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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第百五十一節:一心多用蛊

(ふた)つの犬群(いぬむれ)対峙(たいじ)した。


方源(ほうげん)陣営(じんえい)には、(あお)電文犬(でんぶんけん)前線(ぜんせん)()り、灰色(はいいろ)針鼠犬(はりねずみけん)(だいだい)(いろ)菊秋田犬(きくあきたいぬ)(ひか)えている。一方(いっぽう)鉄甲犬群(てっこうけんぐん)(おも)々(おも)しい(くろ)(かたまり)()していた。


方源(ほうげん)大電文犬(だいでんぶんけん)前線(ぜんせん)配置(はいち)し、(かる)()()ると、犬群(いぬむれ)先鋒(せんぽう)(たい)()け、先制攻撃(せんせいこうげき)開始(かいし)した。


大鉄甲犬(だいてっこうけん)はワンと一声(ひとこえ)()え、大電文犬(だいでんぶんけん)出現(しゅつげん)()るや、(みずか)戦場(せんじょう)()()った。


その周囲(しゅうい)鉄甲犬(てっこうけん)たちは、(おう)にぴったりと()(したが)い、黒雲(くろくも)(おか)から()()りるかのような威圧感(いあつかん)(はな)ちながら、迫力満点(はくりょくまんてん)突進(とっしん)開始(かいし)した!


(りょう)犬群(いぬむれ)激突(げきとつ)した!


方源(ほうげん)先鋒隊(せんぽうたい)(かず)(かぎ)られており、(またた)()鉄甲犬群(てっこうけんぐん)(くろ)奔流(ほんりゅう)()()まれた。


しかし大電文犬(だいでんぶんけん)存在(そんざい)が、鉄甲犬群(てっこうけんぐん)攻勢(こうせい)一時的(いちじてき)(はば)んだ——この硬骨(こうこつ)容易(ようい)()(くだ)けるものではなかった。


大電文犬(だいでんぶんけん)流石(さすが)百獣王(ひゃくじゅうおう)だ!包囲網(ほういもう)(なか)左右(さゆう)突進(とっしん)し、獰猛(どうもう)(たたか)いぶりを()せた。普通(ふつう)鉄甲犬(てっこうけん)など、一合(いちごう)(かな)わない。


「ガウッ!」


大鉄甲犬(だいてっこうけん)(まえ)(おど)()た!その巨体(きょたい)大電文犬(だいでんぶんけん)猛攻(もうこう)()()めた。


やはり、百獣王(ひゃくじゅうおう)こそが百獣王(ひゃくじゅうおう)()()めるのだ!


(はげ)しい交戦(こうせん)(なか)大電文犬(だいでんぶんけん)次第(しだい)劣勢(れっせい)()たされた。


(なん)()っても、直近(ちょっきん)(たたか)いで負傷(ふしょう)しており、戦力(せんりょく)万全(ばんぜん)ではなかった。(くわ)えて、本来(ほんらい)(つよ)みは速度(そくど)であるのに、防御(ぼうぎょ)特化(とっか)大鉄甲犬(だいてっこうけん)正面衝突(しょうめんしょうとつ)したため、当然(とうぜん)結果(けっか)として劣勢(れっせい)()()まれたのだ。


この状況(じょうきょう)()て、方源(ほうげん)(ひか)えていた犬群(いぬむれ)戦場(せんじょう)(おく)()んだ。


(あら)たな生力軍(せいりょくぐん)は、激流(げきりゅう)のように戦局(せんきょく)()()み、混乱(こんらん)()()こした。


しかし相手(あいて)鉄甲犬(てっこうけん)だ——防御力(ぼうぎょりょく)(すぐ)れ、このような乱戦(らんせん)得意(とくい)とする。


方源(ほうげん)主力(しゅりょく)投入(とうにゅう)し、(みずか)らの身辺警護(しんぺんけいご)には少数(しょうすう)犬獣(けんじゅう)しか(のこ)さなかったが、それでも戦況(せんきょう)()えるには(いた)らなかった。


