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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第六十八節:方源図々蔑でいたが

古月方正(こげつほうせい)だと?」魏央(ぎおう)報告(ほうこく)()き、商燕飛(しょうえんひ)(かす)かに(まゆ)をひそめた。


古月(こげつ)という(せい)(めずら)しい。商燕飛(しょうえんひ)記憶(きおく)(さかのぼ)り、瞬時(またた)く間にその出所(でどころ)()(いだ)した。


青茅山(せいぼうざん)三家(さんか)(ひと)つ、古月一族(こげついちぞく)か。数百年(すうひゃくねん)歴史(れきし)を持つと()く。青茅山(せいぼうざん)()えば…」(かれ)双眸(そうぼう)(かす)かに(ひか)った。半年前(はんとしまえ)のある情報(じょうほう)(おも)()したのだ。


青茅山(せいぼうざん)一夜(いちや)にして神秘(しんぴ)打撃(だげき)()け、(みどり)(ゆた)かな(やま)から氷雪(ひょうせつ)絶域(ぜついき)へと変貌(へんぼう)したという。


(なに)()きたのか、(だれ)()らない。


(いま)なお全山(ぜんざん)(おお)氷雪(ひょうせつ)完全(かんぜん)には()けていない。


だが人々(ひとびと)は、(いた)(ところ)(のこ)された蛊师(こし)同士(どうし)激戦(げきせん)痕跡(こんせき)(みと)めている。


(いま)青茅山(せいぼうざん)滅亡(めつぼう)神秘事件(しんぴじけん)として南疆(なんきょう)(ひろ)(つた)わり、その原因(げんいん)(いた)っては諸説(しょせつ)紛々(ふんぷん)である。


だが特定(とくてい)(もの)にとって、青茅山(せいぼうざん)(のこ)された痕跡(こんせき)如実(にょじつ)物語(ものがた)っていた。


十絶体(じゅうぜったい)秘密(ひみつ)蛊师界(こしかい)上層部(じょうそうぶ)では(はん)公然(こうぜん)情報(じょうほう)となっている。


商燕飛(しょうえんひ)はこの情報(じょうほう)()るや、即座(そくざ)看破(かんぱ)した——


この一切(いっさい)十絶体(じゅうぜったい)(ひと)つ「北冥氷魄体(ほくめいひょうはくたい)」の仕業(しわざ)であろう、と。


「ならば古月方正(こげつほうせい)出自(しゅつじ)合点(がてん)がいく。墓碑山(ぼひざん)調査隊(ちょうさたい)からの(しら)せにも疑点(ぎてん)はない」


商燕飛(しょうえんひ)脳裏(のうり)事件(じけん)全貌(ぜんぼう)瞬時(またた)く間に()かび()がった。


(のこ)疑問(ぎもん)は一つ(ひとつ)。なぜ偽名(ぎめい)(もち)い、商隊(しょうたい)(ひそ)んだのか?」


(かれ)(いく)つかの可能性(かのうせい)想定(そうてい)したが、調査(ちょうさ)(なお)継続中(けいぞくちゅう)だった。


「ところで、手合(てあ)わせをしたとのことだが、彼等(かれら)手並(てな)みは如何(いか)に?」


魏央(ぎおう)(えり)(ただ)(うやうや)しく(こた)えた:「天与(てんよ)(さい)(とき)()ば、(かなら)ずや(われ)()えましょう」


「ほう…そなたがかくも(こう)(ひょう)するとは?」商燕飛(しょうえんひ)(かす)かに(おどろ)いた。


魏央(ぎおう)(うなず)き、()(つづ)けた:「彼等(かれら)蛊虫(こちゅう)気配(けはい)(かく)しているが、これほど(なが)(たたか)()いた以上(いじょう)(すく)なくとも三转(さんてん)実力(じつりょく)(くわ)えて()(とし)(かんが)えれば、甲等(こうとう)資質(ししつ)相違(そうい)ございます」


