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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第百四十一節:肉沫に打つ

三叉山(さんさざん)は元々(もともと)(だれ)(かえり)みない、車家(しゃか)左家(さか)(さかい)()だった。


しかし継承(けいしょう)(あらわ)れて以来(いらい)(にぎ)わいを()せるようになり、山林(さんりん)には頻繁(ひんぱん)人影(ひとかげ)(はし)(まわ)っている。


小競(こぜ)()いは頻発(ひんぱつ)するが、(いま)比較的(ひかくてき)平穏(へいおん)時期(じき)だ。


光柱(こうちゅう)(あらわ)れる(たび)に、(はい)れる人数(にんずう)(かぎ)られている。その(とき)になれば、三叉山(さんさざん)(かなら)血生臭(ちなまぐさ)(あらし)(つつ)まれる。


継承(けいしょう)(はい)機会(きかい)(うば)()うため、蛊師(こし)たちは(みな)(やま)駐屯(ちゅうとん)することを(えら)んだ。


これが(ひと)つの現象(げんしょう)(しょう)じた。(つよ)蛊師(こし)ほど、山頂(さんちょう)(ちか)場所(ばしょ)()める。これが「水辺(みずべ)楼台(ろうだい)(つき)()やすし」、継承(けいしょう)(あらわ)れた(とき)強引(ごういん)()(はい)るのにも便利(べんり)だからだ。


方源(ほうげん)(えら)んだ洞窟(どうくつ)は、山腹(さんぷく)より(すこ)(うえ)洞窟口(どうくつぐち)(あと)()ると、(あき)らかに(ひと)()んでいる。


(あん)(じょう)洞窟(どうくつ)(ちか)くまで()ると、(なか)から(とどろ)くような(こえ)(ひび)いた:「ここは()蟒狂(もうきょう)縄張(なわば)りだ!()ぐに退()け!さもなくば、みすぼらしい()(ざま)(あじ)わわせてやる!」


「ははは!蟒狂(もうきょう)? またぞろ(なに)(もの)だ? この場所(ばしょ)()い、()(もの)にした。お(まえ)()()け!」方源(ほうげん)洞窟口(どうくつぐち)()ち、大笑(おおわら)いし、最後通牒(さいごつうちょう)()()けた。


「くそったれ、素直(すなお)(したが)わず(ばつ)(もと)めるとは。()(いそ)いでいると()えるな。ならば、無情(むじょう)()(くだ)しても文句(もんく)()わせん!」


その(こえ)(とも)に、洞窟(どうくつ)から巨漢(きょかん)(あらわ)れた。


上半身裸(じょうはんしんはだか)で、(あら)(あさ)()んだ()()れたズボンを()き、全身(ぜんしん)(あお)みがかった(へび)(うろこ)()えている。(かお)顎鬚(あごひげ)だらけ、両眼(りょうがん)血走(ちばし)り、黒髪(くろかみ)(みだ)()んでいる。顎鬚(あごひげ)逆立(さかだ)()見開(みひら)き、悪鬼(あっき)のような形相(ぎょうそう)洞窟(どうくつ)()てきた。


()(くさ)った野郎(やろう)二人(ふたり)か… うっ!」


蟒狂(もうきょう)方白(ほうはく)二人(ふたり)()て、(あら)(こえ)(ののし)りかけたが、突然(とつぜん)(ひとみ)(きゅう)(ちぢ)み、(くち)をぱっく()けた。()(おく)疑念(ぎねん)(おどろ)きが()()じった(いろ)()かんだ。


「お(ふた)()は、まさか黒白双煞(こくびゃくそうさつ)では?」


「そう(おも)うか?」白凝冰(はくぎょうひょう)(あさ)微笑(ほほえ)み、(あお)(ひとみ)殺意(さつい)(きら)めいた。


蟒狂(もうきょう)背筋(せすじ)(こお)るような寒気(かんき)(かん)じ、瞬時(しゅんじ)全身(ぜんしん)(ひろ)がった。


黒白双煞(こくびゃくそうさつ)四转蛊師(してんこし)(かれ)三转高階(さんてんこうかい)()ぎない。しかも最近(さいきん)(かれ)らが如何(いか)無情(むじょう)(ひと)(ころ)すか、その手口(てぐち)如何(いか)残忍(ざんにん)かという(うわさ)()(つづ)けていた。「ちくしょう! (おれ)蟒狂(もうきょう)大人(おとな)しく洞窟(どうくつ)(ひそ)んでいただけだ、(だれ)にも(さか)らってなどいない! まったく災難(さいなん)(そら)から()ってきたようだ…」蟒狂(もうきょう)心臓(しんぞう)(くる)うように鼓動(こどう)した。


