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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第百四十二節:何との悪

天梯山(てんていざん)は、中洲(ちゅうしゅう)随一(ずいいち)(やま)である。「継承(けいしょう)()」、「聖賢(せいけん)(やま)」との異名(いみょう)()つ。


その(たか)さは百万丈(ひゃくまんじょう)(せま)り、山勢(さんせい)雄大(ゆうだい)で、気宇(きう)(きわ)めて広大(こうだい)だ。山頂(さんちょう)蒼穹(そうきゅう)(つらぬ)き、霜雪(そうせつ)雲霧(うんむ)(なか)(かく)れている。


(とく)奇異(きい)なのは、この(やま)には奇怪(きかい)(かたち)(いわ)(すく)ないことだ。


一塊(ひときれ)一塊(ひときれ)方形巨石(ほうけいきょせき)(よこ)たわり、山麓(さんろく)から頂上(ちょうじょう)まで(つら)なる階段(かいだん)形作(かたちづく)っている。


しかしこの階段(かいだん)規模(きぼ)(あま)りにも巨大(きょだい)なため、中洲(ちゅうしゅう)(ふる)伝説(でんせつ)では、この(やま)仙界(せんかい)(つう)じる(てん)()(つな)(はし)だと(かた)()がれている。


天梯山(てんていざん)(めぐ)っては、歴史(れきし)数多(あまた)感動的(かんどうてき)な、神秘(しんぴ)()ちた、悲壮(ひそう)な、そして歓喜(かんき)()ちた物語(ものがたり)(きざ)まれている。


天梯山(てんていざん)は、中洲(ちゅうしゅう)蛊師(こし)たちが(こころ)聖地(せいち)(あが)める場所(ばしょ)であり、仙界(せんかい)(もっと)(ちか)()とされる。(おお)くの蛊師(こし)生涯(しょうがい)(せん)(もと)(つづ)けたが(かな)わず、()()(まえ)にして(みずか)らの墓所(ぼしょ)をここに(さだ)める。その(なか)でも、(みずか)らの継承(けいしょう)同時(どうじ)(のこ)(もの)(おお)(すう)()める。


天梯山(てんていざん)には無数(むすう)継承(けいしょう)(かく)されているが、(えん)のある(もの)だけが()られる。


毎年(まいとし)天梯山(てんていざん)(おお)(きり)()れると、膨大(ぼうだい)な人々(ひとびと)が()()せる。(おお)くの継承(けいしょう)()がれ、また(あら)たな継承(けいしょう)数多(あまた)(のこ)される。


しかし、今年(ことし)例年(れいねん)とは(ちが)っていた。


今年(ことし)天梯山(てんていざん)狐仙福地(こせんふくち)(ひら)かれ、蛊仙(こせん)たちが現世(げんせ)姿(すがた)(あらわ)した。(かれ)らは協議(きょうぎ)(すえ)(れん)(けい)して(やま)封鎖(ふうさ)し、各門派(かくもんぱ)後輩(こうはい)(あつ)めて、(ひと)つの比試(ひし)開催(かいさい)した。


(いま)天梯山(てんていざん)(ふもと)()(ひろ)げられていた若者(わかもの)同士(どうし)激戦(げきせん)は、終局(しゅうきょく)(むか)えようとしていた。


(まん)(つる)飛翔(ひしょう)し、方正(ほうせい)周囲(しゅうい)旋回(せんかい)する。一方(いっぽう)魏無傷(ぎむしょう)(いき)()らし、(ふく)はボロボロになり、(かさ)なる包囲網(ほういもう)(とら)えられ、()方正(ほうせい)()物狂(ものぐる)いで(にら)みつけていた。


「くっ… ()けたわけじゃない! まだ… まだ切り(きりふだ)がある! (おく)()があるんだ!」劣勢(れっせい)()たされながらも、魏無傷(ぎむしょう)(けっ)して降参(こうさん)しようとはしなかった。


普段(ふだん)なら、(かれ)(すで)降参(こうさん)していたかもしれない。しかし(いま)無数(むすう)精鋭(せいえい)蛊師(こし)たちが()()らして見守(みまも)っている。