百獣王(ひゃくじゅうおう)同士(どうし)(たたか)いも、犬群(いぬむれ)同士(どうし)(たたか)いも、方源(ほうげん)劣勢(れっせい)()たされていた。


しかし方源(ほうげん)(いっ)(ごう)(あせ)っていない。(じつ)は、この状況(じょうきょう)こそが(かれ)意図的(いとてき)(つく)()した結果(けっか)なのだ。


(かれ)()っていた。


鉄甲犬群(てっこうけんぐん)弱点(じゃくてん)()武器(ぶき)(あらわ)れるのを。


「ガウッ!」


大電文犬(だいでんぶんけん)大鉄甲犬(だいてっこうけん)攻勢(こうせい)()()れず、突然(とつぜん)()()がり、(くち)(おお)きく()けて(あお)(どろ)(じょう)液体(えきたい)()()した。


まさに二转(にてん)電漿蛊(でんしょうこ)だ!


「これだ!」方源(ほうげん)両目(りょうめ)(するど)(ひかり)(はし)り、口元(くちもと)(きゅう)()()がった。


鉄甲犬群(てっこうけんぐん)は、獣王(じゅうおう)(まわ)りに密集(みっしゅう)し、一方(いっぽう)大電文犬(だいでんぶんけん)包囲攻撃(ほういこうげき)し、他方(たほう)外側(そとがわ)から()()せる方源(ほうげん)犬群(いぬむれ)(あらが)っていた。そのため陣形(じんけい)極度(きょくど)密集(みっしゅう)し、まさに(くろ)鉄壁陣(てっぺきじん)形作(かたちづく)っていた。


(あお)電漿(でんしょう)地面(じめん)()(そそ)ぎ、広範囲(こうはんい)()()らされた。


電漿(でんしょう)()びた大勢(おおぜい)鉄甲犬(てっこうけん)は、瞬時(しゅんじ)全身(ぜんしん)(ふる)わせ、苦鳴(くめい)()げた。戦闘力(せんとうりょく)急落(きゅうらく)しただけでなく、()全体(ぜんたい)陣形(じんけい)(なが)れも、甚大(じんだい)阻害(そがい)()けた。


鉄甲犬(てっこうけん)防御力(ぼうぎょりょく)名実相伴(めいじつあいともな)う——その皮甲(ひこう)には金属(きんぞく)鉄質(てつしつ)(ふく)まれており、同種(どうしゅ)凌駕(りょうが)する防御(ぼうぎょ)性能(せいのう)発揮(はっき)する。しかし同時(どうじ)に、雷電(らいでん)攻撃(こうげき)には格段(かくだん)(よわ)い。


電漿蛊(でんしょうこ)攻撃力(こうげきりょく)自体(じたい)強力(きょうりょく)ではないが、鉄甲犬(てっこうけん)に対しては絶大(ぜつだい)効果(こうか)発揮(はっき)する。


大電文犬(だいでんぶんけん)連続(れんぞく)して電漿(でんしょう)()()し、戦場(せんじょう)要所(ようしょ)(あお)電漿(でんしょう)()()らした。これにより鉄甲犬群(てっこうけんぐん)戦力(せんりょく)大幅(おおはば)(けず)られた。


さきほどまで鉄壁(てっぺき)(ごと)陣形(じんけい)は、電漿蛊(でんしょうこ)影響(えいきょう)(たちま)脆弱(ぜいじゃく)()し、崩壊(ほうかい)寸前(すんぜん)となった。


方源(ほうげん)戦機(せんき)(のが)さず、(くる)ったように犬群(いぬむれ)()()(おそ)わせた。


外側(そとがわ)犬群(いぬむれ)と、中央(ちゅうおう)孤軍奮闘(こぐんふんとう)する大電文犬(だいでんぶんけん)呼応(こおう)し、強力(きょうりょく)殺傷力(さっしょうりょく)爆発(ばくはつ)させた。


