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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第十一節: 渡地灾(上)

数ヶ月後(すうかげつご)


狐仙福地(こせんふくち)では、(きつね)()れが幾重(いくえ)にも(かさ)なる軍陣(ぐんじん)()み、蕩魂山(とうこんざん)(すき)ないほど包囲(ほうい)していた。


方源(ほうげん)両手(りょうて)背中(せなか)()み、山頂(さんちょう)(そび)()って (そら)(あお)()ていた。その(かお)には 深刻(しんこく)緊張感(きんちょうかん)()かんでいた。


(とき)(しず)かに(なが)れ、今日(きょう)こそ 第六次地災(だいろくじちさい)(おとず)れる()であった!


(たと)五百年(ごひゃくねん)前世(ぜんせ)()ち、蛊仙(こせん)としての経験(けいけん)がある方源(ほうげん)といえども、地災(ちさい)直面(ちょくめん)して (こころ)平静(へいせい)(たも)つことは(むずか)しかった。


地災(ちさい)は その(たび)強大(きょうだい)さを()していく。福地(ふくち)蛊仙(こせん)にとって 生死(せいし)()ける 過酷(かこく)試練(しれん)なのである。方源(ほうげん)福地(ふくち)掌握(しょうあく)した(とき)(のこ)されていた時間(じかん)は わずか一年三ヶ(いちねんさんかげつ)しかなかった。


この時間(じかん)(じつ)(みじか)すぎた。(かれ)出来(でき)るだけ準備(じゅんび)(ととの)えたのは、運河(うんが)開削(かいさく)(みず)()調和(ちょうわ)させることが第一(だいいち)(きつね)()れを育成(いくせい)(おお)きく繁殖(はんしょく)させることが第二(だいに)()(みち)として 「定仙游蛊(ていせんゆうこ)」を(のこ)しておき、随時(ずいじ)撤退(てったい)できるようにすることが第三(だいさん)であった。


(そら)一面(いちめん)(ひろ)がる雲海(うんかい)西部(せいぶ)(ひそ)む あの「魅蓝电影(メイランディアンイン)」に対しては、(まった)(ちから)(およ)ばなかった。


微風(びふう)次第(しだい)()み、(とお)くの(そら)では 雲海(うんかい)渦巻(うずま)き、(ひと)つの(ひかり)熟成(じゅくせい)しつつあった。


()る」方源(ほうげん)(ひとみ)(ほそ)め、(しず)かに(つぶや)いた。


雲海(うんかい)(なか)で、その(ひかり)突然(とつぜん)爆発(ばくはつ)し、雄大(ゆうだい)(しろ)(ひかり)円門(えんもん)形成(けいせい)した。それは広大(こうだい)福地(ふくち)真正面(ましょうめん)見据(みす)えていた。


(ひかり)(もん)(まぶ)しいほど(かがや)き、巨大(きょだい)怪物(かいぶつ)黄褐色(おうかっしょく)(からだ)で、さながら巨大(きょだい)(いわ)のように (ひかり)(もん)から ゆっくりと(くだ)()った。


「この様子(ようす)では 荒獣災害(こうじゅうさいがい)か!?」方源(ほうげん)両目(りょうめ)(ほそ)め、一瞬(いっしゅん)見逃(みのが)すまいと凝視(ぎょうし)した。


巨大(きょだい)(いわ)()()なく()(そそ)ぎ、物音(ものおと)一つ(ひとつ)立てない。


方源(ほうげん)(おも)わず(かわ)いた(くちびる)(ねぶ)ったが、(こころ)(ひや)やかに(しず)んでいった。


地災(ちさい)には無数(むすう)種類(しゅるい)がある。(なか)には 荒獣(こうじゅう)災害(さいがい)()すものも存在(そんざい)する。


福地(ふくち)(なか)一頭(いっとう)あるいは複数(ふくすう)荒獣(こうじゅう)出現(しゅつげん)し、(とも)福地中枢(ふくちちゅうすう)襲撃(しゅうげき)福地(ふくち)(なか)大暴(おおあば)れし、(おも)存分(ぞんぶん)破壊(はかい)()(ひろ)げるのだ。


