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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第百六節:拍卖会

颶風山(ぐふうざん)年中(ねんじゅう)大風(おおかぜ)()()れ、その(やま)(うえ)()沮家寨(そかさい)は、()てられた(とき)から颶風(ぐふう)危機(きき)直面(ちょくめん)していた。


沮家寨(そかさい)颶風山(ぐふうざん)(そび)()ち、数百年(すうひゃくねん)歴史(れきし)()つ。人力(じんりょく)天災(てんさい)(あらが)い、幾度(いくど)滅寨(めっさい)危機(きき)(ひん)したが、(あや)うく()()ってきた。しかし今回(こんかい)(かれ)らは百年(ひゃくねん)一度(いちど)(おお)颶風(ぐふう)見舞(みま)われた。


沮家寨(そかさい)はもはや(ささ)えきれず、天災(てんさい)(まえ)(たお)れた。


(おそ)ろしい颶風(ぐふう)元泉(げんせん)までも破壊(はかい)し、沮家(そか)惨憺(さんたん)たる被害(ひがい)()け、(さい)()てる基盤(きばん)(うしな)った。故郷(こきょう)(はな)れざるを()ず、商家城(しょうかじょう)()商家(しょうか)()()い、再起(さいき)(はか)るしかなかった。


商家城(しょうかじょう)物価(ぶっか)(たか)く、生計(せいけい)維持(いじ)するため、(かれ)らは家産(かさん)()(はら)わざるを()なかった。


沮家(そか)にとってこれは巨大(きょだい)災難(さいなん)だが、(ほか)(もの)にとっては得難(えがた)好機(こうき)である。


沮家(そか)(ちい)さな一族(いちぞく)だが、颶風山(ぐふうざん)(そび)()ち、数百年(すうひゃくねん)天災(てんさい)(あらが)(たお)れなかったのは、(あき)らかに底力(そこぢから)がある証拠(しょうこ)だ。


沮家(そか)家産(かさん)()(はら)うことで、今回(こんかい)拍売会(はつばいかい)()(はず)れた魅力(みりょく)()びている。


そのため、()らせが(はい)るとすぐに、商家城(しょうかじょう)(おお)くの(もの)注目(ちゅうもく)(あつ)めた。


(なな)日後(かご)拍売会(はつばいかい)予定通(よていどお)(ひら)かれた。


会場(かいじょう)人波(ひとなみ)がうねり、(ひろ)大広間(おおひろま)(せき)隙間(すきま)はなかった。(たか)(しょ)個室(こしつ)は、(はや)くも()()いになっていた。


方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)は、二枚(にまい)紫荊令牌(しけいれいはい)利用(りよう)して、(ひと)つの個室(こしつ)確保(かくほ)した。


方源(ほうげん)個室(こしつ)(まど)(ほそ)めに()け、(かたわ)らに()ち、広間(ひろま)渦巻(うずま)熱気(ねっき)(かん)()った。


拍売会(はつばいかい)はまだ(はじ)まっていないが、広間(ひろま)では千人近(せんにんちか)くの人々(ひとびと)が(うわさ)()い、ざわめきが()えなかった。


「ああ、沮家(そか)()(どく)だ。数百年(すうひゃくねん)()(つづ)けてきたのに、結局(けっきょく)颶風(ぐふう)(たお)されてしまった。(てん)()()は、(ひと)(ちから)では(あらが)(がた)い」と(なげ)(もの)もいた。


(じつ)(なん)ということもない。(あたら)しい家族(かぞく)()()がれば、(ふる)家族(かぞく)(ほろ)びる。数年前(すうねんまえ)青茅山(せいぼうざん)(みっ)つの家族(かぞく)一朝(いっちょう)にして(ほろ)んだように、沮家(そか)滅亡(めつぼう)はごく普通(ふつう)のことだ」と()()めない(もの)もいた。