高空(こうくう)から見下(みお)ろせば、地上(ちじょう)広大(こうだい)(くろ)領域(りょういき)が、(あお)電漿(でんしょう)斑点(はんてん)汚染(おせん)され、(つづ)いて周囲(しゅうい)雑色(ざっしょく)侵食(しんしょく)されていく様子(ようす)()かる。


(くろ)次第(しだい)()り、(あお)()(はい)(いろ)(つよ)(のこ)った。


戦況(せんきょう)(またた)()()わる。()もなく、方源(ほうげん)劣勢(れっせい)挽回(ばんかい)し、鉄甲犬群(てっこうけんぐん)大半(たいはん)()(たお)し、大鉄甲犬(だいてっこうけん)中央(ちゅうおう)包囲(ほうい)した。


自身(じしん)危機(きき)(かん)()った大鉄甲犬(だいてっこうけん)体内(たいない)で、寄生(きせい)していた蛊虫(こちゅう)爆発的(ばくはつてき)(ちから)()(はな)した!


大鉄甲犬(だいてっこうけん)(からだ)(くろ)(とが)った(とげ)無数(むすう)()()し、筋力(きんりょく)急増(きゅうぞう)した。


線香(せんこう)一筋(ひとすじ)(ぶん)時間(じかん)()ぎた(ころ)大電文犬(だいでんぶんけん)大鉄甲犬(だいてっこうけん)喉笛(のどぶえ)()千切(ちぎ)った。巨獣(きょじゅう)(あらが)いながらも()(たお)れ、()(うみ)(しょう)じた。二度(にど)()()がることはなかった。


(たたか)いは終結(しゅうけつ)した。


大鉄甲犬(だいてっこうけん)寄生(きせい)していた二匹(にひき)()のうち、一匹(いっぴき)戦闘(せんとう)余波(よは)消滅(しょうめつ)し、もう一匹(いっぴき)(はる)彼方(かなた)()()った。


方源(ほうげん)(かお)には冷徹(れいてつ)表情(ひょうじょう)()かんでいた——この百獣王(ひゃくじゅうおう)()()るため、(かれ)犬群(いぬむれ)半数以上(はんすういじょう)(うしな)ったのだ。(のこ)った戦力(せんりょく)は、次の関門(かんもん)突破(とっぱ)するには崩壊(ほうかい)寸前(すんぜん)状態(じょうたい)だった。


第二十段階(だいにじゅうだんかい)以降(いこう)百獣王(ひゃくじゅうおう)出現(しゅつげん)する。


百獣王(ひゃくじゅうおう)存在(そんざい)すれば、犬獣群(けんじゅうぐん)戦闘力(せんとうりょく)飛躍的(ひやくてき)向上(こうじょう)する。同時(どうじ)に、百獣王(ひゃくじゅうおう)自体(じたい)巨大(きょだい)脅威(きょうい)だ。


百獣王(ひゃくじゅうおう)()()(かず)(おお)ければ(おお)いほど、その威力(いりょく)増大(ぞうだい)し、挑戦者(ちょうせんしゃ)にとっては致命的(ちめいてき)不利(ふり)となる。


今回(こんかい)方源(ほうげん)(うん)(わる)かった——対峙(たいじ)した大鉄甲犬(だいてっこうけん)二匹(にひき)()宿(やど)しており、(なか)でも一匹(いっぴき)攻防(こうぼう)両面(りょうめん)強化(きょうか)する能力(のうりょく)()ち、方源(ほうげん)(おお)きな損害(そんがい)()いた。


三王継承(さんおうけいしょう)攻略(こうりゃく)には、個々(ここじん)(うん)(おお)きく(かか)わる。


鉄甲犬群(てっこうけんぐん)は、方源(ほうげん)にとって今回(こんかい)最良(さいりょう)選択肢(せんたくし)だった。しかし、(かれ)運勢(うんせい)(すこ)(わる)かったようだ。


