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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第九節:上位者の良心

岩勇(がんゆう)荡魂行宫(とうこんあんぐう)から(ころ)がり()て、(いく)つもの()がりくねった薄暗(うすくら)密道(みつどう)(とお)()け、ようやく荡魂山(とうこんざん)にたどり()いた。


この桃色(ももいろ)水晶(すいしょう)(やま)()て、岩勇(がんゆう)安堵(あんど)(いき)をついた。方源(ほうげん)から(とお)ざかるにつれ、(こころ)重荷(おもに)恐怖(きょうふ)(おお)きく(やわ)らいだ。


(やま)をしばらく(ある)(まわ)った(あと)(かれ)はようやく仲間(なかま)たちに発見(はっけん)された。


「ああ!偉大(いだい)なる族長(ぞくちょう)よ!(とうと)地子(ちし)よ!我々(われわれ)の英雄(えいゆう)よ!あなたはここにおられたのですね!」何人(なんにん)かの石人(いしひと)即座(そくざ)歓呼(かんこ)した。


「どうかあなたの足指(あしゆび)口付(くちづ)けさせてください。あなたへの崇拝(すうはい)(あかし)として」何人(なんにん)かは地面(じめん)(ひざまず)いた。


地子(ちし)よ、地子(ちし)よ!あなたの勇気(ゆうき)(てん)よりも(たか)く、あなたの度胸(どきょう)()よりも(あつ)い」(ちい)さな石人(いしひと)たちが()れを()して、(みち)両側(りょうがわ)(なら)歓呼(かんこ)した。


岩勇(がんゆう)(わら)っていた。(だれ)(かれ)心中(しんちゅう)(にが)さを()(もの)はなかった。


(みみ)(おく)(ひび)歓呼(かんこ)(こえ)は、とても(にぎ)やかで、大勢(おおぜい)仲間(なかま)たちが()()せてくるのに、(かれ)(まえ)代未聞(みもん)孤独(こどく)(かん)じていた。


(かれ)(まわ)りの仲間(なかま)たちを()つめた。この笑顔(えがお)(あふ)れる石人(いしひと)たちは、三ヶ月後(さんかげつご)にはおそらく全員(ぜんいん)()んでしまうだろう。運河(うんが)開削(かいさく)過労(かろう)で。しかし、自分(じぶん)一体(いったい)(なに)ができるというのか?


他の石人(いしひと)たちから()れば、荡魂山(とうこんざん)での勝利(しょうり)はなんと偉大(いだい)で、なんと賛美(さんび)(あたい)することだろう。しかし(かれ)だけが()っている。これはあの仙人(せんにん)(うら)(あやつ)った(たん)なるゲームに()ぎないということを。


この残酷(ざんこく)(つめ)たい真実(しんじつ)は、(かれ)(いた)いほど(さと)らせた。あの石人(いしひと)たちの犠牲(ぎせい)も、これらの困難(こんなん)()()えた(かがや)かしい勝利(しょうり)も、すべてがなんと色褪(いろあ)(あさ)はかで、なんと(わら)えぬほど無力(むりょく)なものであったかを。


(かれ)仲間(なかま)たちを(ひき)いて()()勝利(しょうり)(おお)ければ(おお)いほど、(かれ)方源(ほうげん)への恐怖(きょうふ)(ふか)まる一方(いっぽう)だった。


「あの仙人(せんにん)悪魔(あくま)だ!(かれ)心臓(しんぞう)は我々(われわれ)石人(いしひと)(こころ)よりも(つめ)たく、その(ちから)山脈(さんみゃく)よりも広大(こうだい)だ。私はこれほど弱小(じゃくしょう)で、どうすることもできない。反抗(はんこう)すれば()ぬだけだ。私は臆病(おくびょう)だと(みと)めよう。本当(ほんとう)()ぬのが(こわ)い。まだ(ねむ)()りていない。まだ百八十歳(ひゃくはちじゅっさい)にしかなっていないのだから」


岩勇(がんゆう)方源(ほうげん)姿(すがた)(おも)()かべるだけで、(こころ)恐怖(きょうふ)()たされた。


(かれ)のまだ()()せていない良心(りょうしん)が、(かれ)(くる)しめつづけた。


(かれ)()っていた――(みずか)らの()で、ほぼ(すべ)ての(ぞく)(もの)たちを()()いやろうとしているのだと。(かれ)良心(りょうしん)呵責(かしゃく)(さいな)まれ、(ぞく)(もの)たちの()言葉(ことば)一語一語(いちごいちご)(むち)のように、(かれ)(こころ)()ち、(きず)だらけにしていった。