沮家(そか)不幸(ふこう)は、我々(われわれ)の幸運(こううん)だ。今回(こんかい)拍売会(はつばいかい)には良品(りょうひん)(おお)()るそうだ」と(わざわ)いを(さいわ)いとする(もの)もいた。


「こんなに(おお)くの沮家(そか)(ひと)一度(いちど)商家城(しょうかじょう)(なが)()めば、商家城(しょうかじょう)のあらゆる業界(ぎょうかい)衝撃(しょうげき)(あた)えるだろう」と、(さき)見通(みとお)(もの)もいた。


その(とき)、人々(ひとびと)の(こえ)突然(とつぜん)()()った。


()ろ、商家(しょうか)若様(わかさま)商囚牛(しょうきゅうぎゅう)だ」


方源(ほうげん)(こえ)方向(ほうこう)()ると、()(ぐち)から商囚牛(しょうきゅうぎゅう)大股(おおまた)(はい)ってくる姿(すがた)()えた。


(かれ)体格(たいかく)(ゆう)(けん)で、(あし)()りが()()いている。今年(ことし)丁度(ちょうど)三十歳(さんじゅっさい)で、商燕飛(しょうえんひ)長男(ちょうなん)だ。


囚牛(きゅうぎゅう)大若様(だいわかさま)、ご機嫌麗(きげんうるわ)しゅうございます!」


大若様(だいわかさま)、お()にかかれ光栄(こうえい)です」


大若様(だいわかさま)にお()いできて、(わたし)ども三生(さんせい)(しあわ)せでございます」


瞬時(またた)()に、(おお)くの(ひと)(いそ)いで()()り、商囚牛(しょうきゅうぎゅう)挨拶(あいさつ)(れい)()べた。


(みな)さん、ご機嫌麗(きげんうるわ)しゅう」商囚牛(しょうきゅうぎゅう)簡潔(かんけつ)挨拶(あいさつ)し、(かす)かに(わら)みを()かべて()()いて応対(おうたい)した。


最後(さいご)に、人々(ひとびと)の見守(みまも)(なか)(ひと)つの個室(こしつ)へと(はい)っていった。


拍売場(はつばいじょう)の人々(ひとびと)は(しず)まり(かえ)った。


しかし、しばらくも()たずに(ふたた)(さわ)がしくなった。


嘲風(ちょうふう)若様(わかさま)負屓(ふし)若様(わかさま)()られた!」


(おさな)(ころ)から(なか)()く、今日(きょう)()()って(あらわ)れた」


四男(よんなん)商嘲風(しょうちょうふう)相変(あいか)わらず(かみ)(みだ)れ、野性(やせい)(てき)気配(けはい)(ただよ)わせていた。十三男(じゅうさんなん)商負屓(しょうふし)上品(じょうひん)で、書生(しょせい)のような()な(な)りをしていた。


二人(ふたり)(はな)()いながら個室(こしつ)()かい、途中(とちゅう)使用人(しようにん)先導(せんどう)した。周囲(しゅうい)(ひと)には(まった)(かま)わなかった。


方源(ほうげん)()ややかに(なが)め、()(ほそ)めた。


前世(ぜんせ)記憶(きおく)では、商嘲風(しょうちょうふう)商家(しょうか)当主(とうしゅ)()(あや)うく(うば)いかけた人物(じんぶつ)で、商心慈(しょうしんじ)最大(さいだい)(てき)だった。(かれ)陰険(いんけん)非情(ひじょう)だが、(だん)ずる(とき)()勇気(ゆうき)()ち、その(てん)商燕飛(しょうえんひ)()ている。


一方(いっぽう)商負屓(しょうふし)(かれ)最大(さいだい)支持者(しじしゃ)で、(よろこ)んでその(した)()き、知謀(ちぼう)()け、計算(けいさん)(だか)い。将来(しょうらい)義天山(ぎてんざん)正魔(せいま)大戦(たいせん)では、何度(なんど)奇策(きさく)()()し、魔道(まどう)蛊師(こし)(おお)きな損害(そんがい)(あた)え、(おお)いに活躍(かつやく)した。


