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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第百三十五節:仙鹤门,方正

蛊師(こし)世界(せかい)は、広大(こうだい)(なら)(はず)れている。


(ひがし)には、蒼海(そうかい)が滔々(とうとう)と()()ち、島々(しまじま)が(ほし)のようちりばめられている——これが東海(とうかい)だ。


西(にし)には、砂漠(さばく)(ひろ)がり、オアシスが真珠(しんじゅ)のように黄砂(こうさ)(なか)()らばっている——西漠(せいばく)と呼ばれる。


(きた)には、蒼茫(そうぼう)たる草原(そうげん)——北原(ほくげん)(しょう)される。(みなみ)には、十万(じゅうまん)の山々(やまやま)——南疆(なんきょう)(ぞく)()ばれる。


そして東海(とうかい)西漠(せいばく)北原(ほくげん)南疆(なんきょう)(かこ)まれた中央(ちゅうおう)に、中洲(ちゅうしゅう)と呼ばれる地帯(ちたい)がある。


中洲(ちゅうしゅう)領土(りょうど)広大(こうだい)で、億里(おくり)にわたり(ひろ)がり、元気(げんき)が最も(もっとも)充満(じゅうまん)している。門派(もんぱ)林立(りんりつ)し、数多(あまた)英雄豪傑(えいゆうごうけつ)正邪両道(せいじゃりょうどう)(もの)(ひそ)み、まさに人傑地霊(じんけつちれい)()だ。その総合(そうごう)実力(じつりょく)は、四方(しほう)地域(ちいき)凌駕(りょうが)し、最も強盛(もっともきょうせい)である。


中洲(ちゅうしゅう)南部(なんぶ)群峰(ぐんぽう)(うえ)三万丈(さんまんじょう)雲海(うんかい)(いただ)き、蒼穹(そうきゅう)(なか)に、(ひと)つの巨山(きょざん)()かんでいる。


飛鶴山(ひかくざん)


飛鶴山(ひかくざん)雄壮(ゆうそう)でありながら飄逸(ひょういつ)として、玄妙(げんみょう)白雲(はくうん)(うみ)()かっている。


陽光(ようこう)雲霧(うんむ)()(とお)して()()み、山肌(やまはだ)には緑樹(りょくじゅ)鬱蒼(うっそう)(しげ)り、(したた)()ちんばかりの深緑(ふかみどり)(おお)われている。


山々(やまやま)の稜線(りょうせん)(なみ)のように(かさ)なり()う。


狂風(きょうふう)()(すさ)(たび)に、山上(さんじょう)雲海(うんかい)()えたぎる()のように渦巻(うずま)く。松柏(しょうはく)竹林(ちくりん)怒涛(どとう)のように()れ、万鶴(まんかく)一斉(いっせい)()(ごえ)()げる。


鉄嘴鶴(てっかく)丹頂鶴(たんちょうかく)鳳尾鶴(ほうびかく)雲煙鶴(うんえんかく)星極鶴(せいきょくかく)… 数万種(すうまんしゅ)(つる)たちが、あるいは旋回(せんかい)し、あるいは(まつ)()(いこ)い、あるいは(いわ)(うずくま)る。(じつ)壮観(そうかん)で、威容(いよう)()ちている。


飛鶴山(ひかくざん)万鶴(まんかく)中洲(ちゅうしゅう)名高(なだか)く、(やま)蛊師(こし)たちは天下(てんか)(とどろ)く。


これぞ仙鶴門(せんかくもん)である。


中洲(ちゅうしゅう)十大(じゅうだい)門派(もんぱ)(ひと)つ、中洲(ちゅうしゅう)頂点(ちょうてん)勢力(せいりょく)()める仙鶴門(せんかくもん)


(いま)仙鶴門(せんかくもん)演武場(えんぶじょう)で、(ひと)つの(たたか)いが最も(もっとも)緊迫(きんぱく)した瞬間(しゅんかん)(むか)えていた。


似通(にかよ)った装束(しょうぞく)二人(ふたり)若者(わかもの)が、(はげ)しく(たたか)()っていた。両者(りょうしゃ)姿(すがた)(すす)んでは退(しりぞ)き、(から)()っては電撃(でんげき)のように(はな)れる。


