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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第百三十七節:英雄救美

(いわ)()()り、(わに)たちの哀叫(あいきょう)(ひび)く。


激戦(げきせん)終局(しゅうきょく)(むか)え、方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)火炭山(かたんざん)傲然(ごうぜん)と立ち、足元(あしもと)には熔岩鰐(ようがんわに)(しかばね)が累々(るいるい)と(よこ)たわっていた。


千獣王(せんじゅうおう)たる熔岩鰐王(ようがんわにおう)は、全身(ぜんしん)骨格(こっかく)(くだ)かれ、背中(せなか)(ふた)つの火山状(かざんじょう)()()がりは無惨(むざん)(つぶ)されていた。


(ひく)(うめ)きながら、地面(じめん)()す。無数(むすう)傷口(きずぐち)から()がとめどなく(なが)()る。足爪(あしづめ)(かす)かに(ふる)え、(つち)()()地底(ちてい)(もぐ)ろうとするが、もはや力及(ちからおよ)ばない。


その痙攣(けいれん)次第(しだい)(よわ)まり、ついに()(おとず)れた。


千獣王(せんじゅうおう)()ぬと、(のこ)りの熔岩鰐(ようがんわに)たちは瞬時(しゅんじ)瓦解(がかい)し、地中(ちちゅう)(もぐ)()んで(あわ)てふためいて()()した。


戦場(せんじょう)をさっと片付(かたづ)けると、方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)(ふたた)(ある)()した。


一方(いっぽう)(とお)くの(すみ)(ひそ)焦黄(しょうこう)孟土(もうど)は、微動(びどう)だにしなかった。魔道(まどう)名高(なだか)きこの二人(ふたり)暗殺者(あんさつしゃ)顔色(かおいろ)は、(いま)蝋人形(ろうにんぎょう)のように青白(あおじろ)く、生気(せいき)(うしな)っていた。


(かれ)らは(たましい)()けたようだった!


「こいつら…人間(にんげん)か? 単身(たんしん)熔岩鰐群(ようがんわにぐん)(わた)()うとは…!」


白凝冰(はくぎょうひょう)氷道(ひょうどう)熔岩鰐(ようがんわに)(きわ)めて有効(ゆうこう)だ。だが問題(もんだい)方正(ほうせい)だ——あれは人型(にんがた)怪獣(かいじゅう)だ!(きず)()えば()うほど(つよ)くなる。最後(さいご)には熔岩鰐王(ようがんわにおう)を軽々(かるがる)とぶっ()ばした…」


焦黄(しょうこう)孟土(もうど)(かお)()()わせ、(たが)いの()(うつ)戦慄(せんりつ)(みと)めた。


方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)(おそ)るべき戦闘力(せんとうりょく)は、(かれ)らの予想(よそう)(はる)かに()えていた。


(かれ)らは商家城(しょうかじょう)()んではいないが、この(たたか)いを(じか)見届(みとど)けた(いま)二人(ふたり)(おそ)ろしさを(ほね)(ずい)まで(さと)ったのだった。


「こいつら、本当(ほんとう)二十代(にじゅうだい)か? 畜生(ちくしょう)め、(くら)べると(おれ)四十余年(よんじゅうよねん)生涯(しょうがい)はまるで(いぬ)生涯(しょうがい)だ!」孟土(もうど)恐怖(きょうふ)余韻(よいん)(ふる)えながら(ののし)った。


孟土(もうど)よ、そんなこと()うなよ。お(まえ)()うこと()いてると、こっちも(あな)があったら(はい)りたくなる」年上(としうえ)焦黄(しょうこう)(ふか)嘆息(たんそく)をついた。「()うまでもなく、二人(ふたり)とも天才(てんさい)だ。(ひと)(くら)べれば()(くる)うとは、まさにこのことだ。我々(われわれ)では(かな)わない。()ってりゃ、こんな仕事(しごと)()けなきゃよかった…」


焦黄(しょうこう)兄貴(あにき)、そんなこと()われると、かえって闘志(とうし)()()いて、なおさら(あき)らめきれない! まだ()わりじゃない。実力(じつりょく)では(かな)わないが、チャンスは(のこ)っている!」孟土(もうど)(つば)()()て、()()いしばって()った。