(とうと)地子(ちし)よ、敬愛(けいあい)する族長(ぞくちょう)よ、ついにお(かえ)りになりました!(みな)、あなたを()()びておりました」石人(いしひと)たちは(みち)()け、岩勇(がんゆう)高台(たかだい)(さえぎ)るものなく(のぼ)って()けるようにした。


()(ぞく)(もの)たちよ、この三日間(みっかかん)で、我々(われわれ)の族群(みぶね)何倍(なんばい)にも壮大(そうだい)となった!我々(われわれ)の遠征(えんせい)(かがや)かしい成果(せいか)(おさ)めた。しかし、このような勝利(しょうり)では、まだ十分(じゅうぶん)とは()えない。あなたがたは(わたし)とともに、(ある)みを(つづ)け、(かがや)かしい明日(あした)へと(すす)んでいきたいか?」岩勇(がんゆう)高見(たかみ)から見下(みお)ろすように、(こえ)()()げて()いかけた。


石人(いしひと)たちは(こえ)(かぎ)歓呼(かんこ)し、岩勇(がんゆう)への百二十分(ひゃくにじゅうぶん)支持(しじ)(あらわ)した。


岩勇(がんゆう)(かる)(うなず)いた。このような光景(こうけい)は、予想(よそう)範囲内(はんいない)だった。


石人(いしひと)(なか)にも、反抗的(はんこうてき)(もの)知恵(ちえ)のある古参(こさん)石人(いしひと)がいないわけではなかった。しかし、幾多(いくた)激戦(げきせん)の中で、(かれ)らはすでに「壮烈(そうれつ)」に()っていた。


(いま)(のこ)っている石人(いしひと)大半(たいはん)は、()まれたばかりの小石人(こいしひと)で、考え(かんがえ)が単純(たんじゅん)である。そして、古参(こさん)石人(いしひと)たちは、ほとんどが岩勇(がんゆう)熱烈(ねつれつ)支持者(しじしゃ)、あるいは熱狂的(ねっきょうてき)崇拝者(すうはいしゃ)なのである。


岩勇(がんゆう)辛抱強(しんぼうづよ)歓呼(かんこ)(こえ)(おさ)まるのを()ち、それから(くち)(ひら)いた。「この三日間(みっかかん)(わたし)人気(ひとけ)のない場所(ばしょ)思考(しこう)(めぐ)らせていました――どうすれば()げた仙人(せんにん)(たい)(しょ)できるのか、と。仙人(せんにん)仙元(せんげん)()にしているからこそ、妖狐(ようこ)大軍(たいぐん)()()て、(おそ)るべき戦闘力(せんとうりょく)発揮(はっき)できるのです。(かれ)間違(まちが)いなく北部(ほくぶ)水沢(すいたく)か、東部(とうぶ)火坑(かこう)退(しりぞ)いて(いき)(ととの)えているでしょう。我々(われわれ)は(かれ)回復(かいふく)するのを野放(のばな)しにしておくわけにはいきません」


地子様(ちしさま)、その(とお)りです!」


地子様(ちしさま)(なん)賢明(けんめい)なんでしょう!あの()まわしい仙人(せんにん)仙元(せんげん)(たくわ)えるのを放任(ほうにん)してはなりません!」


「あの(のろ)うべき悪魔(あくま)実力(じつりょく)回復(かいふく)したら、間違(まちが)いなくまた我々(われわれ)石人(いしひと)難癖(なんくせ)をつけてくるでしょう!」


「しかし我々(われわれ)はどうすればよいのでしょう?水沢(すいたく)火坑(かこう)も、とても危険(きけん)場所(ばしょ)です。我々(われわれ)石人(いしひと)でさえ、(なが)(とど)まることはできません。それに、この(ふた)つの場所(ばしょ)はとても広大(こうだい)で、仙人(せんにん)がどこへ()げたかなんて、(だれ)にも()かりません!」


石人(いしひと)たちは口々(くちぐち)に 議論(ぎろん)()わし、(さわ)()てた。


岩勇(がんゆう)(みな)議論(ぎろん)(さえぎ)り、(こえ)()()げて(さけ)んだ。「だからこそ、(わたし)唯一(ゆいいつ)方法(ほうほう)(おも)いついたのだ。我々(われわれ)は(つち)水沢(すいたく)火坑(かこう)両方(りょうほう)()()くす。そうすれば、あの仙人(せんにん)仙元(せんげん)回復(かいふく)できなくなる!」


