表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
32/543

第三十二節: 悪戯

普通ふつう人間にんげんならこの中年男ちゅうねんおとこ視線しせん圧倒あっとうされていただろう。

だが方源ほうげん一瞥いちべつしたあと興味きょうみうしないように食事しょくじ集中しゅうちゅうし、おとこ透明とうめい人間にんげんあつかいにした。


「あのひとだれ奴隷どれいみたいな格好かっこう蛊師こしでもないのに、方源様ほうげんさま詰問きつもんしてる!」すみかくれた店員てんいん不思議ふしぎそうにいた。

「ああえて漠家ばくけいぬさ。ぬしりてえてるだけだ」べつきゃくあざけるようにわらった。


「でもただの人間にんげん蛊師こしみつくなんて…めずらしい経験けいけんだな」

蛊師こしってたいしたことないぞ。方源ほうげん一転初階いってんしょかい新米しんまいだ。あの筋肉きんにくムキムキのおとこてるかどうか…」

店内てんないものこわされませんように…」


店員てんいんたちが小声こごえささやなか中年男ちゅうねんおとこ苛立いらだちをあらわにした。

「まだってるのか? うそだとおもってるのか? もうすぐ漠顔ばくがんさま到着とうちゃくする。げられねえからな!」


方源ほうげん無視むしつづけ、おとこかお恐怖きょうふいろけていることに苛々(いらいら)した。

蛊師こし新米しんまいなんて拳法けんぽう十分じゅうぶんたおせる。月刃げつじんだっててのひらサイズのきずしかつくれねえ」と内心ないしんわらい、漠家ばくけ後楯うしろだてたよりに威嚇いかくつよめた。


随分ずいぶん図太ずぶと野郎やろうだ…」おとこそでくり上げ、傷跡きずあとだらけのふとうであらわにした。前腕ぜんわん血管けっかんており、上腕じょうわん方源ほうげん太腿ふとももよりふとかった。


きゃくあわてて退散たいさんはじめたとき玄関げんかんたかこえひびいた。

方源ほうげんはここか!?」


漠顔ばくがんあお武闘服ぶとうふく姿すがた店内てんないんだ。こしあかおびに「二」の刻印こくいんひかる。任務にんむつかれがのこかおに、精悍せいかんなオーラがただよっていた。


「ははぁ! お嬢様じょうさま高碗こうわんでございます!」中年男ちゅうねんおとこきゅうこしひくくし、へつらわらみでひざまずいた。


店員てんいんたちはこの変貌へんぼうまるくした。巨漢きょかんちいさくちぢまるさま不格好ぶかっこうだが、ぎゃく漠顔ばくがん威圧感いあつかん際立きわだたせていた。


漠顔ばくがんひざまずいた高碗こうわん無視むしし、方源ほうげんにらみつけた。

貴様きさま方源ほうげんか? のうのうとってる場合ばあいじゃないぞ。拳骨げんこつあじおしえてやろうか?」


しかしさず、方源ほうげん余裕よゆうある態度たいど違和感いわかんおぼえた。

調しらべたかぎ孤児こじ後見人こうけんにんもいないはず…このきはなに?」


方源ほうげんわらいながらう:「だれおれ古月方源こげつほうげんだと?」

漠顔ばくがんまたた高碗こうわんうたが視線しせんた。


高碗こうわんがようやくがったかとおもうと、ふたたひざまずき、ひたいつめたいあせかべた:「ご主人様しゅじんさま下僕しもべは…」

かれらは方源ほうげん肖像画しょうぞうがっていたが、双子ふたご方正ほうせい酷似こくじしていることをっていた。


道理どうり余裕よゆうがあるわけだ。こいつは方正ほうせいだったのか」漠顔ばくがん家臣かしんたちがうたがいをいだいた。


漠顔ばくがん内心ないしん葛藤かっとうした:「甲等こうとう天才てんさいである方正ほうせいてきまわわけには…」

宿屋やどや店員てんいんたちだけが真相しんそうっていたが、くちつぐんでいた。


えた方源ほうげんがゆっくりがり、漠顔ばくがんやった:「方源ほうげんさがすなら学舎がくしゃ案内あんないしよう」


貴様きさま方正ほうせいなら手出てだしできないが、方源ほうげんなら途中とちゅう正体しょうたい)(あば)ける」漠顔ばくがん決断けつだんし、みちゆずった:「了解りょうかい学舎がくしゃきましょう。さきにどうぞ!」


方源ほうげん昂然こうぜんあるし、漠顔ばくがん高碗こうわんあとった。


学舎がくしゃ正門せいもん

警備員けいびいんひろげて制止せいし:「関係者かんけいしゃ以外いがい立入禁止たちいりきんしです!」


無礼ぶれいものわたしかおわすれたか!?」漠顔ばくがん眼光がんこうするどくする。


老練ろうれん警備員けいびいんあたまげた:「お嬢様じょうさまなら家臣かしん1ひとりまで同伴どうはん可能かのうです…」


全員ぜんいん待機たいき高碗こうわんだけいてい」漠顔ばくがんいしばって命令めいれい高碗こうわんむねり「光栄こうえいです!」とさけんだ。


学生寮がくせいりょうまえ

方源ほうげんかぎはずとびらけると、漠顔ばくがん意地悪いじわるわらみをかべた:「学弟がくていさん、案内あんない感謝かんしゃするわよ」


方源ほうげん無表情むひょうじょうのまま部屋へやはいった。鍵穴かぎあなからいた針金はりがねそでかくれているのが、夕日ゆうひらされてかすかにひかった――


かれ一歩いっぽ部屋へやむと、あしめた。

ひらはなたれたとびらおくには簡素かんそ家具かぐしかなく、人気ひとけまったくなかった。


漠顔ばくがん入口いりぐちからなかのぞみ、けわしい表情ひょうじょうった:「後輩こうはいさん、説明せつめいしてもらえるかしら? だれもいないじゃない」


方源ほうげん薄笑うすわらいをかべた:「わたしがここにいますよ?」


漠顔ばくがんするどひかった:「わたしさがしてるのは『げつほうげん』よ!」


方源ほうげんかるかたすくめ:「ぼく古月方源こげつほうげんじゃないなんて、一言ひとことってないけどね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