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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第三十二節:風狼王

狼群(おおかみむれ)()()わると、方源(ほうげん)駝狼(だらくだ)背中(せなか)(また)がり、移動(いどう)再開(さいかい)した。


「ここ数日(すうじつ)葛謡(かつよう)(しめ)した方角(ほうがく)沿()って(すす)んできた。腐毒草原(ふどくそうげん)(ふち)(ちか)づいているはずだ。もう(すこ)(すす)めば、人煙(じんえん)()えるだろう」


駝狼(だらくだ)天然(てんねん)騎獣(きじゅう)で、(ふた)つのコブが快適(かいてき)(くら)役目(やくめ)()たす。


方源(ほうげん)(ふた)つのコブの(あいだ)(すわ)り、移動(いどう)しながら空窍(くうきょう)探査(たんさ)した。


空窍(くうきょう)(なか)蛊虫(こちゅう)は、十匹(じゅっぴき)ほどしか(のこ)っていない。春秋蝉(しゅんじゅうせみ)推杯换盏蛊(すいはいかんさんこ)(のぞ)けば、すべて北原(ほくげん)蛊虫(こちゅう)ばかりだ。


元々(もともと)南疆(なんきょう)中洲(ちゅうしゅう)から()ってきた()は、すべて方源(ほうげん)によって狐仙福地(こせんふくち)(おく)(かえ)されていた。元石(げんせき)すら(ひと)つも(のこ)されていなかった。


南疆(なんきょう)元石(げんせき)は、北原(ほくげん)使用(しよう)できるとはいえ、北原(ほくげん)元石(げんせき)とは微妙(びみょう)(ちが)いがある。葛謡(かつよう)()づかなかったのは、(わか)すぎて天真爛漫(てんしんらんまん)だったからだ。(じつ)のところ、経験(けいけん)()んだ蛊師(こし)ならば、(すこ)しでも(さっ)しがついただろう。


残念(ざんねん)ながら、推杯换盏蛊(すいはいかんさんこ)五転(ごてん)であっても北原(ほくげん)では四転(してん)压制(あっせい)され、四転(してん)()しか収納(しゅうのう)できない。もしこれを(つう)じて定仙游(ていせんゆう)福地(ふくち)(おく)ることができれば完璧(かんぺき)だったのだが。はあ、(わたし)仕掛(しか)けた()(だん)()きますように」


定仙游蛊(ていせんゆうこ)(ほか)蛊仙(こせん)(うば)われれば、方源(ほうげん)にとって重大(じゅうだい)損失(そんしつ)となる。


しかし方源(ほうげん)にも()()がなく、最善(さいぜん)()くして可能(かのう)(かぎ)りの対策(たいさく)(こう)じた。


仙蛊(せんこ)気配(けはい)は約一ヶ(やくいっかげつ)持続(じぞく)する。この期間中(きかんちゅう)問題(もんだい)()きなければ、定仙游蛊(ていせんゆうこ)安全(あんぜん)()えるだろう」


(つぎ)北原(ほくげん)蛊師(こし)遭遇(そうぐう)する。(けっ)して油断(ゆだん)はできず、この期間中(きかんちゅう)千狼王(せんろうおう)をもう一頭(いっとう)()()らし、(おおかみ)(かず)二千頭(にせんとう)以上(いじょう)()やすのが最善(さいぜん)だ」


(とき)には(ひと)野獣(やじゅう)よりも(おそ)ろしい。二千頭(にせんとう)()える狼群(おおかみむれ)は、大半(たいはん)小者(こもの)たちを威圧(いあつ)できるだろう。


現在(げんざい)(わたし)手元(てもと)には三転驭狼蛊(さんてんじょろうこ)一匹(いっぴき)二転驭狼蛊(にてんじょろうこ)一匹(いっぴき)(のこ)っている。慎重(しんちょう)使(つか)わなければならない。今後(こんご)私は常山陰(じょうさんいん)として北原(ほくげん)(ある)き、(おおかみ)駆使(くし)することを(おも)とする。そうすると、また(あたら)しい難関(なんかん)(あら)われる——三転(さんてん)四転(してん)驭狼蛊(じょろうこ)秘方(ひほう)()っていないということだ」


およそ驭獣蛊(ぎょじゅうこ)は、ほとんどが消耗蛊(しょうもうこ)であり、軽煙(けいえん)()して爆散(ばくさん)した(あと)成功(せいこう)しても失敗(しっぱい)しても()()ってしまう。


