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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第二十四節: 近接戦蠱師

三日後みっかご

ひくくして回避かいひするのがフックへの対抗策たいこうさくだ。てき攻撃こうげきしてきたら素早すばやくしゃがみ込み、反撃はんげき股間こかん腹部ふくぶねらえ。フックをおそれるな。最初さいしょからフックを使つかってくるやつ脳味噌のうみそなしの衝動的しょうどうてきやからばかりだ」


演武場えんぶじょう拳脚けんきゃく教官きょうかん説明せつめいしながら実演じつえんしていた。木人傀儡もくにんくぐつ右拳みぎこぶし横殴よこなぐりにまわすと、教官きょうかん猛然もうぜんとしゃがんで回避かいひつづけて傀儡くぐつ腹部ふくぶをドンドンと殴打おうだし、見事みごとたおした。


生徒せいとたちはになって見学けんがくしていたが、大半たいはん退屈たいくつそうな表情ひょうじょうで、まったではなかった。


学堂がくどうでは様々(さまざま)な授業じゅぎょうおこなわれ、この時間じかん基礎格闘技きそかくとうぎおしえていた。あせだくになってこぶしるう作業さぎょうは、カッコいい月刃げつじん攻撃こうげきくらべると地味じみきわまりなく、少年しょうねんたちの集中力しゅうちゅうりょく散漫さんまん気味ぎみだった。


つぎ授業じゅぎょう月光蛊げっこうこ実技試験じつぎしけんだよ。最近さいきん練習れんしゅうどう?」

「まあね。三発さんぱつ全部ぜんぶ発射はっしゃできるけど、全部当たることはすくない。二発にはつ草人形くさびとかたたるかな」

おれたようなもん。練習用れんしゅうよう草人形くさびとかたっちゃったよ」


……


少年しょうねんたちはひそひそばなしわし、こころすでつぎ授業じゅぎょうんでいた。試験しけんけて課外かがい猛練習もうれんしゅうかさねたかれらは、いま全員ぜんいん闘志とうしやしているところだった。


生徒せいとたちの噂話うわさばなし教官きょうかんみみはいると、拳脚教頭けんきゃくきょうとうり返り怒鳴どなりつけた:「授業中じゅぎょうちゅう私語しごするな! だまって見学けんがくしろ!」


二転蛊師にてんこしであるかれは筋肉隆々(きんにくりゅうりゅう)の上半身じょうはんしんあらわにし、古銅色ことういろはだ傷痕きずあときざまれていた。威嚇いかく一声ひとこえ演武場えんぶじょう全体ぜんたいあっした。


場内じょうないみずったようにしずまりかえなか教頭きょうとうつづけた:「基礎拳脚きそけんきゃく最重要さいじゅうようだ。特に蛊師修行こししゅぎょう初期しょきにおいて、ほかなんよりも重要じゅうようなものだ。集中しゅうちゅうしろ!」


叱責しっせきしたあと淡黄色たんこうしょくメートルきゅう木人傀儡もくにんくぐつせた。傀儡くぐつ青石あおいしゆかをガシガシらしおそかると、教頭きょうとうこしかかんで地面じめんたおし、馬乗うまのりになって頭部とうぶ鉄拳てっけんあめ粉砕ふんさいした。


接近戦せっきんせん大柄おおがらてき遭遇そうぐうしてもおそれるな。相手あいて重心じゅうしんくずすのが賢明けんめい戦術せんじゅつだ」教頭きょうとう平然へいぜんとした呼吸こきゅう解説かいせつした。「こしかかえ込み、骨盤こつばん制御せいぎょしてたおせ。その躊躇ちゅうちょなく連打れんだびせろ」


生徒せいとたちはかたちだけうなずいたが、ひとみおく不満ふまんそうなひかり宿やどしていた。教頭きょうとう内心ないしん苦笑にがわらいした――毎年まいとし新入生しんにゅうせいはなやかなわざかれるのは当然とうぜんだった。


実戦じっせんなみだ教訓きょうくんつたえるこえつづく:

「……目線めせんてきではなくかたろ。こぶしあしまえかならかたうごく」

「……移動速度いどうそくどこそいのち攻撃速度こうげきそくどじゃない」

「……距離きょりるのが最良さいりょう防御ぼうぎょ

「……あし弾力性だんりょくせいたもて。瞬発力しゅんぱつりょくかなめだ」

「……攻撃こうげき三角さんかく支持しじ維持いじ下半身かはんしんくずれたらぎゃくたおされる」


しかし生徒せいとたちの関心かんしんすで月刃試験げつじんしけんうつり、ふたた私語しごはじまっていた。


ただ一人ひとり方源ほうげんだけが一言一句いちごんいっくらさずつづけていた。ほかものまなんでいるのにたいし、かれ復習ふくしゅうしていたのだ。その戦闘経験せんとうけいけん拳脚教頭けんきゃくきょうとうよりもはるかに豊富ほうふであったが、他者たしゃ講義こうぎくことも修行上しゅぎょうじょう確認かくにんとなるのだった。


