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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第九十二節:方源vs李好2

ガオッ!ガオッ!ガオッ!


獣力虚影(じゅうりょくきょえい)(くる)おしく(ひらめ)き、その(いきお)いは(てん)(ふる)わし()()るがす。背山蝦蟇(はいざんがま)(いた)さにゲロゲロと悲鳴(ひめい)()げ、猛然(もうぜん)方源(ほうげん)体当(たいあ)たりしてきた。


方源(ほうげん)(ひや)やかに(はな)()らし、間一髪(かんいっぱつ)でかわした。


背山蝦蟇(はいざんがま)(やま)背負(せお)い、(おも)すぎて(うご)きが(にぶ)い。方源(ほうげん)回避(かいひ)(かる)々(がる)としていた。


横進蛊(おうしんこ)直進蛊(ちょくしんこ)を次々(つぎつぎ)に使(つか)()け、背山蝦蟇(はいざんがま)何度(なんど)攻撃(こうげき)しても、方源(ほうげん)皮膚(ひふ)すら(かす)められない。


観客(かんきゃく)呆然(ぼうぜん)()つめていた。


人々(ひとびと)の(こころ)(なか)で「微動(びどう)だにしない」と(きざ)まれた背山蝦蟇(はいざんがま)のイメージは、(いま)方源(ほうげん)(なぐ)られて(わめ)(さけ)姿(すがた)()わっていた。


「こいつ、まさかここまで凶暴(きょうぼう)だとは!」李好(りこう)(きも)()やし、()()いしばって背山蝦蟇(はいざんがま)(たか)()()がらせた。


小僧(こぞう)、粉々(こなごな)の肉塊(にくかい)にしてやる!」李好(りこう)(くち)(ゆが)めて陰陰(いんいん)(わら)い、殺意(さつい)沸騰(ふっとう)していた。


しかし、背山蝦蟇(はいざんがま)()とす(かげ)方源(ほうげん)(ねら)わなかった。


(ぎゃく)に、李好(りこう)自身(じしん)(うえ)()ちてきたのだ。


背山蝦蟇(はいざんがま)巨体(きょたい)落下(らっか)(はじ)め、李好(りこう)めがけて墜落(ついらく)していく。


この光景(こうけい)()て、(おお)くの(もの)呆然(ぼうぜん)とし、理解(りかい)できなかった。魏央(ぎおう)(はじ)めとする(すく)数の(もの)だけが、()(するど)(ひかり)(はし)らせ、李好(りこう)戦術(せんじゅつ)見抜(みぬ)いた。


単純(たんじゅん)背山蝦蟇(はいざんがま)方源(ほうげん)()とすだけでは、攻撃(こうげき)簡単(かんたん)にかわされる。


方源(ほうげん)横進蛊(おうしんこ)直進蛊(ちょくしんこ)()ち、余裕(よゆう)回避(かいひ)できるからだ。


しかし背山蝦蟇(はいざんがま)李好(りこう)目掛(めが)けて()ちる(とき)李好(りこう)移形蛊(いけいこ)方源(ほうげん)位置(いち)交換(こうかん)できる。時機(じき)適切(てきせつ)(とら)えれば、方源(ほうげん)反応(はんのう)する()もなく背山蝦蟇(はいざんがま)下敷(したじ)きにできるのだ。


背山蝦蟇(はいざんがま)(おも)さなら、(たと)即死(そくし)しなくとも、確実(かくじつ)致命傷(ちめいしょう)()わせられる。


だが背山蝦蟇(はいざんがま)()()がった瞬間(しゅんかん)方源(ほうげん)()(さき)李好(りこう)突進(とっしん)した!


横進蛊(おうしんこ)直進蛊(ちょくしんこ)連続発動(れんぞくはつどう)(またた)()李好(りこう)真横(まよこ)(せま)った。


畜生(ちくしょう)!こいつ(おれ)戦術(せんじゅつ)見抜(みぬ)いてやがる!」この瞬間(しゅんかん)李好(りこう)心底(しんそこ)業腹(ごうはら)(おも)った。


方源(ほうげん)はまだ(かれ)から距離(きょり)があったが、(いま)移形蛊(いけいこ)使(つか)えば、方源(ほうげん)余裕(よゆう)背山蝦蟇(はいざんがま)攻撃(こうげき)()けられる。


しかし(いま)使(つか)わなければ、方源(ほうげん)接近(せっきん)した(あと)移形蛊(いけいこ)発動(はつどう)しても、()()れず、方源(ほうげん)(とも)背山蝦蟇(はいざんがま)下敷(したじ)きになるだろう。


やむなく、李好(りこう)移形蛊(いけいこ)催動(さいどう)し、方源(ほうげん)位置(いち)交換(こうかん)した。


ドッ!


