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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第六節未来大計

人祖(じんそ)長男(ちょうなん)姿(すがた)()つけ、大喜(おおよろこ)びで()()った。


太日陽莽(たいじつようまう)(しろ)幽霊(ゆうれい)()り、(みずうみ)のほとりに(よこ)たわり、(わん)(かわ)(みず)()んでは()んでいた。


(みず)(さけ)のようで、芳醇(ほうじゅん)(かお)りが(ただよ)っていた。


太日陽莽(たいじつようまう)(じつ)満足(まんぞく)げに、のんびりと()んでいた。


()()よ、もう()むのはよせ。(はや)(わたし)一緒(いっしょ)(かえ)ろう」人祖(じんそ)(ちか)づきながら(こえ)をかけた。


(とうと)父上(ちちうえ)、どうしてここに? 素晴(すば)らしい、(わたし)一緒(いっしょ)()みましょう」太日陽莽(たいじつようまう)は、かすんでぼんやりとした()()けた。


人祖(じんそ)はさっと(かれ)()から酒碗(さかわん)(うば)()り、()がゆい思いで()った。「もう()むな、お(まえ)()むことしか(かんが)えていないのか! (だれ)もが()っているだろう、()()には迷魂湖(めいこんこ)しかなく、その(みずうみ)(みず)迷魂湯(めいこんとう)だと。幽霊(ゆうれい)がこれを()めば、(あたま)がぼんやりし、もう二度(にど)とここを(はな)れようと(おも)わなくなるというのに」


太日陽莽(たいじつようまう)はしかし()った。「父上(ちちうえ)、あなたは間違(まちが)っています。これは迷魂湯(めいこんとう)ではなく、安魂酒(あんこんしゅ)です。()めば魂魄(こんぱく)沈殿(ちんでん)させ、魂魄(こんぱく)(なか)不純物(ふじゅんぶつ)()(のぞ)き、もはや(さわ)がず、(こころ)(だい)なる静寂(せいじゃく)()られます。これは天下(てんか)極上(ごくじょう)美酒(びしゅ)です」


「どんな(さけ)であろうと(かま)わん、とにかくお(まえ)(わたし)(かえ)らねばならん」人祖(じんそ)太日陽莽(たいじつようまう)()()いたが、(かれ)(やま)のように(おも)く、(まった)(うご)かせないことに()づいた。


太日陽莽(たいじつようまう)(くび)()った。「(ひと)には()んでも(やま)よりも(おも)(もの)もいれば、(はね)よりも(かる)(もの)もいる。父上(ちちうえ)(わたし)前世(ぜんせい)名声蛊(めいせいこ)()ち、栄光(えいこう)(ひかり)()びながら墜落(ついらく)して()にました。ここに()て、(からだ)(やま)よりも(おも)くなり、自分(じぶん)では一歩(いっぽ)(ある)けず、ここに(よこ)たわるしかないのです」


「ああ!」人祖(じんそ)はすぐに心中(しんちゅう)(あん)(ぜん)とし、(あせ)って叱責(しっせき)した。「(むかし)から()っておいただろう、()(くい)()たれる、有名(ゆうめい)になるのは()いことではないと。(はや)名声蛊(めいせいこ)()ててしまえ」


太日陽莽(たいじつようまう)(ふたた)(くび)()(なげ)いた。「名誉(めいよ)利益(りえき)は、()きてきたときには()って()ず、()んで()くときにも()って()けない。(わたし)()んだ(あと)名声蛊(めいせいこ)(わたし)から(はな)()りました。むしろ定仙游蛊(ていせんゆうこ)の方が、(わたし)()()ってくれています」


定仙游蛊(ていせんゆうこ)太日陽莽(たいじつようまう)魂魄(こんぱく)生死門(せいしもん)から()()し、さらには外界(がいかい)のどこの場所(ばしょ)へでも()れて()くことができる。


しかし、(せい)命途(めいと)(ある)いて(はじ)めて、太日陽莽(たいじつようまう)(まこと)復活(ふっかつ)できるのである。


「これでどうすればいいのだろうか…」人祖(じんそ)自分(じぶん)智慧蛊(ちえこ)(だま)されたことに()づいた。(かれ)生死門(せいしもん)最奥(さいおう)——()てしなく(つづ)暗闇(くらやみ)沉迷死境(ちんめいしきょう)——に(とう)(たつ)し、太日陽莽(たいじつようまう)()つけたものの、自分(じぶん)長男(ちょうなん)()(かえ)ることができないことに()づいたのである。


