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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第三十三節:常山阴恩人

毒須狼群(どくしゅろうむれ)一瞬(いっしゅん)躊躇(ちゅうちょ)もなく、風狼群(ふうろうむれ)()かって猛攻撃(もうこうげき)開始(かいし)した。


毒須狼(どくしゅろう)だ!」()もなく、蛊師(こし)たちも毒須狼群(どくしゅろうむれ)()づき、一斉(いっせい)(かお)()げて(なが)めやった。


奇妙(きみょう)だ。毒須狼(どくしゅろう)腐毒草原(ふどくそうげん)でしか活動(かつどう)しないはずでは?どうして(そと)まで()てきたのだろう?」蛊師(こし)たちは困惑(こんわく)し、理解(りかい)(くる)しんだ。


「おそらく蛊師(こし)()られているのだろう!」葛光(かっこう)両拳(りょうこぶし)(にぎ)()め、急速(きゅうそく)接近(せっきん)する毒須狼群(どくしゅろうむれ)()つめ、絶望(ぜつぼう)していた(ひとみ)(ふたた)希望(きぼう)(ひかり)(とも)った。


若様(わかさま)のご明察(めいさつ)!ご(らん)ください、あそこに(たし)かに人影(ひとかげ)が!」数息(すうそく)()一人(ひとり)蛊師(こし)遠方(えんぽう)指差()して(さけ)んだ。


人々(ひとびと)の(あつ)視線(しせん)(さき)方源(ほうげん)駝狼(だらくだ)()り、人々(ひとびと)の視界(しかい)(あら)われた。


(たす)かった!」人々(ひとびと)は歓声(かんせい)()げた。


(かなら)ずしもそうとは(かぎ)らん」葛光(かっこう)()(ほそ)め、(れい)(てつ)判断(はんだん)(くだ)した。「毒須狼(どくしゅろう)(かず)(せん)()たず、まだ(なん)とも()えん。この(もの)驭狼術(じょろうじゅつ)次第(しだい)だ」


(かれ)指摘(してき)()けて、蛊師(こし)たちも憂慮(ゆうりょ)(はじ)めた。


()たのはおそらく奴道蛊師(ぬどうこし)だろうが、毒須狼(どくしゅろう)(かず)(すく)なすぎる」


(こま)ったことに、毒須狼(どくしゅろう)日光(にっこう)(もと)では戦闘力(せんとうりょく)()がれ、風狼(ふうろう)より(すこ)(おと)るのだ」


最悪(さいあく)だ。この奴道蛊師(ぬどうこし)身边(しんぺん)には千獣王(せんじゅうおう)一頭(いっとう)おらず、百獣王(ひゃくじゅうおう)数頭(すうとう)いるだけでは、風狼王(ふうろうおう)突撃(とつげき)(ふせ)ぎきれまい!」


葛光(かっこう)突然(とつぜん)(くち)()けた:「問題(もんだい)ない。この蛊師(こし)毒須狼(どくしゅろう)を一ヶ(いっかしょ)集中(しゅうちゅう)させ、突撃(とつげき)をかけて陣形(じんけい)突破(とっぱ)すれば、我々(われわれ)を(すく)()せる可能性(かのうせい)もある」


この言葉(ことば)一同(いちどう)不安(ふあん)(おお)きく(やわ)らげた。しかし、(かれ)らが希望(きぼう)(ともしび)(とも)した瞬間(しゅんかん)方源(ほうげん)(こころ)(ひと)()じ、毒須狼群(どくしゅろうむれ)全体(ぜんたい)がまるで()()らされた(みず)のように地面(じめん)(たた)きつけられ、轟音(ごうおん)(とも)()(ばら)になって(ひろ)がった。


「こ、これは!」多くの蛊師(こし)呆然(ぼうぜん)として言葉(ことば)(うしな)った。


「もう()わりだ。(みずか)()()()()むようなものだ!」何人(なんにん)かは()()じた。


馬鹿者(ばかもの)め、チャンスをこんなに無駄(むだ)にするとは!」蛊師(こし)一人(ひとり)(くや)しさの(あま)地団太(じだんだ)()んだ。(かれ)らは(はか)()れない失望(しつぼう)(おそ)われ、(はげ)しく(のろ)いの言葉(ことば)()き、(なか)には方源(ほうげん)(にく)(もの)さえ(あら)われた。


葛光(かっこう)顔色(かおいろ)(あお)ざめた。生き(のこ)可能性(かのうせい)があるなら、(だれ)()にたくはない。方源(ほうげん)出現(しゅつげん)(みな)希望(きぼう)(あた)えたが、その本人(ほんにん)(みずか)らその希望(きぼう)(にぎ)(つぶ)すとは!