もし 即座(そくざ)に これらを討滅(とうめつ)しなければ、どれほど広大(こうだい)福地(ふくち)でも (かれ)らに破壊(はかい)され (ほろ)びてしまうだろう。


「ちくしょう、まさか荒獣(こうじゅう)だとは。どうかこの荒獣(こうじゅう)(からだ)仙蛊(せんこ)寄生(きせい)していませんように!」方源(ほうげん)(こころ)のなかで(おも)わず(のろ)った。


荒獣(こうじゅう)がもし仙蛊(せんこ)宿(やど)していたら、その戦闘力(せんとうりょく)普通(ふつう)蛊仙(こせん)凌駕(りょうが)する!この神秘(しんぴ)的な荒獣(こうじゅう)は、その体躯(たいく)にまったく見合(みあ)わない(かろ)やかな(いきお)いで地面(じめん)()()った。


(とお)くから()ると、それは一枚(いちまい)巨岩(きょがん)のようで、やや扁平(へんぺい)だった。


しかし方源(ほうげん)映像(えいぞう)(つう)じて間近(まぢか)観察(かんさつ)すると、この巨岩(きょがん)(じつ)黄褐色(おうかっしょく)甲羅(こうら)であり、金属(きんぞく)光沢(こうたく)(はな)っていることに()づいた。甲羅(こうら)(うえ)には、分厚(ぶあつ)(どろ)(まと)わりついていた。


ちょうど方源(ほうげん)が「こいつは一体(いったい)(なん)(やつ)だ?」と推測(すいそく)しているとき、一対(いっつい)巨大(きょだい)なはさみ(あし)が、鋼鉄(こうてつ)のハサミのように、その四角(しかく)甲羅(こうら)から()びてきた。


(つづ)いて、十八本(じゅうはっぽん)細長(ほそなが)いはさみ(あし)が、両側(りょうがわ)からそれぞれ()()し、地面(じめん)()くと、(かろ)々(が)とその(おも)(からだ)(たか)()()げ、地面(じめん)から(はな)した。


「デイヅァオシエ(泥沼蟹(でいしょうかに))!」この姿(すがた)()て、方源(ほうげん)(くち)から()たように(さけ)び、この荒獣(こうじゅう)正体(しょうたい)見抜(みぬ)いた。


これは巨大(きょだい)(かに)で、(やま)のような雄大(ゆうだい)体躯(たいく)をしている。(からだ)()()げると、その(たか)さは蕩魂山(とうこんざん)の四分の(よんぶんのいち)(たっ)する。


その第一(だいいち)のはさみ(あし)鋼鉄(こうてつ)のハサミよりも(おそ)ろしく、(かる)(はさ)むだけで(やま)(いわ)()()り、蛟竜(こうりょう)(せん)(だん)できる!


(のこ)りの十八本(じゅうはっぽん)のはさみ(あし)は、第一(だいいち)一対(いっつい)よりは細長(ほそなが)華奢(きゃしゃ)だが、(じつ)百年(ひゃくねん)古木(こぼく)よりも(ふと)(つよ)(そう)である。


その(からだ)には大量(たいりょう)蛊虫(こちゅう)寄生(きせい)しており、多くは(みず)(つち)二系統(にけいとう)()である。(とき)には、まるで(ひと)つの蛊群(こぐん)全体(ぜんたい)寄生(きせい)していることもある。


(さいわ)いにして狐仙福地(こせんふくち)には仙元(せんげん)充満(じゅうまん)している!」方源(ほうげん)()()いしばり、心中(しんちゅう)(すこ)しばかり安堵(あんど)した。


泥沼蟹(でいしょうかに)(あら)われた直後(ちょくご)地霊(ちれい)はすぐに(うご)き、天地(てんち)偉力(いりょく)(くわ)えて、その(からだ)(じゅう)蛊虫(こちゅう)をすべて(きん)(じょう)した。


