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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第百八十五節:恩怨情仇

「ふむ? どんな方法(ほうほう)だ?」方源(ほうげん)(かす)かに(まゆ)()げた。


「この(はなし)は、ずっと(むかし)(さかのぼ)る……」仇九(きゅうきゅう)(なが)嘆息(たんそく)()らし、懐古(かいこ)憎悪(ぞうお)悲憤(ひふん)愛情(あいじょう)()()じった複雑(ふくざつ)表情(ひょうじょう)()かべた。


長話(ながばなし)()(ひま)はない」方源(ほうげん)(つめ)たく(さえぎ)った。


仇九(きゅうきゅう)(のど)()まらせ、仕方(しかた)なく()った:「では、手短(てみじか)(はな)そう」


本姓(ほんせい)(そう)幼名(ようめい)阿牛(あぎゅう)(もと)薬草(やくそう)()山農(さんのう)だった。ある()(やま)から転落(てんらく)したが、不幸中(ふこうちゅう)(さいわ)いで影宗(えいしゅう)福地(ふくち)()ちた。地霊(ちれい)()(どう)試練(しれん)()て、(かろ)うじて影宗(えいしゅう)門人(もんじん)となった。影宗(えいしゅう)二人(ふたり)だけ——(わたし)と、もう一人(ひとり)師姉(しせい)だ」


師姉(しせい)陳九(ちんきゅう)名乗(なの)る——天女(てんにょ)のごとく(うつく)しい。(おさな)(ころ)から地霊(ちれい)養育(よういく)され、福地(ふくち)から()たことがなく、無邪気(むじゃき)純真(じゅんしん)だった。一方(いっぽう)(わたし)(みにく)く、(ちい)さい(ころ)から排斥(はいせき)嘲笑(ちょうしょう)()けてきた。だが師姉(しせい)は、(つね)(やさ)しく(せっ)してくれた。日々(ひび)(とも)()ごすうちに、次第(しだい)(おも)いを(いだ)くようになった。福地(ふくち)海辺(うみべ)(かた)(ちか)いを()わした——(たが)いを(まも)り、永遠(えいえん)(はな)れないと。(とも)修行(しゅぎょう)し、生死門(せいしもん)奥深(おくふか)くまで()()り、生蛊(せいこ)死蛊(しこ)()らえたこともあった……」


「あれが人生(じんせい)(もっと)(しあわ)せな(とき)だった——このまま()いまで()けると(おも)っていた。だが、ある地災(ちさい)(あと)地霊(ちれい)(きず)ついて(ねむ)りに()ち、福地(ふくち)欠陥(けっかん)(しょう)じた。(そと)(つな)がった(すき)に、一人(ひとり)悪党(あくとう)(しの)()んだのだ」


「その悪党(あくとう)当時(とうじ)重傷(じゅうしょう)()っていた——(あと)のことを()っていれば、その()虐殺(ぎゃくさつ)していたのに! だが、私は(かれ)(すく)い起こ(おこ)してしまった。(かれ)(しょう)名乗(なの)り、()のように(あか)(かみ)をしていた。(くち)達者(たっしゃ)で、養生中(ようじょうちゅう)師姉(しせい)(たく)みに(だま)した。(たし)かに(わたし)より(すこ)しは()()()く、色男(いろおとこ)ぶりで師姉(しせい)(こころ)(うば)った。純真(じゅんしん)師姉(しせい)は、次第(しだい)(かれ)(した)しくなり、ついには(みずか)(すす)んで世話(せわ)()き、(いた)れり()くせりだった」


「この(けん)で、私たちは何度(なんど)(はげ)しく(あらそ)った。あの悪党(あくとう)(きず)()えた(とき)、私は(かれ)追放(ついほう)し、(ふたた)師姉(しせい)神仙(しんせん)のように(しあわ)せな生活(せいかつ)(おく)ろうと(おも)った。だが、師姉(しせい)(こころ)(すで)()わっていた——なんと、かつて()わした毒誓(どくせい)(そむ)き、(わたし)(きず)つけて、あの悪党(あくとう)(とも)逃亡(とうぼう)したのだ!」


