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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第五十六節:丁浩,出て来

この(とき)木塀(きべい)大半(たいはん)崩落(ほうらく)し、途絶(とだ)えることなく僵尸(きょうし)陣営(じんえい)(なが)()み、蛊师(こし)たちと()(みだ)れた戦闘(せんとう)()(ひろ)げていた。


方源(ほうげん)はこの状況(じょうきょう)()て、僵尸軍(きょうしぐん)背後(はいご)丁浩(ていこう)(あやつ)っていると確信(かくしん)した。


通常(つうじょう)僵尸群(きょうしぐん)なら烏合(うごう)(しゅう)のように突進(とっしん)するか、白毛僵尸(はくもうきょうし)全滅(ぜんめつ)してから黑毛僵尸(こくもうきょうし)出撃(しゅつげき)する。このような戦術的連携(せんじゅつてきれんけい)があるはずがなく、明白(めいはく)(だれ)かが(あやつ)っているのだ!


そしてその(あやつ)()こそ、()(ちが)いなく丁浩(ていこう)であった。


方源(ほうげん)()っていた——二代僵尸王(にだいきょうしおう)墓碑山(ぼひさん)一族(いちぞく)虐殺(ぎゃくさつ)した(あと)、ここに継承(けいしょう)(のこ)したこと。その受益者(じゅえきしゃ)こそ丁浩(ていこう)であり、(かれ)後年(こうねん)二代目僵尸王(にだいめきょうしおう)大弟子(だいでし)となった。魔道(まどう)()でありながら忠誠心(ちゅうせいしん)(きわ)めて(あつ)く、義天山(ぎてんざん)における正邪大戦(せいじゃたいせん)では(すす)んで()身代(みが)わりとなって()(えら)んだと。


(まえ)からお(まえ)(さが)そうと(おも)っていたが、(みずか)()()んでくるとは、手間(てま)(はぶ)いてくれる」


方源(ほうげん)当初(とうしょ)から、丁浩(ていこう)利用(りよう)して商隊(しょうたい)壊滅(かいめつ)し他の(もの)たち(すべ)てを(ほうむ)計画(けいかく)()っていた。


獣群(けものむれ)誘引(ゆういん)する(すべ)()つものの、規模(きぼ)制御(せいぎょ)(むずか)しかった。


商隊(しょうたい)戦力(せんりょく)(おとろ)え、弱体化(じゃくたいか)(すす)んでいた。巨大(きょだい)獣群(けものむれ)()()せれば(みずか)らの生命(せいめい)(あや)うくなり、商心慈(しょうしんじ)保護(ほご)(さら)困難(こんなん)となる。


この状況下(じょうきょうか)において、丁浩(ていこう)最適(さいてき)(ごま)であった。


「ただ、この丁浩(ていこう)(いま)、どこに(ひそ)んでいるのか?」(まわ)りに(ほのお)四方(しほう)()()がる(なか)方源(ほうげん)()(ほそ)周囲(しゅうい)見渡(みわた)した。


僵尸軍(きょうしぐん)指揮(しき)するには、当然(とうぜん)戦場(せんじょう)見下(みお)ろせる高台(たかだい)(えら)ぶはずだ。鳥瞰(ちょうかん)できる蛊虫(こちゅう)()可能性(かのうせい)排除(はいじょ)できないが、いずれにせよ()(やす)(かく)()に違いない…」


方源(ほうげん)地聴肉耳草(ちしょうにくじそう)(うしな)い、偵察(ていさつ)手段(しゅだん)()いため推測(すいそく)(たよ)るしかなかった。


殺戮(さつりく)はますます凄惨(せいさん)(きわ)め、僵尸(きょうし)数百体(すうひゃくたい)(たお)れ、蛊师(こし)たちも同様(どうよう)死傷者(ししょうしゃ)続出(ぞくしゅつ)した。()()るような僵尸軍(きょうしぐん)(まえ)(かれ)らは敗走(はいそう)(かさ)ね、(またた)()陣営(じんえい)中心(ちゅうしん)()()められた。


そこでは(あわ)てて貨物(かもつ)()()げたバリケードが急造(きゅうぞう)され、一部(いちぶ)一転(いってん)蛊师(こし)が様々(さまざま)な手段(しゅだん)(こう)じて補強(ほきょう)していた。