一転(いってん)()であれ五転(ごてん)()であれ、その威能(いのう)発揮(はっき)することはできない。


問題(もんだい)(かぎ)は、この荒獣(こうじゅう)(からだ)仙蛊(せんこ)宿(やど)っているかどうかである。もしこの泥沼蟹(でいしょうかに)仙蛊(せんこ)()っているなら、さらに どのような仙蛊(せんこ)なのかを見極(みきわ)めなければならない。


仙蛊(せんこ)唯一無二(ゆいいつむに)で、俗世(ぞくせ)超越(ちょうえつ)しているため、福地(ふくち)では到底(とうてい)(きん)(じょう)することはできない。


仙蛊(せんこ)こそが、大局(たいきょく)左右(さゆう)する (かぎ)となる要素(ようそ)なのである!


泥沼蟹(でいしょうかに)(あし)完全(かんぜん)()ばし()えると、ゆっくりと(からだ)(うご)かし(はじ)め、蕩魂山(とうこんざん)へと直進(ちょくしん)した。


方源(ほうげん)瞬時(しゅんじ)思案(しあん)(めぐ)らせた。大群(たいぐん)(きつね)たちが、(やま)()()(あふ)れ、まるで(しお)のようになだれ込み、荒獣(こうじゅう)へと()()せた。たちまち、それらは泥沼蟹(でいしょうかに)包囲(ほうい)した。


(きば)(つめ)泥沼蟹(でいしょうかに)のはさみ(あし)()みつき、(からだ)頑丈(がんじょう)金狐(きんぎつね)体当(たいあ)たりしてくる。


しかし泥沼蟹(でいしょうかに)桁外(けたはず)れに巨大(きょだい)で、まさに超巨大(ちょうきょだい)生物(せいぶつ)であり、()まることなく前進(ぜんしん)(つづ)ける。普通(ふつう)(きつね)()れには阻止(そし)できず、むしろ()(つぶ)されて肉塊(にくかい)()してしまう。


方源(ほうげん)冷徹(れいてつ)表情(ひょうじょう)で、相変(あいか)わらず(きつね)たちに()覚悟(かくご)して突撃(とつげき)するよう指揮(しき)(つづ)けた。


(かれ)がこれほどまでに繁殖(はんしょく)させたのは、犠牲(ぎせい)にするためだった。ダメージは 少しずつ()(かさ)ねていくものだ。(いま)この(とき)、たとえほんの少しでも 魂獣(こんじゅう)前進(ぜんしん)(はば)むことができれば それで()いのだ。


しかし泥沼蟹(でいしょうかに)は、圧倒的(あっとうてき)(いきお)いでゆっくりと(すす)み、微動(びどう)だにしない。あたかも (やま)(ある)いているかのようで、足下(あしもと)(きつね)()れには 一切(いっさい)(かま)わなかった。


(いろ)とりどりの攻撃(こうげき)(なみ)が、泥沼蟹(でいしょうかに)(からだ)にぶつかる。さながら無数(むすう)(あざ)やかな花火(はなび)炸裂(さくれつ)するかのようだ。


これは狐群(きつねむれ)(なか)百獣王(ひゃくじゅうおう)千獣王(せんじゅうおう)万獣王(ばんじゅうおう)(ちから)発揮(はっき)しているのだ。(かれ)らの(からだ)には、数多(あまた)蛊虫(こちゅう)寄生(きせい)している。


()れを()()(ちから)によって、泥沼蟹(でいしょうかに)(からだ)(おお)(あつ)(どろ)は、ことごとく()()とされた。


この巨大(きょだい)荒獣(こうじゅう)は、有史以来(ゆうしいらい)、ついに一瞬(いっしゅん)停頓(ていとん)をみせた。


すると突然(とつぜん)口器(こうき)(ひら)き、大量(たいりょう)泥沼(でいしょう)()()した。同時(どうじ)腹部(ふくぶ)には、無数(むすう)(ちい)さな水門(すいもん)()いたかのように、黄色(きいろ)(どろ)がどっと()()し、まるで黄泥(おうでい)瀑布(ばくふ)のようであった。