(うら)む!(おのれ)(こころ)(やさ)しさが(わざわい)(まね)いたことを、師姉(しせい)陳九(ちんきゅう)心変(こころが)わりしたことを、そして(なに)より、あの卑劣(ひれつ)悪党(あくとう)(あい)(うば)ったことを! (きず)()えると、福地(ふくち)()南疆(なんきょう)(わた)(ある)き、この姦夫淫婦(かんぷいんぷ)(さが)(もと)めた。だが、まさかあの(ぞく)が——(しょう)()族長(ぞくちょう)になるとは!」仇九(きゅうきゅう)言葉(ことば)()り、方源(ほうげん)()つめた。


方源(ほうげん)無表情(むひょうじょう)だった——前世(ぜんせ)記憶(きおく)が、数多(あまた)秘事(ひじ)()らせている。(はなし)(なか)ばで、仇九(きゅうきゅう)(だれ)()すのか、もう(さっ)していた。


仇九(きゅうきゅう)方源(ほうげん)無反応(むはんのう)ぶりを()て、苦笑(くしょう)()らした:「どうやらお(まえ)は、あの二人(ふたり)正体(しょうたい)見抜(みぬ)いたようだな。その(とお)りだ——あの(ぞく)こそ、(いま)商家(しょうか)族長(ぞくちょう)商燕飛(しょうえんひ)だ。そして()師姉(しせい)陳九(ちんきゅう)は、現在(げんざい)素手医師(そしゅいし)だ。商家(しょうか)(ちょう)(だい)勢力(せいりょく)だが、()()無勢(ぶぜい)だ——この何年(なんねん)南疆(なんきょう)(わた)り、苦心惨憺(くしんさんたん)して準備(じゅんび)(かさ)ねてきたのは、この姦夫淫婦(かんぷいんぷ)(たお)すためだ! だが……残念(ざんねん)だ。今日(きょう)ここで()()では、この(のぞ)みを()たせない」


「ふっ……」方源(ほうげん)沈黙(ちんもく)して()()えたが、突然(とつぜん)(かる)(わら)()した——


(かれ)()(すわ)仇九(きゅうきゅう)見下(みお)ろし、()(するど)(ひかり)宿(やど)して()(はな)った:「殺人鬼医(さつじんきい)見事(みごと)(さく)だな。お(まえ)()う通り(とおり)なら、影宗(えいしゅう)はお(まえ)陳九(ちんきゅう)二人(ふたり)だけだ。お(まえ)()ねば、生死門(せいしもん)消息(しょうそく)商燕飛(しょうえんひ)素手医師(そしゅいし)から(さぐ)るしかない。だが、影宗(えいしゅう)福地(ふくち)(かか)わることだ——彼等(かれら)素直(すなお)(はな)すはずがない。いずれ我々(われわれ)は衝突(しょうとつ)する。どちらが()とうと、お(まえ)(おも)(つぼ)だ」


「はははっ……! 小獣王(しょうじゅうおう)、お(まえ)(じつ)率直(そっちょく)だ。陰謀(いんぼう)だけ(もてあそ)(もの)は、所詮(しょせん)小物(こもの)()ぎん。だがお(まえ)は、思慮深(しりょぶか)く、しかも圧倒的(あっとうてき)(ちから)()()る——(なら)(もの)なき梟雄(きょうゆう)だ!その通り(とおり)、これが(わたし)(さく)だ——()()しの陰謀(いんぼう)だ。見抜(みぬ)かれた以上(いじょう)、それでも影宗(えいしゅう)福地(ふくち)(さぐ)りにいくのか?」殺人鬼医(さつじんきい)狂気(きょうき)じみた高笑(たかわら)いを(ひび)かせた。


方源(ほうげん)は、眼前(がんぜん)五转蛊師(ごてんこし)をじっと()つめ、しばらくして(いき)()いた:「当然(とうぜん)のことだ」


生死門(せいしもん)は、光陰(こういん)長河(ちょうが)同格(どうかく)太古(たいこ)禁域(きんいき)だ。


このような場所(ばしょ)には、独特(どくとく)蛊虫(こちゅう)生息(せいそく)している。


春秋蝉(しゅんじゅうせみ)光陰(こういん)(かわ)()むように、生死門(せいしもん)にも同様(どうよう)仙蛊(せんこ)存在(そんざい)する。


これほどの巨利(きょり)を前に、方源(ほうげん)(こころ)(うご)かされないはずがない——たとえ仇九(きゅうきゅう)策謀(さくぼう)()っていても、()()まざるを()ないのだ。