三転(さんてん)驭狼蛊(じょろうこ)千狼王(せんろうおう)奴隷(どれい)にでき、四転(してん)驭狼蛊(じょろうこ)万狼王(ばんろうおう)異獣(いじゅう)奴隷(どれい)にできる。


この二種(にしゅ)()秘方(ひほう)がなければ、方源(ほうげん)大量(たいりょう)驭狼蛊(じょろうこ)()にすることはできない。これらの驭狼蛊(じょろうこ)がなければ、方源(ほうげん)身边(しんぺん)狼群(おおかみむれ)規模(きぼ)はせいぜい数千頭(すうせんとう)限界(げんかい)で、大きな舞台(ぶたい)()つことなど到底(とうてい)できない。


駝狼(だらくだ)(あし)()わりにしたことで、以降(いこう)移動速度(いどうそくど)(すく)なくとも三倍(さんばい)以上(いじょう)(はや)まった。


方源(ほうげん)昼夜(ちゅうや)()わず(みち)(いそ)ぎ、頭頂(とうちょう)(おお)(つづ)けてきた暗雲(あんうん)は、次第(しだい)(うす)くなっていった。


二日後(ふつかご)(かれ)はついに腐毒草原(ふどくそうげん)(ふち)到達(とうたつ)した。


(そら)では暗雲(あんうん)綿(わた)(じょう)()り、()(ひかり)(くも)隙間(すきま)から()()み、幾本(いくほん)もの(ひかり)(はしら)となって()(そそ)いでいる。


(とお)くを見渡(みわた)せば、青緑色(あおみどりいろ)草地(くさち)(せい)()()ち、藍色(あいいろ)(むらさき)黄色(きいろ)野花(のはな)(きそ)うように()(ほこ)っている。


(ひく)(ゆる)やかな(おか)は、まるで純粋(じゅんすい)(みどり)()()げられたようで、(なん)(せん)()かれてはいない。


(おか)(かたわ)らを小川(おがわ)一道(いちどう)(なが)れ、()(ひかり)()けてゆるやかに(たぎ)り、きらきらと(かがや)いている——さながら銀色(ぎんいろ)首飾(くびかざ)りのようだ。


「ついに(はず)()られるのか」方源(ほうげん)感慨(かんがい)(ぶか)(つぶや)き、駝狼(だらくだ)()()り、毒須狼群(どくしゅろうむれ)(まわ)りを取り(かこ)みながら、徐々(じょじょ)に陽光(ようこう)(もと)へと(すす)んでいった。


毒須狼群(どくしゅろうむれ)一斉(いっせい)(さわ)()った。


(かれ)らは薄暗(うすぐら)環境(かんきょう)での()りに(てき)しており、陽光(ようこう)(もと)では戦闘力(せんとうりょく)大幅(おおはば)低下(ていか)する。


方源(ほうげん)()()めなかった。これらの毒須狼群(どくしゅろうむれ)過渡期(かとき)存在(そんざい)()ぎず、(おそ)かれ(はや)かれ淘汰(とうた)される運命(うんめい)だ。


方源(ほうげん)()(かえ)ると、後方(こうほう)腐毒草原(ふどくそうげん)相変(あいか)わらず暗雲(あんうん)(あつ)()()め、光線(こうせん)薄暗(うすぐら)く、陰惨(いんさん)(かぜ)()(すさ)んでいた。腐敗(ふはい)した草地(くさち)には紫黒色(しこくしょく)毒草(どくそう)()え、(いびつ)怪異(かいい)(かたち)をしていた。


陽光(ようこう)()(そそ)ぐこちら(がわ)草地(くさち)とは(あざ)やかな対照(たいしょう)()し、まるで(ふた)つの世界(せかい)のようだった。


狐仙福地(こせんふくち)東部(とうぶ)(あつ)(くも)(おお)われている。(はや)()()たなければ、あの地域(ちいき)腐毒草原(ふどくそうげん)のように変質(へんしつ)してしまうだろう。腐毒草原(ふどくそうげん)……いずれ(かなら)(もど)ってくる」