(もと)凶暴(きょうぼう)だった(かお)が、突然(とつぜん)表情(ひょうじょう)()えた。逆立(さかだ)っていた(まゆ)はだらりと()れ、見開(みひら)いていた()一筋(ひとすじ)(ほそ)められ、()がっていた口元(くちもと)即座(そくざ)()がり、最大限(さいだいげん)笑顔(えがお)(つく)って善意(ぜんい)(あらわ)そうとした。


「お(ふた)人様(にんさま)(せつ)洞窟(どうくつ)をお()()されるとは、(わたし)前世(ぜんせ)果報(かほう)でございます!」


蟒狂(もうきょう)(こし)()り、両手(りょうて)()()わせ、方白(ほうはく)二人(ふたり)()びるような()みを()かべた。


巨漢(きょかん)体躯(たいく)でありながら、(くび)(ちぢ)背中(せなか)(まる)める(さま)は、先程(さきほど)横柄(おうへい)気配(けはい)跡形(あとかた)もなく()()り、粗野(そや)容貌(ようぼう)(あい)まって、まさに道化師(どうけし)のようだった。


「うむ、お(まえ)()()があるようだな。()ってよろしい」方源(ほうげん)()()り、()った。


「はいはいはい!」蟒狂(もうきょう)大赦(たいしゃ)()けたように、小走(こばし)りに(とお)くへ(はし)()った。


方源(ほうげん)蟒狂(もうきょう)()(はら)うと、白凝冰(はくぎょうひょう)(とも)洞窟(どうくつ)(はい)った。


洞窟(どうくつ)蟒狂(もうきょう)によって()(ぎわ)よく(ととの)えられており、(あらた)めて(もう)える必要(ひつよう)はなかった。


三叉山(さんさざん)危険(きけん)(おお)い。これから八日間(ようかかん)交代(こうたい)夜番(よるばん)()つ。一人(ひとり)(ねむ)(あいだ)は、もう一人(ひとり)(かなら)()きていること」方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)(ねん)()した。


当然(とうぜん)のことだ」白凝冰(はくぎょうひょう)(かろ)(うなず)いた。


狐魅児(こみい)簡単(かんたん)には()()がらない。この八日間(ようかかん)、我々(われわれ)には()()ない面倒(めんどう)()りかかるだろう。だが丁度(ちょうど)良い。これらの(もの)(みずか)()()てる機会(きかい)(とど)けに()るのだ、(ねが)ったり(かな)ったりだ」


方源(ほうげん)がそう()っていると、洞窟外(どうくつがい)から(こえ)(ひび)いた。


黒白双煞(こくびゃくそうさつ)殿(どの)、おわしますか? 拙者(せっしゃ)横眉暴君(おうびぼうくん)、かねてよりお二方(ふたかた)御高名(ごこうめい)(うけたまわ)っております。今回(こんかい)(せん)御挨拶(ごあいさつ)参上(さんじょう)いたしました」


横眉暴君(おうびぼうくん)? 十暴君(じゅうぼうくん)親分(おやぶん)ではないか? (うわさ)では()まれつき残忍(ざんにん)で、(ちから)(みち)(おさ)め、童肉(わらべにく)()らうことを(この)み、南山(なんざん)悪行(あくぎょう)(かぎ)りを()くしていたと()く」白凝冰(はくぎょうひょう)方源(ほうげん)一瞥(いちべつ)した。


方源(ほうげん)内心(ないしん)冷笑(れいしょう)した。


この横眉暴君(おうびぼうくん)は、もともと(かれ)(みずか)仕掛(しか)けようと(かんが)えていた相手(あいて)だ。(おも)わず(みずか)(すす)んで()るとは。


二人(ふたり)洞窟口(どうくつぐち)()ると、(そと)八人(はちにん)(もの)()っているのを()た。


先頭(せんとう)()一人(ひとり)は、体躯(たいく)(ゆう)(そう)で、(むね)(あら)わにし、(むね)(うえ)(くろ)胸毛(むなげ)(おお)われていた。全身(ぜんしん)から四转中階(してんちゅうかい)濃厚(のうこう)気配(けはい)(はな)っている。しかし(いま)、この残忍(ざんにん)名高(なだか)魔道(まどう)人物(じんぶつ)は、(かお)()みを()かべていた。方白(ほうはく)二人(ふたり)()るや、即座(そくざ)(こぶし)(にぎ)拱手(きょうしゅ)(れい)()った——一見(いっけん)風采(ふうさい)()黒熊(くろぐま)のようだった。


