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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第百三十一節:卫德馨

「こ、これは…方正様(ほうせいさま)本当(ほんとう)(かれ)らを()()るおつもりですか?」担当(たんとう)蛊師(こし)躊躇(ちゅうちょ)した口調(くちょう)()った。


「どうした、(わたし)決断(けつだん)(うたが)うのか?」方源(ほうげん)は淡々(たんたん)と蛊師(こし)一瞥(いちべつ)した。


蛊師(こし)(かる)(わら)った。(かれ)商家(しょうか)一族(いちぞく)であり、雄家三兄弟(ゆうけさんきょうだい)のように方源(ほうげん)(おそ)れてはいなかった。


「とんでもない。ただ」(かれ)(こぶし)(かか)え、商心慈(しょうしんじ)(ほう)()いた。「方正様(ほうせいさま)(かれ)らを()おうとするのは、心慈様(しんじさま)人手(ひとで)()やしたいからでしょう。しかし、若様(わかさま)()(あらそ)うには、(すこ)不利(ふり)です。心慈様(しんじさま)賢明(けんめい)なお(かた)です、どうお(かんが)えですか?」


商心慈(しょうしんじ)方源(ほうげん)をじっと()つめ、微笑(ほほえ)んだ:「黒土兄(こくどあに)さまのお(かんが)えが、(わたし)(かんが)えです。()われた(とお)りにしなさい」


「そうですか…」担当(たんとう)蛊師(こし)一瞬(いっしゅん)呆気(あっけ)()られたが、すぐに笑顔(えがお)()かべた:「心慈様(しんじさま)がそうおっしゃるなら、(わたし)(したが)うしかありません。正直(しょうじき)(もう)()げて、(わたし)心慈様(しんじさま)応援(おうえん)し、期待(きたい)しておりますので…」


余計(よけい)(くち)()くな」方源(ほうげん)(つめ)たい()蛊師(こし)一瞥(いちべつ)し、(こおり)のような(こえ)(さえぎ)った。


「はは…」蛊師(こし)(かわ)いた(わら)いを()した:「では、早速(さっそく)手続(てつづ)きを(はじ)めます。ただし人数(にんずう)(おお)いので、手続(てつづ)きは複雑(ふくざつ)で、一日(いちにち)かかります。明日(あした)になれば…」


ドン!


方源(ほうげん)突然(とつぜん)(あし)()げ、強烈(きょうれつ)()りを(はな)った。


蛊師(こし)方源(ほうげん)自分(じぶん)()()すとは(ゆめ)にも(おも)わず、不意(ふい)()かれ、(はら)()()ばされた。


その()三十歩(さんじゅっぽ)()()び、無関係(むかんけい)通行人(つうこうにん)()()えにし、地面(じめん)(たた)きつけられた。(ひと)(くち)()()()すと、即座(そくざ)昏倒(こんとう)した。


(だれ)が、商家(しょうか)内城(ないじょう)()()すとは!?」


()きる()はないのか?!」


(はや)(ひざまず)いて(なわ)につけ!」


この騒動(そうどう)は、即座(そくざ)(さわ)ぎを()()こした。奴隷市場(どれいしじょう)は元々(もともと)警備(けいび)厳重(げんじゅう)で、()もなく三隊(さんたい)蛊師(こし)()(かこ)んだ。


(わたし)()ったのだ」方源(ほうげん)悠然(ゆうぜん)として(おそ)れる様子(ようす)もなく、(まえ)()った。


方正(ほうせい)だ!」さっきまで殺気立(さっきだ)っていた(もの)たちも、方源(ほうげん)姿(すがた)()るや、(いきお)いが一瞬(いっしゅん)()まった。


方源(ほうげん)四转(してん)戦力(せんりょく)(ゆう)する。(かれ)らは二转(にてん)()ぎず、指揮官(しきかん)(もの)でさえ三转初階(さんてんしょかい)(しゅ)()だ。しかし、方源(ほうげん)(まえ)では()隙間(すきま)にも()たない。


