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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第百六十一節:一vs七(中)

(たたか)いは熾烈(しれつ)(きわ)めていた。


小獣王(しょうじゅうおう)、まさかここまで(おそ)ろしいとは! 我々(われわれ)がこれほどの人数(にんずう)で、なおも()さえ()めきれない!」鉄沐(てつもく)治療(ちりょう)(ほどこ)しながら、戦場(せんじょう)凝視(ぎょうし)し、顔色(かおいろ)()えていた。


(かれ)戦力(せんりょく)爆発的(ばくはつてき)向上(こうじょう)し、もはやこの(いき)(たっ)している!」鉄刀苦(てつとうく)眼前(がんぜん)戦闘(せんとう)()つめ、(みずか)らが()()せないことを(さと)った。


道理(どうり)で我々(われわれ)を(さえぎ)るほど傲慢(ごうまん)だったわけだ… だがたとえお(まえ)がどれほど(たけ)ろうとも、どうということはない! 一人(ひとり)万人(ばんにん)(てき)せず。(たたか)いがここまで(つづ)いても、我々(われわれ)は七人全員(しちにんぜんいん)健在(けんざい)だ! これが団結(だんけつ)(ちから)というもの! 方源(ほうげん)よ、この勝負(しょうぶ)(うたが)いようもなく、お(まえ)()けだ!」鉄若男(てつじゃくなん)(いわ)高台(たかだい)()ち、戦局(せんきょく)見下(みお)ろしながら宣言(せんげん)した。


彼女(かのじょ)視界(しかい)には、鉄霸修(てつはしゅう)六人(ろくにん)方源(ほうげん)(かこ)み、(はげ)しい(たたか)いを()(ひろ)げていた。その戦団(せんだん)周囲(しゅうい)には、(おお)きな(みどり)()(ひろ)がっている——数多(あまた)藤甲草兵(とうこうそうへい)(みっ)包囲網(ほういもう)形作(かたちづく)っていた。


同時(どうじ)に、一部(いちぶ)藤甲草兵(とうこうそうへい)(たが)いに結合(けつごう)し、四转(してん)草剣精兵(そうけんせいへい)へと変貌(へんぼう)しつつあった。


勝敗(しょうはい)()した、小獣王(しょうじゅうおう)! (まわ)りを見渡(みわた)せ! お(まえ)(かさ)なる包囲(ほうい)(なか)だ。まだ(まよ)いを()()れぬのか? 降伏(こうふく)しろ!そうすれば(いのち)だけは(たす)けてやる!」鉄線花(てつせんか)()()がり、方源(ほうげん)戦意(せんい)(くじ)こうとした。


彼女(かのじょ)()った(きず)は、鉄沐(てつもく)治療(ちりょう)(いや)されており、再戦(さいせん)(ちから)(みなぎ)っていた。


方正(ほうせい)、もはや()()はない!これが()(ほど)()らずの代償(だいしょう)だ!」鉄沐(てつもく)鉄線花(てつせんか)(かたわ)らに()ち、同調(どうちょう)するように(さけ)んだ。


「ほう? (つばさ)があっても()げられぬと?」方源(ほうげん)猛然(もうぜん)(ちから)爆発(ばくはつ)させ、鉄霸修(てつはしゅう)一時的(いちじてき)()退()け、口元(くちもと)嘲笑(ちょうしょう)()かべた。「本当(ほんとう)(つばさ)があっても()げられぬというのか? ならば(ため)してみせよう!」


ひゅっ!


激痛(げきつう)(はし)(なか)一対(いっつい)漆黒(しっこく)骨翼(こつよく)が、金属(きんぞく)幽光(ゆうこう)(はな)ちながら、方源(ほうげん)背中(せなか)(ほしいまま)(ひろ)がった!


