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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第四十二節:黄金山

「なんと(やつ)か!ふふ、(てん)味方(みかた)したな」強兄(キョウあに)一味(いちみ)方源(ほうげん)姿(すがた)()るや、()(かがや)かせ興奮(こうふん)した。


(やつ)(うで)()れるのを()るのが()ちきれん」


張家(ちょうか)嬢様(じょうさま)(こころ)(やさ)しく、張家(ちょうか)(しょう)(とつ)しても処刑(しょけい)しなかった。なるほど、ここで使(つか)(ため)だったのか」


方源(ほうげん)はゆっくりと(ある)(すす)み、石卓(せきたく)(かたわ)らに(いた)ると、まっすぐに(こし)()ろした。


猴王(こうおう)(かれ)凝視(ぎょうし)し、(うで)()()した。


両者(りょうしゃ)()(かさ)()わされ、無数(むすう)視線(しせん)(もと)勝負(しょうぶ)(はじ)まった。


猴王(こうおう)(ちから)()めるが、方源(ほうげん)(うで)鋳鉄(ちゅうてつ)(ごと)微動(びどう)だにしない。


猴王(こうおう)瞳孔(どうこう)(かす)かに収縮(しゅうしゅく)し、驚愕(きょうがく)(いろ)(はし)った――これは(いま)だかつてない、史上最強(しじょうさいきょう)(ちから)()人間(にんげん)だ!


方源(ほうげん)(こころ)(おく)嘲笑(あざわら)った:双豚(そうとん)(ちから)だけでも、この猴王(こうおう)には()てる。ましてや半鰐(はんわに)(ちから)()した(いま)(くわ)えて猴王(こうおう)(すで)何度(なんど)(たたか)(つか)()っている。()わば、方源(ほうげん)圧倒的(あっとうてき)優位(ゆうい)だ。


(おも)えば猴王(こうおう)(ちから)は、(けっ)して桁外(けたはず)れではない。(さき)蛊师(こし)たちの(なか)には一熊(いっくま)(ちから)一馬(いちば)(ちから)を持つ(もの)もいたが、()けたのは(けっ)して(ちから)(およ)ばなかったからではない。腕相撲(うでずもう)総力(そうりょく)発揮(はっき)できる(たたか)いではないのだ」


(じつ)のところ、熊力(くまりょく)馬力(ばりょく)兎力(とりょく)魚力(ぎょりょく)龟力(きりょく)鰐力(わにりょく)など、それぞれ(こと)なる特性(とくせい)()つ。


その(ちが)いは(たん)(ちから)大小(だいしょう)のみならず、得意分野(とくいぶんや)(こと)なる(てん)にある。


熊力(くまりょく)撃打(げきだ)にあり、馬力(ばりょく)奔騰(ほんとう)にあり、兎力(とりょく)跳躍(ちょうやく)得意(とくい)とし、龟力(きりょく)重荷(じゅうか)(にな)うに()け、鰐力(わにりょく)咬合(こうごう)にあり。各種(かくしゅ)(ちから)には、それぞれ特化(とっか)した分野(ぶんや)がある。


つまり、特定(とくてい)分野(ぶんや)においては、ある(しゅ)(ちから)最大限(さいだいげん)発揮(はっき)されるのだ。


腕相撲(うでずもう)においては、(おも)(うで)手首(てくび)(ちから)()われる。


この(てん)匪猴(ひこう)は非常に()けている。その体格(たいかく)からも(あき)らかで、上肢(じょうし)下肢(かし)よりも往々(おうおう)にして倍余(ばいよ)(ふと)い。()まれ()ちた(とき)から腕相撲(うでずもう)(はじ)め、膨大(ぼうだい)訓練基盤(くんれんきばん)(ゆう)する。


(べつ)比試方法(ひしほうほう)であれば、()けた蛊师(こし)たちも匪猴王(ひこうおう)()てたかもしれない。


この方面(ほうめん)から()(すす)めれば、各種(かくしゅ)(ちから)にはそれぞれ独特(どくとく)長所(ちょうしょ)があり、(ちから)大小(だいしょう)のみで優劣(ゆうれつ)単純(たんじゅん)序列化(じょれつか)できぬと()える。