泥沼(でいしょう)草地(くさち)()ちるやいなや、瞬時(しゅんじ)広大(こうだい)沼地(ぬまち)形成(けいせい)した。


黄色(きいろ)(どろ)(なか)から、一匹(いっぴき)また一匹(いっぴき)風変(ふうが)わりな(かたち)(かに)が立ち(たちあ)がった。あるものは(からだ)巨大(きょだい)で、猛虎(もうこ)のような(いきお)いがある。あるものは(はさみ)(するど)く、(はがね)(はり)のようだ。あるものは(あし)八本(はっぽん)あり、もの(すご)(はや)さで(うご)く。


(またた)()に、百万(ひゃくまん)もの 蟹軍(かにぐん)形成(けいせい)された。


「やはり、泥沼蟹(でいしょうかに)だ! こいつはいつでもどこでも 単為生殖(たんいせいしょく)でき、無数(むすう)子蟹(こがに)()んで 大軍(たいぐん)形成(けいせい)する」方源(ほうげん)表情(ひょうじょう)一層(いっそう)(けわ)しくなった。


(きつね)()れと(かに)(ぐん)激突(げきとつ)し、(はげ)しく()(みだ)れて(たたか)った。


(きつね)大幅(おおはば)()(つづ)け、甚大(じんだい)被害(ひがい)(こうむ)った。蟹軍(かにぐん)死傷者(ししょうしゃ)(きつね)()れよりも数倍(すうばい)(おお)かったが、荒獣(こうじゅう)()()なく生産(せいさん)(つづ)けるため、膨大(ぼうだい)な数の(かに)途切(とぎ)れることなく()()てきた。


方源(ほうげん)(いそ)いで、(やま)(そと)潜伏(せんぷく)させていた(きつね)()れを すべて()()せた。


(さいわ)い、発情蛊(はつじょうこ)使(つか)()って (きつね)大量(たいりょう)繁殖(はんしょく)させておいた。でなければ 戦力(せんりょく)絶対(ぜったい)()りなかっただろう!」


この(みじか)時間(じかん)(あいだ)に、方源(ほうげん)目眩(めまい)(かん)じた。(かれ)指揮(しき)する(きつね)()れの(かず)は、(じつ)膨大(ぼうだい)だった。たとえ(かれ)魂魄(こんぱく)普通(ふつう)人間(にんげん)六倍(ろくばい)であっても、()()れるものではなかった。


蟹軍(かにぐん)(みち)(ひら)くにつれて、泥沼蟹(でいしょうかに)前進(ぜんしん)(つづ)け、以前(いぜん)速度(そくど)回復(かいふく)した。


その(からだ)両側(りょうがわ)から()びる鋏足(はさみあし)は、交互(こうご)地面(じめん)()みしめ、あたかも(きょく)()するかのように、優雅(ゆうが)なリズムを(きざ)んでいた。


しかしその足元(あしもと)は、惨烈(さんれつ)戦場(せんじょう)()していた。()(かわ)(なが)れ、(しかばね)()(かさ)なり、一寸(いっすん)土地(とち)ごとに()()まっていた。


泥沼蟹(でいしょうかに)敵味方(てきみかた)区別(くべつ)なく、一本(いっぽん)鋏足(はさみあし)()()ろされる(たび)に、(むご)たらしい()のしぶきが()()した。鋏足(はさみあし)()がる(とき)地面(じめん)(のこ)された(ふか)(くぼ)みには、(きつね)(かわ)(にく)のペースト、そして(かに)(くだ)けた甲羅(こうら)(だん)()()まっていた。


この荒獣(こうじゅう)体格(たいかく)は、(じつ)巨大(きょだい)雄大(ゆうだい)であった。率直(そっちょく)()って、その前進速度(ぜんしんそくど)(けっ)して(はや)くはなかった。


しかし、それ(ゆえ)にこそ、それは(ひと)巨大(きょだい)精神的圧力(せいしんてきあつりょく)(あた)えた。その姿(すがた)()()せてくるのを()ていると、方源(ほうげん)()断頭台(だんとうだい)(みずか)(くび)()かっているのを(かん)じたようだった。


