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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第四十九節:激战(下)

蛊師(こし)たちは、さっきまで苦戦(くせん)していたのに、(またた)く間に戦場(せんじょう)全体(ぜんたい)平定(へいてい)された。(もと)(てき)は、(いま)味方(みかた)同盟軍(どうめいぐん)()している。


「これが常山阴(じょうざんいん)(さま)手管(てくだ)なのか?」


(すご)い、本当(ほんとう)(すご)い……」


一人(ひとり)何千(なんぜん)もの(おおかみ)(ひき)いるとは。さすが狼王(ろうおう)と呼ばれるだけある!」


蛊師(こし)たちは呆然(ぼうぜん)とした眼差(まなざ)しで方源(ほうげん)()つめ、その背中(せなか)戦場(せんじょう)()()けるのを見送(みおく)った。


縦横無尽(じゅうおうむじん)縦横無尽(じゅうおうむじん)


()えて眼前(がんぜん)に立ち(ふさ)がる(もの)は、一切合切(いっさいがっさい)()(はら)われていった。


一念(いちねん)(もと)千万(せんまん)野狼(やろう)奔馳(ほんち)する。()()ばして一指(いっし)すと、兵鋒(へいほう)(いた)(ところ)()かうところ敵無(てきな)し!


一己(いっこ)(ちから)で、狂瀾(きょうらん)力挽(りきばん)し、戦局(せんきょく)改變(へんかん)する。(まさ)奴道(どどう)風采(ふうさい)だ!


戦場(せんじょう)(そと)蛮轰(ばんごう)蛮豪(ばんごう)らは(ことごと)(いろ)(うしな)った。


(かれ)らの複雑(ふくざつ)目光(もくこう)(なか)方源(ほうげん)狼群(おおかみむれ)雪達磨(ゆきだるま)(ごと)壯大(そうだい)し、(ころ)せば(ころ)すほど(おお)くなっていった。


(いた)(ところ)で、戦場(せんじょう)橫掃(おうそう)し、片刻(はんかく)(のち)一片(いっぺん)狼藉(ろうせき)と、呆然(ぼうぜん)とした蛊師(こし)たちを(のこ)し、然後(しかるのち)揚長(ようちょう)而去(じきょ)した。


こんな驭狼術(ぎょろうじゅつ)は、簡直(かんじん)橫暴(おうぼう)(きわ)まりない、また霸氣(はき)(きわ)まりない!


雄厚(ゆうこう)(ちから)(もと)細微(さいび)阻擋(そとう)直接(ちょくせつ)碾壓(てんあつ)される。


方源(ほうげん)意図的(いとてき)万狼王(ばんろうおう)戦場(せんじょう)回避(かいひ)し、葛家(かっか)陣営(じんえい)一周(いっしゅう)して、さらに三頭(さんとう)千狼王(せんろうおう)征圧(せいあつ)した。前回(ぜんかい)までの(ぶん)合算(がっさん)すると、千狼王(せんろうおう)(かず)八頭(はちとう)(たっ)した。


百狼王(ひゃくろうおう)(かず)(いた)っては、ほぼ倍増(ばいぞう)し、五十九頭(ごじゅうきゅうとう)という(おお)きに(およ)んだ。


方源(ほうげん)狼陣(ろうじん)は、まさに一頭(いっとう)怪獣(かいじゅう)(ごと)く、道中(どうちゅう)でほとんどすべての亀甲狼(きっこうろう)吞噬(どんせい)し、(みずか)らを強大(きょうだい)にしていった。


これら狼王(ろうおう)(つづ)けて征圧(せいあつ)したため、方源(ほうげん)魂魄(こんぱく)反動(はんどう)衝撃(しょうげき)()け、全身(ぜんしん)煩悶(はんもん)()()(おぼ)えた。