商燕飛(しょうえんひ)(わら)った:「だが(わす)れるな、魏央(ぎおう)甲等(こうとう)(てん)()()ぎぬ。乙等(おつとう)のそなたが、(いま)わが外姓家老(がいせいかろう)であるが(ごと)し。これまで(なん)人の甲等(こうとう)がそなたの()(たお)れたか?呵呵(かか)、そなたこそが()ける(あかし)ではないか」


普通(ふつう)村寨(そんさい)では甲等(こうとう)出現(しゅつげん)大事件(だいじけん)だが――


商家(しょうか)()っては、甲等(こうとう)など(めずら)しくもない。


商家(しょうか)甲等(こうとう)(めずら)しくない理由(りゆう)(みっ)つ。


(ひと)つに、商家(しょうか)家業(かぎょう)(おお)きく、族員(ぞくいん)(おお)い。(ふた)つに、魔道蛊师(まどうこし)(まね)()れることができ、演武場(えんぶじょう)()()けた魔道蛊师(まどうこし)資質(ししつ)(かなら)(すぐ)れている。(みっ)つに、商家(しょうか)(とみ)(やま)(ごと)く、資質(ししつ)()える()購入(こうにゅう)する(ちから)十分(じゅうぶん)にあるからだ。


族長様(ぞくちょうさま)過分(かぶん)なお()言葉(ことば)()(あま)ります」魏央(ぎおう)謙遜(けんそん)しつつも(つづ)けた:「拙者(せっしゃ)もその()(ぞん)じております。(ゆえ)にこそ、彼等(かれら)(けっ)して(いけ)(なか)(うお)にあらざることを確信(かくしん)するのです」


両人(りょうにん)とも戦闘才情(せんとうさいじょう)(あふ)れ、戦局(せんきょく)(たい)する天性(てんせい)鋭敏(えいびん)さは、まさに(たたか)いのために()まれたかのよう。使(つか)える蛊虫(こちゅう)は二、(にさん)(びき)()けているのに、それだけで(なが)()(こた)えたのは、(じつ)感服(かんぷく)せざるを()ませんでした」


心性(しんせい)において、両人(りょうにん)(おどろ)くべき(ねば)(づよ)さを(そな)えている。劣勢(れっせい)(おちい)っても(くじ)けず、拙者(せっしゃ)(くわ)える圧力(あつりょく)(もと)即座(そくざ)突破(とっぱ)(はか)り、()えず調整(ちょうせい)(かさ)ねて連携(れんけい)(ふか)めた。陣脚(じんきゃく)次第(しだい)(かた)まり、進歩(しんぽ)(あと)歴然(れきぜん)()()れた」


具体的(ぐたいてき)には、両者(りょうしゃ)対照的(たいしょうてき)だ。古月方正(こげつほうせい)(しょう)(らい)直情(ちょくじょう)勇気(ゆうき)(なら)(もの)なく、猪突猛進(ちょとつもうしん)気概(きがい)(そな)える。一方(いっぽう)白凝冰(はくぎょうひょう)機敏(きびん)思考(しこう)()(ぬし)で、万事(ばんじ)(はか)りて(のち)(うご)く。戦闘中(せんとうちゅう)(つね)拙者(せっしゃ)(すき)(うかが)い、眼光(がんこう)(するど)見据(みす)えていた。特に古月方正(こげつほうせい)は、拙者(せっしゃ)光源蛊(こうげんこ)()かすや、(いさぎよ)敗北(はいぼく)(みと)めた。その寛大(かんだい)胸襟(きょうきん)(つね)(じん)(およ)ぶところではない」


族長様(ぞくちょうさま)、この両者(りょうしゃ)(よう)(おか)子虎(ことら)にして、浅瀬(あさせ)若龍(わかりゅう)(ひと)つは陽気(ようき)にして剛猛(ごうもう)(ひと)つは陰気(いんき)にして謀略(ぼうりゃく)両輪(りょうりん)(ごと)(あい)(おぎな)い、双星(そうせい)(きら)めき()わすが(ごと)し。もし商家(しょうか)(まね)()ば、(まこと)()(かな)!」