風狼王(ふうろうおう)一声(いっせい)()えると、風狼群(ふうろうむれ)全体(ぜんたい)反撃(はんげき)(てん)じた。


(ふた)つの狼群(おおかみむれ)がまさに激突(げきとつ)せんとする瞬間(しゅんかん)方源(ほうげん)突然(とつぜん)長嘯(ちょうしょう)(はっ)した。


人間(にんげん)である(かれ)が、(いま)はまるで(おおかみ)のように()(さけ)ぶ。


その(さけ)(ごえ)蒼涼(そうりょう)として野性(やせい)(てき)で、(よる)大風(おおかぜ)(なか)()らめく篝火(かがりび)のようだった。


(おおかみ)遠吠(とおぼ)えは半径(はんけい)八百歩(はっぴゃくほ)(ひび)(わた)った。この範囲(はんい)(ない)毒須狼(どくしゅろう)はこの(さけ)(ごえ)()くと、(くる)ったように二倍(にばい)戦闘力(せんとうりょく)爆発(ばくはつ)させた!


「あっ、これは四転狼嚎蛊(してんろうごうこ)だ!狼群(おおかみむれ)戦闘力(せんとうりょく)急激(きゅうげき)(たか)める珍貴(ちんき)()で、()たのは四転蛊師(してんこし)だったのか!」


方源(ほうげん)のこの一声(ひとこえ)は、まさに(てん)()くような衝撃(しょうげき)で、蛊師(こし)たちの顔色(かおいろ)一瞬(いっしゅん)にして()えさせた。


(おお)くの絶望(ぜつぼう)(しず)んでいた(ひとみ)に、(ふたた)希望(きぼう)(かがや)きが(とも)った。


四転(してん)三転(さんてん)では、次元(じげん)(ちが)う。


三転(さんてん)族中(ぞくちゅう)長老(ちょうろう)四転(してん)一族(いちぞく)(おさ)だ。


葛光(かっこう)でさえ、まだ三転高階(さんてんこうかい)()ぎない。


方源(ほうげん)(しん)実力(じつりょく)()ると、もはや罵声(ばせい)()びせる(もの)一人(ひとり)もいなかった。北原(ほくげん)蛊師(こし)勇猛(ゆうもう)ではあるが、(けっ)して傲慢(ごうまん)ではない。(かれ)らの(ほね)(ずい)までには、強者(きょうしゃ)(たい)する尊敬(そんけい)と、(ちから)(たい)する謙遜(けんそん)()()んでいるのだ。


毒須狼(どくしゅろう)本来(ほんらい)風狼(ふうろう)より(おと)っていたが、(いま)戦闘力(せんとうりょく)急激(きゅうげき)(たか)まり、(ぎゃく)風狼(ふうろう)上回(うわまわ)すほど(つよ)くなった。


戦闘(せんとう)開始(かいし)から()もなく、風狼群(ふうろうむれ)次第(しだい)敗退(はいたい)し、戦場(せんじょう)には大量(たいりょう)風狼(ふうろう)死体(したい)(ころ)がった。十匹(じゅっぴき)風狼(ふうろう)()ぬごとに、一匹(いっぴき)毒須狼(どくしゅろう)犠牲(ぎせい)になる割合(わりあい)だった。


「なんと精妙(せいみょう)驭狼術(じょろうじゅつ)だ!」この戦損比(せんそんひ)に、葛家(かっけ)蛊師(こし)たちは()()いて()()った。


(しん)じがたい!これは驭獣大師(ぎょじゅうたいし)(いき)だ。()たのは一体(いったい)何者(なにもの)なのだ?」(おお)くの(もの)方源(ほうげん)()()は、まるで怪物(かいぶつ)()るかのようだった。


「この(あた)りにこんな高手(こうしゅ)(ひそ)んでいたとは、()いたこともない!」人々(ひとびと)は当然(とうぜん)ながら(おどろ)きと(よろこ)びでいっぱいだった。


方源(ほうげん)強勢(きょうせい)(たたか)いぶりに、風狼群(ふうろうむれ)注意(ちゅうい)毒須狼群(どくしゅろうむれ)集中(しゅうちゅう)させた。葛家(かっけ)蛊師(こし)たちに対しては包囲(ほうい)するだけで攻撃(こうげき)(くわ)えず、これによって(かれ)らは絶体絶命(ぜったいぜつめい)危機(きき)から(のが)れ、貴重(きちょう)(いき)をつく機会(きかい)()た。


