第三十節: 方源!また奪いに来たのか?
ほぼ時を同じくして、別の場所では――
「父上、母上、以上が事の概要でございます」方正が姿勢を正しながら恭しく述べた。
広間では、方源の叔父である古月凍土と叔母が重厚な肘掛け椅子に座り、共に眉をひそめていた。
叔母は歯噛みしながら、方正に同情すると同時にどこか嬉しそうに言った。「方源の小僧め!他人を脅すのはまだしも、実の弟すら許さないとは!ここまで冷酷非情だなんて!でも今回の大失態で、すぐに学堂から除籍されるでしょうね」
「いい加減にしろ」叔父はため息をつき、方正に向き直って言った。「元石を失ったとはいえ、たった一枚だ。心配するな。会計係からもう一枚受け取れ。お前はここから退いて修行に励むがよい。甲等資質の持ち主なら、最初の中級蠱師になる可能性も高い。その才能を無駄にするな。母上も私も、お前が一番になることを期待している」
「かしこまりました。では失礼いたします」方正は複雑な表情で退出した。
内心で彼は考え巡らせていた。「兄貴が今日学堂の門を塞いで生徒全員から奪い取った事件…あれほどの悪影響を及ぼした以上、本当に除籍されるかもしれない。そうなったら、僕は弁護すべきだろうか?」
脳裏で二つの声が対立していた。
一つの声が言う。「情けをかける必要はない。あいつはお前という実の弟の元石まで奪おうとしたんだ。除籍されても自業自得だ。天の災いはまだ逃れられるが、自ら招いた災いは逃れられない」
別の声が反論する。「でもあれは血を分けた兄だ。似た顔をした兄弟じゃないか。たとえ認めたくなくても、弁護しなければ。そうしなければ周囲から薄情者と思われるぞ」
方正が広間を去るのを見届けると、叔母は我慢できずに嬉しそうに言った。「旦那様、方源の生活費を断った甲斐がありましたわ!あの小僧が我慢できずに大失敗を犯しました!学堂の門前で公然と暴行脅迫とは、学堂の長老への挑戦ですもの。除籍はほぼ確実でしょう」
しかし叔父は首を振った。「君は事を単純に考えすぎだ。方源が除籍されることはない。おそらく何の処罰も受けまい」
「どうしてです?」叔母は全く理解できない様子だった。
叔父は冷たく笑った。「軽微な結果に留まる限り、喧嘩は奨励されている。今回の件で死者は出たか?出ていない」
叔母は納得せず反論した。「旦那様にどうして分かるんです?喧嘩というもの、常に予期せぬ事態が起こりうるでしょう」
叔父は目を閉じて背もたれにもたれかかった。「お前は本当に世間知らずだな。学堂の長老が飾り物だとでも思うのか?護衛がいつ出動した?最後の最後で出てきただろう?つまり事態は常に制御下にあったということだ。重傷者がいれば、とっくに介入していたさ」
「蠱師でないお前には分からんが、学堂では生徒同士の争いを禁止していない。むしろ奨励すらしている。戦いが多ければ多いほど、実戦経験が積める。中には鉄の絆を築く者さえいる。年長者もこの慣習を尊重している。誰かが自分の子を庇おうものなら、その者が規則を破ることになる」
叔母は呆然とし、悔しそうに言った。「じゃあ方源が大勢から奪った元石はそのまま?あのまま許されるんですか?あれだけの元石があれば、修行が大幅に進んでしまいますわ」
叔父は目を見開き、暗い表情で言った。「どうしようというんだ?私が直接奪い返せと?ただしこの件を利用できないこともない。方源が実弟の方正まで脅したことが彼の失点だ。方正は甲等資質で、いずれ方源を凌駕する。この事件を利用して方正を扇動し、方源から完全に引き離して我々の手駒にしてしまおう」
かくして三日が過ぎた。
方源の強奪事件は拡大せず、むしろ沈静化の傾向を見せていた。
規約を破って方源に直接干渉する年長者も現れず、学堂の家老も当然のように見て見ぬふりをしていた。
この間、元石を奪われた悔しさから方源に再挑戦する少年が二、三人現れたものの、方源が彼らを易々と打ち倒す姿を見て、誰もが「拳法の基礎を鍛えなければ勝てない」と悟った。
少年たちの間で基礎拳法を猛練習する熱潮が巻き起こった。
拳法教官は有頂天だった。今までの教え子たちが退屈そうにしていたのとは対照的に、目の輝きながら熱心に質問してくる姿に心底喜んでいた。
学堂家老が状況を尋ねると、拳法教官は興奮気味に報告した。「生徒たちは予想外の熱意を見せています。ただ一人、方源だけは相変わらず怠けたままですが」
学堂家老は肩を叩きながら笑った。「その生徒こそが、他の者たちを変えた張本人だよ」
拳法教官は首を傾げた。
変化はそれだけではなかった。
この事件で方源は明らかに全生徒の公敵となり、孤立無援の状態に追いやられた。
もはや誰も彼に話しかけず、挨拶する者もいない。
少年たちは皆、陰で歯を食いしばり基礎拳法を猛特訓していた。背後で家族の後押しもあり、必ずやこの屈辱を晴らすと決意していた。
平穏な表面下で、暗流が渦巻いていた。
さらに四日が過ぎた。
学堂家老が再び元石を配布する日、方源が再び動く時が来た。「方源!一度奪っただけでは足りず、また我々の元石を奪おうというのか!?」生徒たちは門前に立ち塞がる方源に驚愕と怒りを露わにした。
方源は門の中央に立ち、背後で手を組み、冷徹な表情で淡々と言い放った。「一人一枚の元石で、無用な痛みを避けられる」
「方源、調子に乗るな!挑戦する!」古月漠北が怒号を上げ、真っ先に飛び出した。
「ほう?」方源の眉が微かに動いた。
漠北が双拳を振りかざして突進するも、数合もせず地面に倒れ伏した。
「漠北の役立たず!俺が行く!」古月赤城が叫びながら突進した。
防御と攻撃が二転三転する間もなく、彼も漠北と同じ運命を辿った。
方源の戦闘経験は彼らの千万倍。修行初期とはいえ、一撃一撃が完璧な計算の下に繰り出される。
少年たちが一斉に襲い掛かれば多少の手間もかかっただろうが、次々と単独で挑んでくる様は初回より楽な仕事だった。
一刻後、膨らんだ金袋を手にした方源が悠々と去り、地面には昏倒した者、腹や股間を押さえて呻く者たちが転がっていた。
「さあ、始末するぞ」護衛たちの声が響き、駆けつける足音が広がっていった。




