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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第五十五節:オホホホ

挿絵(By みてみん)

丁浩(ていこう)(しげ)みに()(かく)し、山麓(さんろく)商隊(しょうたい)見下(みお)ろしながら、(おも)わず興奮(こうふん)して(くちびる)(ねぶ)った。


洞窟(どうくつ)(のこ)されていた伝言(でんごん)通り(どおり)、(せん)(にん)虐殺(ぎゃくさつ)僵尸(きょうし)部隊(ぶたい)(そろ)えれば、ここを(はな)(ぬま)(さわ)(やま)()き、正式(せいしき)師匠(しょう)弟子(でし)になれる!」


(かれ)は元々(もともと)山野(さんの)村人(むらびと)()ぎず、(むら)(とお)()かった商隊(しょうたい)労力(ろうりょく)として(やと)われていた。


しかし墓碑山(ぼひさん)通過(つうか)する(とき)商隊(しょうたい)大群(たいぐん)僵尸(きょうし)包囲攻撃(ほういこうげき)された。(かれ)(たて)として()てられ、(ほか)数十名(すうじゅうめい)家僕(かぼく)(とも)後衛(こうえい)(つと)めた。


他の(もの)(すべ)()に、(かれ)必死(ひっし)()げて山中(さんちゅう)(まよ)()んだ。途方(とほう)()れていた(とき)突然(とつぜん)洞窟(どうくつ)安全(あんぜん)避難所(ひなんじょ)だと()づいた。周囲(しゅうい)僵尸(きょうし)(けっ)して洞窟(どうくつ)(ぐち)(ちか)づこうとしないのだった。


その洞窟(どうくつ)(はい)ると、(かれ)魔道(まどう)継承(けいしょう)発見(はっけん)したのだ。


(もと)より、(むかし)魔道蛊师(まどうこし)(ひと)つの一族(いちぞく)虐殺(ぎゃくさつ)し、廃墟(はいきょ)墓碑(ぼひ)()てた(あと)(さら)にここに秘伝(ひでん)継承(けいしょう)(ひそ)かに(のこ)していたのだ。


この継承(けいしょう)(ふか)(かく)されており、(ぼん)(じん)でなければ()()げない。


丁浩(ていこう)はこの洞窟(どうくつ)で、まず開竅(かいきょう)()たし、徐々(じょじょ)に修行(しゅぎょう)()みながら試練(しれん)()()えていった。


当初(とうしょ)丙等(へいとう)資質(ししつ)()ぎなかったが、洞窟内(どうくつない)珍稀(ちんき)()があり、それを使(つか)って乙等(おつとう)資質(ししつ)昇格(しょうかく)した。


丁浩(ていこう)墓碑山(ぼひさん)一心(いっしん)修行(しゅぎょう)(はげ)み、八年余(はちねんあま)りの歳月(さいげつ)をかけて三转(さんてん)(きょう)(たっ)し、基準(きじゅん)()たして最終(さいしゅう)密室(みつしつ)()()れた。


密室(みつしつ)には、その魔道蛊师(まどうこし)(みずか)二代目(にだいめ)僵尸王(きょうしおう)(しょう)する碑文(ひぶん)(のこ)されていた。(いわ)く、(まこと)(のち)(もの)此処(ここ)(いた)れば(えん)ある(あかし)(のぞ)まば沼沢山(しょうたくさん)()(たず)ね、(とも)南疆(なんきょう)()(めぐ)れと。


最後(さいご)試練(しれん)として、二代目僵尸王(にだいめきょうしおう)後継者(こうけいしゃ)(せん)(にん)斬殺(ざんさつ)僵尸(きょうし)(ぐん)編成(へんせい)(めい)じた。詳細(しょうさい)基準(きじゅん)(さだ)められており、白毛(はくもう)キョウシは(すく)なくとも何体(なんたい)黒毛(こくもう)キョウシは何体(なんたい)青毛(せいもう)キョウシは数体(すうたい)など。(ただ)藍毛(らんもう)キョウシが()れば、わずか(いっ)(たい)十分(じゅうぶん)門出(かどで)とする、と。


