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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第百七十六節:方源は死ねを探す

三叉山(さんさざん)(いただき)(あか)(あお)()三本(さんぼん)光柱(こうちゅう)が、衆人(しゅうじん)(まえ)(そび)()っている。


以前(いぜん)(くら)べて、(だれ)()にも(あき)らかだ——(ひかり)数倍(すうばい)()せ、(ふと)さも半減(はんげん)し、かすかに(ふる)えている。


上古(じょうこ)から(つづ)くこの蛊仙福地(こせんふくち)は、(いま)終焉(しゅうえん)(とき)(むか)えようとしている。かつて三王(さんおう)改造(かいぞう)されたこの()も、無数(むすう)蛊師(こし)による()()ない探索(たんさく)略奪(りゃくだつ)に、もはや()えられない。


それはまるで、(しず)みゆく巨船(きょせん)のようだ——海水(かいすい)船体(せんたい)大半(たいはん)()()み、マストと最上甲板(さいじょうかんぱん)だけが、かろうじて(あら)わになっている……


武蘭珊(ぶらんさん)一歩(いっぽ)(すす)()(うやうや)しく鉄慕白(てつぼはく)抱拳(ほうけん)した:「鉄老族長(てつろうぞくちょう)、どうぞお(さき)に」


()()五转蛊師(ごてんこし)数多(あまた)いるが、その実力(じつりょく)において、鉄慕白(てつぼはく)断然(だんぜん)(ぐん)()いている——三叉山(さんさざん)において、(かれ)(うたが)いもなく五转(ごてん)最強(さいきょう)だ。南疆(なんきょう)全土(ぜんど)見渡(みわた)しても、五转蛊師(ごてんこし)(なか)最上級(さいじょうきゅう)存在(そんざい)である。


この地位(ちい)は、(だれ)もが(みと)めるものだ——(たと)宿敵(しゅくてき)である骷魔(こま)巫鬼(ふき)でさえ、この事実(じじつ)(いな)むことはできない。


鉄慕白(てつぼはく)三本(さんぼん)光柱(こうちゅう)()つめ、(かす)(うなず)いた:「では、(さき)失礼(しつれい)する」


(かれ)一挙一動(いっきょいちどう)が、群衆(ぐんしゅう)視線(しせん)(あつ)める——伝承(でんしょう)()(ぐち)付近(ふきん)(つど)数千(すうせん)蛊師(こし)たちが、(すべ)(かれ)(そそ)がれていた。


鉄慕白(てつぼはく)はゆっくりと(ある)()し、信王(しんおう)伝承光柱(でんしょうこうちゅう)へと()えていった。


巫鬼(ふき)骷魔(こま)(たが)いに視線(しせん)()わした——鉄慕白(てつぼはく)信王(しんおう)(えら)んだ以上(いじょう)二人(ふたり)(かれ)との遭遇(そうぐう)()けねばならない。


五转蛊師(ごてんこし)同士(どうし)は、(たが)いに不必要(ふひつよう)競争(きょうそう)極力(きょくりょく)()けるものだ。


最終決戦(さいしゅうけっせん)(とき)こそが、彼等(かれら)(しん)実力(じつりょく)(さら)()す、究極(きゅうきょく)舞台(ぶたい)なのだから。


鉄慕白(てつぼはく)(つづ)き、武蘭珊(ぶらんさん)王逍(おうしょう)らも各々(おのおの)選択(せんたく)(くだ)し、伝承(でんしょう)へと(はい)っていった。


(つぎ)に、易火(えいか)筆頭(ひっとう)とする四转巅峰(してんてんぽう)蛊師(こし)たちが、次々(つぎつぎ)と伝承(でんしょう)(もん)(くぐ)った。


三叉山(さんさざん)には、正道(せいどう)魔道(まとう)蛊師(こし)一堂(いちどう)(かい)する——普段(ふだん)激突(げきとつ)する仇敵(きゅうてき)同士(どうし)も、(おお)きな利益(りえき)(まえ)では、(おどろ)くほど整然(せいぜん)とした秩序(ちつじょ)()せていた。


しかし、その静寂(せいじゃく)(やぶ)るように、峰頂(ほうちょう)突然(とつぜん)波紋(はもん)(はし)った。


まず外縁(がいえん)蛊師(こし)たちが(さわ)()ち、(ささや)()(はじ)めた。(つづ)いて内陣(ないじん)(もの)たちも、一斉(いっせい)()()き、視線(しせん)(ひと)つの方向(ほうこう)(あつ)めた。