方源(ほうげん)悠然(ゆうぜん)紫荊令牌(しけいれいはい)を取り(とりだ)した。


商家(しょうか)蛊師(こし)たちがこの令牌(れいはい)()るや、気勢(きせい)(ふたた)(おとろ)え、(さい)(てい)(てん)()()んだ。


指揮官(しきかん)は、(けん)しい(かお)つきが一変(いっぺん)し、笑顔(えがお)()かべて方源(ほうげん)丁重(ていちょう)()った:「方正様(ほうせいさま)貴方様(あなたさま)商家(しょうか)貴賓(きひん)であることは(みな)承知(しょうち)しております。しかし、貴賓(きひん)であっても、商家(しょうか)(ない)勝手(かって)()()し、()一族(いちぞく)(きず)つけることは(ゆる)されません。商家城(しょうかじょう)城規(じょうき)()らせば…」


規則(きそく)(したが)えば、(わたし)四十九枚(よんじゅうきゅうまい)元石(げんせき)罰金(ばっきん)として(はら)うことになる」方源(ほうげん)(さえぎ)るように()った。


指揮官(しきかん)呆然(ぼうぜん)とした。方源(ほうげん)商家城(しょうかじょう)規則(きそく)をこれほど(くわ)しく()っているとは予想(よそう)もしていなかった。


方源(ほうげん)一袋(ひとふくろ)元石(げんせき)(ほう)()げ、()()った:「(なか)五十枚(ごじゅうまい)元石(げんせき)(はい)っている。お()りは()らなくてよい」


指揮官(しきかん)元石(げんせき)を受け(うけと)り、自分(じぶん)乞食(こじき)のように(かん)じた。当惑(とうわく)困惑(こんわく)した表情(ひょうじょう)で、(ほか)(もの)(とも)退(しりぞ)いた。


もし方源(ほうげん)実力(じつりょく)がなければ、紫荊令牌(しけいれいはい)()っていても、この()(おさ)めることはできなかっただろう。しかし(いま)(かれ)には実力(じつりょく)がある。商家城(しょうかじょう)(ない)商家(しょうか)一族(いちぞく)(なぐ)っても、重要人物(じゅうようじんぶつ)でなければ、(たい)した問題(もんだい)ではない。


担当(たんとう)蛊師(こし)は、方源(ほうげん)一蹴(いっしゅう)昏睡(こんすい)した。奴隷市場(どれいしじょう)は、(ただ)ちに(あら)たな蛊師(こし)派遣(はけん)し、対応(たいおう)させた。


「この(かご)(なか)(もの)たち全員(ぜんいん)()()る」方源(ほうげん)(かご)指差(ゆびさ)して()った。


(かご)(なか)の人々(ひとびと)は、一斉(いっせい)方源(ほうげん)()た。(おお)くは表情(ひょうじょう)麻痺(まひ)し、(うつ)ろな()をしていたが、(すこ)しばかりの(もの)(いか)りの()方源(ほうげん)(にら)みつけた。


自分(じぶん)たちを(もの)のように(あつか)方源(ほうげん)態度(たいど)に、(かれ)らは()(じょく)(かん)じていた。


「かしこまりました、かしこまりました」(あら)たな蛊師(こし)(あせ)(ぬぐ)いながら、方源(ほうげん)にぺこぺこと(あたま)()げた。


一刻(いっこく)()たないうちに、すべでの手続(てつづ)きが完了(かんりょう)した。


「こちらは三转毒蝎蛊(さんてんどくさこ)でございます。どうぞ方正様(ほうせいさま)(おさ)めください」最後(さいご)に、蛊師(こし)両手(りょうて)一匹(いっぴき)蛊虫(こちゅう)(ささ)()って()()した。


その毒蝎蛊(どくさこ)は、(すべ)てが純白(じゅんぱく)で、陶器(とうき)のように無垢(むく)(かがや)きを(はな)ち、(ゆび)二本(にほん)(ぶん)ほどの(おお)きさだった。


この三转毒蝎蛊(さんてんどくさこ)は、唯一(ゆいいつ)能力(のうりょく)()つ——(ふん)をする。排泄(はいせつ)される(さそり)(ふん)は、(くろ)(まめ)のようで、二转蛊(にてんこ)となる。


()()う:「(さそり)(ふん)唯一無二(ゆいいつむに)存在(そんざい)だ」


この蠍糞蛊(さそりふんこ)は、一粒(ひとつぶ)ごとに(どく)性質(せいしつ)(こと)なる。一度(いちど)体内(たいない)()()けられると、対応(たいおう)する毒蝎蛊(どくさこ)(なな)(にち)一度(いちど)()され(つづ)けなければ、解毒(げどく)できない。