「ああっ、なんて狂気(きょうき)じみた考えなんだ!」すぐに、石人(いしひと)一人(ひとり)(おどろ)きの(こえ)()げた。


(とうと)地子様(ちしさま)水沢(すいたく)広大(こうだい)で、気力(きりょく)をくじかれるほどです。火坑(かこう)には致命(ちめい)的な炎熱(えんねつ)があります。どうやって(つち)でこれらを()()くせというのでしょうか?不可能(ふかのう)なことです」ある老石人(おいしいと)反論(はんろん)した。


岩勇(がんゆう)(ふか)くその老石人(おいしいと)一瞥(いちべつ)し、(こころ)(きざ)みつけた。


この石人(いしひと)がよくも自分(じぶん)反論(はんろん)できたということは、自分(じぶん)への崇拝(すうはい)()りない証拠(しょうこ)だ。将来(しょうらい)(かれ)には最も過酷(もっともかこく)仕事(しごと)()()て、過労死(かろうし)させてやろう。


その(とき)、また(べつ)老石人(おいしいと)(くち)(ひら)いた。「我々(われわれ)は蛮行(ばんこう)すべきではない。(ひと)思案(しあん)がある。おそらく大運河(だいうんが)開削(かいさく)し、大水(おおみず)火坑(かこう)に引き()れることができるだろう。(みず)()(ちから)(たが)いに相殺(そうさい)する。そうすれば、はるかに手間(てま)(はぶ)ける」


岩勇(がんゆう)殺意(さつい)はさらに(つよ)まった。


この老石人(おいしいと)は非常に知恵(ちえ)がある。(まえ)反論(はんろん)した老石人(おいしいと)よりも、はるかに脅威(きょうい)となる存在(そんざい)だ。


(かれ)即座(そくざ)(こころ)の中で()めた。将来(しょうらい)、この老石人(おいしいと)には防衛任務(ぼうえいにんむ)()()てよう。妖狐(ようこ)大軍(たいぐん)(かれ)(ころ)させ、この(わざわ)いを一日(いちにち)(はや)(のぞ)いてしまおうと!


岩勇(がんゆう)はさめてこの老石人(おいしいと)一言(ひとこと)()めると、(こえ)()()げて(さけ)んだ。「(わたし)提案(ていあん)はこれだ!我々(われわれ)は大至急(だいしきゅう)大運河(だいうんが)開削(かいさく)し、大水(おおみず)(そそ)ぎ、大火事(おおかじ)(しず)め、仙人(せんにん)仙元(せんげん)(たくわ)える場所(ばしょ)(うば)わなければならない!(じつ)は、白石(しろいし)老族長(ろうぞくちょう)()くなる(まえ)に、(わたし)にこう(おし)えてくれた。北部(ほくぶ)大水(おおみず)東部(とうぶ)大火事(おおかじ)も、あの邪悪(じゃあく)(おとこ)仙人(せんにん)()()こしたものだ、と。それらは(かれ)(ちから)(みなもと)なのだ。丁度(ちょうど)我々(われわれ)石人(いしひと)(つち)()うのと(おな)じように」


「なんと、白石(しろいし)老族長(ろうぞくちょう)はとっくに予見(よけん)していたのですね」


白石(しろいし)老族長(ろうぞくちょう)は、さすが我々(われわれ)石人(いしひと)賢者(けんじゃ)です」


白石(しろいし)老族長(ろうぞくちょう)九百九十八歳(きゅうひゃくきゅうじゅうはっさい)()きておられたのですから、()っておられることも当然(とうぜん)(おお)いでしょう」


石人(いしひと)たちは一様(いちよう)(うなず)き、白石(しろいし)老族長(ろうぞくちょう)称賛(しょうさん)するとともに、その()()しみ、()やんだ。


石人(いしひと)(つね)(ねむ)っているため、(たが)いの交流(こうりゅう)(まれ)である。この距離感(きょりかん)神秘性(しんぴせい)が、()白石(しろいし)老族長(ろうぞくちょう)知恵(ちえ)一層(いっそう)(はか)()れないものに(おも)わせた。