背山蝦蟇(はいざんがま)地面(じめん)激突(げきとつ)する瞬間(しゅんかん)方源(ほうげん)横進蛊(おうしんこ)見事(みごと)回避(かいひ)した。


(かれ)(つね)横進蛊(おうしんこ)直進蛊(ちょくしんこ)使用間隔(しようかんかく)三呼吸(さんこきゅう)(たも)っている。五十歩(ごじっぽ)程度(ていど)突進(とっしん)時間(じかん)(かんが)えれば、(つね)移動蛊(いどうこ)使(つか)える状態(じょうたい)()()できるのだ。


細部(さいぶ)にこそ勝敗(しょうはい)宿(やど)る。


方源(ほうげん)前世(ぜんせ)豊富(ほうふ)戦闘経験(せんとうけいけん)により、完璧(かんぺき)戦術(せんじゅつ)構築(こうちく)していた。


(かれ)(ふたた)背山蝦蟇(はいざんがま)突進(とっしん)し、拳打(けんだ)蹴撃(しゅうげき)()びせた。攻撃(こうげき)剛猛(ごうもう)そのもので、硬打硬落(こうだこうらく)一撃(いちげき)炸裂(さくれつ)した。


山猪(やまのしし)棕熊(しゅゆう)(わに)獣力虚影(じゅうりょくきょえい)順番(じゅんばん)(ひらめ)き、凶暴(きょうぼう)(きわ)まりない破壊力(はかいりょく)(はな)つ。


背山蝦蟇(はいざんがま)(ふたた)(あらし)(ごと)攻撃(こうげき)(さら)され、ゲロゲロと(いた)みを(さけ)びながら、背中(せなか)(いわ)が粉々(こなごな)に(くだ)()った。


場外(じょうがい)(あざけ)(わら)っていた観客(かんきゃく)たちは沈黙(ちんもく)(つつ)まれた。


(おお)くの(もの)(くち)()け、呆然(ぼうぜん)とこの光景(こうけい)()つめていた。


全力以赴蛊(ぜんりょくいこ)方源(ほうげん)によってこれほどまでに威猛(いもう)使(つか)われ、背山蝦蟇(はいざんがま)さえもが袋叩(ふたくた)きにされる(よわ)(もの)()すとは!


一方(いっぽう)戦場(せんじょう)では(すさ)まじい熱戦(ねっせん)()(ひろ)げられていたが、李好(りこう)()()(かぜ)(なみ)もない静寂(せいじゃく)(つつ)まれていた。


李好(りこう)(おも)ってもみなかった――方源(ほうげん)がこれほど執拗(しつよう)背山蝦蟇(はいざんがま)攻撃(こうげき)(つづ)けるとは。


これまでの相手(あいて)(みな)李好(りこう)(たお)せば背山蝦蟇(はいざんがま)自然消滅(しぜんしょうめつ)すると(かんが)え、巨蝦蟇(きょがま)無視(むし)して李好(りこう)(ねら)ってきた。


それが(かしこ)選択(せんたく)というものだ!


だが方源(ほうげん)(ちが)った。(かれ)最悪(さいあく)攻撃対象(こうげきたいしょう)(えら)んだのだ。


全火力(ぜんかりょく)背山蝦蟇(はいざんがま)集中(しゅうちゅう)し、肝心(かんじん)李好(りこう)完全(かんぜん)無視(むし)している。


李好(りこう)蚊帳(かや)(そと)()かれ、戦況(せんきょう)無関係(むかんけい)傍観者(ぼうかんしゃ)のような()まずい立場(たちば)()たされていた!