丁浩(ていこう)実直(じっちょく)人間(にんげん)だ。実直(じっちょく)(もの)には往々(おうおう)にして長所(ちょうしょ)がある。地道(じみち)さだ。


(かれ)墓碑山(ぼひさん)孤独(こどく)修業(しゅぎょう)(かさ)ね、(まる)八年(はちねん)あまりの歳月(さいげつ)()ごした。(さび)しさと孤独(こどく)()え、僵尸(きょうし)だけを相手(あいて)に微々(びび)たる(ちから)()(かさ)ねで三转(さんてん)(きょう)到達(とうたつ)した。


(もと)家僕(かぼく)()ぎず、蛊师(こし)世界(せかい)(はた)から(なが)めていたに()ぎない。(ゆえ)に、その実態(じったい)理解(りかい)してはいなかった。


途惑(とまど)いの(とき)、この碑文(ひぶん)(まぎ)れもなく(あら)たな(せい)指針(ししん)(しめ)し、(かれ)奮闘目標(ふんとうもくひょう)(あた)えたのだ。


二代目僵尸王(にだいめきょうしおう)(もと)家僕(かぼく)であり、両者(りょうしゃ)出自(しゅつじ)(おな)じだったことが、丁浩(ていこう)(こころ)奥底(おくそこ)にある共感(きょうかん)一層(いっそう)(つよ)めた。


この碑文(ひぶん)()にした(あと)丁浩(ていこう)(ただ)ちに行動(こうどう)(うつ)り、(ひと)(ころ)(はじ)めると同時(どうじ)僵尸(きょうし)()やしていった。


すぐに(かれ)気付(きづ)いた——この(ふた)つの任務(にんむ)(じつ)(あい)(おぎな)()っているのだと。


(ひと)(ころ)せば死体(したい)利用(りよう)して(あたら)しい僵尸(きょうし)()られ、(あたら)しい僵尸(きょうし)(くわ)われば手中(しゅちゅう)戦力(せんりょく)増大(ぞうだい)し、より(おお)くの(ひと)(ころ)せるようになる。


墓碑山(ぼひさん)南疆(なんきょう)三大商路(さんだいしょうろ)(ひと)つに位置(いち)しており、毎月(まいつき)商隊(しょうたい)(とお)る。


丁浩(ていこう)(さら)三年近(さんねんちか)くの歳月(さいげつ)(つい)やし、(いま)ようやく成功(せいこう)目前(もくぜん)となった。


そして山麓(さんろく)のこの商隊(しょうたい)こそ、(かれ)成功(せいこう)へと(あゆ)()最終(さいしゅう)()(だい)だ!


これは絶好(ぜっこう)獲物(えもの)であった!


商隊(しょうたい)大小(だいしょう)あり、大規模(だいきぼ)商隊(しょうたい)(とお)ると、丁浩(ていこう)毎回(まいかい)(とお)くへ()(かく)れた。中型(ちゅうがた)商隊(しょうたい)(たい)しても、(かれ)容易(ようい)攻撃(こうげき)仕掛(しか)けられなかった。小規模(しょうきぼ)商隊(しょうたい)のみ、丁浩(ていこう)()()し、(ひそ)かに僵尸(きょうし)指揮(しき)して追撃(ついげき)させた。


(うん)()ければ、それらの商隊(しょうたい)(みずか)家畜(かちく)家僕(かぼく)()()った。


(うん)(わる)ければ、手強(てごわ)(てき)遭遇(そうぐう)し、(ぎゃく)僵尸(きょうし)虐殺(ぎゃくさつ)され、(おお)くを(うしな)った。仕方(しかた)なく(ふたた)蓄積(ちくせき)(なお)すのみだった。


だが山麓(さんろく)のこの商隊(しょうたい)小規模商隊(しょうきぼしょうたい)よりも(おと)り、(すで)(きず)ついていた。風前(ふうぜん)(ともしび)(ごと)く、(いま)にも()()りそうで、(ゆび)一本(いっぽん)()(たお)せそうに()えた。


丁浩(ていこう)にはこの商隊(しょうたい)制圧(せいあつ)する自信(じしん)があった。


(てん)(みずか)らに(おく)った(おお)きな(おく)(もの)だと(おも)えたのだ。


(よる)()けて人声(ひとごえ)()え、(ひと)つのかさ(ぐも)がゆっくり(ただよ)月光(げっこう)(さえぎ)った。


陣営(じんえい)(まわ)りが(くら)みに(しず)む。


()。」丁浩(ていこう)双瞳(そうどう)(またた)くように(かがや)いた。(ひそ)かに配置(はいち)した僵尸(きょうし)(ぐん)()(ほう)(はっ)(ぽう)から陣営(じんえい)(しの)()る。


