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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第二十六節: 全組織の本質

夕暮ゆうぐちかく、そらてにはのようにあか残陽ざんようんでいた。学堂がくどうには五十人余りの生徒せいと姿勢しせいただし、壇上だんじょう家老かろう名前なまえびながら補助金ほじょきんくばっていた。七日なのかごとに支給しきゅうされる元石げんせき補助ほじょ――かれ少年しょうねんたちが蠱虫こちゅう飼育しいくする経済的負担けいざいてきふたん軽減けいげんするための制度せいどだ。


古月方源こげつ ほうげん

窓際まどぎわ最前列さいぜんれつからがった方源ほうげんふたつのふくろを受けうけとる。ひとつはさん元石げんせき、もうひとつは先日せんじつ試験しけん優勝ゆうしょう褒賞ほうしょうじゅうだ。


「引きつづはげむように」家老かろうふか視線しせんおくる。二度にど連続れんぞく首位しゅいがこの丙等へいとう少年しょうねんへの評価ひょうかわずかにえつつあった。


「くそっ…またやつ一位いちいられるなんて」古月漠北こげつ ばくほく歯噛はがみする。

傀儡くぐつくび二発にはつ連続れんぞく命中めいちゅうなんて、たして実力じつりょくか? それとも…」古月赤城こげつ あかぎほそめる。この疑問ぎもん試験しけん終了後しゅうりょうごから脳裏のうりはなれない。


解散前かいさんまえ家老かろうあらたな方針ほうしんげる。「今後こんご空竅くうこう温養おんよう指導しどうする。蠱師こしきょう一段いちだん上が(あが)れば真元しんげん凝練ぎょうれんされる。一転いってん青銅真元せいどうしんげん二転にてん赤鉄真元せきてつしんげん三転さんてん白銀真元はくぎんしんげんだ。各段階かくだんかい真元しんげん十倍じゅうばいがある」


「三ヶ月以内さんかげついない一転中階いってんちゅうかいたっしたもの元石げんせき三十個さんじゅっこ第二蠱だいにこ優先選択権ゆうせんせんたくけん獲得かくとくする。さらに班頭はんとういちめい副班頭ふくはんとうめい設置せっち――班頭はんとう毎週まいしゅうじゅう副班頭ふくはんとう補助ほじょ追加ついかされる」


教室きょうしつさわめきなか方正ほうせいくと、すであにせきがらになっていた。「げたのか…? 今度こんどこそ班頭はんとう見返みかえしてやる」


玄関げんかんかる方源ほうげん冷笑れいしょうする。「栄誉えいよなどという虚飾きょしょくおどらされるわかさよ。組織そしきというものはうえからえさき、したものきそわせて搾取さくしゅする装置そうちぎん」

五百年ごひゃくねん経験けいけんおしえる真実しんじつ――権力けんりょくとはロバの鼻先はなさきるされたニンジンのごときもの。人々(ひとびと)はおのれ特別とくべつだと錯覚さっかくし、虚構きょこう階段かいだんのぼつづけるのだ。

「これが真実しんじつだ…残念ざんねんながら世間せけん大多数だいたすうづかず、おろかにも他者たしゃのためいのちけずっている。世界せかいのあらゆる組織そしき根本こんぽんはただ一つ――資源しげん再分配さいはいふん上層じょうそうほど多くの資源しげん享受きょうじゅするのだ」

前世ぜんせ方源ほうげん中洲ちゅうしゅう血翼魔教けつよくまきょう創立そうりつし、数万すうまん信徒しんとしたがえた。魔兵まへい魔将ましょう魔帥ますいといった階級かいきゅうもうけ、福利ふくりで人々(ひとびと)をり、おのれ手足てあしとして駆使くしした経験けいけんが、この道理どうりほねずいまでさとらせた。


ゆえ組織そしきなど表層ひょうそうぎぬ。しん根本こんぽん二文字にもじ――資源しげんべる資源しげんければ餓死がしし、資源しげんければ渇死かっしする。修行しゅぎょう資源しげんければよわり、おそかれはやかれしいたげられる」


「そして元石げんせき――これこそ蠱師こし修行しゅぎょう最優先さいゆうせん資源しげんだ」方源ほうげん双眸そうぼう深淵しんえんのようにくらかがやき、口元くちもとつめたいわらみがかぶ。


早々(そうそう)に学堂がくどうかれ正門せいもんたたずみ、最初さいしょ生徒せいとたちがちかづくのをけた。


方源ほうげんだ」

もん真中まんなかなにしてやがる?」

「フン…あの冷徹れいてつ面構つらがまえをたびはらつ」

かまうな。だれってるんだろ」


少年しょうねんたちが無関心むかんしんとおぎようとした瞬間しゅんかん方源ほうげん一歩いっぽしてみちふさいだ:「かねせ。一人ひとりいっ元石げんせきはらわないととおさねえぞ」

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