二转(にてん)馭犬蛊(ぎょけんこ)(てん)から()り、褒賞(ほうしょう)として方源(ほうげん)掌中(しょうちゅう)()ちた。


方源(ほうげん)春秋蝉(しゅんじゅうせん)使(つか)わず、天地偉力(てんちいりょく)(たす)けを()り、瞬時(しゅんじ)にこの()錬化(れんか)した。


「この()こそが(つぎ)関門突破(かんもんとっぱ)(かぎ)だ」そう覚悟(かくご)し、方源(ほうげん)(きり)(なか)(ある)(つづ)けた。


前方(ぜんぽう)左側(ひだりがわ)右側(みぎがわ)光塊(こうかい)()らめいている——それぞれ腐屍犬群(ふしつけんぐん)百余頭(ひゃくよとう)陰犬群(いんけんぐん)数十頭(すうじゅっとう)斑鬣狗群(はんれつけんぐん)三百頭余(さんびゃくとうあま)りが(うつ)()されていた!


方源(ほうげん)()(するど)(ひか)った——慎重(しんちょう)観察(かんさつ)分析(ぶんせき)(はじ)めた。


今回(こんかい)戦力(せんりょく)限界(げんかい)(ちか)いため、(てき)選択(せんたく)(きわ)めて重要(じゅうよう)だ——出来(でき)るだけ(よわ)相手(あいて)(えら)ばねばならない。しかし、関門突破(かんもんとっぱ)後の褒賞(ほうしょう)(わす)れてはいけない。


「もし腐屍犬群(ふしつけんぐん)撃破(げきは)すれば、白銀(はくぎん)舎利蛊(しゃりこ)()られる。陰犬群(いんけんぐん)(たお)せば、一心二用蛊(いっしんにようこ)が…」


白銀舎利蛊(はくぎんしゃりこ)方源(ほうげん)にとって無用(むよう)長物(ちょうぶつ)だ——(かれ)実力(じつりょく)水準(すいじゅん)では、黄金(おうごん)舎利蛊(しゃりこ)でなければ興味(きょうみ)()かない。


残念(ざんねん)ながら、黄金舎利蛊(おうごんしゃりこ)商家城(しょうかじょう)のような大都市(だいとし)でも厳重(げんじゅう)管理(かんり)されている。


四转蛊師(してんこし)凡人界(ぼんじんかい)では(すで)(たか)(しゅ)見做(みな)される。一本(いっぽん)黄金舎利蛊(おうごんしゃりこ)が、四转蛊師(してんこし)同士(どうし)戦力差(せんりょくさ)影響(えいきょう)(あた)え、(とき)には均衡(きんこう)一変(いっぺん)させることもあるのだ。


市場(しじょう)では、白銀(はくぎん)舎利蛊(しゃりこ)流通(りゅうつう)しているが、黄金(おうごん)舎利蛊(しゃりこ)(きわ)めて(まれ)で、(つね)厳重(げんじゅう)管理(かんり)されている。


方源(ほうげん)()っていた——商家(しょうか)のような(ちょう)(だい)家族(かぞく)には、(すく)なからぬ黄金舎利蛊(おうごんしゃりこ)在庫(ざいこ)があるはずだと。しかし、(たと)紫荊令牌(しけいれいはい)()っていても、(かれ)購入(こうにゅう)できない。


商燕飛(しょうえんひ)はこれらの黄金舎利蛊(おうごんしゃりこ)を、(みずか)らの掌中(しょうちゅう)掌握(しょうあく)し、(けっ)して市場(しじょう)(なが)さない。


これは無言(むごん)(さそ)いだ——


もし方源(ほうげん)本気(ほんき)商家(しょうか)忠誠(ちゅうせい)(ちか)うなら、黄金舎利蛊(おうごんしゃりこ)(かなら)褒賞(ほうしょう)として(あた)えられるだろう。


商燕飛(しょうえんひ)聡明(そうめい)さは、凡人(ぼんじん)(およ)ぶところではない。方源(ほうげん)一匹(いっぴき)黄金舎利蛊(おうごんしゃりこ)のために、(かれ)知力(ちりょく)体力(たいりょく)()()い、(みずか)らの精力(せいりょく)分散(ぶんさん)させたくなかった。