方源(ほうげん)はこの()(がた)(かん)じを()意志(いし)(おさ)え、狼群(おおかみむれ)収束(しゅうそく)させて牧場(ぼくじょう)(もど)った。


もはや牧場(ぼくじょう)は、これら膨大(ぼうだい)(おおかみ)収容(しゅうよう)しきれなかった。


(おおかみ)(おお)すぎて、方源(ほうげん)はすぐには(かぞ)えきれなかった。大雑把(おおざっぱ)目測(もくそく)したが、間違(まちが)いなく一万二千頭(いちまんにせんとう)()えていた。


方源(ほうげん)(いそ)いで戦線(せんせん)(もど)ろうとはしなかった。


もはや大局(たいきょく)(さだ)まっている。(かれ)駝狼(だろう)から()りると、()()じて心身(しんしん)(やす)(はじ)めた。


その(あいだ)一定(いってい)時間(じかん)をおいて何度(なんど)()()け、状況(じょうきょう)確認(かくにん)した。


白眼狼(はくがんろう)戦場(せんじょう)監視(かんし)しているおかげで、方源(ほうげん)(つね)葛家(かっか)老族长(ろうぞくちょう)葛家(かっか)要人(ようじん)たちの動向(どうこう)()(くば)っていた。これらの葛家(かっか)高官(こうかん)たちを()なせるわけにはいかない。万一(まんいち)()んでしまえば、蛮家(ばんけ)(うご)()し、()()してくる可能性(かのうせい)(たか)いからだ。


しばらく(やす)んだ(あと)完全(かんぜん)回復(かいふく)したわけではないが、もう実力(じつりょく)発揮(はっき)するのには支障(ししょう)はなかった。方源(ほうげん)(ふたた)戦場(せんじょう)()(とう)じた。


今度(こんど)は、(かれ)八頭(はちとう)千狼王(せんろうおう)だけを戦闘(せんとう)動員(どういん)した。普通(ふつう)狼群(おおかみむれ)では、万狼王(ばんろうおう)(たい)する脅威(きょうい)としては程度(ていど)(ひく)すぎるのだ。


道中(どうちゅう)葛家(かっか)族員(ぞくいん)はこぞって(かれ)()(さけ)んだ。


常山陰(じょうざんいん)援軍(えんぐん)()た!」このような勢い(いきおい)を()いて、万狼王(ばんろうおう)(かこ)んでいた葛家(かっか)高官(こうかん)たちも、(みな)精神(せいしん)(ふる)()たせた。


葛家(かっか)諸君(しょくん)(しば)らく退()いて(やす)んでくれ。(わたし)(まか)せてくれ!」方源(ほうげん)戦場(せんじょう)到着(とうちゃく)するや、(こころ)(ねん)じると、八頭(はちとう)千狼王(せんろうおう)包囲(ほうい)開始(かいし)した。


万狼王(ばんろうおう)(すで)退却(たいきゃく)意向(いこう)()せていたが、左右(さゆう)()いても包囲網(ほういもう)(やぶ)ることができなかった。


「このような驭狼術(ぎょろうじゅつ)とは!」万狼王(ばんろうおう)方源(ほうげん)によって軽々(かるがる)しく翻弄(ほんろう)される(さま)()て、蛮豪(ばんごう)蛮轰(ばんごう)らは、(つい)驚愕(きょうがく)(いろ)()かべた。


以前(いぜん)方源(ほうげん)(じん)()いた(とき)は、ただ陣容(じんよう)雄大(ゆうだい)で、一路(いちろ)平推(へいすい)するだけで、驭狼術(ぎょろうじゅつ)力量(りきりょう)()えなかった。(いま)(かれ)精巧(せいこう)(あやつ)(さま)に、北原(ほくげん)一流(いちりゅう)驭獣術(ぎょじゅうじゅつ)(あま)すところなく(あら)われている。


わずか八頭(はちとう)千狼王(せんろうおう)、そのうち七頭(ななとう)万狼王(ばんろうおう)影響(えいきょう)()け、戦力(せんりょく)(まっと)うに発揮(はっき)できない。


しかし、方源(ほうげん)操縦(そうじゅう)(もと)で、万狼王(ばんろうおう)はまるで千軍万馬(せんぐんばんば)(なか)(おちい)ったように、また蜘蛛(くも)()(とら)われた(はえ)(ごと)く感じ(かんじ)た。