地球(ちきゅう)言葉(ことば)()えば、もし白石(しろいし)老族長(ろうぞくちょう)黄泉(よみ)(した)でこの(はなし)()いたら、()(くる)って棺桶(かんおけ)から()()してくるかもしれない。


しかし残念(ざんねん)なことに、(かれ)方源(ほうげん)によって完全(かんぜん)(ころ)され、魂魄(こんぱく)すら(ゆる)されず、方源(ほうげん)によって荡魂山(とうこんざん)()かれ、(はげ)しい衝撃(しょうげき)崩壊(ほうかい)した。その精粋(せいすい)(やま)()ち、(ひと)つの胆石(たんせき)形作(かたちづく)った。


この胆石(たんせき)はその()、どの石人(いしひと)によって(くだ)かれたのか()からない。あるいは方源(ほうげん)本人(ほんにん)仕業(しわざ)かもしれない。


しばらく議論(ぎろん)した(あと)石人(いしひと)たちは意見(いけん)統一(とういつ)し、岩勇(がんゆう)族長(ぞくちょう)指導(しどう)のもとで運河(うんが)開削(かいさく)し、(みず)()貫通(かんつう)することに同意(どうい)した。


方源(ほうげん)裏方(うらがた)()()み、すべてを()(とど)けていた。大勢(たいせい)()したのを()て、小狐仙(ここせん)命令(めいれい)(くだ)した。


地霊(ちれい)(とき)(のが)さず荡魂山(とうこんざん)威能(いのう)(かす)かに解放(かいほう)し、石人(いしひと)たちは即座(そくざ)魂魄(こんぱく)震動(しんどう)(かん)じ、目眩(めまい)()()(おそ)われた。(おお)くの小石人(こいしひと)たちはその()気絶(きぜつ)した。


不味(まず)い、(いそ)いで()()よう。荡魂山(とうこんざん)(あば)()そうとしている!」岩勇(がんゆう)一言(ひとこと)で、(ぞく)(もの)たちは(なん)なく荡魂山(とうこんざん)(くだ)った。


(かれ)らは(もと)()みかには(もど)らず、直接(ちょくせつ)東北(とうほく)へと ()かい、道中(どうちゅう)浩浩蕩蕩(こうこうとうとう)であった。


荡魂行宫(とうこんあんぐう)で、方源(ほうげん)()()がり変幻自在(へんげんじざい)する(けむり)(かげ)(つう)じて、(とお)ざかる石人(いしひと)たちの後姿(うしろすがた)見送(みおく)り、臉上(がんじょう)表情(ひょうじょう)には(かな)しみも(よろこ)びもなかった。


「ご主人様(しゅじんさま)石人(いしひと)(こと)(つた)えを()いたことがありますか?」小狐仙(ここせん)()不安(ふあん)そうに ()らしながら、婉曲(えんきょく)口調(くちょう)(たず)ねた。


方源(ほうげん)(かる)(わら)った。「(きみ)(わたし)に、石人(いしひと)には懐柔策(かいじゅうさく)使(つか)うべきだと(すす)めたいのか?」


「ご主人様(しゅじんさま)本当(ほんとう)にお (かしこ)いですね」小狐仙(ここせん)は大きな()(かがや)かせた。


「ふん。どうやら(きみ)はまだ理解(りかい)()りないようだ。多くの場合(ばあい)信仰(しんこう)(にく)しみと恐怖(きょうふ)(ちから)は、感謝(かんしゃ)よりもはるかに大きいのだよ」


かつて方源(ほうげん)(ひと)つの石人部族(いしひとぶぞく)存在(そんざい)()った(とき)(かれ)(おお)きく(よろこ)んだ。


石人(いしひと)地中(ちちゅう)()み、(つち)()らい、掘削(くっさく)得意(とくい)とする。大規模(だいきぼ)石人族(いしひとぞく)ならば、地底深(ちていふか)くに巨大(きょだい)地下都市(ちかとし)(きず)()げることさえできるのだ。


石人(いしひと)福地(ふくち)(あるじ)のために地底資源(ちていしげん)採掘(さいくつ)する優秀(ゆうしゅう)奴隷(どれい)となる。(おお)くの蛊仙(こせん)大勢(おおぜい)石人(いしひと)購入(こうにゅう)し、(みずか)らの福地(ふくち)移住(いじゅう)させている。


狐仙福地(こせんふくち)においては、荡魂山(とうこんざん)存在(そんざい)するため、魂魄(こんぱく)さえ十分(じゅうぶん)にあれば、たとえ石人(いしひと)一匹(いっぴき)しかいなくても、胆石(たんせき)(つう)じて膨大(ぼうだい)種族(しゅぞく)繁殖(はんしょく)させることができる。


