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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第七十一節:商燕飛からの義理

(むすめ)だと?」


若様(わかさま)たちは(そろ)って(おどろ)きの(いろ)()かべ、(たが)いの(かお)見交(みか)わした。


商睚眦(しょうがいし)突然(とつぜん)(さと)った。(ひたい)をポンと(たた)きながら――なるほど、そういうことか!だから父上(ちちうえ)がこの二人(ふたり)厚遇(こうぐう)していたのか!


神秘(しんぴ)のベールが()がれ、商睚眦(しょうがいし)方源(ほうげん)()()には(ふか)憎悪(ぞうお)()められていた。


もはや(おそ)れることはない。


正体(しょうたい)()かった以上(いじょう)今度(こんど)考課(こうか)()()り、(いき)(ととの)えたら、ゆっくりとこの畜生(ちくしょう)どもに仕返(しかえ)しをしてやる!


瞬時(またた)()小庭(こにわ)(ふか)静寂(せいじゃく)(ただよ)った。


商燕飛(しょうえんひ)微笑(ほほえ)みを()かべ、周囲(しゅうい)見渡(みわた)し、人々(ひとびと)が理解(りかい)する時間(じかん)(あた)えた。


方源(ほうげん)は「協力(きょうりょく)」して呆然(ぼうぜん)とした様子(ようす)()せた。(さと)ったような表情(ひょうじょう)(うたが)いの(いろ)(かさ)ね、(つぶや)くように()った:「まさか…あの?」


()り」商燕飛(しょうえんひ)(かれ)()つめ(うなず)いた。「(まさ)にお二方(ふたかた)行商(ぎょうしょう)途上(とじょう)(まも)(とお)した張家(ちょうけ)令嬢(れいじょう)彼女(かのじょ)こそが()(むすめ)だ。商家城(しょうかじょう)(あし)()()れた瞬間(しゅんかん)から血脈(けつみゃく)(かん)じ取り、(いま)親子(おやこ)(えん)(むす)んだ」


張心慈(ちょうしんじ)!」白凝冰(はくぎょうひょう)(おも)わず(さけ)んだ。


商燕飛(しょうえんひ)朗笑(ろうしょう)した:「ははは、(いま)(ちょう)ではなく(しょう)名乗(なの)る。愛娘(まなむすめ)(いのち)(すく)ったお二方(ふたかた)は、商家(しょうか)恩人(おんじん)だ。(ゆえ)一族(いちぞく)(そろ)っての献杯(けんぱい)(あたい)する」


その言葉(ことば)()わらぬうちに、庭門(ていもん)がそっと(ひら)かれた。


少女蛊师(しょうじょこし)田藍(でんらん)下女(げじょ)(ふう)(よそお)いで(とびら)()(ひら)き、商心慈(しょうしんじ)(そば)(もど)った。


「お姫様(ひめさま)…」小蝶(しょうちょう)庭中(にわじゅう)の人々(ひとびと)を見渡(みわた)し、(おも)わず尻込(しりご)みした。


「さあ、(はい)りましょう」商心慈(しょうしんじ)(おも)(いき)()()てると、衆目(しゅうもく)注視(ちゅうし)()びながら中庭(なかにわ)(あし)()()れた。


突如(とつじょ)彼女(かのじょ)(あし)()まり、(かお)驚喜(きょうき)(いろ)(あふ)れた。


方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)姿(すがた)()つけたのだ。


「まさか…本当(ほんとう)彼女(かのじょ)だったのか!」その瞬間(しゅんかん)白凝冰(はくぎょうひょう)(ひとみ)(はり)(さき)のように(ちぢ)んだ――彼女(かのじょ)完全(かんぜん)驚愕(きょうがく)した!


この()にいる(だれ)も、(いま)彼女(かのじょ)胸中(きょうちゅう)渦巻(うずま)衝撃(しょうげき)理解(りかい)できはしない。


白凝冰(はくぎょうひょう)(こころ)(ふる)わせた衝撃(しょうげき)は、商心慈(しょうしんじ)ではなく、方源(ほうげん)()けられたものだった。


彼女(かのじょ)聡明(そうめい)だ。商心慈(しょうしんじ)姿(すがた)(あらわ)した(またた)()、すべてを(さと)った――方源(ほうげん)()(つづ)けてきた(しん)目的(もくてき)を!


