表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
388/553

第百八十九節:最後の一歩

十月二十日(じゅうがつはつか)


大殿(だいでん)(なか)淡紅(たんこう)(ひかり)明滅(めいめつ)し、青銅(せいどう)(ゆか)()めていた。


(ゆか)浮彫(うきぼ)りは、すでに大半(たいはん)()()せていた——材料(ざいりょう)として方源(ほうげん)()吸収(きゅうしゅう)されたのだ。


方源(ほうげん)顔色(かおいろ)(ろう)のように青白(あおじろ)く、()血走(ちばし)り、()(おとろ)えた(からだ)(かす)かに(ふる)えている——それでも、(かれ)視線(しせん)光塊(こうかい)から一瞬(いっしゅん)(はな)さない。


(おも)沈黙(ちんもく)が、(ひろ)がる青緑(あおみどり)毒霧(どくむ)(なか)()()めていた。


十月二十一日(じゅうがつにじゅういちにち)


地霊(ちれい)(こえ)が、(おも)()らせを(つた)えた:「五转蛊師(ごてんこし)が、福地(ふくち)(おか)(にゅう)した」


方源(ほうげん)映像(えいぞう)一瞥(いちべつ)し、即座(そくざ)(みと)めた:「蕭家(しょうか)蕭芒(しょうぼう)か。五转太光蛊(ごてんたいこうこ)()(ぬし)で、光道(こうどう)(つよ)(もの)だ。前世(ぜんせ)三叉山(さんさざん)でも(かれ)姿(すがた)()た——ついに()たか」


地霊(ちれい)(いき)()んだ:「太光蛊(たいこうこ)! まさか太古(たいこ)栄光(えいこう)(ひかり)(あやつ)れるとは! これは(おお)きな脅威(きょうい)だ」


太古(たいこ)()には(ここの)つの(てん)があった——(はく)(てん)(せき)(てん)(とう)(てん)(おう)(てん)(りょく)(てん)(せい)(てん)(らん)(てん)()(てん)(こく)(てん)


当時(とうじ)陽光(ようこう)は『栄光(えいこう)(ひかり)』と呼ばれ、(きゅう)(てん)(つらぬ)き、万物(ばんぶつ)恩恵(おんけい)(ほどこ)していた。


しかし(いま)(あか)から(むらさき)までの(なな)(てん)()()せ、(はく)(てん)(こく)(てん)だけが(のこ)る。陽光(ようこう)(おとろ)え、(はく)(てん)しか()らせなくなった。


五转太光蛊(ごてんたいこうこ)起動(きどう)すれば、太古(たいこ)太陽(たいよう)栄光(えいこう)(かがや)きが爆発(ばくはつ)する。この(ひかり)攻撃力(こうげきりょく)皆無(かいむ)だが、あらゆる隔膜(かくまく)(とお)し、天涯海角(てんがいかいかく)まで()らし()す。


つまり、この福地(ふくち)太古(たいこ)(ひかり)(さえぎ)れない。


方源(ほうげん)()ややかに(わら)った:「覇亀(はき)安心(あんしん)しろ。(やつ)太光蛊(たいこうこ)は、(はか)()らしで()()れた欠陥品(けっかんひん)だ。(つき)三回(さんかい)しか使(つか)えず、三回目(さんかいめ)自壊(じかい)する」


地霊(ちれい)安堵(あんど)(いき)()いた:「それなら()かった……ここ数日(すうじつ)(わたし)急速(きゅうそく)(よわ)っている。最後(さいご)関頭(かんとう)は、貴方(あなた)自身(じしん)(ちから)(たよ)るしかない」


「フッ。(おのれ)(ちから)だけを(たよ)るのが、()(りゅう)だ」方源(ほうげん)一言(ひとこと)(かえ)すと、(ふたた)()錬成(れんせい)再開(さいかい)した!