方源(ほうげん)はこれによって、大規模(だいきぼ)石人(いしひと)養殖(ようしょく)し、(ほか)蛊仙(こせん)奴隷取引(どれいとりひき)を行うことさえ可能(かのう)である。


当時(とうじ)狐仙(こせん)があらゆる()()くして石人(いしひと)移入(いにゅう)したのも、まさにこの計画(けいかく)によるものだった。


(たし)かに、石人(いしひと)(なん)には(おう)じるが(こう)には(おう)じない。大多数(だいたすう)石人(いしひと)は、鋼鉄(こうてつ)のような意思(いし)()った硬骨漢(こうこつかん)であり、()(おそ)れない勇士(ゆうし)である。多くの蛊仙(こせん)懐柔策(かいじゅうさく)(えら)び、潜移默化(せんいまっか)のうちに石人(いしひと)から利益(りえき)(しぼ)()る。


狐仙(こせん)もまたこの手段(しゅだん)使(つか)っていた。


しかし、この方法(ほうほう)方源(ほうげん)()らない。


(あま)ぎるほど温和(おんわ)なのだ。


利益(りえき)(しぼ)()るならば、徹底的(てっていてき)(しぼ)()くさねばならない!


この世界(せかい)競争(きょうそう)残酷(ざんこく)であり、(ひと)(ひと)(あらそ)いだけでなく、容赦(ようしゃ)ない地災(ちさい)天劫(てんごう)洪水(こうずい)のように()()せ、古往今来(こおうこんらい)数多(あまた)英雄豪傑(えいゆうごうけつ)(あら)(なが)してきたのだ。


蛊仙(こせん)とて(おな)じことだ。


もし一滴(いってき)一滴(いってき)一点(いってん)一点(いってん)資源(しげん)(あらそ)()り、一刻(いっこく)(はや)(みずか)らを武装(ぶそう)し、強化(きょうか)しなければ、狐仙(こせん)末路(まつろ)(もっと)()(れい)となるだろう。


魔道(まどう)()たるもの、(びょう)(あらそ)い、銖鉄(しゅてつ)(あらそ)い、すべてを(しぼ)()り、(みずか)らを強大(きょうだい)にすべきである!


上位者(じょういしゃ)である以上(いじょう)理解(りかい)しておくべきだ。規則(きそく)法律(ほうりつ)も、(なさ)けも道徳(どうとく)も、すべては利益(りえき)(しぼ)()るための道具(どうぐ)()ぎない。寛容(かんよう)良心(りょうしん)も、冷酷(れいこく)(にく)しみも、同様(どうよう)である」方源(ほうげん)心中(しんちゅう)冷笑(れいしょう)した。


石人(いしひと)との()()きにこね(まわ)されてきたが、六度目(ろくどめ)地災(ちさい)まで、(のこ)り七ヶ(ななかげつ)しかない。


北部(ほくぶ)水沢(すいたく)(ひがし)火坑(かこう)も、すべて地災(ちさい)(のこ)した 傷跡(きずあと)であり、福地(ふくち)脆弱部分(ぜいじゃくぶぶん)である。地災(ちさい)襲来(しゅうらい)すれば、それらは福地(ふくち)弱点(じゃくてん)となる。


(おけ)()める(みず)(りょう)は、(もっと)(みじか)(いた)()まる。(くさ)りが()()げられる重量(じゅうりょう)は、(もっと)(もろ)()左右(さゆう)される。


「たとえ石人(いしひと)(にく)まれ(きら)われ、無数(むすう)(ひと)(のろ)われようが、(なん)意味(いみ)がある?」


「もしこの()で、単純(たんじゅん)(にく)しみや嫌悪(けんお)呪詛(じゅそ)(やく)()つのなら、(ちから)など必要(ひつよう)ないだろう」


大至急(だいしきゅう)運河(うんが)開削(かいさく)し、福地(ふくち)(きず)修復(しゅうふく)さえすれば、何百(なんびゃく)石人(いしひと)過労死(かろうし)しようが問題(もんだい)ではない。荡魂山(とうこんざん)さえあれば、将来(しょうらい)魂魄(こんぱく)をたっぷり(つか)まえ、いくらでも石人(いしひと)再生産(さいせいさん)できるのだから!

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