その(とき)公平蛊(こうへいこ)(くち)(ひら)いた。「人祖(じんそ)よ、まだ()からないのか?生死門(せいしもん)(つう)じる(みち)(ふた)つしかなく、どちらも宿命蛊(しゅくめいこ)()(かた)めたものだ。生死(せいし)(めい)によって()まる(運命(うんめい)のままである)!万物(ばんぶつ)(せい)があれば()があり、そうしてこそ天地宇宙(てんちうちゅう)循環(じゅんかん)(つづ)けている。あなたの長男(ちょうなん)である太日陽莽(たいじつようまう)()んだのも、すべて宿命蛊(しゅくめいこ)采配(さいはい)である。運命(うんめい)を受け(うけい)れよ。(なに)より、(かれ)はここで()()らしているではないか。沉迷死境(ちんめいしきょう)はこの()で最も(やす)らかな場所(ばしょ)である。(かれ)(てん)(もと)最高(さいこう)美酒(びしゅ)()み、外界(がいかい)(はん)わしい(さわ)ぎからは(とお)ざかっている。あなたにはこの(しあわ)せが理解(りかい)できないのか?」


人祖(じんそ)はその()()()くし、(みずか)らの()()をしばらく()つめた(あと)、ようやく(ふか)くため(いき)をついた。


(かれ)長男(ちょうなん)魂魄(こんぱく)()()ることができないと(さと)った。(すく)なくとも今回(こんかい)はそうだ。


(かれ)仕方(しかた)なく公平蛊(こうへいこ)太日陽莽(たいじつようまう)(わか)れを()げ、沉迷死境(ちんめいしきょう)(あと)にした。


(かれ)(べつ)(みち)——(せい)象徴(しょうちょう)する命途(めいと)(あし)()()れ、暗闇(くらやみ)から(ひかり)へと()かって(ある)()した。


しかし人祖(じんそ)()もなく、この(みち)(ある)くことが、()(とき)()(みち)よりも数倍(すうばい)困難(こんなん)であることに()づいた。


(せい)(みち)には、()(みち)よりもはるかに(おお)くの憂患蛊(ゆうかんこ)がいた。人祖(じんそ)()(みち)(ある)いた(とき)は、(すす)むほどに順調(じゅんちょう)になり、(かれ)(はば)憂患蛊(ゆうかんこ)(すく)なくなっていった。しかし(せい)(みち)(ある)(とき)憂患蛊(ゆうかんこ)ははるかに(おお)いだけでなく、(かれ)一歩(いっぽ)(すす)むごとに、さらに(おお)くの憂患蛊(ゆうかんこ)()んできて、必死(ひっし)になって(かれ)()()(はば)もうとした。


()もなく、勇気蛊(ゆうきこ)()えきれなくなった。「人祖(じんそ)よ、憂患(ゆうかん)(おお)すぎる。これからますます()えていくだろう。()には(やす)らぎがあるが、(せい)には()てしない憂患(ゆうかん)がある。(はや)(まえ)荡魂山(とうこんざん)()き、胆石(たんせき)(たた)()るのだ。生き()びようとするなら、勇気(ゆうき)だけでは()りない。胆識(たんしき)必要(ひつよう)なのだ」


人祖(じんそ)(いそ)いで荡魂山(とうこんざん)(おもむ)き、魂魄(こんぱく)(ふる)える(いた)みに()えながら、胆识蛊(たんしきこ)()()れた。


胆识蛊(たんしきこ)(たす)けを()て、(かれ)魂魄(こんぱく)(つよ)くなった。(ふる)えは(つづ)いていたが、もはや(うれ)いはなかった。


(かれ)荡魂山(とうこんざん)()え、落魄谷(らくはくこく)()どり()いた。


落魄谷(らくはくこく)迷路(めいろ)のようで、()がりくねっていた。(とき)には茫漠(ぼうばく)とした迷惘霧(めいぼうむ)(ひろ)がり、魂魄(こんぱく)(さん)(まん)にさせた。(とき)には(やいば)のように凛烈(りんれつ)落魄風(らくはくふう)()(すさ)び、魂魄(こんぱく)()(きざ)んだ。


人祖(じんそ)人生(じんせい)低谷(ていこく)(おちい)り、方角(ほうがく)見失(みうしな)った。胆识蛊(たんしきこ)によって(さか)んになった魂魄(こんぱく)も、迷惘霧(めいぼうむ)(なか)次第(しだい)散漫(さんまん)になっていった。散漫(さんまん)になった魂魄(こんぱく)は、落魄風(らくはくふう)によって()(きざ)まれ、一片(ひらひら)地上(ちじょう)()ちていった。