最終的(さいしゅうてき)には、万狼王(ばんろうおう)方源(ほうげん)によって無理矢理(むりやり)消耗(しょうもう)()くされ、その臨時(りんじ)反撲(はんぽく)も、一頭(いっとう)千狼王(せんろうおう)(いのち)(うば)ったに()ぎなかった。


狼王(ろうおう)常山阴(じょうざんいん)(さま)こそ、(まこと)狼王(ろうおう)であられる!」 万狼王(ばんろうおう)巨大(きょだい)(からだ)轟音(ごうおん)(とも)(たお)()ちるのを()て、どこの(だれ)()からない蛊師(こし)(さけ)()した。


狼王(ろうおう)!」


狼王(ろうおう)狼王(ろうおう)!」


この一戦(いっせん)()て、人々(ひとびと)は(みな)、「狼王(ろうおう)」という称号(しょうごう)(じつ)適切(てきせつ)だと痛感(つうかん)した。


(さけ)(ごえ)は次々(つぎつぎ)と()()こり、すぐに(ひと)つに(つら)なり、(おお)くの者が(うで)()(かざ)して熱狂(ねっきょう)し、(おお)くの者が(あつ)眼差(まなざ)しを()け、また(おお)くの者が(なみだ)(なが)した。


これは一種(いっしゅ)感動(かんどう)英雄(えいゆう)へ(え)の崇拝(すうはい)(ちから)へ(え)の畏敬(いけい)(ねん)であった。


「この(もの)がいる以上(いじょう)、我々(われわれ)が葛家(かっか)併合(へいごう)するのは、容易(ようい)なことではない!」蛮轰(ばんごう)顔色(かおいろ)(はい)のように()せ、この(たたか)いは(かれ)野望(やぼう)(たくら)みを完全(かんぜん)()(くだ)いた。


狼王(ろうおう)……」


常山阴(じょうざんいん)をずっと見下(みくだ)していた蛮豪(ばんごう)は、(たましい)()けたように(つぶや)き、(くち)の中でこの称号(しょうごう)咀嚼(そしゃく)していた。


これまで一度(いちど)として、この称号(しょうごう)(おも)みがこれほどまでであると(かん)じたことはなかった!


戦場(せんじょう)では、葛家(かっか)老族长(ろうぞくちょう)一族(いちぞく)家老(かろう)たちを(ひき)い、方源(ほうげん)のもとに()()ってきた。


往年(おうねん)英雄(えいゆう)は、なおも風采(ふうさい)あざやか!


今日(きょう)一戦(いっせん)には、老朽(ろうきゅう)まったく敬服(けいふく)(いた)りです。


老朽(ろうきゅう)葛家(かっか)代表(だいひょう)し、あなたの援護(えんご)恩徳(おんとく)十万分(じゅうまんぶん)感謝(かんしゃ)(もう)()げます!」


葛家(かっか)老族长(ろうぞくちょう)方源(ほうげん)(たい)(ふか)一礼(いちれい)した。


(かっ)老兄(ろうけい)()()ぎです。


それよりも、一刻(いっこく)(はや)戦場(せんじょう)掃討(そうとう)()ませましょう。」


方源(ほうげん)(かる)(わら)って(こた)えた。


万狼王(ばんろうおう)屍体(したい)()(よこ)たわっているが、方源(ほうげん)嫌疑(けんぎ)()けるため、越権行為(えっけんこうい)をしようとはしなかった。


「もし(わたし)四転驭狼蛊(してんぎょろうこ)()っていれば、この亀甲万狼王(きっこうばんろうおう)麾下(きか)(おさ)めることができたのに、残念(ざんねん)だ」と、方源(ほうげん)心中(しんちゅう)()やんだ。


四転(してん)驭獣蛊(ぎょじゅうこ)万獣王(ばんじゅうおう)制御(せいぎょ)できる。一度(いちど)万獣群(ばんじゅうぐん)()()れれば、一氏族(いちしぞく)にとって、これほど巨大(きょだい)戦力(せんりょく)となる。