僵尸(きょうし)(おお)すぎる、ここは(おそ)かれ(はや)かれ(まも)れなくなる」


「我々(われわれ)は突破(とっぱ)しなければ!」


突破(とっぱ)だと?(すく)なくとも数十頭(すうじゅっとう)黑毛僵尸(こくもうきょうし)がいるぞ!」


夜明(よあ)けまで固守(こしゅ)すべきだ。太陽(たいよう)(のぼ)れば僵尸(きょうし)戦力(せんりょく)暴落(ぼうらく)する。我々(われわれ)が()(くだ)さずとも()れは退(しりぞ)くだろう」


陣営(じんえい)(ない)議論(ぎろん)噴出(ふんしゅつ)した。突破派(とっぱは)固守派(こしゅは)()かれての激論(げきろん)である。


双方(そうほう)(ゆず)らぬ(あらそ)いが(つづ)(なか)僵尸群(きょうしぐん)(せま)(つづ)けた。


この場当(ばあ)たりで(あつ)められた商隊(しょうたい)は、この(とき)最大(さいだい)欠陥(けっかん)露呈(ろてい)した。(しん)団結(だんけつ)ができず、大局(たいきょく)統率(とうそつ)する強力(きょうりょく)指導(しどう)(こえ)()けていたのだ。


方源(ほうげん)(ひや)やかに傍観(ぼうかん)していたが、突然(とつぜん)()()がり怒鳴(どな)りつけた。「(だま)れ!」


(あらそ)いの(こえ)がぴたりと()んだ。


衆人(しゅうじん)()には、(かれ)三转頂点(さんてんちょうてん)実力者(じつりょくしゃ)であり、商隊(しょうたい)最強(さいきょう)一人(ひとり)(うつ)っていた。生死(せいし)()けるこの状況下(じょうきょうか)で、方源(ほうげん)発言権(はつげんけん)絶大(ぜつだい)だった。


方源(ほうげん)周囲(しゅうい)見渡(みわた)眼光(がんこう)(ひや)やかで(するど)く、(みにく)顔面(がんめん)篝火(かがりび)のきらめきに()らされ、鬼神(きしん)のように(おそ)ろしい形相(ぎょうそう)()かび()がらせた。


籠城(ろうじょう)主張(しゅちょう)する(もの)阿呆(あほう)め!突破(とっぱ)できるなら、なぜここに(とど)まる必要(ひつよう)がある?」


(かれ)罵声(ばせい)強権的(きょうけんてき)(ひび)(わた)った。


死守(ししゅ)(さけ)んでいた蛊师(こし)たちは(いきどお)りを()かべたが、(おこ)りを(くち)にできずにいた。一方(いっぽう)突破(とっぱ)主張(しゅちょう)していた蛊师(こし)たちは喜色(きしょく)()かべた。


「さすが黑土(くろつち)(さま)英明(えいめい)で!」


黑土(くろつち)(さま)(わたし)たちは貴方(あなた)(したが)います!」


「この(とき)こそ、黑土(くろつち)(さま)だけが狂瀾(きょうらん)既倒(きとう)(かえ)せるのです!」


(かれ)らは口々(くちぐち)に(さけ)び、方源(ほうげん)(まつ)()げ、(もっと)危険(きけん)先鋒(せんぽう)(やく)(にな)わせようとした。


だが方源(ほうげん)(ひや)やかに(わら)い、(ふたた)(ののし)った。「(だま)れ!突破(とっぱ)だと(さわ)ぐお(まえ)らこそ、(おお)いなる阿呆(あほう)()れだ!」


「はっ…」(いま)(がた)まで方源(ほうげん)(たた)えていた蛊师(こし)たちは表情(ひょうじょう)(かた)くなり、顔色(かおいろ)()わり(つづ)けた。


死守派(ししゅは)たちは(あざけ)りと嘲笑(あざわら)いの()みを()かべた。


黑土(くろつち)閣下(かっか)、では貴殿(きでん)見解(けんかい)は?」賈龍(かりゅう)顔面(がんめん)蒼白(そうはく)(こえ)(ひく)(けわ)しい目付(めつ)きで()うた。