仇九(きゅうきゅう)高笑(たかわら)いし、(なみだ)()かべた:「小獣王(しょうじゅうおう)後発(こうはつ)ながら、お(まえ)には敬服(けいふく)する。いつかお(まえ)が、あの姦夫淫婦(かんぷいんぷ)激突(げきとつ)する()を、(こころ)から()たかったが……(かな)わぬ(ゆめ)だ」


()影宗(えいしゅう)教義(きょうぎ)では、生死(せいし)特異(とくい)(かい)する——(せい)出会(であ)いは()(えん)茫洋(ぼうよう)たる人海(じんかい)出会(であ)い、貴様(きさま)()()ぬとは、尋常(じんじょう)ならざる因縁(いんねん)だ。もしかすると、お(まえ)(しん)影宗(えいしゅう)福地(ふくち)生死門(せいしもん)(えん)があるのかもしれん。ならば、この奇縁(きえん)貴様(きさま)(おく)ろう——どうか、この機会(きかい)(つか)むがよい」


こう()()えると、仇九(きゅうきゅう)表情(ひょうじょう)静寂(せいじゃく)(つつ)まれ、両眼(りょうがん)奥深(おくふか)(ひかり)宿(やど)った——あたかも生死(せいし)超越(ちょうえつ)する(おお)きな智慧(ちえ)()せつけるかのように:「()(いのち)()きる——それが(なん)だ? この天地(てんち)(ことわり)(だれ)不死(ふし)でいられよう。長生(ちょうせい)()られども、永生(えいせい)(のぞ)()ず。(たと)仙尊(せんそん)魔尊(まそん)すらも、結局(けっきょく)(ちり)()えるではないか。小獣王(しょうじゅうおう)(われ)(みずか)()(えら)ぶ——お(まえ)()()りずとも」


()()えるや(いな)や、(かれ)(した)()千切(ちぎ)って自決(じけつ)した!


血潮(ちしお)ほとばしり、生命(せいめい)(なが)()った——鬼医(きい)たる(もの)、やがて四大医師(しだいいし)筆頭(ひっとう)となるべき人物(じんぶつ)は、かくして()()った。


鬼医(きい)(ころ)したことで、まさかこんな重大(じゅうだい)情報(じょうほう)()るとは」方源(ほうげん)()()まった光景(こうけい)()つめながら(おも)った——「影宗(えいしゅう)福地(ふくち)生死門(せいしもん)……もし掌握(しょうあく)したなら、これこそが覇業(はぎょう)(いしずえ)となる。どうやら、転生計画(てんせいけいかく)再編(さいへん)する必要(ひつよう)がありそうだ」


五转蛊師(ごてんこし)(のぼ)()める(もの)は、過酷(かこく)淘汰(とうた)競争(きょうそう)()()いてきた逸材(いつざい)ばかりだ。(けっ)して(あなど)れない。


彼等(かれら)(おのおの)機縁(きえん)(つよ)みと切り(きりふだ)……そして()(ごと)()っている。


こうして、福地(ふくち)(のこ)五转蛊師(ごてんこし)は、方源(ほうげん)()により(ほふ)(つく)されたのだった。


鉄慕白(てつぼはく)巫鬼(ふき)骷魔(こま)武闌珊(ぶらんさん)仇九(きゅうきゅう)——()人の五转蛊師(ごてんこし)は、(おのおの)鮮烈(せんれつ)個性(こせい)(ふか)底力(そこぢから)()ち、実力(じつりょく)圧倒的(あっとうてき)だ。