「これは…」


「まさか… 本物(ほんもの)か!?」


(なに)と!」


鉄家(てつけ)(もの)たちが驚愕(きょうがく)()(ひか)らせる(なか)方源(ほうげん)骨翼(こつよく)力強(ちからづよ)()ばたかせ、軽々(かるがる)と()(はな)れ、空中(くうちゅう)へと浮上(ふじょう)していった。


鉄沐(てつもく)一語成谶(いごなつえん){意味:(みずか)らの言葉(ことば)現実(げんじつ)になると}は(おも)わず、呆然(ぼうぜん)とした。


(じょう)(ほう)では、小獣王(しょうじゅうおう)飛行蛊(ひこうこ)()っていないはず… これは(あき)らかに四转(してん)飛行蛊(ひこうこ)だ。どうやって()()れた!?」鉄線花(てつせんか)()見開(みひら)き、心底(しんそこ)不可解(ふかかい)だった。


飛行蛊(ひこうこ)移動(いどう)(るい)()(なか)でも、価値(かち)(きわ)めて(たか)く、(まれ)存在(そんざい)だ。()蛊師(こし)(すく)ない。


方正(ほうせい)()べるだと!? 道理(どうり)で我々(われわれ)を(さえぎ)るほど傲慢(ごうまん)だったわけだ…」鉄刀苦(てつとうく)合点(がてん)がいった。


鉄若男(てつじゃくなん)顔色(かおいろ)(けわ)しかった。彼女(かのじょ)藤甲草兵(とうこうそうへい)には、対空能力(たいくうのうりょく)がなかった。方源(ほうげん)()()がったことで、苦労(くろう)して(きず)()げた包囲網(ほういもう)巨大(きょだい)(あな)()いたのだ。


(あわ)てるな!」その(とき)鉄霸修(てつはしゅう)(かつ)(ひび)いた。


四转巅峰(してんてんぽう)(ちから)(みち)蛊修(こしゅう)であり、鉄家(てつけ)大黒柱(だいこくばし)である(かれ)双瞳(そうどう)(するど)(ひかり)(はな)っていた。豊富(ほうふ)人生経験(じんせいけいけん)が、方源(ほうげん)弱点(じゃくてん)を「見抜(みぬ)か」せた。


飛行蛊(ひこうこ)(あやつ)りやすいとでも(おも)うのか? (ひと)()まれながらに両足(りょうあし)大地(だいち)()む。大空(おおぞら)自由(じゆう)()(まわ)るためには、どれほどの苦練(くれん)(よう)する! 飛行(ひこう)(たたか)うとなれば、さらにどれほどの(あせ)(なみだ)努力(どりょく)がいる! (たと)太日陽莽(たいじつようもう)(さま)——堂々(どうどう)たる人祖(じんそ)()でさえ、飛行(ひこう)によって(いのち)()とした。あの小獣王(しょうじゅうおう)飛行蛊(ひこうこ)()()れて、いったいどれほどの(とき)()ったというのか?」


鉄霸修(てつはしゅう)言葉(ことば)に、鉄家(てつけ)(もの)たちはハッと()()ました。各々(おのおの)の()闘志(とうし)(ひかり)(かがや)いた。


「その(とお)りだ!情報(じょうほう)では方正(ほうせい)飛行蛊(ひこうこ)()っていなかった。この骨翼(こつよく)()()れてから、まだほんのわずかな時間(じかん)しか()っていない!」


飛行(ひこう)には膨大(ぼうだい)訓練(くんれん)必要(ひつよう)だ。()にしたら(そっ)使()えるものではない。小獣王(しょうじゅうおう)本当(ほんとう)(あま)いな」


肝心(かんじん)(とき)に、鉄霸修(てつはしゅう)先輩(せんぱい)(そば)にいてくれる心強(こころづよ)さ!」


鉄家(てつけ)(もの)たちは(ふたた)戦意(せんい)()やし(はじ)めた。


遠距離攻撃(えんきょりこうげき)手段(しゅだん)()りん!お(まえ)たち、(やつ)撃落(げきらく)せよ! 方正(ほうせい)、この選択(せんたく)(おろ)(きわ)まりない! 地上(ちじょう)()()っていれば、まだ時間(じかん)()げたものを、(みずか)死地(しち)()()んだ!」鉄霸修(てつはしゅう)(ふたた)怒号(どごう)した。


「ほう? そうかな…」方源(ほうげん)(あわ)微笑(ほほえ)み、()(おく)一筋(ひとすじ)(あわ)れみの(いろ)(はし)った。


小獣王(しょうじゅうおう)調子(ちょうし)()れるのも(いま)のうちだ! 金針蚊(きんしんぶん)… ぐっ!」鉄傲開(てつごうかい)得意(とくい)()()()そうとした瞬間(しゅんかん)(かお)強張(こわば)った。