方源(ほうげん)(ひく)(つぶや)いていると、突然(とつぜん)全身(ぜんしん)(かる)くなるのを(かん)じた。


北原(ほくげん)(あし)()()れた(とき)から、(かれ)(なに)居心地(いごこち)(わる)さを(おぼ)え、()()えない束縛(そくばく)(みずか)らを(つつ)んでいるように(かん)じていた。


(いま)、その束縛(そくばく)突然(とつぜん)一部(いちぶ)(けず)()られ、方源(ほうげん)自分(じぶん)がこの広大(こうだい)天地(てんち)により(ちか)づいたように(かん)じた。


そして(かれ)気息(きそく)もまた昇騰(しょうとう)し、(もと)三転巅峰(さんてんてんぽう)から四転初階(してんしょかい)へと上昇(じょうしょう)した。


(よろこ)びの感情(かんじょう)自然(しぜん)()()がり、方源(ほうげん)(おも)わず呵々(かか)大笑(たいしょう)した。


(からだ)が徐々(じょじょ)に北原(ほくげん)適応(てきおう)し、修為(しゅうい)が徐々(じょじょ)に回復(かいふく)していることは、(かれ)(つぎ)計画(けいかく)(おお)きく役立(やくだ)つ!


北原(ほくげん)(おれ)()た!」方源(ほうげん)一声(いっせい)(さけ)ぶと、両脚(りょうあし)狼腹(ろうふく)(つよ)(はさ)み、駝狼(だらくだ)(はし)()し、毒須狼群(どくしゅろうむれ)(ひき)いて遠方(えんぽう)へと()けて()った。


……


()て!」


喊殺声(かんさつせい)(おか)にこだまし、数十名(すうじゅうめい)蛊師(こし)千余頭(せんよとう)風狼(ふうろう)凄惨(せいさん)血戦(けっせん)(てん)(かい)していた。


戦闘(せんとう)一炷香(いっしゅこう)時間(じかん)経過(けいか)し、地面(じめん)はすでに()()まり、無数(むすう)(おおかみ)(ひと)(しかばね)()らばっていた。


「この()まわしい風狼(ふうろう)め!」首領(しゅりょう)葛光(かっこう)(すさ)まじい形相(ぎょうそう)(ののし)り、()にした軍刀(ぐんとう)(ちから)(まか)せに()()ろし、眼前(がんぜん)風狼(ふうろう)(くび)()()とした。


しかし()()とした(あと)(かれ)軍刀(ぐんとう)(ふた)つに()れてしまった。葛光(かっこう)()(のこ)った刃先(はさき)は、とっくに()(かえ)っていた。


ウォーン!


一頭(いっとう)風狼(ふうろう)一気(いっき)()()がり、葛光(かっこう)(おそ)いかかってきた。


若様(わかさま)(あぶ)ない!螺旋水箭(らせんすいせん)!」葛光(かっこう)背後(はいご)にいる蛊師(こし)(あせ)った(こえ)(さけ)んだ。


この(さけ)(ごえ)()くと、長年(ながねん)(たたか)いで(つちか)われた連携(れんけい)(みょう)で、葛光(かっこう)(かんが)える()もなく、猛然(もうぜん)(こし)()()げた。()()には、まるで(みずか)(すす)んで(おおかみ)(くち)(あたま)()()しているようだった。


空中(くうちゅう)()()った風狼(ふうろう)(くち)を大きく()け、(するど)(やいば)のような(きば)をむき()しにした。(いま)にも葛光(かっこう)(あたま)()()かんとする瞬間(しゅんかん)(あお)(みず)()(つよ)回転力(かいてんりょく)(とも)って葛光(かっこう)背後(はいご)から(はな)たれた。


その螺旋水箭(らせんすいせん)風狼(ふうろう)口内(こうない)に深々(ふかぶか)と()()さり、即死(そくし)させた。


この機会(きかい)()じて、葛光(かっこう)狼腹(ろうふく)(つよ)(はさ)み、(また)がる駝狼(だらくだ)()って後退(こうたい)し、仲間(なかま)たちの防御陣(ぼうぎょじん)(ない)退(しりぞ)いた。


馬刀蛊(ばとうこ)


(かれ)両手(りょうて)合掌(がっしょう)させ、(くう)(きょう)最後(さいご)一滴(いってき)真元(しんげん)(しぼ)()し、すべてを(てのひら)(うえ)馬刀(ばとう)(しるし)(そそ)()んだ。