「まさか黒白双煞(こくびゃくそうさつ)若者(わかもの)二人(ふたり)が、これほどの大物(おおもの)だとは(おも)わなかった」横眉暴君(おうびぼうくん)はわざと(こえ)()()げ、周囲(しゅうい)(おお)くの蛊師(こし)注意(ちゅうい)()いた。


横眉暴君(おうびぼうくん)でさえ、(みずか)(かれ)らを(たず)ねるとは」(おお)くの(もの)(おどろ)きを(かく)せなかった。


(あぶ)ない(ところ)()()せた… 横眉暴君(おうびぼうくん)がいつもこんなに丁寧(ていねい)だったか?」まだ(とお)くへは()げておらず、蟒狂(もうきょう)(むね)(おさ)え、(おく)れて(おそ)恐怖(きょうふ)(かん)じていた。


横眉暴君(おうびぼうくん)()()たな。丁度(ちょうど)(まえ)(さが)していた(ところ)だ」方源(ほうげん)(こた)えた。


横眉暴君(おうびぼうくん)()みは(さら)(ふか)まった——方源(ほうげん)自分(じぶん)(たず)ねるつもりだと勘違(かんちが)いしたのだ。


しかし方源(ほうげん)(つぎ)一言(ひとこと)が、(かれ)笑顔(えがお)瞬時(しゅんじ)(こお)()かせた。


方源(ほうげん)()った:「お(まえ)(ちから)(みち)蛊師(こし)だと()いた。生死(せいし)()けて(あそ)んでみないか?優劣(ゆうれつ)()けよう。()方正(ほうせい)(ちから)(みち)(あゆ)む、(かなら)力道(りきどう)第一(だいいち)になる!(いのち)(もら)()ける!」


言葉(ことば)()わらぬ(まえ)に、方源(ほうげん)蛊虫(こちゅう)()()て、横眉暴君(おうびぼうくん)目指(めざ)してドカンと地響(じひび)きを()突進(とっしん)した!


「な、(なに)だと?!」横眉暴君(おうびぼうくん)反応(はんのう)し、(おどろ)きと(いか)りが()()じった。


(みずか)身分(みぶん)()として(まじ)わろうとしたのに、この「方正(ほうせい)」は(まった)好意(こうい)()()らず、二言(ふたこと)もなく(おそ)()ってくるとは。


こいつ、一体(いったい)何者(なにもの)だ?


人間(にんげん)なのか? (あたま)のネジが(はず)れているんじゃないか?!


方源(ほうげん)(かれ)(おも)いなど()にも()めず、疾風(はやて)(ごと)(はし)り、横眉暴君(おうびぼうくん)()(まえ)(おど)()た。


全力以赴蛊(ぜんりょくふこ)


問答無用(もんどうむよう)で、まっすぐ体当(たいあ)たりを()めた!


がおっ!


(かれ)()()空中(くうちゅう)に、瞬時(しゅんじ)茶色(ちゃいろ)(くま)虚影(きょえい)(あらわ)れた。


暴力蛊(ぼうりょくこ)


横眉暴君(おうびぼうくん)()(いか)らせ、(うご)かず、両腕(りょううで)(かま)えた。


暴力蛊(ぼうりょくこ)発動(はつどう)するや、(かれ)(からだ)急膨張(きゅうぼうちょう)し、(ちから)爆発的(ばくはつてき)増大(ぞうだい)した。


どかん! 方源(ほうげん)横眉暴君(おうびぼうくん)激突(げきとつ)し、後者(こうしゃ)五歩(ごほ)後退(こうたい)した。一方(いっぽう)方源(ほうげん)巨大(きょだい)衝撃(しょうげき)(はじ)()ばされた。


横眉暴君(おうびぼうくん)四转中階(してんちゅうかい)(しゅ)()()ち、(のこ)九人(きゅうにん)(ひき)いて南山(なんざん)長年(ながねん)牛耳(ぎゅうじ)り、その基盤(きばん)非常(ひじょう)(あつ)い。


