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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第百六十三節:一vs七(終)

方源(ほうげん)のこの冷徹(れいてつ)さに、鉄霸修(てつはしゅう)(こころ)(こお)りつくような衝撃(しょうげき)(おぼ)えた。


(たたか)いの(はじ)め、鉄霸修(てつはしゅう)(けっ)して予想(よそう)していなかった——(みずか)らが劣勢(れっせい)()たされることなど。


しかし(いま)()()せた鉄家(てつけ)大黒柱(だいこくばしら)(みと)めざるを()なかった——(おの)れが(あや)うき状況(じょうきょう)にあることを。


この窮地(きゅうち)(まね)いた張本人(ちょうほんにん)は、まさに眼前(がんぜん)若者(わかもの)だった!


たった(ひと)りで七人(しちにん)相手(あいて)に、(おの)らをここまで()()んだ。


いったいどうやって…?


小獣王(しょうじゅうおう)(あらわ)れたその瞬間(しゅんかん)から、(かれ)一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)一言一句(いちごんいっく)は、全て(すべて)(わな)仕掛(しか)け、(ふか)思惑(おもわく)()め、我々(われわれ)七人(しちにん)(おとしい)れるためのものだった。(かれ)飛行蛊(ひこうこ)(あやつ)り、かくも熟練(じゅくれん)した飛行術(ひこうじゅつ)()つとは、まったくの予想外(よそうがい)だった。この飛行能力(ひこうのうりょく)(たの)みに、主導権(しゅどうけん)(にぎ)り、自由自在(じゆうじざい)進退(しんたい)し、一人(ひとり)また一人(ひとり)惨殺(ざんさつ)し、ついにこのような局面(きょくめん)(まね)いたのだ」


鉄霸修(てつはしゅう)はこの経緯(いきさつ)()(かえ)り、(こころ)(そこ)から()()った。


方源(ほうげん)がどうやってこの神業(かみわざ)のような飛行術(ひこうじゅつ)()()けたかは、もはや最も(もっとも)(おそ)ろしいことではない。


「この若者(わかもの)()(おそ)ろしいところは、その(こころ)頭脳(ずのう)だ。こんな(わか)(ぞう)が、どうしてこれほど緻密(ちみつ)謀略(ぼうりゃく)(りょく)()てるのか? まったく()(もの)だ! もし正道(せいどう)()かせば、(かれ)は最も(もっとも)(かがや)かしい正道(せいどう)新星(しんせい)となっただろう。しかし残念(ざんねん)なことに、(かれ)はその知恵(ちえ)(よこしま)(みち)使(つか)っている。これこそ天下(てんか)蒼生(そうせい)にとっての災禍(さいか)だ!」


鉄霸修(てつはしゅう)突然(とつぜん)眼前(がんぜん)のこの少年(しょうねん)がいつか南疆(なんきょう)全体(ぜんたい)大災厄(だいさいやく)となる予感(よかん)(おそ)われた。その(とき)には、赤地千里(せきちせんり)()(かわ)(なが)れ、どれほどの生霊(せいれい)(かれ)毒牙(どくが)にかかるか()からない!


「まずい、(いま)状況(じょうきょう)危険(きけん)(きわ)まりない。鉄若男(てつじゃくなん)(たたか)えず、(おれ)遠距離攻撃(えんきょりこうげき)苦手(にがて)一方(いっぽう)小獣王(しょうじゅうおう)飛行(ひこう)自由自在(じゆうじざい)(たたか)うも()げるも全て(すべて)(かれ)(おも)いのままだ。撤退(てったい)だ——(かなら)三叉山(さんさざん)退(しりぞ)き、四老(しろう)合流(ごうりゅう)せねば!」


鉄霸修(てつはしゅう)名声(めいせい)(たか)きにも(かか)わらず、(こころ)()(あし)つけ、名利(めいり)(まど)わされない。


(たし)かに、土霸王蛊(どはおうこ)()()ない強化(きょうか)で、(かれ)霸力蛊(はりょくこ)はますます(つよ)くなっていき、いずれ方源(ほうげん)現在(げんざい)限界(げんかい)()えるだろう。


しかし鉄霸修(てつはしゅう)(みずか)らの武力(ぶりょく)(おぼ)れない。老獪(ろうかい)(かれ)は、(ひと)()(おの)れの()かれた真実(しんじつ)状況(じょうきょう)見抜(みぬ)いた——(たたか)いを(つづ)ければ凶多吉少(きょうたきっしょう)最善(さいぜん)(さく)撤退(てったい)であると。


