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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第百六十五節:狐仙福地开启

方源(ほうげん)は元々(もともと)三叉山(さんさざん)では、(ちい)さな()()れている程度(ていど)だった。しかし鉄霸修(てつはしゅう)との一戦(いっせん)()て、その()南疆(なんきょう)全土(ぜんど)(とどろ)き、(まこと)意味(いみ)名声(めいせい)(はく)し、(だれ)もが()魔道(まとう)天才(てんさい)となった。


この()らせは(つた)わるや、数多(あまた)人物(じんぶつ)注目(ちゅうもく)(あつ)めた。


その(なか)には、長年(ながねん)閉関(へいかん)していた強者(きょうしゃ)もいれば、天下(てんか)(また)にかける蛊師(こし)もいた。正道(せいどう)警戒(けいかい)し、魔道(まとう)は虎視眈々(こしたんたん)と(ねら)う——まさに方源(ほうげん)(かれ)らの視野(しや)強引(ごういん)()()んだのだ。


ある(もの)一時的(いちじてき)退避(たいひ)(えら)んだ——百歳童子(ひゃくさいどうじ)のように。ある(もの)は——李閑(りかん)狐魅児(こみじ)のように——暗中(あんちゅう)(なみ)助長(じょちょう)した。またある(もの)戦意(せんい)()やし、(じか)挑戦(ちょうせん)公言(こうげん)した。


(またた)()風雲急(ふううんきゅう)()げ、無数(むすう)波濤(はとう)方源(ほうげん)(おそ)いかかってきた。


三叉山(さんさざん)、とある洞窟(どうくつ)(おく)


方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)()かい()って(すわ)り、方源(ほうげん)両掌(りょうしょう)白凝冰(はくぎょうひょう)背中(せなか)()て、真元(しんげん)(そそ)()んでいた。


白凝冰(はくぎょうひょう)空窍(くうきょう)(なか)精金真元(せいきんしんげん)(てん)から()ける瀑布(ばくふ)(ごと)く轟々(ごうごう)と(なが)()ち、真元(しんげん)(うみ)激突(げきとつ)して無数(むすう)飛沫(しぶき)()げていた。


真元(しんげん)海面(かいめん)怒涛(どとう)のように()()ち、()()なく周囲(しゅうい)空窍(くうきょう)(かべ)(あら)(なが)していた。


方源(ほうげん)四转中階(してんちゅうかい)蛊師(こし)で、明金真元(めいきんしんげん)(ゆう)する。九眼酒虫(きゅうがんしゅちゅう)作用(さよう)で、さらに精金真元(せいきんしんげん)へと純化(じゅんか)されていた。(いま)骨肉团圆蛊(こつにくだんえんこ)(つう)じて、白凝冰(はくぎょうひょう)空窍(くうきょう)(そそ)()み、彼女(かのじょ)空窍(くうきょう)(かべ)温養(おんよう)し、基盤(きばん)強化(きょうか)していた。


数时辰後(すうじこんご)方源(ほうげん)両掌(りょうしょう)()(はな)し、白凝冰(はくぎょうひょう)(おもむ)ろに()()けた。


彼女(かのじょ)表情(ひょうじょう)平然(へいぜん)としていた。


方源(ほうげん)救援(きゅうえん)(ひと)つも感謝(かんしゃ)(しめ)さず、救援(きゅうえん)(おく)らせたことにも(いっ)さい(いか)りを()せなかった。


彼女(かのじょ)(きわ)めて平然(へいぜん)としていた——まるで自分(じぶん)包囲(ほうい)された出来事(できごと)など、最初(さいしょ)から存在(そんざい)しなかったかのように。


しかし(こころ)(うち)は、複雑(ふくざつ)きわまりなかった。


これまでずっと、彼女(かのじょ)方源(ほうげん)より修行(しゅうぎょう)(まさ)っていた。だが(いま)この(とき)、かえって骨肉团圆蛊(こつにくだんえんこ)恩恵(おんけい)()ける(がわ)となっていた。


精金真元(せいきんしんげん)がもたらした(たす)けは、彼女(かのじょ)にとってかなりのものだった——畢竟(ひっきょう)彼女(かのじょ)修為(しゅうい)依然(いぜん)として四转初階(してんしょかい)だったのだから。