魏無傷(ぎむしょう)代表(だいひょう)するのは(みずか)らだけではない、()()天妒楼(てんとろう)威信(いしん)背負(せお)っている。(なに)より、(おも)いを()せる碧霞仙子(へきかせんじ)がこの()()ているのだ。「()けられない!」その一念(いちねん)()()てられ、魏無傷(ぎむしょう)猛然(もうぜん)空窪(くうか)(なか)一匹(いっぴき)蛊虫(こちゅう)()()てた。


この蛊虫(こちゅう)は、(かれ)(けっ)して()かさずに(かく)()ってきた最終(さいしゅう)の切り(きりふだ)だった。門派(もんぱ)重要(じゅうよう)考査(こうさ)でさえ、使用(しよう)することはなかった。


この()発動(はつどう)すると、無色(むしょく)微風(そよかぜ)(しょう)じ、そよそよと()(はじ)めた。


(やさ)しい(かぜ)(かれ)(まわ)りを(ただよ)い、(ころも)(すそ)(ただよ)わせ、(かみ)(さき)()らめかせた。


しかし方正(ほうせい)は、最大(さいだい)警戒(けいかい)態勢(たいせい)()った。


なぜなら天鶴上人(てんかくじょうにん)(こころ)の中で、(すで)警告(けいこく)(こえ)()げていたからだ:「しまった! この小僧(こぞう)傷風蛊(しょうふうこ)()っているとは! 防御(ぼうぎょ)せよ! 全力(ぜんりょく)(ふせ)げ! この()()()こす傷風(しょうふう)は、()()(やさ)しく無害(むがい)だが、(じつ)(おそ)ろしい威力(いりょく)()つ。天妒楼(てんとろう)小僧(こぞう)、やはり(あなど)れない。どうやらこれが(やつ)(おく)()らしい!」


傷風(しょうふう)()()ける(なか)方正(ほうせい)攻撃(こうげき)完全(かんぜん)()て、(すべ)ての(ちから)防御(ぼうぎょ)(そそ)いだ。


傷風(しょうふう)一見(いっけん)(やさ)しく()えるが、(とお)()ぎる場所(ばしょ)では、群鶴(むれづる)悲鳴(ひめい)()げ、無数(むすう)鉄嘴飛鶴(てっしひかく)(つばさ)()られたかのように、(たか)(くう)から(みじ)めに墜落(ついらく)した。


傷風(しょうふう)方正(ほうせい)(からだ)直撃(ちょくげき)し、(かれ)全身(ぜんしん)(おお)防御(ぼうぎょ)(ひかり)をユラユラと()らめかせた。


方正(ほうせい)(ひたい)()(あせ)(たま)になって(つた)わり、()()いしばって()(つづ)けた。空窪(くうか)(なか)真元(しんげん)がグイグイと()っていき、防御蛊(ぼうぎょこ)(そそ)()まれている。


二人(ふたり)はしばらく膠着(こうちゃく)状態(じょうたい)(つづ)いたが、ついに魏無傷(ぎむしょう)(こころ)の中で(あき)らめの溜息(ためいき)をつき、傷風蛊(しょうふうこ)駆動(くどう)()めた。


(たたか)いを(つづ)けたくないわけではない、しかし(かれ)空窪(くうか)真元(しんげん)枯渇(こかつ)寸前(すんぜん)だった。


蛊師(こし)たちに共通(きょうつう)する弱点(じゃくてん)がある——真元(しんげん)()きると、戦闘力(せんとうりょく)谷底(たにぞこ)まで暴落(ぼうらく)するのだ。


一转(いってん)から五转(ごてん)蛊師(こし)(みな)真元(しんげん)制限(せいげん)()ける。ただ超凡(ちょうはん)脱俗(だつぞく)し、(せん)(さかい)(たっ)して蛊仙(こせん)となった(もの)だけが、無限(むげん)真元(しんげん)()にできる可能性(かのうせい)がある。


()けた…」魏無傷(ぎむしょう)()がくすんだ。


(かれ)冷徹(れいてつ)計算(けいさん)していた——(いま)(みずか)らの真元(しんげん)()き、(たたか)(つづ)ける(ちから)はない。しかし方正(ほうせい)飛鶴(ひかく)指揮(しき)して(たたか)ってきただけ、真元(しんげん)消耗(しょうもう)(すく)なく、間違(まちが)いなく余裕(よゆう)があるはずだ。