たとえ後進(こうしん)若輩(じゃくはい)()()められて()げる羽目(はめ)になろうとも、(かま)わない。名声(めいせい)()()ちようが、(いのち)()とすよりはましだ。


「ましてや、血冷(けつれい)大哥(あにき)、あなたの後裔(こうえい)を、この(おれ)眼前(がんぜん)()なせるわけにはいかない!」そう(おも)(いた)ると、鉄霸修(てつはしゅう)即座(そくざ)決断(けつだん)し、鉄若男(てつじゃくなん)(うで)(つか)んで撤退(てったい)(はじ)めた。


「ん? ()げる()か!」方源(ほうげん)両眼(りょうがん)(するど)(ひかり)(ほとばし)らせた。


(かれ)非常(ひじょう)厄介(やっかい)(かん)じた。


鉄霸修(てつはしゅう)のこの撤退(てったい)は、(じつ)賢明(けんめい)きわまりない。この場所(ばしょ)三叉山(さんさざん)(ちか)く、もし鉄家四老(てつけしろう)支援(しえん)()()めば、今度(こんど)方源(ほうげん)撤退(てったい)せざるを()なくなる。


()!」方源(ほうげん)当然(とうぜん)、このような状況(じょうきょう)放置(ほうち)するわけにはいかない。


(かれ)(ゆび)一振(ひとふ)りし、全力以(ぜんりょくも)って()力気蛊(りききこ)催動(さいどう)獣影(じゅうえい)(きょ)から(じつ)へと()わり、次々(つぎつぎ)と()(そそ)ぎ、鉄霸修(てつはしゅう)退路(たいろ)(さえぎ)った。


しかし鉄霸修(てつはしゅう)実力(じつりょく)強靭(きょうじん)拳脚(けんきゃく)(まじ)えるたびに風雷(ふうらい)(とどろ)き、獣影(じゅうえい)()()らした。


その(とき)方源(ほうげん)突然(とつぜん)攻撃目標(こうげきもくひょう)()え、獣影(じゅうえい)のすべてを鉄若男(てつじゃくなん)()けた!


卑劣(ひれつ)!」鉄霸修(てつはしゅう)(ののし)りながら、()(てい)して鉄若男(てつじゃくなん)(まも)った。


方源(ほうげん)はこの様子(ようす)()高笑(たかわら)いした——鉄霸修(てつはしゅう)鉄若男(てつじゃくなん)()てて一人(ひとり)()げれば、方源(ほうげん)(はば)めなかっただろう。しかし(かれ)鉄若男(てつじゃくなん)(まも)選択(せんたく)は、(みずか)墓穴(ぼけつ)()るようなものだ。


(なに)しろ(かれ)防御(ぼうぎょ)蛊師(こし)ではなく、攻撃(こうげき)得意(とくい)とする。


鉄若男(てつじゃくなん)守護(しゅご)する以上(いじょう)(おの)れを犠牲(ぎせい)にせざるを()ず、身動(みうご)きが()れなくなる。これは(てき)長所(ちょうしょ)(みずか)らの短所(たんしょ)(さら)すに(ひと)しい。


()げる(もの)()(もの)追走劇(ついそうげき)は、こうして膠着(こうちゃく)状態(じょうたい)(おちい)った。


鉄霸修(てつはしゅう)がどれほど怒号(どごう)挑発(ちょうはつ)しても、方源(ほうげん)空中(くうちゅう)()い、獣影(じゅうえい)攻撃(こうげき)(つづ)けるだけだ。


鉄霸修(てつはしゅう)方源(ほうげん)攻撃(こうげき)できず、()()(てっ)するしかない。さらに鉄若男(てつじゃくなん)守護(しゅご)するため、()もなく軽傷(けいしょう)()った。


(かれ)(あき)らかに四转中階(してんちゅうかい)なのに、どうして真元(しんげん)がこれほど豊富(ほうふ)なんだ?」鉄霸修(てつはしゅう)は徐々(じょじょ)に絶望(ぜつぼう)(かん)(はじ)めた。(かれ)()(よし)もない——方源(ほうげん)には酒虫(しゅちゅう)だけでなく天元宝蓮(てんげんほうれん)もあり、真元量(しんげんりょう)四转高階(してんこうかい)凌駕(りょうが)していることを。