(ひと)(たと)えに()ろう。(ひと)(こぶし)()るう(ちから)は、(かなら)(あし)()(ちから)より(おと)る。通常(つうじょう)(ひと)りの()(ちから)(すべ)てを(ひと)つの動作(どうさ)爆発(ばくはつ)させることは不可能(ふかのう)だ。(わたし)双豚(そうとん)(ちから)半鰐(はんわに)(ちから)、それに(おのれ)(ちから)()つが、腕相撲(うでずもう)発揮(はっき)できる(ちから)がそれらの総和(そうわ)であるはずがない。無論(むろん)(すべ)ての(ちから)(ひと)つの動作(どうさ)集中(しゅうちゅう)させることも不可能(ふかのう)ではない。ただ、あの伝説(でんせつ)蛊虫(こちゅう)()りねばならぬが…」


腕相撲(うでずもう)方源(ほうげん)(しん)(ちから)十全(じゅうぜん)(しめ)せない。しかし(かれ)底力(そこぢから)(あつ)いため、確実(かくじつ)勝利(しょうり)(おさ)めた。


ただし、表向(おもてむ)きには露骨(ろこつ)()ぎぬよう、方源(ほうげん)はわざと苦悶(くもん)表情(ひょうじょう)()かべ、(うで)(ふる)わせ、猴王(こうおう)膠着(こうちゃく)状態(じょうたい)(えん)じた。


その(のち)、徐々(おもむ)ろに、一歩(いっぽ)ずつ猴王(こうおう)()(たお)していった。


結果(けっか)()(とき)(ほとん)全員(ぜんいん)呆然(ぼうぜん)とした。


「まさか本当(ほんとう)()ったぞ!」


「こいつは()まれつきの怪力(かいりき)だ!」


(ひと)()れが(かす)かに(さわ)()ち、驚嘆(きょうたん)(こえ)が次々(つぎつぎ)と(つた)わった。


「こいつの素性(すじょう)(さぐ)れ!可能(かのう)なら即座(そくざ)勧誘(かんゆう)せよ!」(おお)くの()(ぞく)頭領(とうりょう)(むね)(さわ)がせた。


多額(たがく)資金(しきん)(とう)じて育成(いくせい)した蛊师(こし)たちと(くら)べ、方源(ほうげん)のコストパフォーマンスは(きわ)めて(たか)かった。


投資(とうし)など(まった)必要(ひつよう)なく、即戦力(そくせんりょく)として商隊(しょうたい)利益(りえき)をもたらすのだ。


張家(ちょうか)(うん)()く、(たから)(ひろ)ったな」瞬時(しゅんじ)(おお)くの蛊师(こし)張家(ちょうか)()ける()羨望(せんぼう)(いろ)()えた。


道理(どうり)(おれ)らが(かな)わない(わけ)だ!」強兄(キョウあに)らは(した)()いた。


()(もの)だなこいつは」


(いま)(おも)えば、()()きて(かえ)れたもんだ」


(かれ)らは当時(とうじ)(おも)(かえ)し、(あと)から(おそ)ろしくなった。


元々(もともと)方源(ほうげん)仕返(しかえ)しをしようと画策(かくさく)していたが、(いま)となっては復讐(ふくしゅう)欲望(よくぼう)がすっかり()()せた。むしろ今後(こんご)方源(ほうげん)(ぎゃく)仕返(しかえ)しに()るのではと心配(しんぱい)(はじ)めた。


陳家(ちんけ)(ろう)総管(そうかん)顔色(かおいろ)(けわ)しくなった。



「この間抜(まぬ)けが、まさかあんな馬鹿力(ばかぢから)()っているとは…最悪(さいあく)だ。副首領(ふくしゅりょう)()められなければ良い(よい)が」(ろう)総管(そうかん)(おそ)(おそ)陳家(ちんけ)副首領(ふくしゅりょう)をチラリと()た。


陳家(ちんけ)副首領(ふくしゅりょう)(ふか)(まゆ)をひそめた。(かれ)(かんが)えは(さら)(およ)んでいた。


張家(ちょうか)真意(しんい)(うたが)(はじ)めたのだ。(ひと)要求(ようきゅう)したのは、最初(さいしょ)から(わな)だったのではないか?


張家(ちょうか)はこの家僕(かぼく)価値(かち)見抜(みぬ)き、故意(こい)監禁(かんきん)した(うえ)で、わざわざ引き()りに()たのでは?