獣力虚影(じゅうりょくきょえい)()()なく(ひらめ)き、空中(くうちゅう)交錯(こうさく)する。方源(ほうげん)背山蝦蟇(はいざんがま)(かこ)むようにして、凶暴(きょうぼう)攻撃(こうげき)()びせ(つづ)けた。


巨蝦蟇(きょがま)威容(いよう)あふれる巨体(きょたい)は、(いま)無様(ぶざま)(うつ)る。


「まずい!背山蝦蟇(はいざんがま)()()いた!」(とお)くで()ていた李好(りこう)手足(てあし)()やっとした。


移形蛊(いけいこ)


(かれ)()異様(いよう)(ひかり)(はな)ち、方源(ほうげん)(とら)えた。


瞬時(しゅんじ)に、方源(ほうげん)視界(しかい)がガラリと()わり、()()くと(とお)くへ()ばされていた。


一方(いっぽう)李好(りこう)は、方源(ほうげん)位置(いち)()()わり、背山蝦蟇(はいざんがま)(かたわ)らに()っていた。


(かれ)両手(りょうて)()ばし、背山蝦蟇(はいざんがま)(からだ)()()てて治療(ちりょう)開始(かいし)した。


蝦蟇(がま)(きず)(ふか)さに、(こころ)(おく)(おどろ)きを(きん)()なかった。


演武場(えんぶじょう)数多(あまた)(たたか)いを経験(けいけん)してきたが、これほど(おも)損傷(そんしょう)()たことはない。


「まさかこの(たたか)いで、(おれ)(やぶ)れるのか?こんな若造(わかぞう)に?いや、ありえない!」敗北(はいぼく)予感(よかん)が、李好(りこう)(こころ)(そこ)(はじ)めて(つよ)()()がった。


方源(ほうげん)(ひや)やかに(わら)い、突進(とっしん)開始(かいし)した。


李好(りこう)自分(じぶん)眼前(がんぜん)公然(こうぜん)背山蝦蟇(はいざんがま)治療(ちりょう)するのを、どうして(ゆる)すことができようか?


方源(ほうげん)猛進(もうしん)してくるのを()て、李好(りこう)()()いしばり、治療(ちりょう)断念(だんねん)して反対方向(はんたいほうこう)(はし)()した。


方源(ほうげん)背山蝦蟇(はいざんがま)眼前(がんぜん)(せま)った(とき)(ふたた)移形蛊(いけいこ)使(つか)う。


こうして(ふたた)背山蝦蟇(はいざんがま)(かたわ)らに()ち、方源(ほうげん)(とお)くへ()ばすのだ。


しかし方源(ほうげん)(まった)()(かい)せず、相変(あいか)わらず突進(とっしん)専念(せんねん)した。


李好(りこう)治療(ちりょう)は度々(たびたび)妨害(ぼうがい)され、方源(ほうげん)突撃(とつげき)毎回(まいかい)空振(からぶ)りに()わった。


それでも(かれ)執拗(しつよう)攻撃(こうげき)()(かえ)し、(あき)めようとしない。


数度(すうど)攻防(こうぼう)(のち)(ぎゃく)李好(りこう)(みずか)治療(ちりょう)()め、顔色(かおいろ)明暗(めいあん)交錯(こうさく)した。


この場面(ばめん)に、観戦(かんせん)する(おお)くの(もの)(くび)(ひね)った。


だが、(かしこ)(もの)はいた。


方正(ほうせい)突進(とっしん)一見(いっけん)無駄(むだ)()えるが、(じつ)李好(りこう)真元(しんげん)(はげ)しく消耗(しょうもう)させている」


「その(とお)りだ。移形蛊(いけいこ)奇跡(きせき)のような効果(こうか)があるが、欠点(けってん)もある。真元(しんげん)消耗量(しょうもうりょう)膨大(ぼうだい)なこと、それが(ひと)つだ」


距離(きょり)(とお)ければ(とお)いほど、対象(たいしょう)実力(じつりょく)(つよ)ければ(つよ)いほど、李好(りこう)移形蛊(いけいこ)発動(はつどう)する(さい)真元(しんげん)消耗(しょうもう)増大(ぞうだい)する」


方源(ほうげん)山猪(やまのしし)二頭(にとう)(わに)一頭(いっとう)棕熊(しゅゆう)一頭(いっとう)(ちから)()つ。李好(りこう)移形蛊(いけいこ)使(つか)(たび)に、膨大(ぼうだい)真元(しんげん)消費(しょうひ)される。さらに背山蝦蟇(はいざんがま)治療(ちりょう)まで(おこな)えば、三转(さんてん)真元(しんげん)(りょう)でも持ち(こた)えられない」


李好(りこう)もこの(てん)()づいたからこそ、()むなく治療(ちりょう)中止(ちゅうし)したのだ。


(かれ)真元(しんげん)は、もはや(のこ)(すく)なかった。


方源(ほうげん)(ふたた)突進(とっしん)してくるのを()て、李好(りこう)()一瞬(いっしゅん)躊躇(ちゅうちょ)(はし)ったが、やむなく()(てい)して応戦(おうせん)した。


方源(ほうげん)(こぶし)(にぎ)(てのひら)(ひるがえ)すと、即座(そくざ)背山蝦蟇(はいざんがま)()て、李好(りこう)()かって攻撃(こうげき)開始(かいし)した。


パン!パン!パン!