「おお? どんなチャンスだ?」


(かんが)えてみろよ、兄貴(あにき)。あの二人(ふたり)三叉山(さんさざん)()かい、三王(さんおう)継承(けいしょう)()(あさ)ろうとしている。三叉山(さんさざん)修羅場(しゅらば)だ。四转(してん)五转(ごてん)(つよ)(もの)がうようよしている。()けば(かなら)(あらそ)いが()きる。その(とき)(ねら)って、漁夫(ぎょふ)()(ひろ)えれば、それでいいんだ!」


孟土(もうど)言葉(ことば)に、焦黄(しょうこう)()(かがや)いた。


(かれ)孟土(もうど)(かた)をポンと(たた)いた:「弟分(おとうとぶん)よ、()う通り(どおり)だ。さあ、我々(われわれ)も三叉山(さんさざん)()こう!」


「さっきの熔岩鰐群(ようがんわにぐん)出方(でかた)不自然(ふしぜん)だったな」道中(どうちゅう)方源(ほうげん)(おも)(さく)(ちん)じていた。


熔岩鰐(ようがんわに)出現(しゅつげん)時機(じき)位置(いち)は、あまりにも巧妙(こうみょう)すぎた——(あらわ)れるや(いな)や、完璧(かんぺき)方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)包囲(ほうい)したのだ。白凝冰(はくぎょうひょう)(なに)()づかなかったが、前世(ぜんせ)経験(けいけん)を持つ老獪(ろうかい)方源(ほうげん)は、その(なか)陰謀(いんぼう)(にお)いを()()った。


この(にお)いには、方源(ほうげん)()れっこだった。


(だれ)かが(わな)仕掛(しか)け、(おれ)(ねら)っている。では、一体(いったい)どこの勢力(せいりょく)だ? 武家(ぶけ)か、百家(ひゃっか)か、それとも商家(しょうか)か?」方源(ほうげん)(ひそ)かに(かんが)(めぐ)らせた。


武家(ぶけ)は、李然(りぜん)正体(しょうたい)(わたし)()っているからな。商量山(しょうりょうざん)()(いま)(かれ)らが()()可能性(かのうせい)(たか)い」


百家(ひゃっか)はどうだ? (あだ)()い、(かれ)らの一族(いちぞく)元泉(げんせん)()()てるという(おお)きな秘密(ひみつ)(にぎ)り、三百万枚(さんびゃくまんまい)元石(げんせき)(おど)()った。(うら)まないわけがないだろう?」


商家(しょうか)同様(どうよう)だ。商睚眦(しょうがいし)商一帆(しょういっぱん)(おこ)らせ、衛家(えいけ)(もの)たちを買収(ばいしゅう)し、商蒲牢(しょうほろう)にも敵対(てきたい)した。商家(しょうか)若様(わかさま)たちは(きそ)()っており、(わたし)商心慈(しょうしんじ)片腕(かたうで)(ひと)つだ。(そと)始末(しまつ)されれば、商心慈(しょうしんじ)勢力(せいりょく)(けず)られる」


「まあいい、(かんが)えても仕方(しかた)がない。(へい)()れば(しょう)(ふせ)ぎ、(みず)()れば(つち)(ふさ)ぐさ」方源(ほうげん)(くび)()り、複雑(ふくざつ)(おも)いを(あたま)から()(はら)い、(こころ)(きよ)らかに(さだ)めた。


(むかし)なら、(ちから)(よわ)く、何事(なにごと)にも(こころ)(くだ)(ちから)()くして(はか)らねばならなかった。しかし(いま)実力(じつりょく)()び、八風(はっぷう)()けども(やま)(ごと)微動(びどう)だにしない境地(きょうち)垣間見(かいまみ)える。


……


中洲(ちゅうしゅう)


雲海(うんかい)(うえ)狂風(きょうふう)()(すさ)ぶ。


(まん)()える飛鶴(ひかく)が、一斉(いっせい)(つばさ)(ひろ)げて飛翔(ひしょう)している。


方正(ほうせい)仙鶴門(せんかくもん)精鋭弟子(せいえいでし)たちは、各々(おのおの)飛鶴(ひかく)背中(せなか)()みしめたり盤坐(ばんざ)したりしながら、天梯山(てんていざん)()かっている。