(かんが)えれば(かんが)えるほど合点(がてん)()き、(おも)わず(はな)(ひや)ややかに(わら)った。(だま)されたと気付(きづ)けば、(だれ)愉快(ゆかい)ではいられまい。


しかし(あやま)ちは(すで)(おか)されており、苦々(にがにが)しい(かお)(だま)って(そん)()()むしかなかった。


「まさか…(わたし)()(うたが)ったわ」侍女(じじょ)小蝶(こちょう)(くち)()さえ、この結末(けつまつ)(こえ)()なかった。


商心慈(しょうしんじ)(かお)から(うれ)いの(いろ)()え、口元(くちもと)微笑(ほほえ)みが()かんだ。


()くぞ」張柱(ちょうちゅう)()()隊列(たいれつ)指揮(しき)。その両目(りょうめ)には複雑(ふくざつ)(ひかり)宿(やど)っていた。


方源(ほうげん)勝利(しょうり)張家(ちょうか)商隊(しょうたい)関門(かんもん)通過(つうか)(はじ)めた。


方源(ほうげん)二連勝(にれんしょう)し、張家(ちょうか)(たい)大半(たいはん)(とお)()ぎた。三戦目(さんせんめ)(かれ)偽装(ぎそう)のため故意(こい)()け、張家(ちょうか)(たい)(おお)くの貨物(かもつ)()られる結果(けっか)となった。


だがそれでも、方源(ほうげん)活躍(かつやく)全員(ぜんいん)感心(かんしん)させるには十分(じゅうぶん)だった。


商隊(しょうたい)(もど)ると、(かれ)熱烈(ねつれつ)歓迎(かんげい)()けた。


(ちょう)嬢様(じょうさま)、お(やく)()てたようで」方源(ほうげん)(こぶし)(むね)()商心慈(しょうしんじ)()げた。


商心慈(しょうしんじ)(うつく)しい(ひとみ)(かがや)き、(あらた)めて方源(ほうげん)()(なお)した。(こえ)(みず)のように(やわ)らかく:「(はは)(もう)しておりました、(ひと)()かけで判断(はんだん)するものではないと。黒土(くろつち)さん、貴方(あなた)()()きとした教訓(きょうくん)(わたし)(さず)けて(くだ)さいました。(こころ)から感謝(かんしゃ)しております。これは百五十枚(ひゃくごじゅうまい)元石(げんせき)貴方(あなた)への感謝(かんしゃ)(おく)(もの)です」


百五十枚(ひゃくごじゅうまい)元石(げんせき)?」侍女(じじょ)小蝶(こちょう)(おどろ)いた。「お嬢様(じょうさま)(なん)であんたにそんな大金(たいきん)を!」


方源(ほうげん)一歩(いっぽ)(うし)ろに()がり、(きび)しい口調(くちょう)(ことわ)った:「お嬢様(じょうさま)(わたし)恩返(おんがえ)しに(まい)ったのであって、元石(げんせき)(ため)ではございませぬ。どうかお()()(くだ)さい。報酬(ほうしゅう)など(いただ)けませぬ」


小蝶(こちょう)(あわ)てて同調(どうちょう)した:「お嬢様(じょうさま)、ご(らん)(とお)本人(ほんにん)辞退(じたい)しております。お()()りなさいませ」


しかし商心慈(しょうしんじ)(ゆず)らなかった:「これは報酬(ほうしゅう)ではなく、感謝(かんしゃ)(おく)(もの)です。貴方(あなた)への(わたし)謝意(しゃい)なのです」


方源(ほうげん)(かお)(ただ)し、(おごそ)かな口調(くちょう)()った:「百枚(ひゃくまい)であろうと千枚(せんまい)であろうと、(いただ)きは(いた)しませぬ。(ちょう)嬢様(じょうさま)(わたし)(ただ)(ぼん)(じん)ではありますが、侮辱(ぶじょく)なさいますのはお()(くだ)さい!」