「なんと、黒白双煞(こくびゃくそうさつ)だ!ついに(もど)ってきたのか!」(だれ)かが騒動(そうどう)原因(げんいん)見極(みきわ)め、驚愕(きょうがく)(こえ)()げた。


(かれ)らが(うわさ)黒白双煞(こくびゃくそうさつ)か?最近(さいきん)台頭(たいとう)した魔道(まとう)新星(しんせい)たちだな」(はじ)めて二人(ふたり)姿(すがた)()にした(もの)たちは、好奇(こうき)()()けながら、()()るように()つめた。


「この二人(ふたり)若者(わかもの)は、並大抵(なみたいてい)ではない。一人(ひとり)鉄家(てつけ)四長老(よんちょうろう)包囲(ほうい)を数ヶ(すうかげつ)()()いた。もう一人(ひとり)(さら)(おそ)ろしい——七人(しちにん)相手(あいて)(たたか)い、鉄霸修(てつはしゅう)()(ころ)したのだ!」目撃者(もくげきしゃ)熱心(ねっしん)説明(せつめい)した。


方白(ほうはく)二人(ふたり)三叉山(さんさざん)()()こした騒動(そうどう)は、衆人(しゅうじん)(ふか)(こく)印象(いんしょう)(のこ)していた。(いま)(おも)()しても、その光景(こうけい)鮮明(せんめい)()かぶ(もの)(おお)かった。


鉄霸修(てつはしゅう)か……(わたし)一戦(いっせん)()わしたことがある。方正(ほうせい)(かれ)()るとは、それも(わか)さで()えば、(たし)かに非凡(ひぼん)だ」(だれ)かが(ふか)(うなず)き、表情(ひょうじょう)(けわ)しくした。


私見(しけん)だが、『当世(とうせい)覇王(はおう)』など、()()(だお)しに()ぎまい。若輩(じゃくはい)()()せさせるとは、我々(われわれ)同世代(どうせだい)(はじ)だ」(はな)(わら)蛊師(こし)もいた。


黒白双煞(こくびゃくそうさつ)()たところで、(なに)()わる? (いま)三叉山(さんさざん)には、五转蛊師(ごてんこし)六人(ろくにん)もいる!彼等(かれら)二人(ふたり)所詮(しょせん)四转(してん)()ぎず、(おお)した波風(なみかぜ)()てられまい」


(しか)り。(とく)方正(ほうせい)鉄家(てつけ)(もの)(ころ)している——鉄慕白(てつぼはく)(ゆる)すはずがない。しかし、ここへ()るとは図太(ずぶと)い」


鉄慕白(てつぼはく)伝承(でんしょう)(はい)った(すき)(ねら)って()たんだろう」人々(ひとびと)は小声(こごえ)(うわさ)()い、方白(ほうはく)二人(ふたり)を様々(さまざま)な()()つめた——好奇(こうき)(さぐ)り、警戒(けいかい)侮蔑(ぶべつ)


しかし、(おお)くの視線(しせん)二人(ふたり)ではなく、(べつ)一人(ひとり)(そそ)がれていた。


四转蛊師(してんこし)集団(しゅうだん)(なか)に、一人(ひとり)女性(じょせい)()っている——詰襟(つめえり)戦闘服(せんとうふく)()(つつ)み、(ほし)のような(ひとみ)(ひか)らせ、(つるぎ)のように(するど)(まゆ)をひそめていた。鉄若男(てつじゃくなん)である。


鉄若男(てつじゃくなん)四转蛊師(してんこし)として、四转(してん)(なみ)()って伝承(でんしょう)(はい)る。鉄慕白(てつぼはく)三叉山(さんさざん)第一人者(だいいちにんしゃ)であっても、規律(きりつ)(まも)り、(みずか)模範(もはん)(しめ)さねばならない——さもなければ、(しゅう)(ひき)いることなどできはしない。


これこそが、正道(せいどう)のリーダーとしての行動(こうどう)規範(きはん)なのだ。


方正(ほうせい)、お(まえ)か!」鉄若男(てつじゃくなん)(ひと)(かべ)()()け、方源(ほうげん)(するど)(にら)()けた——その()には(はげ)しい(いか)りが()()がっていた。