(なん)(おと)だ?」陣営(じんえい)(そと)見張(みは)っていた偵察(ていさつ)蛊师(こし)(するど)警戒(けいかい)した。


異変(いへん)か!?」(わき)にいた数人(すうにん)蛊师(こし)()(かた)くする。


五人(ごにん)視線(しせん)(いっ)(せい)(まえ)(がた)暗闇(くらやみ)(くぎ)づけになった。


月明(つきあ)かりは(くも)(さえぎ)られたが、陣営(じんえい)では巨大(きょだい)篝火(かがりび)()かれていた。


山風(やまかぜ)にあおられた篝火(かがりび)がヒューヒューと(おと)()てる。


()らめく(ほのお)(なか)全身(ぜんしん)(しろ)体毛(たいもう)(おお)われた僵尸(きょうし)が、ピョンピョンと()ねながら偵察(ていさつ)蛊师(こし)視界(しかい)にぼうっと()かび()がった。


数人(すうにん)蛊师(こし)たちは(かお)()()わせ、(わら)()した。


「はっはっ、白毛(はくもう)僵尸(きょうし)か」


「ちっ、大騒(おおさわ)ぎすんなよ、くそ、(おどろ)かせやがって」


小三(しょうさん)、その不運(ふうん)僵尸(きょうし)始末(しまつ)してこい…」と、蛊师(こし)(たい)頭目(とうもく)漫然(まんぜん)(めい)じた。


こいつら白毛僵尸(はくもうきょうし)戦力(せんりょく)最弱(さいじゃく)で、普通(ふつう)野獣(やじゅう)にも(おと)る。


了解(りょうかい)です、親分(おやぶん)(わか)蛊师(こし)(ふく)(わら)いしながら(ちか)づいた。


屍毒(しどく)()をつけろ。あれにやられたら厄介(やっかい)なことになる。(おれ)解毒(げどく)()はねぇからな」治療係(ちりょうがかり)蛊师(こし)(いまし)めた。


「わかってるよ、わかってるってば。子供(こども)(あつか)いすんなよ!」(ある)()した(わか)蛊师(こし)(いや)そうに大仰(おおぎょう)()()った。


もし()屍毒(しどく)感染(かんせん)したら、(ほか)蛊师(こし)治療(ちりょう)(たの)必要(ひつよう)があり、(すく)なくとも半塊(はんかい)元石(げんせき)必要(ひつよう)だ。


だが、こいつら白毛僵尸(はくもうきょうし)攻撃動作(こうげきどうさ)型通(かたどお)りで、簡単(かんたん)()けられる。墓碑山(ぼひさん)()てから、この(わか)蛊师(こし)(すく)なからず仕留(しと)めてきた。


「こんなもん、()けることさえ()をつけてりゃ(なん)も…ぐはっ!」(わか)蛊师(こし)(つぶや)いている途中(とちゅう)突然(とつぜん)(こえ)途切(とぎ)れ、軽快(けいかい)(あし)()りが途端(とたん)()まった。


(ひとみ)極端(きょくたん)(ちぢ)み、(くち)(おお)きく()け、極度(きょくど)恐怖(きょうふ)(あら)わになる。


「どうした!?」後方(こうほう)五人(ごにん)蛊师(こし)異変(いへん)気付(きづ)き、(あわ)てて()いただした。


(わか)蛊师(こし)はその(こえ)(かみなり)()たれたように身体(からだ)(ふる)わせ、くるりと(きびす)(かえ)して全速力(ぜんそくりょく)()(もど)った。


信号(しんごう)を!キョウシが…キョウシが()る!」(さけ)(ごえ)裏返(うらがえ)り、(おもて)恐慌(きょうこう)(ゆが)む。


「たかが白毛(はくもう)キョウシ一匹(いっぴき)で、萎縮(いしゅく)すんなよ…わ、わぁクソっ!」



四人(よにん)蛊师(こし)同時(どうじ)(さけ)()がった。


数百頭(すうひゃくとう)もの白毛僵尸(はくもうきょうし)がピョンピョンと()ねながら陣営(じんえい)()()せてきた。白毛僵尸(はくもうきょうし)(なか)には、さらに(つよ)(りょく)黑毛僵尸(こくもうきょうし)()ざっている。


篝火(かがりび)がパチパチと()える暗闇(くらやみ)無数(むすう)(かげ)(うごめ)いており、どれだけのキョウシがさらに(ちか)づいているのか()からない。


カーン!カーン!