人祖(じんそ)(あや)うく完全(かんぜん)(まよ)()むところだったが、その(とき)信念蛊(しんねんこ)()()して(みち)()らした。


人祖(じんそ)落魄谷(らくはくこく)脱出(だっしゅう)した(とき)(もっと)精錬(せいれん)された(ひと)つの魂魄(こんぱく)だけが(のこ)っていた。


(かれ)はほっと大きく(いき)をつき、勝利(しょうり)目前(もくぜん)だと(かん)じた。(かれ)逆流河(ぎゃくりゅうか)()どり()いた。ここは(せい)(みち)における最後(さいご)関所(せきしょ)である。


(かれ)(なが)れに(さか)らって(さかのぼ)り、さらに艱難(かんなん)(あじ)わった。


()てしない憂患(ゆうかん)(かれ)()(ひし)ぎ、一歩(いっぽ)一歩(いっぽ)困難(こんなん)(きわ)めた。


しかし(かれ)無理(むり)矢理(やり)にでも()()き、(ひかり)()かって(ある)(つづ)けた。


「もうすぐだ」大願(たいがん)成就(じょうじゅ)目前(もくぜん)()え、人祖(じんそ)眼前(がんぜん)最後(さいご)一歩(いっぽ)だけを(のこ)して、ほっと一息(ひといき)ついた。その瞬間(しゅんかん)智慧蛊(ちえこ)忠告(ちゅうこく)(わす)れ、(あし)()めてしまった。


この一歩(いっぽ)()めが、人祖(じんそ)(またた)く間に(かわ)(なが)れに()(なが)してしまった。


生きるということは、(なが)れに(さか)らう(ふね)(ごと)く、(すす)まなければ退(しりぞ)くのである。


人祖(じんそ)落魄谷(らくはくこく)(そこ)まで一気(いっき)(なが)され、(つか)()てて身動(みうご)きもならず、落魄谷(らくはくこく)()()められてしまった。


……


方源(ほうげん)最後(さいご)胆石(たんせき)(たた)()り、満足(まんぞく)げに(うめ)(ごえ)()げた。


この瞬間(しゅんかん)(かれ)()()れぬ快感(かいかん)(つつ)まれた。もともと(おも)かった(きず)完全(かんぜん)()えただけでなく、(かれ)魂魄(こんぱく)(すく)なくとも以前(いぜん)五倍(ごばい)(つよ)まっていた!


(つよ)さという(かん)じが、(かれ)(こころ)最深(さいしん)()から(あふ)()てきた。


この(かん)じは、肉体的(にくたいてき)(つよ)さではなく、精神的(せいしんてき)(ひろ)がりだった。問題(もんだい)(かんが)えるにしても、複数(ふくすう)のことを同時(どうじ)処理(しょり)するにしても、方源(ほうげん)はゆとりを()っているという(かん)じがした。


残念(ざんねん)ながら、荡魂山(とうこんざん)にある胆石(たんせき)は、百個余(ひゃっこあま)りしかない。しかも、その(なか)胆识蛊(たんしきこ)(はぐく)んでいたのは、(すべ)てではない」方源(ほうげん)心中(しんちゅう)(すこ)しばかり()やんだ。


荡魂山(とうこんざん)狐仙(こせん)()(わた)った(とき)、それは(すで)幾度(いくど)所有者(しょゆうしゃ)()わり、表面(ひょうめん)はすっかり(なめ)らかになっていた。


狐仙(こせん)はこれを福地(ふくち)(うつ)した(あと)数十年(すうじゅうねん)にわたって経営(けいえい)(つづ)けた。ほとんど毎年(まいとし)彼女(かのじょ)多量(たりょう)(きつね)奴役(どえき)し、荡魂山(とうこんざん)()()なせた。魂魄(こんぱく)(やま)灌漑(かんがい)し、胆石(たんせき)(はぐく)むためである。


しかし、これらの胆石(たんせき)も、狐仙(こせん)によってほとんど使い(つか)くされていた。狐仙(こせん)()んだ(あと)、この荡魂山(とうこんざん)存在(そんざい)する胆石(たんせき)は、ここ八年(はちねん)で徐々(じょじょ)に生長(せいちょう)してきたものである。そのため、百個余(ひゃっこあま)りしかなく、(いま)(いた)っては、方源(ほうげん)によってすべて使い(つか)くされてしまった。


地霊(ちれい)である小狐仙(ここせん)説明(せつめい)によれば、胆石(たんせき)を一つ育成(いくせい)するには、(すく)なくともほぼ一万頭(いちまんとう)(きつね)犠牲(ぎせい)にする必要(ひつよう)があるという。もしその(なか)()獣王(じゅうおう)(つよ)ければ(つよ)いほど、また(おお)ければ(おお)いほど、(むす)ばれる胆石(たんせき)(おお)くなる。


