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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第百七十一節:もっと高く飛べるようになりましょう

人祖伝(じんそでん)第二章(だいにしょう)第三節(だいさんせつ)(しる)されている——


太古(たいこ)陽光(ようこう)が、万物(ばんぶつ)()けるものに()(そそ)ぐ。


夏蝉(なつぜみ)(さわ)がしく()き、(せい)(ねつ)(けん)(でん)する。()(みどり)樹木(じゅもく)は、広大(こうだい)木陰(こかげ)(つく)り、(かぜ)()られてそよぐ。


太日陽莽(たいじつようもう)(まえ)には、巨大(きょだい)酒壜(さかだる)()えられていたが、(かれ)(まゆ)をひそめ、大杯(おおぐい)()()欲望(よくぼう)()せなかった。


神遊蛊(しんゆうこ)よ、神遊蛊(しんゆうこ)よ、お(まえ)本当(ほんとう)(わたし)(くる)しめた。(いま)この美酒(びしゅ)があっても、(おも)存分(ぞんぶん)()めない。()(つぶ)れたら、またお(まえ)(あぶ)ない場所(ばしょ)()れて()かれるのが(こわ)いのだ」太日陽莽(たいじつようもう)(にが)溜息(ためいき)をついた。


(まえ)二度(にど)一度目(いちどめ)神遊蛊(しんゆうこ)平凡深渊(へいぼんしんえん)()れて()かれ、二度目(にどめ)毛民(もうみん)油鍋(あぶらなべ)(ほう)()まれた。幸運(こううん)にも、両方(りょうほう)とも(あや)うく()(まぬが)れたが。


神遊蛊(しんゆうこ)(こた)えた:「人祖(じんそ)太子(たいし)よ、(わたくし)(けっ)して貴方(あなた)(おとしい)れようとしたわけではない。(じつ)は、毎回(まいかい)貴方(あなた)()(ぱら)った(あと)で、(みずか)(わたくし)(ちから)使(つか)うのです。(わたくし)被害者(ひがいしゃ)です。それに、一度(いちど)貴方(あなた)(いのち)(すく)ったこともあるではありませんか?」


(たし)かに神遊蛊(しんゆうこ)は、斑虎蜜蜂(はんこみつほう)()から太日陽莽(たいじつようもう)(すく)ったことがあった。


太日陽莽(たいじつようもう)(ちから)なくうつむいた:「はあ… ()ぎたことはもう()そう。(いま)はお(まえ)がいるせいで、せっかくの美酒(びしゅ)(おも)存分(ぞんぶん)()めない。(おれ)人生(じんせい)、すっかり色褪(いろあ)せてしまったよ」


神遊蛊(しんゆうこ)はその言葉(ことば)()き、自責(じせき)(ねん)()られた:「それならば、(ひと)つの方法(ほうほう)(おし)えよう。まず(てん)(のぼ)れ——九重天(ここのえのてん)青天(せいてん)に、碧空(へきくう)玉竹(ぎょくちく)という竹林(ちくりん)がある。そこから一節(ひとふし)玉竹(ぎょくちく)()れ。(つぎ)九重天(ここのえのてん)蓝天(らんでん)()き、(よる)(あいだ)星屑(ほしくず)(なか)から八角形(はっかくけい)钻石(きんせき)(あつ)めよ。そして(あかつき)(こく)(てん)()()がり、朝陽(ちょうよう)栄光(えいこう)()りて、(わたし)定仙遊蛊(ていせんゆこ)へと()えよ。そうすれば、()(つぶ)れた貴方(あなた)()れて彷徨(さまよ)うこともなくなるだろう」


太日陽莽(たいじつようもう)はこれを()いて、一瞬(いっしゅん)大喜(おおよろこ)びした。


しかし()(かんが)えてみると、また絶望(ぜつぼう)がよみがえった:「()よ、(わたし)()まれつき()(あし)をつけて(ある)人間(にんげん)だ。(けむり)のように(かる)くもなければ、(とり)(つばさ)()たない。どうやって青天(せいてん)(のぼ)り、玉竹(ぎょくちく)()むことができようか? ましてや星屑(ほしくず)(なか)から八角(はっかく)钻石(きんせき)(あつ)めることなど、到底(とうてい)無理(むり)だ。ましてや朝陽(ちょうよう)()かって()()つことなど、(ゆめ)のまた(ゆめ)だ」