方源(ほうげん)攻撃(こうげき)狂瀾怒濤(きょうらんどとう)(ごと)く、途切(とぎ)れることなく(つづ)く。(ひと)つの獣影(じゅうえい)()(たお)しても、すぐに(つぎ)獣影(じゅうえい)(おそ)()かる。獣影(じゅうえい)は次々(つぎつぎ)と()()せ、(たお)れても(たお)れても(あら)たな(かげ)(あらわ)れる。(なか)でも時折(ときおり)(はな)たれる雷猪(らいちょ)岩鰐(がんわに)獣影(じゅうえい)は、特に鉄若男(てつじゃくなん)にとって脅威(きょうい)となった。


鉄霸修(てつはしゅう)防御(ぼうぎょ)()われて疲労困憊(ひろうこんぱい)次第(しだい)(ささ)えきれなくなり、(ちから)()()かないのを(かん)じていた。


四老(しろう)はまだか…!」鉄霸修(てつはしゅう)必死(ひっし)()(つづ)け、三叉山(さんさざん)(ちか)づいているのに、四老(しろう)姿(すがた)()えない。


(かれ)らが(えら)んだ経路(けいろ)秘匿(ひとく)(せい)(たか)すぎた。情報(じょうほう)漏洩(ろうえい)(ふせ)ぐため、わざと二日(ふつか)(はや)出発(しゅっぱつ)していたのだ。


この周到(しゅうとう)準備(じゅんび)が、(いま)となっては鉄霸修(てつはしゅう)()(みち)(はば)障害(しょうがい)となっていた。


鉄霸修(てつはしゅう)極度(きょくど)受動(じゅどう)(てき)状況(じょうきょう)(おちい)り、()った(きず)次第(しだい)(おも)くなり、軽傷(けいしょう)から重傷(じゅうしょう)へと()わっていった。


獣影(じゅうえい)脅威(きょうい)()一方(いっぽう)で、(かれ)足取(あしど)りは(おも)くなるばかりだった!


鉄若男(てつじゃくなん)最大(さいだい)重荷(おもに)となり、必死(ひっし)抵抗(ていこう)する彼女(かのじょ)を、鉄霸修(てつはしゅう)仕方(しかた)なく()(こん)かし、小脇(こわき)(かか)えて(はこ)んだ。


「もう山麓(さんろく)まで(ちか)い、あと(すこ)()()れ…」鉄霸修(てつはしゅう)(からだ)はよろめき、視界(しかい)はすでに(かす)んでいた。


「まさか()がすのか? くそっ!」空中(くうちゅう)方源(ほうげん)顔色(かおいろ)(けわ)しくし、攻撃(こうげき)一層(いっそう)激烈(げきれつ)にした——怒濤(どとう)(ごと)猛攻(もうこう)(おそ)いかかる。


三叉山(さんさざん)(ちか)づくにつれ、周囲(しゅうい)蛊師(こし)姿(すがた)(あらわ)(はじ)めた。


戦闘(せんとう)だ! あれは小獣王(しょうじゅうおう)!」


「なんと! まさか… ()げられているのは『当世(とうせい)覇王(はおう)』、鉄家(てつけ)大黒柱(だいこくばしら)鉄霸修(てつはしゅう)では!?」


小獣王(しょうじゅうおう)(てん)(さか)らうか! 四转高階(してんこうかい)鉄霸修(てつはしゅう)()いかけ(まわ)して(ころ)そうとしている!」


周囲(しゅうい)驚愕(きょうがく)(こえ)()()がった…


一部(いちぶ)正道(せいどう)蛊師(こし)たちは、『当世(とうせい)覇王(はおう)鉄霸修(てつはしゅう)()ちぶれた野良犬(のらいぬ)のように()()められる姿(すがた)目撃(もくげき)し、(こころ)(そこ)から(さむ)さを(かん)じた。


李閑(りかん)(にい)ちゃん、どうして小獣王(しょうじゅうおう)がまだ(あらわ)れないの? 私たち、ここでどれだけ()ってると(おも)うの? あなたの情報(じょうほう)本当(ほんとう)(たし)かなの?」(ひと)つの(かく)れた(すみ)で、狐魅児(こみじ)眼前(がんぜん)(むらさき)光罩(こうしょう)(なが)めながら、退屈(たいくつ)そうにあくびをしていた。


鉄櫃蛊(てっきこ)()わった光罩(こうしょう)(なか)白凝冰(はくぎょうひょう)依然(いぜん)として鉄家四老(てつけしろう)包囲(ほうい)され(つづ)けていた。


情報(じょうほう)間違(まちが)いない、もう(すこ)()とう」李閑(りかん)(くち)ではそう()いながら、(こころ)(うち)(つぶや)いていた——「おかしい、鉄家(てつけ)援軍(えんぐん)()ることは(おし)えたはずだ。どうしてまだ(うご)かない? まさか本当(ほんとう)見殺(みごろ)しにするつもりか?」