「そういうことなら…」商心慈(しょうしんじ)仕方(しかた)なく元石(げんせき)()()った。


「ふん、()()いが()くて(たす)かったわ」小蝶(こちょう)(くち)(とが)らせた。


(かたわ)らの張柱(ちょうちゅう)沈黙(ちんもく)(まも)り、眼差(まなざ)しは一層(いっそう)複雑(ふくざつ)さを()していた。


(いのち)(おん)容易(ようい)(むく)(がた)し。どうか(ふたた)びお嬢様(じょうさま)(ため)(ちから)()させてください」方源(ほうげん)(ふたた)(こぶし)(むね)()てて(こう)うた。


匪猴山(ひこうざん)には(さる)()れが(おお)く、交易路(こうえきろ)途上(とじょう)には所々(ところどころ)に猿群(さるむれ)(わだかま)り、関所(せきしょ)(もう)けていた。


その()方源(ほうげん)は度々(たびたび)(みずか)(すす)んで()て、()ったり()けたりと意図的(いとてき)(えん)じた。


商隊(しょうたい)(すす)んでは(とど)まりを()(かえ)し、匪猴山(ひこうざん)二十余日(にじゅうよじつ)(つい)やして、ようやくこの高山(こうざん)(はな)れた。


商隊(しょうたい)貨物(かもつ)半減(はんげん)し、人々(ひとびと)の心情(しんじょう)(しず)んだ。


張家(ちょうか)のみが唯一(ゆいいつ)(よろこ)びに()ちた隊列(たいれつ)であった。


方源(ほうげん)活躍(かつやく)により、(かれ)らの損失(そんしつ)予想(よそう)(おお)きく下回(したまわ)ったからだ。


方源(ほうげん)()()せ、(おお)くの()(ぞく)家僕(かぼく)(つか)わし、(かれ)(たず)ねてきた。


いずれも方源(ほうげん)勧誘(かんゆう)せんと、(ゆた)かな条件(じょうけん)(てい)()したが、方源(ほうげん)(ひと)(ひと)固辞(こじ)し、依然(いぜん)として張家(ちょうか)(とど)まった。


「まあ、お(まえ)(すこ)しは良心(りょうしん)があるようだな。お嬢様(じょうさま)()くしてくれた甲斐(かい)があったというもの」小蝶(こちょう)はこれで方源(ほうげん)(たい)する態度(たいど)()えた。


この小娘(こうむす)(くち)(かる)(はら)(うち)()()き、彼女(かのじょ)態度(たいど)など、元々(もともと)方源(ほうげん)(かんが)えに()がったことはなかった。方源(ほうげん)()にかけていたのは商心慈(しょうしんじ)と、彼女(かのじょ)護衛(ごえい)蛊师(こし)張柱(ちょうちゅう)のことだ。


商心慈(しょうしんじ)(やさ)しく善良(ぜんりょう)聡明(そうめい)機敏(きびん)蛊师(こし)張柱(ちょうちゅう)老練(ろうれん)重厚(じゅうこう)経験豊富(けいけんほうふ)


(とく)後者(こうしゃ)については、方源(ほうげん)(かん)()っていた――この張柱(ちょうちゅう)(おお)かれ(すく)なかれ、(かれ)(うたが)(はじ)めていると。


(うら)白凝冰(はくぎょうひょう)方源(ほうげん)注意(ちゅうい)した:「あの百五十枚(ひゃくごじゅうまい)元石(げんせき)(ことわ)ったのは手抜(てぬ)かりだった。お(まえ)表向(おもてむ)きの身分(みぶん)なら、あの大金(たいきん)(こころ)(うご)かされぬはずがない。慎重(しんちょう)()すなら、修行(しゅぎょう)一時停止(いちじていし)し、張柱(ちょうちゅう)内密(ないみつ)(さぐ)りを(ふせ)ぐべきだ」


だが方源(ほうげん)はこの提案(ていあん)退(しりぞ)け、相変(あいか)わらず毎晩(まいばん)修行(しゅぎょう)(おこた)らなかった。


白凝冰(はくぎょうひょう)協力(きょうりょく)(こば)まなかった。彼女(かのじょ)正体(しょうたい)露見(ろけん)することなど元々(もともと)()にしておらず、(じつ)のところ方源(ほうげん)失敗(しっぱい)()るのをむしろ(たの)しんでいた。


雪銀真元(せつぎんしんげん)方源(ほうげん)(おお)きな(たす)けとなり、修練(しゅうれん)速度(そくど)(つばさ)(ひろ)げて飛翔(ひしょう)するが(ごと)(はや)まった。