方正(ほうせい)(さま)、お()鶴群(かくぐん)(じつ)威風(いふう)堂々(どうどう)でございます。この天梯山(てんていざん)()き、(かなら)ずや(おお)いに(かがや)き、四方(しほう)()うことでしょう」一人(ひとり)精鋭弟子(せいえいでし)()った。


(かれ)(はな)すとき、蛊虫(こちゅう)使(つか)った。周囲(しゅうい)(かぜ)轟音(ごうおん)にもかかわらず、その(こえ)(はば)まれることなく、鮮明(せんめい)衆人(しゅうじん)(みみ)(ひび)(わた)った。


諸君(しょくん)()(ぶん)なお()言葉(ことば)には恐縮(きょうしゅく)します」方正(ほうせい)()った:「天梯山(てんていざん)()かい、白狐蛊仙(はくここせん)継承(けいしょう)(あらそ)うのは、(みな)十大派(じゅうだいは)精鋭(せいえい)たちです。継承(けいしょう)()るには、実力(じつりょく)だけでなく(うん)必要(ひつよう)でしょう」


方正(ほうせい)(さま)、お謙遜(けんそん)すぎます!(まん)鶴群(かくぐん)(よう)する貴方(あなた)に、(だれ)(かな)うというのです?」即座(そくざ)一人(ひとり)精鋭弟子(せいえいでし)(さけ)んだ。


方正(ほうせい)(さま)こそ、我々(われわれ)の模範(もはん)です。道理(どうり)精鋭弟子(せいえいでし)昇格(しょうかく)直後(ちょくご)に、掌門(しょうもん)から使命(しめい)(たまわ)ったのですね。この天梯山(てんていざん)()き、(わたし)たちは貴方(あなた)のご指示(しじ)(したが)います!」一人(ひとり)女性精鋭弟子(じょせいせいえいでし)(うやうや)しく()べた。


道中(どうちゅう)方正(ほうせい)精鋭弟子(せいえいでし)たち一人一人(ひとりひとり)切磋(せっさ)(かさ)ねてきた。


(かれ)実力(じつりょく)圧倒的(あっとうてき)で、空竅(くうこう)には寄魂蚤(きこんそう)飼育(しいく)している——天鶴上人(てんかくじょうにん)魂魄(こんぱく)がその(なか)宿(やど)り、常時(じょうじ)(かれ)戦場指導(せんじょうしどう)(ほどこ)していた。(さら)には(まん)鶴群(かくぐん)(うし)(だて)となっている。


こうして、方正(ほうせい)は他の精鋭弟子(せいえいでし)たちを次々(つぎつぎ)と撃破(げきは)した。


(かれ)()って(おご)ることなく、風格(ふうかく)(そな)え、謙虚(けんきょ)姿勢(しせい)(つらぬ)いた。この態度(たいど)容易(ようい)(みな)好感(こうかん)()()自然(しぜん)首領(しゅりょう)として推戴(すいたい)されるに(いた)った。精鋭弟子(せいえいでし)たちは(みな)方正(ほうせい)(ふか)敬服(けいふく)している。


中洲(ちゅうしゅう)十大門派(じゅうだいもんぱ)は、どれも(ふか)底力(そこぢから)()つ。きっと(のう)ある(もの)もいるでしょう。(わたし)(まん)鶴群(かくぐん)()つが、指揮(しき)非力(ひりき)さという弱点(じゃくてん)もある。飛鶴(ひかく)操縦(そうじゅう)については、諸君(しょくん)にご教示(きょうじ)(ねが)いたい」方正(ほうせい)はそう()い、周囲(しゅうい)(もの)拱手(きょうしゅ)(れい)()った。