張心慈(ちょうしんじ)こそ商心慈(しょうしんじ)だった。(ゆえ)(かれ)道中(どうちゅう)(まも)(つづ)けた。どうやって彼女(かのじょ)素性(すじょう)()った?この一切(いっさい)(かれ)策略(さくりゃく)だったのか?!


白凝冰(はくぎょうひょう)思考(しこう)激流(げきりゅう)のように渦巻(うずま)き、(こころ)怒涛(どとう)(とどろ)いた。


黒土兄(こくどあに)白雲姉(はくうんあね)!どうしてここに?」商心慈(しょうしんじ)一瞬(いっしゅん)()(はな)さず方源(ほうげん)()つめ、(ひとみ)(かがや)かせた。


慈児(じじ)(ちち)(おどろ)きを約束(やくそく)した通り(とおり)であろう?」商燕飛(しょうえんひ)(おだ)やかに(わら)った。


商心慈(しょうしんじ)万福(まんぷく)(れい)()べた:「父上様(ちちうえさま)、ありがとうございます。慈児(じじ)商家城(しょうかじょう)()てから(もっと)(うれ)しい()です」


この数日間(すうじつかん)(まよ)いを()て、彼女(かのじょ)商燕飛(しょうえんひ)(じつ)(ちち)である事実(じじつ)()()れた。


たとえ(ちち)(はは)にどれほど(もう)(わけ)なくとも、(かれ)()()けた肉親(にくしん)だ!


(こころ)奥底(おくそこ)商燕飛(しょうえんひ)(たい)する(うら)みと(にく)しみが(ひそ)んでいても、善良(ぜんりょう)彼女(かのじょ)にとって、血縁(けつえん)という(ふか)(きずな)永遠(えいえん)()()れない。


商燕飛(しょうえんひ)(むすめ)から(はじ)めて「父上(ちちうえ)」と()ばれ、口元(くちもと)(おも)わず(ゆる)み、(ふか)()みが(あふ)れた。


商心慈(しょうしんじ)(あわ)てた様子(ようす)方源(ほうげん)()()き、弁解(べんかい)した:「黒土兄(こくどあに)(だま)すつもりはなかったんです。母上(ははうえ)()くなる(まえ)商家城(しょうかじょう)()くよう()(のこ)しまして…その真意(しんい)父上(ちちうえ)()うまで()からなかったのです」


この言葉(ことば)白凝冰(はくぎょうひょう)(こころ)霹靂(へきれき)(ごと)(ひび)いた。


(あお)()えた(ひとみ)(ほそ)()じられ、(こころ)(うち)(はげ)しく渦巻(うずま)いた:「まさか商心慈(しょうしんじ)自身(じしん)素性(すじょう)()らなかっただと?なぜ?なぜ方源(ほうげん)だけが一切合切(いっさいがっさい)()()くしているのか?」


(もと)より方源(ほうげん)彼女(かのじょ)(こころ)の中で(きり)(つつ)まれた存在(そんざい)だったが、(いま)やその(きり)(ばい)()さとなった。方源(ほうげん)一層(いっそう)神秘(しんぴ)のベールに(つつ)まれ、(はか)()れぬ存在(そんざい)となった!


成程(なるほど)道理(どうり)商家(しょうか)がこれほど厚遇(こうぐう)するわけだ。そういうことだったのか…」方源(ほうげん)(てん)(あお)長嘆(ちょうたん)し、ゆっくりと(くび)()り、(かん)(がい)(ひた)った。「まさか(きみ)商家族長(しょうかぞくちょう)(むすめ)だとは、(ゆめ)にも(おも)わなかったよ!」


黒土兄(こくどあに)(ゆる)してくれますか?」商心慈(しょうしんじ)()をぎゅっと(にぎ)りしめ、(こえ)()まらせた。


商燕飛(しょうえんひ)(かす)かに(まゆ)をひそめた。(むすめ)様子(ようす)言葉(ことば)から(さっ)するに、この若者(わかもの)彼女(かのじょ)心中(しんちゅう)(けっ)して(かる)くない位置(いち)()めているようだ。