この方法(ほうほう)を、方源(ほうげん)()らない。


福地(ふくち)強盛(きょうせい)であった(とき)狐仙(こせん)がそうしたのは当然(とうぜん)である。しかし現在(げんざい)福地(ふくち)衰弱(すいじゃく)しており、(きつね)()れも大幅(おおはば)減少(げんしょう)している。(きつね)()れを虐殺(ぎゃくさつ)することは、(なが)()()賢明(けんめい)(かんが)えとは()えない。


(こん)(きず)()えたが、方源(ほうげん)()(ゆる)めず、(しず)かに(こころ)()()けて将来(しょうらい)計画(けいかく)(かんが)(はじ)めた。


狐仙福地(こせんふくち)()()れたことは、(かれ)計画(けいかく)間違(まちが)いなく巨大(きょだい)(たす)けとなるが、同時(どうじ)巨大(きょだい)影響(えいきょう)ももたらす。


(いま)、私は荡魂山(とうこんざん)()にした。魂魄(こんぱく)底力(そこぢから)()()なく(つよ)まっていく。前世(ぜんせい)では血蝠(けっぷく)()れを(あやつ)経験(けいけん)心得(こころえ)もある。これらの巨大(きょだい)優位性(ゆういせい)()かすべきだ。(つぎ)奴道(どどう)(えら)ぶのは必然(ひつぜん)選択(せんたく)である」


「しかし奴道(どどう)にも欠点(けってん)がある。()()まれて(くび)(ねら)われやすい。だから力道(りきどう)修行(しゅぎょう)(おこた)ってはならない!」


こうして方源(ほうげん)(りき)()二道(にどう)(また)がり、二組(にくみ)蛊虫(こちゅう)編制(へんせい)飼育(しいく)しなければならなくなった。


以前(いぜん)なら、方源(ほうげん)放浪(ほうろう)して安定(あんてい)しておらず、()()れなかっただろう。しかし(いま)狐仙福地(こせんふくち)()にしたので、まったく問題(もんだい)ない。


(もっと)完璧(かんぺき)結果(けっか)は、第二空窍蛊(だいにくうこうこ)煉成(れんせい)することだ。第二空窍(だいにくうこう)()()れれば、一組(ひとくみ)奴道(どどう)一組(ひとくみ)力道(りきどう)とはっきり区別(くべつ)され、それぞれが(べつ)空窍(くうこう)存在(そんざい)し、(たが)いに干渉(かんしょう)しない。同時(どうじ)真元(しんげん)(りょう)も、二組(にくみ)蛊虫(こちゅう)操作(そうさ)するのに十分(じゅうぶん)だろう」


その(とき)()れば、方源(ほうげん)(ひと)たび()()れば、(けもの)()れや(むし)大軍(たいぐん)(そら)()巨浪(きょろう)のように()()せ、(またた)く間に()(かわ)(なが)れ、(せい)きとし()けるものたちが塗炭(とたん)()しみを(あじ)わうことになる。


もし()()めない(おろ)(もの)が、自分(じぶん)過信(かしん)して()()み、(くび)(ねら)(すべ)()()けてきたならば、方源(ほうげん)力道(りきどう)修行(しゅぎょう)が、現実(げんじつ)というものがどれほど残酷(ざんこく)なものか、そして(はな)がなぜそうまで(あか)()まるのかを、(かれ)らに思い()らせるだろう!


ここまで(かんが)え、方源(ほうげん)空窍(くうこう)から第二空窍蛊(だいにくうこうこ)を取り()した。


この()(かたち)落花生(らっかせい)(から)のようで、一面(いちめん)黄金色(こがねいろ)(かがや)き、表面(ひょうめん)模様(もよう)真紅(しんく)()(すじ)のようである。これは第二空窍蛊(だいにくうこうこ)胎盤形態(たいばんけいたい)であり、偽蛊(ぎこ)形態(けいたい)寿蛊(じゅこ)合煉(ごうれん)して(つく)られ、四十年間(よんじゅうねんかん)存続(そんぞく)することができる。


第二空窍蛊(だいにくうこうこ)(まこと)煉成(れんせい)するには、仙元(せんげん)絶対(ぜったい)()りる。二匹(にひき)三更蛊(さんこうこ)容易(ようい)()()る。しかし神游蛊(しんゆうこ)必要(ひつよう)だ」と方源(ほうげん)(かんが)えた。


