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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第八十八節:名声蛊

方源(ほうげん)五十歩(ごじっぽ)()()けたところで、(いきお)いが()まった。(からだ)(ひるがえ)し、李然(りねん)()(なお)り、攻撃(こうげき)(つづ)けようとした。


しかし李然(りねん)(すで)()()げ、「()て!(たたか)いは()める!降参(こうさん)だ!」と(たか)らかに(さけ)んでいた。


この(こえ)場内(じょうない)一瞬(いっしゅん)(しず)まり(かえ)り、(つづ)いて大騒動(おおそうどう)となった。


(なに)をやってるんだ?もう()めるのか?」


「わざわざ元石(げんせき)(はら)って全力以赴蛊(ぜんりょくいこ)()()たのに!」


腰抜(こしぬ)けめ!(おとこ)か?()()がって(たたか)えよ!」


人々(ひとびと)は怒髪天(どはつてん)()(いきお)いだった。


(おお)くの(もの)(あら)(いき)()き、元石(げんせき)無駄(むだ)にしたと(いか)り、罵声(ばせい)()びせた。しかし一方(いっぽう)で、李然(りねん)理解(りかい)する(もの)(すく)なからずいた。


(たたか)うことなど不可能(ふかのう)だ。李然(りねん)降参(こうさん)賢明(けんめい)判断(はんだん)だ」


(さき)一撃(いちげき)()(あき)らかだ。(つづ)ければ(いのち)危険(きけん)がある」


李然(りねん)演武場(えんぶじょう)古参(こさん)常連(じょうれん)だ。経験豊(けいけんゆた)かだから、こうするのは当然(とうぜん)だ」


カーン。


()んだ(かね)(おと)(ひび)き、演武(えんぶ)終了(しゅうりょう)()げた。


演武場(えんぶじょう)(まわ)りでは、人々(ひとびと)が退場(たいじょう)(はじ)めた。方源(ほうげん)も、()ろうとする様子(ようす)()せた。


方正(ほうせい)()ってくれ」李然(りねん)突然(とつぜん)(こえ)()け、(かれ)()()めた。


方源(ほうげん)(まゆ)をひそめ、()(かえ)って()った。「(なに)(よう)だ?」


(まわ)りの人々(ひとびと)も(あし)()めた。


方正(ほうせい)(おれ)はお(まえ)(おん)があるのに、(いま)(おれ)(きず)つけた。(おん)(あだ)(かえ)すとは!賠償(ばいしょう)しろ!」李然(りねん)(さけ)んだ。


この()(ぶん)(あつ)かましい。(あき)らかに(みずか)らの()(ほど)()らず挑戦(ちょうせん)しておきながら、怪我(けが)をした結果(けっか)(ぎゃく)相手(あいて)の「(おん)(あだ)(かえ)す」行為(こうい)だと()うとは。


この言葉(ことば)()いて、(おお)くの(もの)(はな)(わら)い、李然(りねん)一層(いっそう)軽蔑(けいべつ)()()けた。


方源(ほうげん)無理(むり)やり挑戦(ちょうせん)したのは、(いか)りに(まか)せたとはいえ、(ひと)(なさけ)として理解(りかい)できなくもない。だが(いま)になって(から)(つづ)けるのは、完全(かんぜん)因縁(いんねん)づけに()ぎない。


方源(ほうげん)(くび)()り、()()けて()ろうとした。「お(まえ)(あたま)(おれ)にぶつかっておかしくなったのか?」


周囲(しゅうい)から哄笑(こうしょう)()()がった。


だが李然(りねん)はもがき()()がり、方源(ほうげん)()かって(さけ)んだ。「方正(ほうせい)!お(まえ)のことは()っている!お(まえ)恩讐(おんしゅう)(あき)らかで、『(したた)(みず)(おん)湧泉(ゆうせん)(むく)い、星火(せいか)(あだ)燎原(りょうげん)にして(かえ)す』と評判(ひょうばん)だ。商心慈(しょうしんじ)(ちい)さな(おん)(ほどこ)しただけで、(いのち)がけで彼女(かのじょ)(すく)い、商家城(しょうかじょう)まで(まも)(とお)した。商家(しょうか)族長(ぞくちょう)褒賞(ほうしょう)(あた)えようとしても、『(おん)(かえ)した』と(いっ)(さい)(ことわ)った。紫荊令牌(しけいれいはい)族長(ぞくちょう)無理(むり)やり()()けたのだ!」