方源(ほうげん)朗笑(ろうしょう)した:「(かま)わぬよ。(きみ)()めるわけがない。()らぬは無罪(むざい)(じつ)(おれ)(きみ)(だま)していたのだ」


「え?」商心慈(しょうしんじ)呆気(あっけ)()られた。


方源(ほうげん)(はな)(さわ)りながら()った:「黒土(こくど)白雲(はくうん)偽名(ぎめい)()ぎぬ」


商心慈(しょうしんじ)即座(そくざ)微笑(ほほえ)み、(おだ)やかに(つぶや)いた:「それはとっくに気付(きづ)いてたわ」


方源(ほうげん)はわざと躊躇(ちゅうちょ)()せた(のち)()()いしばり(こぶし)(かさ)ねて()()った:「()ずかしい(はなし)拙者(せっしゃ)本名(ほんみょう)古月方正(こげつほうせい)、こちらは相棒(あいぼう)白凝冰(はくぎょうひょう)(もう)す」


古月方正(こげつほうせい)方正(ほうせい)…」商心慈(しょうしんじ)はその()(くち)(うち)(ころ)がし、(ほね)(ずい)まで(きざ)()んだ。


商燕飛(しょうえんひ)(かお)()みが(ふか)みを()した。(かれ)方源(ほうげん)率直(そっちょく)さを賞賛(しょうさん)している。


(じつ)のところ、商燕飛(しょうえんひ)(すで)徹底的(てっていてき)調査(ちょうさ)()ませていた。


古月山寨(こげつさんさい)(ほろ)んだが、商家(しょうか)(ちから)絶大(ぜつだい)で、賈家(かか)から(おお)くの情報(じょうほう)()ていた。


古月山寨(こげつさんさい)(たし)かに古月方正(こげつほうせい)という若者(わかもの)存在(そんざい)し、甲等(こうとう)資質(ししつ)(ゆう)して古月一族(こげついちぞく)若頭領(わかとうりょう)候補(こうほ)として(そだ)てられていた。


同様(どうよう)白凝冰(はくぎょうひょう)存在(そんざい)し、白家寨(はくかさい)若頭領(わかとうりょう)内定(ないてい)されていた。二人(ふたり)とも天才(てんさい)()()せている。


彼等(かれら)偽名(ぎめい)使(つか)商隊(しょうたい)(ひそ)んだ理由(りゆう)は、さらに容易(ようい)調査(ちょうさ)できた。


白骨山(はっこつざん)秘伝(ひでん)(めぐ)り、百家(ひゃっか)二人(ふたり)若様(わかさま)方白(ほうはく)()()かり、秘伝(ひでん)大半(たいはん)(うば)われたのだ。


百家(ひゃっか)(はっ)した手配書(てはいしょ)が、(なん)よりの証拠(しょうこ)だった。


成程(なるほど)道理(どうり)で!(じつ)(わたし)(いま)まで(こころ)(うち)()()かっていたんだ」商蒲牢(しょうほろう)高笑(たかわら)いした。


父上(ちちうえ)(まこと)にお目出度(めでた)う」商贔屓(しょうひき)祝辞(しゅくじ)()べた。


(なん)(こま)ったことがあれば、遠慮(えんりょ)なく兄貴(あにき)()え」商囚牛(しょうきゅうぎゅう)商心慈(しょうしんじ)()いて()った。


素敵(すてき)(いもうと)()えて、今回(こんかい)家宴(かえん)()甲斐(かい)があったわ」商螭吻(しょうりふん)()()がって(よろこ)んだ。


……


若様(わかさま)たちは(おどろ)きから()めると、次々(つぎつぎ)と(しゅく)()言葉(ことば)(おく)った。


「これは(みな)()かち()(よろこ)びだ。何故(なぜ)なら、お(まえ)たちに(あら)たな肉親(にくしん)(いもうと)()えたのだから」商燕飛(しょうえんひ)()どもたちを見渡(みわた)し、彼等(かれら)心中(しんちゅう)十二分(じゅうにぶん)看取(かんしゅ)していた。


商心慈(しょうしんじ)出現(しゅつげん)(あき)らかな脅威(きょうい)だ」


若様(わかさま)()(あらそ)(もの)一人(ひとり)()えた」


(むかし)商拓海(しょうたくかい)父上(ちちうえ)()とし()だったが、(いま)商家(しょうか)若頭領(わかとうりょう)ではないか!」


心配(しんぱい)無用(むよう)張家(ちょうけ)武家(ぶけ)()(ぞく)し、商家(しょうか)とは宿怨(しゅくえん)がある。商心慈(しょうしんじ)基盤(きばん)皆無(かいむ)対処(たいしょ)容易(ようい)だ」


