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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第二十五節:春光うららか

「あれは方源ほうげん?それとも方正ほうせい?」生徒せいとたちがうわさする。双子ふたご見分みわけがかないものもいる。


方正ほうせいだ。方源ほうげんつね無表情むひょうじょう緊張きんちょうなんてしない」とだれかが解説かいせつする。


「おお、見物けんぶつだ!三年さんねんぶりの甲等こうとう天才てんさい実力じつりょく!」視線しせんあつまるなか方正ほうせいふるえをおさえきれず、第一撃だいいちげき首筋くびすじはずす。


「おっ!」場内じょうないさわめく。生徒せいとたちは意図的いとてき高度こうど攻撃こうげき勘違かんちがいし、期待きたいふくらませる。


古月漠北こげつ ばくほく古月赤城こげつ あかぎ顔色かおいろくもらせる。失敗しっぱい見抜みぬいたのは家老かろう方源ほうげんだけだった。


あやうかった…!」方正ほうせい内心ないしん冷汗ひやあせをかき、深呼吸しんこきゅういてのこ二発にはつむね命中めいちゅうさせた。


家老かろう満足まんぞくげにうなずくのにたいし、観衆かんしゅうはためいきをつく。「甲等こうとう実力じつりょくはこんなものか…」


最終組さいしゅうぐみ方源ほうげんが悠々(ゆうゆう)と登場とうじょう

丙等へいとうの『冷徹れいてつ天才てんさい』か?ふん」嘲笑ちょうしょうこえく。


古月赤城こげつ あかぎわらう:「前回ぜんかいうんかっただけ。今度こんど地獄じごくせてやる」

方正ほうせいくちびるめた:「兄貴あにき今度こんどこそ」


方源ほうげん無表情むひょうじょうのままてのひらるう。月刃げつじん竹垣たけがき十五米じゅうごメートルさき消散しょうさんする。


「プッ…!」

まとはずれにもほどがある」

「さすが天才てんさいだな、煉化れんか一位いちい当然とうぜんだわ」皮肉ひにくじりのささやきがう。


かつて詩才しさいほこり、いまは「うんだのみ」とあざけられる方源ほうげんへの嫉妬しっと嫌悪けんお爆発ばくはつした。観客席かんきゃくせき全体ぜんたい哄笑こうしょうつつまれる。

学堂家老がくどうかろうかるくびり、自嘲じちょうした:『丙等へいとううんぎぬやつにかけるとは』

かれ内心ないしん方正ほうせい首席しゅせきえら決意けついかためた。古月博こげつ はく族長ぞくちょうへの配慮はいりょ甲等こうとう資質ししつへの期待きたいからだ。


春風はるかぜ演武場えんぶじょうはなかおりをはこんできた。

ひかり方源ほうげん孤影こえい地面じめんきざむ。かれ冷徹れいてつ表情ひょうじょう草人形くさびとかた凝視ぎょうしてのひら月牙げつが青白あおじろかがやいていた。


最初さいしょはずれは計算けいさんずく――のこ二発にはつほか圧倒あっとうする必要ひつようがあった。


兄貴あにき…ついにったぞ」方正ほうせいふるえるこぶしにぎめた。甲等こうとう栄光えいこう長年ながねん劣等感れっとうかんぬぐ瞬間しゅんかん確信かくしんしていた。


そのとき方源ほうげんうごいた。

右掌みぎてのひらかたなごとるうと、シュッというおととも二連にれん月刃げつじんはなたれた。


観衆かんしゅういきんだ――

二発にはつやいば草人形くさびとかたくびつらぬき、頭部とうぶ地面じめんころがる。


「まさか…!」方正ほうせいこえうつろにひびく。

演武場えんぶじょうみずったような沈黙ちんもくつつまれた。


家老かろうまゆひそめる:「実力じつりょくか? それともまたうんか?」

生徒せいとたちも疑心暗鬼ぎしんあんき眼差まなざしをけるなか方源ほうげんそらあおいだ。


七色なないろ尾羽おばねきらめかせた鸚鵡おうむれが春空はるぞらう。

はる陽射ひざしはじつあかるいな…」かれこころつぶやき、喝采かっさい嘲笑ちょうしょう無視むしするようにった。

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