匪猴山(ひこうざん)地界(ちかい)正式(せいしき)(はな)れた(よる)方源(ほうげん)二転初階(にてんしょかい)から中階(ちゅうかい)昇格(しょうかく)した。


風塵(ふうじん)にまみれた商隊(しょうたい)黄金山(おうごんざん)(ふもと)()いた(とき)(かれ)鰐力蛊(がりょくこ)使(つか)()り、永久(えいきゅう)一鰐(いちわに)(ちから)増加(ぞうか)させた。


黄金山(おうごんざん)には(おお)くの露天金鉱(ろてんきんこう)存在(そんざい)する。山土(さんど)には豊富(ほうふ)黄金(おうごん)(ふく)まれ、渓流(けいりゅう)から(すく)った(どろ)(ふる)いにかけると、数十(すうじゅう)金粒(きんりゅう)()られるほどだ。


日中(にっちゅう)陽光(ようこう)黄金山(おうごんざん)()(そそ)ぐと、(やま)全体(ぜんたい)がぼんやりとした黄金色(こがねいろ)光輪(こうりん)(つつ)まれる。光輪(こうりん)山岳(さんがく)全体(ぜんたい)(おお)い、錦繍(きんしゅう)(かがや)きの(ごと)(うつく)しさだ。


もしこの黄金山(おうごんざん)地球(ちきゅう)にあれば、血生臭(ちなまぐさ)争奪戦(そうだつせん)()こったことであろう。しかしこの世界(せかい)では元石(げんせき)通貨(つうか)であり、黄金(おうごん)(たん)なる金属鉱物(きんぞくこうぶつ)()ぎず、最大(さいだい)用途(ようと)()()(さい)補助材料(ほじょざいりょう)である。


黄金山(おうごんざん)には(ふた)つの()(ぞく)()(かま)えている。


山陽(さんよう)()には黄家寨(こうかさい)が、山陰(さんいん)()には金家寨(きんかさい)がある。


二虎(にとら)(やま)()まず、青茅山(せいぼうざん)(れい)から()(はか)れるように、黄家寨(こうかさい)金家寨(きんかさい)関係(かんけい)険悪(けんあく)である。


商隊(しょうたい)到着(とうちゃく)当然(とうぜん)両家(りょうけ)(よろこ)ばせたが、同時(どうじ)両家(りょうけ)連合通知(れんごうつうち)(とど)いた――商隊(しょうたい)(ひと)つの山寨(さんさい)のみを(えら)ばねばならぬ。黄家寨(こうかさい)(えら)べば金家寨(きんかさい)(はい)れず、(ぎゃく)もまた同然(どうぜん)である。


商隊(しょうたい)(ひと)(おお)(こと)複雑(ふくざつ)流動性(りゅうどうせい)(たか)い。以前(いぜん)両家(りょうけ)とも商隊(しょうたい)利用(りよう)して相手(あいて)奇襲(きしゅう)した数々(あまた)の悪辣(あくらつ)前科(ぜんか)があるため、このような厳命(げんめい)(くだ)されたのだ。


どの山寨(さんさい)()かうか、商隊(しょうたい)首領(しゅりょう)たちの(あいだ)意見(いけん)()かれた。


各々(おのおの)に必要(ひつよう)(こと)なり、協議(きょうぎ)(すえ)、この混成(こんせい)商隊(しょうたい)(ふた)つに()かれ、両方(りょうほう)山寨(さんさい)に別々(べつべつ)に()かった。


無論(むろん)山寨(さんさい)内部(ないぶ)(はい)ることは(ゆる)されず、主力(しゅりょく)部隊(ぶたい)(さい)周囲(しゅうい)臨時(りんじ)駐屯(ちゅうとん)するしかなかった。


(ひと)たび()()くと、張柱(ちょうちゅう)(ひそ)かに商心慈(しょうしんじ)(たず)ねて(もう)()げた:「下僕(しもべ)(ひそ)かに数日(すうじつ)観察(かんさつ)したところ、黒土(くろつち)白雲(はくうん)二人(ふたり)(きわ)めて不審(ふしん)です。(かれ)らを隊列(たいれつ)から追放(ついほう)するようお(ねが)(もう)()げます!」






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