商燕飛(しょうえんひ)(おも)わず表情(ひょうじょう)(ゆる)めた。


先程(さきほど)まで方白(ほうはく)二人(ふたり)眼中(がんちゅう)()いていなかったが、魏央(ぎおう)評言(ひょうげん)()いて興味(きょうみ)()()った。


魏央(ぎおう)、そなたが()(そば)(つか)えて(ひさ)しい。そなたの眼識(がんしき)信頼(しんらい)している。だが(おのれ)卑下(ひげ)するには(およ)ばぬ。(たと)彼等(かれら)成長(せいちょう)せんとも、(かなら)ずしもそなたに(およ)ぶとは(かぎ)らん。そなたは資質(ししつ)(せい)されたのみ。(しか)らざれば、そなたの(さい)(いま)より(まさ)っておろう」


商燕飛(しょうえんひ)一息(ひといき)つき、約束(やくそく)した:「()にかけるな。脱胎蛊(だったいこ)()(はい)次第(しだい)、そなたに()っておこう」


脱胎蛊(だったいこ)蛊师(こし)資質(ししつ)上昇(じょうしょう)せしめると()われる。稀有(けう)にして、その価値(かち)(はか)()れない。


魏央(ぎおう)両目(りょうめ)(またた)()(あか)らみ、(なみだ)(ひか)った:「族長様(ぞくちょうさま)御恩(ごおん)末代(まつだい)まで(わす)れませぬ!」


「うむ、()忠義(ちゅうぎ)()くす(もの)(けっ)して()ややかには(あつか)わぬ。(した)がれ。この数日(すうじつ)彼等(かれら)をもてなし、商家(しょうか)への(おも)いを(さぐ)れ。(まね)()れられるかどうか、見極(みきわ)めよ」


承知(しょうち)いたしました!」魏央(ぎおう)(ふか)(あたま)()れ、退出(たいしゅつ)した。


……


(またた)()三日(みっか)()ぎ、楠秋苑(なんしゅうえん)にて。


応接間(おうせつま)方源(ほうげん)商睚眦(しょうがいし)()かい()って(すわ)っていた。


方源(ほうげん)は悠々(ゆうゆう)と(ちゃ)(すす)り、商睚眦(しょうがいし)顔色(かおいろ)(けわ)しい。


「ここ数日(すうじつ)誠意(せいい)()めて(たず)ねてきたが、貴殿(きでん)提示(ていじ)価格(かかく)日増(ひま)しに高騰(こうとう)するばかり。(はじ)めは六十五万(ろくじゅうごまん)元石(げんせき)だったものが、毎日(まいにち)数万(すうまん)ずつ値上(ねあ)がり、今日(きょう)(いた)っては八十万(はちじゅうまん)とは!ふざけるな――貴殿(きでん)()れを(もてあそ)びの玩具(がんぐ)心得(こころえ)ているのか?」商睚眦(しょうがいし)(むね)(うち)鬱憤(うっぷん)()(たぎ)り、()()いしばって()(はな)った。


以前(いぜん)なら、とっくに茶碗(ちゃわん)(ゆか)(たた)()け、方源(ほうげん)顔面(がんめん)()()けていたところだ。


だが(いま)はそれができない。


何故(なぜ)か?


この(おとこ)(なん)最高権力者(さいこうけんりょくしゃ)直通(ちょくつう)する(みち)()っているからだ!


父親様(ちちおやさま)とどんな関係(かんけい)にあるのか、見当(けんとう)もつかぬ!


ここ数日(すうじつ)魏央(ぎおう)終始(しゅうし)この二人(ふたり)をもてなし、(まち)散策(さんさく)(しろ)(めぐ)案内役(あんないやく)(つと)めていた。


魏央(ぎおう)とは何者(なにもの)か?商家(しょうか)第三(だいさん)()(さき)(しょう)され、父上(ちちうえ)腹心(ふくしん)である!


