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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第三十八節:殴る

数多(あまた)露店(ろてん)(ぬし)たちが嫉妬(しっと)眼差(まなざ)しを方源(ほうげん)()けた。


方源(ほうげん)紫楓葉(しふうよう)()って()二枚(にまい)元石(げんせき)(ふところ)()()むと、荷車(にぐるま)(ほう)()し、白凝冰(はくぎょうひょう)(とも)(ちい)さな(いち)から(はな)れていった。


所詮(しょせん)(さら)った(ほう)(はや)い。彼女(かのじょ)(ちか)づきたければ、(いま)の我々(われわれ)の立場(たちば)(わす)れるな」白凝冰(はくぎょうひょう)(こえ)(ひそ)めて(つぶや)いた。


(ほう)(はく)二人(ふたり)(いま)(ちん)()(やと)われ(もの)だ。この肩書(かたが)きで商隊(しょうたい)(もぐ)()んだが、(いま)やそれが方源(ほうげん)(しょう)心慈(しんじ)(ちか)づく(さまた)げとなっている。


しかし方源(ほうげん)(こころ)には(すで)一計(いっけい)()められていた。(かれ)白凝冰(はくぎょうひょう)()(ほほ)()んだ:「お(まえ)()う通り(どおり)だ。だからこそ――(いま)から(なぐ)りに()く」


白凝冰(はくぎょうひょう)呆気(あっけ)()られた:「(なぐ)りに?」


夜空(よぞら)晴朗(せいろう)、点々(てんてん)と(またた)(ほし)


(ひろ)々(びろ)とした天幕(てんまく)(なか)数人(すうにん)家僕(かぼく)()になって(すわ)り、中央(ちゅうおう)石炭炉(せきたんろ)(なべ)()()っていた。


天幕(てんまく)天井(てんじょう)(ひら)かれ、石炭(せきたん)()える(かす)かな(けむり)(あな)からゆらゆらと()(のぼ)っていく。


(なべ)(なか)には(にく)(はい)っており、家僕(かぼく)たちは()える(にく)()()るように()つめながら、(ただよ)ってくる(にく)(かお)りに時折(ときおり)(つば)()()んでいた。


強兄(キョウあに)調(しら)べてきたぞ。新入(しんい)りの二人(ふたり)のこと、すっかり(さぐ)った」痩猿(やせざる)()った。


「ほう、どうだった?」強兄(キョウあに)と呼ばれる屈強(くっきょう)家僕(かぼく)(まゆ)()()げた。


二人(ふたり)紫幽山(しようざん)(むら)老村長(ろうそんちょう)から紹介(しょうかい)されたんだ」


「なるほどな」


「あの老村長(ろうそんちょう)(もと)(ぼん)(じんだ)ったが、副首領(ふくしゅりょう)拠点(きょてん)()しくて、(かる)開眼(かいげん)させたんだぜ」


「そういう背景(はいけい)だったのか…」


一同(いちどう)(こえ)(そろ)えて合点(がてん)した。


相手(あいて)(うし)(だて)蛊师(こし)がついてるって?(なに)(こわ)い!強兄(キョウあに)(あね)()陳鑫(ちんきん)公子(こうし)側室(そくしつ)だぜ!」(だれ)かが(さけ)んだ。


新入(しんい)りの二人(ふたり)調子(ちょうし)()りすぎだ。()らしめなきゃ、いつか天狗(てんぐ)になっちまうぞ」


(さわ)ぐな!強兄(キョウあに)指示(しじ)()て!」(べつ)(こえ)(ひび)いた。


天幕(てんまく)(ない)静寂(せいじゃく)(つつ)まれ、全員(ぜんいん)視線(しせん)強兄(キョウあに)(しゅう)(ちゅう)した。


強兄(キョウあに)(すこ)躊躇(ちゅうちょ)している様子(ようす)だった。方白(ほうはく)二人(ふたり)(うし)(だて)には、やはり蛊师(こし)がいる。たとえその蛊师(こし)陳家(ちんけ)(もの)でなく、片足(かたあし)棺桶(かんおけ)()()んだ(ろう)いぼれでも…蛊师(こし)蛊师(こし)だ。