方正(ほうせい)(おれ)もお(まえ)(おん)がある!()ってみろ、もし(おれ)星辰石(せいせんせき)(えら)んでいなければ、お(まえ)全力以赴蛊(ぜんりょくいこ)()にできたか?できなかったろう!ふふ、他人(たにん)はどうでもいいが、(おれ)はお(まえ)をよく()っている。お(まえ)(すこ)横暴(おうぼう)だが、(おん)(かなら)(かえ)す。そうでなければ、(よる)(ねむ)れないだろう?(かんが)えてみろ、(おれ)への()りを(かえ)さずに、これからよく(ねむ)れるのか?」


「ふん、お(まえ)方源(ほうげん)本性(ほんしょう)()()けていないな」人混(ひとご)みの(なか)白凝冰(はくぎょうひょう)李然(りねん)言葉(ことば)()いて、(こころ)の中で冷笑(れいしょう)した。


方源(ほうげん)全力以赴蛊(ぜんりょくいこ)()にしたことで、彼女(かのじょ)好奇心(こうきしん)もかき()てられた。


(なん)()っても、方源(ほうげん)(つね)彼女(かのじょ)仮想敵(かそうてき)だったのだ。


しかし方源(ほうげん)(あし)()めた。


衆人環視(しゅうじんかんし)(なか)(かれ)(からだ)(ひるがえ)し、李然(りねん)()()い、(けん)しい表情(ひょうじょう)()かべた。


「そう()われれば、(たし)かにお(まえ)()りがあるようだ。だが、元々(もともと)お(まえ)(さき)(おれ)冒涜(ぼうとく)した。それに、全力以赴蛊(ぜんりょくいこ)他人(たにん)(わた)すわけにはいかない。お(まえ)(おも)うところを()かせてくれ」


方源(ほうげん)のこの言葉(ことば)に、()りかけた人々(ひとびと)も(おも)わず(あし)()め、見守(みまも)るように()()くした。


白凝冰(はくぎょうひょう)(こころ)(なか)(かろ)(おどろ)きの(こえ)がした。


全力以赴蛊(ぜんりょくいこ)三转(さんてん)とはいえ、上古(じょうこ)時代(じだい)から(つた)わる唯一無二(ゆいいつむに)存在(そんざい)だ。()価値(かち)(はか)()れない。十万元石(じゅうまんげんせき)くれれば、()りは帳消(ちょうけ)しにしてやる!」李然(りねん)(おも)(あん)(めぐ)らせて()った。


「こいつ、馬鹿(ばか)か?」


法外(ほうがい)要求(ようきゅう)だ。(あき)れた(おろ)かさだ」「よくもまあ、そんな(あつ)かましい要求(ようきゅう)ができるものだ!」


人々(ひとびと)は一斉(いっせい)(くび)()り、李然(りねん)(こころ)(そこ)軽蔑(けいべつ)した。


方源(ほうげん)一考(いっこう)した(のち)、やはり(くび)()った。


十万元石(じゅうまんげんせき)では、この()りは()せない。二十万元石(にじゅうまんげんせき)(はら)ってこそ、(こころ)(やす)らぐ」そう()うと、(かれ)()()げ、元老蛊(げんろうこ)()()し、(なか)元石(げんせき)(のこ)らず()()した。