もし小獣王(しょうじゅうおう)本当(ほんとう)見殺(みごろ)しにするなら、その冷酷(れいこく)非情(ひじょう)さは、李閑(りかん)でさえも背筋(せすじ)(こお)るほどだ。しかし(たす)けに()れば、両者(りょうしゃ)(いた)()けの混戦(こんせん)となり、(とく)るものも(すく)なくないはずなのに。


二人(ふたり)小声(こごえ)()(ろん)していると、突然(とつぜん)(さわ)がしい(こえ)(ひび)いてきた。


(なに)があったの?」狐魅児(こみじ)()(かえ)るや、(まど)いの表情(ひょうじょう)呆然(ぼうぜん)()わり、呆然(ぼうぜん)がさらに驚愕(きょうがく)へと激変(げきへん)した!


彼女(かのじょ)()()がれた人物(じんぶつ)(あらわ)れた——しかも空中(くうちゅう)()かび、目立(めだ)つように()んでいる!


しかし()てよ…


小獣王(しょうじゅうおう)()いかけている相手(あいて)は、どこか()(おぼ)えがあるような?


「ち…ちくしょう!あれは鉄霸修(てつはしゅう)だぞ! 鉄家(てつけ)の『当世(とうせい)覇王(はおう)』が()われている! なるほど、小獣王(しょうじゅうおう)援軍(えんぐん)遮断(しゃだん)しに()ってたのか!」李閑(りかん)呆然(ぼうぜん)とこの追走劇(ついそうげき)()つめ、(おも)わず罵声(ばせい)()いた。


(かれ)真相(しんそう)(さと)ると同時(どうじ)に、心底(しんそこ)から()()がる驚疑(きょうぎ)衝動(しょうどう)(ふる)えた。


小獣王(しょうじゅうおう)(みずか)(すす)んで鉄家(てつけ)強力(きょうりょく)援軍(えんぐん)遮断(しゃだん)しに()っただと? 一体(いったい)どこからそんな度胸(どきょう)()くんだ? 正気(しょうき)か! いや、正気(しょうき)じゃない——()ったんだ!(いま)鉄霸修(てつはしゅう)()いかけ(まわ)して(ころ)そうとしている!」


鉄霸修(てつはしゅう)四转高階(してんこうかい)蛊師(こし)で、その戦力(せんりょく)尋常(じんじょう)ではない。普通(ふつう)四转巅峰(してんてんぽう)蛊師(こし)すら(かな)わない。三叉山(さんさざん)にいる()人の四转巅峰(してんてんぽう)蛊師(こし)(なか)でも、易火(いか)だけがこの『当世(とうせい)覇王(はおう)』と(かた)(なら)べられる存在(そんざい)だ。


しかし(いま)、その鉄霸修(てつはしゅう)小獣王(しょうじゅうおう)()われ、野良犬(のらいぬ)のように(みじ)めに()(まよ)っている!


「まさか… この()(まぼろし)()ているのか?」ある(もの)(あたま)(かか)え、(しん)じられない様子(ようす)()つめていた。


()(なか)(くる)っている… ()わりようが(はや)すぎる…」(べつ)(もの)呆然(ぼうぜん)(つぶや)いた。


(たす)かった… 小獣王(しょうじゅうおう)本気(ほんき)でやり()わなくて」李閑(りかん)安堵(あんど)すると同時(どうじ)に、背筋(せすじ)(こお)るような後悔(こうかい)(かん)じた。「駄目(だめ)だ、方正(ほうせい)相手(あいて)には慎重(しんちょう)にならねば。こいつは常識(じょうしき)(はか)れる相手(あいて)じゃない」


「たった何日(なんにち)だというのに、四转中階(してんちゅうかい)昇格(しょうか)し、しかも()べるようになっただと!?」狐魅児(こみじ)(むね)()さえ、方源(ほうげん)()(もの)じみた成長速度(せいちょうそくど)心臓(しんぞう)()()そうな(おどろ)きを(おぼ)えた。


魔道(まとう)(ぞく)め!」


(いそ)げ! 鉄霸修(てつはしゅう)(すく)え!」鉄家四老(てつけしろう)状況(じょうきょう)()づき、(あわ)てて鉄櫃蛊(てっきこ)()き、救援(きゅうえん)()()けた。白凝冰(はくぎょうひょう)包囲(ほうい)など、もはや(かんが)えている余裕(よゆう)はなかった。