「ちゃんと調(しら)べたのか?あの二人(ふたり)(むら)()いぼれ、具体的(ぐたいてき)にどんな関係(かんけい)なんだ?」


痩猿(やせざる)即座(そくざ)(しぶ)(かお)をした:「そ、それは…強兄(キョウあに)もご存知(ぞんじ)の通り(どおり)、おいららがどんな身分(みぶん)か。ここまで(さぐ)()すのさえ大変(たいへん)だったんです」


強兄(キョウあに)(おも)()めたように眉根(まゆね)()せた。


兄貴(あにき)、あの新入(しんい)りども、調子(ちょうし)()りすぎだぜ。今朝(けさ)痩猿(やせざる)にどんな態度(たいど)だった?(あき)らかに(おれ)らを()めてやがる!()らしめなきゃな」


同感(どうかん)だ。あの村長(そんちょう)()いぼれ、元々(もともと)の身分(みぶん)(おれ)以下(いか)だ。ただのまぐれ()たりで蛊师(こし)になれただけ」


蛊师(こし)って()ってもなんだ?副首領(ふくしゅりょう)使(つか)わなきゃ、なれるわけねえだろ?所詮(しょせん)上等(じょうとう)家僕(かぼく)()ぎねえ」


(なに)より商隊(しょうたい)明日(あす)をも()れぬ()。あいつらが(いのち)()としたって、(ろう)村長(そんちょう)陳家(ちんけ)算段(さんだん)などできまい!」


一同(いちどう)が口々(くちぐち)に()()てる(なか)強兄(キョウあに)(まゆ)(ふか)(きざ)んでいた。


痩猿(やせざる)(なが)らく強兄(キョウあに)表情(ひょうじょう)(うかが)っていた。(かれ)方白(ほうはく)二人(ふたり)難癖(なんくせ)をつけたくてたまらなかった。今朝(けさ)鬱憤(うっぷん)骨髄(こつずい)まで()(わた)り、方源(ほうげん)への憎悪(ぞうお)(むね)()(たぎ)っていた。


だが(おのれ)(うし)(だて)のないことを(さと)っていた。復讐(ふくしゅう)するには強兄(キョウあに)(すが)るしかない。


時機(じき)(じゅく)したと()て、(くち)(ひら)いた:「さっき()いたんだが、あの二人(ふたり)(ちい)さい(いち)私物(しぶつ)()(さば)いたらしい。紫楓葉(しふうよう)荷車(にぐるま)一台(いちだい)で、元石(げんせき)二枚(にまい)()すめ()ったそうだ」


強兄(キョウあに)()(またた)()(かがや)いた。


「はっ?二枚(にまい)元石(げんせき)だと?」


「ありえねえ、値切(ねぎ)られなかったのか?」


「ツキが()すぎる!どこの間抜(まぬ)けが()ったんだ?」


痩猿(やせざる)(はな)(わら)い、軽蔑(けいべつ)嫉妬(しっと)()めて()った:「()たり(まえ)だろ。(ちょう)()のお嬢様(じょうさま)さ。(ぼん)(じん)だけど、(うん)()()(いえ)()まれたからな」


「くそったれ!(むかし)おれが密輸品(みつゆひん)()ろうとした(とき)は、ボロクソに値切(ねぎ)られたのに。なんでこいつらだけがこんなツキに(めぐ)まれるんだ!」強兄(キョウあに)()血走(ちばし)った。


歯軋(はぎし)りしながら(つづ)けた:「明日(あす)こそあの二人(ふたり)始末(しまつ)する。新入(しんい)りが古参(こさん)(みつ)ぐのは()たり(まえ)だ。()からねえなら、(おれ)らが丁寧(ていねい)仕込(しこ)んでやるぜ」


了解(りょうかい)強兄(キョウあに)