「ふん、籠城(ろうじょう)であれ突破(とっぱ)であれ、まず状況(じょうきょう)把握(はあく)せねばならん。お(まえ)らはこの僵尸群(きょうしぐん)規模(きぼ)()っているのか?もしや暗闇(くらやみ)にまだ大軍(たいぐん)(ひそ)んでいれば、突破(とっぱ)など()んで()()()(なつ)(むし)だ!(ぎゃく)にこれが(すべ)てなら、籠城(ろうじょう)主張(しゅちょう)するお(まえ)らは早期(そうき)脱出(だっしゅつ)機会(きかい)(のが)し、()(にお)いで(さら)なる僵尸(きょうし)()()せて自滅(じめつ)する(おろ)(もの)だ!」方源(ほうげん)(つば)()ばしながら罵倒(ばとう)した。


これほど痛烈(つうれつ)罵倒(ばとう)されれば、(だれ)も良い(かお)はできない。


陳双全(ちんそうぜん)陰湿(いんしつ)()うた:「では、閣下(かっか)には(なん)良案(りょうあん)が?」


方源(ほうげん)怒眼(どがん)(にら)みつけ、(ゆび)()()けて(ののし)った。「だから貴様(きさま)阿呆(あほう)どもの(のう)みそは(くそ)()まりだ!(おれ)(なが)々(なが)と()いてきたのに、まだ()からん(やつ)がいるとは。無論(むろん)突破(とっぱ)だ!まずは(さぐ)りを()れる。偵察(ていさつ)蛊师(こし)(すべ)本気(ほんき)()せ!」


陳双全(ちんそうぜん)鼻先(はなさき)()されて罵倒(ばとう)され、顔色(かおいろ)(さら)険悪(けんあく)になった。(むね)には(いか)りの(かたまり)()もっていた。


だが方源(ほうげん)欧家(おうか)父子(ふし)瞬殺(しゅんさつ)した光景(こうけい)脳裏(のうり)()()いており、(いか)りを()(ころ)すしかなかった。


方源(ほうげん)強権的(きょうけんてき)態度(たいど)衆人(しゅうじん)不満(ふまん)(いだ)きつつも、この状況下(じょうきょうか)ではかえって奇妙(きみょう)安心感(あんしんかん)(おぼ)えた。


()もなく、方源(ほうげん)指揮(しき)突破(とっぱ)小隊(しょうたい)編成(へんせい)された。


「あの方向(ほうこう)突破(とっぱ)せよ」方源(ほうげん)東南(とうなん)指差(ゆびさ)(きび)しく(めい)じた。


承知(しょうち)しました、黑土(くろつち)(さま)!」


偵察(ていさつ)(しゅ)(いのち)(まも)ることを最優先(さいゆうせん)とせよ。無理(むり)なら(ただ)ちに撤収(てっしゅう)しろ」方源(ほうげん)突然(とつぜん)(ほほ)えみ、小隊長(しょうたいちょう)(かた)をポンポンと(たた)いた。


小隊長(しょうたいちょう)(むね)(うち)瞬時(しゅんじ)(ゆる)み、方源(ほうげん)への印象(いんしょう)先程(さきほど)までの(にく)々(にく)しさから一変(いっぺん)した。


僵尸群(きょうしぐん)最終防衛線(さいしゅうぼうえいせん)(せま)り、戦闘(せんとう)全面(ぜんめん)拡大(かくだい)した。突破班(とっぱはん)三百歩(さんびゃっぽ)(すす)んだ(あと)無念(むねん)ながら撤退(てったい)してきた。


(おそ)ろしい…暗闇(くらやみ)(なか)(すく)なくとも数百頭(すうひゃくとう)僵尸(きょうし)(ひそ)んでいるのを確認(かくにん)した」偵察(ていさつ)蛊师(こし)恐怖(きょうふ)余韻(よいん)(ふる)えながら報告(ほうこく)した。


この言葉(ことば)に、全員(ぜんいん)顔色(かおいろ)(かす)かに(くも)った。


(かま)うな。まずは(やす)め。第二(だいに)小隊(しょうたい)、お(まえ)たちはあの方向(ほうこう)突破(とっぱ)せよ!」方源(ほうげん)指示(しじ)()ばした。


この小隊(しょうたい)四五百歩(よんごひゃっぽ)ほど(すす)んだが、やむなく撤退(てったい)してきた。


「びっしりと隙間(すきま)なく(なら)ぶキョウシの()れです…」偵察(ていさつ)蛊师(こし)顔面(がんめん)蒼白(そうはく)報告(ほうこく)した。


方源(ほうげん)(なぐさ)めるように(ひと)(こと)かけると休憩(きゅうけい)(めい)じ、(あら)たに編成(へんせい)した第三(だいさん)小隊(しょうたい)(ゆび)()した。「あの方向(ほうこう)()け」


「ですが、そちらは谷間(たにま)()()まりでは…」小隊長(しょうたいちょう)(くび)(かし)げた。


パン!


