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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第七十四節:三転になる

ざあざあ…


(くう)(あな)(なか)で、(しお)()()く。(なみ)のように()()せる真元(しんげん)が、竅壁(きょうへき)(あら)(なが)していく。


(なみ)しぶきが(ゆき)のように(しろ)く、(ぎん)(ひかり)(きら)めかせて、(じつ)絢爛(けんらん)たる雪銀真元(せつぎんしんげん)だ。


部屋(へや)(なか)白凝冰(はくぎょうひょう)両掌(りょうて)方源(ほうげん)背中(せなか)()()てられ、骨肉団円蛊(こつにくだんえんこ)(とお)して()()なく真元(しんげん)(そそ)()んでいる。


真元(しんげん)骨肉団円蛊(こつにくだんえんこ)転化(てんか)されると、(すなわ)方源(ほうげん)所有物(しょゆうぶつ)となり、(かれ)のみが使(つか)いこなせる。


方源(ほうげん)()()なく(そそ)がれる雪銀真元(せつぎんしんげん)(あやつ)り、周囲(しゅうい)竅壁(きょうへき)(あら)(つづ)ける。


(かれ)(いま)二转(にてん)頂点(ちょうてん)(たっ)しており、自身(じしん)真元(しんげん)暗赤色(あんせきしょく)で、竅壁(きょうへき)晶膜(しょうまく)のように()(とお)って(ひか)(かがや)いている。


当時(とうじ)青茅山(せいぼうざん)にいた(ころ)(かれ)一转(いってん)頂点(ちょうてん)丙等(へいとう)資質(ししつ)ながら二转(にてん)目指(めざ)し、元石(げんせき)(ちから)()りなければならず、三、四日(さんよっか)(つい)やして(かろ)うじて達成(たっせい)した。その過程(かてい)(じつ)困難(こんなん)(きわ)めた。


二转(にてん)頂点(ちょうてん)から三转(さんてん)目指(めざ)した(とき)も、資質(ししつ)限界(げんかい)から人獣葬生蛊(じんじゅうそうせいこ)という外力(がいりょく)(たよ)らざるを()なかった。


しかし(いま)(まった)(ちが)う。


自身(じしん)資質(ししつ)甲等(こうとう)九割(きゅうわり)まで向上(こうじょう)し、人獣葬生蛊(じんじゅうそうせいこ)(たよ)必要(ひつよう)()うまでもなく、(なん)白凝冰(はくぎょうひょう)という強力(きょうりょく)(たす)()まで(そば)()いているのだ。


人生(じんせい)境遇(きょうぐう)(じつ)()(みょう)千万(せんばん)だ。当時(とうじ)方源(ほうげん)でさえ、絶対(ぜったい)予想(よそう)できなかったことだ。


(あつ)(かた)晶膜(しょうまく)表面(ひょうめん)は、雪銀真元(せつぎんしんげん)(あら)(なが)されるうちに、()もなく(ひび)()れが(あらわ)れた。


(ひび)()れは()()える(はや)さで急速(きゅうそく)拡大(かくだい)し、(まん)(えん)した。(またた)()に、晶膜全体(しょうまくぜんたい)裂痕(れっこん)(おお)われた。


ガラガラッ…


晶膜(しょうまく)完全(かんぜん)崩壊(ほうかい)し、無数(むすう)結晶片(けっしょうへん)真元海(しんげんかい)墜落(ついらく)し、幾重(いくえ)もの波紋(はもん)()てた。


(つづ)いて、これらの結晶片(けっしょうへん)無数(むすう)(きら)めく(しろ)光点(こうてん)()わり、真元海(しんげんかい)(なか)次第(しだい)消散(しょうさん)していった。


一枚(いちまい)(あら)たな(しろ)光膜(こうまく)が、晶膜(しょうまく)位置(いち)(すべ)()って()わった。


同時(どうじ)に、一筋(ひとすじ)淡銀色(たんぎんいろ)真元(しんげん)海底(かいてい)(ふか)くに(あらわ)れた。


淡銀真元(たんぎんしんげん)こそ、三转(さんてん)初階(しょかい)特徴(とくちょう)である。


この瞬間(しゅんかん)方源(ほうげん)正式(せいしき)二转(にてん)頂点(ちょうてん)突破(とっぱ)し、三转(さんてん)昇進(しょうしん)した。


六转蛊仙(ろくてんこせん)(べつ)として、三转蛊师(さんてんこし)(すで)中核(ちゅうかく)戦力(せんりょく)()なされる。正道(せいどう)であれ魔道(まどう)であれ、(しん)()足場(あしば)()たのだ。