十月二十二日(じゅうがつにじゅうににち)


プッ。


「しまった、また失敗(しっぱい)か!」


方源(ほうげん)(くち)から鮮血(せんけつ)()()し、眼前(がんぜん)()(くら)くなった——()(うしな)いかけた。


()()いしばり、()地面(じめん)()さえつける。(てん)()がぐるぐる()わり、()(まえ)金星(きんせい)()び、(みみ)(おく)甲高(かんだか)耳鳴(みみな)りが(つづ)く。


(とく)(むね)のむかつきが(ひど)く、()()()さえ()れない。


しばらくして、ようやくこの最悪(さいあく)感覚(かんかく)(すこ)(やわ)らいだ。


方源(ほうげん)(にご)った(いき)()()し、ゆっくりと(からだ)()こして(すわ)(なお)した。


()錬成(れんせい)失敗(しっぱい)すれば、(かなら)反動(はんどう)()る。この工程(こうてい)で、もう三度(さんど)失敗(しっぱい)した。技術(ぎじゅつ)()りないわけではない——最善(さいぜん)()くしている。だがここは(うん)(たよ)るしかない、(じゅう)(ひと)つの成功確率(せいこうかくりつ)()けるのだ。はあ……時間(じかん)がない!」


顔色(かおいろ)蒼白(そうはく)方源(ほうげん)は、反動(はんどう)(いた)みを()(ころ)し、四度目(よどめ)挑戦(ちょうせん)(はじ)めた。


その(とき)銅鼎(どうてい)(なか)仙元(せんげん)は、()(ぶん)()らずになっていた。


十月二十三日(じゅうがつにじゅうさんにち)


方源(ほうげん)(うご)きを()め、()(なか)蛊虫(こちゅう)()つめた——()(するど)(ひかり)(はし)った。


この()甲虫(こうちゅう)(かたち)で、(はら)(ふく)らみ、(あたま)()(とが)った(きり)のようだ——(あし)触角(しょっかく)もない。


(かたち)はぼんやりとし、粗削(あらけず)りの彫刻(ちょうこく)のようで、生気(せいき)(まった)く感じられず、灰色(はいいろ)(いし)(かたまり)のようだった。


地霊(ちれい)歓喜(かんき)(こえ)()げた:「若者(わかもの)、お(まえ)(しん)じて()かった! この偽蛊(ぎこ)錬成(れんせい)できた——あと一歩(いっぽ)で、(いつわ)りを(のぞ)真実(しんじつ)()(しん)第二空窍蛊(だいに くうきょうこ)()まれる!」


「そうだ……あと最後(さいご)一歩(いっぽ)だけだ」方源(ほうげん)(こえ)には、安堵(あんど)重圧(じゅうあつ)()()じっていた。


第二空窍蛊(だいに くうきょうこ)錬成(れんせい)は、山登(やまのぼ)りに(たと)えられる——前段階(ぜんだんかい)数千(すうせん)もの工程(こうてい)で、数知(かずし)れぬ失敗(しっぱい)(かさ)ね、方源(ほうげん)はほとんど(ねむ)らず()わずで(いど)んだ。だがついに、ここまで(きた)た。これまでの努力(どりょく)無駄(むだ)ではなかったという安堵(あんど)


しかしこの最終段階(さいしゅうだんかい)こそが、最も重要(じゅうよう)質的転換(しつてきてんかん)一歩(いっぽ)だ——仙蛊(せんこ)神遊蛊(しんゆうこ)』を起動(きどう)せねばならない。


方源(ほうげん)春秋蝉(しゅんじゅうせみ)錬成(れんせい)した経験(けいけん)はあるが、仙蛊(せんこ)仙蛊(せんこ)錬成(れんせい)するのは(はじ)めてだ——この最終段階(さいしゅうだんかい)こそ、(かれ)(もっと)確信(かくしん)()てない部分(ぶぶん)であり、(おも)いプレッシャーを(かん)じている。