陣営(じんえい)(じゅう)突然(とつぜん)銅鑼(どら)()(ひび)いた。


僵尸キョウシ()れが陣営(じんえい)(せま)ってる!」


陣営全体(じんえいぜんたい)包囲(ほうい)されたぞ!」


(はや)く!(はや)く!全員起(ぜんいんお)きて防衛(ぼうえい)せよ…!」


賈龍(かりゅう)副首領(ふくしゅりょう)数名(すうめい)急造(きゅうぞう)木塀(きべい)(のぼ)り、顔面(がんめん)一様(いちよう)(けん)しく(ゆが)んでいた。


「クソッ、この商隊(しょうたい)一体(いったい)()(かみ)(おこ)らせたんだ?(うん)()きもここまでだ!」


(おれ)墓碑山(ぼひさん)(とお)るのは十数回(じゅうすうかい)になるが、今日(きょう)のような大規模(だいきぼ)なキョウシの()れは(はじ)めてだ…」


諸君(しょくん)愚痴(ぐち)無駄(むだ)だ。(こと)ここに(いた)れば、(いのち)()けて(たたか)うのみ!」


(とも)協力(きょうりょく)して、僵尸キョウシ()れを撃破(げきは)せよ!!」


陣営(じんえい)(もの)たちは怒号(どごう)()士気(しき)(たか)めた。一方(いっぽう)外周(がいしゅう)僵尸キョウシ(ぐん)沈黙(ちんもく)(つづ)け、()ねる足音(あとおと)だけがドスン!ドスン!と(ひび)いた。


両陣営(りょうじんえい)不気味(ぶきみ)対照(たいしょう)(えが)(なか)殺戮(さつりく)(まく)(またた)()()(めぐ)らされた。


蛊师(こし)たちは木塀(きべい)(たて)防衛(ぼうえい)し、様々(さまざま)な遠距離攻撃(えんきょりこうげき)()くした。陣営(じんえい)(まわ)りには虹色(にじいろ)(ひかり)がきらめき、氷礫(ひょうれき)火炎球(かえんきゅう)蔓草(つるくさ)転石(てんせき)などが僵尸(きょうし)先鋒(せんぽう)部隊(ぶたい)痛撃(つうげき)(くわ)えた。


膨大(ぼうだい)白毛僵尸(はくもうきょうし)()(めん)(たお)(くだ)け、()()げ、(こお)()き、ペチャンコに()(つぶ)された。


()れ、()れ。くくく…」丁浩(ていこう)中腹(ちゅうふく)(ひそ)み、(わら)った。


もはや初陣(ういじん)ではなかった。この数年(すうねん)蓄積(ちくせき)した経験(けいけん)から、これらの白毛僵尸(はくもうきょうし)(たて)()ぎず、蛊师(こし)たちの真元(しんげん)消耗(しょうもう)させるための()(ごま)なのだと()っていた。


(あん)(じょう)、しばらくすると蛊师(こし)たちの攻撃(こうげき)が段々(だんだん)まばらに、手弱(てよわ)になった。


「ダメだ…真元(しんげん)(そこ)をついた」


(おれ)真元(しんげん)回復(かいふく)しなきゃ!」


(だれ)()わってくれ!クソッ、白毛僵尸(はくもうきょうし)()きやがって()まんのかよ!?」


商隊(しょうたい)蛊师(こし)(かず)(すく)なく、白毛僵尸(はくもうきょうし)際限(さいげん)なく()()せ、ついに木塀(きべい)(した)まで()()まれた。


僵尸群(きょうしぐん)衝撃(しょうげき)を受け(うけ)、急造(きゅうぞう)粗末(そまつ)木塀(きべい)(きし)(うめ)きを(はっ)した――イキリと(あや)うげな(おと)(ひび)く。


「ちくしょう、(ささ)えきれ!絶対(ぜったい)(ささ)えろ!!」


予備隊(よびたい)(いそ)いで()()せ!」



両陣営(りょうじんえい)木塀(きべい)(はさ)んで膠着(こうちゃく)した。一方(いっぽう)突破(とっぱ)せんとし、他方(たほう)はこの要衝(ようしょう)死守(ししゅ)すべく(たたか)う。白毛僵尸(はくもうきょうし)(おお)きく減耗(げんもう)し、丁浩(ていこう)(こころ)(うず)いた。「出番(でばん)だぞ、(いと)しい(もの)たち」(おも)うや(またた)()一群(いちぐん)黑毛僵尸(こくもうきょうし)後方(こうほう)から(さっ)(とう)戦局(せんきょく)(くわ)わった。