(にく)らしい!」方源(ほうげん)()()いしばった。


眼前(がんぜん)のこの荒獣(こうじゅう)は、泥沼(でいしょう)帝王(ていおう)であった。その(からだ)全体(ぜんたい)甲羅(こうら)(おお)われ、(つね)泥沼(でいしょう)(ふか)くに(ひそ)み、()さえ完全(かんぜん)退化(たいか)しており、(よわ)みらしきものは 一片(いっぺん)存在(そんざい)しなかった。


方源(ほうげん)(きつね)()れを動員(どういん)し、必死(ひっし)(はば)もうとしたが、すべて無駄(むだ)だった。


(かれ)はただ、茫然(ぼうぜん)()つめることしかできなかった——泥沼蟹(でいしょうかに)(こく)一刻(いっこく)接近(せっきん)してくるのを!


「あの巨大(きょだい)(かに)転送(てんそう)できるか?」方源(ほうげん)突然(とつぜん)()()き、地霊(ちれい)小狐仙(ここせん)(たず)ねた。


蛊仙(こせん)によって(こと)なり、福地(ふくち)によって(ちが)うように、地霊(ちれい)能力(のうりょく)もそれぞれ(こと)なる。転送能力(てんそうのうりょく)を持つ地霊(ちれい)もいれば——(たと)えば三王福地(さんおうふくち)の あの霸亀(はき)のように——(まった)()たない地霊(ちれい)もいる。(かぜ)()(あめ)()らせる地霊(ちれい)もいれば、時間(じかん)(なが)れを自由(じゆう)(あやつ)れる地霊(ちれい)もいる。


(ため)してみる」小狐仙(ここせん)(いき)()まらせ、巨大(きょだい)なプレッシャーを(かん)じながら、仙元(せんげん)()()て、(ちから)(かぎ)りを()くした。可愛(かわい)らしい(ちい)さな(かお)は、必死(ひっし)努力(どりょく)()()になっていた。


「うぅぅ〜〜!」彼女(かのじょ)乳臭(ちくさい)(かん)(だか)(こえ)気合(きあ)いを()れた。


サッという(かる)やかな(おと)(とも)に、巨大(きょだい)泥沼蟹(でいしょうかに)(もと)場所(ばしょ)から()え、九千歩(きゅうせんぽ)(さき)転送(てんそう)された。


成功(せいこう)した!」小狐仙(ここせん)(かお)(あか)らめ、(いき)()らしながら(うめ)いた。


方源(ほうげん)安堵(あんど)(いき)をついた。


「ご、ご主人様(しゅじんさま)……たった(いま)青提仙元(せいていせんげん)を 丸々(まるまる)一個(いっこ)消費(しょうひ)してしまいました」小狐仙(ここせん)(むね)(いた)む思いで報告(ほうこく)した。


(かま)わん」方源(ほうげん)(つめ)たい表情(ひょうじょう)のまま、(ふたた)無数(むすう)(きつね)動員(どういん)し、泥沼蟹(でいしょうかに)()けて突撃(とつげき)(つづ)けさせた。ほんの(みじか)時間(じかん)のうちに、泥沼蟹(でいしょうかに)(ふたた)眼前(がんぜん)まで殺到(さっとう)してきた。地霊(ちれい)は やむなく(まえ)と同じ()使(つか)い、再び(ふたたび)それを転送(てんそう)した。


また 青提仙元(せいていせんげん)一個(いっこ)(うしな)われた。


小狐仙(ここせん)(むね)()()けるほど(いた)み、方源(ほうげん)(こころ)()(したた)る思いだった。


狐仙福地(こせんふくち)(なか)にある 青提仙元(せいていせんげん)は、すべてで七十八個(ななじゅうはちこ)しかない。方源(ほうげん)一顆(いっか)使(つか)って 定仙游蛊(ていせんゆうこ)飼育(しいく)し、(いま)さらに二顆(にか)(つい)やして 泥沼蟹(でいしょうかに)転送(てんそう)したのだった。