三百歳(さんびゃくさい)(はる)()し、五百歳(ごひゃくさい)(あき)()す。神機(しんき)無限(むげん)にして、四野(しや)(あそ)び、三更(さんこう)()え、(さら)三更(さんこう)(くわ)え、三更(さんこう)(きゅう)()る。(きゅう)(きわみ)なり、大功(たいこう)()る……」方源(ほうげん)(こころ)秘方(ひほう)反芻(はんすう)した:「この最後(さいご)一歩(いっぽ)には、寿蛊(じゅこ)神遊蛊(しんゆうこ)、そして三更蛊(さんこうこ)二匹(にひき)使(つか)わねばならない」


(まえ)工程(こうてい)理解(りかい)でき、改良(かいりょう)すらできた。だがこの最終段階(さいしゅうだんかい)秘方(ひほう)は、(かれ)にも三分(さんぶ)(いち)しか理解(りかい)できていない。


地霊(ちれい)福地(ふくち)状況(じょうきょう)はどうなっている?」方源(ほうげん)突然(とつぜん)(くち)(ひら)いた。


地霊(ちれい)映像(えいぞう)(うつ)()した:「二組(ふたくみ)集団(しゅうだん)(おか)(にゅう)した——数十名(すうじゅうめい)三转蛊師(さんてんこし)と、(おのおの)四转蛊師(してんこし)(ひき)いられている。規模(きぼ)(おお)きい」


方源(ほうげん)一瞥(いちべつ)して、即座(そくざ)見抜(みぬ)いた:「ふふん……車家(くるまけ)左家(ひだりけ)か。両家(りょうけ)族長(ぞくちょう)(みずか)らが先頭(せんとう)()ち、家老(かろう)大半(たいはん)同行(どうこう)しているようだな」


三叉山(さんさざん)全体(ぜんたい)が、左家(ひだりけ)冷顫山(れいせんざん)車家(くるまけ)飛来山(ひらいざん)(あいだ)位置(いち)している。


この(ふた)つの一族(いちぞく)は、ここ数年(すうねん)領土拡大(りょうどかくだい)野心(やしん)()やし、三叉山(さんさざん)一帯(いったい)(はげ)しい角逐(かくちく)()(ひろ)げてきた。


だが三王伝承(さんおうでんしょう)爆発(ばくはつ)が、彼等(かれら)計画(けいかく)完全(かんぜん)()(くだ)いたのだ。


南疆(なんきょう)には十万(じゅうまん)名山(めいざん)(つら)なり、無数(むすう)無名(むめい)の山々(やまやま)が乱立(らんりつ)している——猛獣(もうじゅう)野生(やせい)()跋扈(ばっこ)し、環境(かんきょう)苛烈(かれつ)で、移動(いどう)(きわ)めて困難(こんなん)だ。


(ほか)勢力(せいりょく)は、精鋭(せいえい)だけを派遣(はけん)するしかない。だが車家(くるまけ)左家(ひだりけ)は、文字通(もじどお)りの「近水楼台(きんすいろうだい)」だ——これまで(うご)かず様子(ようす)()ていたが、伝承(でんしょう)異変(いへん)察知(さっち)し、ついに大部隊(だいぶたい)()()けたのだ。


方源(ほうげん)にとって、これは悪報(あくほう)だ。


最終局面(さいしゅうきょくめん)では、(かなら)ずや全員(ぜんいん)福地(ふくち)中枢(ちゅうすう)——この大殿(だいでん)攻撃(こうげき)する。車家(くるまけ)左家(ひだりけ)(もの)たちは、(みな)方源(ほうげん)(てき)となる。