現時点(げんじてん)方源(ほうげん)一騎打(いっきう)ちすれば、彼等(かれら)(だれ)にも(かな)わない——瞬殺(しゅんさつ)されるのが()ちだ。


素手医師(そしゅいし)本名(ほんみょう)陳九(ちんきゅう)殺人鬼医(さつじんきい)仇九(きゅうきゅう)名乗(なの)るのは、愛憎(あいぞう)裏返(うらがえ)しか。道理(どうり)前世(ぜんせ)義天山(ぎてんざん)大戦(たいせん)で、(かれ)(みずか)(やま)(のぼ)り、商燕飛(しょうえんひ)(いど)み、素手医師(そしゅいし)対決(たいけつ)したのだ。捕虜(ほりょ)となって真実(しんじつ)(さけ)び、商燕飛(しょうえんひ)()(ころ)される結末(けつまつ)も、当然(とうぜん)()える」


方源(ほうげん)はこの三角関係(さんかくかんけい)愛憎劇(あいぞうげき)に、(とく)感慨(かんがい)(いだ)かなかった——


仇九(きゅうきゅう)(どう)(じょう)するか? だが素手医師(そしゅいし)選択(せんたく)も、理解(りかい)できなくはない——


(まず)しきを(きら)()みを(この)み、(みにく)きを(きら)(うつく)しきを(あい)する——これが()(つね)だ。


商燕飛(しょうえんひ)南疆(なんきょう)随一(ずいい)美男子(びだんし)仇九(きゅうきゅう)とは(くら)べものにならない——(てん)()ほどの()がある。


素手医師(そしゅいし)仇九(きゅうきゅう)(あい)したのは、(たん)(かれ)(はじ)めて出会(であ)った(おとこ)だったからだ——(そと)世界(せかい)()らず、(くら)べる対象(たいしょう)もなかった。商燕飛(しょうえんひ)出会(であ)って(はじ)めて、()()()ったのだ。


(なに)より、陳九(ちんきゅう)という人物(じんぶつ)は、本質的(ほんしつてき)()への病的(びょうてき)執着(しゅうちゃく)()っている。


診察(しんさつ)(おとず)れる患者(かんじゃ)は、まず容姿(ようし)品定(しなさだ)めされる——(みにく)(もの)は、絶対(ぜったい)治療(ちりょう)しない。()みの容姿(ようし)なら、その(とき)気分(きぶん)診療費(しんりょうひ)次第(しだい)美男美女(びなんびじょ)なら、即座(そくざ)無償(むしょう)治療(ちりょう)する。


批判(ひはん)する(もの)(あらわ)れても、彼女(かのじょ)持論(じろん)展開(てんかい)した:「お(まえ)たち(みにく)(もの)どもが、(わたし)(まえ)(あらわ)れること自体(じたい)生命(せいめい)()(けが)行為(こうい)だ——いっそ()んでしまえ、万事休(ばんじきゅう)すがよい。だが(うつく)しいものは、あらゆる手段(しゅだん)()くして(まも)()かねばならん」


この発言(はつげん)は、当時(とうじ)商家城(しょうかじょう)波紋(はもん)(ひろ)げた——最終的(さいしゅうてき)には商燕飛(しょうえんひ)(みずか)()て、事態(じたい)(おさ)めることになった。


素手医師(そしゅいし)商家城(しょうかじょう)絶対的(ぜったいてき)地位(ちい)()めていた。


(むかし)商家城(しょうかじょう)方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)彼女(かのじょ)()った(とき)、その対応(たいおう)対照的(たいしょうてき)だった——方源(ほうげん)には()()なく、白凝冰(はくぎょうひょう)には(やさ)しく親切(しんせつ)だった。


「とは()え、四大医師(よんだいいし)(みな)奇癖(きへき)()(ぬし)だ——殺人鬼医(さつじんきい)素手医師(そしゅいし)()うまでもない。九指流医(きゅうしりゅうい)は、(きたな)乞食(こじき)姿(すがた)(この)み、(つね)放浪(ほうろう)している。聖手神医(せいしゅしんい)(いた)っては、(おとこ)でありながら、男性(だんせい)(この)む」


