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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第百五十六節:身に毛が生えた人

五日後(いつかご)


三叉山(さんさざん)(いただき)から三本(さんぼん)光柱(こうちゅう)()()ち、(てん)(つらぬ)いて(くも)()いた。


(あか)光柱(こうちゅう)灼熱(しゃくねつ)(ごと)く、爆王継承(ばくおうけいしょう)(あかし)


()光柱(こうちゅう)燦然(さんぜん)(かがや)き、犬王継承(けんおうけいしょう)(しるし)


(あお)光柱(こうちゅう)妖艶(ようえん)(かがや)き、信王継承(しんおうけいしょう)(きざし)


数ヶ(すうかげつ)ぶりに、三王継承(さんおうけいしょう)再開(さいかい)した。


易火(えいか)山頂(さんちょう)()ち、三本(さんぼん)光柱(こうちゅう)凝視(ぎょうし)した。剣眉(けんび)(した)(とら)()(かす)かな(ひかり)宿(やど)していた。


「これが三王継承(さんおうけいしょう)か? (じつ)天地(てんち)()るがす気魄(きはく)だ! ここで(おお)きな手柄(てがら)()てれば、(まこと)商家(しょうか)帰順(きじゅん)し、(しょう)(せい)(たまわ)り、商家(しょうか)一員(いちいん)となれる」


この(とき)(かれ)胸中(きょうちゅう)には、(はげ)しい情熱(じょうねつ)渦巻(うずま)いていた。


「フン、小獣王(しょうじゅうおう)小僧(こぞう)()(ほど)()らずも(はなは)だしい、何度(なんど)(わたくし)勧誘(かんゆう)(ことわ)るとは。しかし、(かれ)三王継承(さんおうけいしょう)(かん)する(なに)()(ごと)()っているようだ。もし(かれ)配下(はいか)(おさ)められれば、三叉山(さんさざん)掌握(しょうあく)する(うえ)で、絶大(ぜつだい)(たす)けとなるだろう」


易火(えいか)(おも)わず方源(ほうげん)のことを(おも)()かべた。


易火(えいか)商家(しょうか)五大家老(ごだいかろう)一人(ひとり)であり、独自(どくじ)情報網(じょうほうもう)()っていた。(かれ)はとっくに()っていた——方源(ほうげん)がかつて商家城(しょうかじょう)で、三王継承(さんおうけいしょう)秘密(ひみつ)()っていることを利用(りよう)し、巨額(きょがく)(かね)(かせ)いだことを。


それに(くわ)え、方源(ほうげん)自身(じしん)戦闘力(せんとうりょく)傑出(けっしゅつ)しており、四转中階(してんちゅうかい)実力(じつりょく)(ゆう)する。


(さら)に、白凝冰(はくぎょうひょう)(つね)小獣王(しょうじゅうおう)(とも)(すす)(とも)退(しりぞ)く。一人(ひとり)(まね)()れれば、自然(しぜん)ともう一人(ひとり)()(はい)る。


それ(ゆえ)に、易火(えいか)方源(ほうげん)()()いをつけ、十分(じゅうぶん)誠意(せいい)(しめ)し、(かれ)(こころ)(うご)かそうとしたのだ。


しかし、方源(ほうげん)()(ほど)()らずも(はなは)だしく、何度(なんど)(かたく)なに(ことわ)(つづ)けた。


易火(えいか)(こころ)(いか)りが(おもむ)ろに()()がった:「今度(こんど)三王継承(さんおうけいしょう)()えたら、(かなら)小獣王(しょうじゅうおう)手懐(てなず)けてやる。(だれ)にでも値段(ねだん)()()げられると(おも)わせるわけにはいかん! だが(いま)は… まずは目の(まえ)邪魔者(じゃまもの)どもを()さえ()むか」


易火(えいか)散漫(さんまん)とした(おも)いを(おさ)め、()(とお)周囲(しゅうい)数人(すうにん)(もの)()けた。


粉蝶郎君(ふんちょうろうくん)孔日天(こうじつてん)


蒼穹(そうきゅう)(みどり)()めし(もの)龍青天(りゅうせいてん)


武家(ぶけ)家老(かろう)武神通(ぶしんとう)


翼家(よくけ)家老(かろう)翼冲(よくちゅう)


この四人(よにん)(みな)四转巅峰(してんてんぽう)蛊師(こし)(つよ)(もの)だ。継承(けいしょう)(ひら)かれる(たび)に、まずは()()わせをして実力(じつりょく)(きそ)わなければならない。


今回(こんかい)(れい)()れず!