恐縮(きょうしゅく)です!方正様(ほうせいさま)切磋(せっさ)できること自体(じたい)光栄(こうえい)です」


「ここ数日(すうじつ)方正様(ほうせいさま)修練(しゅうれん)ぶりは()見張()るものがあり、(わたし)など()ずかしい(かぎ)りです」


方正様(ほうせいさま)上達(じょうたつ)目覚(めざ)ましく、(つる)制御(せいぎょ)天性(てんせい)(さい)をお()ちです。これまで訓練(くんれん)不足(ぶそく)だっただけ。(とき)()れば、(かなら)孫元化(そんげんか)凌駕(りょうが)されるでしょう」


他の精鋭弟子(せいえいでし)たちが口々(くちぐち)に(こた)えた。


(かれ)らの言葉(ことば)は、(こころ)(そこ)から()()がったものだった。道中(どうちゅう)方正(ほうせい)目覚(めざ)ましい進歩(しんぽ)(かれ)らは目の()たりにしてきた。


方正(ほうせい)(おも)わず微笑(ほほえ)んだ——天鶴上人(てんかくじょうにん)(つね)指導(しどう)し、秘伝(ひでん)(こころ)()(さず)け、(とき)には()わって鶴群(かくぐん)(あやつ)ってくれるのだ。進歩(しんぽ)(はや)くないわけがない。


さらに()(つづ)けることしばらく、鉄嘴飛鶴(てっしひかく)たちが一斉(いっせい)()(ごえ)()(はじ)めた。


方正(ほうせい)らは(みな)、その意味(いみ)(さと)った。


「さあ、(とき)だ。()りて(つる)(えさ)(あた)えよう」方正(ほうせい)(あし)(かる)()むと、鶴群(かくぐん)(かれ)指示(しじ)(したが)い、次々(つぎつぎ)と(した)雲海(うんかい)()()さっていった。


瞬時(しゅんじ)に、周囲(しゅうい)(しろ)(きり)(つつ)まれた。


まもなく雲霧(うんむ)()え、一行(いっこう)鶴群(かくぐん)(とも)(くも)()け、鬱蒼(うっそう)とした大地(だいち)へと降下(こうか)していった。


飛鶴(ひかく)食餌(しょくじ)必要(ひつよう)とする。鶴群(かくぐん)規模(きぼ)(おお)きければ、食料(しょくりょう)需要(じゅよう)(たか)まる。(さいわ)鉄嘴飛鶴(てっしひかく)は、(なん)でも()べる。(とき)には小石(こいし)()()んで空腹(くうふく)()たすこともあり、飼育(しいく)(きわ)めて容易(ようい)だ。


方正(ほうせい)はこの巨大(きょだい)鶴群(かくぐん)(よう)しているが、それ相応(そうおう)手間(てま)もかかる。一定(いってい)時間(じかん)ごとに地上(ちじょう)()り、鶴群(かくぐん)(えさ)(あた)えねばならない。


「おや? (した)(たたか)いが!」降下中(こうかちゅう)一人(ひとり)精鋭弟子(せいえいでし)(さけ)んだ。


一同(いちどう)()ぐに(した)異変(いへん)気付(きづ)いた。


四人(よにん)魔道蛊師(まどうこし)陰笑(いんしょう)()らし、三人(さんにん)女性蛊師(じょせいこし)包囲(ほうい)し、じわじわと()()っていた。


「ちっ、あの四大淫賊(よんだいいんぞく)か」すぐに、ある精鋭弟子(せいえいでし)嫌悪(けんお)()めた口調(くちょう)で、四人(よにん)魔道蛊師(まどうこし)正体(しょうたい)(あば)いた。


この四大淫賊(よんだいいんぞく)とは、東淫(とういん)陳淫道(ちんいんどう)西賤(せいせん)郁八光(いくはちこう)南騒(なんそう)施暴(せぼう)北蕩(ほくとう)樊春耀(はんしゅんよう)である。


(かれ)らは中洲(ちゅうしゅう)暗躍(あんやく)し、(おのおの)四转(してん)(しゅ)()(ゆう)する。連携(れんけい)すれば五转蛊師(ごてんこし)にも匹敵(ひってき)する実力(じつりょく)()ち、(きわ)めて危険(きけん)存在(そんざい)だ。