演武場(えんぶじょう)地面(じめん)に、(またた)()元石(げんせき)(やま)(あらわ)れた。


「これは八万(はちまん)(あま)りの元石(げんせき)(いま)手元(てもと)にあるのはこれだけだ。(のち)ほど(かね)ができ次第(しだい)()()わせる!」


(なに)だと!?」方源(ほうげん)言葉(ことば)に、人々(ひとびと)は(おどろ)きを(かく)せなかった。


本当(ほんとう)(はら)うつもりなのか?それも(みずか)()()()げて二十万(にじゅうまん)とは!」(おお)くの(もの)呆然(ぼうぜん)とした。


「まさか!李然(りねん)全力以赴蛊(ぜんりょくいこ)()にできなかったが、これほどの元石(げんせき)補償(ほしょう)があれば、(わる)くないだろう」大勢(おおぜい)(ひと)()(またた)かせ、元石(げんせき)(やま)()つめ、(おも)わずよだれを()らしそうになった。


「この方正(ほうせい)という(おとこ)本当(ほんとう)に……」(おお)くの(もの)方源(ほうげん)()()背中(せなか)(なが)め、一斉(いっせい)奇妙(きみょう)表情(ひょうじょう)()かべ、(なに)()ってよいか()からなかった。


全力以赴蛊(ぜんりょくいこ)(ちから)(おも)存分(ぞんぶん)()られなかったのは残念(ざんねん)だが、李然(りねん)方源(ほうげん)興味深(きょうみぶか)対話(たいわ)は、人々(ひとびと)に(すく)なからぬ収穫(しゅうかく)をもたらした。


この(たたか)いは、人々(ひとびと)の(くち)から(くち)へと(つた)わり、(いち)から(じゅう)(じゅう)から(ひゃく)へと、商家城(しょうかじょう)(じゅう)(またた)()(ひろ)まっていった。


方源(ほうげん)紫荊令牌(しけいれいはい)所持(しょじ)していることは(ひろ)()(わた)り、多くの悪党(あくとう)(よこしま)(おも)いを(くじ)いた。


(おお)くの(もの)李然(りねん)(うらや)み、一方(いっぽう)方源(ほうげん)約束(やくそく)した二十万元石(にじゅうまんげんせき)(うたが)いを(いだ)(もの)もいた。


だが(なん)()っても、方源(ほうげん)の「恩讐(おんしゅう)(あき)らか」という評判(ひょうばん)確立(かくりつ)した。


楠秋苑(なんしゅうえん)(もど)ると、白凝冰(はくぎょうひょう)怪訝(けげん)そうに(たず)ねた。「本気(ほんき)李然(りねん)二十万(にじゅうまん)元石(げんせき)(あた)えるつもりか?」


これは方源(ほうげん)(ふう)ではない。


無論(むろん)だ」方源(ほうげん)簡潔(かんけつ)(こた)えた。白凝冰(はくぎょうひょう)には()かせないが、これは李然(りねん)との密約(みつやく)だった。李然(りねん)芝居(しばい)手伝(てつだ)い、合炼(ごうれん)秘方(ひほう)(おし)える()わりに、方源(ほうげん)二十万元石(にじゅうまんげんせき)補償(ほしょう)するという取引(とりひき)だ。


白凝冰(はくぎょうひょう)一瞬(いっしゅん)沈黙(ちんもく)し、(うたが)わしげに冷笑(れいしょう)した。「二十万(にじゅうまん)もの元石(げんせき)名声(めいせい)のためにつぎ()価値(かち)があるのか?」


方源(ほうげん)(かる)(わら)った。「名声蛊(めいせいこ)(はなし)()いたことがないのか?」


白凝冰(はくぎょうひょう)()(まよ)いが(はし)った。「(なに)()いたい?」


名声(めいせい)とは(はし)のようなものだ。深淵(しんえん)(わた)せる。通行手形(つうこうてがた)のようなものだ。紫荊令牌(しけいれいはい)よりも貴重(きちょう)で、どこでも(とお)()けられる。二十万(にじゅうまん)では紫荊令牌(しけいれいはい)すら()えない。二十万(にじゅうまん)名声(めいせい)()えるなんて、これ以上(いじょう)(とく)取引(とりひき)はない。ははは」方源(ほうげん)(わら)(つづ)けた。