(かれ)将来(しょうらい)、この仙元(せんげん)()錬成(れんせい)に、そして福地全体(ふくちぜんたい)経営(けいえい)使(つか)わなければならない。


仙元(せんげん)使(つか)うべき場所(ばしょ)(おお)いが、狐仙(こせん)(すで)()んでしまったため、これらの青提仙元(せいていせんげん)水源(すいげん)のない(みず)のようなものだ。使(つか)えば使(つか)うほど()っていく一方(いっぽう)で、補充(ほじゅう)することはできない。


何匹(なんびき)かの(かに)が、防御(ぼうぎょ)手薄(てうす)方向(ほうこう)から 突破(とっぱ)して(やま)()()がってきた。


方源(ほうげん)(ひや)やかに(はな)(わら)い、()ぐに地霊(ちれい)命令(めいれい)して、蕩魂山(とうこんざん)一部(いちぶ)威能(いのう)解放(かいほう)させた。


たちまち、蟹軍(かにぐん)(すす)んでいた地域(ちいき)()領域(りょういき)()した。無数(むすう)(かに)瞬時(しゅんじ)死亡(しぼう)し、(からだ)無傷(むきず)地面(じめん)(よこ)たわりながらも、魂魄(こんぱく)は粉々(こなごな)に(くだ)()っていた。その光景(こうけい)は 非常に(ひじょうに)不気味(ぶきみ)だった。


残念(ざんねん)ながら、蕩魂山(とうこんざん)(ちから)魂魄(こんぱく)に対する持続的(じぞくてき)殺傷力(さっしょうりょく)だ。荒獣(こうじゅう)魂魄(こんぱく)強力(きょうりょく)だから、しばらくの(あいだ)()えられる。絶対(ぜったい)蕩魂山(とうこんざん)到達(とうたつ)させてはならない。この貴重(きちょう)唯一無二(ゆいいつむに)秘禁(ひきん)()破壊(はかい)させるわけにはいかない!」


方源(ほうげん)(みずか)(たたか)いに参加(さんか)しなかった。


たとえ(かれ)が あの力蛊(りきこ)一揃(ひとそろ)いを使(つか)ったとしても、その殺傷力(さっしょうりょく)では 泥沼蟹(でいしょうかに)甲羅(こうら)(やぶ)るには 不十分(ふじゅうぶん)だった。


さらに重要(じゅうよう)なのは、泥沼蟹(でいしょうかに)が まだ仙蛊(せんこ)使(つか)っていないことだ。方源(ほうげん)にも、()たして それが仙蛊(せんこ)()っているのかどうか ()からなかった。


未知(みち)であること自体(じたい)が、強烈(きょうれつ)威圧感(いあつかん)となり、方源(ほうげん)軽率(けいそつ)行動(こうどう)(ひか)えさせた。


こうして、泥沼蟹(でいしょうかに)(ふたた)()()んできた。三度目(さんどめ)転送(てんそう)されようとしたその瞬間(しゅんかん)小狐仙(ここせん)表情(ひょうじょう)突然(とつぜん)激変(げきへん)した。


方源(ほうげん)反応(はんのう)する()もなく、彼女(かのじょ)咄嗟(とっさ)()()ばし、方源(ほうげん)(うで)(つか)むと、二人(ふたり)はその()から 瞬時(しゅんじ)()()った。


その直後(ちょくご)凶悪(きょうあく)霹靂(へきれき)電光(でんこう)が、(かれ)らが さっきまで()っていた場所(ばしょ)(はげ)しく()(つらぬ)いた。


ドーン!


爆音(ばくおん)(とどろ)き、山岩(さんがん)()()った。


電光(でんこう)一瞬(いっしゅん)()まり、猛然(もうぜん)反転(はんてん)して上空(じょうくう)()()がった。それは 人型(ひとがた)稲妻(いなずま)()し、(せい)(れい)(さけ)(ごえ)(はっ)した。


この襲撃(しゅうげき)黒幕(くろまく)こそ、あの「魅蓝电影(メイランディアンイン)」であった!











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