三王継承(さんおうけいしょう)(なか)にも黄金舎利蛊(おうごんしゃりこ)存在(そんざい)する。ただし四十段階(よんじゅうだんかい)以降(いこう)だ。もし運良(うんよ)一匹(いっぴき)()られれば、状況(じょうきょう)(おお)きく好転(こうてん)するだろう」


方源(ほうげん)もまた、黄金舎利蛊(おうごんしゃりこ)への欲求(よっきゅう)渇望(かつぼう)(いだ)いていた。


しかし(かれ)(さと)っていた——黄金舎利蛊(おうごんしゃりこ)()にできるかは、(みずか)らの運命(うんめい)次第(しだい)だと。


これは(けっ)して()いて(もと)めることのできない領域(りょういき)なのだ。


一方(いっぽう)一心二用蛊(いっしんにようこ)は、蛊師(こし)心神(しんしん)容易(ようい)(ふた)つに()け、虫獣大軍(ちゅうじゅうたいぐん)指揮(しき)格段(かくだん)容易(ようい)にする。


方源(ほうげん)自身(じしん)(すで)一心四用(いっしんしよう)達成(たっせい)しており、この()(くわ)えれば一心六用(いっしんろくよう)可能(かのう)となる。


一心二用蛊(いっしんにようこ)二转(にてん)()ぎない。さらに(うえ)には一心三用(いっしんさんよう)一心四用(いっしんしよう)一心五用蛊(いっしんごようこ)などがある。一心多用蛊(いっしんたようこ)は、奴道蛊師(どどうこし)必須品(ひっすひん)だ。…ん? ()てよ、これは?」


方源(ほうげん)視線(しせん)右側(みぎがわ)光塊(こうかい)(くぎ)づけになった——巨大(きょだい)斑鬣狗群(はんれつけんぐん)映像(えいぞう)()え、()わりに青銅(せいどう)銘板(めいば)()かび()がった。


通常(つうじょう)勝利褒賞(しょうりほうしょう)は、奴道(どどう)()である。


しかし、ここでの褒賞(ほうしょう)異様(いよう)特殊(とくしゅ)だった——()るに()らない青銅(せいどう)銘板(めいば)だ。


銘板(めいば)(あき)らかに粗製乱造(そせいらんぞう)(ひん)で、(かたち)(いびつ)だ——あたかも(だれ)かが片手(かたて)無造作(むぞうさ)()()げたかのよう。表面(ひょうめん)(きざ)まれた三叉山(さんさざん)図柄(ずがら)は、稚拙(ちせつ)(せん)(えが)かれ、構成(こうせい)(みにく)く、(あわ)てて適当(てきとう)(つく)った(かん)()()ちている。一目(ひとめ)()て、製作者(せいさくしゃ)(きわ)めて無造作(むぞうさ)手抜(てぬ)きだったことが()かる。


しかし方源(ほうげん)は、この銘板(めいば)()るや、両眼(りょうがん)炯炯(けいけい)(かがや)いた!


「これは犬王通行令(けんおうつうこうれい)だ!」(かれ)即座(そくざ)に、白銀舎利蛊(はくぎんしゃりこ)一心二用蛊(いっしんにようこ)(あたま)から()()った。


「この通行令(つうこうれい)出会(であ)えたのは、まさに幸運(こううん)賜物(たまもの)だ。(かなら)()()れねば!」方源(ほうげん)(こころ)(うち)で、(てつ)意志(いし)(たぎ)った——この銘板(めいば)(うば)()るまでは(けっ)して退(しりぞ)かない。


一見(いっけん)無価値(むかち)()えるこの青銅板(せいどうばん)こそが、(じつ)最良(さいりょう)戦利品(せんりひん)なのだ。


(いま)(だれ)もその価値(かち)気付(きづ)いていないが、方源(ほうげん)(おぼ)えていた——前世(ぜんせ)三王継承(さんおうけいしょう)後期(こうき)、この銅牌(どうはい)四转蛊(してんこ)同価値(どうかち)取引(とりひき)されたことを。