(かれ)行動(こうどう)は、往々(おうおう)にして(みずか)らの意志(いし)ではなく、商燕飛(しょうえんひ)意向(いこう)体現(たいげん)しているのだ。


だが、どこから()いて()たのか()からぬこの二人(ふたり)が、何故(なぜ)父上(ちちうえ)からかくも厚遇(こうぐう)()けるのか?


商睚眦(しょうがいし)幾度(いくど)(おも)(めぐ)らせても(わか)らなかった。


(こと)あって以来(いらい)(くる)おしいほどに調査(ちょうさ)()(ひろ)げたが――


無駄(むだ)だった。


(かれ)所詮(しょせん)(ひと)りの若様(わかさま)()ぎず、勢力(せいりょく)商家城(しょうかじょう)(ない)(かぎ)られる。商燕飛(しょうえんひ)ほどの巨大(きょだい)(ちから)など()()ない。


調査(ちょうさ)結果(けっか)()ない以上(いじょう)商睚眦(しょうがいし)推測(すいそく)するしかなかった。


父上(ちちうえ)何故(なぜ)懇意(こんい)(しめ)すのか?


彼等(かれら)()秘伝(ひでん)のためか?(いな)(ひと)つの秘伝(ひでん)普通(ふつう)一族(いちぞく)(おこ)すことはあっても、商家(しょうか)(べつ)だ。六转蛊仙(ろくてんこせん)秘伝(ひでん)でもなければ、錦上(きんじょう)(はな)()える程度(ていど)()ぎぬ。


それとも彼等(かれら)人材(じんざい)としての価値(かち)(おも)んじているのか?それも(ちが)う。演武場(えんぶじょう)には商家(しょうか)()()おうと()()いている忠実(ちゅうじつ)魔道蛊师(まどうこし)数多(あまた)いる。(みな)(たたか)いも(つよ)い。だが父上(ちちうえ)彼等(かれら)眼中(がんちゅう)()れぬ。ましてやこの二人(ふたり)を?商睚眦(しょうがいし)には到底(とうてい)理解(りかい)できぬ。


(ふた)つの推測(すいそく)(はず)れた(とき)(ひと)つの(ねん)(おの)ずと()()がった。


まさか彼等(かれら)(なか)に、父上(ちちうえ)()とし()がいるのでは?


(いま)若族長(わかぞくちょう)である商拓海(しょうたくかい)も、(もと)(ただ)せば父上(ちちうえ)()とし()ではないか!


だが商睚眦(しょうがいし)再考(さいこう)すると、違和感(いわかん)(おぼ)えた。


()()けた()絶大(ぜつだい)意味(いみ)を持つ。商拓海(しょうたくかい)発見(はっけん)されるや、瞬時(またた)()厳重(げんじゅう)保護(ほご)された。眼前(がんぜん)二人(ふたり)とは(くら)(もの)にならぬ(あつか)いだ。


商睚眦(しょうがいし)悪戦苦闘(あくせんくとう)(すえ)(なん)進展(しんてん)もなせなかった。


(ゆえ)にこそ、方源(ほうげん)たちへの警戒心(けいかいしん)()一方(いっぽう)だった。未知(みち)こそが最大(さいだい)恐怖(きょうふ)なのだ。


方源(ほうげん)見抜(みぬ)いた――眼前(がんぜん)のこの商睚眦(しょうがいし)若様(わかさま)日増(ひま)しに焦燥(しょうそう)()られ、苛立(いらだ)ちを(つの)らせていることを。


(まさ)(ねら)(どお)りの展開(てんかい)である。


価格(かかく)()()げは(かれ)故意(こい)仕組(しく)んだものだ。


(もし)一度(いちど)六十五万(ろくじゅうごまん)から八十万(はちじゅうまん)()()がれば、間違(まちが)いなく交渉(こうしょう)決裂(けつれつ)する。だが幾度(いくど)にも()たる数万(すうまん)単位(たんい)値上(ねあ)げは、商睚眦(しょうがいし)拒絶(きょぜつ)()(けず)()った。