(こぶし)一撃一撃(いちげきいちげき)空気(くうき)()()き、轟音(ごうおん)(とも)剛猛無比(ごうもうむひ)攻撃(こうげき)炸裂(さくれつ)岩礁(がんしょう)()怒涛(どとう)(ごと)連打(れんだ)だ。


(わず)数合(すうごう)で、李好(りこう)はもはや()(こた)えられなかった!


(かれ)()一応(いちおう)(そろ)ってはいるが、(しん)(かく)背山蝦蟇(はいざんがま)移形蛊(いけいこ)にある。


移形蛊(いけいこ)真元(しんげん)消耗(しょうもう)()らすため、(からだ)(ひそ)んでいた獣力虚影(じゅうりょくきょえい)()していた。


方源(ほうげん)攻撃(こうげき)(じつ)猛烈(もうれつ)で、(あらし)(ごと)怒涛(どとう)攻勢(こうせい)に、李好(りこう)(いき)()まるほどだった。


かつて(ちから)(みち)(おさ)めた下地(したじ)(かろ)うじて数度(すうど)()えたが、やむなく(ふたた)移形蛊(いけいこ)使(つか)い、背山蝦蟇(はいざんがま)()()せた。


方源(ほうげん)李好(りこう)()わず、背山蝦蟇(はいざんがま)(ねら)って攻撃(こうげき)開始(かいし)した。


山猪(やまのしし)棕熊(しゅゆう)(わに)虚影(きょえい)が次々(つぎつぎ)と閃光(せんこう)(はな)つ。


瞬時(しゅんじ)(いわ)()()背山蝦蟇(はいざんがま)()()()しながら(くる)ったように反撃(はんげき)した。


だが方源(ほうげん)横進蛊(おうしんこ)直進蛊(ちょくしんこ)(たく)みに使(つか)()けるため、蝦蟇(がま)反撃(はんげき)不器用(ぶきよう)きわまりなく(うつ)った。


「どうしてこんな事態(じたい)に……」


李好様(りこうさま)まで(たたか)いに(くわ)わり、背山蝦蟇(はいざんがま)負担(ふたん)()かち()わざるを()ないとは」


方正(ほうせい)攻撃(こうげき)(おそ)ろしいほど猛烈(もうれつ)だ。李好(りこう)背山蝦蟇(はいざんがま)完全(かんぜん)()され気味(ぎみ)だ」


戦況(せんきょう)がここまで進展(しんてん)するとは、(おお)くの(もの)予想(よそう)裏切(うらぎ)った。李好(りこう)(ちから)(みち)()補助(ほじょ)転向(てんこう)して以来(いらい)(かれ)がこれほどの劣勢(れっせい)()たされるのを()(もの)はいなかった。


李好(りこう)戦術(せんじゅつ)(じつ)巧妙(こうみょう)だった。移形蛊(いけいこ)背山蝦蟇(はいざんがま)連携(れんけい)は、(ひと)たび成功(せいこう)すれば絶大(ぜつだい)効果(こうか)発揮(はっき)する。


方源(ほうげん)でさえ、この戦術(せんじゅつ)完全(かんぜん)には(やぶ)れなかった。


しかし……


方源(ほうげん)(やぶ)必要(ひつよう)などなかったのだ!(かれ)最初(さいしょ)から戦術(せんじゅつ)(やぶ)ろうなどと(かんが)えず、ただ鉄拳(てっけん)()(まわ)し、「万変(ばんぺん)(いっ)つの不変(ふへん)(おう)じる」を(つらぬ)いた。(だれ)(あらわ)れようと、容赦(ようしゃ)なく(たた)(つぶ)すだけだ!