「どうやら、方源(ほうげん)(とも)修行(しゅうぎょう)するのも、(わる)くないようだ…」この(おも)いが(あたま)をかすめた瞬間(しゅんかん)白凝冰(はくぎょうひょう)電光石火(でんこうせっか)(はや)さで()()した。


彼女(かのじょ)はゆっくりと立ち()がり、(ひや)やかな口調(くちょう)で、やや(あざけ)るように()った:「最近(さいきん)(うわさ)()いたか? お(まえ)三王伝承(さんおうでんしょう)(おお)いなる秘密(ひみつ)(にぎ)っていると、(みんな)(さわ)いでいる。お(まえ)突然(とつぜん)飛行術(ひこうじゅつ)会得(えとく)したのも、信王(しんおう)伝承(でんしょう)からだとか。ふふ、()をつけた(ほう)がいいぞ。(いま)鉄家(てつけ)激怒(げきど)し、(おおやけ)にお(まえ)大敵(たいてき)宣言(せんげん)した。捕縛文書(ほばくぶんしょ)南疆(なんきょう)(じゅう)(ひろ)まった」


方源(ほうげん)依然(いぜん)(ゆか)()し、淡々(たんたん)と(こた)えた:「ふふ、お(まえ)(おれ)関係(かんけい)周知(しゅうち)事実(じじつ)だ。鉄家(てつけ)(おれ)(ねら)えば、お(まえ)(けっ)して(のが)れられないぞ」


「ふん。前夜(ぜんや)はお(まえ)修行(しゅうぎょう)(つづ)けろ、(おれ)見張(みは)る。後夜(こうや)になったら交代(こうたい)だ」そう()うと、白凝冰(はくぎょうひょう)(そと)()()った。


(いま)状況(じょうきょう)三叉山(さんさざん)()当初(とうしょ)より、はるかに危険(きけん)()ちている。方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)は、可能(かのう)(かぎ)同時(どうじ)修行(しゅうぎょう)しないようにしていた。


洞窟(どうくつ)奥深(おくふか)くには、方源(ほうげん)一人(ひとり)(のこ)された。


しかし(かれ)(いそ)いで修行(しゅうぎょう)(はじ)めようとはせず、(ふか)思案(しあん)(しず)んでいた。


鉄家(てつけ)反応(はんのう)は、とっくに(かれ)予想(よそう)範囲内(はんいない)だった。鉄家(てつけ)長老(ちょうろう)(ころ)し、若様(わかさま)追撃(ついげき)するなど、鉄家(てつけ)限界(げんかい)露骨(ろこつ)()みにじったのだ。鉄家(てつけ)(ちょう)大家族(だいかぞく)であり、正道(せいどう)巨頭(きょとう)だ——この屈辱(くつじょく)(だま)って()えるはずがない!これから(はじ)まる報復(ほうふく)は、(かなら)ずや激烈(げきれつ)なものになるだろう。


鉄家(てつけ)以外(いがい)にも、厄介(やっかい)問題(もんだい)山積(さんせき)している。


商家(しょうか)武家(ぶけ)といった正道(せいどう)狐魅児(こみじ)李閑(りかん)百歳童子(ひゃくさいどうじ)魔道(まとう)蛊師(こし)たち…


これこそが名声(めいせい)()代償(だいしょう)だ!


方源(ほうげん)一戦(いっせん)()()せたが、同時(どうじ)(みずか)らを(あらし)()(なか)()たせた——無数(むすう)(もの)注目(ちゅうもく)()び、四方八方(しほうはっぽう)から()()せる(さぐ)りの暗流(あんりゅう)や、(かれ)()()もうとする波濤(はとう)が、巨大(きょだい)(うず)へと収束(しゅうそく)していた。


前世(ぜんせ)経験(けいけん)から、方源(ほうげん)はこの試練(しれん)(さと)っていた。


もしこの(うず)()()し、()()せる怒濤(どとう)()()ければ、(まこと)確固(かっこ)たる地位(ちい)(きず)き、南疆(なんきょう)(ひろ)(みと)められる強者(きょうしゃ)となれる。


しかし(うず)()()まれ粉々(こなごな)にされるなら、すべてが(みず)(あわ)となる。


(いま)神盗(しんとう)陸鑽風(りくさんふう)が度々(たびたび)鎮魔塔(ちんまとう)潜入(せんにゅう)し、鉄家(てつけ)大混乱(だいこんらん)(おとしい)れている。鉄家(てつけ)本腰(ほんごし)()れて(おれ)(ねら)ってくるまでには、(すく)なくとも(ひと)(つき)(ふた)(つき)はかかるだろう。こちらはしばらく()いておける」