激戦(げきせん)(なか)(かれ)金針蚊蛊(きんしんぶんこ)はすでに()()きていた。方源(ほうげん)金針蚊(きんしんぶん)攻撃(こうげき)(まった)(ふせ)ごうとしないことに()()くし、つい多用(たよう)()ぎたのだ。戦闘(せんとう)(はげ)しさに、消耗(しょうもう)(はげ)しさを(わす)れていた。


大変(たいへん)だ! (おれ)星箭蛊(せいせんこ)は、小獣王(しょうじゅうおう)破壊(はかい)されていた!」


「くそっ… 花雨蛊(かうこ)(ふた)つしか(のこ)っていない…」


同様(どうよう)状況(じょうきょう)が、(ほか)(もの)たちの(あいだ)でも(おお)かれ(すく)なかれ()きていた。


鉄霸修(てつはしゅう)(むね)(おも)くなった——小獣王(しょうじゅうおう)(まえ)もって、各人(かくじん)戦力(せんりょく)(ねら)って破壊(はかい)していたのだ。なんと(ふか)(はか)りを(ひそ)めていたことか。


(かま)うな! (おれ)刀気蛊(とうきこ)がある、遠距離攻撃(えんきょりこうげき)(まか)せろ!」鉄刀苦(てつとうく)一歩(いっぽ)(まえ)()た。


「この()雪玉蛊(ゆきだまこ)で、小獣王(しょうじゅうおう)(いた)()()わせてやる!」(べつ)鉄家(てつけ)蛊師(こし)()()がった。


鉄家(てつけ)蛊師(こし)七人(しちにん)人数(にんずう)(いきお)いもあり、()(だん)豊富(ほうふ)だ。方源(ほうげん)多少(たしょう)対策(たいさく)(こう)じていても、(すべ)てを無力化(むりょくか)することは不可能(ふかのう)だ。


小獣王(しょうじゅうおう)()りて()い!」鉄刀苦(てつとうく)刀気蛊(とうきこ)催動(さいどう)し、(ひと)()りの刀気(とうき)(はな)った。


刀気(とうき)がヒューッと(うな)りを()てて(せま)るが、方源(ほうげん)(かろ)やかに(つばさ)(ひるがえ)し、(なん)なく()けた。


三連(さんれん)雪玉(ゆきだま)連続発射(れんぞくはっしゃ)され、方源(ほうげん)退路(たいろ)(ふう)じた。


方源(ほうげん)左翼(さよく)(たた)み、霊巧(れいこう)旋回(せんかい)動作(どうさ)雪玉(ゆきだま)間隙(かんげき)無傷(むきず)穿()った。


この光景(こうけい)()にし、鉄霸修(てつはしゅう)(むね)がギクリとし、不吉(ふきつ)予感(よかん)(はし)った:「(なん)なく()けたとは… (うん)()かっただけか?」


()もなく、方源(ほうげん)無数(むすう)攻撃(こうげき)熟練(じゅくれん)かつ優雅(ゆうが)回避(かいひ)する(さま)に、鉄家(てつけ)(もの)たちは(みな)驚愕(きょうがく)無力感(むりょくかん)()()じった感情(かんじょう)(おそ)われた。


(やつ)飛行蛊(ひこうこ)をあそこまで(たく)みに(あやつ)れるのか!」


「くそっ… (まった)()たらない…」


(おれ)真元(しんげん)()りん。刀気蛊(とうきこ)消耗(しょうもう)(はげ)しすぎる。どうやら今回(こんかい)は、方正(ほうせい)(にが)すしかないようだ…」


鉄家(てつけ)火蓋(ひぶた)次第(しだい)(うす)くなっていった。


小獣王(しょうじゅうおう)(みと)めざるを()ない。お(まえ)(たし)かに天賦(てんぷ)(さい)だ。今日(きょう)()がすのは、その(さい)(みと)めてのことだ。だが(おぼ)えておけ、(つぎ)()(とき)本気(ほんき)()くからな」鉄若男(てつじゃくなん)(ひく)警告(けいこく)した。


方源(ほうげん)はその言葉(ことば)()き、()にも(まれ)滑稽(こっけい)(はなし)()いたかのように、(とつ)(ぜん)爆笑(ばくしょう)(はな)った。


(なに)(わら)っている!?」鉄霸修(てつはしゅう)(むね)不吉(ふきつ)予感(よかん)一層(いっそう)(つよ)まった。


「ハッハッハッ! お(まえ)たちの天晴(あっぱ)れなまでの天真(てんしん)さを(わら)っているのだ! なぜ()げると()うのか? (まこと)(たたか)いは、(いま)(はじ)まったばかりだ!」