風狼王(ふうろうおう)出撃(しゅつげき)した!」葛光(かっこう)突然(とつぜん)(くち)()け、一言(ひとこと)(みな)心配(しんぱい)(ふたた)びかき()てた。


風狼王(ふうろうおう)(なみ)(はず)れた知性(ちせい)()ち、二声(にせい)()えると身边(しんぺん)大勢(おおぜい)精鋭(せいえい)迅速(じんそく)集結(しゅうけつ)させた。


()もなく、風狼王(ふうろうおう)先頭(せんとう)に、この精鋭部隊(せいえいぶたい)()のように毒須狼(どくしゅろう)(じん)突入(とつにゅう)し、中央(ちゅうおう)(つらぬ)いて方源(ほうげん)()かい猛攻撃(もうこうげき)開始(かいし)した。


奴道蛊師(ぬどうこし)が最も(もっとも)(おそ)れるのは斬首(ざんしゅ)戦術(せんじゅつ)だが、この風狼王(ふうろうおう)千獣王(せんじゅうおう)であり、狼群(おおかみむれ)精鋭(せいえい)(ひき)いての突撃(とつげき)は、まさに(はば)むべからざる(いきお)いだった。一方(いっぽう)方源(ほうげん)手元(てもと)には百獣王級(ひゃくじゅうおうきゅう)毒須狼王(どくしゅろうおう)数匹(すうひき)いるだけである。


しかし方源(ほうげん)はこれを()(おどろ)くどころか、かえって(よろこ)び、(あわ)(わら)った。「()たして()()れなかったな」


風狼王(ふうろうおう)は他の野生(やせい)(おおかみ)よりもはるかに知性(ちせい)があるが、やはり(けもの)であり、人間(にんげん)霊性(れいせい)には(およ)ばない。他の狼群(おおかみむれ)(たたか)場合(ばあい)方源(ほうげん)(みずか)突撃(とつげき)する必要(ひつよう)がある。しかし風狼王(ふうろうおう)との対戦(たいせん)では、方源(ほうげん)はわざとこのような陣勢(じんせい)(きず)き上げ、見事(みごと)風狼王(ふうろうおう)(さそ)()して(みずか)突撃(とつげき)させたのだ。


シュッ!


疾走(しっそう)中の風狼王(ふうろうおう)突然(とつぜん)(くち)()け、三枚(さんまい)()大風刃(だいふうじん)()()した。


風刃(ふうじん)飛翔(ひしょう)し、狼群(おおかみむれ)()(やぶ)り、()(みち)(ひら)いて、まっすぐ方源(ほうげん)()かって()()んだ。


(あぶ)ない!」(おか)(うえ)一人(ひとり)蛊師(こし)(おも)わず(さけ)(ごえ)()げ、他の(もの)心臓(しんぞう)(のど)まで()()そうになった。


方源(ほうげん)微動(みどう)だにせず、風刃(ふうじん)がまさに()(せま)瞬間(しゅんかん)になって(はじ)めて、駝狼(だらくだ)(あやつ)って(かろ)くかわした。(くも)(あわ)(かぜ)(かろ)やかに、見事(みごと)回避(かいひ)成功(せいこう)し、青緑色(あおみどりいろ)風刃(ふうじん)(かれ)(わき)をかすめて()んでいった。


(たか)(しゅ)だ!」方源(ほうげん)のこの危険(きけん)直面(ちょくめん)しても(おそ)れず、微動(みどう)だにしない気魄(きはく)に、蛊師(こし)たちは即座(そくざ)にこの言葉(ことば)(おも)()かべた。


方源(ほうげん)(こころ)の中で(ひと)()じると、(なん)(びき)もの毒須狼王(どくしゅろうおう)(すで)準備(じゅんび)(ととの)えて()()り、戦陣(せんじん)()んで風狼王(ふうろうおう)()()(はば)んだ。


風狼王(ふうろうおう)速度(そくど)(はや)く、攻撃力(こうげきりょく)(すぐ)れ、防御(ぼうぎょ)堅固(けんこ)で、どの毒須狼王(どくしゅろうおう)よりも(つよ)い。しかし、左右(さゆう)(とつ)(しん)しても、どうしてもこの防壁(ぼうへき)(やぶ)ることができない。


方源(ほうげん)精妙(せいみょう)指揮(しき)によって、(よわ)みを(つよ)みで(せい)し、風狼王(ふうろうおう)完全(かんぜん)(ふう)()んでしまった。風狼王(ふうろうおう)無念(むねん)そうに(いか)(くる)って()えるしかなかった。


