はら)っていた。凡人(ぼんじん)死者(ししゃ)(まん)()え、多数(たすう)高級蛊師(こうきゅうこし)戦死(せんし)家老(かろう)半数(はんすう)以下(いか)()り、葛家(かっか)老族长(ろうぞくちょう)さえも壮烈(そうれつ)最期(さいご)()げたのである。


常叔父(じょうおじ)(さま)本当(ほんとう)貴方(あなた)のお(かげ)で、我々(われわれ)葛家(かっか)蛮家(ばんけ)支配(しはい)から(だっ)することができました。」


それから数日(すうじつ)()葛光(かっこう)(みずか)方源(ほうげん)(たず)ね、四転蛊(してんこ)無常骨(むじょうこつ)(たずさ)えてきた。


常叔父(じょうおじ)(さま)葛家(かっか)へ(え)の御恩(ごおん)は、山岳(さんがく)大海(たいかい)(ごと)(はか)()れません。しかし葛家(かっか)内外(ないがい)ともに困窮(こんきゅう)しており、御恩返(ごおんがえ)しをしたくとも(ちから)(およ)ばず。この(ちい)さな四転蛊(してんこ)は、(わたし)族庫(ぞっこ)()つけたもので、叔父様(おじさま)のお(やく)()つかもしれませんと(おも)い、()って(まい)りました。」


葛光(かっこう)()()いた口調(くちょう)()べた。


挫折(ざせつ)(ひと)成長(せいちょう)させる。(ちち)死後(しご)葛光(かっこう)族長(ぞくちょう)()いで以来(いらい)人柄(ひとがら)一変(いっぺん)したように、ずっと沈着(ちんちゃく)になっていた。


族長(ぞくちょう)(つと)(はじ)めて()(あさ)いお(まえ)が、一族(いちぞく)掌握(しょうあく)する(うえ)で、(なに)(たす)けが必要(ひつよう)なら、遠慮(えんりょ)なく(わたし)(はな)してくれ。あるいは、家老(かろう)たちの(なか)服従(ふくじゅう)しない(もの)がいるなら、それも(わたし)()うがいい。」


方源(ほうげん)無常骨蛊(むじょうこつこ)を受け(うけと)り、気遣(きづか)いながら(たず)ねた。


家老(かろう)たちが(かげ)(したが)わないということはありません。ただ、現在(げんざい)家族(かぞく)では元石(げんせき)不足(ふそく)し、兵糧(ひょうろう)大半(たいはん)損耗(そんもう)し、負傷者(ふしょうしゃ)への撫恤(ぶじゅつ)などで族庫(ぞっこ)()(かげ)もなく空虚(くうきょ)になっております。最近(さいきん)状況(じょうきょう)()()いてからも、ここ数日(すうじつ)族員(ぞくいん)(ひそ)かに逃亡(とうぼう)する事例(じれい)さえ()てきました。とりわけ食糧(しょくりょう)問題(もんだい)深刻(しんこく)で、このままでは(はん)(げつ)()たずに食糧(しょくりょう)()き、一族(いちぞく)全体(ぜんたい)飢餓(きが)(おちい)るでしょう。」


葛光(かっこう)はここまで()うと、方源(ほうげん)一瞥(いちべつ)し、()(ひかり)(すこ)()らいだ。


方源(ほうげん)呵呵(かか)(わら)った:「お(まえ)(なに)()いたいか()かっている。(たし)かに貴族(きぞく)(わたし)狼群(おおかみむれ)(やしな)うため、(おお)きな負担(ふたん)()っている。」


葛光(かっこう)(あわ)てて()()がった:「(おそ)()ります。常叔父(じょうおじ)(さま)には葛家(かっか)御恩(ごおん)があるのに、その(うえ)さらに叔父様(おじさま)にまで……」


「ははは、(かま)わぬ(かま)わぬ。(じつ)今日(きょう)、お(まえ)から(もう)()がなくても、(わたし)から(はな)すつもりだった。狼群(おおかみむれ)(かず)(たし)かに(おお)すぎる。葛家(かっか)迷惑(めいわく)をかけたくはない。こうしよう、今後(こんご)(わたし)(みずか)狼群(おおかみむれ)(ひき)いて食料(しょくりょう)(さが)しに()()く。同時(どうじ)狩猟(しゅりょう)(さい)意図的(いとてき)(かず)()らしていく。それで()狼肉(ろうにく)は、葛家(かっか)族員(ぞくいん)たちの食糧(しょくりょう)とすればよい。」


方源(ほうげん)(おだ)やかな笑顔(えがお)(こた)えた。


常叔父(じょうおじ)(さま)本当(ほんとう)(なに)とお(れい)(もう)()げればよいのか……(くる)しい(とき)にこそ(まこと)友情(ゆうじょう)が分


()っておくが、貴方(きみ)父上(ちちうえ)()には(わたし)にも責任(せきにん)がある。結局(けっきょく)この作戦(さくせん)(わたし)提案(ていあん)したものだからな。狼群(おおかみむれ)三万二千頭(さんまんにせんとう)まで削減(さくげん)するつもりだ。私はこれからも葛家(かっか)同行(どうこう)する。葛家(かっか)もこの戦力(せんりょく)護衛(ごえい)として必要(ひつよう)としているだろう?(わたし)()っていることが()かるか?」


小職(しょうしょく)承知(しょうち)いたしました。」


方源(ほうげん)(かれ)(かた)(かる)(たた)いた:「しっかり頑張(がんば)れ、貴方(きみ)父上(ちちうえ)期待(きたい)裏切(うらぎ)るな。では、()がっていい。」


「はい、小職(しょうしょく)失礼(しつれい)いたします。」


葛光(かっこう)()って()背中(せなか)見送(みおく)りながら、方源(ほうげん)内心(ないしん)冷笑(れいしょう)した。(わか)(もの)(じつ)未熟(みじゅく)だ。もし葛家(かっか)老族长(ろうぞくちょう)がまだ生きていたら、おそらくこの時点(じてん)でとっくに()()(しな)()えて狼群(おおかみむれ)(さく)(じゃく)しようとしていただろう。


(なに)しろ(いま)方源(ほうげん)には、葛家(かっか)全族(ぜんぞく)殲滅(せんめつ)する能力(のうりょく)(そな)わっているのだから。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