「ハハハ、爆王継承(ばくおうけいしょう)(わたくし)(いただ)く。(だれ)(わたくし)刃向(はむか)うというのか?」易火(えいか)(てん)(あお)三度(さんど)大笑(おおわら)いした、その(わら)(ごえ)豪放磊落(ごうほうらいらく)だった。(むね)(まえ)(うで)()み、(とら)()(ひか)らせながら四人(よにん)見渡(みわた)した。


(かれ)炎道蛊師(えんどうこし)であり、爆王(ばくおう)(おな)流派(りゅうは)だ。爆王継承(ばくおうけいしょう)()うまでもなく、(かれ)にとって最適(さいてき)選択(せんたく)だった。


火燎原(かりょうげん)め…」武神通(ぶしんとう)()(ほそ)め、(くち)(うち)(つぶや)いた。易火(えいか)威名(いめい)(おそ)れている。


易火(えいか)商家五大家老(しょうかごだいかろう)一人(ひとり)。「火燎原(かりょうげん)」の()(とどろ)いている!武神通(ぶしんとう)とて(みと)めざるを()ない——自分(じぶん)易火(えいか)一歩(いっぽ)(おと)ると。


「フン、(わたくし)相手(あいて)になろう!」孔日天(こうじつてん)(ひや)やかに(はな)()らすと、全身(ぜんしん)爆発(ばくはつ)し、無数(むすう)鳳翅金蝶(ほうしきんちょう)へと()わった。


(きん)(ちょう)(せん)(ばん)()い、(やいば)のように(するど)(はね)易火(えいか)(つつ)()んだ。


火燎原(かりょうげん)、ここ数年(すうねん)随分(ずいぶん)()()げたな?」龍青天(りゅうせいてん)陰湿(いんしつ)(わら)いながら、片手(かたて)()()した。


シュッという(おと)がした。


青緑色(あおみどりいろ)光掌(こうしょう)が、毒煙(どくえん)渦巻(うずま)きながら虚空(こくう)()って(あら)われ、易火(えいか)顔面(がんめん)直撃(ちょくげき)せんと(せま)った。


(わたくし)(おそ)わってみよう」その(とき)翼冲(よくちゅう)が「フン」と()()てるように()い、猛然(もうぜん)()()した。


ザァーッ!


碧色(みどりいろ)波濤(はとう)(むな)しきより()()がり、(あら)ぶる水煙(みずけむり)易火(えいか)()()もうとした。


瞬時(またた)()に、三人(さんにん)四转巅峰(してんてんぽう)蛊師(こし)同時(どうじ)易火(えいか)(おそ)いかかった。


()るが()い」易火(えいか)口元(くちもと)傲慢(ごうまん)()みを()かべ、両腕(りょううで)()()ぐに()ばすと、(むね)(まえ)両掌(りょうて)(いきお)いよく()()わせた。


ドン!


膨大(ぼうだい)(ほのお)()(ぜん)爆発(ばくはつ)した。瞬時(またた)()に、()()(いろ)三王継承(さんおうけいしょう)光柱(こうちゅう)圧倒(あっとう)し、三叉山(さんさざん)(いただき)()らし()した。


(ほのお)(てん)()がすように(のぼ)り、比類(ひるい)なき灼熱(しゃくねつ)()(くる)(たけ)りを(はな)った。


(ほのお)(かる)々(がる)と波濤(はとう)(おお)()くし、毒掌(どくしょう)()()くし、鳳翅金蝶(ほうしきんちょう)()れは(あわ)てふためいて()()した。(とお)くまで()んで(あつ)まり、(ふたた)孔日天(こうじつてん)姿(すがた)(もど)った。


「これが(かれ)五转蛊(ごてんこ)燎原火(りょうげんか)』か?」この途方(とほう)もない(ほのお)()て、翼冲(よくちゅう)龍青天(りゅうせいてん)顔色(かおいろ)(かす)かに()わった。


孔日天(こうじつてん)一言(ひとこと)(はっ)せず、武神通(ぶしんとう)()(かす)かに(ひか)った。


易火家老(えいかけろう)威風堂々(いふうどうどう)!」商家(しょうか)蛊師(こし)たちは興奮(こうふん)して大声(おおごえ)(さけ)()てた。


易火(えいか)(ほのお)(なか)傲然(ごうぜん)()ち、(ひと)神霊(しんれい)のような(かん)じを(いだ)かせた。(かれ)(あか)(かみ)(ほのお)とほぼ一体(いったい)となり、その姿(すがた)(くる)おしく熱烈(ねつれつ)だった。


