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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第三十三節:罵っよう

「…っ!」漠顔ばくがんまゆひそめ、馬面うまづら怒気どきゆがませた。自分じぶん方源ほうげんもてあそばれたことにづいたのだ。


「ふてぶてしい野郎やろうわたしあざむくとは!」右手みぎてばし部屋へやもうとする。


方源ほうげん一歩いっぽかず高笑たかわらいする:「族規ぞくきやぶ覚悟かくごはあるのか?」


漠顔ばくがん動作どうさこごりつく。門外もんがいつづけ、ちゅういたかすかにふるえた。学舎がくしゃ宿舎しゅくしゃおかすべからず――この鉄則てっそく彼女かのじょ背中せなかおもりをせた。


自分じぶんばつけるだけならまだしも…祖父そふ迷惑めいわくおよぶ」いしばりこぶしげる。


部屋へやない方源ほうげんくすような眼差まなざしでにらみつける。


約束やくそくたした」方源ほうげん両手りょうて背中せなかみ、二転蛊師にてんこし威圧いあつわらばす。「なにのこしがあるのでは?」


二人ふたり距離きょり一歩いっぽだが、族規ぞくきという断崖だんがいよこたわっていた。


族規ぞくき研究けんきゅう流石さすがね」漠顔ばくがんこおりのようなわらみをかべる。「だが籠城ろうじょうできるか? 永遠えいえんせぬ豚箱ぶたばこらしだぞ」


方源ほうげんほがらかにわらう:「明日あした授業じゅぎょう欠席けっせき家老かろう尋問じんもんしたら…どうこたえようかな?」


貴様きさま!!」漠顔ばくがん指先ゆびさきふるえ、殺気さっきほとばしる。


ギィイ――

方源ほうげんとびら全開ぜんかいひらき、挑発ちょうはつ的につぶやく:「どうぞご自由じゆうに」


「フフフ…」ぎゃく冷静れいせいを取りとりもど漠顔ばくがん。「わたしあおるつもりか?」


方源ほうげんかたすくめる。五百年ごひゃくねん経験けいけんおしえる――とびらひらった瞬間しゅんかんぎゃく相手あいて行動こうどうふうじることを。


背中せなかさらしつつとこすわ方源ほうげんたいし、漠顔ばくがん歯軋はぎしりするしかなかった。


人間にんげんとはあわれなものよ」まぶたじる方源ほうげんこころ去来きょらいする。「おのれつくったおりとらわれるとは」


二転にてん実力じつりょくゆうしながら、族規ぞくきというこころくさりしばられた漠顔ばくがん彼女かのじょこぶしふるえ、吐息といきあらくなる。


い! 腰抜こしぬけ!」

おとこのくせにこもつづけてはじずかしくないのか!」


罵声ばせいかべかえるだけ。方源ほうげんすで空竅くうこう修行しゅぎょう没頭ぼっとうしていた。


次第しだい漠顔ばくがん罵声ばせいむなしくひびき、自分じぶん道化どうけのようにかんじてきた。豪奴ごうど高碗こうわんしのわらいしていると錯覚さっかくし、ほお火照ほてる。


「あああ、本当ほんとうあたまるわ!」漠顔ばくがんくるったようにさけび、最後さいご挑発ちょうはつあきらめた。

方源ほうげん十五日じゅうごにちのがれても三十日さんじゅうにちのがれられんぞ」うらめしげにあしらし、ぎわ命令めいれいくだした。「高碗こうわん、ここでにらみをかせておけ! 姑奶奶こばあさまやつぬとしんじないわ」


「かしこまりました!」巨漢きょかん家奴かど高碗こうわんうやうやしくあたまげながら、内心ないしんうめいた――山間やまあいよる湿しめえ、徹夜てつや見張みはりで風邪かぜきそうな苦行くぎょうだと。


ザーザー…

元海げんかいうしおき、波濤はとう生滅しょうめつする。

青銅色せいどういろ真元しんげんみずのようにあつまり、なみつらなりとなって空竅壁くうこうへきあらつづける。


一転初階いってんしょかい空竅壁くうこうへきしろ光膜こうまく青銅真元せいどうしんげん衝撃しょうげき虹色にじいろかげらめき、あらわせぬたえなるいんしょうじる。


時間じかん刻一刻こくいっこくぎ、真元しんげん水位すいいも徐々(じょじょ)にがっていく。

四割四分よんわりよんぶから一割二分いちわりにぶへ。


蛊師こしきょうを上げるには真元しんげん消耗しょうもう空竅くうこう温養おんようせねばならぬ。初階しょかい光膜こうまく中階ちゅうかい水膜すいまく高階こうかい石膜せきまくわれ光膜こうまく水膜すいまくえるときだ」

前世ぜんせ五百年ごひゃくねん記憶きおく修行しゅぎょう一切いっさいあきらかにらす。


ゆっくりとまぶたひらくと、深夜しんややみひろがっていた。

三日月みかづき夜空よぞらたかかり、しもごと月明つきあかりが戸口とぐちむ。

床前しょうぜん明月光めいげつこううたがうらくは地上ちじょうしもか」地球ちきゅう詩句しく脳裏のうりかすめた。


夜風よかぜゆるやかにき、肌寒はださむさがしのる。

保温機能ほおんきのう蛊虫こちゅうたぬ十五歳じゅうごさいからだは、おもわずふるえがはしった。

山間やまあい夜寒よさむきびしい。


「クソガキ! ようやくひらいたか! いつまで修業しゅぎょうしてるつもりだ?! さっさとい! ようがまいが結果けっかおなじだ! うちの漠北ばくほくさまなぐったばつは、いつかかならけるんだぞ!」けていた高碗こうわん方源ほうげんうごきに反応はんのうし、こえあららげた。


方源ほうげんほそめる。二転蛊師にてんこしおんなすでったようだ。


こえてねえのか!? 部屋へやでぬくぬくしてるんじゃねえ! おまえねえなら、こっちからはいむぞ!」高碗こうわんとびらりながら威嚇いかくする。


方源ほうげん微動びどうだにせず、ふところから元石げんせきし、ふたたまぶたじた。


畜生ちくしょう丙等へいとう雑魚ざこが! たかが二転にてん分際ぶんざいなに修業しゅぎょうしてやがる! 漠家ばくけ全体ぜんたい刃向はむかうなんて100年早はやいわ!」高碗こうわんつばばしながら怒鳴どなつづける。「おい! みみくさってんのか!?」


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