しかし、(かれ)らの(うご)きは(おそ)すぎた。


「やはり… あと一歩(いっぽ)()りなかったか…」鉄霸修(てつはしゅう)(こころ)(にが)(おり)んでいた。視界(しかい)がかすみ、全身(ぜんしん)(きず)(いた)みすら(かん)じない麻痺(まひ)状態(じょうたい)——方源(ほうげん)攻撃(こうげき)重傷(じゅうしょう)瀕死(ひんし)状態(じょうたい)だった。


(かれ)最期(さいご)まで鉄若男(てつじゃくなん)(まも)(とお)し、(ひと)つも(きず)()わせなかった。


残念(ざんねん)ながら… 小獣王(しょうじゅうおう)一度(いちど)()りて()ず、近接戦(きんせつせん)(いど)んでこなかった。もし(ちか)づいてくれれば、(かなら)仕留(しと)めてやれたのに!」鉄霸修(てつはしゅう)無念(むねん)でならなかった——(かれ)最後(さいご)(かく)(だま)温存(おんぞん)していたのだ。しかし方源(ほうげん)慎重(しんちょう)(きわ)まり、一度(いちど)地上(ちじょう)()りることなく、上空(じょうくう)から猛攻(もうこう)()びせるだけだった。


霸修(はしゅう)よ! ()()れ!」


(いま)すぐ()()ける!」


鉄家四老(てつけしろう)(こえ)(そろ)えて(さけ)び、全速力(ぜんそくりょく)()()せてきた。


「はっはっは! あと一歩(いっぽ)のところで、鉄霸修(てつはしゅう)、お(まえ)土壇場(どたんば)(くじ)けたな!」方源(ほうげん)(てん)(あお)高笑(たかわら)いし、岩鰐(がんわに)獣影(じゅうえい)()(くだ)ろした——ドカッ! 鉄霸修(てつはしゅう)地面(じめん)()(たお)された。


鉄家四老(てつけしろう)()()せてきていたが、あとわずかの距離(きょり)で間に()わなかった。このわずかな()が、結果(けっか)(てん)()()をもたらした。


「すべて()わった」方源(ほうげん)冷徹(れいてつ)表情(ひょうじょう)(ゆび)()し、致命(ちめい)一撃(いちげき)(はな)とうとした。


「いや、まだ()わってなどいない… 鉄櫃蛊(てっきこ)!」鉄霸修(てつはしゅう)最後(さいご)(ちから)()(しぼ)り、(てのひら)鉄若男(てつじゃくなん)背中(せなか)()()てた。


四角(しかく)(てつ)(ひつ)(またた)()(かたち)(づく)られ、鉄若男(てつじゃくなん)密閉(みっぺい)状態(じょうたい)()()めた!


獣影(じゅうえい)(おそ)()り、鉄霸修(てつはしゅう)を粉々(こなごな)に引き()いた。しかし鉄櫃(てっき)微動(びどう)だにせず、(なか)鉄若男(てつじゃくなん)無傷(むきず)だった。


生死(せいし)()かれ()に、鉄霸修(てつはしゅう)最後(さいご)()(のこ)機会(きかい)鉄若男(てつじゃくなん)(ゆず)ったのだった。


霸修(はしゅう)よおおっ!」鉄家四老(てつけしろう)悲鳴(ひめい)(ひび)いた。(かれ)らは現場(げんば)()()けたが、(とき)すでに(おそ)かった。


小獣王(しょうじゅうおう)め! 鉄家(てつけ)はお(まえ)不倶戴天(ふぐたいてん)(てき)だ!」四人(よにん)老人(ろうじん)空中(くうちゅう)方源(ほうげん)(にら)みつけ、()(ころ)してしまいたいほどの(いか)りを爆発(ばくはつ)させた。


「ほう? そうか…」方源(ほうげん)(ひや)やかに嘲笑(あざわら)った。「今回(こんかい)(おれ)鉄家(てつけ)七人衆(しちにんしゅう)襲撃(しゅうげき)し、鉄霸修(てつはしゅう)(ふく)六人(ろくにん)皆殺(みなごろ)しにした。お(まえ)たち四人(よにん)()いぼれ、(おれ)(たお)せると(おも)うのか? ならば()()がって(たたか)ってみろ!」(かれ)両眼(りょうがん)(するど)(ひかり)(はな)ち、まともに()つめることすらできなかった。













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