(おそ)ろしい!堂々(どうどう)たる風狼王(ふうろうおう)が、この(おとこ)(まった)手玉(てだま)()られている」


「この(もの)驭獣術(ぎょじゅつじゅつ)は、江暴牙(こうぼうが)楊破桜(ようはおう)馬尊(ばそん)匹敵(ひってき)する。当今(とうこん)北原(ほくげん)に、また一人(ひとり)一流(いちりゅう)奴道強者(ぬどうきょうしゃ)(あら)われたのだ!」


「もし(かれ)麾下(きか)狼群(おおかみむれ)がさらに数倍(すうばい)(つよ)くなれば、一人(ひとり)中小規模(ちゅうしょうきぼ)部族(ぶぞく)対等(たいとう)(たたか)える(ちから)()つだろう」


「この(もの)一体(いったい)(だれ)だ?()()はかなりの年配(ねんぱい)だ」葛光(かっこう)方源(ほうげん)風狼王(ふうろうおう)翻弄(ほんろう)する(さま)()()がくらみ、(おも)わず畏敬(いけい)(ねん)(いだ)いた。


人々(ひとびと)は(みな)(くび)()り、様々(さまざま)に推測(すいそく)したが、これが方源(ほうげん)にさらに神秘(しんぴ)のベールを(まと)わせることになった。


頃合(ころあい)だな」と方源(ほうげん)(つぶや)いた。


(かれ)戦局(せんきょく)のすべてを掌握(しょうあく)しており、風狼王(ふうろうおう)()()そうとするのを()て、相手(あいて)戦意(せんい)()きたことを(さと)った。


三転驭狼蛊(さんてんじょろうこ)()け!」


方源(ほうげん)心念(しんねん)()ると、唯一(ゆいいつ)三転(さんてん)驭狼蛊(じょろうこ)()()し、一筋(ひとすじ)軽煙(けいえん)()って風狼王(ふうろうおう)(つつ)()んだ。


風狼王(ふうろうおう)(はげ)しく咆哮(ほうこう)(つづ)け、魂魄(こんぱく)抵抗(ていこう)して、しばらくは軽煙(けいえん)()退()け、方源(ほうげん)(あつ)(りょく)(くっ)しなかった。


「ふん」方源(ほうげん)()(するど)(ひかり)(はし)った。百人魂(ひゃくにんこん)()(かれ)は、魂魄(こんぱく)同士(どうし)(たたか)いなど(かす)かも(おそ)れない。


()たして、風狼王(ふうろうおう)はしばらく抵抗(ていこう)した(あと)、ついに(やぶ)れ、方源(ほうげん)屈服(くっぷく)した。


「この(ひと)魂魄(こんぱく)(つよ)すぎる!おそらく百人魂(ひゃくにんこん)()っているだろう!」と(だれ)かが驚嘆(きょうたん)した。


「これほどの奴道(ぬどう)造詣(ぞうけい)なら、百人魂(ひゃくにんこん)があっても不思議(ふしぎ)ではない」と即座(そくざ)反論(はんろん)する(もの)(あら)われた。「江暴牙(こうぼうが)楊破桜(ようはおう)馬尊(ばそん)のような(もの)は、(おのおの)千人魂(せんにんこん)()っているのだから」


無事(ぶじ)驭狼蛊(じょろうこ)(しゅ)()()けた方源(ほうげん)は、最初(さいしょ)千狼王(せんろうおう)()()れた。


風狼王(ふうろうおう)一声(いっせい)()えると、狼群(おおかみむれ)即座(そくざ)動作(どうさ)停止(ていし)した。さっきまでの喧噪(けんそう)たる戦場(せんじょう)が、突如(とつじょ)として静寂(せいじゃく)(つつ)まれた。


(のこ)千頭余(せんとうあま)りの風狼群(ふうろうむれ)は、方針(ほうしん)転換(てんかん)し、方源(ほうげん)麾下(きか)(くわ)わった。


こうして、方源(ほうげん)()(なか)狼群(おおかみむれ)規模(きぼ)急激(きゅうげき)二倍(にばい)(ふく)()がり、二千四百頭(にせんよんひゃくとう)(あま)りに(たっ)した。「今回(こんかい)(うん)()かった。もしこれらの蛊師(こし)たちが牽制(けんせい)していなければ、この風狼王(ふうろうおう)(せい)(ふく)するのにより(おお)きな代償(だいしょう)(はら)わなければならなかっただろう」方源(ほうげん)駝狼(だらくだ)()り、ゆっくりと(おか)(ほう)へと(ある)()した。