方源(ほうげん)()(こう)一発(いっぱつ)(たた)きつける。「()けと()われたら()くだけだ!余計(よけい)(くち)()くな!」


小隊長(しょうたいちょう)はその一撃(いちげき)呆然(ぼうぜん)とした。方源(ほうげん)(いか)りに()えた凶悪(きょうあく)眼差(まなざ)しをまともに()られず、(あわ)てて()()け、(ゆび)さされた方向(ほうこう)(とつ)(しん)していった。


方源(ほうげん)(みっ)つの突破(とっぱ)小隊(しょうたい)順次(じゅんじ)編成(へんせい)し、輪番(りんばん)(さぐ)りを()れ、(つい)丁浩(ていこう)潜伏(せんぷく)可能(かのう)地点(ちてん)を次々(つぎつぎ)と排除(はいじょ)した。


(つぎ)はあの高台(たかだい)だけだ。(おれ)()みが(ただ)しければ、丁浩(ていこう)間違(まちが)いなくそこに(ひそ)んでいる」方源(ほうげん)(こころ)(ひや)やかに(わら)い、(さら)突破班(とっぱはん)配置(はいち)(つづ)けた。


「しつこい連中(れんちゅう)め」丁浩(ていこう)(まゆ)をひそめたが、すぐにほころばせた。「ふふ、普通(ふつう)のキョウシ(ぐん)なら突破(とっぱ)されていただろう。残念(ざんねん)ながら、この()れの(あるじ)(わたし)だ…」


(かれ)(ひそ)かに指揮(しき)し、暗闇(くらやみ)(なか)でキョウシ(ぐん)流動(りゅうどう)させて補填(ほてん)弱点(じゃくてん)区域(くいき)(しょう)じないよう調整(ちょうせい)した。同時(どうじ)数箇所(すうかしょ)重兵(じゅうへい)(はい)()


数度(すうど)攻防(こうぼう)で、突破班(とっぱはん)惨憺(さんたん)たる死傷者(ししょうしゃ)()した。


「もう十分(じゅうぶん)だ!無駄(むだ)犠牲(ぎせい)()めろ!」


「ああ、どうやら籠城(ろうじょう)するしかないようだ…」


(みな)()()け!夜明(よあ)けまで()てば、こいつらは()()(とら)だ!」


戯言(ざれごと)()うな!突破(とっぱ)目前(もくぜん)だ!今度(こんど)(おれ)(みずか)指揮(しき)する。白雲(はくうん)(まも)りを(かた)めろ」方源(ほうげん)罵声(ばせい)()ばし、強行突破(きょうこうとっぱ)宣言(せんげん)した。


蛊师(こし)たちはその強権(きょうけん)()され、中規模(ちゅうきぼ)部隊(ぶたい)編成(へんせい)せざるを()なかった。


八名(はちめい)蛊师(こし)突然(とつぜん)()()し、方源(ほうげん)先頭(せんとう)(みち)()(ひら)いた。怪力(かいりょく)雪銀真元(せつぎんしんげん)天蓬蛊(てんほうこ)(かさ)ね、軽々(かるがる)と包囲網(ほういもう)突破(とっぱ)した。


「しまった!あの地点(ちてん)手薄(てうす)だった…!」丁浩(ていこう)阻止(そし)しようとしたが、もはや間に(まにあ)わなかった。


方源(ほうげん)がまさかこの()()まりの谷間(たにま)突破(とっぱ)(てん)(えら)ぶとは(おも)わなかった。他の方向(ほうこう)への突破(とっぱ)対応(たいおう)するため兵力(へいりょく)集中(しゅうちゅう)させた結果(けっか)、この方面(ほうめん)僵尸(きょうし)(もっと)(すく)なくなっていたのだ。


成功(せいこう)したぞ!」


(やつ)らは突破(とっぱ)した!」


陣営(じんえい)(のこ)された(もの)たちは呆然(ぼうぜん)として見守(みまも)っていた。


突破(とっぱ)過程(かてい)五名(ごめい)蛊师(こし)が次々(つぎつぎ)と(たお)れたが、方源(ほうげん)(のこ)二人(ふたり)蛊师(こし)生還(せいかん)()たした。