蛊師こし戦闘様式せんとうようしき通常つうじょう近接戦きんせつせん遠距離攻撃えんきょりこうげき分類ぶんるいされる。

月刃攻撃げつじんこうげき遠距離型えんきょりがただが厳密げんみつには中距離攻撃ちゅうきょりこうげきえる。有効射程距離ゆうこうしゃていきょりじゅっメートルしかないためだ。


近接型きんせつがたれいである拳脚教頭けんきゃくきょうとうは、自身じしん強化きょうかする選択せんたくする。銅皮蛊どうひこ効果こうか古銅色ことういろはだ防御力ぼうぎょりょく倍増ばいぞうし、通常つうじょうよりおおくの攻撃こうげきえられる。


月刃げつじん一発いっぱつ一割いちわり真元しんげん消費しょうひする。一転蛊師いってんこし戦闘せんとうちゅう何回なんかい発射はっしゃできる? ましてや初心者しょしんしゃなら有効打ゆうこうだめられず、威嚇いかく手段しゅだんにしかならない」方源ほうげん周囲しゅうい同年代どうねんだいつめたい見下みおろし、嘲笑あざわらうようにくちびるゆがめた。


基礎拳脚きそけんきゃく授業じゅぎょうわり、がれた月刃審査げつじんしんさはじまった。学堂家老がくどうかろう竹壁たけかべ沿いにならんだ草人形くさびとかた指差ゆびさす:「今日きょう成果せいか確認かくにんだ。五人一組ごにんひとくみ順番じゅんばんて、月刃げつじん三回さんかい使つかえ」


第一陣だいいちじん五名ごめいまえると、空中くうちゅう月刃げつじんった。三巡さんじゅん九発きゅうはつしか草人形くさびとかた命中めいちゅうせず、家老かろう不満ふまんそうにくびる:「練習不足れんしゅうぶそくだ。とくにおまえとおまえはもっときたえろ」


叱責しっせきけた少女しょうじょあかめながらがった。丙等へいとう資質ししつ元石げんせき節約せつやくしたため、三日間みっかかん練習量れんしゅうりょうりなかったのだ。「どうせ一位いちい無理むりだし、元石げんせきめた方がいかも」と自分じぶん納得なっとくさせた。


同様どうようかんがえを持つ生徒せいとおおく、審査しんさ結果けっかは散々(さんざん)だった。家老かろう眉間みけんふかしわきざまれるなか方源ほうげん内心ないしん嘆息たんそいた:「目先めさき元石げんせきとらわれ未来みらいてるおろものども。元石げんせき使つかうためにあるのに」


視野しやはし古月漠北こげつ ばくほく自信じしん満々(まんまん)のみをかべつ。馬面うまづらながかお勝利しょうり確信かくしんしていた。


かれはがっしりとしたからだつきで荒々(あらあら)しい気配けはいはなち、つや三発さんぱつ月刃げつじん連続れんぞくはなった。三発さんぱつ全て(ぜんぶ)が草人形くさびとかた命中めいちゅう――胸郭きょうかく二発にはつ左腕ひだりうで一発いっぱつみ、あお草屑くさくずばした。


この成績せいせき少年しょうねんたちから感嘆かんたんこえがる。家老かろうまゆしわゆるめ「くやった」とめた。


つぎくみ登場とうじょうした古月赤城こげつ あかぎ小柄こがら痘痕あばた目立めだかお緊張きんちょうにじませていた。三発さんぱつ月刃げつじんむねたたみ、ふかさのことなる三本さんぼん傷跡きずあときざんだ。草人形くさびとかた自己再生じこさいせいきずまたたく間にえたが、古月漠北こげつ ばくほくおな成績せいせきおさ家老かろう称賛しょうさん獲得かくとくした。


赤城あかぎほこらしげにがりながら、漠北ばくほく挑発的ちょうはつてき視線しせんげつけた。場外じょうがいで「フン!」とはなわら漠北ばくほくは、赤城あかぎではなく未登場みとうじょう古月方正こげつ ほうせい見据みすえた。内心ないしんではしん脅威きょうい赤城あかぎ方正ほうせいだけだとさとっていた――前者ぜんしゃ自分同様じぶんどうよう乙等おつとうだが元石げんせき潤沢じゅんたく使つかえる。後者こうしゃ甲等こうとう回復力かいふくりょく短期集中たんきしゅうちゅう練習れんしゅう可能かのうにする。


最終組さいしゅうぐみちかく、方正ほうせいつい姿すがたあらわした。




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