(ほのお)(またた)()()え、(かれ)(あか)光柱(こうちゅう)へと(ある)()した——爆王(ばくおう)継承(けいしょう)へ。


道中(どうちゅう)、他の四人(よにん)蛊師(こし)たちは()つめていたが、顔色(かおいろ)(おお)かれ(すく)なかれ強張(こわば)り、苦々(にがにが)しい表情(ひょうじょう)()かべていた。しかし(だれ)阻止(そし)しようとはしなかった——これこそ易火(えいか)(つよ)さを(みと)めた(あかし)だ。


易火(えいか)爆王継承(ばくおうけいしょう)(はい)った(あと)孔日天(こうじつてん)四人(よにん)(たが)いに()見交(みか)わせたが、もはや(たたか)いを(つづ)ける()はなかった。


彼等(かれら)(なか)で、孔日天(こうじつてん)龍青天(りゅうせいてん)信王継承(しんおうけいしょう)へ、武神通(ぶしんとう)翼冲(よくちゅう)犬王継承(けんおうけいしょう)へと(はい)っていった。


易火(えいか)流石(さすが)商家五大将(しょうかごだいしょう)一人(ひとり)だ。五转蛊(ごてんこ)燎原火(りょうげんか)』を()ち、(じつ)(つよ)い!」


「ここ数日(すうじつ)易火(えいか)何度(なんど)小獣王(しょうじゅうおう)(もと)(かよ)っている。どうやら関係(かんけい)尋常(じんじょう)ではないようだ」


「フン! 『白黒双煞(はくこくそうさつ)』と(しょう)される二人(ふたり)は、表向(おもてむ)きは魔道(まどう)だが、(じつ)正道(せいどう)手先(てさき)だ。商家(しょうか)滞在(たいざい)した(とき)は、(しょう)()(わか)(さま)商心慈(しょうしんじ)(とく)親密(しんみつ)だったことは周知(しゅうち)事実(じじつ)だ」


四转高階(してんこうかい)蛊師(こし)たちが一群(いちぐん)となり、易火(えいか)四人(よにん)蛊師(こし)圧倒(あっとう)し、昂然(こうぜん)継承光柱(けいしょうこうちゅう)(ある)()姿(すがた)()ながら、口々(くちぐち)に(うわさ)()っていた。


(るい)(とも)()ぶ。


四转巅峰(してんてんぽう)(つよ)(もの)たちが継承(けいしょう)(はい)った(いま)(つぎ)彼等(かれら)(ばん)だ。


百歳童子(ひゃくさいどうじ)、お(まえ)養女(ようじょ)薛三四(せつさんし)小獣王(しょうじゅうおう)(ころ)された。いつ仇討(あだう)つつもりだ?」(ひと)(ぐん)(なか)から、正道(せいどう)蛊師(こし)一人(ひとり)(わざわ)いを(よろこ)ぶように(たず)ねた。


百歳童子(ひゃくさいどうじ)()ややかに(はな)()らした:「易火(えいか)五转蛊(ごてんこ)()つのは(たし)かだが、さっきの()()わせは(さぐ)()いに()ぎない。本気(ほんき)(たたか)えば、生死(せいし)()からぬ」


(くち)ではそう()いながらも、(こころ)奥底(おくそこ)では(おそ)れていた。


(かれ)は元々(もともと)、白凝冰(はくぎょうひょう)(とら)われている(すき)(じょう)じて、方源(ほうげん)難癖(なんくせ)をつけようと(おも)っていた。


だが易火(えいか)何度(なんど)方源(ほうげん)住居(じゅうきょ)(かよ)姿(すがた)()て、衝動(しょうどう)()さえ(つづ)けるしかなく、(だま)って傍観(ぼうかん)するしかなかった。


(いま)易火(えいか)(かる)々(がる)と四人(よにん)圧倒(あっとう)する姿(すがた)()て、百歳童子(ひゃくさいどうじ)(こころ)一層(いっそう)(おも)くなった。


三王継承(さんおうけいしょう)という(おお)きな機会(きかい)眼前(がんぜん)にあるのに、(だれ)馬鹿(ばか)をして(いのち)がけで(たたか)うものか? さあ、我々(われわれ)も(はい)ろう」