彼等(かれら)以外(いがい)にも、李閑(りかん)狐魅児(こみじ)易火(えいか)孔日天(こうじつてん)強敵(きょうてき)最後(さいご)(あらわ)れるだろう。最終段階(さいしゅうだんかい)では、(わたし)()錬成(れんせい)(すべ)てを(そそ)ぐ——外敵(がいてき)防衛(ぼうえい)は、地霊(ちれい)白凝冰(はくぎょうひょう)風天語(ふうてんご)(たよ)るしかない。この状況(じょうきょう)(すで)苛烈(かれつ)だが、まだ外部(がいぶ)脅威(きょうい)()ぎない」


最終工程(さいしゅうこうてい)で、三更蛊(さんこうこ)二匹(にひき)連続(れんぞく)使用(しよう)すると、(わたし)(からだ)時間(じかん)(なが)れが九倍(きゅうばい)加速(かそく)する! 春秋蝉(しゅんじゅうせみ)には絶好(ぜっこう)養分(ようぶん)だが、空窪(くうくぼ)には危機(きき)(せま)る——これが(ない)なる脅威(きょうい)だ」


(ない)(そと)から(せま)()危機(きき)(いた)(ところ)危険(きけん)(ひそ)む。だが、()()いしばって()()くしかない——ここまで()たのだ。頂上(ちょうじょう)まであと一歩(いっぽ)だ。()けずにはいられない!もし成功(せいこう)すれば、第二空窍(だいに くうきょう)()にし、六转(ろくてん)(いた)れば、鳳金煌(ほうきんこう)にも(おお)きく(おく)れを()ることはあるまい」


方源(ほうげん)転生計画(てんせいけいかく)において、青茅山(せいぼうざん)(たん)なる出発点(しゅっぱつてん)()ぎず、商家城(しょうかじょう)一時(いちじ)足場(あしば)第二空窍蛊(だいに くうきょうこ)さえも、通過点(つうかてん)()(いし)でしかない。


だが、これら一歩一歩(いっぽいっぽ)()(かさ)ねが、(かれ)(さら)なる(たか)みへ()()げる原動力(げんどうりょく)となる。


(つづ)数多(あまた)機縁(きえん)は、()()()ぶように連鎖(れんさ)している——一定(いってい)修為(しゅうい)実力(じつりょく)なくして、参戦(さんせん)すら(ゆる)されない!


()けるものすべて、(ゆう)(れつ)駆逐(くちく)する——まして機縁(きえん)一歩(いっぽ)(ゆず)らず、時機(じき)寸秒(すんびょう)(あらそ)う。こそが、この転生(てんせい)()()じない()(かた)だ……」


方源(ほうげん)(ふか)(いき)()き、休息(きゅうそく)()った——最終(さいしゅう)一日(いちにち)()けて、渾身(こんしん)準備(じゅんび)(ととの)えるためだ。


十月二十四日(じゅうがつにじゅうよっか)


方源(ほうげん)(ねむ)りから()め、ゆっくりと()()けた。


(ひさ)しぶりに(ふか)(ねむ)れた……さあ、(たたか)いの(とき)だ」(かれ)()()がり、(ゆる)やかな足取(あしと)りで大殿(だいでん)()た。


殿外(でんがい)には、地霊(ちれい)(みちび)きで二人(ふたり)姿(すがた)()っていた。


主上(しゅじょう)!」風天語(ふうてんご)方源(ほうげん)()るや(ひざまず)き、一匹(いっぴき)()(ささ)げた——灰色(はいいろ)円盤(えんばん)のような外見(がいけん)で、(ほか)ならぬ百戦不疲蛊(ひゃくせんふひこ)だ。


配下(はいか)使命(しめい)()たしました——百関(ひゃっかん)突破(とっぱ)し、信王伝承(しんおうでんしょう)継承(けいしょう)毛民(もうみん)たちを(したが)えました」


風天語(ふうてんご)(かたわ)らには、数百人(すうひゃくにん)毛民(もうみん)()っていた——全身(ぜんしん)濃厚(のうこう)長毛(ちょうもう)(おお)われ、黙々(もくもく)と(たたず)んでいる。