サッと(おと)がして、


葛光(かっこう)右腕(みぎうで)一振(ひとふ)りし、瞬時(またた)く間に(あたら)しい馬刀(ばとう)形作(かたちづく)られ、(つよ)(にぎ)りしめられた。


()ね!」


(かれ)怒号(どごう)()げ、(こえ)はとっくに(てつ)のように()れていた。


(あたら)しく(しょう)(せい)された馬刀(ばとう)極限(きょくげん)まで(するど)く、空中(くうちゅう)寒光(かんこう)一閃(いっせん)(はな)ち、(よこ)から(おそ)いかかる風狼(ふうろう)一頭(いっとう)()(ふた)つに切り()いた。


しかしこの局所(きょくしょ)的な(ちい)さな勝利(しょうり)は、低迷(ていめい)する大局(たいきょく)(たい)して積極的(せっきょくてき)影響(えいきょう)(あた)えるには、(じつ)不十分(ふじゅうぶん)であった。


「くそっ、(おれ)真元(しんげん)()きる!」


風狼(ふうろう)(おお)すぎる、(すく)なくとも三千頭(さんぜんとう)はいるぞ!」


若頭(わかがしら)俺達(おれたち)完全(かんぜん)包囲(ほうい)された!このまま死戦(しせん)しても希望(きぼう)はない、(ひがし)脱出(だっしゅう)した方がいい、あちらの防御(ぼうぎょ)が最も(もっとも)手薄(てうす)だ!」


(まわ)りの蛊師(こし)たちが次々(つぎつぎ)に(さけ)(ごえ)()げる(なか)葛光(かっこう)(とら)()のように炯炯(けいけい)(ひか)視線(しせん)状況(じょうきょう)見極(みきわ)め、断固(だんこ)として否定(ひてい)した。


「いや、(ひがし)には水溜(みずたま)りがある。見掛(みか)けは手薄(てうす)だが、実際(じっさい)風狼王(ふうろうおう)意図的(いとてき)(つく)()した(いつわ)りの(よわ)みだ。俺達(おれたち)(はい)()めば、まさに(やつ)仕掛(しか)けた(わな)にかかることになる!」


「では、我々(われわれ)はどうすべきか?」側近(そっきん)()いかけた。


葛光(かっこう)()()いしばり、決意(けつい)(かた)めた。「方向(ほうこう)(てん)(かん)し、(もど)って西(にし)脱出(だっしゅう)する」


「しかし葛謡(かつよう)嬢様(じょうさま)はまだ()つかっていません。このまま帰還(きかん)したら、族長(ぞくちょう)(さま)にどう報告(ほうこく)すればよいのですか?」


葛光(かっこう)(ひや)やかに(ふん)いた。「葛謡(かつよう)(たし)かに(わたし)(いもうと)だが、(おのれ)私欲(しよく)のために葛家(かつけ)大局(たいきょく)(かえり)みず、婚約(こんやく)()()した。たかが一女(いちじょ)のために、我々(われわれ)有為(うい)男児(だんじ)犠牲(ぎせい)になる価値(かち)はない!命令(めいれい)(つた)えよ――脱出(だっしゅう)する!あの(いや)しい奴隷(どれい)どもに殿(しんがり)(つと)ませろ。主人(しゅじん)(いのち)(ささ)げる(とき)だ」


承知(しょうち)いたしました!」側近(そっきん)(あわ)てて命令(めいれい)伝達(でんたつ)した。


北原(ほくげん)部族(ぶぞく)(つね)(たたか)いを()(ひろ)げてきた。(やま)いに(やぶ)れた蛊師(こし)たちは奴隷(どれい)となり、地位(ちい)(ひく)く、必要(ひつよう)とあれば無情(むじょう)にも(たて)として()てられる。


やがて蛊師(こし)たちは二組(にぐみ)()かれた。一隊(いったい)奴隷(どれい)たちは(おか)(うえ)(のこ)り、(みずか)らの(いのち)(てき)足止(あしど)めをする。もう一隊(いったい)葛光(かっこう)(ひき)いられ、西(にし)()かって脱出(だっしゅう)開始(かいし)した。


()()()て!」葛光(かっこう)最前線(さいぜんせん)()()()り、馬刀(ばとう)()るい(つづ)け、狂野(こうや)かつ勇武(ゆうぶ)(たたか)った。


若様(わかさま)(まも)れ!」(かれ)背後(はいご)につく蛊師(こし)たちも、すべからく屈強(くっきょう)北原(ほくげん)(おとこ)たちで、駝狼(だらくだ)()り、葛光(かっこう)(まわ)りに緊密(きんみつ)団結(だんけつ)していた。


シュッ!