白凝冰(はくぎょうひょう)()ややかに(はな)()らした。(かれ)予知蛊(よちこ)()つことを(おも)()し、一応(いちおう)納得(なっとく)した様子(ようす)だった。


名声蛊(めいせいこ)(はなし)は、人祖(じんそ)伝説(でんせつ)由来(ゆらい)する……


太日陽莽(たいじつようもう)()(つぶ)れて目覚(めざ)めた(とき)頭痛(ずつう)(おそ)われ、泥酔(でいすい)(ちゅう)記憶(きおく)(うしな)っていた。()()くと、孤峰(こほう)(いただき)()()められていた。(みね)(まわ)りは、数千丈(すうせんじょう)(はば)深淵(しんえん)(ひろ)がっている。


深淵(しんえん)渦巻(うずま)(かぜ)()たされ、(みじ)めな緑色(みどりいろ)の「平凡風(へいぼんふう)」が()()れていた。(かぜ)には(くら)黄色(きいろ)の「俗塵(ぞくじん)」が()っていた。



太日陽莽(たいじつようもう)(こころ)奈落(ならく)(そこ)(しず)んだ。ここが平凡の(へいぼんのふち)だと気付(きづ)いたからだ。かつて()(もの)でこの(ふち)()()えた(もの)はいない。孤峰(こほう)()()められた(かれ)は、出口(でぐち)もなく、()()にを()つだけだった。


(さいわ)い、孤峰(こほう)頂上(ちょうじょう)には密林(みつりん)(ひろ)がっていた。太日陽莽(たいじつようもう)空腹(くうふく)()えかね、()()(もと)めて密林(みつりん)()()った。


しかしこの(もり)奇妙(きみょう)だった。(くろ)(つち)(ぬま)のようで、腐敗(ふはい)(にお)いを(ただよ)わせている。どの()にも()はなく、()(ほそ)った(えだ)骸骨(がいこつ)(ゆび)のようだ。不思議(ふしぎ)なことに、(かぜ)()(たび)に、サラサラという葉擦(はず)れの(おと)()こえるのだ。


太日陽莽(たいじつようもう)()(もの)()つけられず、絶望(ぜつぼう)(おちい)った。もはや(いのち)(なが)くないと(さと)った。


数日(すうじつ)()ぎ、太日陽莽(たいじつようもう)()えで四肢(しし)(ちから)(うしな)い、()(みき)()()かり、地面(じめん)にへたり()んだ。


次第(しだい)意識(いしき)(とお)のいていった。


朦朧(もうろう)とした(なか)で、(おお)くの(ひと)(こえ)(はな)しているのを()いた。


「おい、()ろよ。ついに()(うしな)ったぞ」


「はあ、(おも)った(とお)りだ。()わりだな」


(じつ)は平凡の(へいぼんのふち)から()方法(ほうほう)があるんだ。名声蛊(めいせいこ)()()れればいいだけだ」


名声蛊(めいせいこ)細語密林(さいごみつりん)中心(ちゅうしん)にある(いし)(した)()さえられている。残念(ざんねん)ながら(かれ)()らないらしい。ははは……」


「シー!(こえ)(ひそ)めて(はな)そう。(まん)(いち)()かれたら大変(たいへん)だ」


大丈夫(だいじょうぶ)だよ。もう気絶(きぜつ)してる。すぐに(くろ)(どろ)()もれて、養分(ようぶん)となり、(おれ)たち()(かて)になるさ」


その言葉(ことば)()いて、太日陽莽(たいじつようもう)()()きた。


この密林(みつりん)こそが細語密林(さいごみつりん)だったのだ。()こえていた葉擦(はず)れの(おと)は、(じつ)(もり)細語(さいご)だった。()(おぼ)えた情報(じょうほう)(たよ)りに、太日陽莽(たいじつようもう)密林(みつりん)中心(ちゅうしん)()かい、(いし)()しのけて名声蛊(めいせいこ)()()れた。