この二人(ふたり)は、一人(ひとり)決断力(けつだんりょく)(すぐ)れ、一人(ひとり)知略(ちりゃく)()け、(たが)いに(おぎな)()う。前者(ぜんしゃ)闘蛊場(とうこじょう)(つかさど)り、後者(こうしゃ)拍売場(はつばいじょう)担当(たんとう)し、(とも)商家城(しょうかじょう)重要(じゅうよう)分野(ぶんや)(にぎ)っている。すでに勢力(せいりょく)(かた)め、(いま)十人(じゅうにん)若様(わかさま)(なか)第三(だいさん)勢力(せいりょく)形成(けいせい)している。


商嘲風(しょうちょうふう)商負屓(しょうふし)個室(こしつ)(はい)(まえ)に、()(ぐち)でまた一団(いちだん)人馬(じんば)(むか)えた。


商蒲牢(しょうほろう)商狻猊(しょうさんげい)商贔屓(しょうひき)談笑(だんしょう)しながら(とも)(はい)ってきた。


この三人(さんにん)商燕飛(しょうえんひ)()(ども)の中で、それぞれ八男(はちなん)九男(きゅうなん)十男(じゅうなん)()たる。利益(りえき)のため(しょう)さな連合(れんごう)()み、若様(わかさま)(なか)第二(だいに)派閥(はばつ)形成(けいせい)している。勢力(せいりょく)(あつ)く、一時的(いちじてき)商嘲風(しょうちょうふう)商負屓(しょうふし)()さえ()んでいる。


商蒲牢(しょうほろう)商家城(しょうかじょう)遊郭(ゆうかく)(つかさど)り、色事(いろごと)にふけ、(はな)(あそ)(びと)として()られる。商狻猊(しょうさんげい)料亭(りょうてい)絹物屋(きぬものや)担当(たんとう)し、獅子(しし)のような(くち)(ひろ)(はな)()ち、呼吸(こきゅう)(たび)二筋(ふたすじ)()ばんだ(くも)()く。商贔屓(しょうひき)()(ひく)くずんぐりした(からだ)つきで、(かれ)(ちから)(みち)蛊師(こし)だ。(かく)となる()亀胎蛊(かいたいこ)で、十匹(じゅっぴき)(かめ)(ちから)()つ。


商狻猊(しょうさんげい)商贔屓(しょうひき)武勇(ぶゆう)(ひい)で、商蒲牢(しょうほろう)文才(ぶんさい)(すぐ)風流(ふうりゅう)で、三人(さんにん)首領(しゅりょう)(つと)める。(ふた)人の武者(むしゃ)一人(ひとり)文化人(ぶんかじん)絶妙(ぜつみょう)連携(れんけい)()せる。


この三人(さんにん)若様(わかさま)個室(こしつ)(えら)ばず、大広間(おおひろま)(こし)()ろした。


商蒲牢(しょうほろう)(ひと)()()いが(もっと)得意(とくい)で、()く先々(さきざき)で(ひと)()自然(しぜん)(あつ)まる。桃色(ももいろ)()(あや)しく(かがや)かせながら(ひと)々(びと)と談笑(だんしょう)し、縦横無尽(じゅうおうむじん)()()い、()雰囲気(ふんいき)をますます()()げた。


(かれ)左右(さゆう)には商狻猊(しょうさんげい)商贔屓(しょうひき)(ひか)え、(もん)(しゅ)(じん)のように警護(けいご)しているようだった。


商燕飛(しょうえんひ)()(ども)たちは、(すべ)(ひと)(けつ)(ほま)れだ!」方源(ほうげん)(こころ)(うち)(ふか)(かん)(たん)した。


(かれ)(いま)商家(しょうか)十人(じゅうにん)若様(わかさま)たちの勢力図(せいりょくず)(ふか)透徹(とうてつ)した()()()いていた。


現時点(げんじてん)商家(しょうか)若様(わかさま)には(みっ)つの(おお)きな派閥(はばつ)存在(そんざい)する。


第一(だいいち)派閥(はばつ)商囚牛(しょうきゅうぎゅう)だ。(かれ)商燕飛(しょうえんひ)嫡長子(ちゃくなんし)であり、この身分(みぶん)だけで多数(たすう)商家(しょうか)家老(かろう)一族(いちぞく)支持(しじ)(あつ)めている。