(そと)(なが)れてる『(おれ)伝承(でんしょう)大秘密(だいひみつ)(にぎ)ってる』って(うわさ)は、おそらく李閑(りかん)狐魅児(こみじ)暗躍(あんやく)だ。ふん、いつか(かなら)始末(しまつ)してやる。ただし李閑(りかん)(いま)のところ利用価値(りようかち)がある。一方(いっぽう)狐魅児(こみじ)(はい)には六转蛊仙(ろくてんこせん)(ひか)えている——慎重(しんちょう)計略(けいりゃく)()らねばならん」


三王伝承(さんおうでんしょう)は、大き()ぎる獲物(えもの)だ。(おれ)一人(ひとり)では到底(とうてい)()()くせず、(かなめ)部分(ぶぶん)だけを(えら)()くしかない。しかし百戦不殆蛊(ひゃくせんふたいこ)のような核心(かくしん)()にできれば、この(たび)絶対(ぜったい)無駄(むだ)ではない。実力(じつりょく)飛躍的(ひやくてき)向上(こうじょう)し、(つぎ)義天山(ぎてんざん)大戦(たいせん)(おお)いに役立(やくだ)つだろう」


方源(ほうげん)(あたま)のなかで思考(しこう)渦巻(うずま)き、自然(しぜん)中洲(ちゅうしゅう)へと()んだ。


(とき)(かんが)えれば、中洲(ちゅうしゅう)天梯山(てんていざん)にある狐仙伝承(こせんでんしょう)は、もう(ひら)かれたはずだ?これは(まこと)蛊仙伝承(こせんでんしょう)であり、三王伝承(さんおうでんしょう)より何倍(なんばい)貴重(きちょう)だ! あの鳳金煌(ほうきんこう)は、この伝承(でんしょう)蛊仙(こせん)となり、(のち)天下(てんか)(ふる)わす存在(そんざい)となったのだ…」


その(ころ)中洲(ちゅうしゅう)天梯山(てんていざん)(ふもと)では——


中洲十派(ちゅうしゅうじゅっぱ)精鋭弟子(せいえいでし)たちが、(ひと)つに集結(しゅうけつ)していた。


人々(ひとびと)の(なか)(まこと)古月方正(こげつほうせい)(しず)かに(よど)んだ(いき)()いた——数ヶ(すうかげつ)(わた)った大比武(だいぶい)が、ついに終結(しゅうけつ)したのだ。


数ヶ月前(すうかげつまえ)十派(じゅっぱ)同時(どうじ)師命(しめい)(くだ)し、精鋭(せいえい)たちによる大規模(だいきぼ)比武(ぶい)組織(そしき)して順位(じゅんい)()めさせた。


中洲十派(ちゅうしゅうじゅっぱ)最強(さいきょう)伝承(でんしょう)(ゆう)する。この世代(せだい)精鋭弟子(せいえいでし)は、(ひと)(ひと)りが人傑(じんけつ)であり、(てん)寵児(ちょうじ)だ。最下位(さいかい)(もの)でさえ、(ひと)つや(ふた)つは()(あじ)(するど)(おく)()(かく)()っていた。


碧霞仙子(へきかせんし)のせいで、古月方正(こげつほうせい)の日々(ひび)は(くる)しいものだった。


大比武(だいぶい)では、数多(あまた)対戦相手(たいせんあいて)(ふか)敵意(てきい)(いだ)き、方正(ほうせい)容赦(ようしゃ)ない攻撃(こうげき)(くわ)えた。(さいわ)方正(ほうせい)(あつ)底力(そこぢから)()ち、鉄嘴飛鶴群(てっしひかくぐん)(したが)え、寄魂蚤(きこんそう)宿(やど)白鶴上人(はくかくしょうにん)実戦指導(じっせんしどう)()けながら、苦戦(くせん)(かさ)ねつつも一関(いっかん)また一関(いっかん)()()え、比較的(ひかくてき)上位(じょうい)席次(せきじ)()た。