この行動(こうどう)一見(いっけん)愚鈍(ぐどん)()えるが、(じつ)大智(だいち)()()るの境地(きょうち)


狂瀾(きょうらん)(ごと)気迫(きはく)霸道(はどう)無比(むひ)風格(ふうかく)が、(またた)()(すべ)てを圧倒(あっとう)した。


「これは()方法(ほうほう)だ」ある(もの)()(かがや)かせた。「(おれ)李好(りこう)(たたか)(とき)方正(ほうせい)見習(みなら)い、余計(よけい)なことは(かんが)えず、背山蝦蟇(はいざんがま)猛攻(もうこう)()びせよう」


この言葉(ことば)に、(まわ)りの(もの)即座(そくざ)否定(ひてい)嘲笑(ちょうしょう)(こえ)()げた。


馬鹿(ばか)()うな!お(まえ)真似(まね)できるとでも?(あたま)おかしいのか?方正(ほうせい)ができるのは、(かれ)(ちから)(みち)(おさ)()真元(しんげん)消耗(しょうもう)(すく)ないからだ。お(まえ)みたいな()(みち)(おさ)()背山蝦蟇(はいざんがま)攻撃(こうげき)無駄(むだ)にすることこそ、李好(りこう)(のぞ)むところだ」


蛊師(こし)真元(しんげん)()きれば、戦力(せんりょく)暴落(ぼうらく)し、(ぼん)(じん)同然(どうぜん)になる。


(たたか)いの(なか)で、真元(しんげん)(おお)(ほう)優位(ゆうい)()つ。その()(おお)きければ(おお)きいほど、優位性(ゆういせい)圧倒的(あっとうてき)になる。


方源(ほうげん)真似(まね)ようと(おも)っていた蛊師(こし)たちは、この言葉(ことば)(のど)()まり、反論(はんろん)できなかった。


ある(もの)(ひざ)(たた)いて(さけ)んだ。「はっと()づいた!(ちから)(みち)にも利点(りてん)があるんだな!」


「その(とお)りだ」すぐに同調(どうちょう)する(こえ)()がった。「(ちから)(みち)攻撃(こうげき)(からだ)()りるから、力蛊(ちからこ)には真元(しんげん)消耗(しょうもう)(すく)ないという共通(きょうつう)長所(ちょうしょ)がある」


「どの蛊修(こしゅう)流派(りゅうは)にも各々(おのおの)長短(ちょうたん)がある。(ちから)(みち)上古時代(じょうこじだい)に赫々(かっかく)たる名声(めいせい)(はく)したのには、道理(どうり)があるのだ」


人々(ひとびと)の視線(しせん)(ふたた)場内(じょうない)(あつ)まった。


李好(りこう)とその背山蝦蟇(はいざんがま)は、方源(ほうげん)猛攻(もうこう)(もと)()され(つづ)けていた。


全力以赴蛊(ぜんりょくいこ)真元(しんげん)消耗(しょうもう)(きわ)めて(すく)ない。


方源(ほうげん)(まこと)攻撃力(こうげきりょく)は、幾多(いくた)獣力虚影(じゅうりょくきょえい)由来(ゆらい)する。


しかしこれらの獣力虚影(じゅうりょくきょえい)そのものは、(まった)真元(しんげん)必要(ひつよう)としない!


ここにこそ最大(さいだい)驚異(きょうい)がある!


(ほか)蛊師(こし)方源(ほうげん)立場(たちば)()てば、十数回(じゅうすうかい)(たたか)えば力尽(ちからつ)きるが、方源(ほうげん)(たたか)えば(たたか)うほど猛威(もうい)()るい、驚異的(きょういてき)持続力(じぞくりょく)()せる。


(かれ)気迫(きはく)上昇(じょうしょう)(つづ)け、(こぶし)一撃一撃(いちげきいちげき)風切音(かざきりおと)(しょう)じ、(もう)()咆哮(ほうこう)(ごと)く、巨熊(きょゆう)雄叫(おたけ)びの(ごと)く、剛猛無比(ごうもうむひ)だ!その姿(すがた)に、人々(ひとびと)は上古(じょうこ)力修(りきしゅう)天下(てんか)睥睨(へいげい)した風格(ふうかく)彷彿(ほうふつ)とさせられた。


心臓(しんぞう)(はげ)しく鼓動(こどう)し、胸中(きょうちゅう)熱血(ねっけつ)沸騰(ふっとう)する。方源(ほうげん)()てば()つほど快感(かいかん)()していった。