白毛僵尸(はくもうきょうし)動作(どうさ)緩慢(かんまん)日光(にっこう)被害(ひがい)()け、白昼(はくちゅう)(もと)(ある)けなかった。


新鮮(しんせん)血液(けつえき)(あた)(つづ)け、(すう)(ねん)年月(としつき)をかけて黑毛僵尸(こくもうきょうし)成長(せいちょう)する。全身(ぜんしん)(くろ)体毛(たいもう)()え、筋力(きんりょく)増強(ぞうきょう)防御(ぼうぎょ)向上(こうじょう)跳躍(ちょうやく)速度(そくど)加速(かそく)した。日光(にっこう)による()()げは()けるものの、最早(もはや)白毛僵尸(はくもうきょうし)(ごと)(おそ)れることはない。


黑毛僵尸(こくもうきょうし)戦闘力(せんとうりょく)(すで)百獣王(ひゃくじゅうおう)匹敵(ひってき)する!


丁浩(ていこう)()()けた黒毛僵尸(こくもうきょうし)50(とう)(あま)りが集結(しゅうけつ)突撃(とつげき)した。陣営(じんえい)防御(ぼうぎょ)薄弱(はくじゃく)箇所(かしょ)()き、(ひと)(へん)(かこ)いをズタズタに破壊(はかい)(くず)()ちさせた。


陣営側(じんえいがわ)人手(ひとで)()()して()()めようとしたが、なお数頭(すうとう)黒毛僵尸(こくもうきょうし)陣営(じんえい)奥深(おくふか)(おか)()んだ。


一頭(いっとう)黒毛僵尸(こくもうきょうし)両腕(りょううで)()(まわ)し、一転(いってん)蛊师(こし)()()ばした。


蛊师(こし)地面(じめん)(たお)()()がれない。黒毛僵尸(こくもうきょうし)真上(まうえ)()()がり、(おそ)()かろうとした。


「これで()わりだ!」蛊师(こし)絶望的(ぜつぼうてき)()()じた瞬間(しゅんかん)、バーン!という衝撃音(しょうげきおん)(ひび)いた。


()()(ひら)くと、頑丈(がんじょう)なシルエットが自分(じぶん)(まえ)()(ふさ)ぎ、あの黒毛僵尸(こくもうきょうし)(とお)くに(たお)れていた。


張家(ちょうか)黑土(くろつち)(さま)だ!」蛊师(こし)(むね)()いた。


ガオッ!


あの黒毛僵尸(こくもうきょうし)方源(ほうげん)一撃(いちげき)胸郭(きょうかく)陥没(かんぼつ)したが、()には(いた)らず、(ふたた)()()がって方源(ほうげん)(おそ)()かってきた。


方源(ほうげん)全身(ぜんしん)(しろ)(ひかり)虚甲(きょこう)(おお)われ、(かす)かに(まゆ)をひそめた。()()いを(はか)り、相手(あいて)間近(まぢか)(せま)るとその両腕(りょううで)(つか)み、猛然(もうぜん)()()いた――ビリッ!


黒毛僵尸(こくもうきょうし)方源(ほうげん)怪力(かいりき)により()(ぷた)つに()たれた。


()()屍毒(しどく)()じりの(くろ)血潮(ちしお)は、虚甲(きょこう)(しろ)(ひかり)()(かえ)された。


方源(ほうげん)(なが)れるような(うご)きで両断(りょうだん)された死骸(しがい)()()てた。これほどの損傷(そんしょう)なら万獣王級(ばんじゅうおうきゅう)藍毛僵尸(らんもうきょうし)すら消滅(しょうめつ)する。


黑土(くろつち)(さま)救命(きゅうめい)(おん)感謝(かんしゃ)いたします!」(たす)けられた蛊师(こし)完全(かんぜん)にその気迫(きはく)圧倒(あっとう)され、(こころ)から敬服(けいふく)(あが)めるように(さけ)んだ。


方源(ほうげん)微動(びどう)だにせず、ただ乱戦(らんせん)()れる戦場(せんじょう)見据(みす)えた。





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