神遊蛊(しんゆうこ)()った:「(たし)かに、人間(にんげん)()べない。だが心配(しんぱい)無用(むよう)だ。智慧蛊(ちえこ)(たす)けを(もと)めればよい。(かれ)智慧(ちえ)(はか)()れない(ふか)さがある。きっと(なに)方法(ほうほう)(おも)いつくだろう」


太日陽莽(たいじつようもう)智慧蛊(ちえこ)(むかし)からの()()いだった。太日陽莽(たいじつようもう)(さけ)()むようになったのも、智慧蛊(ちえこ)(おし)えたからだ。しかし智慧蛊(ちえこ)(さけ)(すす)めたのは、(たん)(かれ)(わずら)わされないためだった。太日陽莽(たいじつようもう)自分(じぶん)(さが)していると(かん)じると、智慧蛊(ちえこ)(あわ)てて()(かく)した。


太日陽莽(たいじつようもう)智慧蛊(ちえこ)()つけられず、(ふか)落胆(らくたん)した。


すると神遊蛊(しんゆうこ)(ふたた)()った:「智慧蛊(ちえこ)()つからなければ、思想蛊(しそうこ)()いに()こう。彼女(かのじょ)智慧蛊(ちえこ)(はは)なのだ」


太日陽莽(たいじつようもう)思想蛊(しそうこ)(さが)()て、(そら)()方法(ほうほう)()(もと)めた。


思想蛊(しそうこ)()った:「()(わたくし)(さが)()てた。思想(しそう)には(もと)より自由(じゆう)(つばさ)(そな)わっているのだから。ただし、(ひと)それぞれの思想(しそう)(こと)なる。どんな(つばさ)()えるかは、(きみ)次第(しだい)だ」


そう()()えると、思想蛊(しそうこ)(やわ)らかな(ひかり)(はな)ち、太日陽莽(たいじつようもう)啓発(けいはつ)した。


その(ひかり)(なか)で、太日陽莽(たいじつようもう)背中(せなか)に、純白(じゅんぱく)繊細(せんさい)(つばさ)()えてきた。


その(つばさ)(じつ)(うつく)しく、(ゆき)のように()(しろ)で、()(じん)(よご)れもない——まるで白鳩(しろはと)(つばさ)のようだった。


思想蛊(しそうこ)一瞥(いちべつ)して()った:「ふむ、この(つばさ)は『自我(じが)』と名付(なづ)けよう。(ひと)(みな)自我(じが)という思想(しそう)(つばさ)()つ。この(つばさ)(じつ)(かる)やかで自由(じゆう)だ。だが注意(ちゅうい)しろ——日光(にっこう)()かれすぎてはならない。さもなくば、自我(じが)膨張(ぼうちょう)して肥大(ひだい)するか、萎縮(いしゅく)して(ちぢ)むかのどちらかだ」


若者(わかもの)よ、(わたくし)言葉(ことば)(きも)(めい)じよ。(たか)()べば()ぶほど、()ちた(とき)(いた)みは()すのだ」思想蛊(しそうこ)最後(さいご)に、(おも)みのある口調(くちょう)()()えた。


太日陽莽(たいじつようもう)は『自我(じが)』と名付(なづ)けられた思想(しそう)(つばさ)()(おお)いに(よろこ)んだ。さっそく大空(おおぞら)へと()()った!


(かれ)()(つづ)け、どんどん(たか)(のぼ)っていった。


人間(にんげん)()まれつき()べない。(とり)のように自由(じゆう)(そら)()ぶという感覚(かんかく)は、太日陽莽(たいじつようもう)非常(ひじょう)新鮮(しんせん)感動(かんどう)をもたらした。


大空(おおぞら)自由気(じゆうき)ままに(あそ)(まわ)り、(かれ)無上(むじょう)(よろこ)びを(かん)じていた。同時(どうじ)に、思想蛊(しそうこ)(いまし)めを(けっ)して(わす)れなかった——(けっ)して日光(にっこう)()びすぎないように。