「ふん! 小獣王(しょうじゅうおう)面目(めんもく)(ほどこ)してやるのだから、()()るなよ?」横眉暴君(おうびぼうくん)(ひく)(つぶや)いたが、追撃(ついげき)には()なかった。


四转中階(してんちゅうかい)(かれ)は、方源(ほうげん)(ひと)(せん)(まじ)えただけで、相手(あいて)自分(じぶん)より一歩(いっぽ)(おと)四转初階(してんしょかい)だと見抜(みぬ)いた。


しかし()には、方源(ほうげん)だけではない。もう一人(ひとり)白凝冰(はくぎょうひょう)という四转(してん)が、悠然(ゆうぜん)()(ふさ)がっている。


横眉暴君(おうびぼうくん)は「方正(ほうせい)」を(たお)自信(じしん)はあったが、(いち)(たい)()(たたか)いとなれば、(はなし)(べつ)だった。


横眉暴君(おうびぼうくん)、どうしてそこまで女々(めめ)しい? 白凝冰(はくぎょうひょう)、お(まえ)(ほか)(もの)片付(かたづ)けろ。横眉暴君(おうびぼうくん)(おれ)仕留(しと)める!」方源(ほうげん)哄笑(こうしょう)し、両肩(りょうかた)()すりながら、(ふたた)大股(おおまた)横眉暴君(おうびぼうくん)突進(とっしん)した。


茶一服(ちゃいっぷく)時間(じかん)(あた)える。それまでに片付(かたづ)けられなければ、交代(こうたい)だ」白凝冰(はくぎょうひょう)(かす)かに(まゆ)()()げ、(あお)(ひとみ)(するど)(ひかり)(はし)った。


口幅(くちはば)ったい小僧(こぞう)どもめ!」方白(ほうはく)言葉(ことば)()き、横眉暴君(おうびぼうくん)(はい)爆発(ばくはつ)しそうなほどの(いか)りを(かん)じた。


(もと)より短気(たんき)(かれ)は、ここまで()(しの)んでいたのが奇跡(きせき)だった。もはや(こと)穏便(おんびん)(おさ)まらないと(さと)り、一切(いっさい)()てて、(こころ)殺気(さっき)(あらし)()()こした。


(たたか)え!


両者(りょうしゃ)激突(げきとつ)した。


方源(ほうげん)横眉暴君(おうびぼうくん)対峙(たいじ)し、白凝冰(はくぎょうひょう)(のこ)りの(てき)圧倒的(あっとうてき)(せい)(あつ)した。


なんという乱戦(らんせん)


山石(やまいし)(くだ)()り、渓流(けいりゅう)()()れ、洞窟(どうくつ)(くず)()ち、爆音(ばくおん)雷鳴(らいめい)(ごと)(とどろ)いた。


(たたか)えば(たたか)うほど、横眉暴君(おうびぼうくん)(こころ)(ふる)えた——方源(ほうげん)苦力蛊(くりこ)()ち、(きず)()えば()うほど(ちから)()し、戦闘力(せんとうりょく)(つよ)まるのだ。


最初(さいしょ)()じわった(とき)(かれ)小獣王(しょうじゅうおう)など(たい)したことないと(あなど)っていたが——


(たたか)いが中盤(ちゅうばん)()()かる(ころ)横眉暴君(おうびぼうくん)顔色(かおいろ)(てつ)のように()(かた)まっていた。方源(ほうげん)六獣影(ろくじゅうえい)同時(どうじ)(はな)った(とき)(かれ)(かお)一瞬(いっしゅん)(あお)ざめた。


「この小獣王(しょうじゅうおう)め、どうしてここまで(つよ)いのだ?! 蛊虫(こちゅう)()()わせは(おれ)より(すぐ)れている(うえ)に、(たたか)いの経験(けいけん)豊富(ほうふ)だ。こいつは一体(いったい)(なに)()まれだ?手口(てぐち)老練(ろうれん)残忍(ざんにん)すぎる、若者(わかもの)面影(おもかげ)など微塵(みじん)もなく、まるで百年(ひゃくねん)もの()(けもの)だ!」


道理(どうり)で、あんなに横暴(おうぼう)()()うわけだ。これほどの実力(じつりょく)があれば、(おれ)だって好き放題(ほうだい)するだろう。今回は完全(かんぜん)にやられた!(いま)すぐ撤退(てったい)しなければ!」