名声蛊(めいせいこ)(きく)(はな)のような姿(すがた)で、黄金色(こがねいろ)花弁(はなびら)(かがや)き、(かお)りとも(にお)いともつかない不思議(ふしぎ)(にお)いを(はな)っていた。


名声蛊(めいせいこ)太日陽莽(たいじつようもう)()った。「若者(わかもの)よ、(いし)(のぞ)いて(わたし)(すく)ってくれて感謝(かんしゃ)する。(いのち)(おん)(むく)いるため、平凡の(へいぼんのふち)(わた)すのを(たす)けよう」


名声蛊(めいせいこ)(みずか)らの使(つか)(かた)(おし)えた。


太日陽莽(たいじつようもう)(おお)いに(よろこ)び、(ふち)(ふち)()つと、名声蛊(めいせいこ)(くち)()()み、(ちから)(かぎ)(さけ)(ごえ)()げた。


不思議(ふしぎ)なことに、(かれ)がどれほど(ちから)()めて(さけ)んでも、一切(いっさい)(おと)()たなかった。しかし平凡の(へいぼんのふち)(はげ)しく()(うご)き、山崩(やまくず)れのような(おお)きな轟音(ごうおん)(ひび)(わた)った。空気中(くうきちゅう)には芳醇(ほうじゅん)(かお)りが()(あふ)れる。


太日陽莽(たいじつようもう)(うたが)わなかった。名声蛊(めいせいこ)から(おそ)わっていた通り──名声(めいせい)そのものは(おと)()てないが、(ひろ)(つた)わり、(はげ)しい震動(しんどう)()()こすのだ。


(さけ)(つづ)けるうちに、半空(はんくう)金色(こんじき)(ひかり)(はし)(あらわ)れた。だがその(はし)(なが)さが()らず、対岸(たいがん)までにはまだ(とお)(はな)れていた。


太日陽莽(たいじつようもう)()えと(つか)れで(ちから)()き、何度(なんど)(ため)すも効果(こうか)次第(しだい)(よわ)まり、(みずか)らを(すく)(のぞ)みは()たれた。


名声蛊(めいせいこ)嘆息(たんそく)した。「ふう…(なが)(なに)()べておらず、(はら)仙気(せんき)(すく)ない。その()(はら)から(むね)(のど)()(くち)まで(おく)るには道程(みちのり)(なが)すぎる。(みち)(ちぢ)めねばならん。よって、()れを貴様(きさま)(しり)(あいだ)()()てよ」


太日陽莽(たいじつようもう)()われた(とお)りにした。


名声蛊(めいせいこ)(かれ)下腹部(かふくぶ)付近(ふきん)()ちると、(きく)(はな)のような(ちい)さな(あな)へと()わった。


「よし、これで()調(ととの)え、(ふたた)(さけ)べ」名声蛊(めいせいこ)()げた。


太日陽莽(たいじつようもう)仙気(せんき)(ひと)すじ調(ととの)え、その(あな)(とお)して(そと)(はな)った。


ブッ!


恍惚(こうこつ)とした()に、(かれ)(みみ)には(にぶ)(おと)(ひび)いた。空気中(くうきちゅう)(はな)()がるほどの悪臭(あくしゅう)(つつ)まれたが、金色(こんじき)(はし)()()るうちに雄大(ゆうだい)成長(せいちょう)し、千丈(せんじょう)(また)いで対岸(たいがん)(とど)いた。


臭名声は好名声よりも(はや)(ひろ)まり、根付(ねづ)きやすいものだ。太日陽莽(たいじつようもう)(いそ)いで(ひかり)(はし)(わた)り、平凡の(へいぼんのふち)()え、無事(ぶじ)対岸(たいがん)脱出(だっしゅう)した。









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