()れた()には、(かなら)(くも)(そう)(かく)れた。


こうして太日陽莽(たいじつようもう)はひたすら(うえ)(うえ)へと()(つづ)け、ついに極天(きょくてん)(うえ)青天(せいてん)()てに(たど)()いた。


そこには、虚空(こくう)(なか)に、玉竹(ぎょくちく)無数(むすう)()えていた。()緑色(みどりいろ)()(しげ)らせ、(てん)へと(つる)()ばしている。


これらの玉竹(ぎょくちく)は、()虚空(こくう)(しず)み、先端(せんたん)虚空(こくう)(つらぬ)いている。(そと)から()えるのは、中央(ちゅうおう)の節々(ふしぶし)ある(たけ)(みき)だけだ。


太日陽莽(たいじつようもう)(かる)()()ばし、一節(ひとふし)()()った。


その墨緑(すみみどり)竹節(ちくせつ)は、(ぎょく)のように(かがや)き、(てのひら)ほどの(おお)きさで、(なか)空洞(くうどう)(うるお)いと清涼感(せいりょうかん)()ちていた。


玉竹(ぎょくちく)()にした太日陽莽(たいじつようもう)は、(おお)いに(よろこ)んだ。(ふたた)(つばさ)(ひろ)げ、さらに(うえ)へと()()った。


太古(たいこ)大空(おおぞら)九重(ここのえ)()かれ、(した)から(じゅん)に:白天(はくてん)赤天(せきてん)橙天(とうてん)黄天(こうてん)緑天(りょくてん)青天(せいてん)蓝天(らんでん)紫天(してん)黒天(こくてん)(しょう)される。


太日陽莽(たいじつようもう)青天(せいてん)碧空(へきくう)玉竹(ぎょくちく)()み、数日後(すうじつご)、さらに上層(じょうそう)蓝天(らんでん)()()がった。


(よる)蓝天(らんでん)には、星々(ほしぼし)がきらめき、(あそ)()ける(ほし)たちが無尽(むじん)星屑(ほしくず)()()らす。それら星屑(ほしくず)(あつ)まって(うみ)となり、銀色(ぎんいろ)(かがや)爛漫(らんまん)たる(ひかり)(かわ)が、蓝天(らんでん)全体(ぜんたい)(なが)れていた。


太日陽莽(たいじつようもう)思想(しそう)(つばさ)(ふる)わせ、一気(いっき)星屑(ほしくず)(かわ)()()み、その(なか)(およ)(まわ)った。


(かれ)()てしない星屑(ほしくず)(うみ)を、苦労(くろう)して(さが)(まわ)った。七角(ななかく)星屑(ほしくず)も、十六角(じゅうろっかく)星屑(ほしくず)も、(まった)()もくれない。(もと)めるのは、(はっ)つの(かど)を持つ(もつ)星屑(ほしくず)だけだ——それはまるで一粒(ひとつぶ)一粒(ひとつぶ)钻石(きんせき)のように、()(とお)り、完璧(かんぺき)欠点(けってん)のないものだった。


(なが)時間(じかん)をかけて、ついに(ひと)()つけ()した。


()つけた翌日(よくじつ)(ひがし)(そら)がほの(じろ)(はじ)めた(ころ)(かれ)朝陽(ちょうよう)目指(めざ)して()()った。


朝陽(ちょうよう)は赤々(あかあか)とした提灯(ちょうちん)のように、(あたた)かな(ひかり)(はな)っていた。


この(ひかり)並大抵(なみたいてい)ならぬもの、栄光(えいこう)(ひかり)であり、万物(ばんぶつ)()けるものに()(そそ)ぎ、(とき)(なが)(かわ)をも(つらぬ)(ちから)()つ。


太日陽莽(たいじつようもう)左手(ひだりて)碧空(へきくう)玉竹(ぎょくちく)(ささ)げ、右手(みぎて)八角(はっかく)钻石(きんせき)である星屑(ほしくず)(にぎ)りしめ、旭日(きょくじつ)()かって()びながら、神遊蛊(しんゆうこ)()()した。