第二(だいに)派閥(はばつ)商蒲牢(しょうほろう)商狻猊(しょうさんげい)商贔屓(しょうひき)三人(さんにん)勢力(せいりょく)(あつ)く、(いま)最も(もっと)も(いきお)いに()っている。


第三(だいさん)派閥(はばつ)商嘲風(しょうちょうふう)商負屓(しょうふし)で、実力(じつりょく)(かく)し、台頭(たいとう)機会(きかい)()っている。


その(ほか)(もの)については、商睚眦(しょうがいし)単独行動(たんどくこうどう)(この)み、度量(どりょう)がやや(せま)い。商螭吻(しょうりふん)活発(かっぱつ)可憐(かれん)だが、野心(やしん)皆無(かいむ)商貔貅(しょうひきゅう)天資(てんし)(めぐ)まれているが、(あそ)(ごころ)(つよ)い……


(わたし)商心慈(しょうしんじ)(ささ)えて()()げるには、(みっ)つの(おお)きな派閥(はばつ)正面(しょうめん)から(あらそ)ってはならない。商心慈(しょうしんじ)(しゅ)(ぎょう)可能(かのう)だが、無理(むり)やり竅穴(きょうけつ)(ひら)いたため、資質(ししつ)丙等(へいとう)()ぎない。これは基盤(きばん)脆弱(ぜいじゃく)というより、(まった)()いに(ひと)しいのだ」


商心慈(しょうしんじ)商燕飛(しょうえんひ)私生児(しせいじ)で、母方(ははかた)一族(いちぞく)張家(ちょうか)だ。張家(ちょうか)武家(ぶか)(した)しく、商家(しょうか)とは積年(せきねん)(うら)みがある。これが商心慈(しょうしんじ)のさらなる政治的弱点(せいじてきじゃくてん)だ。


毎年(まいとし)若様(わかさま)審査(しんさ)は、商燕飛(しょうえんひ)(ほか)()(ども)()()がる絶好(ぜっこう)機会(きかい)だ。記憶(きおく)では、商心慈(しょうしんじ)商家(しょうか)若様(わかさま)になったのは六年後(ろくねんご)だ。だがこの期間(きかん)(なが)すぎる。彼女(かのじょ)利用(りよう)するなら、前倒(まえだお)しで()()げねばならない。今年(ことし)審査(しんさ)がその契機(けいき)だ」方源(ほうげん)(こころ)(うち)(しず)かに思案(しあん)した。


商心慈(しょうしんじ)()()げるには、商燕飛(しょうえんひ)()(ども)たちに対処(たいしょ)しなければならない。(みっ)つの(おお)きな派閥(はばつ)(あらそ)えない以上(いじょう)(ほか)(もの)標的(ひょうてき)にせざるを()ない。


この(てん)について、方源(ほうげん)商家城(しょうかじょう)(すす)んだ直後(ちょくご)(すで)(さく)(さだ)めていた。


ちょうど商心慈(しょうしんじ)のことを(おも)っていると、彼女(かのじょ)到着(とうちゃく)した。


無数(むすう)視線(しせん)が、(はっ)(ばい)(じょう)()(ぐち)(いっ)(せい)(あつ)まった。


商家(しょうか)二大(にだい)家花(かぞくばな)だ!」


本当(ほんとう)(うつく)しい……」


商螭吻(しょうりふん)若様(わかさま)(もと)より(あい)らしく()(がら)だが、商心慈(しょうしんじ)(しょう)()(くら)べると、(きゅう)色褪(いろあ)せて()える」