強兄(キョウあに)(めい)ずる通り(どおり)にやるぜ!」


強兄(キョウあに)慧眼(けいがん)たるや!」痩猿(やせざる)がおべっかを(ささ)げ、杓子(しゃくし)(しる)()んだ。「(にく)()(もの)出来上(できあ)がりました。お(かしら)、まずはご賞味(しょうみ)あれ」


(にく)芳醇(ほうじゅん)(かお)りが(ただよ)い、(おお)くの喉仏(のどぼとけ)上下(じょうげ)し、(つば)()()(おと)がした。


強兄(キョウあに)(くちびる)(ねぶ)り、杓子(しゃくし)を受け(うけと)って「ふー」と(いき)()きかけ、ちょうど(くち)(はこ)ぼうとした。


その(とき)天幕(てんまく)()(ぐち)(とばり)(だれ)かに()()けられた。


方源(ほうげん)足音(あしおと)(たか)()()んできた。


「お(まえ)か!」一同(いちどう)驚愕(きょうがく)した。(かれ)らが(さく)(ろう)していた張本人(ちょうほんにん)が、まさか(じか)(あらわ)れるとは。


(おも)わぬ事態(じたい)当惑(とうわく)恐慌(きょうこう)(はし)った。


痩猿(やせざる)()()き、陰湿(いんしつ)(わら)いを()かべた:「新入(しんい)り、(いま)さら(こわ)くなったか?(あやま)りに()たのか?(おそ)いんだよ!」


()()わらぬ(まえ)に、方源(ほうげん)無表情(むひょうじょう)(あし)(はな)った。


ドスン!


痩猿(やせざる)()()ばされ、背中(せなか)石炭炉(せきたんろ)激突(げきとつ)()()った(にく)スープが全身(ぜんしん)()びせられ、金切(かなき)(ごえ)()げて悲鳴(ひめい)した。「スープがーっ!」


全部(ぜんぶ)無駄(むだ)だ!(かね)()()って()った(にく)だぞ!やっと()えると(おも)ったのに、ちくしょう!」


(ころ)()かこの野郎(やろう)!」


瞬時(またた)()(いか)りが爆発(ばくはつ)一同(いちどう)がぞろぞろと()()がり、怒号(どごう)(とも)方源(ほうげん)(おそ)いかかった。


方源(ほうげん)()(にぎ)った二枚(にまい)元石(げんせき)を、(かれ)()がけて()げつけた。


「いてっ!」


二人(ふたり)直撃(ちょくげき)一人(ひとり)()()さえ、もう一人(ひとり)(はら)()さえて苦悶(くもん)(うめ)きを()らした。


卑怯(ひきょう)だ!暗器(あんき)使(つか)うとは!」


()て…こ、これは元石(げんせき)か!?」


(おそ)()からんとした(しゅう)はその(さけ)びで(あし)()めた。


地面(じめん)(ころ)がる二枚(にまい)元石(げんせき)が、全員(ぜんいん)視線(しせん)(くぎ)づけにした。


痩猿(やせざる)悲鳴(ひめい)途切(とぎ)れ、()元石(げんせき)()()せられる。


(とり)(しょく)()し、(ひと)(ざい)(くる)


「こいつ、(あたま)がおかしくなったのか?」


元石(げんせき)(ひと)(なぐ)る?へっ、(こわ)()づいたな」


「こいつは元石(げんせき)だぞ!(おれ)が二ヶ(にかげつ)(はたら)っても、一枚(いちまい)(かせ)げるか()からんのに!」


瞬時(またた)()に、人々(ひとびと)の胸中(きょうちゅう)怒涛(どとう)(ごと)衝動(しょうどう)渦巻(うずま)いた。


数人(すうにん)方源(ほうげん)()()に、むしろ渇望(かつぼう)(いろ)()かべた。まるで「まだ元石(げんせき)あるか?こっちへ()げろよ!」と()()けるように。