葛光(かっこう)たちは(おも)わず(いき)()んだ。眼前(がんぜん)のこの人物(じんぶつ)が、(かれ)らの生殺与奪(せいさつよだつ)()めるのだ。


方源(ほうげん)(ちか)づくにつれて、葛光(かっこう)率先(そっせん)して群衆(ぐんしゅう)から()()し、右手(みぎて)(むね)()さえながら方源(ほうげん)(ふか)(きゅう)(きゅう)し、大声(おおごえ)()った。「尊敬(そんけい)すべき(つよ)(もの)よ、あなたの(つよ)さは(わたし)敬服(けいふく)させると同時(どうじ)畏怖(いふ)させる。(いま)、我々(われわれ)の(いのち)はすべてあなたの()(なか)にある。(せい)かすも(ころ)すも、すべてあなたの采配(さいはい)次第(しだい)だ。我々(われわれ)に異論(いろん)一切(いっさい)ない」


「ふふふ、(わか)勇者(ゆうしゃ)よ、(きみ)(さき)(たたか)いは()ていた。まるで荒馬(あらうま)のように()しく、(おも)わず(わか)(ころ)自分(じぶん)(おも)()させてくれる」方源(ほうげん)(おおかみ)背中(せなか)(すわ)り、呵々(かか)と(わら)いながら(やさ)しい()一同(いちどう)見渡(みわた)した。「(きみ)たちは(わたし)腐毒草原(ふどくそうげん)から()最初(さいしょ)出会(であ)った(もの)たちだ。(ふたた)びこの()(かえ)れて(うれ)しい。安心(あんしん)するがいい、(わたし)常山陰(じょうさんいん)冷酷無情(れいこくむじょう)人間(にんげん)ではないのだから」


方源(ほうげん)言葉(ことば)()いて、蛊師(こし)たちは一斉(いっせい)(わら)()し、完全(かんぜん)緊張(きんちょう)()いた。


(かれ)らの真元(しんげん)完全(かんぜん)枯渇(こかつ)しており、もし方源(ほうげん)殺意(さつい)()てば、反撃(はんげき)する(ちから)など(かす)かもなかった。


(とき)には(ひと)(おおかみ)よりも危険(きけん)だ。もし魔道蛊師(まとうこし)遭遇(そうぐう)していたら、結末(けつまつ)はさらに凄惨(せいさん)なものになっていたかもしれない。(いま)人々(ひとびと)は(みな)庆幸(きょうこう)しており、自分(じぶん)たちが出会(であ)ったのは正道(せいどう)高手(こうしゅ)だと(かん)じている。


常山陰恩人(じょうさんいんおんじん)、私は葛家部族(かっけぶぞく)少族長(しょうぞくちょう)でございます。命の恩人(おんじん)として、どうか感謝(かんしゃ)機会(きかい)(たまわ)りたく。どうか我々(われわれ)の天幕(てんまく)へお()しください。全力(ぜんりょく)()くしてご歓待(かんたい)いたします」と葛光(かっこう)誠実(せいじつ)(さそ)った。


もちろん、感謝(かんしゃ)気持(きも)ちは本物(ほんもの)だが、もう一方(いっぽう)では方源(ほうげん)実力(じつりょく)見込(みこ)んでのこともある。こんな高手(こうしゅ)(つな)がりを()機会(きかい)は、(かれ)個人(こじん)だけでなく、部族全体(ぶぞくぜんたい)にとっても好都合(こうつごう)なのだ。


葛家(かっけ)か?」方源(ほうげん)一瞬(いっしゅん)沉吟(ちんぎん)してから()った。「よかろう。わしの元石(げんせき)はとっくに()きておるし、蛊虫(こちゅう)補充(ほじゅう)必要(ひつよう)じゃ。(たし)かにひと(やす)みせねばならんのう」


(かれ)言葉(ことば)の端々(はしばし)に自身(じしん)要求(ようきゅう)(にじ)ませ、葛光(かっこう)にさりげなく(しめ)した。


()たしてこの少族長(しょうぞくちょう)()(ひから)せ、この言葉(ことば)(あん)記憶(きおく)すると、(ほが)らかに(わら)()した。「常山陰恩人(じょうさんいんおんじん)、お引き(ひきた)てありがとうございます。では、(わたし)道案内(みちあんない)(つと)めさせていただきます!」










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