青茅山(せいぼうざん)()てから一年近(いちねんちか)くしか()っていないのに、(ふたた)三转(さんてん)(さかい)(しゅう)めた。この修練速度(しゅうれんそくど)青茅山(せいぼうざん)時代(じだい)三倍余(さんばいあま)りで、資質(ししつ)甲等(こうとう)前途(ぜんと)(あか)るい」方源(ほうげん)(こぶし)(にぎ)()め、(こころ)(よろこ)びが()いた。


時間(じかん)計算(けいさん)すると、(わず)三时辰(さんじこん)約六時間(やくろくじかん))ほどだった。


(じつ)(はや)い。


もし(みずか)らの(ちから)だけで突破(とっぱ)したら、(すく)なくとも一昼夜(いっちゅうや)()かっただろう。雪銀真元(せつぎんしんげん)効能(こうのう)(じつ)卓絶(たくぜつ)している。


(いま)(あらた)めて(くう)(あな)(くわ)しく観察(かんさつ)する。


以前(いぜん)()(しろ)だった骨槍蛊(こつそうこ)螺旋骨槍蛊(らせんこつそうこ)は、(すで)()()くされていた。


暗赤色(あんせきしょく)二转(にてん)頂点(ちょうてん)真元(しんげん)は、大半(たいはん)残存(ざんそん)している。


白凝冰(はくぎょうひょう)真元(しんげん)(そそ)ぎは()まない。


一筋(ひとすじ)雪銀真元(せつぎんしんげん)(てん)から()(そそ)ぎ、(たき)のように真元海(しんげんかい)(なが)()んだ。(なみ)()(さわ)いだ(のち)次第(しだい)海底(かいてい)(ふか)(しず)んでいった。


(きょう)(かい)(たか)真元(しんげん)ほど(しつ)()い。赤鉄真元(せきてつしんげん)淡銀真元(たんぎんしんげん)は、雪銀真元(せつぎんしんげん)()()げられるしかない。


真元海(しんげんかい)(そこ)で、青白(あおじろ)(つぼみ)海流(かいりゅう)()(うご)き、優美(ゆうび)姿(すがた)()せている。


これこそ三转(さんてん)天元宝蓮(てんげんほうれん)だ。(ぞく)()(どう)元泉(げんせん)(しょう)され、一日(いちにち)(やく)五十枚(ごじゅうまい)元石(げんせき)方源(ほうげん)供給(きょうきゅう)できる。


聖潔(せいけつ)なる宝蓮(ほうれん)(かたわ)らには、邪気(じゃき)みなぎる血髑髏蛊(けつどくろこ)鎮座(ちんざ)している。


()(いろ)をした髑髏(どくろ)の、深淵(しんえん)のような(ふた)つの眼窩(がんか)に、時折(ときおり)紫炎(しえん)がちらりと(ひか)るように()える。


血髑髏蛊(けつどくろこ)から(すこ)(はな)れた(ところ)に、(ひと)つの水晶球(すいしょうだま)静止(せいし)している。


水晶球(すいしょうだま)(なか)では、雲海(うんかい)幻滅(げんめつ)し、鶴髪童顔(かくはつどうがん)仙風道骨(せんぷうどうこつ)老人(ろうじん)形作(かたちづく)っている。


老人(ろうじん)(つえ)をつき、(なが)(ひげ)()やし、表情(ひょうじょう)は淡々(たんたん)としている。


まさに元老蛊(げんろうこ)そのものだ。


(もと)雲老人(うんろうじん)表情(ひょうじょう)喜色満面(きしょくまんめん)だったが、方源(ほうげん)元石(げんせき)半分(はんぶん)(うば)われてからは、無表情(むひょうじょう)となった。


さらに勾玉(まがたま)のような甲虫(こうちゅう)化石(かせき)がある。半透明(はんとうめい)碧緑色(へきりょくしょく)で、清涼(せいりょう)()(はな)っている。


これは二转(にてん)清熱蛊(せいねつこ)で、解毒(げどく)専用(せんよう)だ。


その()(そば)には、()()えのしない土塊(どかい)――焦雷豆母蛊(しょうらいとうぼこ)と、(たね)のような飯袋草蛊(はんたいそうこ)(なら)んでいる。


波瀾万丈(はらんばんじょう)海面(かいめん)では、四味酒虫(しみしゅちゅう)海面(かいめん)(ころ)(まわ)り、(なみ)しぶきと(たわむ)れている。丸々(まるまる)と(ふと)った(からだ)が、(あか)(あお)(みどり)()四色(よんしょく)点滅(てんめつ)し、それぞれ(から)さ、(にが)さ、()っぱさ、(あま)さを(あらわ)している。