これは奴隷(どれい)管理(かんり)する最も一般的(いっぱんてき)方法(ほうほう)だ。


奴隷蛊(どれいこ)存在(そんざい)するが、効果(こうか)()いものの、五转蛊(ごてんこ)である。価格(かかく)(たか)く、(めずら)しいため、普通(ふつう)(もの)使(つか)えるものではない。


毒蝎蛊(どくさこ)は、商心慈(しょうしんじ)現在(げんざい)(しゅ)()では(ふん)()すよう操作(そうさ)できないが、(ひと)()すことには真元(しんげん)消費(しょうひ)しない。


この毒蝎蛊(どくさこ)は、方源(ほうげん)(さき)煉化(れんか)した(あと)商心慈(しょうしんじ)(わた)すつもりだ。商心慈(しょうしんじ)一人(ひとり)でこの()煉化(れんか)するのは、困難(こんなん)(きわ)めるからだ。


(なに)だと? 衛家(えいけ)(もの)たちが()()られただと? (おれ)がどう()っておいた? しっかり管理(かんり)しろと(めい)じていたはずだ。(おれ)商囚牛(しょうきゅうぎゅう)雌雄(しゆう)(けっ)するまで、情勢(じょうせい)()()くまで、(かれ)らを()()しておくようにと!」


部屋(へや)(なか)商蒲牢(しょうほろう)顔色(かおいろ)(けん)しく、担当(たんとう)蛊師(こし)(はげ)しく叱責(しっせき)していた。


担当(たんとう)蛊師(こし)は、(いま)(とこ)()している。顔面(がんめん)蒼白(そうはく)で、(はら)には方源(ほうげん)()られた(あと)青黒(あおぐろ)()()がっていた。


(かれ)昏睡(こんすい)から()めたばかりだというのに、商蒲牢(しょうほろう)(みずか)問責(もんせき)()たのだ。


蒲牢若様(ほろうわかさま)(わたし)精一杯(せいいっぱい)努力(どりょく)いたしました。最初(さいしょ)(かれ)らの(あいだ)()こうとしたのですが、商心慈(しょうしんじ)(さま)方正様(ほうせいさま)()うことしか()きません。時間稼(じかんかせ)ぎをしようとしましたが、(はなし)途中(とちゅう)方正様(ほうせいさま)()()ばされ、気絶(きぜつ)してしまったのです」担当(たんとう)蛊師(こし)は、(とこ)()したまま(ちから)のない(こえ)(うった)えた。(かお)には(あき)らかな無念(むねん)(いろ)()かんでいた。


「ああ…」商蒲牢(しょうほろう)(ふか)嘆息(たんそく)()した。「衛家(えいけ)(もの)たちは、かつて高位高官(こういこうかん)()き、衛家(えいけ)実権(じっけん)(にぎ)っていた。(みずか)らの(しゅ)()もさることながら、経営能力(けいえいのうりょく)(すぐ)れている。もし(かれ)らを()()れられれば、(はん)(ぶん)衛家(えいけ)再現(さいげん)できるほどの(ちから)だ。(なか)でも、衛徳馨(えいとくけい)夫人(ふじん)護衛(ごえい)育成(いくせい)達人(たつじん)だ。彼女(かのじょ)(そだ)てた衛家(えいけ)族長(ぞくちょう)護衛軍(ごえいぐん)は、()(とどろ)かせ、数多(あまた)暗殺(あんさつ)奇襲(きしゅう)(ふせ)ぎ、同時(どうじ)五人(ごにん)三转蛊師(さんてんこし)猛攻(もうこう)()()いた。内輪(うちわ)もめがなければ、こんなに()()りになるはずがないのに…」


(いま)、お(まえ)()く。この事態(じたい)は、まだ取り(とりもど)せるか?」商蒲牢(しょうほろう)(ふたた)(するど)()つきで、担当(たんとう)蛊師(こし)(にら)みつけた。


蛊師(こし)仕方(しかた)なく(くび)()り、()(ごえ)()じりで(こた)えた:「(ひと)はもう()れて()かれました。手続(てつづ)きも完璧(かんぺき)で、難癖(なんくせ)のつけようがありません。若様(わかさま)、お(やく)()てず(もう)(わけ)ございません」


「もういい、しっかり養生(ようじょう)しろ」商蒲牢(しょうほろう)はこの返答(へんとう)()き、すっかり(きょう)(うしな)った。()(すす)まない(なぐさ)めの言葉(ことば)一言(ひとこと)かけると、(そで)(ひるがえ)して()()った。