方源(ほうげん)がそう()()わるや(いな)や、全力以(ぜんりょくも)って()力気蛊(りききこ)同時(どうじ)発動(はつどう)した。


青牛(せいぎゅう)駿馬(しゅんめ)石亀(せっき)白象(はくぞう)黒蟒(こくもう)——()(だい)獣力虚影(じゅうりききょえい)が次々(つぎつぎ)に具現化(ぐげんか)し、(そら)(おお)()くす(いきお)いで()()りて(おそ)いかかってきた!


ドドドッ!


瞬時(しゅんじ)戦場(せんじょう)沸騰(ふっとう)し、(いわ)(くだ)()り、砂塵(さじん)が濛々(もうもう)と()()がった。藤甲草兵(とうこうそうへい)獣影(じゅうえい)に次々(つぎつぎ)と(はた)()ばされ、鉄家(てつけ)(もの)たちは(あわ)てて後退(こうたい)した。


()めろ! ()()(てっ)してはならん! (やつ)手一杯(ていっぱい)にさせろ!」鉄霸修(てつはしゅう)怒号(どごう)し、(はち)のような(こぶし)()()げ、方源(ほうげん)目掛(めが)けて虚空(こくう)猛撃(もうげき)した。


無形(むけい)冷気(れいき)()びた剛勁(ごうけい)拳風(けんぷう)が、爆裂(ばくれつ)しつつ衝撃波(しょうげきは)(はっ)し、ドン!という轟音(ごうおん)()てた!


しかし方源(ほうげん)骨翼(こつよく)一振(ひとふ)りし、(からだ)(たか)(おど)らせ、(かろ)やかにかわした。


鉄霸修(てつはしゅう)無念(むねん)のため(いき)をついた。(かれ)拳勁(けんけい)遠距離(えんきょり)攻撃(こうげき)とはいえ、(とど)距離(きょり)には限界(げんかい)があった。


(かれ)(ちから)(みち)蛊師(こし)だ。この流派(りゅうは)(むかし)から遠距離戦(えんきょりせん)苦手(にがて)である。方源(ほうげん)例外(れいがい)なのは、(かれ)力気蛊(りききこ)上古(じょうこ)()(みち)由来(ゆらい)するからだ。


鉄霸修(てつはしゅう)()()けを()け、他の鉄家(てつけ)蛊師(こし)たちも獣影(じゅうえい)()()り、空中(くうちゅう)反撃(はんげき)開始(かいし)した。


しかし(いま)方源(ほうげん)は、比類(ひるい)なき飛行能力(ひこうのうりょく)発揮(はっき)していた!


(かれ)(とき)には(ちょう)のように、攻撃(こうげき)(あいだ)をひらりと()い、(かろ)やかに回避(かいひ)する。(とき)には(わし)のように、一気(いっき)天高(てんたか)()()がり、(てき)呆然(ぼうぜん)とさせる。(とき)には(つばめ)のように、(くろ)骨翼(こつよく)()(えが)いて飛翔(ひしょう)し、(とき)には蜻蛉(とんぼ)のように、空中(くうちゅう)静止(せいし)し、()(うかが)うのだった。


圧倒的(あっとうてき)攻撃(こうげき)大半(たいはん)は、(かれ)(たく)みな回避(かいひ)にかかった。散発的(さんぱつてき)攻撃(こうげき)(からだ)()たっても、金罡蛊(きんこうこ)光罩(こうしょう)完璧(かんぺき)(ふせ)いだ。


「ありえない! あの飛行能力(ひこうのうりょく)は、どうしてそこまで!?」


「これは… 藍眉鶴(らんびかく)紅飛魚(こうひぎょ)飛鼬王(ひゆうおう)にも()けを()らないではないか!」


藍眉鶴(らんびかく)紅飛魚(こうひぎょ)飛鼬王(ひゆうおう)は、いずれも飛行(ひこう)名手(めいしゅ)として、かねてより南疆(なんきょう)()(とどろ)かせている。