突如(とつじょ)巨大(きょだい)三枚葉(さんまいば)風刃(ふうじん)飛来(ひらい)した。


若様(わかさま)!」


忠誠心(ちゅうせいしん)(あつ)一人(ひとり)蛊師(こし)大声(おおごえ)警告(けいこく)し、最初(さいしょ)反応(はんのう)した。


(かれ)(くう)(きょう)には真元(しんげん)一滴(いってき)(のこ)っていなかったため、駝狼(だらくだ)(もう)(しん)させて(みずか)らの(からだ)風刃(ふうじん)(さえぎ)った。


(なん)例外(れいがい)もなく、(かれ)風刃(ふうじん)によって()(ふた)つに切断(せつだん)され、瞬時(しゅんじ)(いのち)()とした。


風刃(ふうじん)二枚葉(にまいば)減衰(げんすい)したが、なおも葛光(かっこう)()かって()()む。


葛光(かっこう)反応(はんのう)し、(あわ)てて馬刀(ばとう)(かか)げて防禦(ぼうぎょ)した。


ドン!


風刃(ふうじん)爆発(ばくはつ)し、馬刀(ばとう)は粉々(こなごな)に(くだ)け、葛光(かっこう)大口(おおぐち)鮮血(せんけつ)()くと、駝狼(だらくだ)背中(せなか)から転落(てんらく)した。


若様(わかさま)!」()後の蛊師(こし)たちは(あわ)てて(かれ)(まも)()てたが、これによって脱出(だっしゅつ)失敗(しっぱい)()わった。()()なく()()風狼(ふうろう)両側(りょうがわ)から(ほう)()し、(ふたた)(かれ)らを(きび)しく()()いた。


風狼群(ふうろうむれ)(しず)かに一筋(ひとすじ)(みち)()けると、優美(ゆうび)でたくましい風狼王(ふうろうおう)がゆっくりと(ある)()し、その通路(つうろ)沿()って人々(ひとびと)の面前(めんぜん)(あら)われた。


千獣王(せんじゅうおう)


その体躯(たいく)巨大(きょだい)軍馬(ぐんば)のようであり、(あざ)やかな深緑色(ふかみどりいろ)狼毛(ろうもう)(おお)われ、(おおかみ)(ひとみ)翠緑(すいりょく)宝石(ほうせき)のように(かがや)いていた。(たが)(ちが)(あし)(はこ)びながらゆっくりと(ちか)づく(さま)は、葛光(かっこう)らに優雅(ゆうが)気高(けだか)(かん)じさえ(あた)えた。


この(とき)(おか)頂上(ちょうじょう)(のこ)って防戦(ぼうせん)していた奴隷蛊師(どれいこし)たちは全滅(ぜんめつ)していた。大群(たいぐん)風狼(ふうろう)背後(はいご)から()()せてくる。


蛊師(こし)たちの真元(しんげん)はとっくに枯渇(こかつ)しており、風狼王(ふうろうおう)登場(とうじょう)一陣(いちじん)騒動(そうどう)()()こした。


(だれ)かが葛光(かっこう)()きずって後退(こうたい)させようとしたが、葛光(かっこう)(うで)()(はら)い、よろめきながら()()がると大声(おおごえ)()えた。「(なん)(おそ)れる!真元(しんげん)がなくとも、まだ(こぶし)(あし)(きば)がある!勇士(ゆうし)よ、この畜生(ちくしょう)どもに(あなど)られるな。我々(われわれ)の()をもって(あか)(しめ)せ——勇敢(ゆうかん)なる葛家(かっけ)一族(いちぞく)たることを!」


(かれ)鼓舞(こぶ)()けて、人々(ひとびと)の士気(しき)(おお)いに(たか)まり、全員(ぜんいん)()覚悟(かくご)した。


風狼王(ふうろうおう)(あし)(ゆる)め、突然(とつぜん)(くび)(ひるがえ)して戦場(せんじょう)東側(ひがしがわ)()やった。


紫黒色(しこくしょく)毒須狼(どくしゅろう)大群(たいぐん)が、迅速(じんそく)接近(せっきん)してきていた!









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