()(けい)、さすが天妒楼(てんとろう)精鋭(せいえい)弟子(でし)だ。(じつ)奇抜(きばつ)(するど)手口(てぐち)(わたし)()(ひら)かれる(おも)いだ。お(かげ)(わたし)真元(しんげん)枯渇寸前(こかつすんぜん)となった。この比試(ひし)は、引き(ひきわ)けとしませんか?」方正(ほうせい)(ふく)(わら)いを()かべた**。


「な、(なに)だと?!」魏無傷(ぎむしょう)呆然(ぼうぜん)として()見開(みひら)いた。


方正(ほうせい)(なに)()っているのか? (おの)()(うえ)は、(みずか)らが(だれ)よりも痛感(つうかん)している。どうして方正(ほうせい)真元(しんげん)消耗(しょうもう)させる蛊虫(こちゅう)など()てるはずがある?


しかし魏無傷(ぎむしょう)()ぐに(さと)った——方正(ほうせい)(うそ)をついているのだ。


方正(ほうせい)(おれ)()(だん)(もう)けてくれている」その意図(いと)理解(りかい)すると、魏無傷(ぎむしょう)(かお)複雑(ふくざつ)表情(ひょうじょう)()かんだ。


名門(めいもん)大派(たいは)弟子(でし)は、通常(つうじょう)(かる)々(がる)しく()()せない。


(なに)しろ(かれ)らが代表(だいひょう)するのは(みずか)らだけではなく、()()門派(もんぱ)威信(いしん)でもあるからだ。


(くわ)えて碧霞仙子(へきかせんじ)眼前(がんぜん)にいる——この(たたか)いで、魏無傷(ぎむしょう)絶対(ぜったい)()けられなかったのだ。


方正(ほうせい)(みずか)()(だん)(もう)けてくれたので、魏無傷(ぎむしょう)一瞬(いっしゅん)躊躇(ちゅうちょ)した(のち)(こぶし)(こまぬ)いで方正(ほうせい)()かって()った:「(ほう)(けい)(わか)英姿(えいし)に、()(ぼう)(こころ)から敬服(けいふく)する。さすが仙鶴門(せんかくもん)は、兄貴(あにき)のような人物(じんぶつ)(そだ)てるだけの底力(そこぢから)がある。今回(こんかい)切磋(せっさ)(おお)いに(まな)ぶところがあった。方兄(ほうけい)(おっしゃ)る通り、引き(ひきわ)けとさせていただこう」


表向(おもてむ)きはそう()いながらも、魏無傷(ぎむしょう)密声(みっせい)方正(ほうせい)(つた)えた:「方正(ほうせい)今回(こんかい)手加減(てかげん)は、魏無傷(ぎむしょう)(きも)(めい)じておく。(かなら)後日(ごじつ)(むく)いる。だが碧霞仙子(へきかせんじ)(おれ)(おも)(びと)だ、この(てん)だけは(けっ)して(ゆず)らない。これからも修練(しゅうれん)()み、いずれ(ふたた)貴殿(きでん)切磋(せっさ)する所存(しょぞん)だ!」


方正(ほうせい)(かす)かに(わら)み、表向(おもてむ)きは(うなず)いて(おう)じたが、(こころ)(なか)では(あたま)(いた)かった。


魏無傷(ぎむしょう)はさらに密声(みっせい)(つづ)けた:「方正(ほうせい)よ、()をつけろ。碧霞仙子(へきかせんじ)(ねら)(もの)は、(おれ)だけではない。(きみ)ほどの実力者(じつりょくしゃ)でも、(よん)(だい)競争相手(きょうそうあいて)がいる。(てん)()陳大江(ちんだいこう)紫電(しでん)騰空(とうくう)古霆(こてい)九死(きゅうし)小悲風(しょうひふう)湯如気(とうじょき)、そして母虎(ははとら)趙淑野(ちょうしゅくや)だ。(きみ)碧霞仙子(へきかせんじ)(した)しくしている以上(いじょう)(かれ)らは(かなら)因縁(いんねん)をつけてくる。くれぐれも(やぶ)れるなよ…」


方正(ほうせい)(つづ)けざまに()かされた(よん)つの(とどろ)()に、(おも)わず()がきらりと(ひか)り、(あたま)がズキズキと(いた)むのを(かん)じた。