人々(ひとびと)が口々(くちぐち)に(ろん)()った。


商心慈(しょうしんじ)商螭吻(しょうりふん)()()()い、談笑(だんしょう)しながら拍売場(はつばいじょう)(はい)ってきた。


商螭吻(しょうりふん)絢爛(けんらん)たる彩衣(さいい)をまとい、(かお)(もも)(はな)のようで、(あで)やかで可憐(かれん)だった。商心慈(しょうしんじ)(みどり)のドレスを()て、黒髪(くろかみ)(たき)のように(なが)れ、柳眉(りゅうび)(した)(つき)のような(ひとみ)があった。(はだ)(ゆき)のように(しろ)く、桜色(さくらいろ)(くちびる)(きよ)らかで(らん)のようであり、(やさ)しさは(みず)のようだった。時折(ときおり)()せる(ほほ)()みは(じゅん)(すい)無垢(むく)で、()(なら)(もの)のない佳人(かじん)で、()(もの)()(おも)わず(うば)った。


二人(ふたり)(そば)には、四人(よにん)侍女(じじょ)()()っていた。


その(なか)二人(ふたり)田藍(でんらん)小蝶(しょうちょう)で、(いま)では商心慈(しょうしんじ)側仕(そばづか)えの侍女(じじょ)となっている。


侍女(じじょ)たちが大勢(おおぜい)(わか)(もの)()()りを(さえぎ)(なか)商心慈(しょうしんじ)商螭吻(しょうりふん)()()ぐに方源(ほうげん)個室(こしつ)へと()かった。


黒土兄(こくどあに)さん、白雲姉(はくうんねえ)さん」商心慈(しょうしんじ)(やわ)らかい(こえ)挨拶(あいさつ)し、(こえ)には(かく)しきれない(よろこ)びと興奮(こうふん)宿(やど)っていた。


商燕飛(しょうえんひ)人力勝天蛊(じんりきしょうてんこ)使(つか)い、無理(むり)やり彼女(かのじょ)空窓(くうそう)(ひら)いた。この二年(にねん)、さらに(おお)くの(めずら)しい()使(つか)い、商心慈(しょうしんじ)資質(ししつ)向上(こうじょう)させた。もともと最低(さいてい)丁等(ていとう)二割(にわり)だった資質(ししつ)を、一歩(いっぽ)一歩(いっぽ)無理(むり)やり丙等(へいとう)五割(ごわり)まで()()げ、乙等(おつとう)まであと一歩(いっぽ)()となった。


商燕飛(しょうえんひ)がこれほどの代償(だいしょう)(はら)って彼女(かのじょ)(そだ)て、何度(なんど)(みずか)(おし)えたことで、商心慈(しょうしんじ)(かれ)(ふか)(ちち)(あい)(かん)じ、以前(いぜん)のわだかまりは(おお)かた()え、(しあわ)せを(かん)じていた。


商燕飛(しょうえんひ)はさらに彼女(かのじょ)のために(おお)くの名師(めいし)(えら)び、(おし)えを(さず)けた。商心慈(しょうしんじ)深居簡出(しんきょかんしゅつ)し、蛊師(こし)としての(しゅう)(ぎょう)(おく)れを()(もど)した。彼女(かのじょ)(かしこ)くて物分(ものわ)かりが()く、苦難(くなん)()(ちから)への渇望(かつぼう)()ち、(あま)えず(みずか)(きび)しく(りつ)したため、進歩(しんぽ)神速(しんそく)で、商燕飛(しょうえんひ)(おお)いに安心(あんしん)させた。


今回(こんかい)拍売会(はつばいかい)(ひさ)しぶりの息抜(いきぬ)きの機会(きかい)だった。彼女(かのじょ)方源(ほうげん)からの招待(しょうたい)()け、一人(ひとり)()ようと(おも)っていたが、途中(とちゅう)商螭吻(しょうりふん)にばったり出会(であ)った。