方源(ほうげん)思考(しこう)自由(じゆう)拡散(かくさん)させながら、殺人鬼医(さつじんきい)()収集(しゅうしゅう)した。


仇九(きゅうきゅう)蛊虫(こちゅう)(おお)く——


大半(たいはん)治療(ちりょう)(よう)だが、移動(いどう)(よう)(ふく)まれている。


五转治療蛊(ごてんちりょうこ)()く、()わりに『挪移蛊(だいこ)』という五转移動蛊(ごてんいどうこ)があった。


挪移蛊(だいこ)抽象的(ちゅうしょうてき)姿形(すがたかたち)――金色(こんじき)胴体(どうたい)()()がり、頭部(とうぶ)(どう)(から)()い、()(はね)位置(いち)(はず)れにある、あたかも創造神(そうぞうしん)()(まぐ)れに()()げたかのようだ。


この(いびつ)姿(すがた)は、(ぬし)である仇九(きゅうきゅう)(みにく)さと奇妙(きみょう)共鳴(きょうめい)している——あたかも(ゆが)んだ運命(うんめい)具現(ぐげん)されたかのようだ。


方源(ほうげん)は淡々(たんたん)と()回収(かいしゅう)し、獣力胎盤蛊(じゅうりょくたいばんこ)仇九(きゅうきゅう)空窍(くうきょう)吸収(きゅうしゅう)した。


()()まった仇九(きゅうきゅう)亡骸(なきがら)見下(みお)ろし、(かれ)()ややかに嘲笑(あざわら)った:「仇九(きゅうきゅう)よ……お(まえ)(じつ)狡猾(こうかつ)だ。もし前世(ぜんせ)記憶(きおく)がなければ、完璧(かんぺき)(だま)されていただろう」


(なに)しろ——この(おとこ)()は、(しん)終焉(しゅうえん)ではなかった。


方源(ほうげん)前世(ぜんせ)では、義天山(ぎてんざん)大戦(たいせん)途中(とちゅう)仇九(きゅうきゅう)(のど)()られて暗殺(あんさつ)された。だが()もなく、(かれ)復活(ふっかつ)し、正魔両道(せいまりょうどう)驚愕(きょうがく)させた。


その真相(しんそう)は——(かれ)が『遺生蛊(いせいこ)』を使(つか)っていたことにある。この五转消耗蛊(ごてんしょうもうこ)は、蛊師(こし)遺体(いたい)がほぼ完全(かんぜん)(たも)たれていれば、短時間(たんじかん)身体(からだ)を徐々(じょじょ)に復元(ふくげん)し、蘇生(そせい)させる。


だが(いま)福地(ふくち)(なか)では、天地(てんち)制圧(せいあつ)遺生蛊(いせいこ)(ちから)(ふう)じられている。しかし福地(ふくち)崩壊(ほうかい)し、制圧(せいあつ)(よわ)まれば、遺生蛊(いせいこ)再起動(さいきどう)する——仇九(きゅうきゅう)(かなら)復活(ふっかつ)するのだ。


仇九(きゅうきゅう)()間際(まぎわ)方源(ほうげん)称賛(しょうさん)し、(さと)()った様子(ようす)()せたのは——方源(ほうげん)()印象(いんしょう)(きざ)()み、死後(しご)(はずかし)めを()けるためだった。


(たし)かに、方源(ほうげん)死体損壊(したいそんかい)趣味(しゅみ)はない。


「だが今日(きょう)ばかりは、お(まえ)のためなら破例(はれい)だ」方源(ほうげん)冷徹(れいてつ)表情(ひょうじょう)で、無情(むじょう)()(くだ)した——(またた)()に、仇九(きゅうきゅう)遺体(いたい)肉塊(にくかい)(やま)()し、()(ぬま)(しず)んだ。


(かれ)一瞬(いっしゅん)躊躇(ちゅうちょ)したが、(ねん)のため、(ほのお)(はな)って肉泥(にくでい)()(つく)し、(はい)()えた。


掌風(しょうふう)一振(ひとふ)りするや、灰燼(はいじん)はひらひらと()()がり、虚空(こくう)彼方(かなた)()っていった。


仇九(きゅうきゅう)、これでも(よみがえ)れるなら、本物(ほんもの)()(もの)だ! はははっ!」






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