栄光(えいこう)(ひかり)()びて、神遊蛊(しんゆうこ)星屑(ほしくず)()()むと、玉竹(ぎょくちく)(なか)へと(もぐ)()んだ。


太日陽莽(たいじつようもう)よ、(わたくし)(まゆ)(つく)り、(ちょう)へと羽化(うか)して定仙遊蛊(ていせんゆこ)になるまでには、(とき)がかかる。その(あいだ)貴方(あなた)太陽(たいよう)()かって()(つづ)け、栄光(えいこう)(ひかり)()やしてはならない。だが、より一層(いっそう)注意(ちゅうい)せよ——思想蛊(しそうこ)()ったように、背中(せなか)自我思想(じがしそう)(つばさ)警戒(けいかい)しろ。(わたくし)羽化(うか)()えたら、即座(そくざ)(くも)(なか)()()め。(きも)(めい)じよ、(きも)(めい)じよ」神遊蛊(しんゆうこ)はそう()(のこ)して、(しず)かに(いき)(ひそ)めた。


太日陽莽(たいじつようもう)(たか)らかに(わら)った:「()よ、安心(あんしん)せよ。平凡深渊(へいぼんしんえん)(くぐ)()け、毛民(もうみん)()でも()()び、名声蛊(めいせいこ)()虚栄(きょえい)見抜(みぬ)いた。栄光(えいこう)()など、()()(なに)もできぬわ!」


「それなら安心(あんしん)だ」神遊蛊(しんゆうこ)(こえ)次第(しだい)にか(ぼそ)くなり、燦然(さんぜん)たる陽光(ようこう)一本一本(いっぽんいっぽん)(いと)へと(ぎょう)(しゅく)し、(ひかり)(まゆ)(つむ)()した——神遊蛊(しんゆうこ)玉竹(ぎょくちく)(つつ)()むように。


太日陽莽(たいじつようもう)真白(ましろ)(つばさ)(ふる)わせ、太陽(たいよう)()かって()(つづ)けた。


その途上(とじょう)(ひかり)(まゆ)次第(しだい)(おも)く、(あつ)くなっていった。


しばらくすると、(ひかり)(まゆ)突然(とつぜん)(ふる)(やぶ)れ、(なか)から緑色(みどりいろ)蛍光(けいこう)(はな)優雅(ゆうが)(ちょう)()()した:「ついに成功(せいこう)したぞ!今日(きょう)から(わたし)神遊蛊(しんゆうこ)ではなく、定仙遊蛊(ていせんゆこ)だ!はっはっはっ!」


定仙遊蛊(ていせんゆこ)(うれ)しそうに太日陽莽(たいじつようもう)(まわ)りを()い、突然(とつぜん)(おどろ)いた(こえ)()げた:「あっ!大変(たいへん)だ!太日陽莽(たいじつようもう)(きみ)(つばさ)()てくれ!」


陽光(ようこう)()びて、太日陽莽(たいじつようもう)背中(せなか)純白(じゅんぱく)(つばさ)は、なんと(もと)三倍(さんばい)の大き(おおき)さに(ふく)らんでいた!


大騒(おおさわ)ぎするなよ、とっくに()づいている。(なん)問題(もんだい)もない。(つばさ)が大き(おおき)ければ大き(おおき)いほど力強(ちからづよ)くなり、より(たか)く、より(はや)()べるのだからな!」太日陽莽(たいじつようもう)高笑(たかわら)いした。


(はや)(くも)(なか)(かく)れろ、もう()ぶのは()めろ」定仙遊蛊(ていせんゆこ)(うれ)いを()めて()った。


大丈夫(だいじょうぶ)だ、問題(もんだい)ない」太日陽莽(たいじつようもう)(まった)()()めなかった。


背中(せなか)自我(じが)(つばさ)は、ますます巨大(きょだい)成長(せいちょう)し、ついには(かれ)全身(ぜんしん)よりも大き(おおき)くなった。太日陽莽(たいじつようもう)(つばさ)()るわせれば、飛翔(ひしょう)速度(そくど)はますます(はや)くなっていった。


定仙遊蛊(ていせんゆこ)よ、九重天(ここのえてん)のさらに(うえ)には、(なに)があると思う(おもう)?」(かれ)はさらに(たか)みを目指(めざ)して突進(とっしん)した。


()めてくれ、もう()ぶのは()めてくれ! もし()ちたら、(わたし)には(たす)けられない!」定仙遊蛊(ていせんゆこ)(ふか)(うれ)えた。


(なん)心配(しんぱい)もない!()ちるはずがないだろう?()てみろ、この(わたし)(つばさ)を!なんと(つよ)く、なんと力強(ちからづよ)いことか!」太日陽莽(たいじつようもう)がそう反論(はんろん)した直後(ちょくご)背中(せなか)(つばさ)限界(げんかい)まで膨張(ぼうちょう)し、爆発(ばくはつ)した!