仙蛊(せんこ)唯一(ゆいいつ)であり、天地(てんち)(おな)時間(じかん)存在(そんざい)できる仙蛊(せんこ)一匹(いっぴき)だけである。神游蛊(しんゆうこ)定仙游蛊(ていせんゆうこ)へと転化(てんか)したため、もはや存在(そんざい)しない。これによって(あたら)しい神游蛊(しんゆうこ)天地(てんち)(あら)われることが(ゆる)されるのである。


しかも神游蛊(しんゆうこ)には、(ほか)仙蛊(せんこ)にはない並外(ならはず)れた利点(りてん)がある。それは()らえやすいということだ。他の仙蛊(せんこ)のように()らえるのが(むずか)しいということはない。


人祖伝(じんそでん)』には明確(めいかく)記載(きさい)がある——(てん)(もと)四種(よんしゅ)極上(ごくじょう)美酒(びしゅ)()めば、(からだ)(なか)神游蛊(しんゆうこ)(ぎょう)(せい)されると。


野生(やせい)(けもの)醸造(じょうぞう)したものや自然(しぜん)(はら)まれたもの以外(いがい)に、人族(じんぞく)酿酒(かもす)技術(ぎじゅつ)が日々(ひび)(さか)んになるにつれ、極上(ごくじょう)美酒(びしゅ)(かず)古代(こだい)よりもはるかに(おお)くなっている。


四種(よんしゅ)極上(ごくじょう)美酒(びしゅ)(さが)すのは、(すこ)面倒(めんどう)ではあるが、時間(じかん)をかければ(かなら)成功(せいこう)する。


方源(ほうげん)にとっては、福地(ふくち)(よう)し、さらに小狐仙(ここせん)地霊(ちれい)(たす)けもあるのだから、第二空窍蛊(だいにくうこうこ)煉成(れんせい)する見込(みこ)みは(おお)いにある。


しかし問題(もんだい)核心(かくしん)も、まさにここにある。


神游蛊(しんゆうこ)()やすいからこそ、かえって他者(たしゃ)横取(よこど)りされる危険(きけん)がある。一旦(いったん)(ほか)(もの)神游蛊(しんゆうこ)()()れてしまえば、たとえ方源(ほうげん)がどれだけ極上(ごくじょう)美酒(びしゅ)()んだとしても、神游蛊(しんゆうこ)()可能性(かのうせい)はなくなる。


南疆(なんきょう)飛家(ひけ)は、極上(ごくじょう)美酒(びしゅ)である壮思飞(そうしひ)所有(しょゆう)している。東海(とうかい)七转蛊仙(ななてんこせん)である醉仙翁(すいせんおう)酒海(しゅかい)(きず)き、数多(あまた)(さけ)(ぞう)し、毎年(まいとし)酒会(しゅかい)(ひら)いている。北原(ほくげん)王庭(おうてい)には、長生酒(ちょうせいしゅ)がある。これらの大勢力(だいせいりょく)、あるいは蛊仙(こせん)そのものが一、二(いち、に)の極上(ごくじょう)美酒(びしゅ)(よう)しており、神游蛊(しんゆうこ)()()れる確率(かくりつ)は、(わたし)よりもはるかに(たか)い」


こうして計算(けいさん)すると、方源(ほうげん)地災(ちさい)()え、福地(ふくち)経営(けいえい)するだけでなく、できるだけ(はや)四種(よんしゅ)極上(ごくじょう)美酒(びしゅ)(あつ)め、第二空窍蛊(だいにくうこうこ)煉成(れんせい)しなければならない。


「しかし、これらは根本(こんぽん)的な問題(もんだい)ではない。春秋蝉(しゅんじゅうせみ)こそが最も重要(じゅうよう)存在(そんざい)だ。現在(げんざい)時間(じかん)(なが)れが五倍(ごばい)になっているので、春秋蝉(しゅんじゅうせみ)回復速度(かいふくそくど)(きわ)めて(はや)くなっている。(わたし)三度(みたび)重生(ちょうせい)し、すでに(うん)()すぎるほどだ。四度目(よどめ)(うん)()けるわけにはいかない。今回(こんかい)春秋蝉(しゅんじゅうせみ)回復(かいふく)するまでに、(すく)なくとも一挙成功蛊(いっきょせいこうこ)、あるいは馬到成功蛊(ばとうせいこうこ)、もしくは水到渠成蛊(すいとうきょせいこ)などを()つけ()さなければならない」


以前(いぜん)は、方源(ほうげん)実力(じつりょく)()りなかった。(いま)(かれ)福地(ふくち)()にし、資本(しほん)(あつ)くなったので、もはやこれらの()()(もと)めることができるのである。













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