()もなく、この四转高階(してんこうかい)蛊師(こし)たちも、それぞれの継承光柱(けいしょうこうちゅう)へと(はい)っていった。


方源(ほうげん)(ひと)つの(いただき)(のぼ)ると、即座(そくざ)(ひと)(みと)められた。


小獣王(しょうじゅうおう)だ!」


方正(ほうせい)だ」


(かれ)信王継承(しんおうけいしょう)光柱(こうちゅう)(はい)った」


山頂(さんちょう)山腹(さんぷく)にいる(おお)くの蛊師(こし)が、()(まる)くして方源(ほうげん)光柱(こうちゅう)()えるのを()ていた。


(かれ)本当(ほんとう)相棒(あいぼう)(わす)れたのか?」


白凝冰(はくぎょうひょう)(いま)鉄家四老(てつけしろう)包囲(ほうい)されているのに、方正(ほうせい)()らんぷりで、(まった)()にかけていないようだ」魔道蛊師(まどうこし)でさえも心寒(こころさむ)くなる。


()ろよ、これが魔道蛊師(まどうこし)冷血非情(れいけつひじょう)さだ!」一部(いちぶ)正道蛊師(せいどうこし)(はな)(わら)いながら(ひょう)した。


方源(ほうげん)… この…!」気泡(きほう)(なか)から、白凝冰(はくぎょうひょう)もこの情景(じょうけい)目撃(もくげき)した。


彼女(かのじょ)(いか)りで顔色(かおいろ)()(さお)になり、両拳(りょうこぶし)(にぎ)りしめ、()()いしばった。


鉄家四老(てつけしろう)(たが)いに(かお)()()わせた。


彼等(かれら)(いま)状況(じょうきょう)は、非常(ひじょう)()まずい。


白凝冰(はくぎょうひょう)包囲(ほうい)には成功(せいこう)したが、方源(ほうげん)救出(きゅうしゅつ)()ない。これでは、彼等(かれら)持久戦術(じきゅうせんじゅつ)痛烈(つうれつ)皮肉(ひにく)になってしまう。


「くそっ! ()()りず、今回(こんかい)三王継承(さんおうけいしょう)には参加(さんか)できん!」


撤退(てったい)するか?」


絶対(ぜったい)駄目(だめ)だ! 四人(よにん)(そろ)って()ながら、(なに)()ずに()くとは、鉄家(てつけ)への侮辱(ぶじょく)だ! 今後(こんご)、我々(われわれ)は世間(せけん)(かお)()けられなくなる!」


「ではどうすれば?」


(みっ)つの視線(しせん)が、四老(しろう)(おさ)である(ろう)(しゃ)(ひと)(てん)(しゅう)(ちゅう)した。


(ろう)(しゃ)(すこ)(かんが)えた(あと)決断(けつだん)(くだ)した。


(かれ)(ひく)(おも)(こえ)()った:「救援(きゅうえん)要請(ようせい)せよ! 商家(しょうか)援軍(えんぐん)()たのだから、我々(われわれ)鉄家(てつけ)支援(しえん)(もと)めるのは当然(とうぜん)だ。(いま)局面(きょくめん)競争(きょうそう)(さら)(はげ)しくなっている。四转巅峰(してんてんぽう)(ちから)でなければ、一席(いっせき)()(あらそ)えない。家族(かぞく)一人(ひとり)四转巅峰(してんてんぽう)強援(きょうえん)派遣(はけん)してくれれば、我々(われわれ)四人(よにん)四转中階(してんちゅうかい)(ちから)()わせて…」


兄貴(あにき)()(とお)りだ!」


商家(しょうか)易火(えいか)()たのだ、我々(われわれ)が救援(きゅうえん)(もと)めても()ずかしくない」


「そうだ、家族(かぞく)支援(しえん)要請(ようせい)しよう!」


……


()てしなき灰色(はいいろ)(きり)が、方源(ほうげん)視界(しかい)()たしていた——信王継承(しんおうけいしょう)()()った(あかし)だ。


方源(ほうげん)周囲(しゅうい)見渡(みわた)すと、東西南北(とうざいなんぼく)区別(くべつ)がつかない。しかし空窪(くうか)(なか)で、春秋蝉(しゅんじゅうせん)(たの)しそうに(かす)かに(はね)(ふる)わせている。ここでは、時間(じかん)(なが)れが依然(いぜん)として外界(がいかい)三倍(さんばい)だ。