(つよ)すぎる…!」


(しん)じられない、(たたか)二人(ふたり)とも二十代(にじゅうだい)だなんて」


場外(じょうがい)観客(かんきゃく)たちは、(かた)()()れていた。驚嘆(きょうたん)畏敬(いけい)(ねん)が、(おもて)()かんでいた。


孫元化(そんげんか)師兄(しけい)は、古参(こさん)強豪(きょうごう)だ。前回(ぜんかい)三年小考(さんねんしょうか)優勝(ゆうしょう)した実力(じつりょく)だから、(おどろ)かない。だが方正(ほうせい)師弟(してい)が、これほどの実力(じつりょく)()つとは、本当(ほんとう)(おどろ)きだ!」


「そうだ。今回(こんかい)門派(もんぱ)八年中(はちねんちゅう)(こう)で、方正(ほうせい)師弟(してい)最大(さいだい)のダークホースだ。決勝(けっしょう)まで(すす)むとは、(だれ)予想(よそう)していなかった」


「ここ数年(すうねん)方正(ほうせい)師弟(してい)無名(むめい)で、まるで普通(ふつう)山石(やまいし)のようだった。(だれ)注目(ちゅうもく)せず、(まった)目立(めだ)たなかった。それが今回(こんかい)中考(ちゅうこう)で、一躍(いちやく)()()げ、仙鶴門(せんかくもん)(じゅう)()(とどろ)かせた」


(おお)くの(もの)感嘆(かんたん)嘆息(たんそく)()らした。羨望(せんぼう)もあれば、嫉妬(しっと)もあった。


方正(ほうせい)(かお)()らし、眼光(がんこう)(するど)く、孫元化(そんげんか)互角(ごかく)勝負(しょうぶ)(えん)じていた。


ここ数年(すうねん)で、(かれ)()()び、(あつ)肩幅(かたはば)(おおかみ)のような背中(せなか)(はち)のような(こし)()ち、重厚(じゅうこう)精悍(せいかん)気迫(きはく)()()けていた。


突然(とつぜん)方正(ほうせい)碧緑(へきりょく)旋風(せんぷう)(はな)ち、孫元化(そんげんか)()(もど)し、その(いきお)いで後退(こうたい)した。


孫師兄(そんしけい)降参(こうさん)してください」(かれ)(しず)かでありながら自信(じしん)()ちた口調(くちょう)()った。


小師弟(しょうしてい)(おく)()があるなら、存分(ぞんぶん)()()せばいい」孫元化(そんげんか)(わら)いながら、同様(どうよう)自信(じしん)()って(こた)えた。


「では」方正(ほうせい)突然(とつぜん)口笛(くちぶえ)()いた。ピューッという(おと)(ひろ)がるや、遠方(えんぽう)から(つる)たちの()(ごえ)がすぐに(ひび)いてきた。


人々(ひとびと)が(おと)方向(ほうこう)(なが)めると、無数(むすう)()瞬時(しゅんじ)見開(みひら)かれ、無数(むすう)(くち)(おも)わず(ひら)かれた。


「こ、これは鉄嘴飛鶴群(てっしひかくぐん)だ!」


(てん)よ、これほどの(つる)()れが、まさか幻覚(げんかく)か?」


「ありえない! こ、これは万獣王(ばんじゅうおう)だ! 方正(ほうせい)四转中階(してんちゅうかい)まで(しゅ)()()んだだけでも天賦(てんぷ)(さい)だが、まさか(まん)鶴群(かくぐん)制御(せいぎょ)できるとは、いったい(なん)という手管(てくだ)だ!」


場内(じょうない)騒然(そうぜん)となり、(だれ)もが驚天動地(きょうてんどうち)衝撃(しょうげき)を受け、(しん)(がた)様子(ようす)だった。


場外(じょうがい)数人(すうにん)門派長老(もんぱちょうろう)さえも、座席(ざせき)からがばっと()()がった。孫元化(そんげんか)顔色(かおいろ)は、一気(いっき)(けわ)しくなった。


鉄嘴飛鶴群(てっしひかくぐん)殺気(さっき)渦巻(うずま)き、陣容(じんよう)雄大(ゆうだい)さに、(かれ)巨大(きょだい)圧力(あつりょく)(かん)じた。


しかし、(かれ)(あき)めるつもりはなかった。


(かれ)両目(りょうめ)に、一筋(ひとすじ)(たし)かな(ひかり)宿(やど)った:「方師弟(ほうしてい)(たし)かに(きみ)(すご)い。だが、これほど(おお)くの(つる)を、()たして制御(せいぎょ)できるのか? (おれ)はまだ()けていない。なぜなら(おれ)にも鶴群(かくぐん)がいるからだ!()い!」