その(とき)天梯山(てんていざん)上空(じょうくう)で、(じゅう)無形(むけい)蛊仙神念(こせんしんねん)が、(ひそ)やかに交信(こうしん)()わしていた。


「この世代(せだい)精鋭(せいえい)たちは、全体(ぜんたい)として()(いち)通り(とおり)だ。だが、それでも(すぐ)れた若手(わかて)何人(なんにん)(そだ)ってきた」


「うむ… 霊蝶谷(れいちょうこく)蕭七星(しょうしちせい)は、なかなかの(もの)だ。(わたし)記憶(きおく)(ただ)しければ、(かれ)蕭白虹(しょうはくこう)曾孫(ひまご)ではなかったか?」


万龍塢(ばんりゅうお)応生機(おうせいき)大変(たいへん)(すぐ)れている。やはり竜女様(りゅうじょさま)薫陶(くんとう)賜物(たまもの)だな」


「ふふふ、とんでもない。貴殿(きでん)孫娘(まごむすめ)鳳金煌(ほうきんこう)こそ、同世代(どうせだい)相手(あいて)(たたか)い、()かう(もの)もないほど、(まこと)傑出(けっしゅつ)している」


「さあ、お世辞(せじ)()()うのはそろそろ()わりにしよう。(みな)協力(きょうりょく)し、狐仙伝承(こせんでんしょう)(とびら)完全(かんぜん)(ひら)こう!」


「そうだな」


「では、(とも)()()そう」


「さあ、(ひら)け!」


虚空(こくう)から(じゅう)無形(むけい)(ちから)噴出(ふんしゅつ)し、その威勢(いせい)大海嘯(だいかいしょう)(ごと)く、山津波(やまつなみ)(ごと)く、圧倒的(あっとうてき)迫力(はくりょく)()()がった!


天地(てんち)(いろ)(うし)ない、風雲(ふううん)(きゅう)()げる。


十道(じゅうどう)(ちから)(たが)いに(うず)()(から)()い、やがて(ひと)つに凝縮(ぎょうしゅく)され、天梯山(てんていざん)一地点(いちちてん)()けて轟音(ごうおん)(とも)()(やぶ)った!


物音(ものおと)一つ(ひとつ)なく、(おそ)るべき無形(むけい)(ちから)忽然(こつぜん)霧散(むさん)した。白金色(はっきんしょく)(ひかり)(なか)朱塗(しゅぬ)りの楼門(ろうもん)悠然(ゆうぜん)浮上(ふじょう)する。


楼門(ろうもん)(たか)十丈(じゅうじょう)九色(きゅうしょく)扁額(へんがく)燦然(さんぜん)(かがや)く。


(そら)には桃色(ももいろ)瑞雲(ずいうん)(あつ)まり、(きら)めく霞光(かこう)(まじ)わって階段(かいだん)となる。


階段(かいだん)楼門(ろうもん)から()()し、(にじ)光橋(ひかりばし)()して、ちょうど精鋭弟子(せいえいでし)たちの足元(あしもと)()かった。


比武(ぶい)順位(じゅんい)(したが)い、一人(ひとり)ずつ(はい)って()け」(そら)から、はるか(とお)くにありながらも十派(じゅっぱ)弟子(でし)たちの(みみ)鮮明(せんめい)(とど)(こえ)(ひび)いた。


これは蛊仙(こせん)(こえ)だった。


十派(じゅっぱ)弟子(でし)たちの(かお)に、畏敬(いけい)熱狂(ねっきょう)()()じった表情(ひょうじょう)()かんだ。大多数(だいたすう)視線(しせん)が、一人(ひとり)少女(しょうじょ)(しゅう)(ちゅう)していた——彼女(かのじょ)鳳冠(ほうかん)(いただ)き、丹鳳眼(たんぽうがん)金色(こんじき)(まゆ)(びん)()び、眉間(みけん)(べに)(あざ)一点(いってん)。その容姿(ようし)端麗(たんれい)気高(けだか)く、かつ比類(ひるい)なき(うつく)しさを(たた)えていた。


これこそが十派大比武(じゅっぱだいぶい)首位(しゅい)()()った(もの)——鳳金煌(ほうきんこう)である!