そのため、北原(ほくげん)市場(しじょう)では、一般(いっぱん)四転(してん)驭獣蛊(ぎょじゅうこ)出品(しゅっぴん)されない。


数多(あまた)蛊虫(こちゅう)は、四転(してん)以上(いじょう)となると、価値(かち)急騰(きゅうとう)する。驭獣蛊(ぎょじゅうこ)はその一例(いちれい)であり、(ほか)には舍利蛊(しゃりこ)なども同様(どうよう)だ。


(ゆえ)に、市集(ししゅう)方源(ほうげん)購入(こうにゅう)できたのは、二転(にてん)三転(さんてん)驭狼蛊(ぎょろうこ)だけで、四転驭狼蛊(してんぎょろうこ)一匹(いっぴき)()えなかったのである。


(わたし)(いま)手元(てもと)に、大量(たいりょう)二転(にてん)三転(さんてん)驭狼蛊(ぎょろうこ)があり、不足(ふそく)していない。四転(してん)驭狼蛊(ぎょろうこ)は、()たところ自分(じぶん)()らなければならないなあ。」


方源(ほうげん)目前(もくぜん)四転驭狼蛊(してんぎょろうこ)()けている。四転蛊(してんこ)があれば、(かれ)直接(ちょくせつ)万狼王(ばんろうおう)操縦(そうじゅう)でき、狼王(ろうおう)(つう)じて間接的(かんせつてき)狼群(おおかみむれ)操縦(そうじゅう)し、魂魄(こんぱく)への負担(ふたん)()らせる。そして(かれ)異獣(いじゅう)白眼狼(はくがんろう)は、現在(げんざい)幼体(ようたい)で、三転蛊(さんてんこ)使(つか)えばまだ奴隷(どれい)にできる。しかし一旦(いったん)成年(せいねん)になると、四転蛊(してんこ)必要(ひつよう)になる。そうでなければ、()うことを()かなくなり、()()すことさえある。


大人(たいじん)四転驭狼蛊(してんぎょろうこ)一匹(いっぴき)発見(はっけん)しました!」ちょうどその(とき)万狼王(ばんろうおう)屍体(したい)搜刮(そうかつ)していた一人(ひとり)蛊師(こし)が、大声(おおごえ)(さけ)()げた。


「おや?」葛家(かっか)老族长(ろうぞくちょう)はこれを()き、眼中(がんちゅう)精芒(せいぼう)一閃(いっせん)し、すぐに(わら)って()った。「はは、宝蛊(ほうこ)英雄(えいゆう)匹敵(ひってき)する。この()はまさに常賢弟(じょうけんてい)あなたのために準備(じゅんび)されたものだなあ。」


万獣王(ばんじゅうおう)(からだ)四転驭獣蛊(してんぎょじゅうこ)寄生(きせい)する確率(かくりつ)比較的(ひかくてき)(たか)いとはいえ、方源(ほうげん)はやはり(よろこ)んだ。


今日(きょう)のこの一戦(いっせん)は、(すこ)しばかりの瑕疵(かし)があったとしても、結果(けっか)としては(かれ)にとって非常(ひじょう)満足(まんぞく)のいくものだった。


万狼王(ばんろうおう)一頭(いっとう)(うしな)ったのはやや遺憾(いかん)だったが、()わりに四転驭狼蛊(してんぎょろうこ)()()れた。


この蛊虫(こちゅう)到来(とうらい)はまさに時機(とき)()かった。 方源(ほうげん)がこんな「()()(もち)(てき)好都合(こうつごう)出来事(できごと)出会(であ)うのは(ひさ)しぶりだった。


慎重(しんちょう)にもこの蛊虫(こちゅう)()()ると、方源(ほうげん)早速(さっそく)葛家(かっか)高官(こうかん)たちに辞去(じきょ)した。(つづ)祝勝会(しゅくしょうかい)にも、「この四転蛊(してんこ)(りき)()くして煉化(れんか)するため」という口実(こうじつ)(もち)いて、一切(いっさい)参加(さんか)しなかった。