真元海(しんげんかい)上空(じょうくう)では、天蓬蛊(てんほうこ)陽蛊(ようこ)雪銀瀑布(せつぎんばくふ)(まわ)りを()(まわ)り、(たわむ)れている。


天蓬蛊(てんほうこ)(おお)きな瓢虫(てんとうむし)のようで、半円形(はんえんけい)乳白色(にゅうはくしょく)甲羅(こうら)黒斑(こくはん)が点々(てんてん)と()っている。一方(いっぽう)陽蛊(ようこ)(あたた)かい(しろ)(ひかり)(はな)っている。


(もっと)重要(じゅうよう)本命蛊(ほんめいこ)は、(いま)(ねむ)(つづ)けている。光陰(こういん)長河(ちょうが)(みず)()()なく吸収(きゅうしゅう)し、生気(せいき)回復(かいふく)しているのだ。


(くう)(あな)(なか)()以外(いがい)に、骨肉団円蛊(こつにくだんえんこ)腕輪(うでわ)(しるし)となって方源(ほうげん)手首(てくび)()かれている。


(てのひら)中心(ちゅうしん)には血月蛊(けつげつこ)宿(やど)り、舌苔(ぜったい)には兜率花(とそつか)(しるし)がある。


左耳(ひだりみみ)(なか)には斂息蛊(れんそくこ)(ひそ)み、両足(りょうあし)(うら)には跳跳草蛊(ちょうちょうそうこ)()いている。


肉白骨(にくはっこつ)白凝冰(はくぎょうひょう)所有物(しょゆうぶつ)であり、(すで)返還(へんかん)した。


以前(いぜん)()っていた(てつ)(はさみ)のような黒甲虫(こっこうちゅう)強奪蛊(ごうだつこ)は、白凝冰(はくぎょうひょう)(くう)(あな)から蛊虫(こちゅう)(うば)うのに使(つか)われたが、行商(ぎょうしょう)途上(とじょう)(えさ)不足(ぶそく)のため餓死(がし)した。


飛骨盾(ひこつじゅん)(くわ)えると、これらが方源(ほうげん)現有(げんゆう)(すべ)ての()である。


天元宝蓮(てんげんほうれん)保持(ほじ)するが、合錬(ごうれん)秘方(ひほう)()たぬ。(いま)使(つか)えるが、四转(してん)(しゅう)めれば効果(こうか)次第(しだい)(うす)れる」


血髑髏蛊(けつどくろこ)はもはや無用(むよう)だ。子孫(しそん)血脈(けつみゃく)(そだ)てるとなると、(じつ)煩雑(はんざつ)時間(じかん)労力(ろうりょく)もかかる。当時(とうじ)古月一代(こげついちだい)()むを()なかったのだ。これは交換(こうかん)できる。(なん)()っても血海老祖(けっかいろうそ)真伝(しんでん)(ひと)つだ。宝界(ほうかい)()()交換(こうかん)できるかもしれない。だが宝界(ほうかい)商家(しょうか)根幹(こんかん)だ。紫荆令(しけいれい)()っているとは()え…この(けん)(なが)()(かんが)えねばならぬ」


春秋蝉(しゅんじゅうせみ)元老蛊(げんろうこ)骨肉団円蛊(こつにくだんえんこ)()うまでもなく、血月蛊(けつげつこ)()(やす)いが攻撃力(こうげきりょく)不足(ふそく)戦闘体系(せんとうたいけい)()()めない。兜率花(とそつか)交換(こうかん)すべきだ。競売場(きょうばいじょう)には()選択肢(せんたくし)がある。斂息蛊(れんそくこ)露見(ろけん)危険(きけん)があるが、跳跳草蛊(ちょうちょうそうこ)(かなら)排除(はいじょ)する。元々(もともと)緊急用(きんきゅうよう)だったのだから」


「これら以外(いがい)に、大量(たいりょう)力蛊(ちからこ)購入(こうにゅう)し、偵察(ていさつ)移動(いどう)(めん)でも補強(ほきょう)必要(ひつよう)だ。同時(どうじ)(いま)立場(たちば)安定(あんてい)し、商家(しょうか)信頼(しんらい)()たので、賭石場(とせきじょう)にも接触(せっしょく)(こころ)みられる」


方源(ほうげん)仔細(しさい)(かんが)えを(めぐ)らせた。


(かれ)()は元々(もともと)()(あつ)めで、体系(たいけい)(てき)()()わされておらず、欠落(けつらく)部分(ぶぶん)(おお)戦闘力(せんとうりょく)深刻(しんこく)阻害(そがい)している。