若様(わかさま)たちの(かお)には()みを()かべながらも、(こころ)(なか)では各々(おのおの)(ちが)(おも)いが渦巻(うずま)いていた。


帝王家(ていおうけ)親情(しんじょう)なし。


帝王(ていおう)()無上(むじょう)()(えき)(つな)がる。親子(おやこ)(なさ)けも()(えき)(まえ)には(やぶ)れる。


商家(しょうか)南疆(なんきょう)覇者(はしゃ)である。(しょう)(らい)族長(ぞくちょう)()()けば、南疆(なんきょう)(おさ)める数人(すうにん)権力者(けんりょくしゃ)(ひと)りとなる。権勢(けんせい)(たか)世俗(せぞく)頂点(ちょうてん)(のぼ)る――その()(えき)(はか)()れない。


商家(しょうか)歴代(れきだい)族長(ぞくちょう)で、()なまぐさい(あらそ)いを()ずに登極(とうきょく)した(もの)などいるだろうか?


商燕飛(しょうえんひ)当人(とうにん)経験者(けいけんしゃ)として、その内幕(うちまく)(だれ)よりも()()くしている。


(ゆえ)に、(かれ)胸中(きょうちゅう)商心慈(しょうしんじ)()ける憐憫(れんびん)(じょう)一層(いっそう)()()がった。


(いま)商心慈(しょうしんじ)身分(みぶん)(おお)やかにするのは、彼女(かのじょ)愛護(あいご)するが(ゆえ)だが、同時(どうじ)(あらそ)いの渦中(かちゅう)()たせることにもなる。


「さあ、慈児(じじ)()(そば)(すわ)れ」商燕飛(しょうえんひ)腰掛(こしか)けている椅子(いす)(かる)(たた)きながら()った。


「はい」商心慈(しょうしんじ)(こた)え、方源(ほうげん)(ふか)一瞥(いちべつ)した。方源(ほうげん)微笑(ほほえ)みながら(うなず)いた。


商心慈(しょうしんじ)(ある)()り、商燕飛(しょうえんひ)()(そば)(すわ)った。


侍女(じじょ)小蘭(しょうらん)小蝶(しょうちょう)二人(ふたり)(うし)ろの両側(りょうがわ)()つ。


この光景(こうけい)若様(わかさま)たちは各々(おのおの)複雑(ふくざつ)表情(ひょうじょう)()つめ、視線(しせん)()わした。


彼等(かれら)成長(せいちょう)して以来(いらい)父上(ちちうえ)()ども一人(ひとり)をこれほど寵愛(ちょうあい)するのを()たことはなかった。


(たと)当時(とうじ)()とし()である商拓海(しょうたくかい)でさえ、このような待遇(たいぐう)()けたことはない!


「さあ、(みな)着座(ちゃくざ)せよ」商燕飛(しょうえんひ)()(まね)き、(つづ)けて方白(ほうはく)二人(ふたり)()いた。


(かれ)(くち)(ひら)いた:「古月方正(こげつほうせい)白凝冰(はくぎょうひょう)、お二方(ふたかた)()愛娘(まなむすめ)(すく)い、護送(ごそう)してくれた。商家一族(しょうかいちぞく)(ふか)感謝(かんしゃ)している。(のぞ)むものは(なん)でも(もう)()よ。商家(しょうか)族長(ぞくちょう)として、(ちから)(かぎ)(かな)えよう」


若様(わかさま)たちは(おも)わず方白(ほうはく)二人(ふたり)羨望(せんぼう)眼差(まなざ)しを()けた。


これは商家(しょうか)族長(ぞくちょう)感謝(かんしゃ)であり、南疆(なんきょう)覇者(はしゃ)(ひと)りが約束(やくそく)した言葉(ことば)だ。その(おも)みは青山(せいざん)(かさ)ねたほど!