一方(いっぽう)天鶴上人(てんかくじょうにん)(こころ)の中で哄笑(こうしょう)()ぜさせていた。


()たして魏無傷(ぎむしょう)()う通り、三日後(みっかご)古魂門(ここんもん)(もの)たちが天梯山(てんていざん)(あらわ)れた。首領(しゅりょう)古霆(こてい)は、碧霞仙子(へきかせんじ)方正(ほうせい)(うわさ)()くや、即座(そくざ)()しかけて挑戦(ちょうせん)してきた。


方正(ほうせい)理不尽(りふじん)災難(さいなん)()けるため、(たたか)いを()けて()なかった。


古霆(こてい)(あき)らめるわけもなく、毎日(まいにち)方正(ほうせい)仮住(かりず)まいする洞穴(ほらあな)(まえ)(あらわ)れ、挑発(ちょうはつ)(たたか)いを(いど)んだ。


連続(れんぞく)七日間(なのかかん)毎日(まいにち)のように執拗(しつよう)(から)んでくるのだった。


古霆(こてい)罵声(ばせい)()()うごとに悪辣(あくらつ)さを()した。仙鶴門(せんかくもん)の他の弟子(でし)たちは憤慨(ふんがい)し、(みずか)(たたか)いを(いど)んだが、(ひと)(のこ)らず()()かされた。


古魂門(ここんもん)(いきお)いは(おお)いに()がり、八日目(ようかめ)には、古霆(こてい)(みずか)門下生(もんかせい)(ひき)いて方正(ほうせい)洞窟(どうくつ)入口(いりぐち)(ふさ)ぎ、執拗(しつよう)罵倒(ばとう)(つづ)けた。


方正(ほうせい)、この甲羅(こうら)(かぶ)った(かめ)め! まだ()てこないのか?」


方正(ほうせい)一時(いちじ)(のが)れできても、一生(いっしょう)(かく)(つづ)けられると思うのか? 大人(おとな)しく碧霞仙子(へきかせんじ)との交際(こうさい)()()れ。そうすれば古霆(こてい)兄貴(あにき)慈悲(じひ)()れて見逃(みのが)してやるだろう」


仙鶴門(せんかくもん)とはこの程度(ていど)か?お(まえ)のような腰抜(こしぬ)弟子(でし)(そだ)てるとはな」



仙鶴門(せんかくもん)()(はずかし)められた(とき)洞窟(どうくつ)(なか)にいた方正(ほうせい)(おも)わず嘆息(たんそく)し、()むを()洞窟(どうくつ)から()た。


(みずか)らを(ののし)られるのは()えられる。しかし師門(しもん)(おとし)められるとなれば、(はなし)(べつ)だ。弟子(でし)として師門(しもん)(まも)るのは、中洲(ちゅうしゅう)価値観(かちかん)である。もし(まも)らなければ、後日(ごじつ)飛鶴山(ひかくざん)(もど)った(とき)弾劾(だんがい)され処罰(しょばつ)()けるだろう。


天鶴上人(てんかくじょうにん)(こころ)の中で雷鳴(らいめい)(ごと)(わめ)いた:「がははは… 方正(ほうせい)()弟子(でし)(いま)()かったか? 師匠(ししょう)()(つづ)けてきたことは間違(まちが)っていなかったと。一方的(いっぽうてき)忍従(にんじゅう)は、(よわ)さと誤解(ごかい)される。この()では、無害(むがい)臆病(おくびょう)()せれば()せるほど、(あなど)ろうとする(もの)(あつ)まってくるのだ。(たたか)え! この古霆(こてい)()()かせ! 古魂門(ここんもん)(もの)たちの(くち)(ふう)じろ! 貴様(きさま)名声(めいせい)は、一気(いっき)(たか)まるだろう!」


「はあ… 江湖(こうこ)()()けば、(おのれ)()のままにならぬ、(いま)()()みて(かん)じた。仕方(しかた)なく(たたか)うまでだ!」方正(ほうせい)はこの出来事(できごと)(とお)し、(こころ)(ひと)つの(さと)りが(しょう)じた。


古霆(こてい)よ、()い! 存分(ぞんぶん)(たたか)おう!