()し」方源(ほうげん)(かろ)(うなず)き、淡々(たんたん)と称賛(しょうさん)した——(おどろ)きは()せなかった。


毛民(もうみん)には、(みずか)らより(すぐ)れた錬蛊師(れんこし)(したが)習性(しゅうせい)がある。風天語(ふうてんご)百関(ひゃっかん)突破(とっぱ)した以上(いじょう)、これだけの追随者(ついずいしゃ)がいるのも当然(とうぜん)だ。


(つぎ)方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)(まえ)()った。


白凝冰(はくぎょうひょう)眼前(がんぜん)壮大(そうだい)青銅(せいどう)大殿(だいでん)凝視(ぎょうし)し、()(さと)りの(ひかり)宿(やど)した:「どうやら、ここが福地(ふくち)中枢(ちゅうすう)らしいな」


彼女(かのじょ)視線(しせん)方源(ほうげん)(うつ)し、()ややかに()(はな)った:「ふん……お(まえ)約束(やくそく)(わす)れるなよ?」


方源(ほうげん)(わら)って(こた)えた:「安心(あんしん)しろ」


方源(ほうげん)視線(しせん)(うつ)すと、白凝冰(はくぎょうひょう)背後(はいご)に、()てしなく(ひろ)がる犬獣(けんじゅう)()れがあった——その(かず)十万(じゅうまん)(ちか)く、()()(もの)(たわむ)()(もの)()()ける(もの)と、まさに無秩序(むちつじょ)(うみ)だ。


方源(ほうげん)(かす)かに(まゆ)をひそめた——武神通(ぶしんつう)巫鬼(ふき)章三三(しょうさんさん)のような奴道(ぬどう)達人(たつじん)なら、犬群(いぬむれ)軍隊(ぐんたい)(ごと)整然(せいぜん)制御(せいぎょ)できただろうに。


だが白凝冰(はくぎょうひょう)は、(きゅう)(にん)(にな)わせられた()——奴道(ぬどう)訓練(くんれん)()けず、ここまで()さえているだけでも、立派(りっぱ)()える。


(じつ)のところ、白凝冰(はくぎょうひょう)(あたま)はぼんやりし、(からだ)(うご)きも(おも)うに(まか)せない——(たましい)(おも)(しず)み、(あやつ)人形(にんぎょう)のようにぎこちない(かん)じだ。


これほどの大群(たいぐん)制御(せいぎょ)するのは、彼女(かのじょ)には()(おも)すぎる。


「これから、(わたし)指示(しじ)(したが)って防衛線(ぼうえいせん)配置(はいち)せよ。(てき)がどんな挑発行動(ちょうはつこうどう)()っても、主導的(しゅどうてき)攻撃(こうげき)してはならない——(きも)(めい)じろ」方源(ほうげん)(きび)しく()(ふく)めた。


「ああ、お(まえ)仕切(しき)るなら、成否(せいひ)(わたし)には無関係(むかんけい)だ」白凝冰(はくぎょうひょう)(こえ)(つめ)たい。


「ははは、成功(せいこう)しようが失敗(しっぱい)しようが、陽蛊(ようこ)(かなら)(わた)す」方源(ほうげん)はほほえみながら保証(ほしょう)した。


「ふん……その言葉(ことば)(まも)るんだよ?」


……


二本(にほん)光柱(こうちゅう)相次(あいつ)いで()えた!これは、信王(しんおう)犬王(けんおう)伝承(でんしょう)(うば)われた証拠(しょうこ)だ!」夜明(よあ)(まえ)三叉山頂(さんささんちょう)で、蛊師(こし)たちが騒然(そうぜん)となった——驚愕(きょうがく)渦巻(うずま)き、人声(じんせい)()()った。