「我々(われわれ)にも(すく)いがある!(いそ)げ、この方向(ほうこう)一斉(いっせい)突破(とっぱ)だ!」陣営(じんえい)(もの)たちが歓声(かんせい)()げた。


成功(せいこう)させるものか!」丁浩(ていこう)()(ぎし)りしつつ、(あわ)ててキョウシ(ぐん)再編(さいへん)(あな)(ふさ)いだ。


陣営(じんえい)(もの)たちが態勢(たいせい)(ととの)えぬ()もなく、方源(ほうげん)らが突破(とっぱ)した方向(ほうこう)白毛僵尸(はくもうきょうし)()()くされた。


(さら)五頭(ごとう)黒毛僵尸(こくもうきょうし)方源(ほうげん)三人(さんにん)(おそ)()かってきた。


同行(どうこう)二人(ふたり)(またた)()恐慌(きょうこう)(おちい)った。


(おれ)()いて()い!」方源(ほうげん)(ひや)やかに(かつ)し、丁浩(ていこう)(ひそ)方向(ほうこう)猛然(もうぜん)(おど)()んだ。


(あわ)てふためいた二人(ふたり)(かんが)える(ひま)もなく、無意識(むいしき)にその(うし)ろを()った。


「ふん、(ほか)方向(ほうこう)ではなく、わざわざ(おれ)方向(ほうこう)()るとは。ふふふ、(てん)(かみ)もお(まえ)たちを()なせたいらしいな…」丁浩(ていこう)口元(くちもと)(ゆが)め、(かたわ)らに()二体(にたい)僵尸(きょうし)得意(とくい)げに一瞥(いちべつ)した。


その二体(にたい)()(たか)く、全身(ぜんしん)(あお)体毛(たいもう)()(しげ)っていた。青毛僵尸(せいもうきょうし)――黑毛僵尸(こくもうきょうし)(しの)実力(じつりょく)()ち、夜間(やかん)戦闘力(せんとうりょく)千獣王(せんじゅうおう)(きゅう)


丁浩(ていこう)長年(ながねん)かけて育成(いくせい)したのは、この二体(にたい)だけだった。


()け」(おも)うや(またた)()二体(にたい)青毛僵尸(せいもうきょうし)(はげ)しく()()した。


八十歩(はちじゅっぽ)(さき)で、方源(ほうげん)三人(さんにん)激突(げきとつ)した。


方源(ほうげん)一頭(いっとう)激突(げきとつ)――ドッン!双豚一鱷(そうとんいちわに)(ちから)()ってしても互角(ごかく)(わた)()い、双方(そうほう)数歩(すうほ)ずつ後退(こうたい)した。


一方(いっぽう)で、(のこ)りの二人(ふたり)蛊师(こし)はもう一頭(いっとう)青毛僵尸(せいもうきょうし)圧倒(あっとう)され、危機一髪(ききいっぱつ)状況(じょうきょう)(おちい)っていた。


(わたし)(まか)せろ」方源(ほうげん)跳跳草(ちょうちょうそう)()り、()(ひるがえ)戦局(せんきょく)()()んだ。


二人(ふたり)蛊师(こし)喜色(きしょく)満面(まんめん)援護(えんご)への感謝(かんしゃ)()べようとした刹那(せつな)不意(ふい)二本(にほん)螺旋骨槍(らせんこつそう)飛翔(ひしょう)した。


ズンッ!ズンッ!


驚愕(きょうがく)表情(ひょうじょう)()かべた二人(ふたり)狙撃(そげき)され絶命(ぜつめい)した。


「ん?」戦況(せんきょう)注視(ちゅうし)していた丁浩(ていこう)はこの急変(きゅうへん)予想(よそう)(はず)れ、巨大(きょだい)疑念(ぎねん)(むね)()()がった。


この一瞬(いっしゅん)油断(ゆだん)で、二体(にたい)青毛僵尸(せいもうきょうし)動作(どうさ)(かす)かに(とどこお)る。


(つづ)いて(ひび)いた方源(ほうげん)(こえ)は、丁浩(ていこう)(さら)震撼(しんかん)させた。


丁浩(ていこう)()()い!」という(ひく)くも(するど)(かつ)暗闇(くらやみ)(つんざ)いた。








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