だが方源(ほうげん)(くび)()りながら()った:「族長様(ぞくちょうさま)(わたし)どもが商心慈(しょうしんじ)(さま)(まも)ったのは、(さき)()けた(おん)(むく)いるため。(おん)(すで)帳消(ちょうけ)しとなり、清算(せいさん)()みです」


この言葉(ことば)に、場内(じょうない)(もの)(みな)呆然(ぼうぜん)とした表情(ひょうじょう)()かべた。


商負屓(しょうふき)即座(そくざ)反応(はんのう)し、()(ほそ)めて、この返答(へんとう)(たえ)(こころ)(うち)賞賛(しょうさん)した。


方白(ほうはく)二人(ふたり)商燕飛(しょうえんひ)実娘(じつむすめ)(すく)った以上(いじょう)商燕飛(しょうえんひ)(かなら)(あつ)(むく)いねばならぬ。もしこのような功績(こうせき)さえ(かる)(あつか)えば、世間(せけん)商家(しょうか)をどう(ひょう)するか?万一将来(ばんいしょうらい)商家(しょうか)若様(わかさま)危難(きなん)()った(とき)(だれ)(たす)けようとするだろう?


商心慈(しょうしんじ)方源(ほうげん)褒美(ほうび)辞退(じたい)するのを()内心焦(しんないあせ)り、商燕飛(しょうえんひ)(くち)ごもりながら()った:「父上様(ちちうえさま)(じつ)行商(ぎょうしょう)途中(とちゅう)黒土兄(こくどあに)(おお)くの財貨(ざいか)(うしな)われました…」


商燕飛(しょうえんひ)(なん)精明(せいめい)人物(じんぶつ)か。商心慈(しょうしんじ)言葉(ことば)()わらぬうちに、(すで)実娘(じつむすめ)(こころ)見抜(みぬ)いていた――これは方白(ほうはく)二人(ふたり)のために褒美(ほうび)()()ているのだと。


(かれ)(かる)(うなず)いた:「お二方(ふたかた)蛊师(こし)ならば、百万枚(ひゃくまんまい)元石(げんせき)(おく)り、感謝(かんしゃ)()(ひょう)そう」


この言葉(ことば)()き、(おお)くの若様(わかさま)(つば)()()むのを必死(ひっし)(こら)えた。


彼等(かれら)商家城(しょうかじょう)(おお)くの産業(さんぎょう)(つかさど)るが、衆目(しゅうもく)監視下(かんしか)年次考課(ねんじこうか)もあるため、私腹(しふく)()やすのは困難(こんなん)だ。


商睚眦(しょうがいし)(さい)(のう)はあったが、(むさぼ)()ぎて業績(ぎょうせき)(あや)うくなった。


だが方源(ほうげん)(ふたた)(くび)()り、()()いて()った:「(いつわ)(もう)さず、拙者(せっしゃ)(とら)(くち)から(きば)(うば)(ごと)()(けん)(おか)し、(ひと)つの秘伝(ひでん)奪取(だっしゅ)しました。(いま)はそれを()(はら)い、当分(とうぶん)元石(げんせき)(こま)っておりませぬ」


「ほう、そうであったか」商燕飛(しょうえんひ)(ふか)意味(いみ)()めて商睚眦(しょうがいし)一瞥(いちべつ)した。


その瞬間(しゅんかん)商睚眦(しょうがいし)心臓(しんぞう)(ひと)(はく)()んだかと(おも)い、(のど)(かわ)き、(ひたい)()(あせ)()()した。


商睚眦(しょうがいし)所業(しょぎょう)を、商燕飛(しょうえんひ)()らぬはずがない。(たと)虚偽(きょぎ)帳簿(ちょうぼ)でも、(かれ)(すこ)しばかり()(とう)()けている。


だが商睚眦(しょうがいし)所詮(しょせん)実子(じっし)商家(しょうか)規矩(きく)(そむ)いても、露見(ろけん)しなければそれも(かれ)手腕(しゅわん)だ。


商燕飛(しょうえんひ)地位(ちい)(いた)れば、とっくに(さと)っている――規矩(きく)(まも)るのは(のう)にあらず。(しん)(のう)は、規矩(きく)(やぶ)()(えき)()けながら(ばつ)(まぬが)れること。(しん)大能(だいのう)は、旧秩序(きゅうちつじょ)破壊(はかい)新規矩(しんきく)()()て、(とわ)()(えき)()(つづ)けることだと。


商燕飛(しょうえんひ)機会(きかい)()りて商睚眦(しょうがいし)(いまし)めると、(つづ)けて(べつ)報酬(ほうしゅう)(あん)()(はじ)めた。


商心慈(しょうしんじ)半分(はんぶん)()かぬうちに、(ひとみ)から(かがや)きが(ほとばし)った。


まさにこれこそ、方白(ほうはく)二人(ふたり)(もっと)必要(ひつよう)とするものだった!

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