今回(こんかい)伝承(でんしょう)開放(かいほう)は、最初(さいしょ)から不気味(ぶきみ)だった——今日(きょう)まで(つづ)き、福地(ふくち)急速(きゅうそく)衰亡(すいぼう)させている」以前(いぜん)から(うたが)いを()(もの)もいた。


だが、それ以上(いじょう)に、(だれ)伝承(でんしょう)()いだのかが注目(ちゅうもく)(まと)だった。


一体(いったい)、どの幸運(こううん)(もの)伝承(でんしょう)()にしたのか?」


信王伝承(しんおうでんしょう)は、鉄慕白(てつぼはく)(さま)()たはずだ——(かれ)伝承(でんしょう)(はい)って以来(いらい)一度(いちど)()()なかった」


犬王伝承(けんおうでんしょう)は、(おそ)らく巫鬼(ふき)()ただろう」


「いや、()(ぞく)武神通(ぶしんつう)(さま)だ」


「ふんふん、(わたし)()(ところ)魔道(まとう)馭獣大師(ぎょじゅうたいし)章三三(しょうさんさん)にも勝機(しょうき)があるぞ」


人々(ひとびと)が(いっ)しきり()(あらそ)った(あと)、ついに(だれ)かが不気味(ぶきみ)(てん)気付(きづ)いた。


「おかしい……今回(こんかい)伝承(でんしょう)参加(さんか)した五转蛊師(ごてんこし)たちが、一人(ひとり)()()なかった?一体(いったい)どうしたのだ?」


信王(しんおう)犬王(けんおう)伝承(でんしょう)継承(けいしょう)されたのに、なぜ(ほか)(もの)たちは()()ないのだ?」


彼等(かれら)福地(ふくち)()()められている。この福地(ふくち)崩壊(ほうかい)寸前(すんぜん)だ——()もなく門戸(もんこ)(ひら)き、我々(われわれ)は自由(じゆう)出入(でい)りできるようになる」()(とお)(こえ)山頂(さんちょう)(ひび)いた。


蕭芒(しょうぼう)(さま)だ!」正道教(せいどうきょう)蛊師(こし)たちが(こえ)(そろ)えた。


魔道(まとう)(もの)たちは(こころ)(つぶや)いた:「蕭芒(しょうぼう)三叉山(さんさざん)()たのに、伝承(でんしょう)(はい)らないとは……(なに)(たくら)んでいる?」(かれ)存在感(そんざいかん)が、魔道(まとう)気勢(きせい)()さえつけていた。


衆目(しゅうもく)(あつ)めた蕭芒(しょうぼう)は、傲然(ごうぜん)(わら)った:「ならば——(いま)こそ太光蛊(たいこうこ)起動(きどう)し、諸君(しょくん)のため福地(ふくち)(もん)(ひら)いてみせよう!」


()()わるや(いな)や、(かれ)()見開(みひら)き、真元(しんげん)(くる)ったように()()て、(こぶし)(たか)(かか)げた!


太光蛊(たいこうこ)


天意蛊(てんいこ)


空拳蛊(くうけんこ)


奥義(おうぎ)発動(はつどう)――太古光拳(たいここうけん)!!


三匹(さんびき)()共鳴(きょうめい)し、(そら)(またた)く間に(くら)む。


人々(ひとびと)は戦慄(せんりつ)した——(ひかり)形作(かたちづく)られた(こぶし)が、(やま)ほどの巨体(きょたい)(てん)から()(そそ)ぎ、忽然(こつぜん)()えて、()えざる一点(いってん)()()いた!


太光蛊(たいこうこ)自体(じたい)攻撃力(こうげきりょく)はないが、(ほか)二匹(にひき)()わさることで、絶大(ぜつだい)破壊力(はかいりょく)(しょう)じたのだ!


ドッカーン!


無形(むけい)胎膜(たいまく)貫通(かんつう)され、福地(ふくち)激震(げきしん)する——巨大(きょだい)欠陥(けっかん)門戸(もんこ)となり、外界(がいかい)(つな)がった!









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