方正(ほうせい)古霆(こてい)激突(げきとつ)しているまさにその(とき)(とお)南疆(なんきょう)三叉山(さんさざん)では、衆人(しゅうじん)注目(ちゅうもく)(たたか)いが(まく)()じていた。


戦場(せんじょう)()()て、鮮血(せんけつ)地面(じめん)()()り、山石(やまいし)(くだ)け、樹木(じゅもく)(たお)れ、無数(むすう)爆裂孔(ばくれつこう)周囲(しゅうい)を取り(とりかこ)んでいた。


方源(ほうげん)傲然(ごうぜん)場中(ばちゅう)に立ち、今回(こんかい)相手(あいて)である費立(ひりつ)地面(じめん)(ひざまず)き、(かれ)()かって(ひたい)地面(じめん)()()けながら命乞(いのちご)いをしていた。


方正(ほうせい)(さま)、どうかお()(たか)()げて、(わたし)見逃(みのが)してください!」費立(ひりつ)方源(ほうげん)()かって(ひたい)地面(じめん)()()けながら、(あわ)れに(うった)(つづ)けた。


(かれ)四转中階(してんちゅうかい)(しゅ)()で、(ちから)(みち)蛊師(こし)でもあった。(もと)意気盛(いきさか)んだったが、(いま)全身(ぜんしん)()まみれ、右腕(みぎうで)方源(ほうげん)()()()られ、両足(りょうあし)()られ、()るも無惨(むざん)姿(すがた)だった。


命乞(いのちご)いしたいなら、まずはお(まえ)費力蛊(ひりきこ)献上(けんじょう)しろ。そしたら、見逃(みのが)すかどうか(かんが)えてやる」方源(ほうげん)足元(あしもと)費立(ひりつ)見下(みお)ろし、()(ひや)たい(ひかり)(はし)った。


費立(ひりつ)一瞬(いっしゅん)躊躇(ちゅうちょ)したが、仕方(しかた)なく費力蛊(ひりきこ)()()した。


この()(かれ)本命蛊(ほんめいこ)であり、核心(かくしん)()だった。(てき)一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)に、余計(よけい)(ちから)消耗(しょうもう)させ、(ちから)消耗(しょうもう)倍増(ばいぞう)させる効能(こうのう)がある。


費力蛊(ひりきこ)方源(ほうげん)(わた)したことで、本命蛊(ほんめいこ)(うしな)い、費立(ひりつ)重体(じゅうたい)(おちい)り、心血(しんけつ)()いた。


方源(ほうげん)費力蛊(ひりきこ)を受け(うけと)り、()をきらりと(ひか)らせた:「(かんが)えたが、費力蛊(ひりきこ)だけでは、お(まえ)(いのち)交換(こうかん)するには()りない」


費立(ひりつ)()見開(みひら)き、(おも)(きず)(かえり)みず(さけ)んだ:「方正(ほうせい)(さま)、これは(わたし)(もっと)大切(たいせつ)にしている()です!」


どかん!


方源(ほうげん)心念(しんねん)(うご)かすと、獣影(じゅうえい)猛然(もうぜん)(おそ)()かり、費立(ひりつ)()まみれの肉塊(にくかい)()えた。


「ケチ野郎(やろう)方源(ほうげん)足下(あしもと)()(かげ)もない死骸(しがい)見下(みお)ろし、(あざけ)るように(はな)(わら)った。


(つづ)いて、(かれ)視線(しせん)(うつ)し、戦場(せんじょう)一巡(いちじゅん)した。


見物(けんぶつ)していた(もの)たちは(すく)なくなかったが、方源(ほうげん)視線(しせん)()けられると、無意識(むいしき)()()らした。


方源(ほうげん)高笑(たかわら)いした:「どうした? 飛天虎(ひてんこ)薛三四(せつさんし)()なかったのか? (やつ)(つた)えておけ——我々(われわれ)は(みな)(ちから)(みち)蛊師(こし)だ。三日後(みっかご)(みずか)(おとず)れて切磋(せっさ)する!」この言葉(ことば)に、(おお)くの(もの)騒然(そうぜん)となった。


小獣王(しょうじゅうおう)凶暴(きょうぼう)さは度外視(どがいし)している。数日前(すうじつまえ)には横眉暴君(おうびぼうくん)(ころ)し、今回(こんかい)費立(ひりつ)(ひざまず)かせて命乞(いのちご)いさせた挙句(あげく)、それでも(ゆる)さず肉塊(にくかい)()えた。


(つぎ)飛天虎(ひてんこ)薛三四(せつさんし)挑戦(ちょうせん)すると()う!


なんという凶悪極(きょうあくきわ)まりない所業(しょぎょう)だ!












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