(よる)(とばり)()りた。


屋外(おくがい)祝勝(しゅくしょう)篝火(かがりび)が、熊々(ゆうゆう)と()()がっている。大勝(たいしょう)歓声(かんせい)と、()(もの)(いた)()(ごえ)()()じり、かすかに方源(ほうげん)(みみ)(とど)いている。


方源(ほうげん)地面(じめん)坐禅(ざぜん)()み、(こころ)()()かせ、精神(せいしん)空窍(くうこう)(さぐ)()れた。


九割(きゅうわり)まで()たされた真元(しんげん)海面(かいめん)は、(なみ)(しず)かで、(みず)黄金(おうごん)(ごと)(かがや)燦然(さんぜん)としている。残念(ざんねん)なことに、()北原(ほくげん)完全(かんぜん)適応(てきおう)しておらず、異域(いいき)圧制(あっせい)()けているため、方源(ほうげん)修行(しゅぎょう)一時的(いちじてき)停滞(ていたい)し、真金(しんきん)真元(しんげん)()()(だお)しだ。


しかし修行(しゅぎょう)は、実力(じつりょく)一部(いちぶ)()ぎない。


方源(ほうげん)実力(じつりょく)向上(こうじょう)させるには、(ほか)方法(ほうほう)もある。


(たと)えば、(かれ)(いま)()()した十钧之力蛊(じっきんのちからこ)のように。


()()四転(してん)だが、四転驭獣蛊(してんぎょじゅうこ)(くら)べると、その価値(かち)ははるかに(ひく)い。なぜなら、煉製(れんせい)容易(ようい)で、コストが(やす)く、市面(しめん)でも比較的(ひかくてき)よく()かけるからだ。


十钧之力蛊(じっきんのちからこ)は、外見(がいけん)目立(めだ)たず、普通(ふつう)(てつ)分銅(ふんどう)のようである。


方源(ほうげん)催動(さいどう)すると、それは方源(ほうげん)頭頂(とうちょう)浮遊(ふゆう)し、玄妙(げんみょう)(ひかり)(はな)って、方源(ほうげん)全身(ぜんしん)()らし、ある(ちから)道紋(どうもん)を、方源(ほうげん)(からだ)刻印(こくいん)する。


片刻(はんかく)(あと)十钧之力蛊(じっきんのちからこ)突然(とつぜん)軽微(けいび)爆発(ばくはつ)()こし、(かす)かな鉄滓(てっさい)()ちて、方源(ほうげん)(かみ)(うえ)()ちた。


十钧之力蛊(じっきんのちからこ)消耗蛊(しょうもうこ)であり、これは方源(ほうげん)使(つか)()たした三匹目(さんびきめ)十钧之力蛊(じっきんのちからこ)である。


方源(ほうげん)(あたま)鉄滓(てっさい)(はら)()とし、両拳(りょうけん)(にぎ)りしめて、()えた(ちから)(かん)じた。「(ちから)向上(こうじょう)は、瓶頸(びんけい)(おちい)った。(つぎ)は、自身(じしん)骨格(こっかく)皮膚筋肉(ひふきんにく)筋腱(きんけん)などを改造(かいぞう)し、水桶(すいとう)をより(ふか)く、より(おお)きく、より強固(きょうこ)仕上(しあ)げなければ、さらなる(ちから)(にな)うことはできない。」


方源(ほうげん)()(ひから)せ、(ふたた)狼魂蛊(ろうこんこ)を取り()した。


「これが最後(さいご)狼魂蛊(ろうこんこ)だ。」


方源(ほうげん)(ふたた)真元(しんげん)催動(さいどう)すると、狼魂蛊(ろうこんこ)爆発(ばくはつ)し、一股(いこ)灰白(かいはく)狼魂(ろうこん)()わって、(かれ)(からだ)衝突(しょうとつ)した。