飛鶴山(ひかくざん)には千万(せんまん)(つる)棲息(せいそく)する——この()()を、仙鶴門(せんかくもん)(もの)たちは存分(ぞんぶん)()かしていた。


方正(ほうせい)鶴群(かくぐん)があるように、孫元化(そんげんか)門派(もんぱ)天才(てんさい)として注目(ちゅうもく)()びるだけあり、(ひそ)かに鶴群(かくぐん)飼育(しいく)していた。


孫元化(そんげんか)(こころ)()()けを(かん)じて、()もなく(てん)彼方(かなた)から一団(いちだん)鶴群(かくぐん)飛来(ひらい)した。


その規模(きぼ)は、方正(ほうせい)鉄嘴飛鶴群(てっしひかくぐん)(あざ)やかな対比(たいひ)()していた——わずか数百羽(すうひゃくわ)()ぎなかった。


しかし、孫元化(そんげんか)制御(せいぎょ)するこの鶴群(かくぐん)は、鉄嘴飛鶴(てっしひかく)とは(まった)(こと)なる。(からだ)大部分(だいぶぶん)(しろ)(はね)(おお)われているが、両翼(りょうよく)先端(せんたん)尾羽(おばね)(つめ)(ふか)藍色(あいいろ)(てい)し、()(ひかり)()けて金属的(きんぞくてき)光沢(こうたく)(はな)っていた。


同時(どうじ)に、飛翔(ひしょう)する姿(すがた)をよく()ると、体表(たいひょう)にかすかな(あお)電光(でんこう)がちらちらと(はし)っているのが()えた。


()をつけろ!この(つる)幻電鶴(げんでんかく)だ。気性(きしょう)(あら)く、一対一(いったいいち)なら、普通(ふつう)鉄嘴飛鶴(てっしひかく)(かな)わない」方正(ほうせい)(こころ)(なか)に、突然(とつぜん)天鶴上人(てんかくじょうにん)(こえ)(ひび)いた。


()かりました、師父(しふ)!」方正(ほうせい)即座(そくざ)(こた)え、()(するど)(ひかり)宿(やど)らせた。片方(かたほう)幻電鶴群(げんでんかくぐん)凝視(ぎょうし)し、片方(かたほう)()(ぶん)鉄嘴飛鶴群(てっしひかくぐん)指揮(しき)した。


衝突(しょうとつ)する!」


鉄嘴飛鶴群(てっしひかくぐん)はあまりにも巨大(きょだい)で、まるで巨大(きょだい)怪獣(かいじゅう)のようだ。孫師兄(そんしけい)鶴群(かくぐん)など、(きば)隙間(すきま)にも()たないだろう」


「いや、孫師兄(そんしけい)にも勝機(しょうき)はある。鶴群戦(かくぐんせん)単純(たんじゅん)(かず)(くら)べではない、双方(そうほう)操縦能力(そうじゅうのうりょく)比較(ひかく)されるのだ」


孫師兄(そんしけい)は日々(ひび)鍛錬(たんれん)(かさ)ね、鶴群(かくぐん)操縦(そうじゅう)腕前(うでまえ)門派(もんぱ)随一(ずいいち)だ。(いま)方正(ほうせい)次第(しだい)だが…」


正直(しょうじき)()って、方正(ほうせい)はあまり期待(きたい)できない。(かれ)天才(てんさい)とはいえ、所詮(しょせん)人間(にんげん)だ。ここ数年(すうねん)四转(してん)昇進(しょうしん)し、師門任務(しもんにんむ)をこなし、(すぐ)れた蛊虫(こちゅう)()()わせを(きず)()げるだけで、膨大(ぼうだい)精力(せいりょく)消耗(しょうもう)している。鶴群(かくぐん)(たく)みに(あやつ)時間(じかん)能力(のうりょく)も、もう(のこ)っていないと(しん)じている」


人々(ひとびと)は口々(くちぐち)に(ろん)()い、一人一人(ひとりひとり)(こころ)(おど)らせていた。


このような(おお)がかりな場面(ばめん)は、門派(もんぱ)三年小考(さんねんしょうか)八年中考(はちねんちゅうこう)では滅多(めった)()られない。十五年大考(じゅうごねんたいこう)でさえ、ごく(まれ)にしか()こらないものだ。