鉄家(てつけ)(もの)たちは(みな)呆然(ぼうぜん)として(ふる)()がった。方源(ほうげん)()容赦(ようしゃ)なく催動(さいどう)し、暴風雨(ぼうふうう)のごとき攻撃(こうげき)()びせ(つづ)ける——まさに存分(ぞんぶん)活躍(かつやく)だ。(さき)(たたか)いは、この瞬間(しゅんかん)のための布石(ふせき)()ぎなかった。


鉄若男(てつじゃくなん)顔色(かおいろ)蒼白(そうはく)になった。


彼女(かのじょ)苦労(くろう)して作り()げた数多(あまた)藤甲草兵(とうこうそうへい)は、無為(むい)()たれるだけ。それに、膨大(ぼうだい)真元(しんげん)浪費(ろうひ)しただけだった!


()ね!」方源(ほうげん)(なが)旋回(せんかい)した(のち)突然(とつぜん)戦機(せんき)(とら)え、(そら)から(もう)々(もう)と(おそ)()りた。


鉄沐(てつもく)()をつけろ!」


(はや)()けろ!」


仲間(なかま)(さけ)びが鉄沐(てつもく)(みみ)(とど)いた。(かれ)(あわ)てて(そら)見上(みあ)げると——


(まぶ)しい陽光(ようこう)がまず()()た。()がくらんだ瞬間(しゅんかん)黒影(こくえい)蒼鷹(そうよう)のごとく()()りるのを視界(しかい)(とら)えた。


鉄沐(てつもく)(みみ)に、(れつ)しい風切(かざき)(おと)(とどろ)いた。


巨大(きょだい)危機感(ききかん)が、瞬時(しゅんじ)(かれ)心臓(しんぞう)(こお)らせた。


「やばい、()げろ…!」その(おも)いが脳裏(のうり)をかすめた刹那(せつな)方源(ほうげん)両手(りょうて)(てつ)(かぎ)(ごと)く、(かれ)両肩(りょうかた)(とら)えた。


獣影回収(じゅうえいかいしゅう)


方源(ほうげん)全身(ぜんしん)から怪力(かいりき)()()し、両腕(りょううで)(かみなり)(ごと)()りかぶった——


グリッ!


(にく)()け、(ほね)(くだ)ける(おと)天地(てんち)(ひび)(わた)った。


鮮血(せんけつ)(たき)()()がった——鉄沐(てつもく)両腕(りょううで)根元(ねもと)からもぎ()られ、方源(ほうげん)無理矢理(むりやり)引き()かれたのだ。


激痛(げきつう)鉄沐(てつもく)意識(いしき)()()もうとする(なか)(かれ)咆哮(ほうこう)()げ、(もと)端麗(たんれい)(かお)恐怖(きょうふ)すら(おぼ)える(ゆが)みを()びた。


ズブッ!


方源(ほうげん)(ちから)()め、両手(りょうて)()わせて(たた)きつけた。鉄沐(てつもく)(あたま)は、まるでスイカのように無惨(むざん)()(くだ)かれた!


一瞬(いっしゅん)()脳漿(のうしょう)方源(ほうげん)全身(ぜんしん)()()った。(かお)(かみ)には白濁(はくだく)した脳漿(のうしょう)真紅(しんく)()がべっとりと付着(ふちゃく)し、(ころも)(すそ)には眼球(がんきゅう)が一つ、生々(なまなま)しくへばりついていた。


濃厚(のうこう)()生臭(なまぐさ)さが(はな)()いた。普通(ふつう)(ひと)なら、()()(もよお)すところだが、方源(ほうげん)はこの(にお)いを、()(まれ)なる(かんば)しい(かお)りの(ごと)(ふか)()()んだ。(かれ)はこれを甘美(かんび)(あじ)わい、(からだ)奥底(おくそこ)から()()がる強烈(きょうれつ)興奮(こうふん)(かん)じた!


()よ、なんと甘美(かんび)(かお)りか!」


(ころ)せ、もっと(ころ)せ!」


鮮血(せんけつ)(うみ)()(ほこ)れ、濃烈(のうれつ)なる(いのち)(はな)よ!」


(かれ)(てん)(あお)怒号(どごう)し、即興(そっきょう)()(つむ)いだ。


鉄沐(てつもく)!」鉄沐(てつもく)最期(さいご)目撃(もくげき)した鉄家(てつけ)(もの)たちは(みな)()血走(ちばし)らせ、(てん)()(うみ)()かすほどの(いか)りに()()がった!














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