眼前(がんぜん)()つ、鉄家(てつけ)()(にご)した仇敵(きゅうてき)()て、少女(しょうじょ)(むね)憎悪(ぞうお)(いか)りで()えたぎった——(いま)すぐにでも()りかかりたい衝動(しょうどう)必死(ひっし)(おさ)えている。


両拳(りょうこぶし)をギリギリと(にぎ)りしめ、やがて(おもむ)ろに(ほど)く。(ゆる)めては()め、()めては(ゆる)める——その()(かえ)しが、彼女(かのじょ)内面(ないめん)葛藤(かっとう)(あら)わにしていた。


ついに、鉄若男(てつじゃくなん)(こぶし)完全(かんぜん)(ほど)き、(ふか)(いき)()()した。(ひとみ)にかつての清冽(せいれつ)さが(もど)る:「小獣王(しょうじゅうおう)よ、老族長(ろうぞくちょう)がお(まえ)()()すことはない。お(まえ)(いのち)は、この(わたし)(かなら)(もら)う——(おそ)くとも、いつか(かなら)()り、鉄家(てつけ)英霊(えいれい)たちの(とむら)いとする!** 覚悟(かくご)しておけ!」


()(はな)つと、少女(しょうじょ)(きびす)(かえ)し、光柱(こうちゅう)へと(ある)()った——その姿(すがた)(またた)()(ひかり)()()まれ、()()せた。


鉄若男(てつじゃくなん)(こわ)()づいたのか? (たたか)わずに()げるとは!」


小獣王(しょうじゅうおう)威光(いこう)はまだ健在(けんざい)らしい——鉄家(てつけ)(わか)(ひめ)でさえ、(やいば)()わすことを()けたようだ」


(わたし)はむしろ、この(むすめ)(かしこ)いと思う。三王伝承(さんおうでんしょう)目前(もくぜん)にあるのだ——百年(ひゃくねん)一度(いちど)好機(こうき)を、(いま)(のが)()はない。(たたか)いなど、(なん)(えき)があるというのか?」


しかし方源(ほうげん)は、(かす)かに(まゆ)をひそめた。


鉄若男(てつじゃくなん)()()いに、(かれ)(おどろ)きと感嘆(かんたん)(おぼ)えた——(いか)りを制御(せいぎょ)するその精神力(せいしんりょく)は、(じつ)稀有(けう)だ。()()せた(もの)たちですら、これほどの自制(じせい)ができるとは(かぎ)らない。


鉄若男(てつじゃくなん)……このまま成長(せいちょう)させてはおけない」


方源(ほうげん)は、同世代(どうせだい)(もの)から、(めずら)しく脅威(きょうい)(かん)じていた。


鉄慕白(てつぼはく)鉄若男(てつじゃくなん)()(どう)していることは、公然(こうぜん)事実(じじつ)だった。方源(ほうげん)()っている——彼女(かのじょ)天賦(てんぷ)(さい)(めぐ)まれ、(こころ)(はがね)のように(つよ)い。これに(おお)きな一族(いちぞく)支援(しえん)(くわ)われば、まるで雨燕(あまつばめ)大空(おおぞら)()()がり、いつかは青鸞(せいらん)鳳凰(ほうおう)へと()わるかのようだ。


殺意(さつい)(むね)(おく)()()むと、方源(ほうげん)伝承(でんしょう)光柱(こうちゅう)(ある)()した。


周囲(しゅうい)四转蛊師(してんこし)たちは、(おの)ずと(みち)(ひら)いた。


()て」突然(とつぜん)一人(ひとり)正道蛊師(せいどうこし)(すす)()て、方白(ほうはく)二人(ふたり)()()(さえぎ)った。


その正道(せいどう)蛊師(こし)は、(ゆき)のように(しろ)(ころも)をまとい、(かぜ)(ひるがえ)(ひろ)(そで)端麗(たんれい)面差(おもざ)し——(ほか)ならぬ雲家(うんけ)(わか)族長(ぞくちょう)雲落天(うんらくてん)であった。


小獣王(しょうじゅうおう)()いたぞ。お(まえ)鉄霸修(てつはしゅう)()ったと」雲落天(うんらくてん)方源(ほうげん)(まえ)()ち、一瞥(いちべつ)するや、視線(しせん)(かたわ)らの白凝冰(はくぎょうひょう)(うつ)し、じっと()つめている。


()っているか?」(かれ)方源(ほうげん)指差(ゆびさ)し、傲慢(ごうまん)口調(くちょう)(つづ)けた:「お(まえ)勝利(しょうり)は、卑怯(ひきょう)だ。飛行蛊(ひこうこ)使(つか)い、正道(せいどう)(もの)(ころ)すとは——まさに(きょ)()いただけの真似事(まねごと)()ぎん!」