(いま)商家城(しょうかじょう)()て、得難(えがた)安定発展(あんていはってん)機会(きかい)()た。(かれ)はこの好機(こうき)(のが)さず、(いそ)いで時間(じかん)活用(かつよう)し、二、三年(にさんねん)(うち)蛊虫(こちゅう)体系化(たいけいか)し、戦力(せんりょく)完成形(かんせいけい)にし、修行(しゅぎょう)可能(かのう)(かぎ)(たか)めねばならない。


この時期(じき)()ぎれば、三王伝承(さんおうでんしょう)(ひか)え、(つづ)いて義天山(ぎてんざん)正魔大戦(せいまたいせん)勃発(ぼっぱつ)し、南疆(なんきょう)全土(ぜんど)()()む。いずれも波乱(はらん)時代(じだい)で、英雄(えいゆう)()(きそ)(とき)だ。相応(ふさわ)しい実力(じつりょく)がなければ、犠牲(ぎせい)にされるだけだ。参加(さんか)できるだけの資格(しかく)()てば、方源(ほうげん)再誕(さいたん)という優位性(ゆういせい)()かし、巨大(きょだい)利益(りえき)()られるに(ちが)いない。


……


配下(はいか)魏央(ぎおう)族長様(ぞくちょうさま)拝謁(はいえつ)す!」書斎(しょさい)で、魏央(ぎおう)(ひざまず)いた。


商燕飛(しょうえんひ)(ふで)()め、(かお)()げた:「魏央(ぎおう)(すわ)れ。ここには我々(われわれ)二人(ふたり)だけだ。堅苦(かたくる)しくするな」


(おそ)()ります。お(ゆる)しください」魏央(ぎおう)()()がり、(かたわ)らに(こし)()ろした。


商燕飛(しょうえんひ)(わら)い、()(なつ)かしげな(いろ)(はし)った:「貴様(きさま)相変(あいか)わらず堅物(かたぶつ)だな。(はじ)めて()った(とき)(おも)()すよ――貴様(きさま)はまだ演武場(えんぶじょう)()()げておらず、()れも商家(しょうか)若様(わかさま)()ぎなかった。あれから何年(なんねん)()()り、()れが族長(ぞくちょう)()()けたのも、貴様(きさま)(そば)(ささ)えてくれたお(かげ)だ」


()(あま)るお言葉(ことば)です!」魏央(ぎおう)(あわ)てて()()がり、(こぶし)(かさ)ねて()った:「配下(はいか)才知(さいち)愚鈍(ぐどん)で、ただ死力(しりょく)()くすのみ。族長様(ぞくちょうさま)英明神武(えいめいしんぶ)で、魏央(ぎおう)などは錦上花(きんじょうか)()えるに()ぎませぬ」


「ははは。()れが英明神武(えいめいしんぶ)とは()え、所詮(しょせん)独力(どくりょく)では限界(げんかい)がある。貴様(きさま)たちの(ちから)集結(しゅうけつ)してこそ(いきお)いとなり、(おお)きく()せるのだ。両拳(りょうけん)四手(ししゅ)(かな)わず、一人(ひとり)好漢(こうかん)にも三人(さんにん)(たす)けが必要(ひつよう)だ。そうではあるまいか?」商燕飛(しょうえんひ)(ふか)意味(いみ)()めて魏央(ぎおう)()た。


魏央(ぎおう)即座(そくざ)族長(ぞくちょう)(なに)かを(ほの)めかしていると気付(きづ)いたが、その意図(いと)()みかね、ただ(こぶし)(かさ)ねて()った:「配下(はいか)慚愧(ざんき)()えませぬ」


商燕飛(しょうえんひ)突然(とつぜん)話題(わだい)()えた:「元々(もともと)白凝冰(はくぎょうひょう)(おんな)男装(だんそう)していると(おも)っていた。(なん)()っても(おお)くの家族(かぞく)男尊女卑(だんそんじょひ)だからな。だが今日(きょう)素手医师(そしゅいし)から()いたところ、白凝冰(はくぎょうひょう)陰陽轉身蛊(いんようてんしんこ)のことを(たず)ねていたそうだ。どうやら(うら)(なに)事情(じじょう)があるらしい。しかし彼女(かのじょ)(もと)(おとこ)だったか(おんな)だったかは枝葉末節(しようまっせつ)で、もはや重要(じゅうよう)ではない。肝心(かんじん)なのは、彼女(かのじょ)方正(ほうせい)商家(しょうか)(ちから)()してくれるかどうかだ」