「よくも(なぐ)ってくれたな!()(ぞん)ないか!」()()さえていた家僕(かぼく)()(はな)し、怒号(どごう)した。


右目(みぎめ)完全(かんぜん)(ひら)かず、(むらさき)()れが(ひろ)がっている。


だがそれでも(かれ)(もっと)(ちか)くの元石(げんせき)(つか)()った。


一同(いちどう)(ふる)()がり、(われ)(かえ)って()(しょう)のもう(ひと)つの元石(げんせき)()(はし)らせた。


(とどろ)


全員(ぜんいん)がその元石(げんせき)殺到(さっとう)し、方源(ほうげん)など(ほう)()した。


痩猿(やせざる)()()いしばり(いた)みに()え、(むら)がる人々(ひとびと)を()()けて元石(げんせき)をがぶりと(うば)()った。


(おれ)のものだ!こいつが(おれ)()げつけたんだ!」もう一人(ひとり)(なぐ)られた家僕(かぼく)(おこ)(くる)って()えた。


「ちくしょう!(さる)、お(まえ)ケガしてんのに(うご)きやがったな!」(つば)()ばしながら(だれ)かが怒鳴(どな)る。


「うるせえ!さっき(だれ)(おれ)(あし)()()けた?()()いや!」強兄(キョウあに)顔中(かおじゅう)(ほこり)まみれで激怒(げきど)していた。


その(とき)(いっ)(ぽん)(うで)()びて(かれ)強引(ごういん)()()せた。


(だれ)大胆(だいたん)だ!?


驚愕(きょうがく)(いか)りに()(かえ)ると、そこには方源(ほうげん)醜悪(しゅうあく)容貌(ようぼう)があった。


(かれ)(さけ)んだ:「よくも(おれ)(つか)まえるか?その(いぬ)()(はな)せ!」


ドン!


方源(ほうげん)(こぶし)()りかざし、強兄(キョウあに)顔面(がんめん)直撃(ちょくげき)した。


鼻骨(はなぼね)()れる(おと)がし、()()()した。強烈(きょうれつ)眩暈(めまい)(おそ)い、強兄(キョウあに)視界(しかい)(ほし)()んだ。


方源(ほうげん)()(はな)すと、(かれ)はへたりと()(くず)()ちた。


「ち、ちくしょう!」


「やつが()()した!」


強兄(キョウあに)がやられた!まとめて始末(しまつ)しろ!!」


(のこ)りの(もの)らは一瞬(いっしゅん)呆然(ぼうぜん)としたが、(ゆめ)から()めたように(こぶし)()()げ、方源(ほうげん)(おそ)いかかってきた。


方源(ほうげん)無表情(むひょうじょう)のまま、(もっと)(ちか)づいた家僕(かぼく)(こぶし)一閃(いっせん)(はら)()ばした。


「ぐはっ!」


その家僕(かぼく)()()び、(くち)(じゅう)()が粉々(こなごな)に(くだ)けた。


(つづ)いて(べつ)一人(ひとり)(おそ)()かる。


方源(ほうげん)(かかと)(かろ)()げ、(やつ)股間(またま)(ねら)って(かろ)()()んだ。


「おええっ!!!」


その(もの)股間(またま)()さえ、白目(しろめ)(ひるがえ)して(またた)()気絶(きぜつ)した。


方源(ほうげん)三拳(さんけん)二脚(にきゃく)家僕(かぼく)たちは全員(ぜんいん)地面(じめん)(たお)れ、(すみ)(かく)れていた痩猿(やせざる)一人(ひとり)(のこ)すのみとなった。


方源(ほうげん)視線(しせん)()くと、痩猿(やせざる)(からだ)(ふる)わせ、


どすん!