「しかし斑鬣狗群(はんれつけんぐん)規模(きぼ)膨大(ぼうだい)で、二頭(にとう)獣王(じゅうおう)(ひか)えている。右側(みぎがわ)(えら)べば、巨大(きょだい)危険(きけん)(ともな)う。理想(りそう)戦術(せんじゅつ)は、二转(にてん)馭犬蛊(ぎょけんこ)戦闘中(せんとうちゅう)大斑鬣狗(だいはんれつけん)一頭(いっとう)降伏(こうふく)させることだが、(たと)()てても、戦力(せんりょく)壊滅的(かいめつてき)消耗(しょうもう)し、次段階(じだんかい)(すす)(ちから)(のこ)らないだろう」


方源(ほうげん)(みずか)らの実力(じつりょく)(きわ)めて冷静(れいせい)認識(にんしき)していた。


豊富(ほうふ)経験(けいけん)利点(りてん)は、(せい)にここにある——選択(せんたく)損得(そんとく)影響(えいきょう)透徹(とうてつ)見通(みとお)せることだ。


一考(いっこう)(すえ)方源(ほうげん)危険(きけん)(おか)決断(けつだん)(くだ)した。


魔道(まどう)(あゆ)以上(いじょう)(つるぎ)偏鋒(へんぽう)(はし)り、最大(さいだい)利益(りえき)(つか)むために危険(きけん)(おか)す。一度(いちど)()めた選択(せんたく)後悔(こうかい)などしない——それこそが快意人生(かいいじんせい)というものだ!


二时辰(ふたとき)(のち)


凄惨(せいさん)(たたか)いが、(おもむ)ろに(まく)()じた。


(おか)(うえ)(した)も、(いぬ)死体(したい)()()くされていた。()(なが)(ひろ)がり、(だん)たれた手足(てあし)(いた)(ところ)()らばっている。


方源(ほうげん)丘上(おかじょう)()ち、(みずか)らも(きず)()っていた。この蛊仙福地(こせんふくち)(なか)では、本来(ほんらい)()()使(つか)えず、異常(いじょう)(もろ)くなっていた。


「だが、結局(けっきょく)()ったのだ…」足元(あしもと)(のこ)った十数匹(じゅうすうひき)犬獣(けんじゅう)(なが)め、方源(ほうげん)(かす)かに嘆息(たんそく)した。「はあ…」


()にした犬獣(けんじゅう)はほぼ全滅(ぜんめつ)し、この残酷(ざんこく)魔道継承(まどうけいしょう)(つづ)ける(のぞ)みなど、最早(もはや)(のこ)っていない。


しかし方源(ほうげん)(こころ)には、一縷(いちる)僥倖(ぎょうこう)(ひそ)んでいた——


天地偉力(てんちいりょく)(こう)り、(かれ)(ふたた)(きり)(なか)(うつ)した。


「もし白凝冰(はくぎょうひょう)出会(であ)えたら、彼女(かのじょ)(ちから)()りて(つづ)けられるのに」しかし方源(ほうげん)失望(しつぼう)した。


三方向(さんほうこう)すべて、巨大(きょだい)犬群(いぬむれ)()(かま)えていた。通行令(つうこうれい)がなければ、方源(ほうげん)必死(ひっし)局面(きょくめん)()たされる。


(かれ)(さき)ほど()にした通行令(つうこうれい)を取り(とりだ)した。


銅板(どうばん)掌中(しょうちゅう)(にぎ)りしめ、舌先(したさき)()(やぶ)り、(ひと)(くち)鮮血(せんけつ)()きかけた。


血痕(けっこん)銅牌(どうはい)(にじ)むと、方源(ほうげん)(くち)()け、令牌(れいはい)()かって(かろ)一声(ひとこえ)(はな)った——「ワン」


瞬間(しゅんかん)令牌(れいはい)強烈(きょうれつ)(ひかり)(はな)ち、虚空(こくう)(くだ)()り、方源(ほうげん)()()んだ。


静寂(せいじゃく)(ふか)()()める(きり)(なか)(かれ)姿(すがた)跡形(あとかた)もなく()えていた。














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