転生(てんせい)以来(いらい)(かれ)(つね)薄氷(はくひょう)()む思いで、(こころ)鬱屈(うっくつ)した気持(きも)ちを()()んでいた。その鬱憤(うっぷん)が、(いま)拳脚(けんきゃく)狂熱(きょうねつ)(とも)爆発(ばくはつ)し、一気(いっき)()()された。


(こころ)陰鬱(いんうつ)一掃(いっそう)された。


(うたが)いもなく、全力以赴蛊(ぜんりょくいこ)()にしたことは、方源(ほうげん)人生(じんせい)転換点(てんかんてん)だった。


それ以前(いぜん)(かれ)(ひがし)西(にし)奔走(ほんそう)し、明日(あす)をも()れぬ生活(せいかつ)で、満足(まんぞく)()べることもできなかった。(すこ)(おお)きな問題(もんだい)直面(ちょくめん)すれば、心身(しんしん)(けず)って対策(たいさく)(かんが)えねばならなかった。


しかし全力以赴蛊(ぜんりょくいこ)()てから、(かれ)(はじ)めて(ほこ)るべき資本(しほん)()にし、(こぶし)(おお)くの問題(もんだい)解決(かいけつ)できるようになったのだ。


(いま)(かれ)は、李好(りこう)精巧(せいこう)戦術(せんじゅつ)(やぶ)必要(ひつよう)などない。ただ(こぶし)()(まわ)し、横殴(よこなぐ)りにするだけでいい。


()狡猾(こうかつ)であり、さらに()霸道(はどう)だ!


(てん)(はら)()(はら)い、山河(さんが)()()み、()乾坤(けんこん)()め、一力(いちりき)十会(じゅっかい)(せい)す!


(まえ)凶暴(きょうぼう)なら、(おれ)はもっと凶暴(きょうぼう)に!お(まえ)横暴(おうぼう)なら、(おれ)はもっと横暴(おうぼう)に!


()よ!()よ!()よ!


()せ!()せ!()せ!


方源(ほうげん)痛快極(つうかいきわ)まりなく()()み、胸中(きょうちゅう)渦巻(うずま)激情(げきじょう)がついに爆発(ばくはつ)長嘯(ちょうしょう)となって(ほとばし)った。


因为困难多壮志いんうぇいこんなん たそうし,不教红尘惑坚心(ふきょう こうじん わくけんしん)。今身暂且栖草头(こんしん せんしょ せいそうとう),它日狂歌踏山河(たじつ きょうか とうさんが)。」


今日(きょう)からこそ、(しん)雄起(ゆうき)(みち)(あゆ)むのだ!


(ちり)(はら)()くし、荒波(あらなみ)(わら)いかける。


青山(せいざん)()み、碧海(へきかい)(わた)り、蒼龍(そうりゅう)(しば)り、長空(ちょうくう)()つ!


風雨(ふうう)(よく)し、魔魂(まこん)(みが)き、(はた)(かか)げて高歌猛進(こうかもうしん)(てん)(さか)らい、運命(うんめい)(さか)らい、乾坤(けんこん)(くつがえ)せ!


ドゴォーン!


(こぶし)(はげ)しく()()ろされ、背山蝦蟇(はいざんがま)(つい)()()れず、背中(せなか)(やま)(くず)()ち、()()()げながら、方源(ほうげん)()きたまま(なぐ)(ころ)された。



横進直進蛊(おうしんちょくしんこ)


李好(りこう)が高々(たかだか)と()()ばされ、十数歩(じゅうすうほ)()()された。


ドスン!


泥沼(どろぬま)墜落(ついらく)微動(びどう)だにしなかった。


黒濁(こくだく)した泥水(どろみず)鮮紅(せんこう)()()じり()い、(またた)()(かれ)花柄(はながら)(ほう)汚染(おせん)した。


(かれ)慢心(まんしん)(まね)いた代償(だいしょう)を、(いのち)支払(しはら)ったのだ。


(たたか)いは戛然(かつぜん)()み、方源(ほうげん)傲然(ごうぜん)場中(じょうちゅう)()ち、陽剛(ようごう)猛烈(もうれつ)気迫(きはく)全場(ぜんじょう)威圧(いあつ)した。


演武場(えんぶじょう)には、(いま)(かれ)長嘯(ちょうしょう)余韻(よいん)反響(はんきょう)しているようだった。


その(ほか)は、ただ静寂(せいじゃく)支配(しはい)し、誰一人(だれひとり)(こえ)()てる(もの)はいなかった!







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