百人魂(ひゃくにんこん)狼魂(ろうこん)(たが)いに(から)()うが、今回(こんかい)以前(いぜん)よりも数倍(すうばい)困難(こんなん)であった。以前(いぜん)方源(ほうげん)狼魂蛊(ろうこんこ)使(つか)った(とき)麾下(きか)狼群(おおかみむれ)三千頭余(さんぜんとうあま)りしかいなかった。今日(きょう)一戦(いっせん)で、多くの狼王(ろうおう)征圧(せいあつ)したため、魂魄(こんぱく)負担(ふたん)(おお)きくなっているのだ。


方源(ほうげん)(まゆ)(つよ)くひそめ、(ひたい)()(あせ)がにじみ()て、()()いしばって()え、ついに百人魂(ひゃくにんこん)狼魂(ろうこん)(たが)いに融合(ゆうごう)した。


(ごう)


耳元(みみもと)でかすかな(おと)がし、方源(ほうげん)計画(けいかく)どおり、長期的(ちょうきてき)数量(すうりょう)蓄積(ちくせき)がついにこの瞬間(しゅんかん)質的変化(しつてきへんか)()()こした。


百人魂(ひゃくにんこん)完全(かんぜん)狼人魂(ろうじんこん)(てん)じた。


狼人魂(ろうじんこん)全体(ぜんたい)深灰色(しんはいいろ)(てい)し、極限(きょくげん)まで凝練(ぎょうれん)されていた。


魂魄(こんぱく)形象(けいしょう)は、大体(だいたい)において方源(ほうげん)本来(ほんらい)面影(おもかげ)であるが、ただ鼻梁(はなばし)がより(たか)く、()(するど)()わり、身形(しんけい)削瘦(さくそう)していた。


頭頂(とうちょう)には(ふた)つの(とが)った(おおかみ)(みみ)()え、(なが)(かみ)(こし)(へん)りまで()れ、臀部(でんぶ)毛深(けぶか)(おおかみ)()のように()えた。


狼人魂(ろうじんこん)完成(かんせい)するや、方源(ほうげん)(またた)()安堵(あんど)(いき)()いた。あたかも千斤(せんきん)重荷(おもに)()ろしたかのようだった。


脳裏(のうり)には、狼群(おおかみむれ)との(つな)がりが一層(いっそう)緊密(きんみつ)になり、さらには狼王(ろうおう)たちの魂魄(こんぱく)からは、かすかな(した)しみの(じょう)(つた)わってきた。


これは、以前(いぜん)百人魂(ひゃくにんこん)では(かん)じられなかったものだ。


狼人魂(ろうじんこん)()()げた(あと)方源(ほうげん)(おおかみ)気配(けはい)(はな)つようになり、狼王(ろうおう)たちを同族(どうぞく)(あやま)って(おも)わせる。そのため、もはや百人魂(ひゃくにんこん)(とき)のような単純(たんじゅん)(ちから)での圧服(あっぷく)ではなく、(みと)()気持(きも)ちが(くわ)わっているのだ。


百人魂(ひゃくにんこん)であれほどの狼群(おおかみむれ)奴役(どえき)するのは、ほとんど限界(げんかい)だった。(いま)狼人魂(ろうじんこん)となれば、さらに三倍(さんばい)()(じょう)狼王(ろうおう)征圧(せいあつ)できる!」


「ただ、今日(きょう)のような好機(こうき)は、今後(こんご)はなかなか(めぐ)って()ないだろう。だが草原(そうげん)(ひろ)く、狼群(おおかみむれ)(おお)い。英雄大会(えいゆうたいかい)()かう道中(どうちゅう)だけでも、この狼群(おおかみむれ)規模(きぼ)(すく)なくとも(ばい)にはできるはずだ。」


()いた(あな)(なか)山積(さんせき)みになった二転驭狼蛊(にてんぎょろうこ)(すく)なからずの三転驭狼蛊(さんてんぎょろうこ)、そして一匹(いっぴき)四転驭狼蛊(してんぎょろうこ)()つめながら、方源(ほうげん)心中(しんちゅう)未来(みらい)への期待(きたい)()ちた。











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