()空気(くうき)一瞬(いっしゅん)()()めた。


雲落天(うんらくてん)言葉(ことば)露骨(ろこつ)無遠慮(ぶえんりょ)だったが、小獣王(しょうじゅうおう)こと方源(ほうげん)はさらに傲岸不遜(ごうがんふそん)人物(じんぶつ)だ——このまま(すす)めば、(たたか)いは()けられそうにない。


(おお)くの蛊師(こし)(かす)かに後退(こうたい)し、二人(ふたり)から距離(きょり)()った。


衆人(しゅうじん)見守(みまも)(なか)方源(ほうげん)深淵(しんえん)のような()雲落天(うんらくてん)一瞥(いちべつ)すると、(かろ)(うなず)き、突然(とつぜん)(わら)()した:「(たし)かに、飛行蛊(ひこうこ)(きょ)()いて、鉄霸修(てつはしゅう)()った——(わる)かったな?」


雲落天(うんらくてん)呆気(あっけ)()られた——小獣王(しょうじゅうおう)が、まさかこんな(ふう)(こた)えるとは(おも)っていなかった。事前(じぜん)情報(じょうほう)(まった)(ちが)うではないか!


ここ数年(すうねん)(かれ)閉関(へいかん)して飛行術(ひこうじゅつ)専念(せんねん)した。(みずか)飛行能力(ひこうのうりょく)は、南疆(なんきょう)有名(ゆうめい)飛行高手(ひこうこうしゅ)たちに(おと)らないと確信(かくしん)している。(いま)こそ方源(ほうげん)対戦(たいせん)し、(おの)れの()(とどろ)かせようと(くわだ)てていた。


しかし方源(ほうげん)意外(いがい)にも(うやうや)しい態度(たいど)()せたため、雲落天(うんらくてん)はこれ以上(いじょう)難癖(なんくせ)をつけにくくなった。


魔道(まとう)(もの)なら凶悪極(きょうあくきわ)まりない振舞(ふるまい)もできようが、(かれ)は堂々(どうどう)たる正道(せいどう)雲家(うんけ)(わか)族長(ぞくちょう)——一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)雲家(うんけ)(かお)だからこそ、(つつ)まねばならない。


雲落天(うんらくてん)一瞬(いっしゅん)恍惚(こうこつ)としたが、(ただ)ちに(こころ)(さだ)めた:「我々(われわれ)が鉄若男(てつじゃくなん)少主(しょうしゅ)(さき)()かせたのは、鉄慕白(てつぼはく)老族長(ろうぞくちょう)威名(いめい)(した)ってのことだ。お(まえ)(きょ)()いたと(みと)めた以上(いじょう)、ここは退()いてもらおう。()にはなお、数多(あまた)豪傑(ごうけつ)(ひか)えている——お(まえ)出番(でばん)など、まだ(はや)いのだ」


雲落天(うんらくてん)方源(ほうげん)()かって長袖(ながそで)(ひるがえ)し、淡々(たんたん)と()(はな)った。


(かれ)周囲(しゅうい)(もの)(あん)称賛(しょうさん)したが、()空気(くうき)一層(いっそう)()()めた——(だれ)もが、(あらし)(まえ)(しず)けさを(かん)じていた。


人々(ひとびと)が(いき)(ころ)して警戒(けいかい)する(なか)方源(ほうげん)微笑(ほほえ)みながら一歩(いっぽ)()がった:「ごもっともだ。(わたくし)軽率(けいそつ)だった。お(さき)にどうぞ」


雲落天(うんらくてん)高笑(たかわら)いし、(そで)(ひるがえ)して悠々(ゆうゆう)と()()けた。数十歩(すうじっぽ)(ある)いた(あと)光柱(こうちゅう)へと()えた——方源(ほうげん)()()わすことはなかったが、(みずか)らは、むしろ大きな収穫(しゅうかく)()たと満足(まんぞく)していた。


()もなく、(かれ)小獣王(しょうじゅうおう)言論(げんろん)挑発(ちょうはつ)し、この魔道(まとう)新星(しんせい)(おの)れおののかせたという(うわさ)(ひろ)まるだろう。