翌日(よくじつ)(あさ)


楠秋苑(なんしゅうえん)広場(ひろば)には、衛家(えいけ)(もの)たち三十数名(さんじゅうすうめい)()(なら)んでいた。


そこへ、方源(ほうげん)商心慈(しょうしんじ)(そろ)って姿(すがた)(あらわ)した。


ついさっき、商心慈(しょうしんじ)方源(ほうげん)(たす)けを()りて、毒蝎蛊(どくさこ)掌握(しょうあく)したばかりだ。三转蛊(さんてんこ)は、彼女(かのじょ)にとってまだ(つよ)すぎる。そのため、方源(ほうげん)(べつ)蛊虫(こちゅう)(えら)び、毒蝎蛊(どくさこ)制御(せいぎょ)補助(ほじょ)した。


今日(きょう)から、商心慈(しょうしんじ)がお(まえ)たちの(あるじ)だ。さあ、(はや)平伏(ひれふ)して(はい)(えつ)しろ!」方源(ほうげん)衆人(しゅうじん)(まえ)で、毒蝎蛊(どくさこ)商心慈(しょうしんじ)手渡(てわた)した。


衛家(えいけ)(もの)たちは、のろのろと(ひざまず)き、商心慈(しょうしんじ)平伏(ひれふ)した。(こえ)には(ちから)がなく、(あき)らめや麻痺(まひ)した様々(さまざま)な感情(かんじょう)(にじ)み、一人一人(ひとりひとり)(あやつ)人形(にんぎょう)のようだった。


(かれ)らは家族(かぞく)から追放(ついほう)され、かつては高位高官(こういこうかん)にあり、(にしき)(かざ)生活(せいかつ)(おく)っていたが、(いま)奴隷(どれい)()ちぶれた。そのため、意気(いき)消沈(しょうちん)し、(はい)()てているのも、(きわ)めて当然(とうぜん)のことだ。


こんな(もの)たちを、()たして安心(あんしん)して使(つか)えるのだろうか?


商心慈(しょうしんじ)同情(どうじょう)する一方(いっぽう)で、(ひそ)かに(うれ)いを(いだ)いていた。


衛徳馨(えいとくけい)()()なさい。(きみ)二人(ふたり)きりで(はな)したい」方源(ほうげん)突然(とつぜん)()()ばし、(ひと)()中心(ちゅうしん)()一人(ひとり)(わか)婦人(ふじん)指差(ゆびさ)した。


人々(ひとびと)の(あいだ)に、即座(そくざ)緊張(きんちょう)(はし)った。(おお)くの(うつ)ろな()が、突然(とつぜん)(するど)(ひかり)(はな)ち、(はげ)しい敵意(てきい)(あら)わにした。


(なに)をする()だ?」何人(なんにん)もが同時(どうじ)(からだ)()り、衛徳馨(えいとくけい)(まも)るように()(ふさ)がった。


警告(けいこく)する、奥様(おくさま)一筋(ひとすじ)(かみ)にも()れさせはしない」一人(ひとり)方源(ほうげん)指差(ゆびさ)し、警戒(けいかい)(いろ)()()かべた。


パン!


方源(ほうげん)顔色(かおいろ)(いっ)(しゅん)(けん)しくし、一歩(いっぽ)(まえ)()()すと同時(どうじ)に、(てのひら)()るった。


(かれ)指差(ゆびさ)した(おとこ)は、巨大(きょだい)(ちから)()()ばされ、地面(じめん)(たた)きつけられた。()まみれになり、(くち)(なか)()が粉々(こなごな)に(くだ)()った。


「どうやら、現実(げんじつ)をまだ()(きわ)めていないようだな。(わたし)大金(たいきん)(はら)ってお(まえ)たちを()ったが、数人(すうにん)(ころ)しても(かま)わない。気分転換(きぶんてんかん)にちょうどいい。たとえお(まえ)たちの族長夫人(ぞくちょうふじん)(なに)をしようとも、お(まえ)たちに()められると思うか?」方源(ほうげん)冷酷(れいこく)表情(ひょうじょう)で、(こおり)のように(つめ)たい(こえ)(ひび)かせた。