方正(ほうせい)膨大(ぼうだい)鶴群(かくぐん)(よう)しているが、全員(ぜんいん)(かれ)優位(ゆうい)()ているわけではない。


(いま)状況(じょうきょう)は、まさに両軍(りょうぐん)対峙(たいじ)するようだ。


方正(ほうせい)(まん)()える(つる)(ゆう)し、軍勢(ぐんぜい)膨大(ぼうだい)だが、(かず)(おお)いだけに操縦(そうじゅう)容易(ようい)ではない。(なん)しろ(かれ)四转中階(してんちゅうかい)で、(たましい)強度(きょうど)には限界(げんかい)があり、心力(しんりょく)有限(ゆうげん)なのだ。


一方(いっぽう)孫元化(そんげんか)(つる)(かず)(すく)ないが、精鋭部隊(せいえいぶたい)であり、指揮(しき)するのは()(ゆび)(うご)かすように自由自在(じゆうじざい)だ。(くわ)えて、普段(ふだん)から鶴群(かくぐん)訓練(くんれん)(おお)くの時間(じかん)(つい)やしており、門派(もんぱ)(ない)(かれ)(すぐ)れた操鶴術(そうかくじゅつ)(ひろ)()られている。


(りょう)鶴群(かくぐん)がまさに空中(くうちゅう)激突(げきとつ)せんとするその(とき)


孫元化(そんげんか)突然(とつぜん)()(おど)らせた。


空竅(くうこう)蛊虫(こちゅう)()り、全身(ぜんしん)電光(でんこう)()す。ビシッという(おと)(とも)に、方正(ほうせい)()(まえ)()()った。


方正(ほうせい)孫元化(そんげんか)奇襲(きしゅう)予想(よそう)していなかった。


これで孫元化(そんげんか)鉄嘴飛鶴群(てっしひかくぐん)包囲(ほうい)(なか)()()み、(きわ)めて危険(きけん)状況(じょうきょう)(みずか)(おちい)ったことになる。


孫元化(そんげんか)(あらし)のような攻撃(こうげき)展開(てんかい)し、正気(しょうき)(うし)ったかのように、(まえ)()して猛烈(もうれつ)(いきお)いで(おそ)()かった。


方正(ほうせい)先手(せんて)(うば)われ、孫元化(そんげんか)()され気味(ぎみ)となり、(ぜん)(りょく)(ふせ)ぐしかなかった。


(そら)では(ふた)つの鶴群(かくぐん)激突(げきとつ)し、地上(ちじょう)では方正(ほうせい)孫元化(そんげんか)(はげ)しく(たたか)っていた。


幻電鶴群(げんでんかくぐん)(かず)(すく)ないが、一丸(いちがん)となって突進(とっしん)し、(てつ)(つめ)無数(むすう)鉄嘴飛鶴(てっしひかく)を引き()いた。


一方(いっぽう)鉄嘴飛鶴群(てっしひかくぐん)は、(かず)(おお)いが混乱(こんらん)しきっており、無数(むすう)(はえ)乱舞(らんぶ)するようだった。


鉄嘴飛鶴群(てっしひかくぐん)が、わずか一握(ひとにぎ)りの幻電鶴(げんでんかく)()()められないとは!」


孫師兄(そんしけい)見事(みごと)だ! この戦術(せんじゅつ)選択(せんたく)こそ絶妙(ぜつみょう)というものだ!」


「その(とお)りだ。方正(ほうせい)心力(しんりょく)には限界(げんかい)があり、これほど(おお)きな鶴群(かくぐん)指揮(しき)するのは、まるで(あか)(ぼう)(おも)いハンマーを()るうようなものだ。(まず)さが目立(めだ)つ。(いま)孫師兄(そんしけい)猛攻(もうこう)()け、()(ずか)らも(あや)うい。必死(ひっし)(ふせ)ぐのに精一杯(せいいっぱい)で、精神(せいしん)極限(きょくげん)まで集中(しゅうちゅう)している。頭上(ずじょう)鶴群(かくぐん)()(くば)余裕(よゆう)などあるはずがない」


「しかし鉄嘴飛鶴(てっしひかく)(かず)膨大(ぼうだい)だ。百獣王(ひゃくじゅうおう)千獣王(せんじゅうおう)、さらには万獣王(ばんじゅうおう)数多(あまた)いる。幻電鶴群(げんでんかくぐん)には百獣王(ひゃくじゅうおう)三羽(さんわ)(きず)ついた千鶴王(せんかくおう)一羽(いちわ)いるだけだ。幻電鶴群(げんでんかくぐん)はこれら獣王(じゅうおう)()けようと左右(さゆう)突進(とっしん)し、(おお)くの普通(ふつう)鉄嘴飛鶴(てっしひかく)(たお)したが、(みずか)らも甚大(じんだい)損害(そんがい)(こうむ)った」