()ろよ!包囲(ほうい)されているのは天蓮派(てんれんは)碧霞小仙子(へきかしょうせんし)だ!」()(するど)精鋭弟子(せいえいでし)(さけ)んだ。


「ふん、魔道(まどう)(やから)は、人皆(ひとみな)これを(ちゅう)すべし!」方正(ほうせい)顔色(かおいろ)峻厳(しゅんげん)(きわ)め、(ふか)(かんが)えず、即座(そくざ)鶴群(かくぐん)急降下(きゅうこうか)させた。


「ふふふ、碧霞仙子(へきかせんじ)今日(きょう)()()れまい!」


「まさか碧霞小仙子(へきかしょうせんし)()出来(でき)るとはな。どんな重傷(じゅうしょう)()っても、それだけの価値(かち)はあるぜ!」


四大淫賊(よんだいいんぞく)(かお)(ゆが)めてウインクを()わし、天蓮派(てんれんは)三人(さんにん)女性蛊師(じょせいこし)にじわじわと()()った。


(にく)らしい…!」碧霞小仙子(へきかしょうせんし)(ぎん)()()(くだ)きそうだった。重傷(じゅうしょう)()い、包囲網(ほういもう)(やぶ)ろうにも(ちから)(およ)ばない。


絶望(ぜつぼう)(むせ)び、まさに(した)()んで自決(じけつ)しようとしたその(とき)突然(とつぜん)頭上(ずじょう)鶴群(かくぐん)斉唱(せいしょう)(ひび)(わた)った。


何者(なにもの)だ!?」四大淫賊(よんだいいんぞく)(そろ)って見上(みあ)げ、(こえ)(そろ)えて()()めた。


仙鶴門(せんかくもん)精鋭弟子(せいえいでし)方正(ほうせい)!」方正(ほうせい)鉄嘴飛鶴王(てっしひかくおう)背中(せなか)()みしめ、雷鳴(らいめい)(ごと)(かつ)した。


(つる)()傲然(ごうぜん)()ち、(たくま)しい体躯(たいく)()(まゆ)(とら)(ごと)眼光(がんこう)——(よん)人の淫賊(いんぞく)(するど)(にら)()えると、(てのひら)()ばして(かれ)らを指差(ゆびさ)した。


()後の精鋭弟子(せいえいでし)たちと(まん)鉄嘴飛鶴(てっしひかく)が、次々(つぎつぎ)と方正(ほうせい)()え、(よん)淫賊(いんぞく)目指(めざ)して怒涛(どとう)進撃(しんげき)開始(かいし)した。


「うわっ、(なん)(かず)だ!」


十大門派(じゅうだいもんぱ)仙鶴門(せんかくもん)精鋭(せいえい)か…」


最悪(さいあく)だ、(きず)()っている()では(かな)わん。撤退(てったい)だ、さっさと()げるぞ!」


四大淫賊(よんだいいんぞく)時流(じりゅう)()み、(きびす)(かえ)して()()した。(またた)く間に(とお)くまで(はし)()り、背中(せなか)衆人(しゅうじん)視界(しかい)から()えた。


魔道(まどう)(くず)どもは、(ほか)(うで)はないが、()(あし)だけは(はや)いな」精鋭弟子(せいえいでし)たちは哄笑(こうしょう)した。


「ご無事(ぶじ)ですか?」方正(ほうせい)(つる)()から()り、碧霞小仙子(へきかしょうせんし)面前(めんぜん)()ち、(おだ)やかに()いかけた。


「わ、(わたし)大丈夫(だいじょうぶ)… 方正様(ほうせいさま)、お(すく)いいただき、(まこと)有難(ありがとう)ございます!」碧霞仙子(へきかせんじ)方正(ほうせい)()つめ、(かお)紅霞(こうか)()かべ、()にはうっとりとした眼差(まなざ)しを宿(やど)せていた。


彼女(かのじょ)最悪(さいあく)事態(じたい)覚悟(かくご)していたが、まさか(てん)から英雄(えいゆう)()ってくるとは(おも)わなかった。


方正(ほうせい)英雄(えいゆう)救美(きゅうめい)は、碧霞仙子(へきかせんじ)(こころ)(ふか)(きざ)まれたのだった。


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