(とき)(じゅく)した。


方源(ほうげん)()にした茶碗(ちゃわん)()き、(ほほ)えんだ:「品物(しなもの)には値値(あたい)がある。(ほか)(もの)にとっては、(たん)なる蛊师(こし)秘伝(ひでん)()ぎぬ。だが貴殿(きでん)にとっては、若様(わかさま)()(まも)最後(さいご)(のぞ)みだ」


「であるなら、()(たか)くあるべきだ。評定(ひょうじょう)()(せま)るほど、この秘伝(ひでん)値値(あたい)()す。(ゆえ)一日(いちにち)()きに値上(ねあ)げするのは、()(かな)ったことでは?」


「ふふ、(いま)安値(やすね)にすれば、この最後(さいご)(のぞ)みに(たい)(もう)(わけ)()たぬ。商家(しょうか)若様(わかさま)という(おも)地位(ちい)にも(そむ)く。(おぼ)えておけ、若様(わかさま)こそが若頭領(わかとうりょう)()(あらそ)える唯一(ゆいいつ)存在(そんざい)なのだ」


商睚眦(しょうがいし)はこの言葉(ことば)()き、目尻(めじり)がピクピクと(ふる)えた。方源(ほうげん)(おど)し、()(じょう)じて()()()げているのだ!


(ひと)(みち)(はず)れるにも(ほど)がある!


商睚眦(しょうがいし)方源(ほうげん)()()きにしたい衝動(しょうどう)()られた。だが若様(わかさま)()(おも)い、()()いしばって(こら)()んだ:「()()のない算段(さんだん)よ。(たと)八十万(はちじゅうまん)()()ったところで、これは(わり)()わぬ取引(とりひき)(かえ)って(おれ)評価(ひょうか)()げかねぬ。評定(ひょうじょう)(つかさど)家老(かろう)連中(れんちゅう)馬鹿(ばか)ではないぞ!(ゆえ)にこの値段(ねだん)では()うわけには(まい)らん」


方源(ほうげん)(まえ)もって商睚眦(しょうがいし)がそう()うことを()んでいた。口元(くちもと)(かす)かに()()がり、(わら)みを()かべた:「(ゆえ)良案(りょうあん)がある。表向(おもてむ)きは六十五万(ろくじゅうごまん)()るが、実質(じっしつ)八十万(はちじゅうまん)(はら)え。若様(わかさま)()(まも)れ、()れも(のぞ)()()れる。双方満足(そうほうまんぞく)とはこのことでは?」


商睚眦(しょうがいし)瞬時(またた)()顔色(かおいろ)(あお)ざめ、()見開(みひら)いて方源(ほうげん)(にら)()けた:「虚偽(きょぎ)帳簿(ちょうぼ)(つく)れと?(ことわ)っておく!発覚(はっかく)すれば、何時(いつ)であろうと即座(そくざ)若様(わかさま)()剥奪(はくだつ)され、厳罰(げんばつ)(しょ)される!」


方源(ほうげん)(かる)(まゆ)()ね上げた:「()(ぶん)(ちが)う。(だれ)虚偽(きょぎ)帳簿(ちょうぼ)だと?秘伝(ひでん)()るのと、貴殿(きでん)慈善心(じぜんしん)()られて誠実(せいじつ)()れに元石(げんせき)(おく)るのは、まったくの別物(べつもの)だ!」


その瞬間(しゅんかん)商睚眦(しょうがいし)呆然(ぼうぜん)方源(ほうげん)()つめ、言葉(ことば)(うし)なった。


かつて方源(ほうげん)を図々(ずうずう)しいと(さげす)んでいたが、(いま)こそ(さと)った――(みずか)らが(かれ)の図々(ずうずう)しさの深淵(しんえん)到底(とうてい)見極(みきわ)められなかったことを!

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