魏央(ぎおう)ははっと(さと)った:「配下(はいか)理解(りかい)しました」


「うむ、()かればよい。退()け」商燕飛(しょうえんひ)()()った。


配下(はいか)退出(しゃっしゅつ)いたします」


書斎(しょさい)(とびら)(ひら)き、そっと()まるのを()て、商燕飛(しょうえんひ)椅子(いす)()()かり、ゆっくりと()()じた。


方白(ほうはく)二人(ふたり)百家(ひゃっか)()から伝承(でんしょう)(うば)()り、商心慈(しょうしんじ)護送(ごそう)して()れたことから、勇略(ゆうりゃく)兼備(けんび)であることが()()れる。


資質(ししつ)(きわ)めて()く、情報(じょうほう)によれば二人(ふたり)とも三转(さんてん)だ。二十歳(はたち)()たぬ年齢(ねんれい)でこれほどの(きょう)(かい)とは、(じつ)天賦(てんぷ)(さい)


(なに)より、(おん)()(むく)いることを(ことわ)りとする品性(ひんせい)(ただ)しさが、(ひと)安心(あんしん)させる。


さらに、彼等(かれら)土百姓(どひゃくしょう)(しゅつ)(しん)ではなく、(ふた)つの山寨(さんさい)若頭領(わかとうりょう)であった。つまり正道(せいどう)烙印(らくいん)(ふか)(きざ)まれているのだ。


商燕飛(しょうえんひ)商家(しょうか)掌中(しょうちゅう)(おさ)めてから(なが)年月(としつき)()つ。数多(あまた)(わか)俊英(しゅんえい)()てきたが、方白(ほうはく)二人(ふたり)ほど(かれ)(こころ)(うご)かした(もの)(きわ)めて(すく)ない。


しかし商燕飛(しょうえんひ)方白(ほうはく)二人(ふたり)(まね)こうとするのは、(みずか)らのためではなく、商心慈(しょうしんじ)のためだ。


(かれ)()(ひら)くと、突然(とつぜん)一筋(ひとすじ)炎光(えんこう)()わって書斎(しょさい)から()()せた。


(ふたた)(あらわ)れた(とき)(かれ)巨大(きょだい)回廊(かいろう)(なか)()っていた。


回廊(かいろう)両側(りょうがわ)には(たか)石柱(せきちゅう)(そび)()ち、(ゆか)銀色(ぎんいろ)正方形(せいほうけい)大石(おおいし)()()められていた。商燕飛(しょうえんひ)石柱(せきちゅう)(かたわ)らに()姿(すがた)は、(はし)(そば)(あり)のようだった。


(かれ)(ゆる)やかに(ある)()した。広大(こうだい)回廊(かいろう)には一人(ひとり)もおらず、ただ(かれ)足音(あしおと)だけが反響(はんきょう)していた。


しばらくして、(かれ)回廊(かいろう)()きるところに辿(たど)()いた。


(ひと)つの朱色(しゅいろ)巨門(きょもん)が、(かれ)()(まえ)(あらわ)れた。


巨門(きょもん)(たか)さは回廊(かいろう)(はしら)(おな)じほど、(はば)十丈(じゅうじょう)(やく)三十(さんじゅう)メートル)(ちか)くある。(もん)には()()がなく、()わりに巨大(きょだい)人面(じんめん)()られていた。


人面(じんめん)()()りにされ、(そと)(ふく)らみ、()()じて(ねむ)()んでいる。その(わざ)(じつ)(たく)みで、()()きとしていた。


商燕飛(しょうえんひ)門前(もんぜん)()ち、(しゅ)巨門(きょもん)見上(みあ)げながら、(あき)れた口調(くちょう)()った:「()()(もん)よ、(ねむ)りを(よそお)うのは()めよ。つまらないだろ?この古臭(ふるくさ)手口(てぐち)はもう(とお)らぬ」


巨門(きょもん)巨大(きょだい)人面(じんめん)突然(とつぜん)()見開(みひら)き、商燕飛(しょうえんひ)(にら)みつけて愚痴(ぐち)った:「あらまあ、小飛(しょうひ)ちゃん、(おお)きくなって、ますます(あい)くるしくなくなったわね!」


その言葉(ことば)(はっ)する(とき)巨大(きょだい)(くち)がガバリと(ひら)き、(うな)るような(かぜ)()()した。商燕飛(しょうえんひ)赤髪(あかがみ)逆立(さかだ)つ。(こえ)雷鳴(らいめい)のように(とどろ)き、回廊全体(かいろうぜんたい)共鳴音(きょうめいおん)(ひび)(わた)った。


商燕飛(しょうえんひ)目尻(めじり)がピクッと痙攣(けいれん)した:「余計(よけい)なことは()うな。今回は(たから)()えに()たのだ」










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