方正(ほうせい)、お邪魔(じゃま)しまーす。()(かえ)したりしないでね?」商螭吻(しょうりふん)嬌声(きょうせい)()げ、商心慈(しょうしんじ)(つづ)いて個室(こしつ)(はい)った。


「とんでもない、どうぞお()けください」方源(ほうげん)微笑(ほほえ)みながら(おう)(たい)した。


白凝冰(はくぎょうひょう)(かた)(すみ)(すわ)ったまま、こちらの(さわ)ぎを()いていたが、()()がろうともせず、冷淡(れいたん)表情(ひょうじょう)(たも)っていた。


商螭吻(しょうりふん)好奇(こうき)()でこの氷雪(ひょうせつ)美人(びじん)一瞥(いちべつ)し、(こころ)の中で(おも)った:「(そと)(もの)()うように、白凝冰(はくぎょうひょう)(つめ)たく高慢(こうまん)なのね。本当(ほんとう)だったわ」


すぐに、彼女(かのじょ)方源(ほうげん)(ひと)()()た。


(じつ)()うと、この方正(ほうせい)相当(そうとう)傲岸不遜(ごうがんふそん)だ。第三内城(だいさんないじょう)(たっ)してから、(たたか)えば(かなら)()ち、一度(いちど)()けたことがない。(おお)くの勢力(せいりょく)(みずか)(まね)()れようとした。商嘲風(しょうちょうふう)商囚牛(しょうきゅうぎゅう)商蒲牢(しょうほろう)らも(みずか)(うたげ)(もよお)して(まね)いたが、(すべ)(ことわ)られた。この二人(ふたり)()めるのも……ふん、やはり(たぐい)(とも)()ぶというものだ」


商螭吻(しょうりふん)商家城(しょうかじょう)演武場(えんぶじょう)(つかさど)っており、方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)状況(じょうきょう)をよーく()っている。


二人(ふたり)演武場(えんぶじょう)参加(さんか)して以来(いらい)一度(いちど)敗北(はいぼく)せず、天賦(てんぷ)(さい)卓絶(たくぜつ)していて、すでに演武区(えんぶく)風雲児(ふううんじ)となっている。その(いきお)いは、演武場(えんぶじょう)二人(ふたり)四转蛊師(してんこし)である巨開碑(きょかいひ)炎突(えんとつ)(せま)るほどだ。


(だれ)()にも、方白(ほうはく)二人(ふたり)(はか)()れない将来(しょうらい)(あき)らかだ。商家(しょうか)若様(わかさま)たちの(だれ)かが(かれ)らを味方(みかた)()ければ、勢力(せいりょく)(かなら)拡大(かくだい)するだろう。


だが彼女(かのじょ)商螭吻(しょうりふん)野心(やしん)はなく、方白(ほうはく)二人(ふたり)(まね)()れようという(よく)はない。


黒土兄(こくどあに)さん、ご無沙汰(ぶさた)しています。お元気(げんき)ですか?騰灸龍(とうきゅうりゅう)(たたか)ったと()きましたが……」商心慈(しょうしんじ)方源(ほうげん)(となり)(すわ)り、()(かれ)(そそ)ぎ、心配(しんぱい)そうに(たず)ねた。


方源(ほうげん)(あわ)(わら)った:「前回(ぜんかい)()ってから(とお)()しか()っていないのに、どうして『ご無沙汰』なのか?騰灸龍(とうきゅうりゅう)(けん)だが、(かれ)(おれ)連勝(れんしょう)()められず、()(たお)した。(いま)この演武場(えんぶじょう)脅威(きょうい)となるのは巨開碑(きょかいひ)炎突(えんとつ)二人(ふたり)だけだ。(ほか)(もの)眼中(がんちゅう)にない」


方源(ほうげん)の淡々(たんたん)とした言葉(ことば)には、群雄(ぐんゆう)睥睨(へいげい)する豪気(ごうき)()められており、商螭吻(しょうりふん)美目(びもく)(かがや)かせ、商心慈(しょうしんじ)芳心(ほうしん)()るがせた。


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