(つばさ)(うしな)った太日陽莽(たいじつようもう)は、瞬時(しゅんじ)墜落(ついらく)(はじ)めた。


ついに地面(じめん)(たた)きつけられ、粉々(こなごな)に(くだ)()った。人祖(じんそ)長子(ちょうし)は、こうして(いのち)()としたのだった。


……


南疆(なんきょう)火炭山(かたんざん)


赤褐色(あかかっしょく)岩肌(いわはだ)(うえ)に、(ひと)つの酒壜(さかだる)()かれている。火炭山(かたんざん)地熱(じねつ)(あたた)められ、(さけ)()えず適温(てきおん)(たも)っていた。


()()()(なか)方源(ほうげん)(さかずき)(かか)げ、一気(いっき)()()した。「この綿曲酒(めんきょくしゅ)は、(ぬる)めて()むに(かぎ)る」満足(まんぞく)げに(つぶや)いた。


(かたわ)らに(すわ)白凝冰(はくぎょうひょう)は、手前(てまえ)(さけ)には()を付けず、三叉山(さんさざん)方向(ほうこう)(はる)かに()つめていた。


その(さき)には、三色(さんしょく)光柱(こうちゅう)(てん)()き、蒼穹(そうきゅう)(つらぬ)いていた。


「よくもまあ、(さけ)()んでいられるものだな? もう数ヶ(すうかげつ)()ぎ、三王伝承(さんおうでんしょう)二度(にど)(ひら)かれた。鉄慕白(てつぼはく)三叉山(さんさざん)制圧(せいあつ)し、魔道(まとう)蛊師(こし)全員(ぜんいん)()(はら)った。この数ヶ(すうかげつ)、我々(われわれ)は火炭山(かたんざん)(ひそ)み、ただ(なが)めているだけか?」白凝冰(はくぎょうひょう)不満(ふまん)げに()った。


彼女(かのじょ)()(おそ)れない。ただ、最も(かがや)かしい(いのち)()(もと)めたいだけだ。


鉄家四老(てつけしろう)包囲(ほうい)された刺激(しげき)か、あるいは方源(ほうげん)実力(じつりょく)自分(じぶん)()()した焦燥感(しょうそうかん)か——ここ数日(すうじつ)彼女(かのじょ)(やす)むことなく修練(しゅうれん)(はげ)んでいる。(みずか)らの資質(ししつ)危険(きけん)なほど(たか)まっていることなど、(まった)()(かい)さずに。


私見(しけん)では、我々(われわれ)も三王伝承(さんおうでんしょう)(くぐ)()める。鉄慕白(てつぼはく)らが伝承(でんしょう)(はい)った瞬間(しゅんかん)(ねら)えばよい。この(わたし)たちの実力(じつりょく)なら、三叉山(さんさざん)(のこ)っている(もの)阻止(そし)できる(もの)はいない」白凝冰(はくぎょうひょう)大胆不敵(だいたんふてき)()()った。


しかし方源(ほうげん)悠然(ゆうぜん)()()った:「(あわ)てるな、(あせ)るな。鉄慕白(てつぼはく)は『鉄家(てつけ)栄光(えいこう)』と(たた)えられ、前代(ぜんだい)族長(ぞくちょう)五转巅峰(ごてんてんぽう)実力者(じつりょくしゃ)だ。我々(われわれ)など、(かれ)足元(あしもと)()(ねずみ)同然(どうぜん)だ。あの大人物(だいじんぶつ)には、もっと(たか)く、もっと(たか)()んでもらおう」


そう()()えると、(かれ)(さかずき)(かか)げ、三叉山(さんさざん)方向(ほうこう)()けて、(かす)かに(わら)いながら(つぶや)いた:「さあ、鉄慕白(てつぼはく)大先輩(だいせんぱい)末輩(まっぱい)(わたくし)が、一献(いっこん)()()げます」


白凝冰(はくぎょうひょう)方源(ほうげん)一瞥(いちべつ)する、その漆黒(しっこく)(ひとみ)は、深淵(しんえん)のように底知(そこし)れず、(はか)()れない(ふか)みを宿(やど)していた。













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