時間(じかん)(いそ)がねば」方源(ほうげん)(こころ)(あせ)りが()()がった。


()()なく回復(かいふく)(つづ)ける春秋蝉(しゅんじゅうせん)は、(かれ)にとって日増(ひま)しに(せま)(いのち)脅威(きょうい)だった。


(かれ)紙鶴蛊(かみづるこ)を取り(とりだ)し、そっと催動(さいどう)した。


信王継承(しんおうけいしょう)(はい)るには、「(かぎ)」として紙鶴蛊(かみづるこ)必要(ひつよう)だ。(いま)この(とき)方源(ほうげん)使(つか)えるのは紙鶴蛊(かみづるこ)だけ。春秋蝉(しゅんじゅうせん)以外(いがい)()は全て(すべて)、天地(てんち)偉力(いりょく)鎮圧(ちんあつ)され(ふう)()められている。


紙鶴蛊(かみづるこ)前方(ぜんぽう)空中(くうちゅう)(かろ)やかに()い、(はね)(ふる)わせながら先導(せんどう)する。


方源(ほうげん)紙鶴(かみづる)(したが)い、(みち)をゆっくりと(すす)んだ。


(おか)()()かった(とき)(きり)(なか)にぼんやりとした人影(ひとかげ)()かび()がった。


(ひと)(そと)から()た、(くら)(くら)べよう」人影(ひとかげ)(くち)(ひら)いた。(こえ)粗野(そや)で、途切(とぎ)途切(とぎ)れだ。


方源(ほうげん)(ちか)づくにつれ、人影(ひとかげ)次第(しだい)鮮明(せんめい)になった。


(かれ)体形(たいけい)普通(ふつう)人間(にんげん)()ている——両手(りょうて)両足(りょうあし)だ。しかし肩幅(かたはば)(ひろ)(こし)(ふと)く、非常(ひじょう)にがっしりしている。同時(どうじ)全身(ぜんしん)()(おお)われ、(むね)四肢(しし)(かお)(しり)(いた)るまで棕赤(あか)()()えている。


銅鈴(どうれい)のような(おお)きな()(みは)り、方源(ほうげん)凝視(ぎょうし)していた。


(くら)(くら)べよう。()けた(ほう)()ぬ!」(かれ)(うな)るように()った。両目(りょうめ)血走(ちばし)り、表情(ひょうじょう)非常(ひじょう)凶悪(きょうあく)だった。


方源(ほうげん)予想(よそう)していた、表情(ひょうじょう)平静(へいせい)そのもの、(すこ)しも(おどろ)いていなかった。


これが異人(いじん)だ。


(けもの)(なか)には異獣(いじゅう)がいる——(とら)()れの(なか)(ひょう)(おおかみ)()れの(なか)(はい)(いぬ)()れの(なか)(ごう)のように。(ひと)(なか)にも異人(いじん)がおり、方源(ほうげん)(いま)出会(であ)ったのは、毛民(もうみん)という異人(いじん)一種(いっしゅ)だ。


毛民(もうみん)全身(ぜんしん)()(おお)われ、まぶたの(うえ)さえも(こま)かい()(おお)われている。この異人(いじん)(ひく)知能(ちのう)()つが、()まれつき()()天性(てんせい)(そな)えている。


信王継承(しんおうけいしょう)には、一群(いちぐん)毛民(もうみん)がいて、蛊師(こし)たちの前進(ぜんしん)(はば)障壁(しょうへき)となっている。彼等(かれら)()って(はじ)めて(さき)(すす)める。もし毛民(もうみん)(やぶ)れれば、蛊師(こし)驚異的(きょういてき)(ちから)()毛民(もうみん)()きたまま引き(ひきさ)かれ、彼等(かれら)(しょく)(りょう)となるのだ。


()い」方源(ほうげん)毛民(もうみん)から十歩(じゅっぽ)(はな)れた(ところ)()()まり、表情(ひょうじょう)平静(へいせい)だった。


空中(くうちゅう)に、突然(とつぜん)何匹(なんぴき)かの()材料(ざいりょう)(あらわ)れ、ふわりと方源(ほうげん)()(うえ)()ちてきた。


同時(どうじ)毛民(もうみん)()にも、(おな)(もの)(ひと)(くみ)(あらわ)れた。


煉蠱(れんこ)(はじ)まった。


勝者(しょうしゃ)()(のこ)り、敗者(はいしゃ)()ぬ!







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