方源(ほうげん)(ちから)(まか)せに突進(とっしん)し、攻撃(こうげき)(するど)(たけ)(くる)った。(あた)猛虎(もうこ)(やま)()()り、蛟龍(こうりゅう)(うみ)(かき)(みだ)すが(ごと)くだ。横眉暴君(おうびぼうくん)気血(きけつ)()(くる)い、(いき)()らして(あえ)いだ。


(もっと)致命的(ちめいてき)なのは——方源(ほうげん)(きず)つける(たび)に、(かれ)(さら)(つよ)くなるのだ。


(いま)この(たたか)いですら、(かれ)()(こた)えるのが精一杯(せいいっぱい)だ。もし方源(ほうげん)(さら)(つよ)くなったら、一体(いったい)どうなるというのか!


横眉暴君(おうびぼうくん)はそのことを(おも)(たび)に、戦意(せんい)一分(いちぶ)ずつ(しぼ)んでいく。


ついには、(かれ)攻撃(こうげき)すら躊躇(ちゅうちょ)するようになった。(あき)らかに方源(ほうげん)(きず)つける機会(きかい)があっても、(まよ)いが(しょう)じてしまうのだ——


「いったい()つべきか、()たざるべきか…?」


そんな(まよ)いを(いだ)きながら、どうして()(たたか)いができようか?


横眉暴君(おうびぼうくん)次第(しだい)身動(みうご)きが()れなくなり、一方(いっぽう)方源(ほうげん)完全(かんぜん)(いきお)いを()し、攻撃(こうげき)(なみ)(きし)()つように、(つぎ)から(つぎ)へと途切(とぎ)れることなく()()せた。


獣影(じゅうえい)空中(くうちゅう)に次々(つぎつぎ)と(ひらめ)き、(ひと)(ひと)つの激突(げきとつ)(すご)まじい爆音(ばくおん)(とどろ)かせた。


爆音(ばくおん)連続(れんぞく)し、()(もの)をして心臓(しんぞう)(つか)まれる(おも)いにさせた。


「なんという凄烈(せいれつ)攻勢(こうせい)だ!」


「なんと、横眉暴君(おうびぼうくん)のような老輩(ろうはい)強者(きょうしゃ)すら、方正(ほうせい)(てき)ではないとは…」


方正(ほうせい)(あき)らかに四转初階(してんしょかい)なのに、中階(ちゅうかい)横眉暴君(おうびぼうくん)圧倒(あっとう)している」


小獣王(しょうじゅうおう)め…」(やみ)(ひそ)(おお)くの見物人(けんぶつにん)が、方源(ほうげん)のこの称号(しょうごう)()みしめるように(おも)(めぐ)らせていた。


一体(いったい)(だれ)(しん)暴君(ぼうくん)なんだ?」蟒狂(もうきょう)(おも)わず歯茎(はぐき)(すす)った。(かれ)には、方源(ほうげん)の方が横眉暴君(おうびぼうくん)よりも理不尽(りふじん)横暴(おうぼう)(うつ)った。普段(ふだん)凶悪(きょうあく)非道(ひどう)横眉暴君(おうびぼうくん)でさえ、(いま)や「方正(ほうせい)」の(まえ)では見劣(みおと)りがするほどだった。


方正(ほうせい)()()るな!」横眉暴君(おうびぼうくん)方源(ほうげん)(なぐ)()えられ()()き、(むね)(うで)(あし)(ほね)()られた。()()そうとしたが、方源(ほうげん)はとっくに見抜(みぬ)いていた。白凝冰(はくぎょうひょう)(のこ)りの暴君(ぼうくん)片付(かたづ)けると、(かれ)退路(たいろ)完璧(かんぺき)(ふう)じた。


がおおおっ!


がおおおっ!


方源(ほうげん)(ゆび)()すと、(むっ)つの獣力虚影(じゅうりょくきょえい)実体(じったい)()し、(てん)から()(そそ)いで横眉暴君(おうびぼうくん)()()んだ。


どかん!


轟音(ごうおん)(ひび)(わた)り、煙塵(えんじん)()った。


横眉暴君(おうびぼうくん)全身(ぜんしん)肉片(にくへん)()し、内臓(ないぞう)破片(はへん)(ほね)砕片(さいへん)放射状(ほうしゃじょう)(ひろ)がっていた。


すうっ…


周囲(しゅうい)から無数(むすう)冷気(れいき)()()(おと)(ひび)いた。









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