「お、お前…!」衛家(えいけ)(もの)たちは(いか)りで()(かえ)りそうだった。(わか)(もの)(なか)には(こぶし)(かた)(にぎ)りしめる(もの)もいたが、もはや軽率(けいそつ)行動(こうどう)はできなかった。


(みな)、お(ひか)えなさい」衛徳馨(えいとくけい)(みずか)左右(さゆう)退(しりぞ)け、(まえ)()た。


彼女(かのじょ)(かお)には(よご)れが()いていたが、(もも)のような(つや)やかな(うつく)しさを(かく)せなかった。


方源(ほうげん)()かって優雅(ゆうが)万福(まんぷく)(れい)をし、(たず)ねた:「方正様(ほうせいさま)、わたくしをお()びになったのは、(なに)かご(よう)でしょうか?」


方源(ほうげん)()ややかに(はな)()らし、(するど)()衛徳馨(えいとくけい)全身(ぜんしん)(なが)(まわ)した:「衛夫人(えいふじん)(きみ)口数(くちかず)(おお)すぎる。(わたし)について()なさい。(だま)って()いていればいい」


そう()()えると、(かれ)()()けて(ある)()した。


()()(わたし)、まな(まないた)はあの(ひと)衛徳馨(えいとくけい)仕方(しかた)なく、(くちびる)()みしめ、方源(ほうげん)(あと)について(みずうみ)(ほとり)東屋(あずまや)()た。


そよ(かぜ)(やさ)しく()()け、湖面(こめん)にはさざ(なみ)()つ。(こい)が悠々(ゆうゆう)と(およ)ぎ、青葉(あおば)一面(いちめん)(ひろ)がり、紅白(こうはく)(はす)(はな)が点々(てんてん)と(いろど)りを()えている。


この(うつく)しい景色(けしき)に、衛徳馨(えいとくけい)はわずかに()(ゆる)めた。


しかし方源(ほうげん)(つぎ)一言(ひとこと)で、彼女(かのじょ)緊張(きんちょう)(ふたた)(たか)まった。


衛夫人(えいふじん)(わたし)(きみ)非常(ひじょう)興味(きょうみ)()っている」


衛徳馨(えいとくけい)(あわ)てて(ひざまず)き、地面(じめん)(ひたい)()けた:「わたくしは(いや)しく、容姿(ようし)()るに()りません。方正様(ほうせいさま)()寵愛(ちょうあい)(たまわり)、この(うえ)ない光栄(こうえい)(ぞん)じます。しかし、この(けが)れた()で、貴方様(あなたさま)(とうと)御身(おんみ)(よご)すなど、(おそ)(おお)くてできません」


「ははは」方源(ほうげん)(ひや)やかに三度(さんど)(わら)った。「衛徳馨(えいとくけい)誤解(ごかい)するな。(わたし)興味(きょうみ)()つのは、(きみ)(さい)(のう)だ。(きみ)容姿(ようし)など、(わたし)にとっては、()(かわ)()(ほね)()ぎない」


「これから、(きみ)商心慈(しょうしんじ)のために、忠誠心(ちゅうせいしん)()える(おんな)護衛隊(ごえいたい)(きた)()げること。同時(どうじ)に、衛家(えいけ)(もの)たちに、はっきりと(つた)えておけ——仕事(しごと)真剣(しんけん)()()み、態度(たいど)(ただ)すようにと」


方源(ほうげん)のこの言葉(ことば)()き、衛徳馨(えいとくけい)(おも)わず安堵(あんど)(いき)()き、(あわ)てて(うなず)いた:「はい、わたくし、(かなら)(さま)(おっしゃ)(とお)りに(いた)します」


「ふふふ…」方源(ほうげん)(ふか)(ひび)(わら)いを三度(さんど)()らし、意味深長(いみしんちょう)()衛徳馨(えいとくけい)凝視(ぎょうし)した:「衛夫人(えいふじん)、私は()っている。(きみ)妊娠(にんしん)していること、そして(きみ)計画(けいかく)も。(おっと)唯一(ゆいいつ)血筋(ちすじ)(まも)ろうとし、同時(どうじ)実弟(じってい)衛神驚(えいしんきょう)連絡(れんらく)し、復讐(ふくしゅう)(たす)けようとしている。そうだろう?」


この言葉(ことば)に、衛徳馨(えいとくけい)瞬間(しゅんかん)顔色(かおいろ)(うしな)い、(からだ)がガクッと(ふる)えた。

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