その(とき)には、(かれ)名声(めいせい)爆発的(ばくはつてき)(たか)まり、雲家(うんけ)正道(せいどう)における声望(せいぼう)も、一段(いちだん)上昇(じょうしょう)するに(ちが)いない。


雲落天(うんらくてん)伝承(でんしょう)(はい)った(あと)方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)(とも)に、爆王(ばくおう)伝承光柱(でんしょうこうちゅう)(えら)んだ。


二人(ふたり)姿(すがた)(ひかり)()えるのを見届(みとど)けると、(のこ)された四转蛊師(してんこし)たちは口々(くちぐち)にひそひそと(うわさ)(はじ)めた。


「こ、これは小獣王(しょうじゅうおう)か? あの凶暴(きょうぼう)小獣王(しょうじゅうおう)が、まさかこんなに紳士的(しんしてき)だとは!?」


(くすり)間違(まちが)えたのか? それとも(おれ)()節穴(ふしあな)か? ()(なか)()わり()ぎだろ!」


「はあ、小獣王(しょうじゅうおう)腰抜(こしぬ)けよ。(おれ)(かれ)立場(たちば)なら、とっくに(そで)()くし上げ(あげ)て(たたか)ってるぜ!」


(なげ)くなよ、相手(あいて)雲落天(うんらくてん)だ。雲家(うんけ)超一流(ちょういちりゅう)とはいえ、一流(いちりゅう)家柄(いえがら)だ——無闇(むやみ)刃向(はむか)える相手(あいて)じゃない」


天地(てんち)がぐるぐる()わり、やがて(しず)まり(かえ)った。方源(ほうげん)周囲(しゅうい)見渡(みわた)すと——


灰色(はいいろ)(そら)(あわ)紅色(べにいろ)大地(だいち)が、視界(しかい)()てまで(ひろ)がっていた。地面(じめん)には、火山岩(かざんがん)()らばり、湯気(ゆげ)灰色(はいいろ)(けむり)を上げ(あげ)ている。


「また天魔(てんま)()()ったぞ!」


仲間(なかま)たち、(いそ)いで(あつ)まれ! (みな)団結(だんけつ)すれば、大魔王(だいまおう)にだって()てる!」


(いそ)げ!赤卵村(あかたまむら)は、我々(われわれ)自身(じしん)(まも)るんだ!」


火山岩(かざんがん)(ふた)がパカリと(ひら)き、(なか)から(ちい)さな人型(ひとがた)(もの)たちが(あらわ)れた。


(かれ)らは赤子(あかご)ほどの(おお)きさで、ピンクの柔肌(やわはだ)(じつ)(いと)おしい。(とく)()()くのは、一人一人(ひとりひとり)(むね)中央(ちゅうおう)に、(あか)(かわい)らしい(まる)(たまご)()()まれていることだ。


これが卵人(たまごびと)——毛民(もうみん)同様(どうよう)異人種(いじんしゅ)(ひと)つである。


方源(ほうげん)一目(ひとめ)()て、これが卵人(たまごびと)(なか)でも赤卵人(あかたまごびと)だと(さと)った——(あか)(から)(たまご)(むね)宿(やど)す。彼等(かれら)巨大(きょだい)火山岩(かざんがん)(いえ)改造(かいぞう)し、その(なか)()んでいるのだ。


(いま)方源(ほうげん)使(つか)える()は、唯一(ゆいいつ)爆蛋蛊(ばくたんこ)だけだった。


爆王(ばくおう)伝承(でんしょう)は、方源(ほうげん)爆蛋蛊(ばくたんこ)使(つか)わせ、赤卵人(あかたまごびと)消滅(しょうめつ)させることを(もと)めていた——そうしなければ、(つぎ)(せき)(すす)めないのだ。


しかし、(おそ)いかかる赤卵人(あかたまごびと)たちを前に、方源(ほうげん)微動(びどう)だにしなかった。


(かれ)攻撃(こうげき)()びせるに(まか)せた。


攻撃(こうげき)次第(しだい)(かさ)なり、(またた)()方源(ほうげん)重傷(じゅうしょう)()った。


(いき)(あら)く、全身(ぜんしん)()()まり、()気配(けはい)濃厚(のうこう)()()めた——もはや爆蛋蛊(ばくたんこ)使(つか)っても、局面(きょくめん)()えられない。


(みずか)窮地(きゅうち)()()みながら、方源(ほうげん)口元(くちもと)一筋(ひとすじ)微笑(ほほえみ)()かんだ。


「ついに、この(とき)()た!」















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