(ひざ)まずいた。


降参(こうさん)だ!降参(こうさん)だ!好漢(こうかん)(いのち)だけは(たす)けてくれ!」


哀願(あいがん)しなが(ら)土下座(どげざ)(つづ)け、(ひたい)地面(じめん)()れる(たび)(にぶ)(おと)(ひび)いた。


しかし方源(ほうげん)からは(ひと)(こと)(こた)えもない。


痩猿(やせざる)(ふる)()がりながら(かお)()げると、方源(ほうげん)姿(すがた)(すで)()えていた。天幕(てんまく)(なか)には家僕(かぼく)たちが(ころ)がり、気絶(きぜつ)している(もの)もいれば、うめき(ごえ)()らしている(もの)もいた。


方源(ほうげん)幾重(いくえ)にも(つら)なる天幕(てんまく)(あいだ)(ある)いていると、さっきの騒動(そうどう)()()せられた(もの)たちが各所(かくしょ)から(のぞ)()んでいた。


――これこそ方源(ほうげん)(のぞ)んだ光景(こうけい)だった。


(やみ)(すみ)から白凝冰(はくぎょうひょう)()いて()た:「()初日(しょにち)に、同僚(どうりょう)家僕(かぼく)片端(かたはし)からぶっ()ばすとはな。随分(ずいぶん)派手(はで)挨拶(あいさつ)だ」


薄笑(うすわら)いを()かべ、(わざわ)いを(よろこ)んでいる様子(ようす)だ。(こころ)奥底(おくそこ)では、(なん)()方源(ほうげん)がこんなことをしたのか、一層(いっそう)好奇(こうき)(しん)(つの)っていた。


方源(ほうげん)返答(へんとう)せず、商隊(しょうたい)臨時(りんじ)キャンプの奥深(おくふか)くへ(ある)(すす)んだ。


()もなく目的地(もくてきち)到着(とうちゃく)した。


(ひと)(だい)馬車(ばしゃ)車両(しゃりょう)()()んだ情報(じょうほう)では、陳家(ちんけ)(ろう)総管(そうかん)がここで寝泊(ねど)まりしているという。


(かれ)はすぐに(とびら)(たた)かず、人気(ひとけ)のない(くら)がりへ(うつ)り、懐中(かいちゅう)短刀(たんとう)()()すと、(みずか)らの(からだ)(やいば)(はし)らせ(はじ)めた。


(まわ)りは(みず)()ったような静寂(せいじゃく)、ただ短刀(たんとう)(にく)()(かろ)やかな(おと)だけが(ひび)く。


白凝冰(はくぎょうひょう)はその(おと)()き、(まゆ)(かす)かに()げた。


彼女(かのじょ)(ふたた)方源(ほうげん)冷酷(れいこく)さを目撃(もくげき)した――(みずか)らの(からだ)()(きざ)みながら、(ひと)(こえ)()らさず、その()(ぎわ)次第(しだい)手慣(てな)れた様子(ようす)だ。まるで()(ぶん)(からだ)ではなく、()()(かぶ)()っているかのように。


トントントン……


(とびら)(そと)からノックの(おと)


(せま)車内(しゃない)には雑物(ざつもつ)山積(やまづ)みされ、(ちい)さな寝台(しんだい)(ひと)つあるだけ。


(さいわ)老総管(ろうそうかん)小柄(こがら)で、寝台(しんだい)(ちぢ)こまっても窮屈(きゅうくつ)には()えない。


トントン。


またノックの(おと)


熟睡(じゅくすい)していた(ろう)総管(そうかん)(まゆ)をひそめ、寝返(ねがえ)りを()った。


ドンドン!


ノックの(おと)(おお)きくなる。(ろう)総管(そうかん)血走(ちばし)った()見開(みひら)いた:「どなたです?」


「おらです、総管(そうかん)どの」(とびら)(そと)から(こえ)がした。


()(おぼ)えのない(こえ)だが、どこかで()いたような……(ろう)総管(そうかん)(まゆ)(ふか)(きざ)み、ようやく(おも)()した。今朝(けさ)(じん)って()新人(しんじん)りだ。


「新人(しん人)りの分際(ぶんざい)で、夜中(よなか)安眠(あんみん)(さまた)げるとは!(なん)(よう)だ!?」




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