孫元化(そんげんか)方正(ほうせい)互角(ごかく)(たたか)い、攻守(こうしゅ)()(みだ)れ、相手(あいて)熟知(じゅくち)しているため、勝敗(しょうはい)()かない。(いま)鶴群(かくぐん)勝負(しょうぶ)決着(けっちゃく)()めるだろう」一人(ひとり)長老(ちょうろう)勝負(しょうぶ)(かぎ)見抜(みぬ)いた。


もし鉄嘴飛鶴群(てっしひかくぐん)幻電鶴群(げんでんかくぐん)殲滅(せんめつ)すれば、方正(ほうせい)勝利(しょうり)確実(かくじつ)だ。


しかし、もし幻電鶴群(げんでんかくぐん)包囲網(ほういもう)突破(とっぱ)し、()()って孫元化(そんげんか)援護(えんご)すれば、方正(ほうせい)敗北(はいぼく)(まぬが)れない。


()()れ!心力(しんりょく)()(しぼ)って鉄嘴飛鶴(てっしひかく)(あやつ)り、幻電鶴(げんでんかく)一匹残(いっぴきのこ)らず殲滅(せんめつ)しろ! もしできれば、これが(きみ)(おお)きな突破(とっぱ)となり、将来(しょうらい)(はか)()れない利益(りえき)をもたらすだろう」方正(ほうせい)(こころ)(なか)で、天鶴上人(てんかくじょうにん)(こえ)戦場(せんじょう)指導(しどう)(つづ)けていた。


方正(ほうせい)全霊(ぜんれい)(かたむ)けて、()(おし)えに(したが)おうとした。


しかし、まさに成功(せいこう)目前(まえ)という(とき)に、(かなら)孫元化(そんげんか)攻撃(こうげき)(かれ)のリズムを(みだ)した。


孫元化(そんげんか)は、やはり方正(ほうせい)より年長(ねんちょう)で、鶴群(かくぐん)操縦(そうじゅう)多大(ただい)苦労(くろう)(かさ)ねてきた。(かれ)分心(ぶんしん)して(あやつ)(なか)でも、鶴群(かくぐん)甚大(じんだい)損害(そんがい)()しながらも、ついに鉄嘴飛鶴群(てっしひかくぐん)包囲網(ほういもう)突破(とっぱ)しようとしている。


方正師弟(ほうせいしてい)(おれ)(たお)すには、まだまだだ」(かれ)(ひや)やかに(わら)い、そう()(はな)った。


この言葉(ことば)方正(ほうせい)(みみ)(とど)くと、突然(とつぜん)記憶(きおく)奥底(おくそこ)(ひと)つの光景(こうけい)鮮明(せんめい)によみがえった——


かつて南疆(なんきょう)青茅山(せいぼうざん)古月山寨(こげつさんさい)で、実兄(じっけい)方源(ほうげん)(らい)(だい)(せん)()(ひろ)げた(とき)のことだ。


方源(ほうげん)もまた、(まった)(おな)言葉(ことば)()げかけてきたのだった。


「いや、()けられない!」


家族(かぞく)のため、叔父(おじ)叔母(おば)のため、族長(ぞくちょう)のため、青書様(せいしょさま)(あだ)()たねばならない!」


「ここ数年(すうねん)(なに)のために努力(どりょく)してきたのか? (あに)(まえ)()ち、(かれ)()()かすためだ。どうして(いま)孫元化(そんげんか)()けられるものか?」


方正(ほうせい)両眼(りょうがん)に、突如(とつじょ)(ほのお)()()がったようだった。脳髄(のうずい)()れるような(いた)みを()え、(こころ)(ふた)つに()けた!


鉄嘴飛鶴群(てっしひかくぐん)突然(とつぜん)(うご)()し、巨獣(きょじゅう)大口(おおぐち)()けるように、幻電鶴群(げんでんかくぐん)跡形(あとかた)もなく()()んだ。


この光景(こうけい)()るや、孫元化(そんげんか)(かお)(つち)気色(けいろ)()わった。


()った!


場内(じょうない)にどよめきが(ひろ)がった。


方正(ほうせい)八年中考(はちねんちゅうこう)首位(しゅい)()ち、孫元化(そんげんか)()(やぶ)り、ついに仙鶴門(せんかくもん)精鋭弟子(せいえいでし)()射止(いと)めた!











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