この少女(しょうじょ)華麗(かれい)(かがや)かしく、(はだ)(ゆき)のように(しろ)く、眼差(まなざ)しは電光(でんこう)(ごと)(するど)い——(てん)()ける鳳凰(ほうおう)(ごと)高雅(こうが)純潔(じゅんけつ)天下(てんか)傲然(ごうぜん)見下(みお)ろす気概(きがい)()ちていた。彼女(かのじょ)(そば)にいる(ほか)精鋭(せいえい)たちは、まるで平凡(へいぼん)(すずめ)のように()えた。


古月方正(こげつほうせい)彼女(かのじょ)対戦(たいせん)した(さい)、わずか六合目(ろくごうめ)()えきれず、無念(むねん)敗北(はいぼく)(きっ)した。


蛊仙(こせん)(こえ)()くや、鳳金煌(ほうきんこう)(すが)しい(さけ)(ごえ)()げ、一筋(ひとすじ)金色(こんじき)(ひかり)()して(てん)()()がった。


金色(こんじき)(ひかり)鳳凰(ほうおう)(かたち)()すと、朱楼門(しゅろうもん)激突(げきとつ)した——その瞬間(しゅんかん)朱楼門(しゅろうもん)(かす)かに(ふる)え、(うつ)ろな空間(くうかん)()け、鳳金煌(ほうきんこう)()()んだ!


鳳金煌(ほうきんこう)(あと)蕭七星(しょうしちせい)応生機(おうせいき)らが次々(つぎつぎ)と狐仙伝承(こせんでんしょう)(はい)っていった。


二三十人(にさんじゅうにん)(はい)った(あと)、ついに古月方正(こげつほうせい)(ばん)(まわ)ってきた。


方正(ほうせい)虹橋(にじばし)(ある)き、楼門(ろうもん)()()んだ。すると(てん)()(まわ)()し、眼前(がんぜん)色彩(しきさい)(うず)()き、百花繚乱(ひゃっかりょうらん)(ごと)く、まばゆい竜巻(たつまき)(あらし)()(なか)(ほう)()されたような感覚(かんかく)(おそ)われた——(かぜ)(なが)されるままだった。


「くすくす…」可愛(かわい)らしく桃色(ももいろ)(ほお)をした女児(じょじ)が、突然(とつぜん)(かれ)視界(しかい)()()んできた。


「あなたも狐仙伝承(こせんでんしょう)()ごうとする有縁者(うえんしゃ)なの? すぐに(やま)(あらわ)れるわ。一番(いちばん)(はじ)めに頂上(ちょうじょう)(のぼ)った(もの)だけが、(わたし)()()れられるのよ。頑張(がんば)ってね。あなたの(まえ)にいる(ひと)たちは、もうずっと(さき)()ってるんだから。くすくす…」女児(じょじ)(あざ)やかな(いろど)りの衣装(いしょう)()にまとい、背中(せなか)には()(しろ)(きつね)()がいたずらっぽく()ね、ぱっちりとした(まる)(ひとみ)無垢(むく)(かがや)きを宿(やど)らせていた。


「あ、あなたは…(だれ)?」方正(ほうせい)(おどろ)きと(うたが)いの(ねん)()られ、蛊仙(こせん)()にこんな少女(しょうじょ)(あらわ)れる理由(りゆう)理解(りかい)できなかった。


「ふふ、なんて間抜(まぬ)けな()なんだろう」女児(じょじ)はそう()うと、(あそ)(ごころ)たっぷりに桃色(ももいろ)(しろ)(やわ)らかな小指(こゆび)()ばし、方正(ほうせい)(ひたい)(かる)くツンと()いた。


すると、突然現(とつぜんあらわ)れた(とき)と同じ(おな)じように、彼女(かのじょ)(かげ)(かたち)もなく()()った。


女児(じょじ)(ゆび)()れた瞬間(しゅんかん)(はね)のように(かる)やかだった方正(ほうせい)(からだ)突然(とつぜん)(おも)みを取り(とりもど)し、急降下(きゅうこうか)(はじ)めた。


「ああっ——!」(はげ)しい無重力感(むじゅうりょくかん)(おそ)われ、方正(ほうせい)(おも)わず悲鳴(ひめい)()げた。


()駆使(くし)しようとしたが、恐怖(きょうふ)(きも)をつぶした——空窍(くうきょう)全体(ぜんたい)無形(むけい)(ちから)(ふう)じられ、()(ちから)使(つか)えなかったのだ。「まさか(おれ)古月方正(こげつほうせい)が、こんな場所(ばしょ)墜落死(ついらくし)するなんて… わけもわからず(いのち)()とすのか?!」











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